説明

エピタキシ用基板及びその製造方法

オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器に使用されるテンプレート型基板は、気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層を備え、窒化物基板の両主面が実質的にそれぞれ非N極性面とN極性面からなり、基板の欠陥密度が5×10/cm2以下である。ゆえに、テンプレート型基板は良好な欠陥密度を有し、(0002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅が80以下という良好な値であり、形成したテンプレート型基板は、MOCVD、MBEおよびHVPEといった気相から形成するエピタキシ基板に非常に有用であり、レーザダイオードや高出力LEDといった良好なオプトエレクトロニクス機器やMOSFETといった良好なエレクトロニクス機器を製造できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED及びLDのようなオプトエレクトロニクス機器またはMOSFETのようなエレクトロニクス機器に用いるエピタキシ用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
現在気相エピタキシャル成長用に使用されている基板は、通常サファイア、SiC、GaAs及びSiを含有し、該基板上で成長させて得たエピタキシャル層は依然として10/cm2という高い欠陥濃度を示しており好ましくない。ゆえに、基板へのELOG型構造の適用が提案され、これにより欠陥濃度を10/cm2に減少できるが、この欠陥濃度では依然として高すぎるため、多くのエレクトロニクス及びオプトエレクトロニクス機器、特に高出力半導体レーザを適切に機能させることが可能かは保証できない。さらに、得られる基板はELOG構造によりエピタキシャル面領域が狭くなっているという別の問題がある。従って、我々はガリウム含有窒化物単結晶の他の製造方法を提案しており、例えば、ポーランド特許出願番号P−347918で、窒化ガリウムに代表される窒化物バルク単結晶を超臨界アンモニア含有溶液からの再結晶により製造する方法を提案している。上記の超臨界アンモニア含有溶液を用いて得られる窒化ガリウムバルク単結晶の特徴は、欠陥濃度が低いことである。(バルクGaNの場合:10/cm2)しかし、これは低い成長率、事実上気相成長法で用いられる成長率よりも何倍も低い成長率で得られるものである。
【0003】
本発明の発明者はさらに鋭意な研究により、1)気相成長工程を超臨界アンモニア含有溶液の結晶化から形成したガリウム含有窒化物バルク単結晶の基板上で行えば、気相エピタキシャル層の欠陥濃度をELOG構造にしなくても著しく減少できること、さらにオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器製造のエピタキシャル工程のために基板の全主面を完全なGa極性面として維持できることを発見した。これはELOG型基板とは非常に異なっている。
【0004】
発明者はさらに、2)少なくとも1種のアルカリ金属を含有する超臨界アンモノ法で、GaNのA軸方向成長がC軸方向成長の4倍の速度であることを発見し、直径が1インチ以上で良好な品質である窒化物単結晶基板を得た。該基板のC軸は、少なくとも30μm、好ましくは50μm以上延在するC面に対して垂直方向である。このこともまたELOG型基板とは非常に異なっている。
【0005】
上記の1)および2)といった発明者の発見によれば、GaN層をHVPE法により、超臨界アンモノ法で形成した窒化物単結晶基板上に形成し、100μm以上、好ましくは150μm以上の膜厚をもたせ、窒化物単結晶基板から切り出すと、得られるHVPEGaNの欠陥密度は5×10/cm2以下、好ましくは10/cm2以下、より好ましくは10/cm2以下であり、1つの面が実質的にGa極性面からなり、ELOGGaN基板よりも良好である。
【発明の開示】
【0006】
従って、本発明の目的は、エピタキシ用基板及び新しい窒化物バルク単結晶を基礎とする基板の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の第1の様態によると、気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層を備える、オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板を提供し、窒化物基板の両主面は実質的にそれぞれ非N極性面とN極性面からなり、基板の欠陥密度は5×10/cm2以下である。
【0008】
本発明により、AlGa1−xN(0≦x≦1)単結晶基板のGaまたはAl極性面上で成長した良好な気相エピタキシャル層を形成でき、超臨界アンモノ溶液を用いて基板を形成可能であれば、層B)を備える得られた基板が、気相エピタキシャル成長でオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器を形成する場合に非常に有効である。
【0009】
本発明の基板の特性としては、実質的に傾きがなく、これは窒化物単結晶のC軸の傾斜が実質的にないことを意味し、また実質的に結晶のねじれがなく、これは単結晶格子のねじれが実質的にないことを意味する。したがって、われわれの基板には歪みがなく、分極光がサファイアのような結晶を通して進み、このことはHVPEGaN基板と非常に異なっている。
【0010】
本発明では、窒化物バルク単結晶の層A)はガリウム含有窒化物を有し、アルミニウム含有窒化物は一般式AlGa1−xN(0≦x≦1)で表される。層A)は通常、国際特許出願公開WO02/101120及びWO02/101124に記載された超臨界アンモノ法で形成可能なAlNまたはGaN単結晶基板からなる。
【0011】
本発明では、気相エピタキシャル成長法で形成した窒化物の層B)はAlGa1−x−yInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表される。層B)は、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相エピタキシャル成長法)またはMBE(分子線エピタキシャル法)といった方法で、層A)を有する基板上に形成可能である。これらの方法は公知であり、層B)はGaN、AlGaN、InGaN及びAlGaInN化合物半導体層を含有する。
【0012】
本発明の好ましい実施例では、図7(A)に示すとおり、層B)を少なくとも2つの層から形成でき、第1層B1)を層A)を有する基板上にMOCVD法またはMBE法で形成でき、第2層B2)を第1層B1)上にHVPE法で形成できる。
【0013】
本発明では、図7(B)に示すとおり、100から300μm以上の厚さである基板は、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A)、MOCVD法またはMBE法で形成される窒化物の層B1)及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層B2)の組み合わせの層B2)の一部から得られる。 得られたテンプレートは、基板の1つの面に実質的に完全なGa極性面領域を備えてもよく、すなわち、95%以上、99%以上がGa極性面であることが好ましい。ELOG法で形成し、90%以下のGa極性面領域しか有しないHVPEGaN基板と比較すると、同一面でいくらかのN極性面領域があるので、欠陥濃度及びX線ロッキングカーブの半値幅に関して、完全なGa極性面と同様に、良好な品質である基板を得られる。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、テンプレート型基板は、層B)を有するシード上に、少なくとも1種のアルカリ金属を含有する超臨界アンモニア溶液中で窒化物を結晶させて形成した窒化物バルク単結晶層のA)を備えてもよい。
【0015】
この場合、図8(A)に示すとおり、テンプレート型基板はさらに、気相エピタキシャル成長法で形成したガリウム含有窒化物の層C)を備えてもよく、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A)を、N極性面と、例えば層A1)とA2)としてシード層B)のGa極性面またはAl極性面のような非N極性面との両方の面に形成し、層C)を層A2)の非N極性面と層C)のN極性面で結合する。したがって、ガリウム含有窒化物の層C)をMOCVD、HVPEまたはMBEといった方法で層A2)の基板上に形成してもよい。好ましい実施形態では、図8(B)に示すとおり、層C)は少なくとも2つの層を備え、第1層C1)をMOCVD法またはMBE法で層A2)の基板上に形成し、第2層C2)をHVPE法で第1層C)上に形成してもよい。本発明によれば、第1層C1)は、層C2)のHVPE工程に阻害されないように基板A)の表面を保護することができ、基板A)から層C2)へのアルカリ金属の拡散を防止することも可能である。層C1)を単結晶の形成温度以下で形成することが好ましい。
【0016】
この場合、図8(C)に示すとおり、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A1)、気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層B)、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A2)、MOCVD法またはMBE法で形成される層C1)及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層C2)の組み合わせの層C2)の一部から切り出され、100から300μm以上の厚さを有する基板が得られる。HVPE基板は塩素化合物を含有し、前述の通り、主面が実質的にGa極性面からなる。
【0017】
本発明によれば、10/cm以下、好ましくは10/cm以下、より好ましくは10/cm以下の欠陥濃度で、(002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅が80arcsec以下である基板を形成できる。
【0018】
超臨界アンモノ工程で、我々はA軸成長がC軸成長の4倍の速度であること、超臨界アンモノ法でのA軸成長が、同じく超臨界アンモノ法でのC軸成長と比較して欠陥濃度を著しく減少させることを発見した。したがって、本発明の新たな様態によれば、我々は図9に示すテンプレート型基板を得ることが可能である。ここで層A)は、直径1インチ以上のM面の、周辺エッジを備えるC面の両面を有する六方晶形基板で、該基板はは少なくとも1種のアルカリ金属を含有する超臨界アンモニア溶液中で窒化物バルク単結晶がA軸方向に成長することにより形成された基板から得られる。基板の欠陥濃度が10/cm以下であるのは驚くべきことである。
【0019】
本発明の基板では、ガリウム含有窒化物の層B)またはC)及び層B1)及びB2)またはC1)及びC2)が少なくとも1種のアルカリ金属を含有し、その濃度は
少なくとも1種のアルカリ金属を含有する超臨界アンモニア溶液中で窒化物の結晶化により形成した層A)の濃度よりも低い。アルカリ金属の濃度は、層B)またはC)及び層B1)及びB2)またはC1)及びC2)を形成する工程中に、層A)からの拡散を生じさせるからである。この場合、層B)、B1)、C)またはC1)はMOCVD法により形成でき、好ましくは厚さが0.1から3μmである。
【0020】
本発明の基板の場合、層B)の定義で示したとおり、気相成長法によって得られた層C)はまた一般式AlGa1−x−yInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表される。したがって、本発明の好ましい実施形態において、層B)またはC)はAlGaNおよびGaNの二重層の組み合わせであってもよい。単結晶形成よりも低い温度で形成されたAlGaNの第1層B1)またはC1)の場合、GaNの第2層B2)またはC2)は結晶性の点で改善されるであろう。
【0021】
本発明のテンプレート型基板の場合、気相エピタキシャル成長を用いるので、層B)B2)、C)またはC2)は、ドナー添加物としてシリコン(Si)または酸素(O)を含有するガリウム含有窒化物、またはアクセプター添加物としてマグネシウム(Mg)または亜鉛(Zn)を含有するガリウム含有窒化物である。添加物の濃度は好ましくは1016/cmから1021/cmの範囲とする。
【0022】
本発明の第3の様態では、オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法が、
(a)超臨界アンモニア含有溶液からシード上にガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を結晶させて、アルカリ金属(I族元素、IUPAC 1989)の少なくとも1種を含有する窒化物バルク単結晶の層A)を基板のための膜厚をもたせて形成し、
(b)気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に窒化物の層B)またはC)を形成し、
(c)基板A)から層B)またはC)を切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を得る工程を備える。
【0023】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の好ましい製造方法において、図7(A)と7(B)および8(A)から8(C)で示すとおり、工程(b)が好ましくは、(b1)窒化物の層B1)またはC1)を気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に形成する工程および、(b2)窒化物の層B2)またはC2)を気相エピタキシャル成長法により、層B1)またはC1)上に形成する工程を有する。この場合、層B2)またはC2)を基板A)から切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する。
【0024】
本発明の第4の様態によれば、良好な基板により良好な基板を形成できるので、本発明の基板を使用してさらなる基板を形成可能である。この場合、製造方法は、(d)層B)、C)、B2)、C2)のAlまたはGa極性面上に気相エピタキシャル成長法により形成した新たな窒化物の層D)を形成する工程を備える。工程(d)では、層B)、C)、B2)、C2)を基板から切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、さらなるエピタキシャル成長のための良好な表面特性を得るために、(c)層B)の1つの面を研磨し、気相エピタキシャル成長のための基板を得る工程が必要となる場合がある。さらに、膜厚が100μm以上、好ましくは150μm以上で、主面が実質的にAlまたはGa極性面を備える基板を得るために、膜厚が100μm以上、好ましくは150μm以上の層B)、B2)、C)、C2)またはD)を形成し、層B)、B2)、C)、C2)またはD)の一部を切り出すことが必要である。
【0026】
得られた基板を約600℃から1050℃の温度で水素を含有しない空気中でアニーリング処理し、アニーリング処理前よりもより良好な結晶性を有する材料を製造する。アニーリング工程を好ましくは10から30Vol.%の酸素を添加した不活性ガスの空気中で行う。また、不純物(水素および/またはアンモニアまたは結晶および/またはアニーリング処理中に生じた不純物から形成されたイオン)が望ましいレベルに達するまで、アニーリング工程を単一工程または複数の工程で行ってもよい。
【0027】
さらに、アンモニア含有溶媒、水または二酸化炭素の超臨界環境下に浸漬、またはガス状水素、窒素またはアンモニアの作用下に付し、窒化物バルク単結晶から不純物を除去する必要が生じることがある。この場合、洗浄工程で超音波または電子ビーム照射を補助的に用いることが好ましい。
【0028】
本発明を添付の図面において説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明は、アンモノ塩基性(ammono-basic)の結晶成長に基づくものであって、1または複数のアンモノ塩基性の性質に影響を与えるミネラライザーを含む超臨界アンモニア溶媒中で化学輸送を形成する方法によってシードの表面に単結晶のガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を選択的に形成させるものである。
【0030】
この方法は高い構造品質の層を有するバルクの単結晶テンプレート型基板を得ることを特徴とするもので、そこでは気相成長によって得られたガリウムまたはアルミニウム含有窒化物層の上にオートクレーブ中で超臨界アンモニア含有溶液およびアルカリ金属イオンを形成させることによってガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を成長させる。このオートクレーブ中でフィードストックを溶解させ、続いてガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を溶液からシード表面に選択的に結晶させる。その結晶成長は、超臨界溶媒中にガリウムを含有するフィードストックを溶解させる方法より高い温度および/または低い圧力において行われる。
【0031】
第1の実施態様の目的は、第2の工程−結晶化において、シード表面に選択的晶出を行わせることにある。それゆえ本発明の第2実施態様はガリウムまたはアルミニウム含有窒化物バルク単結晶の結晶方法に関するものであって、高い構造品質の層を有するバルクの単結晶テンプレート型基板を得ることを特徴とする。そして、この方法は、気相成長によって得られたガリウムまたはアルミニウム含有窒化物層の上に、高い構造品質の層を有するガリウムまたはアルミニウム含有窒化物層を積層し、超臨界アンモニア含有溶液とアルカリ金属イオン中で溶解を行い、ガリウム窒化物溶解度の負の温度係数を有する超臨界溶液を形成する。そして少なくともシードが位置するオートクレーブ帯域ではシードに対して超臨界溶液が過飽和な帯域を形成し、自発的晶出が起こらないように、適当に温度を増加させおよび/または圧力を低下させることにより濃度を調整する。そしてオートクレーブ中に位置するシードの表面にだけガリウムまたはアルミニウム含有窒化物結晶を選択的に成長させる。
【0032】
この第2の実施例においては、オートクレーブ中に同時に2つの帯域が形成される(溶解帯域および結晶化帯域)。シードに対する超臨界溶液の過飽和を溶解温度および結晶化温度を調節することによって制御するのが望ましい。その上、300ないし600℃の間に結晶化帯域の温度を設定し、オートクレーブ中の溶解帯域の温度と結晶化帯域の温度差を150℃以下、好ましくは100℃以下に維持することにより、温度管理は容易になる。超臨界溶液のシードに対する過飽和度はオートクレーブ中に1または多数のバッフルを位置させ、溶解帯域(低温度)を結晶化帯域(高温度)と分離させ、これらの帯域間の対流速度を制御することによって調整することができる。さらに、溶解帯域と結晶化帯域がオートクレーブ中に適当な温度差をもって形成されるならば、シードに対する超臨界溶液の過飽和度はGaN形態で導入されるガリウムまたはアルミニウム含有フィードストックを使用し、その全表面積がシードの全表面積を超えるようにすることにより、過飽和度を調整することができる。
【0033】
第1の実施態様においては、アルカリ金属イオンは、アルカリ金属および/またはアルカリ金属化合物および/またはそれらの混合物の形態で導入され、特にこれらは第XVII族元素(ハロゲン類)を含まない。アルカリ金属のこのようなイオンはLI、NaおよびKから選択される1または複数のイオンを含むことができる。これらはアルカリ金属、そのアミド類およびアジド類の形態で、アンモニアに対するモル比が1:200から1:2の間で適用されるのが好ましい。超臨界溶液中に溶解されるフィードストックはガリウムまたはアルミニウム含有窒化物またはガリウム前駆体であって、これらは超臨界溶媒中で溶解可能なガリウム化合物を形成することができる。
【0034】
本発明に記載された方法は、清澄なアンモノ塩基性環境における反応に基づいているけれども、HVPE方法または他の化学方法によって得られるGaN形態のフィードストックを用いることも許容される。ただし、第XVII族元素の塩素または他の元素が反応の起きる環境に悪影響を与えないという条件下においてである。
【0035】
上記フィードストックはガリウムまたはアルミニウム含有窒化物であって、超臨界アンモニア含有溶媒中では可逆的な溶解プロセスが起きる。超臨界溶媒中で不可逆な反応となる金属ガリウムと併用することも可能である。
【0036】
ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物はガリウム窒化物の形態で使用すると結晶化工程において制御が容易である。単結晶GaNのシードを使用することが好ましいが、次のものも使用できる:HVPE方またはフラックス法によって得られたGaN、高圧法によって得られたシード、超臨界アンモニア法によって得られたバルク単結晶から切り出される、A(11−20)、M(1−100)またはR(1−102)面を有するシード。結晶化の目的には、N極性を有するC(0001)面を使用することができる。
【0037】
本発明においては、溶解および結晶化工程は通常平行して行われ、これらの工程はオートクレーブ中で同時に空間的に分離される。言い換えれば、超臨界アンモニア溶媒がオートクレーブ中に形成され、これがアルカリ金属イオンを含有する。この溶媒はガリウムまたはアルミニウム含有フィードストックを溶解し、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の結晶化を超臨界溶液からシード表面において行う。その条件は、フィードストックの溶解工程のための温度より高くおよび/または圧力より低い。
【0038】
第1の実施態様においては、ガリウムまたはアルミニウム含有フィードストックの溶解工程は、超臨界溶液を高い温度および/または低い圧力の位置に送る別の工程を伴うことが推奨される。この場合、オートクレーブ中では少なくとも2つの帯域が異なった温度をともなって形成され、ガリウムまたはアルミニウム含有フィードストックは低い温度の溶解帯域に位置させる一方、シードは高い温度の結晶化帯域に位置させる。溶解帯域と結晶化帯域間の温度差は、超臨界溶液を通して化学的輸送が保証されるように設定されるべきである。この化学的輸送は主として対流によって起きる。溶解および結晶化帯域間の温度差は1℃を超え、好ましくは5ないし150℃、より好ましくは100℃以下である。
【0039】
本発明によって得られる窒化物は式AlGa1−x−yInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)を有する。超臨界溶媒は以下のように定義される:NHおよび/またはその誘導体を含み、またアルカリ金属イオン、少なくともナトリウムまたはカリウムイオンの形態でミネラライザーを含む。フィードストックは主としてガリウムまたはアルミニウム含有窒化物または以下の前駆体から選択されてなる。その前駆体はアジド類、イミド類、アミド−イミド類、アミド類、水素化物、ガリウムまたはアルミニウム金属化合物および合金であって、金属ガリウムを含む。前駆体の定義は、本明細書において定められている。
【0040】
本発明において、シードはガリウムまたはアルミニウム含有窒化物あるいは他のXIII族元素(IUPAC 1989)の元素からなる結晶層を含む。この層の表面欠陥密度は、10/cm以下であるのが好ましい。
【0041】
この発明において、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の結晶化は、100ないし800℃の間の温度、好ましくは300ないし600℃、より好ましくは400ないし550℃において生じる。ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の結晶化の間、圧力は10ないし1000MPa、好ましくは100ないし550MPa、より好ましくは150ないし300MPaにわたることができる。
【0042】
超臨界溶媒中のアルカリ金属イオン濃度はフィードストックおよびガリウムまたはアルミニウム含有窒化物が適当な溶解度特性を有するように調整される。アルカリ金属イオンの他の化学種に対する超臨界溶媒中のモル比は1:200ないし1:2、好ましくは1:100ないし1:5、より好ましくは1:20ないし1:8の範囲に制御される。
【0043】
本発明において、単結晶ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の成長は、アンモノ塩基性の性質に影響を与える1または多数のミネラライザーを含む超臨界溶媒中の化学的輸送によって得られる。したがって、本発明方法はアンモノ塩基性結晶化の技術であって、本発明において使用される用語は以下の定義に従って理解されるべきである。
【0044】
XIII族元素窒化物とは、例えば、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムであり、単独またはそれらの化合物を意味する。ガリウム含有窒化物は最も好ましい窒化物である。
【0045】
ガリウム又はアルミニウム含有窒化物とは、ガリウム(または:アルミニウム)窒化物および選択的に他のXIII族元素(IUPAC, 1989)を意味し、添加物量よりも高レベルで好ましくは実質的にガリウムを一部含有する、二元化合物−GaN(またはAlN)、三元化合物−AlGaN、InGaNまたは四元化合物−AlInGaNを含む。ただし、これらに限定されない。結晶化技術のアンモノ塩基性を損なわない限り、構造中でガリウム(アルミニウム)に対する他の元素の組成を変更できる。(前記の式は窒化物の組成を示すことのみを意図しており、相対量を示す意図はない)
【0046】
ガリウム又はアルミニウム含有窒化物のバルク単結晶とはガリウムまたはアルミニウム含有窒化物からなる単結晶基板であり、基板上にはオプトエレクトロニクス機器を形成できる。例:MOCVD法またはHVPE法といったエピタキシャル成長法により形成した発光ダイオード(LED)またはレーザダイオード(LD)
【0047】
C、A、M面とは、XIII族元素の窒化物結晶の六方晶系のC、A、M面の表面である。
【0048】
ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の前駆物質とは、基板または少なくともガリウム(アルミニウム)を含有する混合物であり、該前駆物質はアルカリ金属、XIII族元素(IUPAC, 1989)、窒素および/または水素、および金属ガリウム、合金または金属化合物、水素化物、アミド類、イミド類、アミド−イミド類およびアジド類をさらに含有してもよく、これらは下記で定義する超臨界アンモニア含有溶媒に溶解するガリウム化合物を形成可能である。
【0049】
ガリウム又はアルミニウム含有フィードストックとは、ガリウム又はアルミニウム含有窒化物あるいはその前駆物質をいう。フィードストックは、例えばフラックス法、HNP法、HVPE法で得られるGaN(AlN)や、超臨界アンモニア溶媒中の化学反応の結果として金属ガリウム(アルミニウム)から、その場で得られる多結晶GaN(AlN)の形にすることができる。
【0050】
超臨界アンモニア含有溶媒とは、少なくともアンモニアを含み、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物フィードストックを溶解させるための1種または複数のアルカリ金属イオンを含有する。また、超臨界アンモニア含有溶媒はアンモニアおよび/または混合物の誘導体、特にヒドラジンを含有してもよい。
【0051】
ミネラライザーとは、ガリウム又はアルミニウム含有窒化物の溶解を支持している1種または複数種類のアルカリ金属イオンを、超臨界アンモニア含有溶媒に供給するものをいう。
【0052】
超臨界溶液のアンモノ塩基性を損ねる原因となる酸素を含まない化学物質は下記からなる群より選択される:
a)化合物AmBn:AがH+および/または金属、好ましくはアルカリ、NH4、Si、S、Pであり、Bがハロゲン、S、P、ならびにnとmが1以上の化学量論係数に相当する。
b)化学種のグループ:
−S4N4,S2N2,SN,S4N2,S11N2,P3N5、P4N6,PN
−PN2−,PN34−,PC47−,PN−,PN2−
−PNC12,P(NH)2NH2,P4S10,NP(SNH4)2,NPSNH4SH,NP(SH)2,PNS
ガリウム含有窒化物の結晶格子で形成される硫黄またはシリコン種をドナーとして機能させ;マグネシウム、亜鉛またはカドミウムをアクセプターとし;窒化ガリウム結晶格子において、マンガンまたはクロムといった添加物が磁性特性を付与し;蛍光体原子が窒素原子に対して等電子となり、エネルギーギャップは純粋なガリウム含有窒化物でのエネルギーギャップより狭くなる。これらの化学種は超臨界溶媒のアンモノ塩基性を損い、ガリウム含有窒化物の光学的、電気的、磁性的特性を変化させる。
【0053】
ガリウム含有フィードストックの溶解とは、超臨界溶媒に可溶なガリウム化合物、例えばガリウム錯体化合物を、フィードストックを介して形成する可逆的又は非可逆的工程である。ガリウム錯体化合物は化学的な錯体化合物であり、中心に位置するガリウム原子をNH型の配位子又はその誘導体NH、NH2−のような配位子で取り囲んでいる。
アルミニウム含有フィードストックの溶解にも、類似の定義が適用される。
【0054】
超臨界アンモニア含有溶液とは、超臨界アンモニア含有溶媒にガリウム又はアルミニウム含有のフィードストックを溶解して得られた溶液を意味する。
【0055】
溶解度:我々は実験により、十分な高温高圧で、ガリウム又はアルミニウム含有窒化物の固体と超臨界溶液との間に平衡関係が存在するのを見出した。したがって、ガリウム又はアルミニウム含有窒化物の溶解度は、上記のガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の溶解工程で形成した溶解性ガリウム(アルミニウム)化合物の平衡濃度と定義することができる。かかる工程では、この平衡濃度、例えば溶解度は、溶媒の組成、温度および/または圧力の変化により制御することができる。
【0056】
溶解度の負の温度係数(負のTCS)とは、他の全てのパラメータを保持したとき、それぞれの化合物の溶解度が温度の減少関数(monotonically decreasing function)で表されることを意味する。同様に、溶解度の正の圧力係数(正のPCS)とは、他の全てのパラメータを保持したとき、溶解度が圧力の増加関数で表されることを意味する。我々の研究では、超臨界アンモニア含有溶媒中のガリウム又はアルミニウム含有窒化物の溶解度は、少なくとも300℃から550℃に渡る温度領域、そして100から550MPaの圧力範囲で、負の温度係数および正の圧力係数を有することを見出した。したがって、例えば、図1に示すように、8日間オートクレーブ内の温度を400℃に保持してフィードストックをオートクレーブ中で溶解させた(溶解工程)後、200MPaの一定圧力に維持してオートクレーブ内の温度を500℃に上昇することにより、窒化ガリウムを再結晶化させることができる(結晶化工程)。また、図2に示すように、オートクレーブ内の圧力を2日間、350MPaに上昇してフィードストックを溶解させた(溶解工程)後、オートクレーブ内の圧力を200MPaに下げてオートクレーブ内の温度を500℃として、溶解した窒化ガリウムを再結晶化させることができる(結晶化工程)。
【0057】
過飽和:特定の物理化学的条件下で、超臨界アンモニア含有溶液中の可溶ガリウム(アルミニウム)化合物の濃度がガリウム又はアルミニウム窒化物の溶解度より高いとき、それらの条件におけるガリウム又はアルミニウム含有窒化物に対する超臨界アンモニア溶液の過飽和とは、実際の濃度と溶解度との差として定義できる。閉鎖系内のガリウム又はアルミニウム含有窒化物の溶解の場合、過飽和状態は、例えば温度の上昇または圧力の低下により達成できる。
【0058】
超臨界アンモニア含有溶液におけるガリウム又はアルミニウム含有窒化物の化学輸送とは、過飽和超臨界溶液からのガリウム又はアルミニウム含有窒化物の結晶化のみならず、ガリウム又はアルミニウム含有フィードストックの超臨界溶液中での溶解や、超臨界溶液を介しての可溶性ガリウム化合物の移動をも含んだ連続工程をいう。一般に化学輸送工程は、溶解したフィードストックと結晶化した生成物との温度差、圧力差、濃度差、又はそれ以外の化学的又は物理的に異なる性質により生じさせることができる。本件発明の工程により、温度差の条件下での化学輸送の結果としてガリウム又はアルミニウム含有窒化物のバルク単結晶を得ることができるが、結晶化領域を溶解領域より高い温度に維持することが必要である。本件発明によれば、化学輸送は、対流によって起こるのが好ましい。
【0059】
シードとは本件明細書の中で例示してあるように、本件発明の工程により、所望のガリウム又はアルミニウム含有窒化物のバルク単結晶を得るのに重要である。シードの品質が本発明の方法で形成したガリウムまたはアルミニウム含有窒化物バルク単結晶の品質にとって重要であることから、本方法のために選択するシードは可能な限り高品質にすべきである。変更可能な面を有する種々の構造またはウエハも用いられる。例えば、第1基板上に配置され、窒化物結晶の横方向成長に影響を与える、互いに適切なスペースをおいた面をシードとして用いてもよい。また、例えばSiをドープしてn型導電性を示すホモエピタキシャル面を有するシードを利用することもできる。このようなシードは、HVPE又はMOCVDや他のMBE等により、気相からガリウム含有窒化物結晶を成長させる工程を用いて生成することができる。成長工程中にSiを1016〜1021/cmドープしてn型導電性をもたせた。さらに、複合シードを使用可能であり、複合シードでは、第1基板または、例えばAlN−SiをドープしたGaNで形成した層−で形成したバッファ層に直接積層してもよい。さらに、将来的な使用法として、本発明の方法により、バルク単結晶をホモシード上に積層できる。ホモシードは、各窒化物のC面、A面またはM面といった特定のXIII族元素である窒素の六方晶ウルツ(wurzite)型結晶的格子に対して方向付けられる。
【0060】
過飽和の超臨界アンモニア溶液からの自発成長(Spontaneous crystallization)とは、シード表面を除くオートクレーブ内で、いずれのサイトにも起こる、ガリウム又はアルミニウム含有窒化物の望ましくない核形成及び成長の工程を意味している。シード表面への結晶であって、シードとは異なる方向への結晶成長も定義に含む。
【0061】
シードへの選択的結晶析出(Selective crystallization)とは、自発的成長がない、または自発成長が無視できる程度に発生する場合、結晶化がシード上で行われる工程である。バルク単結晶を得るには欠かせない工程であり、同時に本件発明方法の要素の1つでもある。
【0062】
反応温度及び圧力:本明細書の実施例では、オートクレーブ内の温度分布は超臨界アンモニア含有溶液の存在しない、空のオートクレーブで測定したものである。よって、超臨界状態で行った工程の実際の温度ではない。圧力は、直接測定を行ったか、本方法において想定される温度およびオートクレーブの容積といったアンモニア含有溶媒の物理化学的データに基づいて計算した。
【0063】
MOCVD法(有機金属化学気相成長法)は気相からエピタキシャル層を積層する方法で、ガリウム窒化物の場合、アンモニア及び有機金属ガリウム化合物を基板として用いる。
【0064】
HVPE法(ハイドライド気相エピタキシャル成長法)は気相からエピタキシャル層を積層する方法で、窒化物の場合、金属ハロゲン化合物およびアンモニアを試薬として用いる。
【0065】
オートクレーブとは、閉鎖系高圧反応器の意味であり、本発明によるアンモノ塩基性工程を行う反応室を有している。
本発明の方法を行うにあたり、図3および図4に示す装置を用いるのが好ましい。詳細を以下に示す。
上記の方法および装置により、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物バルク単結晶を形成できる。バルク単結晶は低い欠陥密度を示す(バルクGaNの場合:10/cm)バルク単結晶GaNは内径が1インチ以上、同時に、3mm以上(好ましくは5mm)の厚さを有することが重要である。単結晶をワイヤーソーでウエハに切断し、0.5mm厚のバルク単結晶基板を得る。バルク単結晶基板を後にシードとして用いることができる。n型導電性を改良するためには、気相成長中にSiをドープすることによりn型キャリア濃度を増加させるのが好ましい。ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を気相成長を用いて積層すれば、超臨界アンモニア中で形成するガリウムまたはアルミニウム含有窒化物がAlGa1−xN(0≦x<1)を有するか、GaN上に積層したバルク単結晶AlGa1−xN(0≦x<1)を用いるのが好ましい。ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の気相成長中にSiをドープすることにより、n型導電性を有するAlGa1−x−yInN、(0≦x≦1、0≦y<1、0≦x+y≦1)を形成でき、それを超臨界アンモニア中で、気相成長条件下でガリウムまたはアルミニウム含有窒化物上に結晶化させるので、高い結晶性及び10/cm以下の欠陥密度を有するテンプレート型基板の形成に使用することができる。
【0066】
[本発明の好ましい実施様態]
本発明の方法においては、フィードストックの溶解工程と、超臨界溶液をより高温および/またはより低圧に輸送する工程とを分離でき、シードの表面にガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の結晶化が生じる。さらに、該方法は、オートクレーブ中の異なる温度を有する少なくとも2つの領域を同時に形成する工程をそなえ、ガリウムまたはアルミニウム含有フィードストックをより低温の溶解領域に、シードをより高温の結晶化領域に配置する。溶解領域と結晶化領域間の温度差は1℃以上となるように制御し、超臨界溶液内での対流による化学輸送を確保する。超臨界アンモニア内で形成したガリウムまたはアルミニウム含有窒化物は、AlGa1−xN、(0≦x<1)であり、ドナー型、アクセプター型、または磁気型の添加物を含有してもよく、一方、気相成長で形成したガリウムまたはアルミニウム含有窒化物は、AlGa1−x−yInN、(0≦x≦1、0≦y<1、0≦x+y≦1)である。
アルカリ金属イオンおよび/またはその誘導体を含んだアンモニアは超臨界溶媒として機能できる。フィードストックは主として、アジド類、イミド類、アミド−イミド類、アミド類、水素化物、金属間化合物およびガリウムまたはアルミニウム含有合金からなる群から選択されたガリウムまたはアルミニウム含有窒化物またはその前駆体と同様に、金属ガリウムからなる。シードは少なくともガリウムまたはアルミニウム含有窒化物または第XIII族(IUPAC, 1989)の他の元素の結晶層を備える。
【0067】
ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の結晶化は100から800℃の温度で、また10から1000MPaの圧力で生じ、一方、フィードストックおよびガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の適切な溶解度を確保できるように超臨界溶媒中でのアルカリ金属イオンの濃度を制御する。超臨界溶媒中で他の化学種に対するアルカリ金属イオンのモル比を1:200から1:2の範囲で制御する。
【0068】
計測によれば、最良のGaNバルク単結晶は10/cm以下の欠陥密度と同時に(0002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅が60arcsec以下であり、
半導体装置の適切な品質と寿命を確保できる。同時に、基板が導電性を有するので、n型パッド電極をその上に積層できる。
【0069】
アルカリ金属あるいはその化合物(KNH等)を投与すれば、GaNは超臨界NHにおいて、良好な溶解度を示す。図5のグラフでは、超臨界溶媒内のGaNの溶解度を400℃と500℃の温度と圧力との関数として示したが、この溶解度をモル比:S≡GaN溶液:(KNH+NH)×100%と定義する。本実施例での溶媒とは、モル比X≡KNH:NHが0.07となるKNHの超臨界アンモニア溶液である。溶解度Sを温度、圧力およびミネラライザーの容量の関数としてS≡S(T,p,x)で表すことが望ましい。Sの微小変化は次の式で表される。
【数1】

ここで、
【数2】

のような部分関数は特殊なパラメータの変化にともなうSの動きを示している。本記述において、上記の関数は係数(coefficients)、例えば、
【数3】

は「溶解度の温度係数」(TCS)とする。
【0070】
図5で示すとおり、溶解度は圧力の増加関数であり、温度の減少関数である。この関係を利用し、溶解度の高い条件で窒化物の溶解を行い、溶解度が低い条件で結晶させることによって、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物バルク単結晶を得ることができる。この負の温度係数は、温度差が生じた場合に、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の化学輸送が低温の溶解領域から高温の結晶化領域へと生じることを意味する。また、他のガリウム化合物も金属ガリウムでもガリウムのアンモニア錯体の供給源として使用できることが明かになった。たとえば、上記の成分からなる溶媒に最も簡素な原料である金属ガリウムを始め、ガリウム錯体を投与できる。次に、加熱などのような条件変化を適切に行い、ガリウムまたはアルミニウム含有窒化物に対して過飽和溶液をつくることによって、シード面に結晶が成長する。本発明は、シード面にガリウムまたはアルミニウム含有窒化物のバルク単結晶の成長を可能にし、GaN結晶からなるシード上にバルク単結晶層として得られるGaNの化学量論的な成長に繋がる。前記の単結晶は、アルカリ金属イオンを含有する超臨界溶液内に成長されるので、得られた単結晶も濃度が0.1ppm以上のアルカリ金属を含む。また、(主として設備の腐食を防ぐ)臨界溶液の塩基性を保持するために、意図的に溶媒にハロゲン物質を投与しないのである。本発明の方法によって、0.05から0.5のGaをAlで置き代えることができる。成分を柔軟に変更できることによって、得られる窒化物の格子定数を調整することが可能である。更に、GaNバルク単結晶に濃度1017〜1021/cmのドナー型添加物(Si, O等)および/またはアクセプター型添加物(Mg, Zn等)および/または磁気型添加物(Mn,Cr等)を導入することができる。上記の添加物によってガリウムまたはアルミニウム含有窒化物の光学・電気・磁気の特性を変えることができる。その他の物理的な特性において、成長されたGaNのバルク単結晶表面の欠陥密度は10/cm以下、好ましくは10/cm以下、より好ましくは10/cm以下である。また、(0002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅は600arcsec以下、好ましくは300arcsec以下、より好ましくは60arcsec以下である。最良のGaNバルク単結晶は、欠陥密度が10/cm以下、(Cu K αに対する)(0002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅が60arcsec以下である。
【0071】
図3および図4はバルク単結晶生産設備を示す。この設備の主な部分は超臨界溶媒を生成するオートクレーブとオートクレーブの中にある超臨界溶液内の化学輸送を可能とする管理装置で構成されている。上記のオートクレーブを加熱装置および/または冷却装置を備えた炉(2台)ユニットの室内に投入し、炉ユニットに対して一定の位置を保つために、ボルトの固定装置で固定する。炉ユニットは炉床に設置され、炉ユニットと炉床の周囲に巻かれたスチールテープで固定される。炉床と炉ユニットを回転台10に設置し、特定の角度でピン固定装置11で固定することによって、オートクレーブ内の対流種類と対流速度を管理することができる。炉ユニットに投入されたオートクレーブ内の超臨界溶液の対流を、結晶化領域14と溶解領域13を区分し、オートクレーブ断面積のおよそ70%超の横型バッフル12で構成される対流管理装置によって設定する。横型バッフル12の位置はオートクレーブの全長のおよそ半分に配置する。オートクレーブ内の両領域の温度を、炉ユニットに設置された制御装置15によって、100℃から800℃の範囲内に設定する。炉ユニットの低温領域に相当するオートクレーブ内の溶解領域13は、横型バッフル12の上位に位置され、その領域13内にフィードストック16を配置する。その充填量は溶解領域の約50%を占めるようにする。フィードストックとしてガリウム(またはアルミニウム)メタルを用いる場合はるつぼ容積が溶解領域の80%以下となるようにする。炉ユニットの高温領域に相当する結晶化領域14は横型バッフル12の下位に位置する。この領域にシード17が配置されるが、その配置の位置を対流の上流と下流が交差する場所の下位に設定し、炉底部やや上方に配置される。上記対流管理装置が位置する領域は、冷却装置を配置する。バッフル12の領域を冷却した結果、上記溶解領域13と結晶化領域14との間に所定の温度差を形成する。上記結晶化領域の底部流域に冷却装置18を配置し、結晶化終了後急速冷却可能とし、結晶成長後炉内の冷却時に結晶が極力溶解しないようにする。
【0072】
形成した窒化ガリウムバルク単結晶は表面欠陥密度が10/cm以下で、(Cu K αに対する)(0002)面からのX線ロッキングカーブの半値幅が60arcsec以下である。該単結晶をワイヤーソーで結晶の主軸に対して0.05から0.2度のオフ角にウエハ状に切り出した後、同条件下で、HVPE法を用いて、100時間、30μm/hの成長率を維持しながら、n型導電性を有する3mmのGaNをウエハに添加できる。
【0073】
形成した5mm幅のGaNバルク単結晶を25時間で0.5mm厚のウエハにワイヤーソーで切断する。この方法で、少なくとも4つの基板を得ることが可能である。高品質結晶とは別に、これらの基板も伝導率を有するので、レーザーダイオードのような半導体を基に製造されたオプトエレクトロニクス機器用の基板として使用できる。
【実施例】
【0074】
内径40mm、長さ480mmの内容積600cmの高圧オートクレーブの溶解領域13に、純度6Nの金属ガリウムからなるフィードストックを53.0g充填した。同オートクレーブの結晶化領域14には、図9に示すとおり、超臨界アンモノ法でA軸方向に成長して得られた(直径約1インチ、質量2.0gの)窒化ガリウムウエハからなるシード結晶を充填した。(シードは、長さ(L)とA面とM面の周囲エッジの両面からA軸方向への成長(W)を有するウエハからなる)
【0075】
ミネラライザーとして純度4Nの金属ナトリウム12.0gと純度4Nの金属カリウム19.5gをオートクレーブに投与する。次にアンモニア(5N)を255.0g投与し、オートクレーブを密閉し、このオートクレーブを炉ユニットに導入する。溶解領域13の温度を450℃(1℃/分、図6)まで上昇させる一方、結晶化領域を加熱せずに250℃以下とする。こうして得られる超臨界アンモニア含有溶液は次に示すモル比:KNH:NH=0.035; NaNH:NH=0.035を有する。この温度配分をオートクレーブ内で4日間維持する(図6)間に、ガリウムの一部が溶解し、多結晶GaNに対して溶解しないガリウムが完全反応を示す。
【0076】
次に、溶解領域の温度を500℃(1℃/分)まで加熱し、結晶化領域の温度を550℃(0.1℃/分、図6)までゆっくり加熱し、オートクレーブ内の圧力を約280MPaとする。この状態(製造方法の第2工程)でオートクレーブを更に20日間放置する(図6)。本方法の結果として、溶解領域でフィードストック(即ち、多結晶GaN)の一部溶解と、結晶化領域のHVPEシード上への窒化ガリウムの結晶化がみられる。窒化ガリウムは単結晶の層をなすシードの両側に合計約2mmの厚さで結晶化した。
【0077】
同様の方法で形成した結晶を基板として用いるために下記の工程を行った:
1)HVPE−GaNシード上に成長した5mmの単結晶の層を、加熱炉内に配置し、1〜5時間、600〜900℃、若干の酸素を含む窒素雰囲気で、アニール処理を行う。
2)次に、タカトリ(株)のワイヤーソーにサンプルを設置する。設置する際にはサンプルに結晶の主軸に適したオフ角を形成するため、1°以下傾けて設置する。その後ワイヤーソーを用いて5枚のウエハに切断し、0.05〜0.2度のオフ角のサンプルを得る。
3)次にサンプルを加熱炉内に設置し、1〜5時間、600〜900℃、若干の酸素を含む窒素雰囲気で、再度アニール処理を行う(以下、これをGaN基板と呼ぶ)。
4)次に、作業台上にGaN基板を載せ、ロジッテック社の研磨機にかけて、片面ずつ研磨する。研磨の行程においてはダイヤモンドツール及びシリカまたはアルミナスラリー溶液(pH3〜6またはpH9〜11)を用い、最終面10オングストローム以下の粗さに仕上げる。
5)その後、HVPE法またはMOCVD法にてGaN基板表面に(1〜数μm厚の)GaNまたはAlGaNの保護層を加え、テンプレート型基板を得る。
6)あるいは、上記保護層を備えるGaN基板上、または同保護層を備えないGaN基板上のいずれかに、3mm厚のGaN層を以下に示す一定条件の下でHVPE法により形成する。上記種々の方法を用いて切断、研磨した後、0.5mm厚のテンプレート型基板が形成され、オプトエレクトロニクス機器に使用される。HVPE条件は以下の通りである:反応温度:1050℃、反応圧力:気圧(0.1Mpa)、アンモニア分圧0.03Mpa、GaCl分圧:100Pa、水素キャリアガス。
7)GaNまたはAlGaNにかわり、SiCまたはZnOからなる別の保護層をGaN基板上に形成でき、さらに3mm厚のGaN層をHVPE法を用いて形成できる。
【0078】
さらに、アンモニア含有溶媒、水または二酸化炭素の超臨界環境下に浸漬、またはガス状水素、窒素またはアンモニアの作用下に付し、窒化物バルク単結晶から不純物を除去する工程を適宜行ってもよい。この場合、洗浄工程で超音波または電子ビーム照射を補助的に用いることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
得られたテンプレート型基板は、MOCVD、MBEおよびHVPEといった気相から形成するエピタキシ基板に非常に有用であり、レーザダイオードや高出力LEDといった良好なオプトエレクトロニクス機器やMOSFETといった良好なエレクトロニクス機器を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明において、p=const.における、時間経過によるオートクレーブ内の温度変化と、溶解工程と結晶化工程の温度変化の関係を表すグラフである。
【図2】図2は、本発明において、T=const.における、時間経過によるオートクレーブ内の圧力変化と、溶解工程および結晶化工程の圧力変化の関係を表すグラフである。
【図3】図3は、本発明で使用するオートクレーブと炉ユニットの縦断面図である。
【図4】図4は、窒化ガリウムバルク単結晶の製造に使用する設備の概要図である。
【図5】図5は、T=400℃とT=500℃において、圧力とカリウムアミド(ミネラライザー:NH=0.07を含む)を含有する超臨界アンモニア中のGaN溶解度の関係を表すグラフである。
【図6】図6は、本実施例における、時間経過によるオートクレーブ内の温度変化を表すグラフである。
【図7】図7(A)および図7(B)は、本発明にかかるテンプレート型基板の第1実施例の概要断面図である。
【図8】図8(A)および図8(B)は、本発明にかかるテンプレート型基板の第2実施例の概要断面図である。
【図9】図9は、A軸方向にシードを成長させる工程を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層を備え、窒化物基板の両主面が実質的にそれぞれ非N極性面とN極性面からなり、基板の欠陥密度が5×10/cm2以下である、オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項2】
窒化物基板の欠陥密度が5×10/cm2以下であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項3】
窒化物基板の欠陥密度が5×10/cm2以下であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項4】
気相エピタキシャル成長法で形成した窒化物の層B)が一般式AlGa1−x−yInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項5】
窒化物の層B)が一般式AlGa1−xN(0≦x≦1)で表されることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項6】
少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A)、MOCVD法またはMBE法で形成される窒化物の層B1)及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層B2)の組み合わせの層B2)の一部から切り出され、100μm以上、好ましくは150μm以上の厚さである基板を有することを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項7】
少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A1)、気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層B)、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A2)、MOCVD法またはMBE法で形成される窒化物の層C1)、及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層C2)の組み合わせの層C2)の一部から切り出され、100μm以上、好ましくは150μm以上の厚さである基板有することを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項8】
基板がドナー添加物としてシリコン(Si)または酸素(O)を含有するガリウム含有窒化物であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項9】
基板アクセプター添加物としてマグネシウム(Mg)または亜鉛(Zn)を含有するガリウム含有窒化物であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項10】
添加物の濃度が1016/cmから1021/cmの範囲であることを特徴とする請求項8または9に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項11】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、
(a)超臨界アンモニア含有溶液からシード上にガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を結晶させて、アルカリ金属(I族元素、IUPAC 1989)の少なくとも1種を含有する窒化物バルク単結晶の層A)を、基板のための膜厚をもたせて形成し、
(b)気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に窒化物の層B)またはC)を形成し、
(c)基板A)から層B)またはC)を切り出し、基板に100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、工程(b)において、(b1)窒化物の層B1)またはC1)を気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に形成し、(b2)窒化物の層B2)またはC2)を気相エピタキシャル成長法により、層B1)またはC1)上に形成し、
(c)基板A)から層B2)またはC2)を切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、(d)層B)、C)、B2)またはC2)のAlまたはGa極性面上に気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層D)を形成する工程をさらに備えることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、(d)層B)、C)、B2)またはC2)のAlまたはGa極性面上に気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層D)を形成し、
(e)基板B)、C)、B2)またはC2)から層D)を切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程をさらに備えることを特徴とする製造方法。
【請求項15】
層B)、B1)、C)またはC1)がMOCVD法により形成され、膜厚が0.1から3μmであることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項16】
層B)、B2)、C)またはC2)の1つの表面を研磨し、気相エピタキシャル成長用の基板を得る工程をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項17】
水素を含有しない空気中で、約600℃から1050℃の温度で基板B)、B2)、C)またはC2)をアニーリング処理し、アニーリング処理前よりもより良好な結晶性を有する材料を製造する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11から16のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項18】
アニーリング工程を10から30Vol.%の酸素を添加した不活性ガスの空気中で行うことを特徴とする請求項17に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項19】
不純物(水素および/またはアンモニアまたは結晶および/またはアニーリング処理中に生じた不純物から形成されたイオン)が望ましいレベルに達するまで、アニーリング工程を単一工程または複数の工程で行うことを特徴とする請求項17に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項20】
アンモニア含有溶媒、水または二酸化炭素の超臨界環境下に浸漬、またはガス状水素、窒素またはアンモニアの作用下に付し、窒化物バルク単結晶から不純物を除去する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11から19のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項21】
洗浄工程で超音波または電子ビーム照射を補助的に用いることを特徴とする請求項20に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層を備え、窒化物基板の両主面が実質的にそれぞれ非N極性面とN極性面からなり、基板の欠陥密度が5×10/cm2以下である、オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項2】
前記窒化物基板の直径は1インチ以上であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項3】
窒化物基板の欠陥密度が10/cm2以下、より好ましくは10/cm2以下であることを特徴とする請求項2記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項4】
気相エピタキシャル成長法で形成した窒化物の層B)が一般式AlGa1−x−yInN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項5】
窒化物の層B)が一般式AlGa1−xN(0≦x≦1)で表されることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項6】
少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A)、MOCVD法またはMBE法で形成される窒化物の層B1)及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層B2)の組み合わせの層B2)の一部から切り出され、100μm以上、好ましくは150μm以上の厚さである基板を有することを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項7】
少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A1)、気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層B)、少なくとも1種のアルカリ金属(族番号I、IUPAC1989)を含有する窒化物バルク単結晶の層A2)、MOCVD法またはMBE法で形成される窒化物の層C1)、及びHVPE法で形成されるガリウム含有窒化物の層C2)の組み合わせの層C2)の一部から切り出され、100μm以上、好ましくは150μm以上の厚さである基板有することを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項8】
基板がドナー添加物としてシリコン(Si)または酸素(O)を含有するガリウム含有窒化物であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項9】
基板アクセプター添加物としてマグネシウム(Mg)または亜鉛(Zn)を含有するガリウム含有窒化物であることを特徴とする請求項1記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項10】
添加物の濃度が1016/cmから1021/cmの範囲であることを特徴とする請求項8または9に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器用の基板。
【請求項11】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、
(a)超臨界アンモニア含有溶液からシード上にガリウムまたはアルミニウム含有窒化物を結晶させて、アルカリ金属(I族元素、IUPAC 1989)の少なくとも1種を含有する窒化物バルク単結晶の層A)を、基板のための膜厚をもたせて形成し、
(b)気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に窒化物の層B)またはC)を形成し、
(c)基板A)から層B)またはC)を切り出し、基板に100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、工程(b)において、(b1)窒化物の層B1)またはC1)を気相エピタキシャル成長法により、層A)のAlまたはGa極性面上に形成し、(b2)窒化物の層B2)またはC2)を気相エピタキシャル成長法により、層B1)またはC1)上に形成し、
(c)基板A)から層B2)またはC2)を切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程を備えることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、(d)層B)、C)、B2)またはC2)のAlまたはGa極性面上に気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層D)を形成する工程をさらに備えることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
オプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法であって、(d)層B)、C)、B2)またはC2)のAlまたはGa極性面上に気相エピタキシャル成長法により形成した窒化物の層D)を形成し、
(e)基板B)、C)、B2)またはC2)から層D)を切り出し、100μm以上の膜厚をもたせ、主面が実質的にAlまたはGa極性面を有する基板を形成する工程をさらに備えることを特徴とする製造方法。
【請求項15】
層B)、B1)、C)またはC1)がMOCVD法により形成され、膜厚が0.1から3μmであることを特徴とする請求項11から14のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項16】
層B)、B2)、C)またはC2)の1つの表面を研磨し、気相エピタキシャル成長用の基板を得る工程をさらに備えることを特徴とする請求項15に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項17】
水素を含有しない空気中で、約600℃から1050℃の温度で基板B)、B2)、C)またはC2)をアニーリング処理し、アニーリング処理前よりもより良好な結晶性を有する材料を製造する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11から16のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項18】
アニーリング工程を10から30Vol.%の酸素を添加した不活性ガスの空気中で行うことを特徴とする請求項17に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項19】
不純物(水素および/またはアンモニアまたは結晶および/またはアニーリング処理中に生じた不純物から形成されたイオン)が望ましいレベルに達するまで、アニーリング工程を単一工程または複数の工程で行うことを特徴とする請求項17に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項20】
アンモニア含有溶媒、水または二酸化炭素の超臨界環境下に浸漬、またはガス状水素、窒素またはアンモニアの作用下に付し、窒化物バルク単結晶から不純物を除去する工程をさらに備えることを特徴とする請求項11から19のいずれかに記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。
【請求項21】
洗浄工程で超音波または電子ビーム照射を補助的に用いることを特徴とする請求項20に記載のオプトエレクトロニクスまたはエレクトロニクス機器のための基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−509710(P2006−509710A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558483(P2004−558483)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015906
【国際公開番号】WO2004/053210
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(502177901)アンモノ・スプウカ・ジ・オグラニチョノン・オドポヴィエドニアウノシツィオン (12)
【氏名又は名称原語表記】AMMONO Sp.zo.o.
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】