説明

エンジンのフューエルカット制御装置

【課題】フューエルカット復帰回転速度をできるだけ低回転として燃費の悪化を抑制しつつ、ロックアップクラッチのスリップ制御中の急停止時にエンジンのフリクションやロックアップクラッチの摩擦材のばらつきに起因してエンジンストールが発生することを防止する。
【解決手段】ロックアップクラッチのスリップ制御中の急停止時に、エンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがあるか否かを判断し(S5)、エンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為された場合には、フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを高めるように学習補正を行う(S6)。これにより、エンジンのフリクションやロックアップクラッチの摩擦材のばらつき等の個体差に拘らず、エンジンストールが発生しない範囲でできるだけ低回転のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが設定されるようになり、燃費の悪化が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンのフューエルカット制御装置に係り、特に、ロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が為された場合にエンジンストールが発生することを防止しつつできるだけ低回転までフューエルカットを行うフューエルカット制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(a) ロックアップクラッチを備えた流体伝動装置を介して自動変速機が連結されるエンジンに関し、(b) 減速時で且つエンジン回転速度がフューエルカット復帰回転速度以上であることを条件として前記エンジンの燃料供給を停止するフューエルカットを行い、そのエンジン回転速度がそのフューエルカット復帰回転速度よりも低下すると前記エンジンの燃料供給を再開するエンジンのフューエルカット制御装置が知られている。特許文献1に記載の装置はその一例で、減速時にロックアップクラッチをスリップ制御することにより、エンジン回転速度の低下を抑制してフューエルカット領域(車速範囲)を拡大し、以て燃費向上を図るようになっている。また、エンジン回転速度がフューエルカット復帰回転速度を下回ると、エンジンへの燃料供給が再開されることによりエンジンストールが防止されるが、フューエルカット復帰回転速度は補機の負荷状態など車両状態に応じて可変とされ、これにより燃費向上とエンジンストール防止との両立を図るようになっている。
【特許文献1】特開2005−98522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のロックアップクラッチのスリップ制御中に急制動が為されると、エンジンストールが発生し易い。このため、その場合にはフューエルカット復帰回転速度を高め、エンジンストールが生じないようにすることが考えられる。但し、フューエルカット復帰回転速度を高くすると燃費の悪化を招くことから、フューエルカット復帰回転速度はエンジンストールを招かない範囲で極力低く設定することが望ましい。しかしながら、燃費向上のためにフューエルカット復帰回転速度を極力低く設定すると、エンジンのフリクションやロックアップクラッチの摩擦材のばらつきにより、エンジンストールが発生するという問題があった。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、フューエルカット復帰回転速度をできるだけ低回転として燃費の悪化を抑制しつつ、ロックアップクラッチのスリップ制御中の急停止時にエンジンのフリクションやロックアップクラッチの摩擦材のばらつきに起因してエンジンストールが発生することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) ロックアップクラッチを備えた流体伝動装置を介して自動変速機が連結されるエンジンに関し、(b) 減速時で且つエンジン回転速度がフューエルカット復帰回転速度以上であることを条件として前記エンジンの燃料供給を停止するフューエルカットを行い、そのエンジン回転速度がそのフューエルカット復帰回転速度よりも低下すると前記エンジンの燃料供給を再開するエンジンのフューエルカット制御装置において、(c) 前記ロックアップクラッチのスリップ制御中に車両が急停止されるロックアップON急停止時であるか否かを判定する急停止判定手段と、(d) その急停止判定手段により前記ロックアップON急停止時である旨の判定が為された時に、前記エンジンにエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがあるか否かを判断するエンジンストール判断手段と、(e) そのエンジンストール判断手段により前記エンジンにエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為された時には、前記フューエルカット復帰回転速度を高めるように学習補正する学習手段と、を有することを特徴とする。
【0006】
第2発明は、第1発明のエンジンのフューエルカット制御装置において、(a) 前記フューエルカット復帰回転速度は、前記流体伝動装置の油温領域毎に設定されており、(b) 前記学習手段は、前記フューエルカット復帰回転速度を前記油温領域毎に学習補正することを特徴とする。
【0007】
第3発明は、第1発明または第2発明のエンジンのフューエルカット制御装置において、前記急停止判定手段は、少なくとも前記自動変速機の入力軸回転速度の低下率が所定値以上、または前記エンジン回転速度の低下率が所定値以上であることを条件として、前記ロックアップON急停止時である旨の判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このようなエンジンのフューエルカット制御装置においては、ロックアップクラッチのスリップ制御中の急停止時にエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為されると、フューエルカット復帰回転速度を高めるように学習補正が行われるため、エンジンのフリクションやロックアップクラッチの摩擦材のばらつき等の個体差に拘らず、エンジンストールが発生しない範囲でできるだけ低回転のフューエルカット復帰回転速度が設定されるようになり、燃費の悪化が抑制される。
【0009】
一方、エンジンストールの発生のし易さは流体伝動装置の油温によって異なり、油温が低い場合には流体の粘性が高くなってエンジン回転速度が上がり難くなるため、エンジンストールが発生し易くなる。その場合に、油温と関係なくフューエルカット復帰回転速度を学習補正すると、粘性が低くてエンジンストールが発生し難い高油温時のフューエルカット復帰回転速度も高くなるため、必要以上に高回転から燃料供給が再開されるようになり、燃費が悪化する。これに対し、第2発明では油温領域毎にフューエルカット復帰回転速度を学習補正するため、エンジンストールが発生し易い低油温領域だけフューエルカット復帰回転速度が高くされ、より好適にエンジンストールの発生防止と燃費悪化の抑制との両立を図ることができる。
【0010】
第3発明では、エンジンストールの発生と密接に関係する入力軸回転速度或いはエンジン回転速度の低下率を考慮してロックアップON急停止時か否かの判定が行われるため、急停止に起因してエンジンストールが発生し或いは発生する恐れがある場合に、フューエルカット復帰回転速度を適切に学習補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、走行用駆動力源として少なくとも燃料の燃焼で動力を発生するエンジンを備えているが、エンジンの他に電動モータなどの他の動力源を備えているハイブリッド車両などにも適用され得る。
【0012】
エンジンは、フューエルカット手段によって燃料供給を自動的に停止できる燃料噴射装置等を備えて構成される。吸入空気量を調節するスロットル弁については、電気的に開閉制御可能な電子スロットル弁が好適に用いられるが、運転者のアクセル操作(出力要求)に伴って機械的に開閉されるスロットル弁を有するものでも良い。
【0013】
フューエルカットは、エンジン回転速度が所定値以上であることを条件としてフューエルカットを行い、所定値は例えばフューエルカット復帰回転速度で、そのフューエルカット復帰回転速度を下回った場合にはフューエルカットが停止させられるが、フューエルカットの開始条件としては、フューエルカット復帰回転速度と異なる回転速度が定められても良い。フューエルカット復帰回転速度は、燃料供給が再開されることにより直ちにエンジンが起動(自力回転)できる回転速度で、例えば第2発明のように流体伝動装置の油温領域をパラメータとして定められ、油温が低い程復帰回転速度を高くすることが望ましいが、更にエアコン等の補機類の作動に伴うエンジン負荷の変化を考慮して設定されるようにすることもできるなど、種々の態様が可能である。
【0014】
自動変速機としては、例えば遊星歯車式や平行軸式等の有段の自動変速機の他、ベルト式等の無段変速機を採用することもできるが、駆動輪側からの逆入力がロックアップクラッチを介してエンジン側へ伝達され、そのエンジンを回転駆動するように構成される。また、前進、後退を切り換える前後進切換用の自動変速機であっても良いなど、種々の態様が可能である。
【0015】
上記自動変速機は、例えば車速およびスロットル弁開度等の運転状態をパラメータとして複数の前進変速段が自動的に切り換えられるように構成されるが、スロットル弁が全閉のコースト減速時のダウンシフトについては、例えばフューエルカットが継続されるように各前進ギヤ段毎にコーストダウン車速が設定される。具体的には、エンジン回転速度がフューエルカット復帰回転速度に達する前にダウンシフトが行われ、そのダウンシフトに伴ってエンジン回転速度が上昇させられるように、そのフューエルカット復帰回転速度および各前進ギヤ段の変速比に応じて設定すれば良い。
【0016】
流体伝動装置としては、トルク増幅作用を有するトルクコンバータが好適に用いられるが、流体継手などの他の流体伝動装置を採用することもできる。ロックアップクラッチは、流体伝動装置の入力側と出力側とを直結するもので、その流体の差圧によって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置が好適に用いられるが、電磁式等の摩擦係合装置を流体伝動装置と並列に配置したものなど種々の態様が可能である。
【0017】
ロックアップクラッチは、スロットル弁が全閉のコースト減速時には、エンジン回転速度の低下を抑制してフューエルカット領域(車速範囲)を拡大するためにスリップ制御される。スリップ制御は、例えば目標スリップ量となるように係合トルク、例えば係合側および解放側の油圧差などがフィードバック制御される。
【0018】
急停止判定手段は、例えば第3発明のように入力軸回転速度やエンジン回転速度の低下率を考慮してロックアップON急停止時か否かの判定が行われるように構成されるが、ブレーキ油圧が所定値以上か否か、ブレーキ油圧の増加率が所定値以上か否か、或いは車速の低下率が所定値以上か否か、等によって判定することもできるなど、種々の態様が可能である。
【0019】
本発明のフューエルカット制御装置は、例えば前記急停止判定手段により前記ロックアップON急停止時である旨の判定が為された時には、通常減速時の場合よりも高回転の急停止時用のフューエルカット復帰回転速度に切り換えるフューエルカット復帰回転速度設定手段を有して構成される。その場合、前記学習手段は、その急停止時用のフューエルカット復帰回転速度を学習補正するように構成される。フューエルカット復帰回転速度の切り換えは、例えば複数のマップが用いられるが、単一の基本マップを用いて、必要に応じて補正するようにしても良い。なお、急停止時か否かに拘らず、共通のフューエルカット復帰回転速度マップ等を用いて、油温等をパラメータとして定められた同一のフューエルカット復帰回転速度が設定されるようになっていても良い。
【0020】
エンジンストール判断手段は、例えば急停止時におけるエンジン回転速度の最小値を検出し、その最小値が予め定められた所定値以下か否かにより、エンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがあったか否かの判断を行うことができる。
【0021】
学習手段は、一定の条件下でフューエルカット復帰回転速度を高めるように学習補正を行うもので、フューエルカット復帰回転速度の初期値としては、例えばエンジンの個体差(ばらつき)を考慮して、最もエンジンストールが生じ難いエンジンを基準にして設定することが燃費向上の上で望ましいが、平均的なエンジンを基準にして設定するようにしても良い。また、例えばロックアップON急停止時でもエンジンストールが発生しない状態が所定回数以上継続した場合には、フューエルカット復帰回転速度を少しずつ低下させるように学習補正を行うようにすることも可能で、その場合には比較的高い回転速度を初期値として設定することもできる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の車両用駆動装置の骨子図であり、ガソリンエンジン等の内燃機関によって構成されているエンジン10の出力は、トルクコンバータ12、自動変速機14、差動歯車装置16等の動力伝達装置を経て図示しない駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。トルクコンバータ12は、エンジン10のクランク軸18に連結されているポンプ翼車20と、自動変速機14の入力軸22に連結されたタービン翼車24と、一方向クラッチ26を介して非回転部材であるハウジング28に固定されたステータ30とを備えており、ポンプ翼車20とタービン翼車24との間で流体を介して動力伝達を行うとともに、ポンプ翼車20およびタービン翼車24の間を直結するためのロックアップクラッチ32を備えている。ロックアップクラッチ32は、係合側油室32a内の油圧と解放側油室32b内の油圧との差圧ΔPにより摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチで、完全係合させられることにより、ポンプ翼車20およびタービン翼車24は一体回転させられる。また、所定のスリップ状態で係合するように差圧ΔPすなわち係合トルクがフィードバック制御されることにより、駆動時には例えば50rpm程度の所定のスリップ量でタービン翼車24をポンプ翼車20に対して追従回転させる一方、逆入力(被駆動)時には例えば−50rpm程度の所定のスリップ量でポンプ翼車20をタービン翼車24に対して追従回転させることができる。ポンプ翼車20にはギヤポンプ等の機械式のオイルポンプ21が連結されており、エンジン10によりポンプ翼車20と共に回転駆動されて変速用や潤滑用などの油圧を発生するようになっている。上記エンジン10は車両走行用の駆動力源であり、トルクコンバータ12は流体伝動装置である。
【0023】
自動変速機14は、入力軸22上に同軸に配設されるとともにキャリアとリングギヤとがそれぞれ相互に連結されることにより所謂CR−CR結合の遊星歯車機構を構成するシングルピニオン型の一対の第1遊星歯車装置40および第2遊星歯車装置42と、前記入力軸22と平行なカウンタ軸44上に同軸に配置された1組の第3遊星歯車装置46と、そのカウンタ軸44の軸端に固定されて差動歯車装置16と噛み合う出力ギヤ48とを備えている。上記遊星歯車装置40,42,46の各構成要素すなわちサンギヤ、リングギヤ、それらに噛み合う遊星ギヤを回転可能に支持するキャリアは、4つのクラッチC0、C1、C2、C3によって互いに選択的に連結され、或いは3つのブレーキB1、B2、B3によって非回転部材であるハウジング28に選択的に連結されるようになっている。また、2つの一方向クラッチF1、F2によってその回転方向により相互に若しくはハウジング28と係合させられるようになっている。なお、差動歯車装置16は軸線(車軸)に対して対称的に構成されているため、下側を省略して示してある。
【0024】
上記入力軸22と同軸上に配置された一対の第1遊星歯車装置40,第2遊星歯車装置42、クラッチC0、C1、C2、ブレーキB1、B2、および一方向クラッチF1により前進4段、後進1段の主変速部MGが構成され、上記カウンタ軸44上に配置された1組の遊星歯車装置46、クラッチC3、ブレーキB3、一方向クラッチF2によって副変速部すなわちアンダードライブ部U/Dが構成されている。主変速部MGにおいては、入力軸22はクラッチC0、C1、C2を介して第2遊星歯車装置42のキャリアK2、第1遊星歯車装置40のサンギヤS1、第2遊星歯車装置42のサンギヤS2にそれぞれ連結されている。第1遊星歯車装置40のリングギヤR1と第2遊星歯車装置42のキャリアK2との間、第2遊星歯車装置42のリングギヤR2と第1遊星歯車装置40のキャリアK1との間はそれぞれ連結されており、第2遊星歯車装置42のサンギヤS2はブレーキB1を介して非回転部材であるハウジング28に連結され、第1遊星歯車装置40のリングギヤR1はブレーキB2を介して非回転部材であるハウジング28に連結されている。また、第2遊星歯車装置42のキャリアK2と非回転部材であるハウジング28との間には、一方向クラッチF1が設けられている。そして、第1遊星歯車装置40のキャリアK1に固定された第1カウンタギヤG1と第3遊星歯車装置46のリングギヤR3に固定された第2カウンタギヤG2とは相互に噛み合わされている。アンダードライブ部U/Dにおいては、第3遊星歯車装置46のキャリアK3とサンギヤS3とがクラッチC3を介して相互に連結され、そのサンギヤS3と非回転部材であるハウジング28との間には、ブレーキB3と一方向クラッチF2とが並列に設けられている。
【0025】
上記クラッチC0、C1、C2、C3およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやバンドブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、油圧制御回路98(図3参照)のソレノイド弁S4、SRやリニアソレノイド弁SL1、SL2、SL3、SLT、SLU等の励磁、非励磁や図示しないマニュアルバルブによって油圧回路が切り換えられることにより、例えば図2に示すように係合、解放状態が切り換えられ、シフトレバー72(図3参照)の操作位置(ポジション)に応じて前進5段、後進1段、ニュートラルギヤ段の各ギヤ段が成立させられる。図2の「1st」〜「5th」は前進の第1速ギヤ段〜第5速ギヤ段を意味しており、「○」は係合、「×」は解放、「△」は駆動時のみ係合を意味している。
【0026】
シフトレバー72は、例えば図4に示すシフトパターンに従って駐車ポジション「P」、後進走行ポジション「R」、ニュートラルポジション「N」、前進走行ポジション「D」、「4」、「3」、「2」、「L」へ操作されるようになっており、「P」および「N」ポジションでは動力伝達を遮断する非駆動ギヤ段としてニュートラルギヤ段が成立させられるが、「P」ポジションでは図示しないメカニカルパーキング機構によって機械的に駆動輪の回転が阻止される。また、「D」等の前進走行ポジションまたは「R」ポジションで成立させられる前進5段、後進1段の各ギヤ段は駆動ギヤ段に相当する。
【0027】
図3は、図1のエンジン10や自動変速機14などを制御するために車両に設けられた制御系統を説明するブロック線図で、アクセルペダル50の操作量(アクセル開度)Accがアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるもので、アクセル操作部材に相当し、アクセルペダル操作量Accは出力要求量に相当する。また、エンジン10の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によって開度θTHが変化させられる電子スロットル弁56が設けられている。この他、エンジン10の回転速度NEを検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン10の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、吸入空気の温度TA を検出するための吸入空気温度センサ62、上記電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットルセンサ64、車速Vに対応するカウンタ軸44の回転速度(出力軸回転速度に相当)NOUT を検出するための車速センサ66、エンジン10の冷却水温TW を検出するための冷却水温センサ68、フットブレーキ操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ70、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、タービン回転速度NT(=入力軸回転速度NIN)を検出するためのタービン回転速度センサ76、トルクコンバータ12や油圧制御回路98内の作動油の温度であるAT油温TOIL を検出するためのAT油温センサ78、第1カウンタギヤG1の回転速度NCを検出するためのカウンタ回転速度センサ80、イグニッションスイッチ82などが設けられており、それらのセンサから、エンジン回転速度NE、吸入空気量Q、吸入空気温度TA 、スロットル弁開度θTH、車速V(出力軸回転速度NOUT )、エンジン冷却水温TW 、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、タービン回転速度NT、AT油温TOIL 、カウンタ回転速度NC、イグニッションスイッチ82の操作位置などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。また、ブレーキマスターシリンダ圧等のブレーキ油圧PBKを検出するブレーキ油圧センサ84から、そのブレーキ油圧PBKを表す信号が供給されるとともに、エアコン等の補機類86から作動の有無や作動状態(負荷)を表す信号が供給されるようになっている。
【0028】
電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン10の出力制御や自動変速機14の変速制御、ロックアップクラッチ32のスリップ制御などを実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用と変速制御用とに分けて構成される。図5は、電子制御装置90の信号処理によって実行される機能を説明するブロック線図で、機能的にエンジン制御手段120、変速制御手段122、ロックアップクラッチ制御手段124を備えている。
【0029】
エンジン制御手段120は、基本的にエンジン10の出力制御を行うもので、スロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射装置92を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置94を制御する。電子スロットル弁56の制御は、例えば図6に示す関係から実際のアクセルペダル操作量Accに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、アクセルペダル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。また、エンジン10の始動時には、スタータ(電動モータ)96によってエンジン10のクランク軸18をクランキングする。
【0030】
上記エンジン制御手段120はフューエルカット手段130を備えており、スロットル弁開度θTHが略0で惰性走行する前進走行のコースト減速時に、エンジン10に対する燃料供給を停止するフューエルカット制御を行うことにより、燃費を向上させるようになっている。このフューエルカット制御は、エンジン回転速度NEが所定のフューエルカット復帰回転速度NEFC以上であることを条件として行われ、フューエルカット復帰回転速度NEFCよりも低下すると、エンジン10に対する燃料供給を再開してエンジン10を作動させる。
【0031】
変速制御手段122は、シフトレバー72のレバーポジションPSHに応じて変速制御を行い、例えば「D」ポジションでは、総ての前進ギヤ段「1st」〜「5th」を用いて変速制御を行うDレンジを成立させる。このDレンジでは、例えば図7に示す予め記憶された変速線図(変速マップ)から実際のスロットル弁開度θTHおよび車速Vに基づいて自動変速機14の変速すべきギヤ段を決定し、その決定されたギヤ段への変速作動を開始させる変速出力を実行するとともに、駆動力変化などの変速ショックが発生したり摩擦材の耐久性が損なわれたりすることがないように、油圧制御回路98のソレノイド弁S4、SRのON(励磁)、OFF(非励磁)を切り換えたり、リニアソレノイド弁SL1〜SL3、SLUの通電量を連続的に変化させたりする。図7の実線はアップシフト線で、破線はダウンシフト線であり、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って、変速比(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT )が大きい低速側のギヤ段に切り換えられるようになっており、図中の「1」〜「5」は第1速ギヤ段「1st」〜第5速ギヤ段「5th」を意味している。
【0032】
また、シフトレバー72が「4」、「3」、「2」、「L」の各レバーポジションへ操作された場合には、最高速段すなわち変速比が小さい高速側の変速範囲が異なる変速レンジ「4」、「3」、「2」、「L」がそれぞれ成立させられる。そして、4レンジでは第1速ギヤ段「1st」〜第4速ギヤ段「4th」で変速制御を行い、3レンジでは第1速ギヤ段「1st」〜第3速ギヤ段「3rd」で変速制御を行い、2レンジでは第1速ギヤ段「1st」および第2速ギヤ段「2nd」で変速制御を行い、Lレンジでは第1速ギヤ段「1st」に固定する。
【0033】
ロックアップクラッチ制御手段124は、基本的には上記変速線図と同様にスロットル弁開度θTHおよび車速Vをパラメータとして予め設定されたロックアップ線図に従って、ロックアップクラッチ32を係合(完全係合)、解放するとともに、一定の領域でスリップ係合させる。また、減速時スリップ制御手段126を備えており、スロットル弁開度θTHが略0で惰性走行する前進走行のコースト減速時に、ロックアップクラッチ32が所定の目標スリップ量SLP(例えば−50rpm程度)で係合させられるように、前記差圧ΔPに関与するリニアソレノイド弁SLUの励磁電流のデューティ比DSLU をフィードバック制御する。このようにロックアップクラッチ32がスリップ係合させられると、駆動輪側からの逆入力がエンジン10側へ伝達され、エンジン回転速度NEがタービン回転速度NT付近まで引き上げられるため、前記フューエルカット手段130によるフューエルカット領域(車速範囲)が拡大されて燃費が一層向上する。この減速時スリップ制御は、エンジン回転速度NEがフューエルカット復帰回転速度NEFC付近に達した場合、或いは車両の急停止判定が為された場合には、エンジンストールを回避するために中止され、ロックアップクラッチ32を解放する。
【0034】
ここで、ロックアップクラッチ32のスリップ制御中に急制動が為されると、車速Vの低下に伴ってエンジン回転速度NEが低下するため、エンジンストールが発生し易くなる。このため、本実施例ではフューエルカット復帰回転速度設定手段132および急停止判定手段134が設けられ、急停止判定手段134により急停止時である旨の判定が為された場合には、フューエルカット復帰回転速度NEFCとして、通常減速時のものよりも高回転の急停止時用のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが設定されるようになっている。エンジン10の作動特性によっても異なるが、通常減速時のフューエルカット復帰回転速度は例えば850rpm程度で、急停止時用のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiは例えば900rpm程度とされる。
【0035】
図9は、急停止時用のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiの設定値(データマップ)の一例で、AT油温TOIL をパラメータとして定められている。これは、エンジンストールの発生のし易さは、トルクコンバータ12のAT油温TOIL によって異なり、AT油温TOIL が低い場合には流体の粘性が高くなってエンジン回転速度NEが上昇し難くなるため、エンジンストールが発生し易くなる。このため、AT油温TOIL が低い領域ではフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが比較的高回転に設定され、AT油温TOIL が高い領域ではフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが比較的低回転に設定されるのである。通常減速時のフューエルカット復帰回転速度についても、AT油温TOIL をパラメータとして設定される。また、エアコン等の補機類86の作動状態によってエンジン負荷が変化し、エンジンストールの発生のし易さが変化するため、その補機類86の作動状態についても考慮して設定することが望ましい。
【0036】
一方、上記急停止時のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiの設定に際しては、これを高くすると燃費の悪化を招くことから、エンジンストールが発生しない範囲で極力低い値に設定することが望ましい。しかしながら、燃費向上のためにフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを極力低く設定すると、エンジン10のフリクションやロックアップクラッチ32の摩擦材のばらつき等により、エンジンストールが発生する場合がある。このため、本実施例では、エンジンストール判断手段136および学習手段138を設け、エンジンストール判断手段136によりエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為された場合には、学習手段138によりフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを高めるように学習補正を行い、エンジンストールが発生し難くなるようにしている。これにより、エンジン10のフリクションやロックアップクラッチ32の摩擦材のばらつき等の個体差に拘らず、エンジンストールが発生しない範囲でできるだけ低回転のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが設定されるようになり、燃費の悪化が抑制される。
【0037】
上記フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiの初期値は、エンジン10やロックアップクラッチ32等の個体差(ばらつき)を考慮して、例えばエンジンストールが最も生じ難い場合を基準にして、最も低回転に設定することが燃費の点で望ましいが、平均的な場合を基準にして初期値を設定し、エンジンストールが生じる場合には高回転側へ学習補正するようにしても良い。フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiのデータは、書き換え可能で且つ電源OFFでも記憶内容を保持できるEEPROM等の記憶装置に記憶される。
【0038】
図8は、上記フューエルカット復帰回転速度設定手段132、急停止判定手段134、エンジンストール判断手段136、および学習手段138の処理内容を具体的に説明するフローチャートで、ステップS2は急停止判定手段134に相当し、ステップS3およびS4はフューエルカット復帰回転速度設定手段132に相当し、ステップS5はエンジンストール判断手段136に相当し、ステップS6は学習手段138に相当する。
【0039】
図8のステップS1では、制御前提条件Iが成立するか否かを判断する。制御前提条件Iは、以下の(1) および(2) が何れもYES(肯定)である場合に成立する。(1) 、(2) の正常か否かの判断は、例えば異常を表すフェールセーフフラグや故障フラグ、ダイアグノーシスなどを利用して行うことができる。
(1) 自動変速機14が正常
(2) EFI(電子制御式燃料噴射装置)システムが正常
【0040】
制御前提条件Iが成立してステップS1の判断がYESとなった場合には、ステップS2を実行し、制御前提条件IIが成立するか否かを判断する。制御前提条件IIは、以下の(1) 〜(4) が何れもYES(肯定)である場合に成立する。(1) は、レバーポジションセンサ74によって検出されるレバーポジションPSHが「D」ポジションか否かによって判断できる。(2) は、冷却水温センサ68によって検出されるエンジン冷却水温TW が所定値TW * 以上か否かによって判断でき、所定値TW * は暖機運転等が必要ない通常のエンジン制御が可能な温度である。これらの(1) および(2) の条件は、ロックアップクラッチ32の減速時スリップ制御の実行条件に相当する。(3) は、減速時スリップ制御手段126により実際にロックアップクラッチ32の減速時スリップ制御が実行中か否かを判断する。(4) の急停止時か否かは、タービン回転速度NTの低下率ΔNTが所定値ΔNT* 以上か否かによって判断する。所定値ΔNT* は、エンジンストールを回避する上で、フューエルカット復帰回転速度NEFCを、通常減速時のものから急停止時のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiに切り換える必要があるか否かに基づいて設定される。(3) および(4) が成立すれば、ロックアップクラッチ32がスリップ制御中に車両が急停止されるロックアップON急停止時であることを意味し、制御前提条件IIが成立する場合は、ロックアップON急停止時である。なお、前記減速時スリップ制御手段126は、上記(4) の車両急停止判定と同じ判定に従ってロックアップクラッチ32のスリップ制御を中止し、ロックアップクラッチ32を解放する。したがって、図8のステップS3以下が実行される時には、ロックアップクラッチ32が解放される。
(1) Dレンジ
(2) TW ≧所定値TW *
(3) 減速時スリップ制御実行中
(4) 車両急停止判定
【0041】
制御前提条件IIが成立してステップS2の判断がYESとなった場合には、ステップS3を実行し、復帰回転速度変更条件が成立するか否かを判断する。復帰回転速度変更条件は、以下の(1) および(2) の少なくとも一方がYES(肯定)であれば成立する。(1) は、ブレーキ油圧センサ84によって検出されるブレーキ油圧PBKの増加率ΔPBKを算出し、その増加率ΔPBKが所定値ΔPBK* 以上か否かによって判断できる。(2) は、ブレーキ油圧センサ84によって検出されるブレーキ油圧PBKが所定値PBK* 以上か否かによって判断できる。所定値ΔPBK* 、PBK* は、例えばエンジンストールを回避する上で、フューエルカット復帰回転速度NEFCを、通常減速時のものから急停止時のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiに切り換える必要があるか否かに基づいて設定される。なお、ステップS2で急停止判定を行っているため、このステップS3は必ずしも必要なく、省略しても良い。また、所定値ΔPBK* 、PBK* として比較的小さな値を設定し、実際にブレーキ操作が行われたことによる急停止か否かを判断する程度のものとしても良い。
(1) ΔPBK≧所定値ΔPBK*
(2) PBK≧所定値PBK*
【0042】
上記復帰回転速度変更条件が成立してステップS3の判断がYESとなった場合には、ステップS4を実行し、フューエルカット復帰回転速度NEFCとして急停止時のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを設定する。フューエルカット手段130は、この新たなフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiに基づいて、フューエルカットからの復帰制御、すなわちフューエルカットを中止して燃料供給を再開するか否かの判断を行う。
【0043】
次のステップS5では、急停止時にエンジンストールが発生し或いは発生する恐れがあったか否かを判断する。この判断は、例えば急停止中のエンジン回転速度NEの最小値NEmin を求め、その最小値NEmin が所定値(例えば300rpm程度)以下か否かによって行うことができる。そして、エンジンストールが発生し或いは発生する恐れがなかったと判断された場合(ステップS5の判断がNO)には、現在のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを維持するが、エンジンストールが発生し或いは発生する恐れがあったと判断された場合(ステップS5の判断がYES)には、ステップS6を実行する。ステップS6では、急停止時にエンジンストールが発生した旨を履歴として設定するとともに、図9のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiの対応温度領域の値を「現在値+所定値α」に書き換え、以後の急停止時には、この新たなフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを用いてフューエルカットからの復帰制御が行われるようにする。所定値αは、例えば50rpm程度等の一定値であっても良いが、最小値NEmin に基づいて、その値が低い場合、或いは実際にエンジンストールが発生してNEmin ≒0となった場合には、比較的大きな値として、フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを一気に高くしてエンジンストールを防止するようにすることもできる。
【0044】
なお、本実施例の学習手段138は、エンジンストールが発生し或いは発生する恐れがある場合にフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを高めるように学習補正するだけであるが、例えばロックアップON急停止時でもエンジンストールが発生しない状態が所定回数以上継続した場合には、フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを少しずつ低下させるように学習補正を行うようにすることも可能である。
【0045】
このように本実施例では、ロックアップクラッチ32のスリップ制御中の急停止時に、ステップS5でエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがあるか否かを判断し、エンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為された場合には、ステップS6でフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを高めるように学習補正が行われる。このため、エンジン10のフリクションやロックアップクラッチ32の摩擦材のばらつき等の個体差に拘らず、エンジンストールが発生しない範囲でできるだけ低回転のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが設定されるようになり、燃費の悪化が抑制される。
【0046】
一方、エンジンストールの発生のし易さはトルクコンバータ12の作動油温度、すなわちAT油温TOIL によって異なり、AT油温TOIL が低い場合には流体の粘性が高くなってエンジン回転速度NEが上がり難くなるため、エンジンストールが発生し易くなる。その場合に、AT油温TOIL と関係なくフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを学習補正すると、粘性が低くてエンジンストールが発生し難い高油温時のフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiも高くなるため、必要以上に高回転から燃料供給が再開されるようになり、燃費が悪化する。これに対し、本実施例では、フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiがAT油温TOIL の油温領域をパラメータとして設定されているとともに、その油温領域毎に学習補正が行われるため、エンジンストールが発生し易い低油温領域だけフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiが高くされ、より好適にエンジンストールの発生防止と燃費悪化の抑制との両立を図ることができる。
【0047】
また、本実施例では、ステップS2の(4) で急停止時か否かを判定する際に、エンジンストールの発生と密接に関係するタービン回転速度NTの低下率ΔNTが所定値ΔNT* 以上か否かを判断するため、急停止に起因してエンジンストールが発生し或いは発生する恐れがある場合に、フューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを適切に学習補正することができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明が好適に適用される横置き型の車両用駆動装置の一例を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機の各ギヤ段を成立させるためのクラッチおよびブレーキの係合、解放状態を説明する図である。
【図3】図1の実施例の車両に設けられた電子制御装置の入出力信号を説明する図である。
【図4】図3のシフトレバーのシフトパターンの一例を示す図である。
【図5】図3の電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図6】図5のエンジン制御手段によって行われるスロットル制御で用いられるアクセルペダル操作量Accとスロットル弁開度θTHとの関係の一例を示す図である。
【図7】図5の変速制御手段によって行われる自動変速機の変速制御で用いられる変速線図(マップ)の一例を示す図である。
【図8】図5のエンジンストール判断手段や学習手段などによってフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiを学習補正する際の作動を具体的に説明するフローチャートである。
【図9】図8のフローチャートに従って学習補正されるフューエルカット復帰回転速度nefckyuteisiのマップの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10:エンジン 12:トルクコンバータ(流体伝動装置) 14:自動変速機 22:入力軸 32:ロックアップクラッチ 90:電子制御装置 130:フューエルカット手段 134:急停止判定手段 136:エンジンストール判断手段 138:学習手段 NE:エンジン回転速度 NT:タービン回転速度(入力軸回転速度) TOIL :AT油温(流体伝動装置の油温) nefckyuteisi:フューエルカット復帰回転速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックアップクラッチを備えた流体伝動装置を介して自動変速機が連結されるエンジンに関し、
減速時で且つエンジン回転速度がフューエルカット復帰回転速度以上であることを条件として前記エンジンの燃料供給を停止するフューエルカットを行い、該エンジン回転速度が該フューエルカット復帰回転速度よりも低下すると前記エンジンの燃料供給を再開するエンジンのフューエルカット制御装置において、
前記ロックアップクラッチのスリップ制御中に車両が急停止されるロックアップON急停止時であるか否かを判定する急停止判定手段と、
該急停止判定手段により前記ロックアップON急停止時である旨の判定が為された時に、前記エンジンにエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがあるか否かを判断するエンジンストール判断手段と、
該エンジンストール判断手段により前記エンジンにエンジンストールが発生し若しくは発生する恐れがある旨の判断が為された時には、前記フューエルカット復帰回転速度を高めるように学習補正する学習手段と、
を有することを特徴とするエンジンのフューエルカット制御装置。
【請求項2】
前記フューエルカット復帰回転速度は、前記流体伝動装置の油温領域毎に設定されており、
前記学習手段は、前記フューエルカット復帰回転速度を前記油温領域毎に学習補正する
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジンのフューエルカット制御装置。
【請求項3】
前記急停止判定手段は、少なくとも前記自動変速機の入力軸回転速度の低下率が所定値以上、または前記エンジン回転速度の低下率が所定値以上であることを条件として、前記ロックアップON急停止時である旨の判定を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジンのフューエルカット制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−211619(P2007−211619A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−30287(P2006−30287)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】