説明

エンジン搭載の電気自動車の後部構造

【課題】エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、車両後部のスペースを有効利用する。
【解決手段】フロアパネル90の後部のキックアップ部58aから車両後方に延びるように形成されたリアフロアパネル90と、左右の後輪98,100を連結する、サスペンション96の一部を構成する連結部材96cとを設ける。エンジン10及び発電機14をリアフロアパネル90の下方における連結部材96cよりも車両後方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車の後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンと、このエンジンによって駆動可能な発電機と、少なくとも発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと、このバッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車が従来技術として知られている。
【0003】
特許文献1のものは、ダッシュパネルを境に車室の前方に形成されたエンジンルーム内に縦置きされたエンジンと、このエンジンから後方に延びる出力軸に連結された発電機と、この発電機によって生成された電力を蓄えるバッテリと、車室後方のリアパネルの下に配設され且つバッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えている。そして、前端がダッシュパネルに連結される車室フロアパネルの前部に上方に向けて膨出し且つエンジンルームに通じる隆起部が形成され、この隆起部の下に発電機が収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−155828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、エンジン搭載の電気自動車、特に、エンジンが小型化して、その小型化の分、レイアウトの自由度が高くなったプラグインハイブリッド車では、エンジン及び発電機を車両後部に配置することが考えられる。
【0006】
このようにエンジン及び発電機を車両後部に配置したエンジン搭載の電気自動車において、その後輪に、左右のトレーリングアームを繋ぐクロスビームを有するトーションビーム式サスペンションや左右の後輪を繋ぐ車軸を有するリジッドアクスルサスペンションなど、左右の後輪を連結する連結部材を有するサスペンションを採用した場合、エンジン、発電機及びサスペンションの連結部材の位置関係を工夫して、車両後部のスペースを有効利用したい。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、車両後部のスペースを有効利用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車の後部構造であって、フロアパネルの後部のキックアップ部から車両後方に延びるように形成されたリアフロアパネルと、左右の後輪を連結する、サスペンションの一部を構成する連結部材とを備えており、上記エンジン及び上記発電機は、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両後方に配置されていることを特徴とするものである。
【0009】
これによれば、エンジン及び発電機をリアフロアパネルの下方における連結部材よりも車両後方に配置しているので、連結部材の車両前方のスペースを有効利用することが可能になる。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記エンジンは、1気筒若しくは2気筒のレシプロエンジン又は1ローターのロータリーエンジンであって、駆動軸が上下方向を向くように配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
これによれば、エンジンは、1気筒若しくは2気筒のレシプロエンジン又は1ローターのロータリーエンジンであって、駆動軸が上下方向に延びるよう配置されているので、エンジンの上下方向長さを短くすることができ、リアフロアパネルの低床化を図ることができる。
【0012】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記エンジンと上記発電機とは、車両前後方向に並ぶように配置されており、上記エンジンの駆動軸と上記発電機の回転軸とが、チェーン又はギヤを介して連結されていることを特徴とするものである。
【0013】
これによれば、エンジンと発電機とを車両前後方向に並ぶように配置しているので、チェーン又はギヤの配置スペースを確保することができる。
【0014】
また、エンジンの駆動軸と発電機の回転軸とをチェーン又はギヤを介して連結しているので、エンジンの回転数と発電機の回転数とを適切な回転数に調整することができる。
【0015】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記エンジンの吸気系が、上記リアフロアパネルの下方に配置されていて、上記エンジンから上記連結部材の上方を通って車両前方に延びており、上記エンジンの吸気系における上記連結部材よりも車両前方の部分、上記エンジン用の燃料タンク及び上記発電機用のインバータが、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両前方に車幅方向に並ぶように配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
これによれば、エンジンの吸気系における連結部材よりも車両前方側の部分、エンジン用の燃料タンク及び発電機用のインバータを、リアフロアパネルの下方における連結部材よりも車両前方に車幅方向に並ぶように配置しているので、連結部材の車両前方スペースを有効利用することができる。
【0017】
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記エンジンの吸気系が、上記リアフロアパネルの下方に配置されていて、上記エンジンから上記連結部材の上方を通って車両前方に延びており、上記エンジンの排気系が、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両後方に配置されていることを特徴とするものである。
【0018】
これによれば、エンジンの吸気系が、リアフロアパネルの下方に配置されていて、エンジンから連結部材の上方を通って車両前方に延びているので、エンジンへの吸気を容易に行うことができる。
【0019】
また、エンジンの排気系が、リアフロアパネルの下方における連結部材よりも車両後方に配置されていて、車両後方に延びているので、エンジンから車両後方への排気を容易に行うことができる。
【0020】
第6の発明は、上記第1〜5のいずれか1つの発明において、上記エンジン及び上記発電機以外の大型の電気自動車用機器が、上記フロアパネルの車幅方向中央部に車両前後方向に延び且つ上方に膨出するように形成されたフロアトンネル外に配置されていることを特徴とするものである。
【0021】
これによれば、エンジン及び発電機以外の大型の電気自動車用機器をフロアトンネル外に配置しているので、フロアトンネルの低床化やフラット化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、エンジン及び発電機をリアフロアパネルの下方における連結部材よりも車両後方に配置しているので、連結部材の車両前方のスペースを有効利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジン搭載の電気自動車の概略ブロック図である。
【図2】電気自動車の全体構造を示す概略側面図である。
【図3】電気自動車の後部構造を示す概略平面図である。
【図4】エンジン及びジェネレータのペリメータフレームへの取付を示す概略平面図である。
【図5】エンジン及びジェネレータのペリメータフレームへの取付を示す概略側面図である。
【図6】エンジン及びジェネレータのペリメータフレームへの取付を示す概略後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
−電気自動車のシステム構成−
図1は、エンジン搭載の電気自動車の概略ブロック図であり、この電気自動車(以下、車両とも言う)1は、近距離走行時(例えば50km以下の走行時)には、家庭用電源など外部電源からの外部電力が供給されて充電されたバッテリ12の電力を、モータ16に供給して駆動輪を駆動させる一方、遠距離走行時には、エンジン10によってジェネレータ(発電機)14を駆動してその発電電力をバッテリ12に供給して充電して、その充電されたバッテリ12の電力をモータ16に供給して駆動輪を駆動させるプラグインハイブリッド車である。このプラグインハイブリッド車は、上述の如く、エンジン10及びモータ16を動力源として備え、このエンジン10は発電にのみ使用して、車両が動くための動力は全てモータ16に頼っているシリーズ式ハイブリッド車である。
【0026】
上記エンジン10は、2つの気筒(以下、シリンダとも言う)がクランク軸(駆動軸)10a(図3等に図示)の延びる方向に1列に並んだ直列2気筒の小型レシプロエンジンである。このレシプロエンジンでは、該エンジン用の燃料タンク18から供給される燃料(例えばガソリン)を燃焼室で燃焼させて得られたエネルギーでシリンダ内部のピストンを上下させ、それをコンロッドとクランク軸10aによって回転運動に置き換えるようになっている。また、上記気筒には、吸気通路(吸気管)19(「エンジンの吸気系」に相当。図3等に図示)及び排気通路(排気管)20(「エンジンの排気系」に相当。図3等に図示)が連通している。吸気通路19は、上流側では1つであるが、下流側では2つに分岐して各気筒に連通している。吸気通路19には、吸入空気中の異物やホコリを除去するためにフィルタを用いたエアクリーナ19aが配設されている。排気通路20は、下流側では1つであるが、上流側では2つに分岐して各気筒に連通している。排気通路20には、排気ガス中のHCやCO、NOなどの有害成分を浄化するために三元触媒を用いた排気浄化装置20aが配設されているともに、この排気浄化装置20aの下流側には、排気ガスの爆発音のエネルギーの圧力変動を打ち消し、吸収させて音を静かにするマフラー20bが配設されている。そして、エンジン10は、バッテリ12の残量が少なくなったとき(例えばバッテリ12の充電率SOCが30%以下になったとき)に自動運転されるようになっている。尚、上述の如く、エンジン10を小型化したため、燃料タンク18やエアクリーナ19aなども小型化している。
【0027】
上記バッテリ12は、大容量化した大型・高性能のものであって、ジェネレータ14及びモータ16にそれぞれ、インバータ22を介して接続されていて、ジェネレータ14からの発電電力及びモータ16からの回生電力が供給されて充電される。また、バッテリ12は、車両1の非使用時には、外部電源からの外部電力が供給・充電可能になっている。そして、バッテリ12は、その電力をモータ16に供給して駆動させる。
【0028】
上記ジェネレータ14は、その回転軸(入力軸)14a(図3等に図示)がエンジン10のクランク軸10aに連結されていて、エンジン10によって駆動可能になっている。
【0029】
上記モータ16は、その回転軸(出力軸)が上記駆動輪としての左右の前輪30,32に連結されていて、バッテリ12及び/又はジェネレータ14から電力が供給されて前輪30,32を駆動させる。
【0030】
上記インバータ22は、交流電力を直流電力に変換するAC−DCコンバータ(発電機14用のインバータ)22aと直流電力を交流電力に変換するDC−ACコンバータ(モータ16用のインバータ)22bとを有していて、バッテリ12、ジェネレータ14及びモータ16相互間の電力の授受及び変換を行う。具体的には、バッテリ12をジェネレータ14からの電力で充電するときには、ジェネレータ14からの交流電力をAC−DCコンバータ22aによって直流電力に変換してバッテリ12に供給する。また、バッテリ12の電力をモータ16に供給するときには、バッテリ12からの直流電力をDC−ACコンバータ22bによって交流電力に変換してモータ16に供給する。さらに、ジェネレータ14からの電力をモータ16に供給するときには、ジェネレータ14からの交流電力をAC−DCコンバータ22aによって直流電力に変換した後、その直流電力をDC−ACコンバータ22bによって交流電力に変換してモータ16に供給する。
【0031】
−電気自動車の後部構造−
以下、電気自動車1の後部構造について説明する。図2は、電気自動車の全体構造を示す概略側面図、図3は、電気自動車の後部構造を示す概略平面図、図4は、エンジン、ジェネレータ、燃料タンク、エアクリーナ及びAC−DCコンバータのペリメータフレームへの取付を示す概略平面図、図5は、エンジン、ジェネレータ、燃料タンク、エアクリーナ及びAC−DCコンバータのペリメータフレームへの取付を示す概略側面図、図6は、エンジン及びジェネレータのペリメータフレームへの取付を示す概略後面図である。尚、これらの図では、図を見易くするため、部材の図示省略や簡略化などを適宜行っている。
【0032】
フロアパネル58の後部には、キックアップ部58aが上方に立ち上がるように形成されており、このキックアップ部58aから車両後方に延びるように連続形成されたリアフロアパネル90が設けられている。このリアフロアパネル90上の前部にはベンチタイプのリアシート102が配置されている。リアフロアパネル90のリアシート102の車両後方には、起立部90aが斜め上後方に起立するように形成されており、この起立部90aから車両後方に延びるように形成された荷室フロア90bが設けられている。つまり、この荷室フロア90bはリアフロアパネル90の後部を構成している。リアフロアパネル90の下方の車幅方向両側には、左右のリアサイドフレーム92,94が車両前後方向に延びるようにそれぞれ配置されている。これらのリアサイドフレーム92,94は、車両後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜部92a,94aと、この傾斜部92a,94aの後端から車両後方に水平に延びる水平部92b,94bとを有している。傾斜部92a,94aは、車両前方に行くに従って車幅方向外側に広がっている。リアフロアパネル90の車両前後方向中央部の下方には、車幅方向に延びてリアサイドフレーム92,94の各車両前後方向中央部に結合されるリアクロスメンバ95が配置されている。
【0033】
後輪98,100には、左右のトレーリングアーム96a,96bをクロスビーム96cと呼ばれる梁で繋いだ形式のトーションビーム式サスペンション96が採用されている。クロスビーム96cは、リアフロアパネル90の車両前後方向中央部の下方(詳細には、起立部90aの下方)で且つリアクロスメンバ95の下方に、車幅方向に延びるように配置されていて、車両側面視で後輪98,100の中心の車両前方で且つ後輪98,100の前端の車両後方近傍に位置している。つまり、このクロスビーム96cが、左右の後輪98,100を連結する、サスペンション96の一部を構成する連結部材を構成している。
【0034】
上記エンジン10は、リアフロアパネル90の車幅方向中央部の下方におけるクロスビーム96cよりも車両後方(即ち、荷室フロア90bの車幅方向中央部の下方)に、クランク軸10aが上下方向に延びるように配置されている。詳細には、エンジン10は、荷室フロア90b前部の車両左方側寄りの下方に、シリンダヘッド10b側が車両右方を、吸気側が車両前方を向くように配置されている。また、クランク軸10aは、エンジン10の左部に位置している。
【0035】
上記ジェネレータ14は、リアフロアパネル90の左部の下方におけるクロスビーム96cよりも車両後方に、回転軸14aが上下方向に延びるように配置されている。具体的には、ジェネレータ14は、その回転軸14aがエンジン10のクランク軸10aと車両前後方向に並び且つエンジン10の左部の車両後方に隣接するように配置されている。つまり、エンジン10とジェネレータ14とは、車両前後方向に並ぶように配置されている。回転軸14aは、エンジン10のクランク軸10aにギヤ11を介して連結されている。このギヤ11の減速比(即ち、エンジン10からジェネレータ14への減速比)は、例えば1/2程度である。そして、エンジン10の回転数は、例えば2000回転程度である。この結果、ジェネレータ14の回転数は、4000〜5000回転程度になる。また、ジェネレータ14上面の上下方向高さ位置は、エンジン10上面と略同じである。そして、ジェネレータ14は、エンジン10の左部の後面側に結合部材15を介して一体的に結合されており、望ましくは、該結合部材15としてのケーシングにエンジン10と一体的に収容される。
【0036】
尚、エンジン10及びジェネレータ14は、上下するクロスビーム96cとの干渉を防止し且つ地上高を確保することができるように配置されている。本実施形態では、エンジン10を、そのクランク軸10aが上下方向に平行になるように、ジェネレータ14を、その回転軸14aが上下方向に平行になるように配置しているが、クロスビーム96cとの干渉の防止及び地上高の確保を実現することができる限り、これに限定されず、例えば、エンジン10を、そのクランク軸10aが上下方向に対して車両前方に傾くように、ジェネレータ14を、その回転軸14aが上下方向に対して車両前方に傾くように配置してもよい。
【0037】
上記吸気通路19は、リアフロアパネル90の右部の下方に配置されていて、エンジン10の前部右方からクロスビーム96cの上方を通って車両前方に延びた後、車両右方に延びている。上記エアクリーナ19aは、リアフロアパネル90の右部の下方におけるクロスビーム96cよりも車両前方に配置されている。つまり、エアクリーナ19aが、エンジン10の吸気系におけるクロスビーム96cよりも車両前方の部分を構成している。
【0038】
上記排気通路20は、リアフロアパネル90の右部の下方におけるクロスビーム96cよりも車両後方に配置されていて、エンジン10の後部右方から車両後方に延びた後、車両右方に延び、その後、車両後方に延びている。上記排気浄化装置20aは、リアフロアパネル90の右部の下方におけるエンジン10の右部の車両後方に配置されている。上記マフラー20bは、リアフロアパネル90の右部の下方における排気浄化装置20aの車両右方に配置されている。
【0039】
上記燃料タンク18、上記エアクリーナ19a及び上記AC−DCコンバータ22bは、リアフロアパネル90の前部の下方におけるクロスビーム96cよりも車両前方に車幅方向に並ぶように配置されている。具体的には、燃料タンク18、AC−DCコンバータ22b及びエアクリーナ19aは、この順に車両左方から並ぶように配置されている。AC−DCコンバータ22bは、リアフロアパネル90の車幅方向中央部の下方に配置されている。また、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bは、リアフロアパネル90上のリアシート102の下方に配置されている。
【0040】
そして、エンジン10、ジェネレータ14、燃料タンク18、エアクリーナ19a、排気浄化装置20a、マフラー20b及びAC−DCコンバータ22bは、左右のリアサイドフレーム92,94の間に配置されている。
【0041】
以上のように、エンジン10及びジェネレータ14はもちろん、燃料タンク18やエアクリーナ19a、AC−DCコンバータ22bなど、エンジン10及びジェネレータ14以外の大型の電気自動車用機器は、フロアトンネル58b外に配置されている。
【0042】
また、エンジン10、ジェネレータ14、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bは、ペリメータフレーム70に取り付けられている。以下、この取付の詳細について説明する。
【0043】
ペリメータフレーム70は、エンジン10の振動が伝達されるのを抑制するものであって、左右のリアサイドフレーム92,94の下方に配置されている。ペリメータフレーム70は、車両前後方向に延びる左右の側方フレーム71,72と、車幅方向に延びて側方フレーム71,72の各前端部に結合される前方フレーム73と、この前方フレーム73の車両後方において前方フレーム73と平行に延びて側方フレーム71,72に結合される第1中間フレーム74と、この第1中間フレーム74の車両後方において第1中間フレーム74と平行に延びて側方フレーム71,72に結合される第2中間フレーム75と、この第2中間フレーム75と平行に延びて側方フレーム71,72の各後端部に結合される後方フレーム76とを有している。
【0044】
側方フレーム71,72は、リアサイドフレーム92,94の傾斜部92a,94aに対応するように車両後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜部71a,72aと、リアサイドフレーム92,94の水平部92b,94bに対応するように傾斜部71a,72aの後端から車両後方に水平に延びる水平部71b,72bとを有している。傾斜部71a,72aは、リアサイドフレーム92,94の傾斜部92a,94aに対応するように車両前方に行くに従って車幅方向外側に広がっている。第1中間フレーム74は、クロスビーム96cと車両前後方向に関して略同じ位置に配置されていて、側方フレーム71,72の傾斜部71a,72aの各車両前後方向中央部に結合されている。第1中間フレーム74の上下方向高さ位置は、前方フレーム74と略同じである。そして、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bは、前方フレーム73の上面と第1中間フレーム74の上面との間に架設支持されている。
【0045】
第2中間フレーム75は、クロスビーム96cよりも車両後方に配置されていて、側方フレーム71,72の水平部71b,72bの各前端部に結合されている。第2中間フレーム75は、左側側方フレーム71から車両右方に水平に延びる第1水平部75aと、この第1水平部75aの右端から車両右方に行くに従って下方に傾斜する第1傾斜部75bと、この第1傾斜部75bの右端(下端)から車両右方に水平に延びる第2水平部75cと、この第2水平部75cの右端から車両右方に行くに従って上方に傾斜する第2傾斜部75dと、この第2傾斜部75dの右端(上端)から車両右方に水平に延びて右側側方フレーム72に達する第3水平部75cとを有している。第2水平部75は車両左方側に配置されている。
【0046】
後方フレーム76は、左側側方フレーム71から車両右方に水平に延びる第1水平部76aと、この第1水平部76aの右端から車両右方に行くに従って下方に傾斜する第1傾斜部76bと、この第1傾斜部76bの右端(下端)から車両右方に水平に延びる第2水平部76cと、この第2水平部76cの右端から車両右方に行くに従って上方に傾斜する第2傾斜部76dと、この第2傾斜部76dの右端(上端)から車両右方に水平に延びて右側側方フレーム72に達する第3水平部76eとを有している。第2水平部76cは、第2中間フレーム75の第2水平部75cよりも車両右方に配置されている。第2水平部76cの上下方向高さ位置は、第2中間フレーム75の第2水平部75cよりも高い。後方フレーム76の左部は、ジェネレータ14に対応するように平面視で車両後方に湾曲している。
【0047】
そして、一体結合されたエンジン10及びジェネレータ14は、該エンジン10の下部左方の前面にそれぞれ設けられた防振マウント77,78を介して第2中間フレーム75の第2水平部75cの下面に、該ジェネレータ14の下部の車両右後方側に設けられた防振マウント79を介して後方フレーム76の第2水平部76cの下面に弾性支持されている。これらの防振マウント77〜79の詳細な説明は省略するが、その基本的な構造は従来周知のものである。
【0048】
尚、上記マフラー20bは、第2中間フレーム75の第3水平部75e及び後方フレーム76の第3水平部76eの下方に配置されている。
【0049】
また、エンジン10、ジェネレータ14、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bが取り付けられたペリメータフレーム70は、その側方フレーム71,72にてリアサイドフレーム92,94の下面に取り付けられている。つまり、エンジン10、ジェネレータ14、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bをペリメータフレーム70に取り付けた後、エンジン10、ジェネレータ14、燃料タンク18、エアクリーナ19a及びAC−DCコンバータ22bを取り付けたペリメータフレーム70をリアサイドフレーム92,94に取り付けている。
【0050】
以上のように、エンジン10やジェネレータ14等は車体に支持されている。
【0051】
以下、電気自動車1の前部構造について簡単に説明する。
【0052】
車両1前部には、ダッシュパネル40によって車室42と仕切られた、該ダッシュパネル40の車両前方空間44が設けられている。ダッシュパネル40は、フロアパネル58の前端から上方に起立していて、車幅方向に延びるように設けられている。フロアパネル58の車幅方向中央部には、ダッシュパネル40から車両後方に延び(即ち、車両前後方向に延び)且つ上方に膨出するように形成されたフロアトンネル58bが設けられており、このフロアトンネル58bはキックアップ部58aに達している。車両前方空間44内には、バッテリ12やモータ16、DC−ACコンバータ22bなどが配置されている(図2では図示省略)。
【0053】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、エンジン10及びジェネレータ14をリアフロアパネル90の下方におけるクロスビーム96cよりも車両後方に配置しているので、クロスビーム96cの車両前方のスペースを有効利用することが可能になる。
【0054】
また、エンジン10は、2気筒のレシプロエンジンであって、駆動軸10aが上下方向に延びるよう配置されているので、エンジン10の上下方向長さを短くすることができ、リアフロアパネル90の低床化を図ることができる。
【0055】
さらに、エンジン10とジェネレータ14とを車両前後方向に並ぶように配置しているので、ギヤ11の配置スペースを確保することができる。
【0056】
また、エンジン10の駆動軸10aとジェネレータ14の回転軸14aとをギヤ11を介して連結しているので、エンジン10の回転数とジェネレータ14の回転数とを適切な回転数に調整することができる。
【0057】
さらに、エアクリーナ19a、燃料タンク18及びAC−DCコンバータ22aを、リアフロアパネル90の下方におけるクロスビーム96cよりも車両前方に車幅方向に並ぶように配置しているので、クロスビーム96cの車両前方スペースを有効利用することができる。
【0058】
また、エンジン10の吸気通路19が、リアフロアパネル90の下方に配置されていて、エンジン10からクロスビーム96cの上方を通って車両前方に延びているので、エンジン10への吸気を容易に行うことができる。
【0059】
さらに、エンジン10の排気通路20が、リアフロアパネル90の下方におけるクロスビーム96cよりも車両後方に配置されていて、車両後方に延びているので、エンジン10から車両後方への排気を容易に行うことができる。
【0060】
また、燃料タンク18やエアクリーナ19a、AC−DCコンバータ22bなど、エンジン10及びジェネレータ14以外の大型の電気自動車用機器をフロアトンネル58b外に配置しているので、フロアトンネル58bの低床化やフラット化を図ることができる。
【0061】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、後輪98,100にトーションビーム式サスペンション96を採用しているが、これに限らず、例えば、両端に後輪98,100を付けた車軸をスプリングを介して車体に取り付けるタイプのリジッドアクスルサスペンションを採用してもよい。つまり、この車軸が、左右の後輪98,100を連結する、サスペンションの一部を構成する連結部材を構成する。尚、車軸は、車両側面視で後輪98,100の中心近傍に位置する。
【0062】
また、上記実施形態では、エンジン10は2気筒のレシプロエンジンであるが、これに限らず、例えば、1気筒のレシプロエンジンであってもよく、また、1ローターのロータリーエンジンであってもよい。このロータリーエンジンは、駆動軸としてエキセントリックシャフトを有する。これによれば、エンジン10は、1気筒のレシプロエンジン又は1ローターのロータリーエンジンであって、駆動軸が上下方向に延びるよう配置されているので、エンジン10の上下方向長さを短くすることができ、リアフロアパネル90の低床化を図ることができる。
【0063】
さらに、上記実施形態では、エンジン10を、その駆動軸10aが上下方向に延びるように配置しているが、これに限らず、例えば、その駆動軸10aが車両前後方向や車幅方向に延びるように配置してもよい。但し、リアフロアパネル90の低床化を図るためには、上下方向に延びるように配置するのが望ましい。
【0064】
また、上記実施形態では、エンジン10の駆動軸10aとジェネレータ14の回転軸14aとをギヤ11を介して連結しているが、これに限らず、例えば、チェーンを介して連結してもよい。
【0065】
さらに、上記実施形態では、エンジン10及びジェネレータ14を一体的に結合しているが、これに限らず、別体にしてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、モータ16を車両前方空間44内に配置しているが、これに限らず、例えば、モータ16を前輪30,32の中のハブ内に配置したインホイールモータとしてもよい。
【0067】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0068】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明にかかるエンジン搭載の電気自動車の後部構造は、車両後部のスペースを有効利用することが必要な用途等に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 電気自動車
10 エンジン
10a クランク軸(駆動軸)
11 ギヤ
14 ジェネレータ(発電機)
14a 回転軸
18 燃料タンク(大型の電気自動車用機器)
19 吸気通路(エンジンの吸気系)
19a エアクリーナ(エンジンの吸気系における連結部材よりも車両前方の部分、大型の電気自動車用機器)
20 排気通路(エンジンの排気系)
22 インバータ
22a AC−DCコンバータ(発電機用のインバータ、大型の電気自動車用機器)
58 フロアパネル
58a キックアップ部
58b フロアトンネル
90 リアフロアパネル
96 トーションビーム式サスペンション
96c クロスビーム(連結部材)
98,100 後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと該エンジンによって駆動可能な発電機と少なくとも該発電機からの発電電力が供給されて充電されるバッテリと該バッテリから電力が供給されて駆動輪を駆動させるモータとを備えているエンジン搭載の電気自動車の後部構造であって、
フロアパネルの後部のキックアップ部から車両後方に延びるように形成されたリアフロアパネルと、
左右の後輪を連結する、サスペンションの一部を構成する連結部材とを備えており、
上記エンジン及び上記発電機は、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両後方に配置されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。
【請求項2】
請求項1記載のエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、
上記エンジンは、1気筒若しくは2気筒のレシプロエンジン又は1ローターのロータリーエンジンであって、駆動軸が上下方向を向くように配置されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。
【請求項3】
請求項2記載のエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、
上記エンジンと上記発電機とは、車両前後方向に並ぶように配置されており、
上記エンジンの駆動軸と上記発電機の回転軸とが、チェーン又はギヤを介して連結されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載のエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、
上記エンジンの吸気系が、上記リアフロアパネルの下方に配置されていて、上記エンジンから上記連結部材の上方を通って車両前方に延びており、
上記エンジンの吸気系における上記連結部材よりも車両前方の部分、上記エンジン用の燃料タンク及び上記発電機用のインバータが、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両前方に車幅方向に並ぶように配置されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、
上記エンジンの吸気系が、上記リアフロアパネルの下方に配置されていて、上記エンジンから上記連結部材の上方を通って車両前方に延びており、
上記エンジンの排気系が、上記リアフロアパネルの下方における上記連結部材よりも車両後方に配置されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のエンジン搭載の電気自動車の後部構造において、
上記エンジン及び上記発電機以外の大型の電気自動車用機器が、上記フロアパネルの車幅方向中央部に車両前後方向に延び且つ上方に膨出するように形成されたフロアトンネル外に配置されていることを特徴とするエンジン搭載の電気自動車の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73581(P2011−73581A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227260(P2009−227260)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】