説明

オルガノポリシロキサン組成物及びその生成

本発明は増加した分子量のオルガノポリシロキサンを形成するためのオルガノポリシロキサンの重合、及びこうして生成されるオルガノポリシロキサン組成物に関する。オルガノポリシロキサンは重合中溶融ワックスを含有する混合物中にあり、これによりワックスと増加した分子量のオルガノポリシロキサンとの混合物を形成する。重合反応を完了した後、反応生成物をワックスの凝固温度より低い温度、例えば室温まで冷却することができる。これはオルガノポリシロキサン中のワックスの非常に密接な分散物又はその逆であるペースト状の固体混合物をもたらす。分散物は驚くほど安定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増加した分子量のオルガノポリシロキサンを形成するためのオルガノポリシロキサンの重合、及びこうして生成されるオルガノポリシロキサン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンは、プラスチック組成物、潤滑剤、化粧品のようなパーソナルケア製品、建築製品及びハウスホールドケア組成物における多くの用途を有する。これらの用途の多くについて、高分子量オルガノポリシロキサンはもっとも良好な物理的特性を有する。しかしながら、高分子量オルガノポリシロキサンは配合するのが困難である。とくにそれらは、その高粘度及び/又は粘着性のため、所望のマトリックス、例えば熱可塑性樹脂マトリックスにおいて分散しにくいことが多く、有機成分と混和性でないことが多い。
【0003】
国際公開第2006/106362号公報は、縮合性基を含むモノマー及び/又はオリゴマーを含有するシロキサンのオルガノポリシロキサン及び/又は有機物系希釈物質、適切な触媒及び任意で末端ブロック剤の存在下での重縮合によるポリマーを含有する希釈オルガノポリシロキサンの調製であって、重合プロセスのクエンチを要することもある調製について記載する。希釈物質は得られる希釈オルガノポリシロキサン中に実質的に保持される。国際公開第2008/045427号公報は、1つ以上の界面活性剤を希釈オルガノポリシロキサン中に導入し、均質な油相を形成するステップ、0.1〜10重量パーセントの水を均質な油相に添加し、油中水型エマルジョンを形成するステップ、せん断を油中水型エマルジョンに印加し、油中水型エマルジョンを水中油型エマルジョンに反転させるステップ、及び任意でさらに水を添加することにより水中油型エマルジョンを希釈するステップをさらに含むシリコーン水中油型エマルジョンの生成方法について記載する。米国特許第7041088号は、重合について教示することなしに、ポリジメチルシロキサン及びポリプロピレンワックスを含むコーティング組成物について開示する。米国特許公開第2005/0143282号公報は、重合について教示することなしに、有機ワックスとポリオルガノシロキサンとの混合物について開示する。米国特許第6258891号は、重合中溶融PEとの混合物中にあるオルガノシロキサンモノマー(DMS)を重合し、これによりPE中ブロックPE−PDMSを形成することについて開示する。米国特許第5403909号は、ホスファゼンを用いるオルガノポリシロキサンの触媒反応について開示する。
【発明の概要】
【0004】
本発明によるオルガノポリシロキサンの重合方法は、オルガノポリシロキサンが重合中溶融ワックスを含有する混合物中にあり、これによりワックスと増加した分子量のオルガノポリシロキサンとの混合物を形成することを特徴とする。
【0005】
本発明はワックスとワックスの存在下での重合により形成されたオルガノポリシロキサンとの混合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明により生成されるワックスと増加した分子量のオルガノポリシロキサンとの混合物は、国際公開第2006/106362号により生成される希釈オルガノポリシロキサンとは異なり、多くの用途において利点を有する。国際公開第2006/106362号に用いられる希釈物質は液体であるが、本発明に用いられるワックスは周囲温度で固体である。国際公開第2006/106362号の液体希釈剤は希釈オルガノポリシロキサンにおいて増量剤又は可塑剤として働き、希釈オルガノポリシロキサンを含有する組成物が軟化される。希釈剤は、そうでなければ時間とともに組成物から発散するので、オルガノポリシロキサンと相溶性である必要がある。これは例えば封止材の表面流出として現れ得る。ワックスは軟化効果を有さない、又は非常に少ない軟化効果を有し、その融点より低い温度でシロキサンから流出する傾向はない。軟化はいくつかの用途において望ましいが、ワックスを含有するより硬い組成物は熱可塑性樹脂組成物、潤滑剤、リップスティックのような化粧品及び建築材料成分における使用について利点を有する。
【0007】
オルガノポリシロキサン出発物質は好適には少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有するオルガノポリシロキサンであり、好適にはシロキサン縮合を含むプロセスにより重合される。オルガノポリシロキサン出発物質は例えば平均2つ以上のケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基、好適には末端ヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンとすることができる。オルガノポリシロキサンは例えば一般式
−A’−X (1)
を有することができ、式中、X及びXは単独でヒドロキシル又は加水分解性置換基を含有するケイ素含有基から選択され、A’はポリマー鎖を表す。ヒドロキシル及び/又は加水分解性置換基を組み込むX又はX基の例としては、下記:
−Si(OH)、−(R)Si(OH)、−(RSiOH、−RSi(OR、−Si(OR、−RSiOR又はRSi−R−SiR(OR3−pのように終端する基が挙げられ、式中、各Rは単独で一価ヒドロカルビル基、例えば、とくに1〜8個の炭素原子を有するアルキル基を表し(好適にはメチル基であり);R及びR基はそれぞれ単独でアルキル又はアルコキシ基であり、アルキル基は適切には最大6個の炭素原子を有し;Rは最大6個のケイ素原子を有する1つ以上のシロキサンスペーサが介在し得る二価炭化水素基であり;pは0、1又は2の値を有する。式−(RSiOHの末端ブロック基がとくに好ましくあり得る。線状オルガノポリシロキサンは少量、例えば20%未満の式RSiO1/2の非反応性末端ブロック基を含むことができる。
【0008】
ポリマー鎖A’は好適には式(2)
−(RSiO)− (2)
のシロキサン単位を含むポリジオルガノシロキサン鎖であり、式中、各Rは単独で1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基又は最大18個の炭素原子を有する炭化水素オキシ基のような有機基である。
【0009】
炭化水素基Rの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ビニル、シクロへキシル、フェニル及びトリル基が挙げられる。置換炭化水素基は炭化水素基中に別の置換基、例えば塩素、フッ素、臭素若しくはヨウ素のようなハロゲン原子、アクリル、メタクリル、アルコキシ若しくはカルボキシルのような酸素原子含有基、アミノ、アミド若しくはシアノ基のような窒素原子含有基、又はメルカプト基のような硫黄原子含有基で置き換えられる1個以上の水素原子を有する。置換炭化水素基の例としては、3,3,3−トリフルオロプロピル、クロロフェニル、β−(ペルフルオロブチル)エチル又はクロロシクロへキシル基のような塩素又はフッ素で置換されるプロピル基が挙げられる。好適には少なくともいくつか、より好適にはほぼすべての基Rはメチルである。好適にはポリジオルガノシロキサンはポリジアルキルシロキサン、もっとも好適にはポリジメチルシロキサンである。
【0010】
式(2)の単位を含むポリジオルガノシロキサンはホモポリマー又はコポリマーであってもよい。異なるポリジオルガノシロキサンの混合物も適している。ポリジオルガノシロキサンコポリマーの場合、ポリマー鎖は上記式(2)で表した単位の鎖からなるブロックの組み合わせを含むことができ、式中、2つのR基は:
ともにアルキル基(好適にはともにメチル又はエチル)、
アルキル及びフェニル基、
アルキル及びフルオロプロピル、
アルキル及びビニル、又は
アルキル及び水素基
である。一般的には、少なくとも1つのブロックはR基が両方アルキル基であるシロキサン単位を含むだろう。
【0011】
少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサン出発物質は一般的には、その粘度が5mPa・s〜5000mPa・s、好適には10mPa・s〜500mPa・sとなるような重合度を有する。好適には実質的に線状のオルガノポリシロキサンはケイ素に結合した末端ヒドロキシル基を有し、10mPa・s〜500mPa・sの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。
【0012】
実質的に線状のポリオルガノシロキサン出発物質として用いられるポリマー(A’)はあるいは上記式(2)中で表したタイプのシロキサン基の少なくとも1つのブロック及びいずれかの適切な有機ポリマー鎖を含む少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマー骨格を有することができる。適切な有機ポリマー鎖の例は、ポリアクリル、ポリイソブチレン及びポリエーテル鎖である。
【0013】
本発明の1つの態様によると、こうした少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、ヒドロキシル又は加水分解性基の触媒縮合により重合され、シロキサン結合を形成する。実質的に線状のオルガノポリシロキサンは例えば、実質的に用いられるただ1つのオルガノポリシロキサン出発物質とすることができる。
【0014】
あるいは、オルガノポリシロキサン出発物質は、その開環の触媒プロセスにより重合させ、シロキサン結合を形成することができる、環状オルガノポリシロキサンとすることができる。こうしたプロセスに用いられる環状オルガノポリシロキサンは例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン又はデカメチルシクロペンタシロキサンとすることができる。
【0015】
環状オルガノポリシロキサンは重合反応におけるただ1つのシロキサン物質とすることができ、又は開環環状オルガノポリシロキサン、例えば少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有するシラン又はシロキサン物質と反応する有機ケイ素物質とともに用いることができる。このシラン又はシロキサン物質は例えば少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンのようなオルガノポリシロキサンとすることができる。こうした少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサン及び環状オルガノポリシロキサンをともに重合させる場合、それらは例えば重合反応混合物中10:1〜1:5の重量比で存在することができる。重合は環状オルガノポリシロキサンの開環及び開環生成物と少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサン又は他のシラン若しくはシロキサン物質との縮合の触媒プロセスにより進む。
【0016】
本発明の別の態様によると、オルガノポリシロキサン出発物質は少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサン及び1分子当たり平均3つ以上のSi結合アルコキシ基を有するアルコキシシランの混合物である。こうした混合物は実質的に線状のオルガノポリシロキサンとアルコキシシランとの触媒シロキサン縮合により重合させ、分岐オルガノポリシロキサン構造を形成することができる。
【0017】
線状オルガノポリシロキサンと反応するアルコキシシランは一般的には1分子当たり平均3個以上のケイ素結合アルコキシ基を含有する。アルコキシ基は好適にはそれぞれ1〜4個の炭素原子を有し、もっとも好適にはメチル又はエチル基である。アルコキシシランは例えば式R’Si(OR)のトリアルコキシシランを含むことができ、式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、R’は1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素又は置換炭化水素基を表す。こうした基R’の例としては、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ラウリル又はステアリル;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル又はシクロへキシル;アルケニル基、例えばビニル、アリル又はヘキセニル;アリール基、例えばフェニル又はトリル;アラルキル基、例えば2−フェニルエチル;及び前記有機基中の水素のすべて又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られる基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピルが挙げられる。好適なトリアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン及び3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランが挙げられる。例えば6〜18個の炭素原子を有する長鎖アルキル基R’を有するトリアルコキシシラン、例えばn−オクチルトリメトキシシランは、線状オルガノポリシロキサンと反応し、分岐点で長鎖アルキル基、例えばオクチル基を有する分岐オルガノポリシロキサンを形成する。こうした長鎖アルキル基の存在は、分岐オルガノポリシロキサンの有機物質、例えば炭化水素溶剤又は有機ポリマーとの相溶性を向上させる。
【0018】
アルコキシシランはあるいはテトラエトキシシラン(テトラエチルオルソシリケート)のようなテトラアルコキシシランとすることができる。線状オルガノポリシロキサンのテトラアルコキシシランとの反応はポリシロキサン鎖中のSi−アルコキシ官能基及び分岐を有する分岐オルガノポリシロキサンを形成することができる。
【0019】
アルコキシシランは、いくつかのアルコキシ基を加水分解及び縮合してシロキサン結合を形成し、いくつかのアルコキシ基をケイ素に結合したままにした部分縮合アルコキシシランとすることができる。こうした部分縮合アルコキシシランは好適には1分子あたり平均3つ以上のケイ素に結合したアルコキシ基を含有する。アルコキシシランは例えばオリゴマー部分縮合トリアルコキシシランとすることができる。こうしたオリゴマーは分岐構造及びSi−アルコキシ基を有し、さらなる分岐部位をもたらすことができる。テトラアルコキシシランは部分縮合形態で用いることもでき、例えばSiO分岐単位を含有する部分縮合テトラエトキシシランは広く利用可能である。
【0020】
アルコキシシラン及び少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンは、好適にはアルコキシシラン中のSi結合アルコキシ基の実質的に線状のオルガノポリシロキサン中のヒドロキシル又は加水分解性基に対するモル比が1:100〜1:1、より好適には1:40〜1:2となる量で反応させる。
【0021】
オルガノポリシロキサンの重合の触媒は好適にはホスファゼン触媒である。ホスファゼン触媒は、シロキサン縮合及び環状オルガノポリシロキサンの開環重合の両方に有効な触媒である。ホスファゼン触媒は一般的には少なくとも1つの−(N=P<)−単位を含有し、通常は最大10個のこうしたホスファゼン単位を有する、例えば平均1.5〜5個のホスファゼン単位を有するオリゴマーである。ホスファゼン触媒は、例えばハロホスファゼン、とくにクロロホスファゼン(塩化ホスホニトリル)、酸素含有ハロホスファゼン、ホスファゼン塩基又はホスファゼニウム塩のようなホスファゼンのイオン誘導体、とくにペルクロロオリゴホスファゼニウム塩のようなハロゲン化ホスホニトリルのイオン誘導体とすることができる。
【0022】
1つのとくに適切なタイプのホスファゼン触媒は酸素含有ハロホスファゼン、とくに酸素含有クロロホスファゼンである。こうした酸素含有クロロホスファゼンは、例えば式Cl(PCl=N)−P(O)Cl又はHO(PCl=N)−P(O)Clを有することができる。nの平均値は、例えば1〜10、とくに1〜5の範囲内とすることができる。触媒は式HO(PCl=N)−P(O)Clの触媒の互変異性体を含むこともできる。別のタイプの適切な酸素含有クロロホスファゼンは式Z’O(PCl=N)−P(O)Clを有し、式中、Z’は酸素によってリンに結合した有機ケイ素ラジカル、例えば式R”SiO(PCl=N)−P(O)Clのホスファゼン触媒を表し、式中、各R”は1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素又は置換炭化水素基を表す。触媒はこうした有機ケイ素含有ホスファゼンの縮合物を含むこともできる。上記酸素含有ホスファゼンのいずれかにおける塩素原子のすべて又はいくつかはラジカルQにより置き換えることができ、Qはヒドロキシル基、アルコキシラジカル又はアリールオキシラジカルのような一価有機ラジカル、塩素以外のハロゲン原子、有機ケイ素ラジカル及びリン含有ラジカルを表すが、これは好ましくない。
【0023】
別の適切なタイプのホスファゼン触媒は式
[ClP−(N=PClCl]
のペルクロロオリゴホスファゼニウム塩であり、式中、nは1〜10の範囲内の平均値を有し、Zはアニオンを表す。アニオンは好適には錯アニオンであり、例えば式MXv+1を有することができ、式中、Mは1.0〜2.0のポーリングスケール上の電気陰性度及び価数vを有する元素であり、Xはハロゲン原子である。元素Mは例えばリン又はアンチモンとすることができる。アニオンZはあるいは、米国特許第5457220号に記載されるように、式[MXv−y+1]−の錯アニオンとすることができ、式中、Rは1〜12個の炭素原子を有するアルキル基であり、yは0〜vの値を有する。
【0024】
ホスファゼン触媒はあるいは、米国特許第6001928号、同第6054548号又は同第6448196号に記載されるように、ホスファゼン塩基、とくにアミノ化ホスファゼンとすることができる。こうしたホスファゼン塩基はペルクロロオリゴホスファゼニウム塩と第二級アミンとの反応及びその後の塩基性求核剤でのイオン交換反応により形成することができる。第二級アミンは、例えば式HNRを有し、クロロホスファゼンオリゴマーのいくつか又はすべては−NR基により置き換えられる。
【0025】
ホスファゼン触媒は一般的にはオルガノポリシロキサン出発物質の重量に対して100万分の1又は2〜200部で、例えば100万分の5〜50部で存在する。ホスファゼン触媒は重合生成物中の望ましくない低分子量環状シリコーンの含有量が低いという利点を有する。
【0026】
オルガノポリシロキサン重合に用いることができる代替触媒としては、プロトン酸、ルイス酸、有機及び無機塩基、金属塩並びに有機金属錯体のような、シロキサン縮合を触媒することが知られるもののいずれかが挙げられる。縮合特異性触媒が好ましい。これらとしては式R20SOHの酸性縮合触媒が挙げられ、式中、R20は例えばヘキシル若しくはドデシル基のような好適には6〜18個の炭素原子を有するアルキル基、フェニル基のようなアリール基、又はジノニル−若しくはジドデシル−ナフチルのようなアルカリル基を表し、例えば触媒はドデシルベンゼンスルホン酸とすることができる。他の縮合特異性触媒としては、n−ヘキシルアミン、テトラメチルグアニジン、ルビジウム又はセシウムのカルボン酸塩、及びマグネシウム、カルシウム又はストロンチウムの水酸化物が挙げられる。
【0027】
さらなる代替触媒としては、スズ、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム又はゲルマニウム及びジルコニウムを組み込む縮合触媒が挙げられる。例としては、金属トリフラート、トリエチルスズタートレート、スズオクトエート、スズオレエート、スズナフテート、ブチルスズトリ−2−エチルヘキソエート、スズブチレート、カルボメトキシフェニルスズトリスベレート、イソブチルスズトリセロエート、及びジオルガノスズ塩、とくにジオルガノスズジカルボキシレート化合物、例えばジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジブチレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズジアセテート、又はジメチルスズビスネオデカノエートのような有機スズ金属触媒が挙げられる。
【0028】
チタネート又はジルコネート系触媒、例えば一般式Ti[OR22による化合物を用いることができ、式中、各R22は同じ又は異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を含有する線状又は分岐であってもよい一価、第一級、第二級又は第三級脂肪族炭化水素基を表す。チタネートは、例えばメチル又はエチルアセチルアセトネートのようなアルキルアセチルアセトネートでキレート化することができる。
【0029】
本発明において触媒として用いることができるさらなる代替触媒は、国際公開第01/79330号公報に定義されるように、少なくとも1つの四置換ホウ素原子を含むアニオン及び少なくとも1つのシラノール基と相互作用することができるプロトンの供給源をもたらすいずれかの適切な化合物、例えばテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンである。
【0030】
あるいはオルガノポリシロキサンの重合は、不飽和有機基、例えばアルケニル又はアルキニル基とSi−H基との間の適切な触媒の存在下でのヒドロシリル化反応によるものであってもよい。この経路では、適切なシラン並びにモノマー及び/又はオリゴマーを含有するシロキサンを用いることができる。よってオルガノポリシロキサンは、ヒドロシリル化反応によりSi−H基を有するシラン若しくはシロキサン物質と重合されるアルケニル若しくはアルキニル基を含有するオルガノポリシロキサン、又はヒドロシリル化反応により少なくとも2つのアルケニル若しくはアルキニル基を含有する有機化合物と重合されるSi−H基を有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。ヒドロシリル化反応は一般的には白金族触媒の存在下でもたらされる。
【0031】
アルケニル又はアルキニル基を含有するオルガノポリシロキサンは線状又は分岐とすることができ、一般的には1〜18個の炭素原子を含有する炭化水素又は置換炭化水素基であり、その少なくとも2つはアルケニル又はアルキニル基であるSi結合有機基を含む。オルガノポリシロキサンは例えばアルケニル又はアルキニル基を末端基として含有することができる。アルキニル又はアルケニル基はそれぞれ好適には末端二重結合を有する。好適なアルケニル基の例は、HC=CH−、HC=CHCH−、HC=C(CH)CH−、HC=CHCHCH−、HC=CHCHCHCH−、及びHC=CHCHCHCHCH−である。アルキニル基の例としては、HC≡C−及びHC≡CCH−が挙げられる。オルガノポリシロキサンの他の有機基は例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル基;シクロへキシルのようなシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、及びジクロロフェニルのようなハロゲン化炭化水素基から選択することができる。メチル基が好適であることが多い。オルガノポリシロキサンは例えばアルケニル末端線状又は分岐ポリジメチルシロキサンとすることができる。
【0032】
Si−H基を有するオルガノポリシロキサンは線状又は分岐とすることができる。オルガノポリシロキサンの他の有機基は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ウンデシル、及びオクタデシルのようなアルキル基;シクロへキシルのようなシクロアルキル;フェニル、トリル、キシリル、ベンジル、及び2−フェニルエチルのようなアリール;並びに3,3,3−トリフルオロプロピル、3−クロロプロピル、及びジクロロフェニルのようなハロゲン化炭化水素基から選択することができる。メチル基が好適であることが多い。Si−H基は末端とすることができ、例えばオルガノポリシロキサンはジメチルシリル末端基を有することができ、及び/又はSi−H基はポリマー鎖に沿って存在することができ、例えばオルガノポリシロキサンはメチル水素シロキサン単位を含むことができる。Si−H基を有するオルガノポリシロキサンは例えばポリ(メチル水素)シロキサン又はジメチルシロキサンメチル水素シロキサンコポリマーとすることができる。
【0033】
ヒドロシリル化による重合を用いる場合、上述のようにアルケニル又はアルキニル基を含有するオルガノポリシロキサンは好適には上述のようにSi−H基を有するオルガノポリシロキサンと反応させる。
【0034】
アルケニル又はアルキニル基を含有するオルガノポリシロキサンはあるいは又はさらに少なくとも1つのSi−H基を含有するシランと重合させることができる。こうしたシランの例としては、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、及びフェニルジクロロシランのようなハロシラン、並びにトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン及びフェニルジメトキシシランのようなアルコキシシランが挙げられる。
【0035】
Si−H基を含有するオルガノポリシロキサンはあるいは又はさらに少なくとも2つのアルケニル又はアルキニル基を含有する有機化合物と重合させることができる。アルケニル又はアルキニル基は共役させるべきでなく、好適には末端基である。適切な有機化合物としては例えば1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエンが挙げられる。
【0036】
ヒドロシリル化反応の触媒は一般的には白金族触媒、すなわち白金、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、若しくはルテニウムから選択される金属又はそれらの金属の1つの化合物である。白金を含む触媒の例としては、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸及びジビニルテトラメチルジシロキサンの錯体、炭素担体上に吸着させた白金微粒子、Pt(Al)のような金属酸化物担体上に支持された白金、白金ブラック、白金アセチルアセトネート、ハロゲン化白金、例えばPtCl、PtCl、Pt(CN)、並びにハロゲン化白金と不飽和化合物、例えばエチレン、プロピレン、及びオルガノビニルシロキサンとの錯体が挙げられる。1つの好適な白金触媒は一般的にはトルエンのような溶剤中の1重量パーセントの白金を含有する白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体であるKarstedt触媒である。別の好適な白金触媒は、米国特許第3,419,593号に記載されるような、塩化白金酸及び末端脂肪族不飽和を含有する有機ケイ素化合物の反応生成物である。さらなる好適な触媒は、米国特許第5,175,325号に記載されるような、塩化白金及びジビニルテトラメチルジシロキサンの中性錯体である。
【0037】
ルテニウムを含むヒドロシリル化触媒の例としては、RhCl(BuS)及び1,1,1−トリフルオロアセチルアセトネート、ルテニウムアセチルアセトネート及びトリルテニウムドデカカルボニル又はルテニウム1,3−ケトエノレートのようなルテニウムカルボニル化合物が挙げられる。ロジウム触媒の例としては、[Rh(OCCH、Rh(OCCH、Rh(C15、Rh(C、Rh(C)(CO)、及びRh(CO)[PhP](C)が挙げられる。イリジウム触媒の例としては、Ir(COOCCH及びIr(C)Sが挙げられる。
【0038】
組成物中のヒドロシリル化触媒の濃度は通常、オルガノポリシロキサンに対して少なくとも100万分の1重量部相当の元素白金族金属をもたらすことができる。100万分の約3〜50部相当の元素白金族金属をもたらす触媒濃度が一般的には好適な量である。
【0039】
一般的には、ヒドロシリル化重合は約1:1のSi−H基のアルケニルアルキニル基に対するモル比を用いて行われる。反応においてすべてのSi−Hを確実に消費するためアルケニル基を含有する物質はわずかに過剰で用いることができる。
【0040】
本発明のプロセス中の重合の度合いは、好適には生成される増加した分子量のオルガノポリシロキサンが出発オルガノポリシロキサンの重量平均分子量の少なくとも5倍、より好適には少なくとも10倍の重量平均分子量Mwを有するほどである。Mwはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。生成される増加した分子量のオルガノポリシロキサンのMwは好適には少なくとも10,000、より好適には少なくとも100,000であり、1,000,000以上であってもよい。
【0041】
ワックスの語により、我々は15〜20℃の温度で可塑性又は可鍛性であり、少なくとも20℃の融点を有し、溶解時に低粘度を有する物質を意味する。ワックスの例はKirk−Othmer化学技術百科事典(Claude Leray、John Wiley & Sons,Inc.によるArticle on Waxes、2006年)に記載されている。
【0042】
オルガノポリシロキサン重合中に存在するワックスは一般的には少なくとも20℃の融点を有し、好適には30〜100℃、より好適には40〜90℃の範囲内の融点を有する。ワックスはケイ素を含有しない有機ワックスとすることができ、又はシリコーンワックスとすることができる。オルガノポリシロキサン製剤の有機物質との相溶性を向上させることが重要である用途について、長鎖有機置換基を含有するシリコーンワックスも相溶性を向上させることができるが、有機ワックスが通常は好ましい。
【0043】
ワックスは例えば石油由来ワックスのような炭化水素ワックス、とくにパラフィンワックス若しくは微結晶ワックス、Fischer−Tropschワックス、セレシンワックス、ポリエチレンワックス又はそれらの混合物とすることができる。パラフィンワックスは主に炭素原子20〜30個の平均鎖長を有する直鎖炭化水素を含有する。パラフィンワックスの例は、Parafflex 4750 A顆粒及びParafflex 4797Aのような商標ParafflexでIgiWaxより販売されている。微結晶ワックスはより高い割合の分岐炭化水素及びナフテン系炭化水素を含有する。微結晶ワックスの例は商標Microsere、例えばMicrosere 5981AでIgiWaxより販売されている。用いることができる他の有機炭化水素ワックスはモンタンワックス(別名、亜炭ワックス)、オゾケライト又はスラグワックスである。
【0044】
ワックスはあるいはカルボン酸エステルを含むワックスとすることができる。ビーワックス、ラノリン、タロウ、カルナバ及びカンデリラのような多くの天然ワックス、トリベヘニン並びにパームワックス、米ぬかワックス又は大豆ワックスのような植物の種子、果実、堅実又は核種から得られるワックスは、エステルと遊離酸及び/又はアルコールとの混合物を含む。エステルワックスの例は、IgiWaxより商標RD2778A及びRD2779Aで販売されるパーム油から得られるパームワックスである。より軟質のワックスのいくつかは「バター」と称される。これらのタイプの製品はよくスキンケア用途に用いられ、例えばマンゴバター、シアバター又はココアバターとして油糧種子から得られる。他の例はイリッペ、クプアス、ムルムル、サル及びコクムバターである。こうしたバターは本発明のワックスのすべて又は一部として用いることができるが、ただしワックスは少なくとも20℃の融点を有する。一般に、バターは40.5℃より低いが20℃より高い滴定点を有することにより定義することができる(AOCS法Tr 1a−64Tに従ったJ.O’Lenickによる『Oil of nature』)。
【0045】
ワックスはあるいは長鎖脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、長鎖脂肪アミン、長鎖脂肪アミド、エトキシル化脂肪酸若しくは脂肪アルコール、又は長鎖アルキルフェノールとすることができる。一般に、脂肪酸、アルコール、アミン又はアミドの長鎖は少なくとも12個、好適には16個の炭素原子、しばしば最大30個以上の炭素原子を有するアルキル基である。
【0046】
ワックスはあるいはポリエーテルワックス、例えばBASFより商標Lumax Vで販売されるような固体ポリエーテルポリオール若しくはワックス状ポリビニルエーテル、又はポリエーテルエステルとすることができる。
【0047】
シリコーンワックスの例は12個以上の炭素原子を有する炭化水素置換基を含有するポリシロキサンである。ポリシロキサンは好適にはメチルアルキルシロキサン単位((CH3)(R)SiO2/2)を含むポリジオルガノシロキサンであり、式中、Rは12個以上、好適には16〜100個の炭素原子を有する長鎖アルキル基であり、任意でジメチルシロキサン単位又は式((CH3)(R)SiO2/2)の単位も含み、式中、Rは1〜11個の炭素原子を有するアルキル基、例えばエチル、2−シクロへキシルエチルのようなシクロアルキル基、ハロアルキル基、フェニルのようなアリール基又は2−フェニルプロピル、2−フェニルエチル若しくは2−(t−ブチルフェニルエチル)のようなアラルキル基である。上記シロキサン単位のメチル基はエチル又は所望に応じて別の低アルキル基により置き換えることができる。長鎖アルキル基Rは任意でアミノ、アミド、アルコール、アルコキシ、又はエステル基のような極性置換基により置換することができる。シリコーンワックス中のケイ素原子の好適には少なくとも20%、もっとも好適には少なくとも50%は16〜100個の炭素原子、もっとも好適には20〜36個の炭素原子を有するアルキル置換基を有する。
【0048】
異なるタイプのワックスの混合物、例えばエステルワックスと炭化水素ワックスとの混合物を用いることができる。
【0049】
ワックスは重合中にオルガノポリシロキサンに対して1又は5%〜オルガノポリシロキサンに対して150又は200%のいずれかの量で存在することができる。好適には重合中に存在するオルガノポリシロキサンのワックスに対する重量比は95:5〜40:60である。ワックスはオルガノポリシロキサンに接触する前に溶解することができ、又は固体ワックスはオルガノポリシロキサンと混合し、せん断を印加して混合しながら加熱してワックスを溶解することができる。
【0050】
オルガノポリシロキサンの重合はワックスの融点より高い温度で行われる。好適には重合の温度はワックスの融点より5〜30℃高く、例えば重合の温度は50℃〜120℃の範囲内とすることができる。ほとんどのワックス、とくに炭化水素ワックス及びエステルワックスのような有機ワックスはヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンのようなオルガノポリシロキサンと混和性でない。ワックス及びシリコーンはよって液/液分散物として存在し、重合は従って分散重合である。
【0051】
重合反応は、所望の重合度に達した後終了することができる。これは例えば重合反応混合物の粘度又はそれを混合するのに要するトルクを測定することにより決定することができる。好適なホスファゼン触媒により触媒される重合は中和剤、例えば米国特許第5457220号に記載される触媒の場合トリヘキシルアミンのようなトリアルキルアミンを添加することにより終了することができる。重合が行われる時間は幅広い範囲内、例えば1又は2分〜10時間以上で変動し得る。好適なホスファゼン触媒により触媒される重合は通常は2〜150分間行われる。
【0052】
不活性液体希釈剤は所望に応じて重合中に存在することができる。希釈剤はシリコーン系及び/又は有機物系希釈剤とすることができ、一般的にはオルガノポリシロキサンと反応する基を有さないように選択される。希釈剤は、用いられる場合、その存在が生成されるワックスシリコーン混合物をベースとする最終製品製剤において増量剤又は可塑剤として望ましい物質から選択されるだろう。
【0053】
いずれかの適切な希釈剤又は希釈剤の組み合わせを反応混合物に用いることができる。一般に、国際公開第2006/106362号公報に用いられる増量剤のいずれかを用いることができる。これらとしては、以下のそれぞれの単体又はリストの他のものとの組み合わせが挙げられる:
線状(例えばn−パラフィン系)鉱油、分岐(イソパラフィン系)鉱油、及び/又は環状(いくつかの従来技術ではナフテン系と称される)鉱油を含む鉱油留分のような、油留分中の炭化水素が1分子当たり5〜25個の炭素原子を含む炭化水素油;
アルキル基が好適にはメチル基であり、各アルキル基が同じ又は異なっていてもよく、1〜6個の炭素原子を含むが好適にはメチル基であり、好適には25℃で100〜100000mPa・s、もっとも好適には25℃で1000〜60000mPa・sの粘度を有するトリアルキルシリル末端ポリジアルキルシロキサン;
ポリイソブチレン(PIB);
トリオクチルホスフェートのようなホスフェートエステル;
ポリアルキルベンゼン、重アルキレートのような線状及び/又は分岐アルキルベンゼン、ドデシルベンゼン、並びに他のアルキルアレーン;
脂肪族モノカルボン酸のエステル;
8〜25個の炭素原子を含有する線状若しくは分岐アルケン又はその混合物のような線状又は分岐モノ不飽和炭化水素;
天然油及びその誘導体。
【0054】
好適な希釈剤としては、鉱油留分、アルキル脂環式化合物及びポリアルキルベンゼンを含むアルキルベンゼンが挙げられる。鉱油留分のいずれかの適切な混合物を希釈剤として用いることができるが、例えば220より高い分子量を有する高分子量増量剤がとくに好ましい。例としては、220より高い分子量のアルキルシクロヘキサン、パラフィン系炭化水素並びに1〜99%、好適には15〜80%のn−パラフィン系及び/又はイソパラフィン系炭化水素(線状分岐パラフィン系)、1〜99%、好適には85〜20%の環状炭化水素(ナフテン系)、及び最大3%、好適には最大1%の芳香族炭素原子を含有するそれらの混合物が挙げられる。環状パラフィン系炭化水素(ナフテン系)は環状及び/又は多環式炭化水素を含有することができる。
【0055】
多くの製品中に増量剤又は可塑剤として保持するのに適した好適な代替希釈剤は、非鉱物系天然油、すなわち石油からではなく、動物、種子又は堅果から得られる油を含む。こうした天然油は一般的には脂肪酸の混合物、とくにいくつかの不飽和脂肪酸を含有する混合物のトリグリセリドである。天然油を含有する希釈剤は例えばいくつかのパーソナルケア製品に用いるのに好適であり得る。希釈剤はエステル交換植物油、ボイル天然油、吹込天然油、又はスタンド油(熱重合油)のような天然油の誘導体とすることができる。
【0056】
希釈剤の量は、用いられる場合、例えばワックス、オルガノポリシロキサン及び希釈剤の総重量の最大60%、通常は5〜40%とすることができる。希釈剤はシロキサン、溶融ワックス相、又はそれらの両方と混和性であってもよい。多くの希釈剤はワックスと混和性であり、ワックスの融点を低減するが、希釈剤の量は好適にはワックスの融点を25℃より低い温度に低減させるほど多くない。
【0057】
「活性物質」はオルガノポリシロキサン及びワックスの混合物に、重合前、重合中又は重合後であるが、反応生成物がペースト又は固体となるまで冷却又は乳化される前に添加することができる。「活性物質」は重合オルガノポリシロキサンが用いられる製剤において効果を有することを意図している有機物質である。活性物質は例えば香料、日焼け防止剤、抗酸化剤、ビタミン、薬剤、殺生物剤、害虫忌避剤、触媒、天然抽出物、ペプチド、加温効果及び冷却剤から選択することができる。
【0058】
高分子量シリコーンは、ハウスホールドケア及びパーソナルケア用途において、香料又は精油のような有機活性物質成分と併せて用いられることが多い。しかしながら、シリコーンは多くの有機活性物質成分と相溶性(混和性)ではなく、微細かつ安定な分散物を得る上で問題となる。さらにしばしば、かなりの量の高価な活性物質、例えば香料は使用中に最終使用者の利益に貢献することなく無駄になる。我々は、本発明に従ってオルガノポリシロキサンをワックスの存在下で重合することにより、香料をワックス及び重合オルガノポリシロキサンの混合物に組み込むことができ、香料を徐々にのみ放出する保存安定な製品をもたらし、制御して香料又は他の活性物質を所望の環境において放出することができることを見出した。
【0059】
活性物質の1つの例は香料組成物(香料)である。香料組成物は固体又は液体であってもよく、単一の香料化合物又は天然香油であってもよく、香料化合物及び/又は天然油の混合物であってもよい。こうした天然油及び香料化合物の例は国際公開第01/25389号公報に記載され;これらの天然油及び香料化合物はとくにハウスホールド又はパーソナル用途の洗浄組成物、例えば粉末若しくは液体洗濯洗剤、柔軟剤若しくはアイロン補助剤、又は芳香剤に用いるのに適したものである。香料組成物はあるいはスキンクリーム、シャンプー若しくはフェイスクリームのようなパーソナルケア製品に組み込むための香料であってもよく、又は例えば食品若しくは食品パッケージングに用いられる香味若しくは芳香化合物であってもよい。香料組成物はあるいは香料化合物の反応生成物のような化学的に保護された香料化合物を含むことができる。
【0060】
香料は一般的には溶融有機ワックスに容易に溶解する。香料はワックスと混合した後加熱してワックスを溶解することができ、又はワックスを溶解した後香料と混合することができ、又は溶融ワックスをオルガノポリシロキサン出発物質と混合した後香料と混合することができる。あるいは、香料は重合反応中に、すなわち触媒が添加された後ポリシロキサン及びワックスと、又はワックスがまだ溶融している間に反応生成物と混合することができる。
【0061】
ワックスシリコーン組成物中に組み込むことができる活性物質の代替タイプとしては、日焼け防止物質、抗酸化剤、ビタミン、害虫忌避剤及び加温効果又は冷却剤(皮膚に温感又は冷感を与える物質)が挙げられる。日焼け防止剤の例としては、パラアミノ安息香酸誘導体及びケイ皮酸エステル、例えばメトキシケイ皮酸オクチル又はp−メトキシケイ皮酸2−エトキシエチルのような約290〜320ナノメーター(UV−B領域)の紫外線を吸収するもの;並びにベンゾフェノン及びブチルメトキシジベンゾイルメタンのような320〜400ナノメーター(UV−A領域)の範囲内の紫外線を吸収するものが挙げられる。ビタミンの例はビタミンA及びE、レチノール並びにトコフェロールである。メントールは冷却剤の例である。これらの物質はパーソナルケア製品に用いることができる。日焼け防止剤及びビタミンはスキンクリーム及びローションに用いられ、本発明によるワックスシリコーン混合物に組み込まれている場合、徐々にのみ放出される。ワックスシリコーン混合物に組み込まれた冷却剤をスキンケア組成物に用い、組成物が皮膚に擦り込まれる場合、冷却剤の長期放出をもたらすことができる。害虫忌避剤のパーソナルケア製品は例えばクリーム、スティック又はスプレーの形態とすることができ、製品が皮膚に塗布された後、害虫忌避剤のパーソナルケア製品からの制御された放出を必要とする。
【0062】
本発明を用い、本発明に従って薬剤をワックスシリコーン混合物に組み込み、この混合物を経皮送達により薬剤を投与するため皮膚に塗布される組成物に用いることによる薬剤(医薬活性物質)の制御された放出をもたらすこともできる。
【0063】
ワックスシリコーン混合物に組み込むことができる活性物質のさらなる代替タイプは、例えば混合物を含む組成物の細菌による分解からの長期間の保護をもたらすための、又は組成物が塗布された基質に長期間の殺生物効果をもたらすための殺生物剤である。
【0064】
ワックスシリコーン混合物中に組み込むことができる活性物質のさらなる代替タイプは触媒である。硬化触媒が組み込まれたワックスシリコーン混合物は例えば制御された放出が有利であるコーティング又は粘着剤に用いられ、硬化が急速すぎることなく完全な硬化をもたらすことができる。
【0065】
ワックスは活性物質がワックスシリコーン混合物の直面する温度又は環境の変化に応じて放出されるように選択することができる。例えばワックスの融点は、ワックスシリコーン混合物がアイロン補助用製品に用いられる場合、香料がアイロン温度より高い温度で放出されるように選択することができる。あるいはワックスは、ワックスシリコーン混合物が水中で使用される製品、例えば柔軟剤に用いられる場合、香料が徐々に放出されるように水に難溶性とすることができる。ポリエチレングリコールポリエーテルワックスは例えば水に難溶性である。
【0066】
重合反応を完了させた後、反応生成物をワックスの凝固温度より低い温度、例えば室温まで冷却することができる。これはシリコーン対ワックス比、ワックスの硬度及びオルガノシロキサンの分子量に応じてワックス及び重合オルガノポリシロキサンのペースト状固体混合物をもたらす。オルガノポリシロキサンの比率が高いと、例えばASTM D217−97に従って針入度計により測定されるように、高い針入度値を有する軟らかいペーストを形成する傾向がある。ワックスの比率が高いと低い針入度値を有する硬いペースト状固体を形成する。
【0067】
ペースト又は固体はオルガノポリシロキサン中のワックスの非常に密接な分散物又はその逆である。分散物は驚くほど安定している。我々は、本発明により生成される多くの分散物がワックスの融点より高い温度で再加熱される際マクロ相分離に反して不変していることを見出した。我々は、分散物は非常に微細(低粒径)なので、溶融ワックスはシリコーンマトリックスにおいて凝集し得ないと考える。ワックス中に分散したシリコーンの場合について、我々はシリコーンの高分子量(従って高粘度)は凝集を防止すると考える。このマクロ分離に対する安定性は製造業者が分散物を使用及び製剤することを可能にする運動現象である。最終的には加熱されると、分散物は熱力学的により安定なマクロ二相系へと分離するだろう。
【0068】
高分子量ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は例えば熱可塑性樹脂組成物、潤滑剤、化粧品製剤、又は疎水性建築材料成分に用いることができる。
【0069】
高分子量ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は、シリコーンをポリプロピレン又は他の熱可塑性ポリオレフィンのような熱可塑性樹脂組成物に組み込むため、ペースト又は固体形態で用いることができる。シリコーンプラスチック添加剤は熱可塑性物質の潤滑性及び流動性を向上させるため長年効果的に用いられてきた。ポリオルガノシロキサンはより良好な金型充填、低減した押出トルク、内部潤滑、より効率的な離型、より速いスループット及びより小さい反りをもたらすことにより加工性及び流動性を向上させることができ、低減した摩擦係数、並びに/又はより大きなマー及び耐摩耗性から良好な潤滑性及び滑りを含む成型物の表面特性を向上させることができる。向上した熱可塑性樹脂は例えば自動車内装トリム、屋内電気器具、ラゲッジ及び他の物品に用いることができる。しかしながら、特殊な装置を用いない液体シリコーン添加剤の熱可塑性溶解物への組み込みは加工上の多くの問題をもたらす。本発明に従って生成されるポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は熱可塑性溶解物中により容易に混合することができる。
【0070】
本発明に従って生成されるポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物はあるいは潤滑剤に用いることができる。例えば、ワックス中のポリオルガノシロキサンの固体分散物を固体潤滑剤の基礎原料として用いることができ、任意で微粉化ポリプロピレンワックス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフルオロポリマー、二硫化モリブデン及び/又は黒鉛と混合することができる。
【0071】
ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は化粧品製剤に用いることができる。例えばワックス中のポリオルガノシロキサンの固体分散物を、適切な染料及び/又は顔料並びに任意で香料との混合物においてリップスティックのようなカラー化粧品の基礎原料として用いることができる。ペースト又は固体形態のシリコーンワックス分散物をアイライナー、チーク又はマスカラのような他のカラー化粧品の基礎原料として用いることができる。一般に、化粧品は含水又は無水タイプのいずれかとすることができる。
【0072】
ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物を用い、複合板をより疎水性にすることができる。複合板は建築において広く用いられる。こうした板の例は、石膏板、繊維セメント板、OSB(配向性ストランドボード)及び木材粒子板、例えばチップボードのような中質繊維版(MDF)及びハードボードのような高密度繊維版(HDF)である。ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は木材粒子に、例えば樹脂結合剤の塗布前、又は結合剤の塗布後かつ粒子が押圧されて板となる前に塗布することができる。ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物は押圧されて板となる前に石膏スラリーに塗布することができる。
【0073】
ポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物を含有する製剤は、シリコーン製剤において既知の各種添加剤、例えば香料、日焼け防止剤、ビタミン、薬剤、殺生物剤、害虫忌避剤、触媒及び冷却剤、又は充填剤、染料、顔料及びシマーのような着色剤、熱安定剤、難燃剤、UV安定剤、殺菌剤、又は殺生物剤のような「活性物質」を含有することができる。こうした物質はポリオルガノシロキサン及びワックスの分散物に、ワックスシリコーン分散物と熱可塑性樹脂との混合前、混合後又は混合中に組み込むことができる。活性物質のエマルジョン組成物からの制御された放出が望ましい場合、香料のような活性物質は好適には、重合前、重合中又は重合後だが、反応生成物が冷却してペースト若しくは固体となる前に、オルガノポリシロキサン及びワックスの混合物に添加することにより、ワックスシリコーン相中に組み込まれる。
【0074】
代替方法では、ワックスとワックスの存在下での重合により形成されるオルガノポリシロキサンとの混合物に組み込まれる活性物質は、水中に界面活性剤の存在下で乳化することができる。重合反応により生成されるワックス及びシリコーンの混合物はワックスが溶融すると乳化される。好適には反応生成物は反応生成物がペースト又は固体まで冷却される前に乳化される。反応生成物はいずれのマクロ相分離も起こる前に乳化される。
【0075】
フェイス、ハンド及びボディクリーム、シャンプー、カラー化粧品、マスカラ、ファンデーション、並びに日焼け防止製剤のような多くのパーソナルケア製品はエマルジョン又は他の分散物である。それらは水中油(o/w)又は油中水(w/o)型のいずれかとすることができる。高分子量シリコーンはパーソナルケア製品において有機成分と併用されることが多く、相乗効果をもたらすことが多い。しかしながら、シリコーンは多くの有機成分と相溶性(混和性)ではなく、微細かつ安定な分散物を得る上で問題となる。我々は、シリコーンを有機ワックスの存在下で重合させることにより、エマルジョンの形態で安定化させることができるシリコーン/有機物分散物を得ることができることを見出した。
【0076】
いずれかの適切な界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせをワックスシリコーン分散物の乳化に用いることができる。界面活性剤は一般に非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤とすることができる。用いられる界面活性剤の量は界面活性剤に応じて変動するが、一般的にはポリジオルガノシロキサンに対して最大約30重量%、例えば0.2〜20%である。
【0077】
非イオン性界面活性剤の例としては、エチレンオキシドとC4〜16アルコールのような長鎖脂肪アルコール若しくは脂肪酸との縮合物、エチレンオキシドとアミン若しくはアミドとの縮合物、エチレン及びプロピレンオキシドの縮合生成物、グリセロールのエステル、スクロース、ソルビトール、脂肪酸アルキロールアミド、スクロースエステル、フルオロ界面活性剤、脂肪アミンオキシド、ポリエチレングリコール長鎖(12〜14C)アルキルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレングリコールプロピレングリコールコポリマー及びアルキルポリサッカリド、例えば米国特許第5,035,832号に記載されるような構造R24O−(R25O)−(G)の物質が挙げられ、式中、R24は線状若しくは分岐アルキル基、線状若しくは分岐アルケニル基又はアルキルフェニル基を表し、R25はアルキレン基を表し、Gは還元糖を表し、sは0又は正の整数を表し、tは正の整数の表す。代替非イオン性界面活性剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)及びポリビニルメチルエーテルのようなポリマー界面活性剤が挙げられる。ケイ素原子を含有する界面活性剤を用いることもできる。
【0078】
適切な市販の非イオン性界面活性剤の代表例としては、デラウェア州ウィルミントンのUniqema(ICI Surfactants)より商標BRIJで販売されるポリオキシエチレン脂肪アルコールが挙げられる。いくつかの例は、BRIJ 35 Liquid、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとして知られるエトキシル化アルコール、及びBRIJ 30、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルとして知られる別のエトキシル化アルコールである。同様の物質はCroda Europeにより商標Volpo L23及びVolpo L4で販売されている。いくつかの追加の非イオン性界面活性剤としては、ミシガン州ミッドランドのThe Dow Chemical Companyより商標TERGITOLで販売されるTERGITOL TMN−6のようなエトキシル化アルコール、エトキシル化トリメチルノナノールとして知られるエトキシル化アルコール;及び各種エトキシル化アルコール、すなわち、商標TERGITOL 15−S−5、TERGITOL 15−S−12、TERGITOL 15−S−15、及びTERGITOL 15−S−40で販売されるC12〜C14第二級アルコールエトキシレートが挙げられる。
【0079】
適切な両性界面活性剤の例としては、イミダゾリン化合物、アルキルアミノ酸塩、及びベタインが挙げられる。具体的としては、コカミドプロピルベタイン、ヒドロキシ硫酸コカミドプロピル、ココベタイン、ココアミド酢酸ナトリウム、ココジメチルベタイン、N−ココ−3−アミノブチル酸及びイミダゾリニウムカルボキシル化合物が挙げられる。
【0080】
カチオン性界面活性剤の例としては、水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジドデシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、水酸化タロウトリメチルアンモニウム及び水酸化ココトリメチルアンモニウムのような第四級アンモニウム水酸化物、並びに対応するこれらの物質の塩、脂肪アミン及び脂肪酸アミド並びにこれらの誘導体、塩基性ピリジニウム化合物、ベンズイミダゾリンの第四級アンモニウム塩基並びにポリプロパノールポリエタノールアミンが挙げられる。好適なカチオン性界面活性剤の他の代表例としては、アルキルアミン塩、スルホニウム塩、及びホスホニウム塩が挙げられる。
【0081】
適切なアニオン性界面活性剤の例としては、硫酸ラウリルのような硫酸アルキル;アクリル酸/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーのようなポリマー;ヘキシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸及びミリスチルベンゼンスルホン酸のようなアルキルベンゼンスルホン酸及び塩;モノアルキルポリオキシエチレンエーテルの硫酸エステル;アルキルナフチルスルホン酸;アルカリ金属スルホリシネート;ココナツ油酸のスルホン化モノグリセリドのような脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;スルホン化一価アルコールエステルの塩;アミノスルホン酸のアミド;脂肪酸ニトリルのスルホン化物;スルホン化芳香族炭化水素;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物;オクタヒドロアントラセン硫酸ナトリウム;アルカリ金属硫酸アルキル;硫酸エステル;並びにスルホン酸アルカリルが挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、高級脂肪酸のアルカリ金属石鹸;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;スルホン酸長鎖脂肪アルコール;硫酸オレフィン及びスルホン酸オレフィンのようなスルホン酸アルキルアリール;硫酸化モノグリセリド;硫酸化エステル;スルホン化エトキシル化アルコール;スルホコハク酸エステル;スルホン酸アルカン;リン酸エステル;イセチオン酸アルキル;タウリン酸アルキル;並びにサルコシン酸アルキルが挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤の1つの例は商品名Bio−Soft N−300で市販されている。イリノイ州ノースフィールドのStephan Companyより販売されるスルホン酸トリエタノールアミン線状アルキレート組成物である。
【0082】
上記界面活性剤は単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0083】
重合触媒はさらに乳化プロセスに含まれる界面活性剤、又は界面活性剤の1つとすることができる。界面活性剤として作用することができる触媒のファミリーは式R20SOHの酸性縮合触媒、例えばドデシルベンゼンスルホン酸である。
【0084】
本発明による1つの好適な乳化方法では、乳化は反応生成物を0.5〜20重量%の水と1〜30重量%の界面活性剤の存在下で混合した後、水中に乳化したワックスオルガノポリシロキサン混合物の所望の濃度に達するまで得られるエマルジョンを水と混合する少なくとも1つのステップにより行われる。乳化の初期混合ステップ中に存在する水の量は例えば重合反応生成物に対して1〜10%とすることができる。少量のみの水がまず重合反応生成物に添加されるこうした方法では、とくに水の量が5%未満である場合、連続ワックス/シリコーン相及び分散水相を含有する油中水型エマルジョンを形成することができる。油中水型エマルジョンにせん断を印加することにより、油中水型エマルジョンの粘性の水中油型エマルジョンへの位相反転がもたらされる。高せん断混合は好適には歯科用ミキサーのような粘度の高いペーストを扱うように設計されたミキサーにおいて行われる。高せん断混合による少量の水のさらなる添加は任意でより多くの水を低せん断下で添加することにより水中油型エマルジョンを希釈する前に行うことができる。
【0085】
エマルジョンの粒径は例えば0.1〜100μmの範囲内とすることができる。初期位相反転プロセスにおいて用いられる水及び界面活性剤の量は最終エマルジョンの粒径に影響を与えることができる。例えば、2つの例においてエマルジョンが同量の水で形成されるが、第1の例では位相反転ステップ前に多量の水が混合され、第2の例では位相反転ステップ前に少量の水が混合された後、位相反転ステップ後に残った追加の水が混合される場合、第1エマルジョンは一般的には第2より大きい粒径を有するだろう。どのように水が添加されようと、用いられる水の合計量は一般的にはエマルジョンの重量に対して約1〜99重量%、好適には約6〜約99重量%である。
【0086】
所望に応じて、他の物質、例えば香料、日焼け防止剤、ビタミン、薬剤、殺生物剤、害虫忌避剤、触媒及び冷却剤、又は充填剤、弛緩剤、着色剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤、凍結融解安定剤、若しくはpHを中和する無機塩のような「活性物質」をエマルジョンのいずれかの相に添加することができる。活性物質のエマルジョン組成物からの制御された放出が望ましい場合、香料のような活性物質は好適には、上述のように重合前、重合中、又は重合後だが、反応生成物がペースト若しくは固体となるまで冷却又は乳化される前に、オルガノポリシロキサン及びワックスの混合物に添加することにより、ワックスシリコーン相中に組み込まれる。
【0087】
本発明のエマルジョンは毛髪、皮膚、粘膜又は歯のようなパーソナルケア用途において有用である。これらの用途では、シリコーンは滑らかであり、スキンクリーム、スキンケアローション、モイスチャライザー、にきび又はしわ除去剤のようなフェイシャルトリートメント、シャワージェル、液体石鹸、ハンドサニタイザー及びワイプのようなパーソナル及びフェイシャルクレンザー、バスオイル、香水、香料、オーデコロン、サシェット、デオドラント、サンプロテクションクリーム、ローション及びワイプ、セルフタンニングクリーム、ローション及びワイプ、プレシェーブ及びアフターシェーブローション、アフターサンローション及びクリーム、発汗抑制スティック、軟質固体及びロールオン、ひげそり石鹸及びひげそり泡の特性を向上させるだろう。これは、例えばスタイリング及びコンディショニング上の利点をもたらすため、ヘアシャンプー、洗い流すタイプ及び洗い流さないタイプのヘアコンディショナー、スプレー、ムース及びジェルのようなヘアスタイリング助剤、染毛剤、縮毛矯正剤、パーマネント、脱毛剤、及びキューティクルコートに同様に用いることができる。化粧品では、シリコーンはメイクアップ、カラー化粧品、コンパクトジェル、クリーム及びリキッドファンデーション(油中水型及び水中油型エマルジョン、又は無水ローション)、チーク、アイライナー、アイシャドー、マスカラ、及びメイクアップリムーバーにおいて顔料の均染及び展着剤として機能する。シリコーン及びワックスのエマルジョンは、ビタミン、香料、皮膚軟化剤、着色剤、有機日焼け防止剤、又は医薬品のような油溶性及び水溶性物質の送達システムとして同様に有用である。エマルジョンがパーソナルケア製品において用いられる場合、ポリオルガノシロキサンは一般的にはパーソナルケア製品の約0.01〜約50重量パーセント、好適には0.1〜25重量パーセントを構成する。
【0088】
本発明に従って生成されるエマルジョンは、塗料、水性コーティング、織物繊維トリートメント、皮革用潤滑剤、柔軟剤、洗濯用途における仕上げ剤、ホームケア、離型剤、及び石油ドラッグ低減のような他の用途、並びにシリコーンエマルジョンが従来から用いられる他の領域においても有用である。ワックス/シリコーン分散物は、とくにワックスが炭化水素ワックスである場合、炭化水素液との向上した相溶性に起因する石油ドラッグ低減における特定の利点を有する。
【0089】
本発明は以下の実施例により例示されるが、部及び割合は重量による。触媒レベルはppmで示し、ポリシロキサン含有量に基づく。
【0090】
混合物中のシロキサンの分子量はゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定した。分析はGPC(Alliance Waters 2690)によりトリプル検出(屈折率検出器、粘度計及び光散乱検出器)及び溶剤としてトルエンを用いて行った。分子量平均は、ポリスチレン狭標準(Mw 70,950g/mol)を用いて単一点上で行ったトリプル検出較正に対する汎用較正により割り出した。
【0091】
混合物の稠度はASTM D217−97に従って針入度計を用いて25℃で試験し、結果はmm/103秒で示す。いくつかの混合物の粘度はBrookfield粘度計を用いて25℃で測定した。
【0092】
(実施例1)
20部の約56℃の融点を有するパラフィンワックス(IgiWaxより販売されるParaflex 4750A顆粒)を80部のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン(25℃で70mPa・sの粘度、2500g/molのMn及び3500g/molのMwを有する)と混合して液/液分散物を形成し、80℃まで加熱してワックスを溶解した。100万分の20部(ppm)のジクロロメタン中に希釈したイオンホスファゼン[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合を1lガラス反応器(IKA)において80℃、真空下で行った。重合は、ミキサーにおいて>2.0N/mのトルクを達成した(3分の重合時間)後、0.008部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び増加した分子量のポリジメチルシロキサンポリマーの液/液分散物を生成した。
【0093】
生成された分散物を室温まで冷却し、高分子量ポリジメチルシロキサン及びワックスのペーストを形成した。ペーストは1650Pa・sの粘度を有する。重合ポリジメチルシロキサンはMn125kg/mol及びMw196kg/molを有する。分散物は135mm/103秒の針入度を有した。
【0094】
(実施例2)
20部の82℃の融点を有する微結晶ワックス(IgiWaxより販売されるMicrosere 5981A)を90℃で溶解し、80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと90℃で混合し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は、1lガラス反応器において90℃、真空下で行い、3分後、0.008部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、粘度842Pa・sのペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn127kg/mol及びMw193kg/molを有する。分散物は139mm/103秒の針入度を有した。
【0095】
(実施例3)
実施例1を59℃の融点を有するパームワックス(IgiWaxより販売されるR2778A)を用いて繰り返した。反応時間は28分だった。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、2020Pa・sの粘度を有するペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn101kg/mol及びMw163kg/molを有する。分散物は27mm/103秒の針入度を有した。分散物を70℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0096】
(実施例4)
20部の49℃の融点を有するポリビニルエーテルワックス(BASFより販売されるLuwax V flakes)を、80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は、1lガラス反応器において70℃、真空下で行い、26分後、実施例1に記載されるように停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、粘度134Pa・sのペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn62kg/mol及びMw109kg/molを有する。分散物は351mm/103秒の針入度を有した。
【0097】
(実施例5)
20部の約32℃の融点を有するシリコーンワックス(Dow Corningより販売される2503)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は8分後、0.012部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、粘度334Pa・sのペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn148kg/mol及びMw191kg/molを有する。分散物は169mm/103秒の針入度を有した。
【0098】
(実施例6)
実施例5の反応を、反応時間を120分まで増加して繰り返した。重合ポリジメチルシロキサンはMn236kg/mol及びMw334kg/molを有する。分散物は96mm/103秒の針入度を有した。分散物を50℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0099】
(実施例7)
20部の約55℃の融点を有するDow Corning HY−3050大豆ワックスを80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと80℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。30ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において80℃、真空下で行った。重合は14分後、0.012部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。重合ポリジメチルシロキサンはMn96kg/mol及びMw131kg/molを有する。分散物は121mm/103秒の針入度を有した。分散物を70℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0100】
エマルジョンを、0.8gのVolpo L4及び1.2gのVolpo L23ポリオキシエチレンラウリルエーテル非イオン性界面活性剤並びに1gの水を20gの上記分散物に80℃で添加し、20秒間3000rpmでHausschild歯科用ミキサーにおいて混合することにより調製した。追加の1.0gの水を添加し、混合を同じ条件下で繰り返した。1.0gの水の添加及び混合をさらに4回繰り返した。さらなる水の添加及びその後の混合は合計で18gの水が添加されるまで行い、50%の活性物質含有量を有する乳白色のエマルジョンを得た。こうして得られるエマルジョンはD(v,0.5)μm=0.61及びD(v,0.9)μm=1.13(Malvern Mastersizer 2000を用いて測定される)の粒径を有する。
【0101】
(実施例8)
実施例7の重合反応を10部のDow Corning HY−3050大豆ワックス及び90部のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを70℃で用い、10ppmの触媒を用いて繰り返した。反応は2分後、0.008部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。重合ポリジメチルシロキサンはMn467kg/mol及びMw567kg/molを有する。分散物は40mm/103秒の針入度を有した。分散物を70℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0102】
(実施例9)
実施例7の重合反応を10部のDow Corning HY−3050大豆ワックス及び90部のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを70℃で用い、5ppmの触媒を用いて繰り返した。反応は6分後、0.004部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。重合ポリジメチルシロキサンはMn569kg/mol及びMw678kg/molを有する。分散物は33mm/103秒の針入度を有した。分散を70℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0103】
(実施例10)
20部のDow Corning HY−3050大豆ワックスを60部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン及び20部の「Gemseal 25」(Totalより供給される)化粧品グレード鉱油と60℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。30ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合を1lガラス反応器において60℃、真空下で行った。重合は31分後、0.009部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。重合ポリジメチルシロキサンはMn73kg/mol及びMw103kg/molを有する。分散物は>500mm/103秒の針入度を有した。
【0104】
エマルジョンを、2gのBASFより販売されるLutensol T08エトキシル化オキソアルコール非イオン性界面活性剤及び1gの水を25gの上記分散物に60℃で添加し、20秒間3000rpmでHausschild歯科用ミキサーにおいて混合することにより調製した。追加の1.0gの水を添加し、混合を同じ条件下で繰り返した。1.0gの水の添加及び混合をさらに3回繰り返し、80%の(シリコーン+有機物)活性物質含有量を有するクリームを得た。こうして得られるクリームはD(v,0.5)μm=0.28及びD(v,0.9)μm=0.50(Malvern Mastersizer 2000を用いて測定される)の粒径を有する。
【0105】
(実施例11)
20部の約83℃の融点を有するカルナバワックス(Strahl & Pitschから商品名SP−63で供給される)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと90℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。50ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合を1lガラス反応器において90℃、真空下で行った。重合は60分後、0.02部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却した。重合ポリジメチルシロキサンはMn15kg/mol及びMw20kg/molを有する。分散物は347mm/103秒の針入度を有した。
【0106】
2つのリップスティックを調製した。実施例11の混合物をリップスティックNo.2に組み込んだ。


【表1】

【0107】
以下の方法を用いてリップスティックを調製した。
1.A相成分をともに混合、溶解するまで水浴下で85℃まで加熱
2.B相成分を各添加間で十分に混合しながら1つずつ添加
3.リップスティック型に注入
【0108】
両方のリップスティックの外観及び使用は良好だった。製剤2を小さく切り、内部に相分離したポリシロキサンポリマーがあるか確認したが、分散の明らかな兆しは見られなかった。
【0109】
実施例11において生成された混合物をフェイシャルクリームにも以下の表に示した配合で組み込んだ。
【表2】

【0110】
以下の方法を用いてフェイシャルクリームを調製した。
1.A相成分をともに混合、溶解するまで水浴下で85℃まで加熱
2.B相成分をともに混合、85℃まで加熱
3.B相をA相に中程度に混合しながら添加
4.C相でpH6.5まで中和
5.40℃まで冷却、D相を添加
【0111】
フェイシャルクリーム製剤は少なくとも2か月間室温で均質かつ安定だった。
【0112】
実施例11において生成された混合物をヘアワックス製剤にも組み込んだ。
【表3】

【0113】
方法:
1.A相をともに混合、溶解するまで80℃まで加熱
2.室温まで撹拌しながら冷却
【0114】
考察:
製剤は少なくとも4か月、40℃で均質かつ安定である。
【0115】
(実施例12)
20部の約25〜38℃の融解範囲を有するマンゴバター(Dow Corningより販売されるHY 4001)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は105分後、0.008部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却した。重合ポリジメチルシロキサンはMn54kg/mol及びMw74kg/molを有する。分散物は352mm/103秒の針入度を有した。
【0116】
(実施例13)
20部の約62〜65℃の融解範囲を有する白色ビーワックス(Strahl & Pitschから商品名SP−422Pで供給される)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は23分後、0.013部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、ペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn298kg/mol及びMw379kg/molを有する。分散物は23mm/103秒の針入度を有した。分散物を80℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0117】
(実施例14)
20部の約68.5〜72.5℃の融解範囲を有するカンデリラワックス(Strahl&Pitschより商品名SP75で供給される)を75℃で溶解し、80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと75℃で混合し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において75℃、真空下で行った。重合は29分後、0.013部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却した。重合ポリジメチルシロキサンはMn221kg/mol及びMw285kg/molを有する。分散物は19mm/103秒の針入度を有した。分散物を80℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0118】
(実施例15)
20部の約62.8〜65.6℃の融解範囲を有するセレシンワックス(Strahl & Pitschから商品名SP1022Pで供給される)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。10ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は4分後、0.007部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、ペーストを形成した。シロキサンはMn282kg/mol及びMw360kg/molを有する。分散物は35mm/103秒の針入度を有した。分散物を70℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0119】
(実施例16)
20部の約64〜68℃の融解範囲を有するシリコーン樹脂ワックス(Dow Corningから商品名SW−8005で供給される)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は21分後、0.013部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却した。重合ポリジメチルシロキサンはMn318kg/mol及びMw404kg/molを有する。分散物は57mm/103秒の針入度を有した。分散物を80℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0120】
(実施例17)
20部の約74.4〜77.2℃の融解範囲を有するオゾケライトワックス(Strahl & Pitschから商品名SP−1021Dで供給される)を80部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと75℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。10ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は2分後、0.007部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却した。重合ポリジメチルシロキサンはMn187kg/mol及びMw260kg/molを有する。分散物は25mm/103秒の針入度を有した。分散物を90℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0121】
(実施例18)
10部の約28〜38℃の融解範囲を有するシアバター(Dow Corningから商品名HY−3003で供給される)を90部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。5ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は2分後、0.004部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。バター及び高分子量ポリジメチルシロキサンの液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、ペーストを形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn254kg/mol及びMw326kg/molを有する。分散物は93mm/103秒の針入度を有した。分散物を50℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0122】
(実施例19)
実施例18を20部のシアバターと80部のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンとを用い、10ppmの触媒を添加して繰り返した。重合は2分後、0.007部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。生成される重合ポリジメチルシロキサンはMn383kg/mol及びMw464kg/molを有する。分散物は56mm/103秒の針入度を有した。分散物を50℃で4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0123】
(実施例20)
20部のDow CorningからのDow HY−3003シアバターを60部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン及び20部の「Gemseal 25」(Totalより供給される)化粧品グレード鉱油と70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は4分後、0.010部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス、高分子量ポリジメチルシロキサン及び鉱油の液/液分散物を生成し、室温まで冷却し、ペースト状物質を形成した。重合ポリジメチルシロキサンはMn419kg/mol及びMw569kg/molを有する。分散物は164mm/103秒の針入度を有した。
【0124】
(実施例21)
30部の60〜70℃の融点を有するパラフィンワックス(Sasolより販売される6805)を70部の25℃で70mPa・sの粘度を有するジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。100万分の10部(ppm)のジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は8分後、0.006部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス及び増加した分子量のポリジメチルシロキサンポリマーの液/液分散物を生成した。生成された分散物を室温まで冷却した。分散物中の重合ポリジメチルシロキサンはMn568kg/mol及びMw738kg/molを有する。分散物は23mm/103秒の針入度を有した。
【0125】
(実施例22)
20部のParaflex 4750Aパラフィンワックスを80部の実施例1のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。20ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加し、重合は1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。触媒の添加の3分後、5部の香料(fraicheur des sommets)を添加した。重合は5分(総重合時間)後、0.008部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。ワックス、香料及び増加した分子量のポリジメチルシロキサンポリマーの液/液分散物を生成した。生成された分散物を室温まで冷却し、ワックス、香料及び高分子量ポリジメチルシロキサンの分散物を形成した。分散物中の重合ポリジメチルシロキサンはMn101kg/mol及びMw149kg/molを有する。分散物は164mm/103秒の針入度を有した。
【0126】
(実施例23)
18部のParaflex 4750Aパラフィンワックスを72部の実施例1のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。10ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加し、重合を1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は5分(総重合時間)後、0.004部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。10部の香料(Aldrichより供給されるラベンダー油)を熱性分散物に撹拌下で添加した。ワックス、香料及び増加した分子量のポリジメチルシロキサンポリマーの液/液分散物を生成した。生成された分散物を室温まで冷却し、ワックス、分散した香料及び高分子量ポリジメチルシロキサンの分散物を形成した。分散物中の重合ポリジメチルシロキサンはMn147kg/mol及びMw215kg/molを有する。分散物は38mm/103秒の針入度を有した。分散物は80℃を4時間保存し、マクロ相分離のいずれの兆しも示すことなく室温まで冷却した。
【0127】
(実施例24)
18部のパームワックス(IgiWaxより販売されるR2778A)を72部の実施例1のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンと70℃で混合及び溶解し、液/液分散物を形成した。10ppmのジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加し、重合を1lガラス反応器において70℃、真空下で行った。重合は6分(総重合時間)後、0.004部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。10部の香料(Aldrichより供給されるラベンダー油)を熱性分散物に撹拌下で添加した。ワックス、香料及び増加した分子量のポリジメチルシロキサンポリマーの液/液分散物を生成した。生成された分散物を室温まで冷却し、ワックス、分散した香料及び高分子量ポリジメチルシロキサンの分散物を形成した。分散物中の重合ポリジメチルシロキサンはMn111kg/mol及びMw167kg/molを有する。分散物は149mm/103秒の針入度を有した。
【0128】
(実施例25a〜c)
油中水型のフェイシャルクリームを実施例8、14及び19において調製された混合物を用いて調製した。配合は以下の表に示す。


【表4】

【0129】
以下の方法を用いた:
1.A相成分をともに混合、溶解するまで水浴下で85℃まで加熱
2.B相成分をともに混合、85℃まで加熱
3.B相をA相に1000rpmで徐々に添加
4.B相をすべて添加する場合、さらに5分間1800〜2000rpmで混合
5.徐々に混合しながら室温まで冷却
【0130】
すべてのフェイシャルクリーム製剤は少なくとも1か月間室温及び40℃で均質かつ安定だった。
【0131】
(実施例26)
800部の実施例1のジメチルヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンを200部の約32℃の融点を有するシリコーンワックス(Dow Corningより販売される2503)及び0.64部のメチルトリメトキシシラン(MTM)と70℃で混合した。100万分の20部(ppm)のジクロロメタン中に希釈した[Cl(PCl=N)PCl[PClを触媒として添加した。重合は1lガラス反応器(IKA)において70℃、真空下で行った。重合は54分後、0.08部のトリヘキシルアミンの添加により停止した。分岐ポリジメチルシロキサンとシリコーンワックスとの混合物を生成した。分岐ポリジメチルシロキサンはMn112kg/mol及びMw176kg/molを有する。混合物は324000mPa・sの粘度を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合において、オルガノポリシロキサンが溶融ワックスを含有する混合物中にあり、これにより該ワックスと増加した分子量のオルガノポリシロキサンとの混合物を形成することを特徴とする、オルガノポリシロキサンの重合方法。
【請求項2】
前記オルガノポリシロキサンが少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル又は加水分解性基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンであり、ヒドロキシル若しくは加水分解性基の触媒縮合により重合してシロキサン結合を形成すること、前記オルガノポリシロキサンが環状オルガノポリシロキサンを含み、該環状オルガノポリシロキサンの開環の触媒プロセスにより重合してシロキサン結合を形成すること、又は、前記オルガノポリシロキサンが少なくとも1つのケイ素に結合したヒドロキシル若しくは加水分解基を含有する実質的に線状のオルガノポリシロキサンと1分子当たり平均3つ以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランとの混合物であり、該実質的に線状のオルガノポリシロキサンと該アルコキシシランとの触媒シロキサン縮合により重合して分岐オルガノポリシロキサン構造を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実質的に線状のオルガノポリシロキサンが、ケイ素に結合した末端ヒドロキシル基を有し、10mPa・s〜500mPa・sの粘度を有するポリジメチルシロキサンであることを特徴する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記重合が、ホスファゼン触媒、ルイス酸又は塩基により触媒されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ホスファゼン触媒が、式
[ClP−(N=PClCl]
(ここで、nは1〜10の範囲内の平均値を有し、Zは式MXv+1(式中、Mは1.0〜2.0のポーリングスケール上の電気陰性度及び価数vを有する元素であり、Xはハロゲン原子)のアニオンを表す。)のペルクロロオリゴホスファゼニウム塩、式Cl(PCl=N)−P(O)Cl若しくはHO(PCl=N)−P(O)Cl(ここで、nは1〜10の範囲内の平均値を有する)の酸素含有クロロホスファゼン、又は、R”SiO(PCl=N)−P(O)Cl(式中、各R”は1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素又は置換炭化水素基を表し、nは1〜10の範囲内の平均値)の式をもつ有機ケイ素ラジカルを含有する酸素含有クロロホスファゼンであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記オルガノポリシロキサンが、ヒドロシリル化反応によりSi−H基を有するシラン又はシロキサン物質と重合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンを含むか、又は、ヒドロシリル化反応により少なくとも2つのアルケニル基を含有する有機化合物と重合するSi−H基を有するオルガノポリシロキサンを含み、該ヒドロシリル化反応が白金族触媒の存在下でもたらされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生成される増加した分子量の前記オルガノポリシロキサンが、前記出発オルガノポリシロキサンの少なくとも10倍の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ワックスが30〜80℃の範囲内の融点を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ワックスが、炭化水素ワックス、エステルワックス又はシリコーンワックスであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記重合中に存在するオルガノポリシロキサンのワックスに対する重量比が95:5〜50:50であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記反応生成物を冷却して前記ワックス及び前記重合オルガノポリシロキサンの混合物を含むペースト又は固体を形成することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ワックスと該ワックスの存在下での重合により形成されたオルガノポリシロキサンとの混合物であって、好適には該オルガノポリシロキサンが少なくとも100,000の重量平均分子量を有する、混合物。
【請求項13】
前記混合物が、前記ワックスの融点より高い温度で加熱されたとき、マクロ相分離に反して不変であることを特徴とする、請求項12に記載の混合物。
【請求項14】
ワックスと該ワックスの存在下での重合により形成されたオルガノポリシロキサンとの混合物の、カラー化粧品、ヘアスタイリング助剤における、マトリックス物質又は熱可塑性物質の添加剤としての使用。
【請求項15】
ワックスと該ワックスの存在下での重合により形成されたオルガノポリシロキサンとの混合物の、石膏板、繊維セメント板又は木材粒子板の疎水剤としての使用。

【公表番号】特表2012−522091(P2012−522091A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502644(P2012−502644)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054221
【国際公開番号】WO2010/115783
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】