説明

オーディオ連携経路案内システム及びオーディオ連携経路案内方法

【課題】音声案内が行われるのに伴って、運転者が不快感を持ってしまうことがなく、適正なタイミングで音声案内が出力されるようにする。
【解決手段】音楽データを取得する音楽データ取得処理手段と、取得された音楽データを走査して走査変量を取得する音楽データ走査処理手段と、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出する音声案内適正部分検出処理手段と、音声案内の優先度を判定する優先度判定処理手段と、優先度に応じて音声案内を実行する音声案内実行処理手段とを有する。音楽データを走査して走査変量を取得し、走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出し、音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定し、該優先度に応じて音声案内を実行するので、音声案内が行われるのに伴って、運転者が不快感を持ってしまうことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオ連携経路案内システム及びオーディオ連携経路案内方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、運転者が目的地を入力し、探索条件を設定すると、該探索条件に基づいて、経路探索処理が行われ、地図データに従って現在地で表される出発地から目的地までの経路が探索される。そして、探索された経路、すなわち、探索経路は、表示部に形成された地図画面上に自車位置と共に表示され、探索経路の案内、すなわち、経路案内が行われる。したがって、運転者は表示された探索経路に沿って車両を走行させることができる。
【0003】
ところで、オーディオ機器とナビゲーション装置とが連携して動作するようにしたオーディオ連携経路案内システムにおいては、運転者がオーディオ機器をオンにして、例えば、音楽を音声出力装置から出力させているときに、音声による経路案内等が音声案内として曲中に出力されると、音楽を十分に楽しめなくなってしまう。しかも、優先度が低い音声案内が曲中に出力されると運転者が不快感を持ってしまうことがある。
【0004】
そこで、音楽データに基づいて音楽を出力しているときに、音楽データの周波数成分を読み込み、出力されている音楽が、音声のない曲の間奏部分、又は曲と曲との間の曲間部分になったかどうかを判断し、間奏部分又は曲間部分で音声案内を出力させるようにしたオーディオ連携経路案内システムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−117176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のオーディオ連携経路案内システムにおいては、優先度が高い音声案内を間奏部分又は曲間部分で出力させると、適正なタイミングで音声案内が出力されず、探索経路に沿って車両を走行させることができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、前記従来のオーディオ連携経路案内システムの問題点を解決して、音声案内が行われるのに伴って、運転者が不快感を持ってしまうことがなく、適正なタイミングで音声案内が出力されるオーディオ連携経路案内システム及びオーディオ連携経路案内方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明のオーディオ連携経路案内システムにおいては、音楽データを取得する音楽データ取得処理手段と、取得された音楽データを走査して走査変量を取得する音楽データ走査処理手段と、前記走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出する音声案内適正部分検出処理手段と、前記音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定する優先度判定処理手段と、前記優先度に応じて音声案内を実行する音声案内実行処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音楽データを走査して走査変量を取得し、走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出し、音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定し、該優先度に応じて音声案内を実行するので、音声案内が行われるのに伴って、運転者が不快感を持ってしまうことがなく、適正なタイミングで音声案内が出力される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態におけるオーディオ連携経路案内システムを示す図である。
【0011】
図において、11はオーディオ連携経路案内システム、12はオーディオ機器、14は、該オーディオ機器12に接続され、オーディオ機器12と連携させて車両に搭載された車載装置としての、かつ、情報端末としてのナビゲーション装置であり、該ナビゲーション装置14は、図示されないネットワークを介して情報提供者としての情報センタと接続される。
【0012】
前記ナビゲーション装置14は、図示されないGPS(Global Positioning System)センサから成り、車両の現在地を自車位置として検出し、車両の方位を自車方位として検出し、時刻を検出する現在地検出装置15、地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としての記憶装置16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行う制御装置17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための入力部としての入力装置34、図示されない画面上に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための出力部としての表示装置35、音声によって各種の情報を運転者に通知するための音声出力部としての音声出力装置37、及び通信端末として機能する送受信部としての送受信装置38を備え、前記制御装置17に、現在地検出装置15、記憶装置16、入力装置34、表示装置35、音声出力装置37及び送受信装置38が接続される。
【0013】
なお、前記現在地検出装置15は車両の方位を自車方位として検出する自車方位検出部としての機能を有するが、現在地検出装置15とは別に自車方位検出部としての自車方位センサを配設することができる。また、前記入力装置34は、運転者が音声によって所定の入力を行うための音声入力部としても機能する。
【0014】
また、前記オーディオ機器12は、前記制御装置17及び音声出力装置37に接続され、オーディオ機器12の全体の制御を行うオーディオ制御装置21、並びに該オーディオ制御装置21に接続されたMDユニット22及びCDユニット23を備える。前記MDユニット22は音楽データが記録された記録媒体としての図示されないMDに録音された音楽を再生し、CDユニット23は音楽データが記録された記録媒体としての図示されないCDに録音された音楽を再生する。また、前記制御装置17には、車速を検出する車速検出部としての図示されない車速センサが接続される。
【0015】
前記記憶装置16は、地図データファイルから成る地図データベースを備え、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0016】
前記記憶装置16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。
【0017】
本実施の形態においては、前記記憶装置16に、前記地図データベース等が配設されるようになっているが、前記情報センタにおいて、前記地図データベース等を配設することもできる。
【0018】
また、前記制御装置17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としての図示されないCPU、該CPUが各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用される図示されないRAM、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録された図示されないROM、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM、ROM、フラッシュメモリ等によって記憶部が構成される。なお、ナビゲーション装置14、ネットワーク、情報センタ等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0019】
前記入力装置34として、表示装置35とは独立に配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記入力装置34として、前記表示装置35に形成された画面上に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにした図示されないタッチパネルを使用することができる。
【0020】
前記表示装置35として図示されないディスプレイが使用され、表示装置35に形成された各種の画面に、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向を表示したりすることができる。
【0021】
また、音声出力装置37は図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力装置37から、前記探索経路の案内、すなわち、経路案内のほかに、案内情報、交通情報等が、例えば、音声合成装置によって合成された音声で、音声案内として出力される。なお、本実施の形態において、音声出力装置37は、オーディオ機器12の音声出力装置としても機能し、オーディオ機器12において再生された音楽、オーディオ機器12において電波によって受信された音楽等を出力する。
【0022】
前記送受信装置38は、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の図示されない道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、FM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。そして、送受信装置38は、前記情報センタから、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータのほか、交通情報、一般情報等の各種の情報をネットワークを介して受信することができる。なお、前記交通情報は、渋滞地点等の渋滞情報、通行止め地点、工事地点等の案内情報等から成り、渋滞情報は、渋滞開始点の座標、渋滞開始点からの距離、渋滞の程度を表す渋滞度等から成り、案内情報は、通行止め地点、工事地点等の座標、区間等から成る。
【0023】
なお、前記ナビゲーションシステム、制御装置17、CPU等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。
【0024】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0025】
まず、運転者によって入力装置34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、前記制御装置17のCPUのナビ初期化処理手段は、ナビ初期化処理を行い、現在地検出装置15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。次に、前記CPUのマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた現在地の軌跡、自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0026】
続いて、前記CPUの基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、記憶装置16から読み出して取得するか、又は送受信装置38を介して情報センタ等から受信して取得する。なお、地図データを情報センタ等から取得する場合、前記基本情報取得処理手段は、受信した地図データをフラッシュメモリにダウンロードする。
【0027】
そして、前記CPUの表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示装置35に各種の画面を形成する。例えば、表示処理手段の地図表示処理手段は、地図表示処理を行い、表示装置35に地図画面を形成し、該地図画面上に周囲の地図を表示するとともに、自車位置及び自車方位を表示する。
【0028】
したがって、運転者は、前記地図、自車位置及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0029】
また、運転者が入力装置34を操作して目的地を入力すると、前記CPUの目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することができる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することもできる。続いて、運転者が入力装置34を操作して探索条件を入力すると、前記CPUの探索条件設定処理手段は、探索条件設定処理を行い、探索条件を設定する。
【0030】
このようにして目的地及び探索条件が設定されると、前記CPUの経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、記憶装置16から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地、探索データ等に基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。このとき、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。なお、前記情報センタにおいて経路探索処理を行うことができる。
【0031】
続いて、前記CPUの案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。
【0032】
ところで、前記経路案内においては、所定の交差点で車両を右左折させる必要がある場合、前記交差点が案内地点として、かつ、案内交差点として設定される。そのために、前記案内処理手段の案内地点設定処理手段は、案内地点設定処理を行い、経路データに従って、すなわち、前記探索経路に基づいて、車両を右左折させる必要がある交差点があるかどうかを判断し、車両を右左折させる必要がある交差点がある場合、該交差点を案内交差点として設定する。
【0033】
次に、前記案内処理手段の案内地点拡大図形成処理手段は、案内地点拡大図形成処理を行い、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、案内地点拡大図としての交差点拡大図を形成し、交差点拡大図による経路案内を行う。そのために、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車位置側)の、設定された距離だけ離れた箇所に、案内地点拡大図表示地点が設定され、車両が案内地点拡大図表示地点に到達すると、前記交差点拡大図が表示される。
【0034】
この場合、該交差点拡大図に、案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。なお、高速道路、都市高速道路、有料道路等の自動車専用の有料道において、ジャンクション等と合流したり分岐したりする交差点も案内交差点として設定される。
【0035】
また、複数のレーンが形成された道路が探索経路に含まれる場合、前記案内処理手段はレーン案内を行う。そのために、前記CPUの推奨レーン算出処理手段は、推奨レーン算出処理を行い、探索経路を読み込むとともに、交差点データ、レーンデータ等を読み出し、探索経路、交差点データ、レーンデータ等に基づいて、探索経路上の各道路における推奨レーンを算出し、レーン番号を取得する。
【0036】
そして、前記案内処理手段のレーン表示処理手段は、レーン表示処理を行い、地図画面の所定の領域にレーン案内図を形成し、レーン案内図に道路の各レーンを表示するとともに、前記推奨レーンを表示し、車両を走行レーンから推奨レーンに誘導する。
【0037】
また、案内交差点に進入する道路(以下「進入道路」という。)、又は案内交差点から退出する道路(以下「退出道路」という。)に複数のレーンが形成されている場合、前記案内地点拡大図形成処理手段は、交差点拡大図に、案内交差点に進入するのに好ましいレーン、及び案内交差点から退出するのに好ましいレーンを、前記推奨レーンとして表示する。
【0038】
そして、前記案内処理手段の案内出力地点設定処理手段は、案内出力地点設定処理を行い、探索経路上の前記案内交差点より手前の設定された距離、本実施の形態においては、2〔km〕の区間に、一つ以上、本実施の形態においては、複数の案内出力地点を設定し、各案内出力地点に車両が到達すると、前記CPUの音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、案内交差点について、案内出力地点ごとにあらかじめ設定された内容の経路案内を、音声出力装置37からの音声、すなわち、案内フレーズで出力する。
【0039】
なお、前記案内地点としては、前記案内交差点のほかに、探索経路上で運転者に道路の状況を通知して注意を喚起したりするための、案内情報の対象となる地点、例えば、通行止め地点、道路工事地点等が含まれるほかに、交通情報の対象となる地点、例えば、渋滞地点が含まれる。
【0040】
したがって、前記案内出力地点設定処理手段は、通行止め地点より手前の設定された距離の区間に、一つ以上の案内出力地点を設定したり、渋滞地点より手前の設定された距離の区間に、一つ以上の案内出力地点を設定したりすることができる。
【0041】
ところで、本実施の形態においては、オーディオ機器12とナビゲーション装置14とが連携して動作するようになっているが、このような、オーディオ連携経路案内システム11においては、運転者がオーディオ機器12をオンにして、例えば、音楽を音声出力装置37から出力させているときに、音声による経路案内等が音声案内として曲中に出力されると、音楽を十分に楽しめなくなってしまう。しかも、優先度が低い音声案内が曲中に出力されると運転者が不快感を持ってしまうことがある。
【0042】
そこで、本実施の形態においては、前記音声出力処理手段は、音楽における音声案内を出力するのに適した部分、すなわち、音声案内適正部分を検出し、音声案内の優先度を表すプライオリティを判定し、該プライオリティに応じて音声案内適正部分で音声案内を出力するようにしている。
【0043】
次に、前記音声出力処理手段の動作について説明する。
【0044】
図2は本発明の実施の形態における音声出力処理手段の動作を示す第1のフローチャート、図3は本発明の実施の形態における音声出力処理手段の動作を示す第2のフローチャートである。
【0045】
まず、音声出力処理手段の音楽データ取得処理手段は、音楽データ取得処理を行い、音楽が再生される前に、MDユニット22(図1)にセットされているMD、CDユニット23にセットされているCD等に記録された音楽データを読み出し、取得する。この場合、次の曲について音楽データを読み出すようにしているが、すべての曲について読み出すことができる。
【0046】
次に、前記音声出力処理手段の音楽データ走査処理手段は、音楽データ走査処理を行い、取得された音楽データを走査し、次の曲における音声案内適正部分を検出するための走査変量として周波数成分の推移を取得する。
【0047】
続いて、前記音声出力処理手段の音声案内適正部分検出処理手段は、音声案内適正部分検出処理を行い、前記周波数成分の推移を読み込み、周波数成分の推移に基づいて、次の曲における音声案内適正部分を検出する。
【0048】
ところで、前記周波数成分は、横軸に周波数を、縦軸に出力レベルを採ったとき、各周波数ごとに異なる出力レベルで表される。そして、前記周波数成分の推移は、各周波数ごとに異なる出力レベルを時系列に採ったものになる。なお、本実施の形態において、周波数成分の出力レベルは、音声案内適正部分を検出するための走査変量を構成する。
【0049】
したがって、例えば、音声のない曲の間奏部分、音声の弱いさびではない部分(以下「非さび部分」という。)等においては、音声の周波数の領域の出力レベルが、演奏の周波数の領域の出力レベルより低くなる所定の時間、例えば、10秒間継続する。
【0050】
そこで、前記音声案内適正部分検出処理手段は、音声の周波数の領域の出力レベルが演奏の周波数の領域の出力レベルより低くなる所定の時間継続したかどうかを判断し、所定の時間継続した場合、間奏部分、非さび部分等の音声案内適正部分の時間帯(音声案内適正部分の開始タイミングから終了タイミングまでの時間)を検出する。
【0051】
また、曲と曲との間の曲間部分等においては、各周波数の領域の出力レベルが零(0)である状態が所定の時間継続する。
【0052】
そこで、前記音声案内適正部分検出処理手段は、各周波数の領域の出力レベルが零である状態が所定の時間継続したかどうかを判断し、所定の時間継続した場合、曲間部分等の音声案内適正部分の時間帯(音声案内適正部分の開始タイミングから終了タイミングまでの時間)を検出する。
【0053】
続いて、前記音声出力処理手段の音声案内適正部分記録処理手段は、音声案内適正部分記録処理を行い、音声案内適正部分を前記RAMに記録する。この場合、MD、CD等の再生を開始するタイミングを基準点として、該基準点から各音声案内適正部分の開始タイミングまでの時間、及び各音声案内適正部分の時間帯が記録される。
【0054】
なお、前記音声案内適正部分検出処理手段は、音声案内適正部分を検出するための走査変量として音域等を検出して、音声が出力されていない時間帯を検出し、音声案内適正部分を検出することができる。また、所定の周期(例えば、5秒)ごとに周波数成分の推移を取得することができる。その場合、音声案内適正部分検出処理の負荷を小さくすることができる。
【0055】
本実施の形態においては、次の曲の再生が開始される前に音声案内適正部分検出処理が行われるようになっているが、MDユニット22又はCDユニット23にピックアップを2個配設し、再生が行われている間に次の曲の音楽データに基づいて、次の曲について音声案内適正部分検出処理を行うことができる。ハードディスクに音楽データが記録されている場合は、マルチ処理が可能であり、一つのピックアップを配設するだけで、再生が行われている間に次の曲の音楽データに基づいて、次の曲について音声案内適正部分検出処理を行うことができる。
【0056】
このように、各音声案内適正部分がRAMに記録されると、前記案内処理手段の案内地点検出処理手段は、案内地点検出処理を行い、探索経路上の案内地点である案内交差点を検出する。
【0057】
続いて、前記音声出力処理手段の優先度判定処理手段は、優先度判定処理を行い、案内出力地点における音声案内の内容に基づいて、音声案内のプライオリティを判定する。そのために、前記優先度判定処理手段は、次の案内出力地点における音声案内について優先度が低いかどうかを判断する。
【0058】
なお、優先度は、例えば、重要な音声案内、緊急の音声案内等のように、音声案内を直ちに行うのが好ましい場合に高くされ、例えば、格別に重要ではない音声案内、緊急を要しないの音声案内等のように、音声案内を直ちに行う必要がない場合に低くされ、音声案内の内容と優先度とが優先度テーブルとしてROMに設定される。
【0059】
また、案内出力地点が案内目標点の直前の案内出力地点ではない場合の、案内目標点を予告する音声案内を予告案内といい、優先度は低い。これに対して、案内出力地点が案内交差点より一つ手前の案内出力地点である場合の、案内交差点を直前で通知する音声案内を直前案内といい、優先度は高い。
【0060】
例えば、前記優先度判定処理手段は、次の案内出力地点の音声案内は予告案内であるかどうかを判断し、前記優先度テーブルを参照し、予告案内である場合、優先度は低いと判断し、直前案内である場合、優先度は高いと判断する。
【0061】
そして、次の案内出力地点の音声案内が、例えば、直前案内である場合、優先度が高いので、前記音声出力処理手段の音声案内実行処理手段は、音声案内実行処理を行い、車両が次の案内出力地点に到達したかどうかを判断し、車両が次の案内出力地点に到達した場合、音声案内を実行する。例えば、案内地点が案内交差点である場合、音声案内実行処理手段は、「300m先右折です。」、「まもなく右折です。」等の音声フレーズを出力する。また、案内地点が通行止め地点である場合、音声案内実行処理手段は、「500m先通行止めです。」等の音声フレーズを出力する。
【0062】
一方、次の案内出力地点の音声案内が、例えば、予告案内である場合、優先度が低いので、前記音声出力処理手段の案内時間帯算出処理手段は、案内時間帯算出処理を行い、自車位置、時刻、車速、案内出力地点の座標等を読み込み、予告案内が行われる時間帯(予告案内の開始タイミングから終了タイミングまでの時間)を算出し、予測する。
【0063】
続いて、前記音声出力処理手段の音声案内適正部分時間帯取得処理手段は、音声案内適正部分時間帯取得処理を行い、時刻を読み込むとともに、RAMから各音声案内適正部分の時間帯等を読み出すことによって取得する。
【0064】
そして、前記音声出力処理手段の時間帯判定処理手段は、時間帯判定処理を行い、予告案内が行われる時間帯、及び各音声案内適正部分の時間帯を読み込み、予告案内が行われる時間帯と各音声案内適正部分の時間帯とで、予告案内を音声フレーズで出力するために必要な時間、例えば、15秒以上重なる時間帯があるかどうかを判断する。15秒以上重なる時間帯がある場合、前記時間帯判定処理手段は、15秒以上重なる時間帯に対応する音声案内適正部分の時間帯を、音声案内を実行する時間帯の候補、すなわち、音声案内候補時間帯として設定し、RAMに記録する。
【0065】
次に、前記音声案内実行処理手段は、前記音声案内候補時間帯のうちの最も早い音声案内候補時間帯を読み込み、最も早い音声案内候補時間帯に入るのを待機する。なお、最も早い音声案内候補時間帯に入るタイミングより所定の時間、例えば、15秒前のタイミングになるのを待機することができる。
【0066】
続いて、最も早い音声案内候補時間帯に入ると、前記音声案内実行処理手段は、自車位置に基づいて予告案内の音声案内を実行することができるかどうかを判断する。そのために、前記音声案内実行処理手段は、案内交差点より手前の、所定の区間、例えば、1200〔m〕〜500〔m〕の区間を音声出力可能区間とし、自車位置が音声出力可能区間にあるかどうかを判断し、車両が音声出力可能区間にある場合、音声案内を実行することができると判断する。
【0067】
次に、音声案内を実行することができる場合、前記音声案内実行処理手段は、自車位置に応じた、すなわち、自車位置から案内交差点までの距離に応じた音声案内を実行する。例えば、自車位置から案内交差点までの距離が800〔m〕である場合、「800m先、左方向です。」等の音声フレーズを出力することができる。また、「およそ3km先右折です。」、「しばらく道なりです。」等の音声フレーズを出力することができる。
【0068】
なお、前記音声出力処理手段の出力調整処理手段は、出力調整処理を行い、音声案内が実行されている間、音楽の音量を低くしたり、スピーカが複数、例えば、二つある場合、音楽を一方のスピーカで、音声案内を他方のスピーカで出力することができる。
【0069】
このように、本実施の形態においては、音楽データを走査して走査変量を取得し、該走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出し、音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定し、優先度に応じて音声案内が実行される。したがって、音楽を音声出力装置から出力させているときに、優先度が低い音声案内が曲中に出力されなくなるので、運転者が不快感を持ってしまうのを防止することができる。
【0070】
また、優先度が高い音声案内の場合には、車両が次の案内出力地点に到達したときに、音声案内が実行されるので、適正なタイミングで音声案内が出力される。したがって、探索経路に沿って車両を円滑に走行させることができる。
【0071】
次に、図2のフローチャートについて説明する。
ステップS1 次の曲の周波数成分の推移を取得する。
ステップS2 次の曲の音声案内適正部分を検出する。
ステップS3 次の曲の音声案内適正部分を記録し、リターンする。
【0072】
次に、図3のフローチャートについて説明する。
ステップS11 探索経路上で次の案内交差点を検出する。
ステップS12 次の音声案内は予告案内であるかどうかを判断する。次の音声案内は予告案内である場合はステップS13に、予告案内でない場合はステップS14に進む。
ステップS13 予告案内の時間帯を算出する。
ステップS14 案内出力地点で音声案内を実行し、リターンする。
ステップS15 音声案内適正部分の時間帯を取得する。
ステップS16 15秒以上重なる時間帯があるかどうかを判断する。15秒以上重なる時間帯がある場合はステップS17に進み、15秒以上重なる時間帯がない場合はリターンする。
ステップS17 最も早い音声案内候補の時間帯を読み込む。
ステップS18 最も早い音声案内候補の時間帯に入るのを待機し、最も早い音声案内候補の時間帯に入る場合はステップS19に進む。
ステップS19 予告案内の音声案内を実行することができるかどうかを判断する。予告案内の音声案内を実行することができる場合はステップS20に、できない場合はステップS21に進む。
ステップS20 自車位置に応じた音声案内を実行し、リターンする。
ステップS11 予告案内実行範囲より手前であるかどうかを判断する。予告案内実行範囲より手前である場合はステップS18に戻り、手前でない場合はリターンする。
【0073】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施の形態におけるオーディオ連携経路案内システムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における音声出力処理手段の動作を示す第1のフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における音声出力処理手段の動作を示す第2のフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
11 オーディオ連携経路案内システム
17 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽データを取得する音楽データ取得処理手段と、取得された音楽データを走査して走査変量を取得する音楽データ走査処理手段と、前記走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出する音声案内適正部分検出処理手段と、前記音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定する優先度判定処理手段と、前記優先度に応じて音声案内を実行する音声案内実行処理手段とを有することを特徴とするオーディオ連携経路案内システム。
【請求項2】
前記優先度判定処理手段は、案内地点より手前に設定された案内出力地点における音声案内の優先度を判定する請求項1に記載のオーディオ連携経路案内システム。
【請求項3】
前記優先度が高い場合、前記音声案内実行処理手段は、前記案内出力地点で音声案内を実行する請求項2に記載のオーディオ連携経路案内システム。
【請求項4】
前記優先度が低い場合に、音声案内が行われる時間帯、及び音声案内適正部分の時間帯に基づいて、音声案内を実行する時間帯の候補である音声案内候補時間帯として設定する時間帯判定処理手段を有するとともに、前記音声案内実行処理手段は、最も早い音声案内候補時間帯で音声案内を実行する請求項1に記載のオーディオ連携経路案内システム。
【請求項5】
前記音声案内実行処理手段は、自車位置に応じた内容の音声案内を行う請求項1に記載のオーディオ連携経路案内システム。
【請求項6】
音楽データを取得し、取得された音楽データを走査して走査変量を取得し、該走査変量に基づいて、音声案内を出力するのに適した音声案内適正部分を検出し、前記音声案内の内容に基づいて、音声案内の優先度を判定し、該優先度に応じて音声案内を実行することを特徴とするオーディオ連携経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−122495(P2008−122495A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303766(P2006−303766)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】