説明

オーバーコートを有するエコー源性コーティング

非気体媒質中に挿入するための、超音波により視認可能な固体装置であって、前記装置が標的媒質中にある場合に気体を捕捉する構造を有するエコー源性表面を含み、捕捉された気体は前記装置を超音波により視認可能とし、ここで、気体捕捉構造は、該構造に捕捉された気体の圧縮性を著しく減少させない可撓性オーバーコートで被覆されている、前記装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体医用装置のエコー源性(echogenic)コーティング、及びその調製方法に関する。本コーティングは、エコー源性不規則性が含まれ、超音波画像診断法を用いて観た場合の装置の鮮明度を劇的に改善する。
【背景技術】
【0002】
超音波画像化は用途が多い。この技術は、診断用超音波操作がCT又はMRIのような他のディジタル画像診断技術より安全であり、患者に非常に受け入れられかつ高価でないことから医用画像化用途に特に有効である。また、機器は広く利用でき、画像はリアルタイムで描出される。しかしながら、現在、超音波のコントラスト分解能は他の技術ほど良くない。従って、画像品質の改善がこの技術の急速な成長への道を開いている。
種々の超音波造影剤は既知である。それらは、Violante&Parkerの出願番号第08/384,193号に記載された一様なサイズの非凝集多孔性粒子が含まれている。かかる造影剤は、注入される標的組織の鮮明度を高めることができるが、挿入可能な医用装置の超音波鮮明度を高めることはできない。
多くの医療方法においては、組織又は通路内に、特に膿瘍、嚢胞、腫瘍のような疑いのある病巣内に、又は腎臓又は肝臓のような個々の臓器内に装置を正確に配置する能力が患者の診断又は治療をやり遂げるために極めて重要である。かかる装置は、針、カテーテル、ステント、拡張器、挿入器、血管造影及び血管形成装置、ペースメーカー、ポンプのような患者内器具、及び人工関節が含まれる。微細針生検、体液ドレナージ、血管造影、血管形成、羊水穿刺のためのカテーテル配置、又は薬剤送達が医用装置の正確な配置を必要とする医療操作の数例である。不正確な装置の配置は、操作を繰り返すことが必要となり、よって医療ケアコストや患者の不快感を増し、生検針が病巣を外す場合には反対の偽の診断を引き起こす場合もある。更に悪い置き間違いは患者に直接害がある。
カテーテルを含むたいていの医用装置の音響インピーダンスは、装置が挿入される組織と似ている。結果として、装置の鮮明度は悪く、正確な配置は不可能でなくても非常に難しくなる。装置の鮮明度に影響する他の問題は、散乱角である。例えば、ステンレス鋼針の音響インピーダンスは組織と著しく異なり、針が超音波ビームの面にある場合に超音波画像化によってかなり見えるが、針が他の軸外の角度に移動した場合には超音波ビームはトランスデューサ以外の方向に散乱し針は超音波画像化によって見えにくくなり見えないことさえもある。
【0003】
上記の問題はいずれも装置の散乱力を高める努力によって取り組んできたので超音波ビームの面が完全でない場合でさえ目に見える。米国特許第4,401,124号には、装置の先端のグルーブによって針の散乱力を高めることが記載されている。その方法はエコー散乱角を改善するが散乱シグナルの強さは理想より弱く、最適角度以外の角度のシグナルはバックグラウンドスペックルに消失する。
装置のエコー反射性を向上させる他の方法はBosleyらの米国特許第5,201,314号に示されている。その特許には、周囲の媒質と異なる音響インピーダンスを有する材料、及び散乱の改善が記載されている。該材料は、装置自体か又は金属又はガラスのような硬質粒子を含む薄い界面層である。装置表面上に形成又はエンボス加工した球状のくぼみを存在させると高散乱が生じると言われている。
その方法による問題は、界面層がプラスチック装置を形成する押出し工程中に、又はハンダ付けか又はイオンビーム堆積により生成するということであり、多くの装置に当てはまらず、高価で制御が難しい。また、ガラス又は金属と体腔間の音響特性の差異はほとんどないのでエコー反射性はほとんど増強しない。更に、記載された装置はエコー反射性が界面層の厚さより大きな直径の表面のくぼみか又は金属又はガラスボールの付加によって生じることから平滑ではない。粒子を存在させると製造工程が複雑になり、粒子の脱落、装置の故障、又は所望の効果の不安定性をまねく装置の表面を弱めることがある。かかるコーティングは市場に達しなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の要約
本発明は、生体医用装置の超音波画像化を改善するために長く求めていたことを満足させるものである。本発明のコーティングは、超音波画像化によって周囲の組織又は体液から容易に認識される高度なエコー源性装置を与える。
本発明は、以前の努力が達しなかった目的の表面の超音波鮮明度を高める広く適用できる方法を与えることで成功するものである。本発明は、従来の技術の2つの問題点を音響不規則性を有するポリマー複合コーティングを被覆するという簡便で安価で再現性のある手段で解決し、配置される動物又はヒト組織と全く異なる音響インピーダンスを有する医用装置を与え(高音響インピーダンス差)かつ超音波散乱を高めるものである。本発明のコーティングは種々の方法で容易に行われる。固体粒子又は粒子調製物を必要とせず、従来の技術で用いた要素の機械加工も押出しも必要としない。それにもかかわらず、本発明のコーティングはエコー反射性を改善する。
音響インピーダンス差を高めかつ超音波散乱を高めるために音響不規則性を用いる粘着性の平滑なコーティングは従来の方法と異なり、以前には知られてなく示唆もされていない。かかるコーティングは、広い適用性、装置を製造した後にコーティングを被覆することができること、低コスト、均一性、及び平滑なコーティングや医薬剤を含有するコーティングのような他のコーティング技術と組合わせる適応性のような以前には評価されなかった利点を与える。
本発明に従って調製した被覆装置は、トランスデューサに対する角度にかかわらず超音波画像化によって容易に識別できる。本装置は背景の組織又は体液に対して容易に認識するので正確な位置が容易に同定される。この位置の確実性は、生検、膿瘍ドレナージ、化学療法の位置のような医療操作に非常に役立つものである。
【0005】
本発明のコーティングは、被覆表面内又は被覆表面上の相間の音響反射境界面を与える不連続の気泡や細孔のようなエコー源性の特徴が含まれる。その境界面は音響インピーダンス差が大きい、好ましくは数桁の大きさの差を与える。気泡又は他の空隙は散乱を改善するので装置はほとんどの角度で画像化される。
本発明の利点と目的は、ほとんどの生体医用装置に適用される平滑で薄い生体適合性コーティングに気泡を捕捉することにより達成される。気泡は、従来の発明によって得られるよりも大きい音響インピーダンスミスマッチ(音響インピーダンス差)を与えることが望ましい。気泡、特に直径が約10ミクロン未満の小さな気泡は安定化するのが難しく、それを生成する良好な方法も本発明の利点である。薄い、好ましくは約5〜約50ミクロン厚のコーティングに捕捉された気泡を存在させると装置表面が非常に平滑で患者又は医師がほとんど気がつかないまま装置のエコー反射性が非常に高められる。
【0006】
本発明によれば、周囲物質中に配置され超音波にかけられる場合に物体のエコー反射性を高める一般的方法は、膜形成成分を含むコーティング液を供給する工程;該コーティング液を該物体に被覆する工程;該膜形成成分が固体マトリックスを含む膜を形成することができるようにする工程;及び該物体が該周囲物質中に配置される場合にエコー反射性を高める気体/非気体境界面を示すエコー源性構造を膜に与える工程を含む。エコー源性の特徴は、好ましくは、膜内に封入された不連続の圧縮性空隙、物体が周囲物質中に配置される場合に気体を捕捉することができる細孔、又は組合わせである。
本方法は、コーティング液中に反応性物質を含む工程、及び該反応性物質と気体を発生させる反応体と接触させる工程を含むことが好ましい。好適実施態様においては、反応性物質はトルエンジイソシアネート又はジイソシアネートプレポリマーのようなジイソシアネートであり、反応体は液体の水、スチーム、水蒸気、アルコール及びアミンからなる群より選ばれた水素供与体であり、気体は二酸化炭素である。他の実施態様においては、反応性物質は炭酸塩又は重炭酸塩であり、反応体は酸であり、気体は二酸化炭素であり、反応性物質はジアゾ化合物であり、反応体は紫外線であり、気体は窒素であり、反応性物質はペルオキシド化合物であり、反応体は酸、金属、熱エネルギー及び光からなる群より選ばれ、気体は酸素である。
ガスは塩素、塩化水素又は空気より蒸気圧が高い他の気体であってもよい。
【0007】
好適実施態様においては、膜形成成分は反応性ポリマー形成材料であり、被覆工程はポリマーマトリックスを生成する反応性ポリマー形成材料と気体を反応させる工程を含み、エコー源性の特徴は膜内に封入された不連続の圧縮性空隙、物体を周囲物質中に配置する場合に気体を捕捉することができる細孔、及び組合わせからなる群より選ばれた特徴を含む。
本方法は、エコー源性の特徴を与える化学的又は物理的手段によってエッチングする工程を含んでもよい。
コーティング液は、ペルフルオロカーボン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、及びコーティング液を所定の温度に加熱する際に気泡を十分に生じるだけの高い蒸気圧を有する他の材料からなる群より選ばれた化合物を含み、コーティング液又は膜を気泡を生じる所定の温度まで加熱する工程を含む。
空隙は、所定の温度に加熱する際に気泡を十分生じるだけの昇華圧を有する固体化合物をコーティング中に含み、気泡を生じる所定の温度にコーティング液又は膜を加熱することによりつくられる。
【0008】
コーティング液は約0.1〜約300ミクロン、好ましくは約1〜約50ミクロン、最も好ましくは約5〜約10ミクロンの気泡を生じるように音波処理又は撹拌され、その後にコーティング液を物体に被覆する。また、直径が数ミクロンの予め生成したポリマー気泡をコーティング液中に、よってポリマーマトリックス中に混入してもよい。他の選択は、0.1ミクロン程度の微小孔を有する直径が数ミクロンの小粒子を含むことである。
膜形成成分は、好ましくは、表面上に流延し溶媒を蒸発させる溶解したポリマー;反応性モノマー又はプレポリマーを反応させて生成したポリマー;冷却時に固化する熱硬化性溶融ポリマーである。コーティングは、重合モノマー又はプレポリマーを反応させてポリマーマトリックスと気体を生成する工程、及びポリマーマトリックスに気体を捕捉する工程及び/又は標的物質の中に挿入される場合に気体を捕捉することができる表面上に微小孔を形成させる工程が含まれる。水と反応してポリウレタンと二酸化炭素を生じるイソシアネートは一例である。
他の実施態様は、溶媒濃度がポリマーを溶解するのに十分に高くかつ非溶媒濃度がポリマーが沈殿するレベルより低いようなコーティング液を選定する工程;及びコーティング液を被覆した後に非溶媒の割合を上げて源性境界面を含むポリマーマトリックスの沈殿を生じる工程を含む。非溶媒の割合を上げる工程は、溶媒を蒸発させる、非溶媒を添加する、又はスチームを添加するものである。
【0009】
エコー源性ポリマー層を被覆する前に、プレコート及び/又はベースコートが物体に被覆される。エコー源性層を被覆した後、コーティングの高エコー反射性を消失せずに物体にトップコート層が被覆される。エコー源性層に空洞がある場合には、トップコートがその空洞に空気を捕捉することを促進するようにエコー源性層の湿潤性を低下させる。
本発明の他の態様は、液体ビヒクル、コーティング液が基体上に被覆される場合にコーティングを形成する成分、及びコーティング中に気体/非気体境界面を与える手段を含む基体上にエコー源性コーティングを与えるコーティング液である。境界面を生じる手段は、コーティング液中の気泡、反応体との反応時に気体を生成する反応性物質、及びコーティング中に気体が捕捉された固体の沈殿を生じる成分の組合わせからなる群より選ばれることが好ましい。膜形成成分は、アルブミン、カルボキシルポリマー、セルロース、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリアセテート、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリブチラール、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリシラン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオキシド、ポリスチレン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリスルホニド、ポリハロゲン化ビニル、ピロリドン、ゴム、及び熱硬化ポリマーからなる群より選ばれることが好ましい。
【0010】
固体の沈殿を生じる成分の組合わせは溶媒/非溶媒混合物及び封入形成体を含むことが好ましく、溶媒濃度はコーティング液中に封入形成体を十分に溶解するだけ高く、非溶媒濃度はコーティング液から溶媒を蒸発させる間に封入形成体をコーティング中の封入物として十分に沈殿させるだけ、そして気体を捕捉するだけ高い濃度である。
本発明の第3態様においては、物体は、基体、及び固体マトリックス及び物体が周囲物質に配置される場合に物体の表面に又は近傍に気体/非気体境界面を示すエコー源性構造を含み、該境界面が高超音波鮮明度を有する物体を与えるエコー源性表面又はコーティングを含む。気体/非気体境界面は、比率が少なくとも約25の装置の表面の音響インピーダンスミスマッチを与えることが好ましい。
境界面は、マトリックスとマトリックス内に封入された不連続の圧縮性空隙間の境界面、マトリックス上の細孔に捕捉された気体と周囲媒質間の境界面、及び組合わせからなる群より選ばれることが好ましい。マトリックスは、マトリックス中に生じかつエコー源性気体/マトリックス境界面を示す沈殿を含むことが好ましい。エコー源性構造は、大きさが0.1〜約300ミクロン、好ましくは1〜約50ミクロンの直径又は幅より選ばれた細孔、気泡、チャネル及び空洞からなる群より選ばれた空隙を含むことが好ましい。空隙は直径が約1〜約10ミクロンの細孔、幅が約5〜約50ミクロン及び長さが約20〜約500ミクロンのチャネルであることが更に好ましい。エコー源性表面は、実質的にマトリックスと空隙からなることが好ましく、固体沈殿した物質を更に含んでも良い。
【0011】
物体の表面積の好ましくは約50%未満、好ましくは約10〜約20%は空隙で構成される。空隙が気体を保持する限り、空隙のサイズ分布はコーティングのエコー反射性にほとんど影響しないと思われる。即ち、多くのサブミクロン空隙の表面も数個のマルチミクロンのサイズの空隙の表面も同じエコー反射性である。エコー反射性に寄与する鍵となる特徴は、空隙によってつくられた表面積の全%、封入される場合の空隙の圧縮率(ポリマー、厚さ及び空隙の直径によって求められる)、及び空隙が開いている場合に周囲物質に挿入されるときの空気を捕捉する能力(空隙の直径、形と吸湿性によって求められる)である。
空隙は、エコー源性層内か又はエコー源性層と上層又は標的物質間に位置される。好ましくは、空隙は圧縮性でなければならない。標的物質に直接曝露した気体が捕捉された細孔又はチャネルである場合、圧縮性であることが適している。空隙がポリマーマトリックス内に封入されるか又はトップコートによって覆われる場合、空隙を標的物質から分ける材料は、気体が依然として圧縮性であるのに十分薄くかつ十分可撓性でなければならない。硬質膜又は厚膜によって視覚化される材料から分けられた空隙はほとんどエコー反射性に寄与しないと思われる。好ましくは、空隙上をおおう可撓性は、下にある気体の圧縮性を、例えば、1桁以内の大きさでほとんど低下させないようなものである。この作用は、約5ミクロン未満、好ましくは約1〜約2ミクロンのような空隙上のコーティング材料が数ミクロンを超えない場合に最もよく達成される。
【0012】
要するに、本発明のポリマーマトリックス内に含まれるエコー源性構造は、コーティングの表面で空気を捕捉することができる開放した細孔又はチャネル、ポリマーマトリックス内に密閉された気泡又はチャネル、トップコート層で薄く覆われる細孔又はチャネル、及びポリマーマトリックス内に沈殿した気体が捕捉されている内因的に生成した固体又は半固体封入物であってもよい。
気体/非気体境界面は、マトリックス内、マトリックスと上層間、又はマトリックスと周囲物質間に位置することが好ましい。
基体は、カテーテル、針、ステント、水頭症分流器、ドレンチューブ、ペースメーカー、透析部材、小関節又は一時関節置換、泌尿器括約筋、泌尿器拡張器、長期泌尿器部材、組織結合泌尿器部材、陰茎人工器官、血管カテーテル口、末梢に挿入可能な中心静脈カテーテル、長期貫通中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、PCTA又はPTAカテーテル、及びスワン・ガンツ肺動脈カテーテルのような医用装置であることが好ましい。コーティングは、x線又は磁気共鳴画像診断のような非超音波画像診断用造影剤を更に含むことができる。
他の目的及び利点は、説明及び図面を考慮することから明らかになるであろう。
本発明は、同じ参照数字が同じ要素を全体に表している添付の図面について下記の詳細な説明を読むことにより良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
好適実施態様の詳細な説明
図面に示された本発明の好適実施態様を記載するにあたり、個々の用語は明瞭にするために用いられる。しかしながら、本発明はそのように選ばれた個々の用語に限定されるものではなく、個々の各要素が同様の目的を達成するために同様の方法で操作する技術的等価物全てを含むことが理解されるべきである。本出願に言及される論文及び特許の記載は全て各々が別個に本願明細書に含まれるかのように本願明細書に含まれる。
エコー反射性は、音響インピーダンス差による後方散乱(トランスデューサに対して後方に180°反射する)の結果である。インピーダンス差(ミスマッチ)が大きい程、エコー反射性が大きい(後方散乱)。
物質の音響インピーダンスは、圧縮率が上がるにつれて及び密度が低くなるにつれて小さくなる。従って、固体のインピーダンスは非圧縮性で密度の高いことから最も高い。気体のインピーダンスは、圧縮性で密度が高くないことから最も低い。液体は間に入る。固体は液体より約1桁の大きさまで音波ビームを妨害し、液体は気体より数桁の大きさだけ音波ビームを妨害する。従って、固体と気体間の境界面は圧縮率と密度の差異のために可能な最大音響インピーダンスミスマッチを生じる。異なる種類の固体、半固体、液体、及び気体間の境界面も小さいがかなりの程度までエコー反射性に寄与することができる。
コーティングの固有の音響インピーダンスは測定が非常に難しい。しかしながら、次の表は液体や固体と比べて気体のインピーダンスがかなり異なることを示す(密度と圧縮率の積に比例する)。一方の気体からもう一方の気体まで又は一方の固体からもう一方の固体までの小さな差は、logスケールでほとんど差がない。しかしながら、固体と気体間の桁数の大きさの差は(log)エコー源性スケールで容易に区別される。気体と固体間の音響インピーダンスのこの非常に大きな差異は本発明の利点の1態様の理由である。
【0014】

情報源:CRC Handbook of Chemistry and Physics,64th Edit.,R.C.Weast,ed.(CRC Press,Inc.Boca Raton,FL 1984);Perry's Chemical Engineers’Handbook,6th Edit.,D.W.Green,ed.(McGraw-Hill 1984);Practical Handbook of Materials Science,C.T.Lynch,ed.(CRC Press,Inc.,Boca Ratonm,FL 1989).
【0015】
一般的な物質のインピーダンスの比較によりたいていの物質はインピーダンスが数桁の大きさである気体(空気で示されている)以外は水(又は組織)と多くても1桁の大きさの違いであることが示される。


情報源:Wells,Physical Principles of Ultrasonic Diagnosis(Academic Press London,1969)の表1.4
【0016】
2つの物体間の音響インピーダンス差(又はミスマッチ)は、ここではインピーダンスが高い方の物体のインピーダンスをインピーダンスが低い方の物体のインピーダンスで割ったものを反映する比率として示される。本発明のコーティングは、好ましくは比率が少なくとも約3、更に好ましくは比率が約10、なお更に好ましくは比率が少なくとも約25(黄銅と水との間の差)、最も好ましくは比率が約100を超えるエコー源性境界面の音響インピーダンス差を与える。
本発明のエコー源性コーティングは、1種又は数種の物理的形態の組合わせをもつ複合構造である。基体上にほとんど連続の薄層を形成する材料のコーティングであり、膜と呼ばれる。ポリマーの完全な固体混合物であってもよく、空隙のような固有の反響するエコー源性の特徴が含まれる。空隙は、基体に対する膜の接着を損なうことなく膜に不連続があってもよい。
本発明の膜形成成分は、コーティング液が基体に被覆される場合に膜形成成分が溶媒又は懸濁している液を蒸発する際に適切な薄層又は膜を形成するような、コーティング液に溶解又は懸濁されるポリマー又はポリマー形成材料又は類似の材料である。多くの例が示されている。薄層又は膜は、乾燥した及び/又は反応した膜形成成分の固体マトリックスを含むと言われている。膜の固体マトリックスは、表面に又はマトリックス内にエコー源性の特徴がある。
【0017】
本発明のエコー源性の特徴は、超音波適用に反響し、よってコーティングと被覆した物体の鮮明度を高める構造を意味する。本発明の反射するエコー源性の特徴としては、気泡、不規則なガスポケット、空洞、細孔、密閉した気体含有チャネル、又は組織内に挿入した場合に空気を捕捉することができる不規則なレリーフを示すポリマーマトリックスの顕微鏡的に隆起及び陥凹した表面領域が含まれる。
コーティング混合物は、添加剤、及び一緒に混合される溶媒残留物を含んでもよい。また、分子又はイオンレベルの均一性を有する固相全体に一様に分散した混合液として定義される完全な溶液であってもよく、ポリマーコーティング溶液と気泡の混合物のような溶解した成分と混合した成分の組合わせであってもよい。コーティングは、ポリマーと気泡の混合物又は組合わせから構成される構造として定義される複合物の形を取ってもよい。ブレンド、即ち、成分を相互に区別できないように合わせた混合物であってもよい。気泡と他の成分と構造が分散しているポリマーマトリックスとも呼ばれる。コーティング全体は、不連続の又は混ざっている分離層を含むことができ、各々はこれらの形のいずれかでも数種でもよい。
【0018】
超音波という用語は、反射に基づいてシグナルを生じるように用いられる音響シグナル又はビームのような現在既知の又は結果として発生した振動シグナルを包含するものである。現在一般に用いうる超音波技術の分解能は赤血球の直径の5〜10ミクロンより大きい。しかしながら、約0.5ミクロンより小さい分解能も可能であるので、小さい又は0.01ミクロン程度もの空隙さえ本発明に望ましい。コーティング構造に依存して、300ミクロン程度の大きな空隙がエコー反射性を高めるのに有効である。しかしながら、たいていの場合、直径が1ミクロンより大きい、好ましくは約5〜約10ミクロン、約20ミクロンまでの空隙が良好である。これらは、平均の厚さが約10〜50ミクロンのコーティングにおいて適している。大きな空隙は、数100ミクロン厚までの厚いコーティングに適する。
本発明の高エコー反射性は、全体のサイズが好ましくは約1〜10ミクロン径の気泡又は小クレーターによるものである。気泡とクレーターを示すコーティングの顕微鏡の外観は図2と図3に示されている。薄いコーティングにおいては、そのようなクレーターにかかわらずコーティングはなお平滑である。厚いコーティングにおいては、レリーフが高くなるにつれて表面が粗くなるので、医療適用のための平滑なコーティングを生成するように表面のレリーフを最小にするために条件が制御されねばならない。例えば、気泡含有ポリマー粘性溶液を高温で乾燥すると粗いコーティングをまねく。肉眼的スケールについては、装置を標的部位に配置することを試みる場合に患者に対する不快感と医師による誤解を避けるために医用装置用のコーティングは平滑なままでなければならない。
【0019】
ここに用いられる平滑さは、被覆した物体を標的物質に挿入する点で困難を生じないような十分な平滑さを意味し、それは当業者によって求められる。使用における平滑さを適度に予測するものは、指をコーティングの表面に沿ってこすり滑らかに感じるか粗く感じるかを求めることである。本発明によれば触覚の滑らかさが一般的には適している。
不規則な形の小レーター又は細孔を有するエコー源性表面が水性液(体液)に浸水している場合、表面張力がこれらの小クレーターを水によって塞がれることから防止しかつ空気が装置の表面上に捕捉される。大きくて丸い又は規則的な空洞も同様に存在するが、水で塞がれて低レベルの音響インピーダンス差のままであると思われる。この特徴は、生理的液体がコーティングに接する場合には気体/液体境界面、ゲル物質(カップリングゲルような)がコーティングに接する場合には半固体/気体境界面、又は固体物質がコーティングに接する場合には固体/気体境界面を形成するコーティングが固体又は半固体組織又は物質内に配置される場合にあてはまる。エコー源性の特徴は、浸漬、摩擦、圧力の変化及び撹拌のような使用の条件下に安定である。コーティングは、これらの各状況において向上したエコー反射性を与える。
従って、本発明の実施態様においては、音響インピーダンス差を利用するためにほとんどの生体医用装置に被覆される平滑な薄いコーティング内に気泡を捕捉する。以前に得られたものよりかなり大きな音響インピーダンスミスマッチを与えるために気泡が望ましい。一般的には、そのような実施態様においては、クレーターや細孔がコーティングの表面に形成され、コーティングのエコー反射性に寄与する。
【0020】
本発明の他の実施態様は、コーティングの不連続マトリックス内にチャネルを含み、望ましい音響インピーダンスミスマッチと本発明のエコー反射性の改善を与える。不規則な形のチャネルは、ポケット内に空気を捕捉しエコー反射性を与えるミスマッチの音響インピーダンスを有する物質間の境界面をもつので望ましい。チャネルのサイズは、気泡や空洞と同じ全体の範囲内でなければならず、コーティングがはがれるようなコーティングの不連続を生じるほど大きくするべきではない。従って、連続の空気チャネル又は層は本発明によれば望ましくない。
コーティングのポリマー成分は、固体/気体境界面のような固有の反響境界面を生じるようにして共に沈殿することができる。この方法は、余分な固体が反響境界面を与えるためにコーティングに添加される必要がない点で有利である。
本発明のエコー源性コーティング液製剤は、有機溶媒及び基体上に被覆した場合に音響的に目に見える構造を生じるように適応したポリマー系を含む。ポリマー系は、ポリマーと直径が約1〜約50ミクロンの気泡;重合中に気体を生成する反応性重合モノマー;又は溶媒濃度がコーティング液中のポリマーを十分溶解するほど高く、かつ非溶媒濃度が沈殿と共に気泡を捕捉しているコーティング液から有機溶媒を蒸発させる間にポリマーを十分沈殿させるだけ高いポリマー溶媒/非溶媒混合物であってもよい。かかるコーティング液は、分子レベル又はイオンレベルの均一性を有する液相全体に一様に分散した混合液を意味する完全な溶液であっても、ポリマー溶液と気相、おそらく懸濁液として分散した粒子を含む気体の混合物でもよい。
【0021】
エコー源性コーティングは、種々のポリマーを用いて調製される。気泡捕捉ポリマーとしては、セルロースエステル、ポリウレタン、アルブミン、他のタンパク質、ポリビニルピロリドン及び小泡を捕捉することができることが当業者に既知の他のものが含まれる。一般的には粘性調製物が好ましい。アルブミン微小球に捕捉された気体のような予め形成された気泡(例えば、albunex(登録商標)球、モレキュラーバイオシステムズ社)が用いられる。気体を生成するポリマー形成材料としては、イソシアネートプレポリマー及びジアゾ化合物が含まれる。好ましい材料はイソシアネートやアルブミンである。
次の気体生成化合物が本発明の実施に用いられる:ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート及び2,4-トルエンジイソシアネートのようなポリイソシアネート、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、芳香族ジアゾニウム塩安定化合物、イソシアネートがトルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'ジフェニルメタンジイソシアネートより選ばれるイソシアネートのオリゴマー又はコオリゴマーのようなプレポリマー又は他の付加化合物、又は三量化ヘキサメチレンジイソシアネートビウレットのようなプレポリマー。かかるプレポリマーは、デスモデュア(バイエル AG)、タイセル(ロード)、ハイポル(ハンプシャー)、アンデュア(Anderson Developer社)、パピやボラネート(ダウケミカル社)のような商品名で市販されている。
【0022】
コーティング液のイソシアネート成分は、約20〜約40%の濃度が好ましく、そのための溶媒は好ましくはジメチルスルホキシド約15〜約48%、テトラヒドロフラン約35%まで、シクロヘキサノン約32%まで、及びヘキサン、2-ブタノン、キシレン、酢酸エチル、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロメタン、n-メチルピロリドン及びn-酢酸ブチルの適量を含むことが好ましい。
エコー源性コーティング層の溶媒としては、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、ラクトン、アミド、ハロゲン化炭化水素、アルコール、アミン及び他の一般溶媒が含まれる。コーティングの全成分を均一溶液に溶解することができるいかなる溶媒系を選んでもよい。好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及びアセトンである。沈殿したコーティングの好ましい非溶媒としては、エタノール、イソプロパノール及び水が含まれる。
たいていの場合、空気やその場で生成される二酸化炭素や窒素のような気体がエコー反射性を高め低コストで製造の簡便さを与えるのに適している。いずれの気体も用いられ、圧縮性の高い、密度の低い、コーティングを乾燥する場合に消散しないようであり、かつ生理的溶液に難溶で拡散も遅いガスを用いて更にエコー反射性が高められる。
【0023】
本発明のエコー源性コーティングが被覆される基体としては、ステンレス鋼、ニッケル、金、クロム、ニッケルチタン合金、白金等の金属;シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ラテックス等のプラスチック;薬剤粒子;及びカプセルが含まれる。好ましい装置としては、針、ガイドワイヤ、カテーテル、外科用器具、内視鏡検査用器具、ワイヤ、ステント、血管形成用バルーン、創傷用ドレン、動静脈分流器、胃腸用チューブ、尿道用挿入物、腹腔鏡検査用器具、ペレット、又はインプラントが含まれる。
本発明のエコー源性コーティングは、1以上の層として装置に被覆される。簡単な実施態様においては、マトリックスポリマーを有機溶媒に溶解し、所望のサイズの気泡をもつコーティング液を生成するために通気される。コーティング液を基体に被覆し、適当な所に気泡を固定するのに十分速く乾燥してエコー源性コーティングを得る。しかしながら、金属ガイドワイヤ、ステンレス鋼針、及びシリコーン、ポリエチレン、及びナイロンカテーテルのような基体、及び他のポリオレフィン及びポリアミド基体はエコー源性層の十分な接着ができない。
【0024】
多層実施態様においては、まず表面を処理してエコー源性コーティングを装置に強力に接着することを可能にする。この処理は、第1層又はプレコート、及び第2層又は必要な場合にはベースコートを被覆してエコー源性コートを表面に接着することが含まれる。次に、エコー源性境界面を含む活性エコー源性層を乾燥したベースコート上に被覆して装置のエコー反射性を高める。任意により、第4層、仕上げコート又はトップコートが摩耗力に対するエコー源性コーティングの耐久性を改善するために、潤滑性を高めて平滑な表面を与えるために、体液に曝露することの有害な作用からエコーコートを保護するために、又は抗血栓形成剤、抗生物質や抗菌剤のような医薬剤を取り込むために、又は他の望ましい性質を与えるために当該技術において既知の方法に従って被覆される。例えば、潤滑性コーティングは米国特許第5,331,027号に記載されており、医薬剤を含むコーティングは来国特許第5,525,348号に記載されている。トップコートは、エコー源性コーティング層の湿潤を減少させるために用いられる。エコー源性層の湿潤は、エコー源性コーティングが過度に湿潤し捕捉した気体を放出する場合にはエコー反射性が低下するので避けねばならない。更に、湿潤は表面の細孔又は空洞に捕捉された気体を放出させる。高機械的安定性は、被覆した装置が骨に対して移動せざるを得ない場合には装置が高せん断力を受ける適用に有効である。
【0025】
装置表面とエコー源性層間の接着が十分である場合の基体については基体表面の前処理が不要である。また、プレコートやベースコートより単一のサブ層がコーティングと装置間の接着の程度に依存して適している。
プレコートにおいては、有効なポリマーとしては当業者に既知のアクリル樹脂、アクリル共重合体、ポリオレフィン共重合体、ポリエチレン/ポリアクリル酸共重合体、塩素化ポリオレフィンポリアセタール、エポキシ樹脂、混合物等が含まれる。ポリオレフィンの表面上の接着はポリオレフィンアクリル共重合体を用いることにより改善され、シリコーンポリマー上の接着はポリジメチルシロキサンポリマーを含むプレコート層を用いることにより改善される。
ベースコートにおいては、典型的なポリマーとしてはポリウレタン、セルロースエステル、アクリル樹脂、アクリル共重合体、ポリアセタール、エポキシ樹脂等及び上記の混合物が含まれる。ベースコートの例としては、セルロースエステル、アクリルポリマー、ポリウレタン、及びテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン及び酢酸エチルを含む溶媒の混合物に溶解した2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
トップコートにおいては、好ましいポリマーは当業者に既知のポリビニルブチラール、ポリアセタール、アクリル樹脂、アクリル共重合体、ビニル樹脂等の疎水性ポリマーである。また、被覆した装置の表面の平滑さを更に改善するために1以上のトップコートが被覆される。適切な粘度のポリマー溶液は、エコー源性コーティングの乾燥中に生じた間隙に流れ込み、その過程で非常に平滑な外面を生じる。かかるトップコート組成物としては、ポリ酢酸ビニル、セルロースエステル、ビニルアセタールポリマー、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂等が含まれる。間隙は満たされるが、なお被覆した装置の超音波鮮明度を十分改善するほどの固体/気体境界面がある。
【0026】
一般的には、エコー源性コーティングの層は当業者に既知の浸漬、噴霧等によって溶媒に溶解したポリマーとして被覆される。他の組成物は、必要とされるこれらの又は他の基体上の接着を改善する当業者の心に浮かぶであろう。
エコー源性コーティングは、超音波的活性層とも言われ、固体ポリマー層と気体(空気、二酸化炭素、水蒸気、不活性ガス等)間のような異なる材料間の境界面を含む。また、活性層はコーティング層内の内部に又は生成物の外面に固体と気体間の境界面のようなコーティングの異なる部分間にエコー源性境界面を含む。一般的には、エコー源性のコーティングの最も重要な部分は表面又はその近傍であり、表面のかなり下の特徴は重要でない。従って、エコー源活性層コート組成物は気泡又はマトリックス含有気泡を十分に捕捉するように設計されることが好ましい。
本発明の実施態様においては、気体のほかに種々の材料(固体、懸濁液や液体のような)を含むポリマーコーティングを用いる点で利点が見られる。エコー源性応答の差は、ポリマーと添加剤の異なるブレンド又はポリマー表面のひだ、フラップ又は輪郭のような形を有するコーティングの異なる部分のような種々の材料間であるが最も強くは気体と固体又は気体と液体間に存在することが知られている。コーティング内に又は外面に完全に結合される表面の不規則性は、エコー源性応答の差を更に増強し、散乱を改善することができる。従って、ある実施態様においては、本発明は、顕微鏡的表面不規則性及び/又は異なる材料を材料に被覆するためのコーティングに取込んで高エコー反射性を得る。
【0027】
他の実施態様においては、エコー源性活性コーティング層は、溶媒系内にポリマーを含むコーティング液として基体又はプレコート基体に被覆される1以上のポリマー層又は混合(ハイブリッド)ポリマー層から構成されてもよい。被覆されるとポリマー層は、次にポリマーの非溶媒液に直接曝露され、よってポリマー成分を沈殿させる。これは、ポリマーの溶媒を含む混合溶媒系とポリマーの非溶媒である液体を用いて行われる。その場合には、非溶媒液はポリマー溶媒成分よりゆっくりと蒸発するように選ばれる。従って、溶媒系は、ポリマーを溶解することができるものからポリマー成分が基体上に沈殿するように非溶媒成分を十分多く含む混合液に変える。この方法で沈殿した選定ポリマーは、沈殿過程で空気又は気体を捕捉する能力のような望ましい特徴があるにせよエコー源性活性層を与える。
そのような沈殿層は、沈殿するポリマー層を注型成形することによっても作ることができる。例えば、有機溶媒に溶解した水不溶性ポリマーが表面上に注型成形され、溶媒で湿潤したまま水に浸漬されるか又はスチームのような水蒸気に曝露されてポリマー層を沈殿するか又は他の処理により不規則な方法で空隙を捕捉している溶液からポリマーの沈殿が生じる。不規則性によって、このタイプのコーティングはポリマー/溶媒液から溶媒を蒸発させることにより形成された乾燥した硬化連続膜でありかつ透明で澄んでいる典型的なタイプのポリマーコーティングから区別される。この実施態様においては、硬化工程はポリマー成分を異なる不規則な構造をもつ固体、白色で全ての方向に光を反射するものを形成させる水性沈殿工程によって中断される。形成中にポリマーコーティングを沈殿するために気体が捕捉されている不規則性によりエコー源性応答が高められる。
【0028】
第3実施態様においては、処理時に気泡を生成することができるポリマー成分を混合することが可能である。次に、かかる気泡がポリマー層に捕捉され得る。液体のポリマー液中に気泡をつくった後に層を注型成形することが可能である。得られた層は、被覆した物体が典型的な体組織に対して容易に明らかにするような典型的な体組織と顕著に異なるエコー源性応答をもつことがわかる。
ある例は、下記の工程を含んでいる。
a)有機溶媒中にイソシアネートポリマーを含むエコー源性コーティング液を供給する工程;
b)浸漬又は噴霧によりエコー源性コーティング液を装置に被覆する工程;
c)エコー源性コーティング液で被覆した装置を室温で数分間乾燥して有機溶媒のいくらかを除去する工程;
d)被覆した装置を水に曝露してその場で気泡を生成する工程;及び
e)被覆した装置を乾燥して残っている溶媒を除去する工程。
【0029】
イソシアネートの反応は次の通りである。
R1NCO+H2O→R1NH2+CO2(緩慢)
R1NH2+R1NCO→R1尿素R2(急速)
本方法は、Lambertの米国特許第4,585,666号のようにヒドロゲルを生成するためにイソシアネートを用いる従来の方法と異なる。ここではコーティング膜の固体マトリックス内に気体の生成と気泡の捕捉を最大にするように反応条件が調整される。例えば、気体が速く漏れすぎることから予防するために室温で又は室温前後で反応が行われる。Lambert法においては、反応は典型的には高温で行われかつ気体が捕捉されないようなポリビニルピロリドンのような親水性成分と共に行われる。従って、本発明の態様はコーティング膜内に気体のエコー源性量を生成し捕捉する温度又は湿度条件下で、及びかかる工程において妨害しない成分を含まずに反応性成分を反応させることである。
窒素を生成するために紫外線と反応させたジアゾニウム塩は本方法の他の一例である。ソーダの重炭酸塩とのような酸塩基反応が用いられる。気体をその場で生成する他の方法も当業者に明らかである。
【0030】
他の実施態様は、例えば、アクリルラテックスポリマー、ポリビニルピロリドン、アルブミン又は他のポリマーの粘性組成物を調製する工程;5〜20ミクロン径の気泡を含むコーティング液を十分生成するだけのエネルギーで超音波処理する工程;直ちに装置をそのエコー源性コーティング液で浸漬又は当業者に既知の他の方法により被覆する工程;次に例えば、80℃以下で乾燥して該気泡を不安定にせずにコーティングを硬化する工程を含む。ある混合液については、超音波の時間とパラメーターは経験的に、例えば、顕微鏡下で試料を見ることにより容易に求められ、一旦適当な条件が求められるとそれらは繰り返して及び再現できて用いられる。所望のサイズが得られる限りは振盪、混合、混和等の他の手段も気泡を生成するために用いられる。
また、他の実施態様は、前項のように気泡含有エコー源性コーティング液を調製し、それを基体に被覆するものである。次に、被覆した装置を室温で又は更に低い温度でさえ徐々に乾燥する。低温乾燥の結果として、気泡が漏れかつ壊れ、乾燥したコーティングは5〜20ミクロン幅と種々の長さのチャネルのマトリックスからなると思われる。かかるコーティングを図4に示す。これらのチャネルは、捕捉した空気を含むので装置のエコー反射性を高める。また、コーティングの不規則な形は高音響インピーダンス差及び高散乱に寄与することができる。
【0031】
別の実施態様は選択的抽出を含む。その方法は、マトリックス成分が抽出溶媒に相対的に低い溶解度をもち抽出性成分が抽出溶媒に相対的に高い溶解度をもつ2成分の層を形成する工程を含む。マトリックス成分は、付着した後に基体に対する接着が良好でなければならない。好ましくは、マトリックス成分はニトロセルロース、抽出性成分はカンファ及びジブチルフタレート、抽出溶媒はイソプロパノールである。膜を形成した後、抽出性成分は抽出溶媒に選択的に抽出され、マトリックス成分が空隙を含む固体マトリックス膜として後に残る。乾燥が終了すると、その層はエコー源性である。コーティング表面の化学的又は物理的エッチングによって同様の結果が得られる。
【0032】
エコー反射性は、適当な背景―水、組織―に対して装置を画像化すると共に画像光学濃度を主観的に評価することにより測定される。図1A及び図1Bは、種々の組織のエコー反射性をシミュレートしかつ試験される被覆装置が再現できる配置に設計される水浸漬“ファントム”を用いた本発明の被覆ワイヤの高エコー反射性を示す。画像は質的に再現性がある。
このファントムを用いるために、試料(針、ワイヤ、カテーテルのような)をファントムにドリルで開けた2mm20径の穴にかつ超音波ビームの軸外に挿入する。ファントム内の対照物質に焦点を合わせた超音波トランデューサを用いて画像がつくられる。
図1Aから明らかなように、被覆していないワイヤは音波がトランデューサから離れて反射するので全く見えない。画像の下半分の明るい領域は肝組織のエコー源特性をシミュレートするプラスチック複合材料である。画像の上方の暗い領域は水であり、血液と同様のエコー反射性を有する。ワイヤをファントム内にドリルで開けた穴に対角線的に挿入する。
図1Bは、同じファントム内の本発明のイソシアネート系コーティングで被覆したワイヤを示す写真である。本発明に従って被覆したワイヤは、水相に対して明瞭に見え、ファントムに対して明瞭に見える。このタイプのコーティングは、試験した中で鮮明度が最良であった。これらの結果から、血液内及び肝臓と同様の超音波特性を有する組織内でコーティングが見えることが示される。被覆していないワイヤ、図1Aは、これらの画像化条件下で全く見えない。
【0033】
これらの結果は乳房ファントム及びウサギ腎臓における画像化によって確認された。図6Aに示されるように、被覆していない22ゲージ針はシミュレート嚢胞をもつ乳房ファントムにおいてはほとんど見えず(“被覆していない針”と“シミュレート嚢胞”参照)、実施例1と同様の被覆した針は同じ条件下で容易に視覚化される(“ECHO-COATTMで被覆した針”参照)。これらの結果は、被覆していない及び被覆した針をウサギ腎臓において画像化した場合に更に確認された。図5参照。図5は、各ウサギにおいて画像化した腎臓について1グループあたり5本の針の3人の無関係な観察者の平均等級を示すグラフである。被覆していない針は先端だけが識別されるが、被覆した針の前シャフトはほとんどが先端と同様に見える。
画像化は、7.5MHzのクァンタムクワッド2000イメージングシステム、又は7.5MHz150°コンベクス探触子の付いたシマズSDU-350Aシステムにより行ったが、他の装置、低い周波数及び他の設定も用いられる。
【0034】
本発明の気体コーティングの顕微鏡的外観を図2(倍率100×の光学顕微鏡写真)及び図3(倍率500×の電子顕微鏡写真)に示す。コーティングの厚さは、約5〜約20ミクロンであった。コーティングは、表面に直径が約30〜70ミクロンのクレーター様空洞が目立った。空洞はあまり深くなく、コーティングは非常に滑らかな感じである。
電子顕微鏡により、図3に示されるようにこのコーティングは多数の小さな(1〜10ミクロン径)空洞及び/又は気泡を含むことがわかる。本発明の範囲に限定するものでなく、これらの小さな気泡は装置が体液に挿入される場合に水で塞がれることを表面張力が妨げるので高エコー反射性に多く寄与するが大きな空洞は湿潤されやすく塞がれやすい。図4のようにチャネルをもつ本発明の実施態様においては、上記のファントムによる超音波画像化により図1Aのような被覆していないワイヤのシグナルより改善される。この改善は、イソシアネートで形成されたコーティングほどではない。この第2実施態様のコーティングの顕微鏡的外観から長い不規則なグルーブが幅約30ミクロン長さ100〜300ミクロンであることがわかる。これらのグルーブは、コーティングが非常に滑らかな感じであるので深くないことは明らかである。かかるコーティングは、アルブミン溶液を音波処理し、被覆し、室温で乾燥することにより製造される。
【0035】
沈殿したコーティングは、図1Aに示される被覆していないワイヤより改善している超音波画像を与える。沈殿したコーティングの顕微鏡的外観は非常に平滑に見えるが、驚くべきことにエコー反射性が改善されている。
本発明のコーティングは、生体適合性であり、薄く、平滑で、基体に強く付着する。医療操作に適した長時間、少なくとも1分間、更に好ましくは5分間、最も好ましくは少なくとも1時間エコー反射性を保持する点で安定である。好ましくは2時間以上にわたってエコー反射性をほとんど消失せずに繰り返して用いられる。
かかるコーティングは、多くの操作の安全性と効力を向上させる。例えば、医師は被覆した心臓血菅ステントを正確に配置し、超音波画像化によって移動をモニターする。被覆した生検針は、病巣に正確に配置しやすく、得られた試料の診断価値を向上させる。羊水穿刺は試料針及び胎児を視覚化することにより更に安全に行われる。切開装置は超音波指導によって正確に配置されて腹腔鏡下術を向上させる。本発明は、超音波の使用に明るい当業者に明らかである非医用分野にも用途がある。
【0036】
捕捉された気泡を有する開放した気体捕捉構造(open gas-trapping structure)は、入射ビームの角度に関わらず、優れた超音波シグナルをトランスデューサに戻す。しかしながら、これらの構造中に捕捉された気体は徐々に水又は他の周囲液体に置き換わるため、このシグナルは水性環境中では時間の経過と共に低下し得る。従って、本発明の実施態様は、非常に薄いトップコート(例えば厚さ約1ミクロンのオーダー)を含み、前記トップコートは、捕捉された気体の圧縮性のいかなる著しい量の減少(例えば40%未満、好ましくは30、25、20、10、又は5%のエコー反射性の減少)が認められない程の可撓性を有する。そのようなトップコーティングは、高いエコー反射性を保つ一方で、液体環境中におけるこのエコー反射性の寿命を著しく延ばす。厚さ5ミクロンを超える比較的非可撓性のコーティングを被覆すると、エコー反射性が著しく減少し、実用的価値がほとんどない。約5ミクロン未満、そして特に3、2、又は1ミクロン未満のオーバーコートが好ましい。
非常に薄いトップコートをエコー源性層の上に被覆する他の利点は、耐久性を向上させること、潤滑性を高めること、より平滑な表面を提供すること、体液への暴露による有害な作用からエコー源性層を保護すること、医薬剤(例えば抗血栓形成剤、抗生物質や抗菌剤など)を取り込むこと、又は装置表面に他の望ましい特性を与えることである。使用し得るポリマーとしては、500psi、好ましくは1000psiを超える曲げ弾性率、100%を超える破断伸び、及び低い水浸透率を有するとして当業者に知られるものが挙げられる。
【0037】
エコー反射性を著しく減少させない薄く可撓性のトップコートを形成するために使用し得る材料の例としては、ポリエチレン、特定のエチレン/酢酸ビニルコポリマー、特定のエポキシ系樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン及び特定のポリウレタン、ポリイミド、ゴム、アクリル酸ポリマー/コポリマー、ポリブタジエン、スチレンブタジエン及びスチレンブタジエン/スチレンコポリマー、及び所望の特性を有するの他の材料が挙げられる。これらのいずれのポリマーについても、コーティングとして膜を十分に薄く、かつ可撓性となるように被覆し得、それにより、捕捉された気体の圧縮性に対する影響を最小限となる。
【0038】
延長されるエコー反射性は、ステント、中心静脈カテーテル、末梢に挿入されるカテーテル、移植片、分流器、経皮的経心臓的(transcardiac)中心静脈カテーテル、及びインプラント(例えば薬剤送達装置)などの長期内在性装置にコーティングが被覆される場合に特に有用である。長期内在性であり得る他の装置は、カテーテル、針、水頭症分流器、ドレンチューブ、ペースメーカー、透析部材、小関節又は一時関節置換、泌尿器括約筋、泌尿器拡張器、長期泌尿器部材、組織結合泌尿器部材、陰茎人工器官、血管カテーテル口、末梢に挿入可能な中心静脈カテーテル、長期貫通中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、PCTA又はPTAカテーテル、及びスワン・ガンツ肺動脈カテーテル、ガイドワイヤ、外科用器具、内視鏡検査用器具、血管形成用バルーン、創傷用ドレン、胃腸用チューブ、腹腔鏡検査用器具、ペレット、及びインプラント並びにそれらの組合わせからなる群より選択し得る。
長期内在性とは、典型的には長期期間、少なくとも約2時間、少なくとも約1日又は2日、少なくとも約1週間、少なくとも1月、又はそれより長い期間を意味する。
【0039】
これらの実施態様において、標的媒質中に挿入するための、超音波により視認可能な(ultrasonically visible)固体装置は表面とマトリックスを含み、ここで前記表面は、前記装置が標的媒質中にある場合に気体を捕捉し得る気体捕捉構造を有し、ここで、捕捉された気体は前記装置を超音波により視認可能とし、そして、気体捕捉構造は、薄く、可撓性のオーバーコートで被覆されており、該オーバーコートはこれらの構造に捕捉された気体の圧縮性を著しく減少させないが、エコー源性コーティングの耐久性を向上させ、潤滑性を高め、より平滑な表面を提供し、体液への暴露による有害な作用からエコー源性層を保護し、医薬剤(例えば抗血栓形成剤、抗生物質や抗菌剤など)を取り込み、又は装置表面に他の望ましい特性を与える。
【0040】
例示的な実施態様において、オーバーコート層の厚さは0.1〜2ミクロン、又は0.1〜1ミクロン、又は0.5〜1.5ミクロンであり、厚さ0.1、0.2、0.5、又は1ミクロンを超える、及び0.5、1、1.5、2、又は5ミクロン未満の例がある。オーバーコートは、500psiより高い、又は1000psiより高い曲げ弾性率、及び100%を超える、又は200%を超える破断伸びを有し得る。
さらなる実施態様において、オーバーコート層によって、捕捉気泡の圧縮性が約10%未満又は約20%未満又は約50%未満減少する。さらなる実施態様において、オーバーコート層の水浸透率は、約10-10から約10-11[(cm3)(cm)]/(cm2)(s)(cm Hg)]未満である。
【0041】
本発明の方法において、表面において気体を捕捉する手段を有する膜は、別の薄い可撓性の膜またはトップコートで、前記表面の細孔の中の気泡がコーティングの下側に捕捉されるようにオーバーコートされ、ここで、そのようなトップコーティングは、エコー源性コーティングの寿命及び耐久性を向上させ、潤滑性を高め、より平滑な表面を提供し、体液への暴露による有害な作用からエコー源性層を保護し、医薬剤(例えば抗血栓形成剤、抗生物質や抗菌剤など)を取り込み、及び/又は装置表面に他の望ましい特性を与える。本発明はさらに、エコー源性層の上に薄いコーティングとして被覆されて表面の細孔内に気泡を捕捉するコーティング液を提供し、それは1以上の膜形成成分を含む。
膜形成成分としては、ポリエチレン、特定のエチレン/酢酸ビニルコポリマー、特定のエポキシ系樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、特定のポリウレタン、ポリイミド、ゴム、及び/又はアクリル酸ポリマー/コポリマーが挙げられる。
【0042】
本発明のエコー源性表面を有する装置はさらに、以下の成分の1以上から選択される1以上の活性物質を有し得る。それらは、抗血栓薬、抗炎症薬、抗新生物薬、抗増殖剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性薬、抗菌薬、抗再狭窄薬、抗血小板薬及び抗凝血薬を含み得る。活性物質は、抗フィブリン薬およびフィブリン溶解薬、抗血小板薬、プロスタサイクリン(及び類縁体)、糖タンパク質IIb/IIIa薬、トロンボキサン阻害薬、抗トロンビン及び抗凝血薬、抗有糸分裂薬、抗増殖薬及び細胞増殖抑制剤、抗血管形成薬及び血管新生抑制薬、ACE阻害薬、増殖因子拮抗薬、抗酸化薬、ビタミン、カルシウムチャネル拮抗薬、魚油(オメガ3-脂肪酸)、ホスホジエステラーゼ阻害薬、硝酸ドナー、ソマトスタチン類縁体、免疫抑制薬及び抗炎症薬、抗菌薬、放射性核種(アルファ、ベータ及びガンマ放射アイソトープを含む)、COX-2阻害薬、内皮細胞活性化薬(endothelial promoters)、キナーゼ阻害薬、上皮細胞増殖因子キナーゼ阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬、及びタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の1以上から選択し得る。活性物質は、プラスミン、ストレプトキナーゼ、一本鎖ウロキナーゼ、ウロキナーゼ、t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)、アミノカプロン酸アスピリン、モノクローナル抗体、ペプチド、レオプロ、シラスタゲル(Cilastagel)、エプチフィバチド、チロフィバン、チクロピジン、バピプロスト、ジピリダモール、フォルスコリン、アンギオペプチン、アルガトロバン、デキスタン(dextan)、へパリン、LMWへパリン、エノキサパリン、ダルテパリン、ヒルジン、組換えヒルジン、アンチトロンビン、合成アンチトロンビン、トロンビン阻害薬、ワルファリン、他のクマリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル及びその類縁体、メトトレキサート、シスプラチン、フルオロウラシル、ラパマイシン、アザチオプリン、シクロホスファミド、マイコフェノール酸、副腎皮質ホルモン、コルヒチン、ニトロプルシド、パクリタキセル、アンジオスタチン、及びエンドスタチン;遺伝物質、オリゴヌクレオチド、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、VEGF、FGF、プロブコール、トコフェロール、ニフェジピン、ジピリダモール、モルシドミン、アンギオペプチン、プレドニゾロン、グルココルチコイド、デキサメタゾン、リファマイシン、Re-188、Re-186、I-125、Y-90セレコキシブ、バイオックス、ジピリダモール、及びテオフィリンの1以上から選択される。
【0043】
本発明の方法は、膜形成成分を含むコーティング液を供給し;コーティング液を物体に被覆し;膜形成成分に、固体マトリックスを含む膜を形成させ;そしてエコー反射性を高める気体/非気体境界面を示すエコー源性構造を膜に提供する、ことにより、周囲物質中で超音波にかけた場合に物体のエコー反射性を高め、それは気体捕捉空隙の上に被覆された非常に薄い可撓性のトップコーティングによって気体がエコー源性構造に捕捉された場合に活性化可能である。エコー源性構造は、(a)気泡、及び/又は(b)リアクターと反応させることにより気体を生成する反応性物質、をコーティング液に含ませ、さらに前記反応性物質を前記リアクターと接触させて気体を生成することによって提供することができる。
このように、本発明は、標的媒質中に挿入するための、超音波により視認可能な固体装置のいくつかの実施態様を提供し、前記装置は表面を有し、ここで前記表面は、物体が周囲物質中にある場合に活性化可能な、エコー反射性を高める気体/非気体境界面を示すエコー源性構造を有する。
次の実施例は、本発明の実施を具体的に説明するものであるが限定するものではない。
【実施例】
【0044】
実施例1
スチールワイヤをテトラヒドロフランとシクロヘキサノンの混合液に溶解したアクリルポリマー、ポリオレフィン/アクリルコポリマー及びイソシアネートからなるプレコート溶液に浸漬被覆し、硬化した。次に、ワイヤをシクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルやベンジルアルコールが含まれる溶媒の混合液に溶解したセルロースエステル、アクリルポリマー及びポリウレタン樹脂からなるベースコート溶液に浸漬被覆し、硬化した。次に、この装置をテトラヒドロフラン中50%(w/w)ジメチルスルホキシドの混合液に溶解した20%イソシアネートプレポリマーを含むエコー源性コーティング液で被覆した。次に、そのコーティングを室温で3〜5分間部分的に乾燥してTHF(より揮発性の溶媒である)のいくらかを蒸発した。水に曝露した際にイソシアネートプレポリマーが重合し、二酸化炭素を放出する。装置を水に室温で3分間浸漬して重合反応を急速に起こし、二酸化炭素の気泡を捕捉しコーティング中に約1〜約70ミクロン径の範囲の細孔やクレーターを形成した。次に、コーティングを乾燥した。図1A及び図1Bに示されるように被覆していないスチールワイヤと比べてエコー反射性が増大した。
実施例2
スチールワイヤを実施例1のようなプレコートとベースコートで被覆した。次に、ワイヤを界面活性剤(シリコーン)を1%含むテトラヒドロフランに溶解した20%イソシアネートプレポリマーで被覆した。被覆した装置に2分間スチームを加えることにより重合を引き起こした。気泡/空洞/細孔タイプのエコー源性コーティングを形成した。
実施例3
エコー源性コーティング液は、水中90%アクリルポリマーを含有した。この液体を40秒間音波処理して所望の気泡サイズを得た。ワイヤをコーティング液で被覆し、室温で風乾した。チャネルを含むエコー源性コーティングを形成した。
【0045】
実施例4
実施例1のようにワイヤにプレコートを被覆した。実施例3のコーティングを被覆した。チャネルを含むエコー源性コーティングを形成した。
実施例5
スチールワイヤをまず実施例1のようにプレコートとベースコートで被覆した。次に、この装置をアセトン、イソプロパノールと3.4%(w/w)水の溶媒混合液中8%のポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーと合わせた7.8%酪酸酢酸セルロースを含むエコー源性コーティング液で被覆した。コーティング液を室温で乾燥し、沈殿が生じた。被覆した装置は、同様の被覆していないワイヤと比べた場合にエコー反射性の増大を示した。
実施例6
装置を5%ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーのエタノール溶液中で浸漬被覆し、80℃で20分間乾燥した。25%血清アルブミンからなるエコー源性コーティング液を調製し、高強度で4ml容量について20〜30秒間音波処理した。次に、プレコートした装置をこのエコー源性コーティングで被覆し、80℃で20分間乾燥した。最後に、装置を10%ポリビニルブチラールからなるトップコートで被覆し、80℃で20分間乾燥した。被覆した装置は、対応する被覆していない装置に比べてエコー反射性を10〜25倍増大したことを示した。
実施例7
装置を実施例1のようにプレコートした。次に、トルエン中トリドデシルメチルアンモニウムヘパリン塩の2%溶液w/vをエタノール性10%ポリビニルブチラール1〜3部に希釈し、撹拌ミキサーで混合して空気を導入しポリマーによって安定化した気泡を生成した。プレコートした装置を直ちにこの溶液で被覆し、80℃で20分間乾燥した。被覆していない装置の約2倍のエコー反射性が見られた。
【0046】
実施例8
装置を実施例1のようにプレコートしてからアクリルポリマーの45%水性分散液で被覆し、高強度でエコー源性コーティング液1mlあたり12秒間音波処理し、室温で20分間乾燥した。これらの被覆装置のエコー反射性は被覆していない装置の6〜7倍であった。
実施例9
スチールワイヤにプレコートとベースコートを実施例1のように被覆した。20%のイソシアネートプレポリマーを49.5%のテトラヒドロフラン、49.5%のDMSO、1%の水の混合液に溶解した。装置を被覆し、室温で風乾した。コーティングを形成し、サイズが30〜70ミクロンの範囲の気泡と空洞を有した。
実施例10
コーティング材料と工程を実施例1と同様にした。ワイヤについてエコー反射性を試験し、60分間水に浸漬し、再試験した。エコー源性コーティングはエコー反射性を保持し、長時間エコー源性コーティングの安定性を示した。
実施例11
ポリエチレン基体をまずアクリルボリマーとセルロースポリマーからなるプレコートで被覆してからジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランの50:50混合液に溶解した20%イソシアネートプレポリマーを含むエコー源性コーティング液で被覆した。次に、コーティングを室温で3〜5分間部分的に乾燥してから水に室温で3〜5分間浸漬して重合反応を急速に起こした。エコー源性コーティングを形成した。
実施例12
ポリアミド基体をジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランの50:50混合液に溶解した20%イソシアネートプレポリマーを含むエコー源性コーティング液で被覆した。次に、コーティングを室温で3〜5分間部分的に乾燥してから水に3〜5分間浸漬して重合反応を急速に起こした。エコー源性コーティングを形成した。
【0047】
実施例13
ポリウレタン基体を実施例12のように被覆し、エコー源性コーティングを形成した。
実施例14
ワイヤを実施例1のように被覆してからエタノール中ポリビニルブチラールのトップコート溶液で被覆した。ワイヤはエコー源性コーティングが他のコーティング層で覆われていてもエコー源性であった。
実施例15
次に、実施例1のようにプレコートとベースコートで被覆したワイヤを48%ジメチルスルホキシド、32%テトラヒドロフラン溶媒混合液に溶解した20%イソシアネートプレポリマーを含む溶液で被覆した。被覆したワイヤを水に室温で10分間曝露してから85℃で15分間乾燥した。被覆したワイヤについて最初にエコー反射性を試験し、10分と30分後に肝臓ファントムにおいて試験した。コーティングは30分の試験期間にわたってエコー反射性を維持した。
実施例16
ワイヤを実施例15のように被覆してからエタノール中3%ポリビニルブチラールのトップコートで被覆した。被覆したワイヤについて実施例15のように肝臓ファントムにおいてエコー反射性を試験した。平滑なエコー源性コーティングを形成し、30分の試験期間にわたってエコー反射性を維持した。
【0048】
実施例17
ワイヤを実施例15のように被覆してからエタノールと4-ブチロラクトンの溶媒混合液中ポリビニルピロリドン(K-90)とセルロースを含むトップコートで被覆した。平滑なエコー源性コーティングが形成され、水で湿潤した場合によく滑った。
実施例18
ワイヤを実施例1のようにプレコートとベースコートで被覆した。次に、ジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランの50:50溶媒混合液中40%イソシアネートプレポリマーを含む溶液で被覆した。被覆したワイヤを水に室温で10分間曝露してから85℃で15分間乾燥した。エコー源性コーティングを形成した。
実施例19
ワイヤを実施例1のようにプレコートとベースコートで被覆した。次に、ジメチルスルホキシドとテトラヒドロフランの混合液中20%イソシアネートプレポリマーと2%シリコーン界面活性剤を含む溶液で被覆した。エコー源性コーティングを形成した。
実施例20
ワイヤをテトラヒドロフランとシクロヘキサノンの溶媒混合液中ポリオレフィン/アクリルコポリマーとエポキシ樹脂を含むプレコートで被覆した。次に、ワイヤを48%ジメチルスルホキシド、32%テトラヒドロフラン溶媒混合液に溶解した20%イソシアネートプレポリマーを含む溶液で被覆した。被覆したワイヤを水に室温で10分間曝露してから85℃で15分間乾燥した。エコー源性コーティングを形成した。
【0049】
実施例21
ステンレス鋼22ゲージ針を実施例15に記載されるようにプレコート、ベースコート及びエコー源性コーティングで被覆し、ニュージーランドホワイト系ウサギの腎臓に挿入し、7.5MHzの150°コンベクス探触子を用いるシマズSDU-350A超音波イメージングシステムで画像化した。5本の針を被覆し、5本の針を被覆しなかった。各針を超音波カップリングゲルを介してウサギ皮膚と2匹のウサギの4つの腎臓の各々に挿入した。エコー源性被覆針は、図5に見られるように被覆していない針と比べた場合にウサギ腎臓の鮮明度を高めた。4つの腎臓全部に用いた後でさえ、及び約2時間カップリングゲルで被覆した後でさえ、エコー源性被覆針はほとんど全部高エコー反射性を保持した。
実施例22
ガラススライドをテトラヒドロフランとシクロヘキサノン中エチレンアクリルコポリマーとエポキシ樹脂を含む組成物で被覆し、85℃で30分間乾燥した。次に、被覆したガラススライドをテトラヒドロフラン、トルエン、酢酸ブチル、酢酸エチル及びエタノール中ニトロセルロース、カンファ及びジブチルフタレートを含む組成物でオーバーコートし、85℃で30分間乾燥した。次に、被覆したガラススライドをイソプロパノールに10分間浸漬してアルコール可溶性であるカンファとジブチルフタレートを抽出し、イソプロパノールに可溶でないニトロセルロースの多孔性マトリックス膜が残った。試料はエコー源性であった。
実施例23
ポリウレタンチュービングをn-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、エタノールとキシレンの溶媒混合液中ポリビニルピロリドン(K-90)、ポリアミド及びエポキシを含む溶液で被覆した。コーティングを85℃で45分間乾燥した。気泡を含むコーティングを形成した。
【0050】
実施例24
種々の濃度の溶媒と他の成分を用いて多くのイソシアネート系コーティングを製造した。47試料の各々について、ワイヤを実施例1のようにプレコートとベースコートで被覆した。次に、界面活性剤を添加した又は添加しない対応するエコー源性コーティング溶媒混合液を含む溶液に浸漬被覆した。次に、ワイヤを水に10分間曝露してから85℃で15分間乾燥した。コーティングは全てエコー源性応答を示さない被覆していないワイヤに比べてエコー源性応答を示した。これにより本発明が行われる条件の範囲が証明される。
次の材料を用いた。

【0051】
実施例25
ワイヤを実施例1のようにプレコートとベースコート溶液で被覆した。次に、ワイヤをシクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル及びベンジルアルコールを含む溶媒の混合液に溶解した重炭酸ナトリウム(25%w/w)、セルロースエステル、アクリルボリマー及びポリウレタン樹脂からなる溶液に浸漬被覆した。ワイヤを85℃で60分間乾燥した。次に、ワイヤを氷酢酸と水に浸漬した。エコー源性表面を形成した。
本明細書に図示及び論述した実施態様は、本発明を製造及び使用するために本発明者らがわかった最良の方法を当業者に教示するためだけのものである。本明細書には本発明の範囲を制限するものとしてみなされるものはなにもない。上記の教示を考慮して当業者によって理解されるように本発明の上記実施態様の修正や変更は本発明から逸脱することなく可能である。従って、請求の範囲及びその等価物の範囲内で本発明が詳細に記載された以外の方法で実施されることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1A】本発明に従って被覆されたワイヤの高エコー反射性を示す画像である。被覆していないワイヤが挿入された(見えない)血液と肝臓のファントムモデルを示す超音波画像を示す。
【図1B】本発明に従って被覆されたワイヤの高エコー反射性を示す画像である。本発明のエコー源性コーティングを有するワイヤを示す超音波画像を示す。
【図2】イソシアネートから生成したエコー源性コーティングを有する針を示す光学顕微鏡画像(100X)である。
【図3】空洞が30〜70ミクロンで細孔が1〜10ミクロンの図2と同じタイプのコーティングを示す500xの倍率の電子顕微鏡写真である。
【図4】音波処理アルブミン溶液から生成したチャネルコーティングを有する針の光学顕微鏡画像(100X)である。
【図5】7.5MHzプローブの付いたシマズSDU-350A超音波システムによって画像化したニュージーランドホワイト系ウサギにおける被覆した22ゲージ針の高エコー反射性を示すグラフである。各ウサギの左欄は、実施例1の被覆した針のビジュアルレイティングスコアを示し、右欄は被覆していない針の非常に低い等級を示す。
【図6A】本発明に従って被覆した22ゲージ針の高エコー反射性を示す写真である。シミュレートした嚢胞を含む乳房ファントムの超音波画像を示す写真である。被覆していない針は見えない。
【図6B】本発明に従って被覆した22ゲージ針の高エコー反射性を示す写真である。本発明のエコー源性コーティングを有する針の対応する超音波画像を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非気体標的媒質中に挿入するための、超音波により視認可能な固体装置であって、前記装置は気体を捕捉する構造を有するエコー源性表面を含み、それにより前記装置は超音波により視認可能であり、ここで、気体捕捉構造は、構造内に捕捉された気体の圧縮性を著しく減少させない可撓性オーバーコートで被覆された開放構造から形成される、前記装置。
【請求項2】
オーバーコートが、エコー源性コーティングの寿命、潤滑性、表面の平滑さ、体液に曝露することによる有害な作用からエコー源性層の保護、から選択される1以上の装置の特性を向上させる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
構造が、オーバーコートで被覆された細孔、チャネル、空洞、ポケット、及びその組合わせからなる群より選ばれる、請求項1記載の装置。
【請求項4】
オーバーコートが1以上の医薬剤を取り込む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
装置が標的媒質中にある場合に、オーバーコート層が湿潤性を減らすことによって気体の捕捉を促進及び/又は延長する、請求項1記載の装置。
【請求項6】
オーバーコート層の厚さが約2ミクロン未満である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
オーバーコート層の厚さが約0.1〜約1ミクロンである、請求項1記載の装置。
【請求項8】
オーバーコート層の曲げ弾性率が約500psiより大きい、請求項1記載の装置。
【請求項9】
オーバーコート層の破断伸びが約100%より大きい、請求項1記載の装置。
【請求項10】
オーバーコートにより、捕捉気泡の圧縮性が約20%未満減少する、請求項1記載の装置。
【請求項11】
オーバーコート層の水浸透率が約10-10[(cm3)(cm)]/(cm2)(s)(cm Hg)]未満である、請求項1記載の装置。
【請求項12】
装置が、ステント、中心静脈カテーテル、末梢に挿入されるカテーテル、移植片、分流器、経皮的経心臓的中心静脈カテーテル、長期泌尿器部材、組織結合泌尿器部材、陰茎人工器官、血管カテーテル口、末梢に挿入可能な中心静脈カテーテル、長期貫通中心静脈カテーテル、末梢静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、動脈カテーテル、PCTA又はPTAカテーテル、及びスワン・ガンツ肺動脈カテーテル、ガイドワイヤ、外科用器具、内視鏡検査用器具、血管形成用バルーン、創傷用ドレン、胃腸用チューブ、腹腔鏡検査用器具、ペレット、及びインプラント並びにそれらの組合わせである、請求項1記載の装置。
【請求項13】
オーバーコートが、ポリエチレン,エチレン/酢酸ビニルコポリマー、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリイミド、ゴム、アクリル酸ポリマー/コポリマー、ブタジエン、スチレンブタジエン、及びスチレンブタジエン/スチレンコポリマーの1以上を含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
抗血栓薬、抗炎症薬、抗新生物薬、抗増殖剤、細胞増殖抑制剤、細胞毒性薬、抗菌薬、抗再狭窄薬、抗血小板薬、抗凝血薬、抗フィブリン薬およびフィブリン溶解薬、プロスタサイクリン(及び類縁体)、糖タンパク質IIb/IIIa薬、トロンボキサン阻害薬、抗トロンビン薬、抗有糸分裂薬、抗血管形成薬及び血管新生抑制薬、ACE阻害薬、増殖因子拮抗薬、抗酸化薬、ビタミン、カルシウムチャネル拮抗薬、魚油(オメガ3-脂肪酸)、ホスホジエステラーゼ阻害薬、硝酸ドナー、ソマトスタチン類縁体、免疫抑制薬及び抗炎症薬、抗菌薬、放射性核種(アルファ、ベータ及びガンマ放射アイソトープを含む)、COX-2阻害薬、内皮細胞活性化薬、キナーゼ阻害薬、上皮細胞増殖因子キナーゼ阻害薬、チロシンキナーゼ阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬、及びタンパク質トランスフェラーゼ阻害薬の1以上から選ばれる活性物質を含む、請求項1記載の装置。
【請求項15】
プラスミン、ストレプトキナーゼ、一本鎖ウロキナーゼ、ウロキナーゼ、t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)、アミノカプロン酸アスピリン、モノクローナル抗体、ペプチド、レオプロ、シラスタゲル、エプチフィバチド、チロフィバン、チクロピジン、バピプロスト、ジピリダモール、フォルスコリン、アンギオペプチン、アルガトロバン、デキスタン、へパリン、LMWへパリン、エノキサパリン、ダルテパリン、ヒルジン、組換えヒルジン、アンチトロンビン、合成アンチトロンビン、トロンビン阻害薬、ワルファリン、他のクマリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル及びその類縁体、メトトレキサート、シスプラチン、フルオロウラシル、ラパマイシン、アザチオプリン、シクロホスファミド、マイコフェノール酸、副腎皮質ホルモン、コルヒチン、ニトロプルシド、パクリタキセル、アンジオスタチン、及びエンドスタチン;遺伝物質、オリゴヌクレオチド、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、VEGF、FGF、プロブコール、トコフェロール、ニフェジピン、ジピリダモール、モルシドミン、アンギオペプチン、プレドニゾロン、グルココルチコイド、デキサメタゾン、リファマイシン、Re-188、Re-186、I-125、Y-90セレコキシブ、バイオックス、ジピリダモール、及びテオフィリンの1以上から選ばれる活性物質を含む、請求項1記載の装置。
【請求項16】
開放した気体捕捉構造を有する表面を調製する工程、及び、薄い可撓性膜でオーバーコートして、コーティングの下側に気泡を封入する工程を含む、請求項1記載の装置の製造方法。
【請求項17】
請求項1記載の装置を周囲媒質中で可視化する方法であって、
装置を組織内に挿入する工程、
装置を組織内に長期間置く工程、
その後、組織に超音波ビームを向けて組織中の装置を観察する工程、
を含む前記方法。
【請求項18】
周囲物質中で超音波にかけた場合に物体のエコー反射性を高める方法であって、以下の工程を有する前記方法。
膜形成成分を含むコーティング液を供給する工程;
コーティング液を物体に被覆する工程;
膜形成成分に、固体マトリックスを含む膜を形成させる工程;及び、
エコー反射性を高める気体/非気体境界面を示すエコー源性構造を膜に提供する工程、ここで、エコー源性構造は気体捕捉空隙の上にトップコーティングを含み、かつ、エコー源性構造を膜に提供する工程は、(a)気泡、及び/又は(b)リアクターと反応させることにより気体を生成する反応性物質、をコーティング液に含ませ、さらに前記反応性物質を前記リアクターと接触させて気体を生成することを含む。
【請求項19】
圧縮性表面及び該表面において気体を捕捉する手段を有する装置であって、気体を捕捉する手段は、装置が非気体媒質中に置かれた場合に該装置のエコー反射性を向上させ、気体を捕捉する手段は、標的媒質中において長期間、気体を保持する手段を含む、前記装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2007−503263(P2007−503263A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524796(P2006−524796)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027458
【国際公開番号】WO2005/020905
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506067615)アンギオテック バイオコーティングス コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】