説明

カチオン変性精製ローカストビーンガム及び該物質を含む化粧料組成物

【課題】 毛髪処理用組成物に配合することで、損傷毛髪に使用した場合においても、優れたコンディショニング効果を示し、ボディ用洗浄剤などの皮膚化粧料組成物に配合した場合には、泡立ち及び泡質の改善と良好な使用感が得られるカチオン性ポリマーを提供する。
【解決手段】 ガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下の、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成されたマンノースとガラクトースの組成比が4対1のローカストビーンガムの水酸基の一部に、特定量の第4級窒素含有基を導入し、かつカチオン電荷量を特定範囲に調節し、更に、特定量の第4級窒素含有基を導入したあとのカチオン変性精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液の濁度が15%以下であるカチオン変性精製ローカストビーンガムと、該カチオン変性精製ローカストビーンガムを含有する化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料組成物に配合した場合、毛髪や皮膚に対する吸着性が良く、良好なコンディショニング効果をもたらし、乾燥後にはゴワツキ感の無い良好な仕上げ感をもたらすカチオン性ポリマーとして、特定のカチオン変性ローカストビーンガムと、これを配合した化粧料組成物、特に毛髪処理用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄を目的とした毛髪処理用組成物には、洗髪、すすぎ時の毛髪の絡まり合いによる損傷や、洗髪後の感触改善の為にコンディショニング剤が配合されている。コンディショニング効果を与える物質としては、毛髪に吸着することが必須である事から、主にイオン性に基づく吸着作用を有するカチオン性高分子が用いられている。中でもカチオン変性セルロース誘導体が長らく用いられ、特許文献1には、シャンプーや毛髪化粧料に第4級窒素含有基を導入したカチオン変性セルロース誘導体を使用する事が示されている。さらに、仕上がり感の改善を目的として特許文献2、特許文献3には、ガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、これを酸及び酵素等により分解し低分子化した後カチオン変性した、低分子化カチオン変性ガラクトマンナン多糖が、特許文献4には、ガラクトマンナン多糖としてグアーガム、ローカストビーンガムを用い、ヒドロキシアルキル変性の後にカチオン変性を行い、更に低分子化したカチオン変性ガラクトマンナン多糖が、毛髪処理組成物及び皮膚化粧料組成物に用いられる事が示されている。しかし、カチオン変性セルロース誘導体は、すすぎ時のコンディショニング効果はある程度示す反面、乾燥後のごわつき感など感触の悪化が認められ、低分子化したカチオン変性グアーガム及びローカストビーンガム等の、カチオン変性ガラクトマンナン多糖では、泡立ち及び泡質の悪化、コンディショニング効果の不足が認められる。
【0003】
これらを改善する目的で、特定の範囲にカチオン電荷量を調節して得られるカチオン変性ローカストビーンガムが用いられるようになり、特許文献5には、シャンプー、リンス等のヘアケア製品に使用した場合、カチオン変性グアーガムに比べてすすぎ時のコンディショニング効果が改善されると共に、乾燥後のきしみ感、ゴワツキ感も改善され、良好な使用感が得られる事が、非特許文献1には、そのカチオン変性ローカストビーンガムを、シャンプー、リンス等のヘアケア製品に配合した例が示されている。
【0004】
さらに特許文献6には、クラフト点が40℃以下のアニオン性界面活性剤、無機及び有機塩、3価以上のポリオールからなる洗浄剤組成物が示され、その中の水溶性高分子の一つとして、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガムなどと共にカチオン化ローカストビーンガムが、特許文献7には、ヒドロキシエーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、カチオン電荷密度が2meq/g未満の非セルロース性カチオン性ポリマーからなる洗浄剤組成物が示され、その中の非セルロース性カチオン性ポリマーの一つとして、カチオン化ポテトスターチ、カチオン化タマリンドガムなどと共にカチオン化ローカストビーンガムが、特許文献8には、ヒドロキシエーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノエタノールアマイド及び/または高級脂肪酸ジエタノールアマイド、N−アシル−N−メチルタウリン塩、カチオン性ポリマーからなる洗浄剤組成物が示され、その中のカチオン性ポリマーの一つとして、カチオン化セルロース誘導体、カチオン化グアーガム誘導体、カチオン性澱粉などと共にカチオン化ローカストビーンガムが、特許文献9には、アシル塩型アニオン界面活性剤、無機塩及び有機塩、ポリオキシエチレングリコールからなる洗浄剤組成物が示され、その中のカチオン性高分子の一つとして、カチオン化グアーガム、カチオン化セルロース、ジアリル4級アンモニウム塩重合物などと共にカチオン化ローカストビーンガムが示されている。また更に、特許文献10には、N−アシル−N−メチルタウリン型アニオン界面活性剤、シリコーンエマルジョン、カチオン変性ローカストビーンガム及び/またはカチオン変性フェヌグリークガムを含む洗浄料組成物が示されている。
【0005】
【特許文献1】特公昭47-20635号公報(第5頁)
【特許文献2】特開平7-173029公報(第1-7頁)
【特許文献3】特開平10-36403号公報(第1-9頁)
【特許文献4】特許第3349219号公報(第1-6頁)
【特許文献5】特開2000-103724号公報(第1-6頁)
【特許文献6】特開2003-129097号公報(第1-16頁)
【特許文献7】特開2003-82385(第1-20頁)
【特許文献8】特開2003-193090号公報(第1-11頁)
【特許文献9】特開2004-26976号公報(第1-15頁)
【特許文献10】特開2004-323474号公報(第1-25頁)
【非特許文献1】FRAGRANCE JOURNAL 2003-10 (第34頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、ファッションの多様化によりヘアカラー、ヘアダイを使用する機会が多くなり、これに伴い毛髪が著しく損傷するため、コンディショニング剤のコンディショニング効果、特に使用時のすべり性が重要となってきた。すすぎ時のコンディショニング効果と乾燥後の感触改善を目的で発明されたカチオン変性ローカストビーンガム、さらにはカチオン変性ローカストビーンガムと特定の活性剤との組み合わせをこのような損傷毛髪に用いた場合、泡立ち、泡質の改善、泡切れなど一定の効果はあるものの十分ではない。更に、すすぎ時の指通り及び乾燥後の仕上がり感などは十分満足できるものではない。また、皮膚化粧料組成物に配合した場合においても使用感は十分満足できるのものではなく、さらに水不溶物により外観にも課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者らは従来のカチオン変性ローカストビーンガムの毛髪処理用組成物に配合した時のぬれた髪へのすべり性を改善すると共に、乾燥後の仕上がり感を改善し、また皮膚化粧料組成物に配合した時の泡質の改善と使用後の感触を改善する化合物について鋭意検討した。その結果、ガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下の、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成されたマンノースとガラクトースの組成比が4対1のガラクトマンナン多糖(以下、精製ローカストビーンガムとも記す)に、特定量の第4級窒素含有基を導入し、かつカチオン電荷量を特定範囲に調節し、更に精製ローカストビーンガムに、特定量の第4級窒素含有基を導入したあとのカチオン変性精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液の濁度が15%以下であるものが、化粧料組成物におけるコンディショニング剤として優れた特性をもち、濡れた髪へのすべり性の改善、泡立ち及び泡質の改善、さらには感触の改善ができることを見出し、本発明品を完成するに至った。
【0008】
従って本発明は、各種毛髪処理用組成物、皮膚化粧料組成物、その他メイクアップ剤等の化粧料組成物への使用に適する、粗製ローカストビーンガムを精製することにより得られる、マンノースを構成単位とする主鎖にガラクトース単位が側鎖として構成された、マンノースとガラクトースの組成比が4対1であるガラクトマンナンの含有量が90質量%以上でかつ、1%水溶液の濁度が15%以下である精製ローカストビーンガムの水酸基の一部を、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換したものであって、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであり、さらに精製ローカストビーンガムに特定量の第4級窒素含有基を導入したあとのカチオン変性ローカストビーンガムの1%水溶液の濁度が15%以下であるカチオン変性精製ローカストビーンガムに関する。
【化1】

(式中R1、R2は各々炭素数1〜3個のアルキル基、R3は炭素数1〜24のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。nは、n=0又はn = 1〜30を示し、n = 1〜30の時、(R4O)nは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムは、粗製ローカストビーンガム中の水不溶物が減量されたことで、シャンプー・リンスなど毛髪処理用組成物に配合した場合、使用時には毛髪に対し、従来のコンディショニング剤として用いられる、ガラクトマンナン含有量が90質量%未満の粗製ローカストビーンガムをカチオン変性した、カチオン変性ローカストビーンガム(以下、カチオン変性粗製ローカストビーンガムとも記す)より優れた感触を示し、乾燥後には同等以上の感触が得られる。また、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムをボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物に配合した場合、泡立ちの改善及び泡質の向上効果と、良好な仕上がり感を与える。従って、従来品よりもより使い心地の優れた化粧料組成物を提供することが出来る。さらに、従来のカチオン変性ローカストビーンガムである、カチオン変性粗製ローカストビーンガムより粘度安定性が優れていることから、安定性に優れた化粧料組成物を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いられるローカストビーンガムは、マンノースを構成単位とする主鎖に、ガラクトース単位が側鎖として構成され、マンノースとガラクトースの組成比が4対1の非イオン性多糖類であり、地中海沿岸で栽培されている多年草の豆科植物である、カロブ(学名Ceratonia Siliqua)の種子の胚乳部分から得られる天然水溶性ガムであり、一般的にはローカストビーンガム(Locust bean gum)又はカロブガム(Carob gum)と呼ばれている。本発明には、カロブの種子の胚乳の部分より得られる粗製ローカストビーンガムを、ガラクトマンナン含有量が90質量%以上、好ましくは96質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下、好ましくは8%以下となるように精製したローカストビーンガムを用いる。
【0011】
粗製ローカストビーンガムをガラクトマンナンの含有量が90質量%以上かつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下となるように精製する方法の一つとしては、ガラクトマンナン含有量90質量%未満の粗製ローカストビーンガムを水に溶解し水溶液とし、ろ過により不純物を除去した後、ろ液を有機溶剤中で再沈殿させ、沈殿物を乾燥することで得られる。或いは、種子の外皮を含む外側部分を除去して得られた胚乳の中心部分のみを粉砕することでも得られる。
【0012】
また、このマンノースとガラクトースの組成比が4対1のローカストビーンガムは、その水溶液が、カラギーナン及びキサンタンガムの水溶液とゲルを形成するのに対し、マンノースとガラクトースの組成比が1対1のフェヌグリークガムや2対1のグアーガムではゲルを形成しない等、同じガラクトマンナン多糖でもマンノースとガラクトースの組成比によって水溶液のレオロジーが異なることは公知の事実である。
【0013】
本発明によるカチオン変性精製ローカストビーンガムは、粗製ローカストビーンガムを精製することにより得られるマンノースとガラクトースの組成比が4対1のガラクトマンナンの含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下の精製ローカストビーンガムに、第4級窒素含有基を有するグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を反応させることによって製造することができる。この場合、反応は適当な溶媒、好適には含水アルコール中において、アルカリの存在下で実施される。このような第4級窒素含有基の導入は、従来公知の方法に従って行うことができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。例えば、マンノースとガラクトースの組成比が4対1の精製ローカストビーンガムに含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、上記グリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩の第4級窒素含有基と反応させることによって、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを製造することもできる。また、反応時に溶媒中での精製ローカストビーンガムの凝集を防ぐため、無機塩、好適には塩化ナトリウムを添加することもできる。更に、精製ローカストビーンガムの凝集を防ぎ、分散性を良くし反応率を上げるため、反応溶媒中にアルカリ及び無機塩を添加後溶解又は分散させ、その後、該精製ローカストビーンガムを添加し、溶解又は分散させた後、上記の第4級窒素含有基を導入することでも製造することができる。
【0014】
さらには、ガラクトマンナン含有量が90質量%未満の粗製ローカストビーンガムを同様の方法でカチオン化した後、粉砕、分級する、或いはろ過する等の方法で外皮等の水不溶物を除去、精製することでも、本発明のガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ1質量%水溶液の濁度が15%以下のカチオン変性精製ローカストビーンガムを製造することができる。
【0015】
本発明でマンノースとガラクトースの組成比が4対1のガラクトマンナン多糖である精製ローカストビーンガム中に導入する前記化学式(1)で示された第4級窒素含有基において、R1、及びR2の具体例としては、メチル、エチル、及びプロピルが挙げられ、炭素数1〜24のアルキル基としてのR3の具体例としては上記R1、及びR2と同じものの他、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコシル等が挙げられる。R4Oの具体例としては、エトキシ、プロポキシ、及びブトキシが挙げられる。また、陰イオンX-の具体例としては、塩素イオン、臭素イオン、及び沃素イオンなどのハロゲンイオンの他、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオン、酢酸イオン等を挙げることができる。
【0016】
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムは、ガラクトマンナン含有量を90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下とした精製ローカストビーンガムをカチオン変性する事で、毛髪、及び皮膚への吸着能を有し、良好なすべり性を付与することから化粧料組成物の配合成分として優れたものであり、例えば、毛髪処理用組成物に配合した場合、すすぎ時の指通り、及び乾燥後の仕上がり感を改善し、また皮膚化粧料組成物、例えばボディ用洗浄剤に配合した場合には、泡質の改善と使用後の感触を改善する。従って、本発明はまた、前記、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合した、これらの化粧料組成物にも関する。
【0017】
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの、第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量は0.1〜3.0meq/gであるが、より好ましくは0.5〜2.5meq/gである。カチオン電荷量が0.1meq/g未満では毛髪や皮膚に対する吸着量が不十分となり、実際シャンプー、リンス、ボディ用洗浄剤等の毛髪処理組成物や皮膚化粧料組成物に配合しても効果は認められない。また、電荷量が3.0meq/gを越えるカチオン変性精製ローカストビーンガムを、毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物を配合した場合、使用時に泡立ちの悪化、及びべたつき感、ぬるつき感が生じ使用感を悪化させ、使用後の仕上がり感も、ごわつき感、べたつき感を生じるなど好ましくない。
【0018】
なお、カチオン変性精製ローカストビーンガムの第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量とは、カチオン変性精製ローカストビーンガム1g当たりに含まれる化学式(1)で示された第4級窒素含有基の当量数である。通常は第4級窒素含有基由来の窒素分をケルダール法(旧化粧品原料基準、一般試験方法、窒素定量法、第2法)により求め、測定値から算出できるが、本発明で用いられるガラクトースとマンノースの組成比が4対1の精製ローカストビーンガム中には、窒素分が含まれるため、ケルダール法により求めた本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガム中の窒素分から、本発明で用いるガラクトースとマンノースの組成比が4対1の精製ローカストビーンガム由来の窒素分を引いた値が、第4級窒素含有基由来の窒素分となる。具体的に説明すると、化学式(1)で示された第4級窒素含有基のR1、R2、R3はメチル、X-は塩素イオン、nは、n = 0の第4級窒素含有基であり、精製ローカストビーンガムをカチオン変性することで得られた本発明品の窒素分をケルダール法により測定した結果、1.42%であった場合、この物質のカチオン電荷量は以下の式にて求められる。本発明で用いられる精製ローカストビーンガム中には、通常窒素分を0.07%前後含有している。

【0019】
また、精製ローカストビーンガム中のガラクトマンナン含有量とは、固形分換算した、カチオン変性精製ローカストビーンガムの原料となる、粗製ローカストビーンガムを精製することで得られる精製ローカストビーンガム1g当たりに含まれるガラクトマンナンの質量百分率である。測定方法としては、以下の通りであるが、酵素分解後の吸光度による測定のほか、液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等によって測定することも可能である。測定方法としては、試料約20mgを正確に量り、遠沈管に入れ、エタノール5mLを加えて85〜95°Cでインキュベートした後、遠心分離する。上相と下相に分離した下相に50mM酢酸緩衝液(pH4.5)10.0mLを加えて加熱した後、40°Cで12時間放置した。その後β-マンナナーゼ20μLを加え、40°Cで180分間培養する。培養後、遠心分離し、上澄み0.1mLをとり、50mM酢酸緩衝液(pH4.5)0.2mL、α-ガラクトシターゼ20μLを加える。この液を40°Cでインキュベートした後200mMトリス緩衝液2.5mLを加え、さらにβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(0.1g/10mL)0.1mL、ガラクトースデヒドロゲナーゼ8μLを加えてさらに40°Cで60分間インキュベートし、その溶液の340nmの吸光度を測定する。得られた吸光度より次式を用いてガラクトース含有量を求める。ガラクトマンナン含有量は、ガラクトース量から、試料のマンノースとガラクトースの組成比を用いて算出する。

具体的に説明すると、日本バイオコン(株)社製ガラクトマンナン測定キットを用い、本発明品に使用する精製ローカストビーンガム中のガラクトマンナン含有量を測定した場合、検量線より求められたガラクトース含有量への換算係数A*が1384.6であり、ブランクの340nmにおける吸光度が0.276である時、精製ローカストビーンガムを固形分換算で23.5mg採集し、その試料溶液の340nmにおける吸光度が0.605である例では、ガラクトース含有量は19.4%となる。ローカストビーンガムはマンノースとガラクトースの組成比が4対1であるから、ガラクトマンナン含有量は97.0%となる。
【0020】
カチオン変性精製ローカストビーンガム、及び精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液濁度とは、水溶液の透明性を示すもので、濁度測定装置にて測定を行うことが出来る。カチオン変性精製ローカストビーンガムで具体的に説明すると、濁度測定装置(ポイック積分球式極微濁度計、日本精密光学株式会社製)にて、予め調製したカチオン変性精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液を、ポイック積分球式極微濁度計における測定条件の標準法(白板法、10mmガラスセル)にて測定する。なお、透明性を表す方法としては、濁度以外に透過率で示すことも可能であり、この場合は、カチオン変性精製ローカストビーンガム、及び精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液の透過率は、共に85%以上が必要となる。
【0021】
また、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの1質量%水溶液の粘度は、測定温度25℃に於いて、10〜10,000mPa・sが好ましい。1質量%水溶液の粘度が10mPa・s未満では、従来の低分子化カチオン変性ガラクトマンナン多糖と同様、コンディショニング効果が発揮されない傾向にあり、粘度が10,000mPa・sを超える場合は、使用時にぬるつき感、べたつき感が生じると共にすべり性の悪化、また乾燥後には、ごわつき感、べたつき感が認められる等、使用感が悪くなる傾向がある。
【0022】
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムは、化粧料組成物の配合成分として優れたものである。例えば、毛髪処理用組成物に配合した場合、従来用いられているカチオン変性粗製ローカストビーンガムを配合した場合に比べて、ぬれた髪に対するすべり性とコンディショニング効果が向上し、乾燥後の仕上がり感も改善される。また、カチオン変性粗製ローカストビーンガム中には、天然水溶性ガムであるガラクトマンナン多糖以外の水不溶性物が多いため、皮膚化粧量組成物として使用した場合、水不溶物により感触の低下が認められるが、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを使用した場合、水不溶物が精製により減少しているため、感触が低下することはない。その上、良好な泡立ちが得られるため、皮膚化粧量組成物としても優れている。さらに、粘度安定性も従来品と比べ優れている。
【0023】
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に対する配合量は、組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%が好ましく、0.05質量%未満ではコンディショニング効果が十分に発揮されない傾向にあり、5質量%を越えると使用時にぬるつき感、べたつき感が生じると共に、すべり性が悪化し、使用感が悪くなる傾向がある。
【0024】
また、本発明の毛髪処理用組成物には、コンディショニング効果の向上の為、さらに種々のカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用することができるが、その配合量はカチオン変性精製ローカストビーンガムの毛髪に対するすべり性及びコンディショニング効果、さらには泡質などを損なわない範囲であり、組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを超えると使用時にごわつき感が生じ使用感が悪くなると共に、毛髪に対するすべり性も悪化する傾向にある。さらに、皮膚化粧料組成物に於いては、使用後の感触が重くなったり、ぬるつき感が生じたりと、使用感が悪くなる傾向がある。
【0025】
配合されるカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子としては、下記のようなものが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0026】
カチオン性水溶性高分子の例としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性デンプン、カチオン変性タマリンドガム、カチオン変性グアーガム、カチオン変性タラガム、カチオン変性フェヌグリークガム等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)等が挙げられる。
【0027】
両性水溶性高分子の例としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)等が挙げられる。
【0028】
上述のように、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを公知の処方により処方系内に所要量配合することで本発明の化粧料が得られるが、化粧料中の他の成分は特に限定されず、化粧料に一般に用いられる成分を任意成分として配合することが可能である。配合可能な他の成分を下記に例示する。
【0029】
アニオン界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)エーテル硫酸塩、アルキル(炭素数8〜24)ベンゼンスルホン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)リン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルリン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)スルホコハク酸塩、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜24)エーテルスルホコハク酸塩、アシル(炭素数8〜24)化アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化N-メチル-β-アラニン塩、アシル(炭素数8〜24)化グルタミン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化イセチオン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化サルコシン酸塩、アシル(炭素数8〜24)化タウリン塩、アシル(炭素数8〜24)化メチルタウリン塩、α-スルホ脂肪酸エステル塩、エーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノエタノールアミド硫酸塩、長鎖(炭素数8〜24)カルボン酸塩等が挙げられる。
【0030】
ノニオン界面活性剤としては、アルカノールアミド、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、テトラポリオキシアルキレンエチレンジアミン縮合物類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油誘導体、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油誘導体、アルキルポリグリコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0031】
両性界面活性剤としては、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルベタイン、アルキル(炭素数8〜24)カルボキシベタイン、アルキル(炭素数8〜24)スルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)ヒドロキシホスホベタイン、アルキル(炭素数8〜24)アミノカルボン酸塩、アルキル(炭素数8〜24)アンホ酢酸ナトリウム、アルキル(炭素数8〜24)アミンオキシド、3級窒素、及び4級窒素を含むアルキル(炭素数8〜24)リン酸エステル等が挙げられる。
【0032】
また本発明の毛髪処理用組成物や皮膚化粧料組成物に配合されるカチオン性、両性水溶性高分子以外にも、粘度調整、及びスタイリング時の使用性をある程度改善するなどの目的によりアニオン性、ノニオン性高分子を、本発明の効果を損なわない範囲でさらに配合することができ、例えば下記のようなものが挙げられる。
【0033】
アニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体(ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸・アクリルアミド・ジアセトンアクリルアミド・アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸アルキルエステル共重合体及びその塩等)、クロトン酸誘導体(酢酸ビニル・クロトン酸共重合体等)、マレイン酸誘導体(無水マレイン酸・ジイソブチレン共重合体、イソブチレン・マレイン酸共重合体等)、ポリグルタミン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。
【0034】
ノニオン性高分子の例としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリル酸アミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)、ポリオキシアルキレングリコール誘導体(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリサッカライド及びその誘導体(ローカストビーンガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、フェヌグリークガム、タラガム、デキストラン等)等が挙げられる。
【0035】
さらに別の態様において、本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に、アミドアミン化合物を有機酸及び/または無機酸等の中和剤で完全中和または部分中和したアミドアミン化合物の有機酸塩及び/または無機酸塩とさらに、高級脂肪酸及び/または高級アルコールを添加することで、コンディショニング効果を向上することができる。その配合量はアミドアミン化合物として組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを越えると、使用後の感触が重くなったり、ぬるつきを生じたりと、使用感が悪くなる。
【0036】
また更に、本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に、シリコーン誘導体(メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、高重合度メチルポリシロキサン、環状ポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等)を添加することで、コンディショニング効果を向上することができる。その配合量はシリコーン誘導体として組成物全体を100質量%として、5質量%以下が好ましく、これを越えると、使用後の感触が重くなったり、ぬるつきを生じたりと、使用感が悪くなるばかりか、組成物の安定性も悪化する。
【0037】
本発明の毛髪処理用組成物及び皮膚化粧料組成物に配合されるその他の成分としては、カチオン界面活性剤(アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム等)、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、ワックス類(カルナバロウ、キャンデリラロウ等)、炭化水素油(流動パラフィン、スクワラン、オリーブ油、ホホバ油等)、保湿剤(グリセリン、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヒアルロン酸Na等)、エステル類(ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸-2-ヘキシルデシル、トリミリスチン酸グリセリン、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-ヘプチルウンデシル、パルミチン酸-2-ヘキシルデシル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、セトステアリルアルコール、オクタン酸セチル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、オレイン酸デシル、オレイン酸オイル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸エチル、酢酸ブチル酢酸アミル、酢酸ラノリン、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキシルパルミテート、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリ-2-エチルヘキシル酸グリセリン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、セチル-2-エチルヘキサノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸-2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、アセトグリセライド、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸-2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、エチルラウレート、ミンク油脂肪酸エチル等)、酸化防止剤(トコフェロール、BHT等)、高級アルコール、高級脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等)、アミノ酸類(アルギニン、グルタミン酸等)紫外線吸収剤、(ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシ桂皮酸誘導体等)、パール化剤(脂肪酸エチレングリコール等)、懸濁剤(ポリスチレン乳化物等)、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、殺菌剤、防腐剤、育毛剤、ビタミン類、抗炎症剤、色素、香料、起泡増進剤等が挙げられる。
【0038】
上述の本発明にかかる化粧料組成物の剤型は限定されず任意の剤型を取ることができ、さらに上記(必須)成分の他に本発明の効果を損なわない範囲で、その剤型によって通常当該化粧料組成物に配合される各種成分を加え常法により製造することができるが、中でも毛髪処理用組成物として好ましく使用できる。剤型としては、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアワックス、ヘアローション、ヘアミスト等が挙げられ、いずれも、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムのすべり性とコンディショニング効果の改善、使用後の仕上がり感の向上、泡質の改善等の効果を利用したものである。また、使用感触向上効果から、ボディ用洗浄剤、洗顔料、ローションへの利用も可能であり、酸性染毛料、酸化染毛料、パーマ剤等へ配合することも可能である。また、使用部位や使用場面に合わせて、固体、粉体、液体、ジェル、クリーム、エアゾール、フォームなど様々な態様をとることが可能である。
【実施例】
【0039】
以下に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に指定のない限り、配合量は質量%で示す。
【0040】
[カチオン変性精製ローカストビーンガムの製造]
実施例1
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8gを70容量%のイソプロパノール水溶液900mLに添加した後、ガラクトマンナン含有量97質量%、1質量%水溶液濁度5.5%の精製ローカストビーンガム162gを徐々に添加し分散させた。次に80質量%グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(以下GTAとも記す)水溶液65.5gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを50容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ローカストビーンガムのカチオン電荷量は0.90meq/g、1質量%水溶液の濁度は4.9%、25℃に於ける1質量%水溶液の粘度は1032mPa・s、GPC測定法による重量平均分子量は335,000であった。この結果を表1に示した(表1中、試料番号1)。なお、GPC測定法による重量平均分子量の測定条件は以下のとおりである。
カラム:OHpakSB-804HQ、OHpakSB-803HQ、OHpakSB-802HQ(昭和電工製)
溶離液:0.25mol/L-HOAc+0.05mol/L-NaCl、48%NaOHでpH3.5に調整
検出器:示差屈折計
検量線:プルラン
【0041】
同様に添加するGTAの量を変えることでカチオン電荷量の異なるカチオン変性精製ローカストビーンガムを合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号2、3)。
【0042】
実施例2
ガラクトマンナン含有量96質量%、1質量%水溶液濁度6.8%の精製ローカストビーンガム162gを、55容量%のイソプロパノール水溶液900mLに分散させ、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液48.3gを添加した。次に3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルジメチルモノラウリルアンモニウムクロライド142.8gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを70容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ローカストビーンガムのカチオン電荷量は0.76meq/g、1質量%水溶液の濁度は6.5%、25℃に於ける1質量%水溶液の粘度は432mPa・s、GPC測定法による重量平均分子量は163,000であった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号4)。
【0043】
実施例3
加圧密閉容器内に実施例1で用いた精製ローカストビーンガム162gを、80容量%のイソプロパノール水溶液900mLに分散させ、48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8gを添加した。次にエチレンオキサイド66g、プロピレンオキサイド240gを加え、加温し70°Cで3時間、加圧密閉下で反応させた。反応終了後解圧し、50°Cまで冷却する。冷却後、80質量%GTA水溶液150gを加え、50°Cで3時間反応させる。反応終了後35%塩酸14.0gを70容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール1800mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ローカストビーンガムのカチオン電荷量は0.82meq/g、1質量%水溶液の濁度は1.2%、25℃に於ける1質量%水溶液の粘度は108mPa・s、GPC測定法による重量平均分子量は98,000であった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号5)。
【0044】
実施例4
48質量%の水酸化ナトリウム水溶液11.8g及び塩化ナトリウム3.0gを、50容量%のイソプロパノール水溶液900mLに添加した後、ガラクトマンナン含有量99質量%、1質量%水溶液濁度1.6%の精製ローカストビーンガム162gを徐々に添加し分散させた。次に80質量%GTA水溶液77.2gを加え、加温し50°Cで3時間反応させた。反応終了後35%塩酸14.0gを50容量%のイソプロパノール水溶液1500mLで希釈し、中和に使用した。室温で1時間中和後、メタノール900mLに反応液を注ぎ、反応生成物を沈殿させ、濾別した。得られた沈殿物をメタノール水溶液にて洗浄した後、反応生成物を減圧下で乾燥した。このようにして得られたカチオン変性精製ローカストビーンガムのカチオン電荷量は1.06meq/g、1質量%水溶液の濁度は2.0%、25℃に於ける1質量%水溶液の粘度は358mPa・s、GPC測定法による重量平均分子量は141,000であった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号6)。
【0045】
例1
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムと比較するために、実施例1の方法に準じ、添加するGTAの量を変えることでカチオン電荷量の異なるカチオン変性精製ローカストビーンガムを合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号7、8)。
【0046】
比較例1
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムと比較するために、実施例1の方法に準じ、濁度の高い粗製ローカストビーンガムを使用し、カチオン変性粗製ローカストビーンガムを合成した。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号9)。
【0047】
比較例2
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムと比較するために、ガラクトマンナン含有量85質量%、1質量%水溶液濁度82.5%の粗製ローカストビーンガムを使用し、実施例1の方法に準じ、カチオン変性粗製ローカストビーンガムを合成した。このようにして得られたカチオン変性粗製ローカストビーンガムのカチオン電荷量は0.87meq/g、1質量%水溶液の濁度は52.8%、25℃に於ける1質量%水溶液の粘度は676mPa・s、GPC測定法による重量平均分子量は305,000であった。この結果を表1中に示した(表1中、試料番号10)。
【0048】
【表1】

【0049】
[カチオン変性精製ローカストビーンガムを配合した各化粧料の製造と評価]
実施例5 毛髪に対するすべり性(その1)
カチオン変性精製ローカストビーンガムの毛髪に対するすべり性を、洗い流し製品で確認した。
〈洗い流し製品の調製〉
5−a
実施例1、2及び4で得たカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いて表2中の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(A)の成分(12)を80°Cに加熱し、成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合した。こうして表2の(A)に示した組成のシャンプーを各々調製し、試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合したものを本発明品の処方S1、試料番号4のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合したものを本発明品の処方S2、試料番号6のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合したものを本発明品の処方S3とした。
【0050】
5−b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、さらにカチオン性水溶性高分子としてエチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)と、両性水溶性高子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)の両方を含む、表2の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表2中の(B)の成分(12)を80°Cに加熱し成分(1)及び(3)、(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、こうして表2の(B)に示した組成のシャンプーを調製し、本発明品の処方S4とした。
【0051】
5−c(比較品の調製)
本発明品のカチオン変性精製ローカストビーンガムのシャンプーにおける効果を比較するため、従来のカチオン変性ローカストビーンガムである比較例2で得たガラクトマンナン含有量85質量%、1質量%水溶液濁度52.8%、カチオン電荷量0.87meq/gのカチオン変性粗製ローカストビーンガム(表1中の試料番号10)を用いて表2中の(C)に示した組成の比較品シャンプーを調製した。表2中の比較品(C)の成分(12)を80°Cに加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(7)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(8)〜(11)を加え均一に混合し、こうして表2の(C)に示した組成のシャンプーを調製し、比較品C1とした。
【0052】
【表2】

【0053】
(評価)
上記5-a 〜 5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーの5%水溶液に、毛髪ストランド((株)ビューラックス社製、根元揃え人毛、長さ60mm、幅40mm)を浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、この濡れたままの毛髪について摩擦感テスター(カトーテック(株)社製、KES-SE)により動摩擦係数を測定し、すべり性の評価とした。この評価結果を表3に示した。さらに5-cで調製した、比較品C1のシャンプーについても、同様に毛髪ストランドを浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、濡れたままの毛髪ストランドの動摩擦係数を摩擦感テスターにより測定し、すべり性の評価をとした。この結果を表3中に示した。
【0054】
先述の5-a 〜 5-cで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと、比較品C1のシャンプーについて、10名のテスターにより洗髪後の指通り試験を以下の方法にて行った。本発明品の処方S1〜S4のシャンプー、及び比較品C1のシャンプーを用いて洗髪、すすぎを行い、すすぎ時の指通りを確認した。指通りが良好であるとしたテスターの人数により次の基準で評価し、その結果を表3中に示した。
・指通りが良いと感じたテスターが8名以上・・・◎
・指通りが良いと感じたテスターが6 〜7名 ・・・○
・指通りが良いと感じたテスターが4 〜5名 ・・・△
・指通りが良いと感じたテスターが4名未満・・・×
【0055】
【表3】

【0056】
表3の結果から、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合したシャンプーは、従来のカチオン変性ローカストビーンガムであるカチオン変性粗製ローカストビーンガム(試料番号10)を配合したものよりも、濡れた髪の動摩擦係数を低下させるということが確認された。このことは官能評価でも現れ、洗髪後の指通りもカチオン変性粗製ローカストビーンガムを配合したシャンプーよりも、本発明品を配合したものが優れた指通りを示すことが確認された。また、カチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を併用した系でも、その効果は失われないことが確認された。よって、ガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下の精製ローカストビーンガムをカチオン変性させることで得られる、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを毛髪処理組成物に配合した場合、すべり性が向上することが確認された。また、毛髪に対するすべり性の向上が認められることから、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の皮膚化粧料に対する感触改善も期待できる。
【0057】
実施例6 毛髪に対するすべり性(その2)
(評価)
実施例5で調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーを用い、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの損傷した毛髪に対するすべり性付与効果を、洗い流し製品で確認した。実施例5の試験に使用したものと同様の毛髪ストランドを6%H2O2と3%アンモニア水の2:1混合液(w/w)のブリーチ剤に、浴比1:100(毛髪ストランド:溶液重量)、40°Cの条件下で60分間浸漬した。温水で洗浄後、ドライヤー乾燥した。このブリーチ処理により得られた損傷の著しい毛髪ストランドを、先述の5-a〜5-bで調製した本発明品の処方S1〜S4のシャンプーの5%水溶液にそれぞれ浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、この濡れたままの毛髪ストランドの動摩擦係数を摩擦感テスターにより測定し、すべり性の評価とした。この評価結果を表4に示した。さらに、5-cで調製した比較品C1のシャンプーについても同様にブリーチ処理を行った毛髪ストランドを浸漬し、シャンプーを充分に洗い落とした後、濡れたままの毛髪ストランドについて摩擦感テスターによるすべり性の評価を実施し、結果を表4中に示した。
【0058】
【表4】

【0059】
表4の結果から、損傷毛髪においても、ガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下の精製ローカストビーンガムをカチオン変性させて得られた、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合した処方では、従来のカチオン変性粗製ローカストビーンガムを配合したものよりも、濡れた損傷毛髪に対するすべり性の向上効果が優れているということが確認され、更に、実施例5でのブリーチ未処理の健常毛髪で評価した場合よりも、動摩擦係数の差が大きくなっていることから、本発明品の損傷毛髪での有用性が確認された。
【0060】
実施例7 泡立ち試験
実施例5の5-a〜5-bで調製した、各々の本発明品の処方S1〜S4のシャンプーを用いて泡立ちについて測定を行った。比較のため、5-cで調製した、比較品C1のシャンプーについても同様に泡立ちを測定した。
測定方法は、本発明品の処方S1〜S4のシャンプーと比較品C1のシャンプーを硬度4の水でそれぞれ有り姿で1.5質量%となるよう希釈調製し、調製したそれぞれの水溶液145mLを市販のジューサーミキサーに入れ撹拌し泡立て、この時の泡の量を測定した。この結果を表5に示した。
【0061】
【表5】

【0062】
表5の結果から、精製ローカストビーンガムをカチオン変性した試料番号1、4、6のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含む本発明品の処方S1〜S4のシャンプーは、従来のガラクトマンナン含有量90質量%未満の粗製ローカストビーンガムをカチオン変性したものを含む比較品C1に比べ、泡立ちが優れることが証明された。よって、本発明品はシャンプー、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の泡立ちを有する化粧料組成物に配合した場合、泡立ちの改善が期待できる。
【0063】
実施例8 粘度安定性試験
8−a
実施例1、2、3及び4で得た試料番号1、4、5及び6の本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、各々の1質量%水溶液を調製し、20℃及び40℃の恒温槽中に3ヶ月間放置し粘度の経時変化試験を行った。25℃に於ける水溶液調製直後の粘度、及び3ヶ月放置後の粘度を測定し、粘度低下率を算出、粘度低下率から安定性を確認した。粘度低下率は以下の式より算出し、この結果を表6に示した。尚、各々の1質量%水溶液には、試験中の腐敗を防ぐ目的でパラオキシ安息香酸メチルを0.2質量%添加した。

【0064】
8−b(比較品の調製)
本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムとの粘度安定性を比較するため、比較例1及び2で得た試料番号9及び10の従来のカチオン変性粗製ローカストビーンガム、各々の1質量%水溶液を、実施例8と同様に調製し、粘度低下率の測定を行い、表6中に示した。
【0065】
【表6】

【0066】
表6の結果から、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガム水溶液の粘度低下率は、従来のカチオン変性ローカストビーンガム等と比較し、低い事が確認された。よって、本発明品を、シャンプー、リンス等の毛髪化粧料組成物や、ボディ用洗浄剤、洗顔料等の皮膚化粧料組成物に配合した場合、剤型の安定性が期待できる。
【0067】
以下、健常毛髪、及び損傷毛髪に対するカチオン変性精製ローカストビーンガムによって得られるすべり性の改善、良好な泡立ち性能、及び感触の向上を、剤型の異なる化粧料組成物それぞれにおいてさらに確認した。
【0068】
ヘアシャンプー
(調製)
実施例9
9−a
実施例1〜4で得た本発明の試料番号1〜6のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いて、表7の(A)に示した組成のシャンプーを調製した。表7中の(A)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合した。こうして表1中の試料番号1〜6に対応するカチオン変性精製ローカストビーンガムを配合した表7の(A)に示した組成のシャンプーを各々調製し、表1中の試料番号1〜6を含むシャンプーを順に、本発明品の処方1〜6とした。
【0069】
9−b
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、さらにカチオン性水溶性高分子Aとして、エチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表7の(B)に示した組成のシャンプーを調製した。表7中の(B)の成分(14)を65°Cに加熱し、成分(1)、及び(3)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方7とした。
【0070】
9−c
上記カチオン性水溶性高分子Aの代わりに、カチオン性水溶性高分子Bとして塩化ジアリルジメチルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(Merquat 550;NALCO社製)を含む表7の(C)に示した組成のシャンプーを同様に調製し、これを本発明品の処方8とした。
【0071】
9−d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)を含む、表7の(D)に示した組成のシャンプーを調製した。表7中の(D)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)、及び(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、さらに30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方9とした。
【0072】
9−e
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いてカチオン性水溶性高分子、両性水溶性高分子を含む、表7の(E)に示した組成のシャンプーを調製した。表7中の(E)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(1)、(3)、及び(4)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーを本発明品の処方10とした。
【0073】
9−f(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性精製ローカストビーンガムのシャンプーにおけるその効果を比較するため、例1及び比較例1、2で得たカチオン変性ローカストビーンガム、すなわち表1中の試料番号7、8、9及び10を用いて、表7の比較品(G)に示した組成のシャンプーを調製した。表7中の比較品(G)の成分(14)を65°Cに加熱し成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させた。溶解を確認した後、加熱を止め成分(5)〜(10)を加えて攪拌して均一とし、30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合し、得られたシャンプーをそれぞれ比較品1、2、3及び4とした。
【0074】
【表7】

【0075】
(評価)
実施例10
上記9-a 〜 9-eで調製した各々のシャンプー、すなわち本発明品の処方1〜10について10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等を含まない表7の標準品(F)に示される組成のシャンプーと、それぞれ評価するべき対象のシャンプーとを使用し、洗髪時の使用感、乾燥後の使用感を、標準品(F)を基準にして、
・洗髪時の泡立ち
・使用時のすべり性(指通り、及び髪の手触り)
・使用後(乾いた髪)の櫛通り感
について比較し、下記表8に示す方法にて数値化し、それぞれの項目について10名のテスターの評価値を合計した。この評価結果を表9に示した。尚、上記標準品(F)は表7の標準品(F)中の成分(14)を65°Cに加熱した後、成分(5)〜(10)を加え攪拌して均一とした後、冷却し30〜40°Cで成分(11)〜(13)を加え均一に混合して調製した。
【0076】
比較例3
上記9-fで調製した各々のシャンプー、比較品1〜4について、実施例10と同様に性能評価を実施し、その結果を表9中に示した。
【0077】
【表8】

【0078】
【表9】

【0079】
表9の結果から、ガラクトマンナン含有量90質量%以上でかつ、1質量%水溶液濁度15%以下の精製ローカストビーンガムに特定量の第4級窒素含有基を導入することでカチオン電荷量を特定の範囲に調節した、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムをシャンプーに用いた場合、洗髪時の泡立ちと、使用時の指通り及び手触りなどのコンディショニング効果に優れ、乾燥後は櫛通りなどのコンディショニング効果に優れることが確認された。
【0080】
また、粗製ローカストビーンガムをカチオン変性した、従来のカチオン変性ローカストビーンガム(試料番号9及び10)を含む比較品3及び4では、洗浄時の指通り等のコンディショニング効果が、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムと比較し劣り、乾燥後のすべり性、仕上がり感も乏しく、この事から特定量以上のガラクトマンナンを含み、水溶液の濁度が良好なローカストビーンガムをカチオン変性した、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムによって性能が改善される事が示された。さらに、配合成分としてカチオン性水溶性高分子(カチナールHC-100、Merquat 550)及び/又は両性水溶性高分子(Yukaformer SM)を併用することにより、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムのもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することが確認された。
【0081】
(配合例1〜4)
以下に、シャンプーへの本発明の好適な配合例を示す。
【表10】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
※1)センサマーCI−50(NALCO社製)
【0082】
【表11】

【0083】
【表12】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0084】
【表13】

精製水を70°Cに加熱し、他成分を加え均一に溶解した後、冷却した。
【0085】
配合例1〜4で製造した化粧料組成物において、更にその効果を確認した結果、洗髪時の泡立ち及び泡質の改善と、洗髪及びすすぎ時の指通り、手触りなどのコンディショニング効果に優れ、更に乾燥後は櫛通り、手触りなどのコンディショニング効果に優れるものであった。
【0086】
ヘアリンス
(調製)
実施例11
11−a
実施例1及び3で得られた試料番号1及び5のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いて、下記表14の(A)に示した、アミドアミン化合物と中和剤としてクエン酸を用い中和した、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド・クエン酸塩とさらには、高級アルコール(セタノール)を含む組成のリンスを調製した。表14の(A)の成分(5)〜(9)及び(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表14の(A)に示した組成のリンスを調製し、表1中の試料番号1及び5の本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含むリンスを順に、本発明品の処方11、12とした。
【0087】
11−b
実施例2で得られた試料番号4のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いて、下記表14の(B)に示した、アミドアミン化合物と中和剤としてクエン酸を用い中和した、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド・クエン酸塩とさらには、高級アルコール(セタノール)、シリコーン誘導体を含む組成のリンスを調製した。表14の(B)の成分(5)〜(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合した。こうして表14の(B)に示した組成のリンスを調製し、表1中の試料番号4の本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含むリンスを、本発明品の処方13とした。
【0088】
11−c
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、さらにカチオン性水溶性高分子として、エチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100;東邦化学工業(株)社製)を含む、表14の(C)に示した組成のリンスを調製した。表14の(C)の成分(5)〜(9)及び(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)、及び(3)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方14とした。
【0089】
11−d
実施例1で得た試料番号1のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用い、さらに両性水溶性高分子としてN-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体(Yukaformer SM;三菱化学株式会社製)を含む、表14の(D)に示した組成のリンスを調製した。表14の(D)の成分(5)〜(9)及び(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(1)、及び(4)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、得られたリンスを本発明品の処方15とした。
【0090】
11−e(比較品の調製)
本発明によるカチオン変性精製ローカストビーンガムのリンスにおけるその効果を比較するため、例1で得たカチオン変性ローカストビーンガム、すなわち表1中の試料番号7及び8を用いて、表14の比較品(F)に示した組成のリンスを調製した。表14中の比較品(F)の成分(5)〜(9)及び(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、予め成分(13)に成分(2)を攪拌しながら加え溶解させた溶液を80°Cに加熱したものを攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し、表1中の試料番号7及び8を含むリンスを、それぞれ比較品5及び6とした。
【0091】
11−f(比較品の調製)
さらに効果を比較する為、前記試料番号7及び8の代わりに試料番号10のガラクトマンナン含有量85質量%、1質量%水溶液濁度52.8%、カチオン電荷量0.87meq/gのカチオン変性粗製ローカストビーンガムを用いて、表14の比較品(F)に示した組成のリンスを11-eと同様に調製し、得られたリンスを比較品7とした。
【0092】
【表14】

【0093】
(評価)
実施例12
先述の11-a〜11-dで調製した各々のリンス、すなわち本発明品の処方11〜15について、10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマーを含まない表14の標準品(E)に示される組成のリンスと、それぞれ評価するべき対象のリンスとを使用し、すすぎ時の指通り、ドライヤー乾燥を行った後の使用感を、標準品(E)を基準にして、
・すすぎ時のすべり性(指通り)
・乾いた髪のコンディション効果の有無(櫛通り、きしみ感など)
について比較し、それを下記表15の方法にて数値化し、評価を実施した10名のテスターの値を合計した。この評価結果を表16に示した。尚、上記標準品(E)は表14の標準品(E)中の成分(5)〜(9)及び(11)を80°Cに加熱し、攪拌して均一にした溶液に、80°Cに加熱した成分(13)を攪拌しながら加えた後、冷却しながら成分(12)を加えて均一に混合し調製した。
【0094】
比較例4
先述の11-e及び11-fで調製した各々のリンス、すなわち比較品5〜7について、実施例12と同様に性能評価を実施し、その結果を表16中に示した。
【0095】
【表15】

【0096】
【表16】

【0097】
表16の結果から、ガラクトマンナン含有量が90質量%以上でかつ、1質量%水溶液の濁度が15%以下である精製ローカストビーンガムをカチオン変性させた、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含み、さらにアミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコール(セタノール)を含むリンスでは、すすぎ時のすべり性に優れていることが確認された。さらに、乾燥後の櫛通りの改善や、きしみ感の少なさ等のコンディショニング効果が得られることから、アミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコールを含む系においても、本発明品による良好な仕上がり感が確認された。
【0098】
またアミドアミン化合物、中和剤、及び高級アルコールを含むリンスにおける本発明品の性能(本発明品の処方11〜15)を、粗製ローカストビーンガムをカチオン変性した、従来のカチオン変性ローカストビーンガム(比較品の処方7)と比較すると、使用時のコンディショニング効果及び使用後の仕上がり感ともに優れていることが確認された。これは本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムでは、従来の、ガラクトマンナン含有量が90質量%未満である粗製ローカストビーンガムをカチオン変性した、カチオン変性粗製ローカストビーンガムよりも外皮由来の沈殿物や、タンパク質、非水溶性物質が減じており、このことによりすすぎ時に良好なすべり性が得られると同時に、使用後の仕上がり感も向上するものと考えられる。さらに、カチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を併用することにより、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムのもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することが確認された。またさらに、メチルポリシロキサン等のシリコーン誘導体を配合することにより、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムのもつ性能を損なうこと無く、コンディショニング効果が向上することも確認された。
【0099】
(配合例5〜7)
以下に、リンス、コンディショナー等のコンディショニング効果を必要とする毛髪処理用組成物への、本発明の好適な配合例を示す。
【表17】

表17の精製水に、本発明品、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン、ベヘン酸ジメチルアミノプロピルアミド、加水分解コムギ、L-グルタミン酸、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、色素を加え80°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、80°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0100】
【表18】

表18の精製水に、本発明品、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、グリセリン、ローカストビーンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム−28、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、50%クエン酸水溶液、フェノキシエタノール、色素を加え75°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、75°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0101】
【表19】

表19の精製水に、本発明品、コロハヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム−22、N-(3-アルキル(12,14)オキシ-2-ヒドロキシプロピル)-L-アルギニン塩酸塩、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘントリモニウムクロリド、50%乳酸、グリセリン、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム、を加え70°Cに保つ(水相)。残りの他の成分を混合、加熱溶解し、70°Cに保つ(油相)。水相と油相を加えホモミキサーで乳化後、撹拌しながら冷却した。
【0102】
配合例5〜7で製造した化粧料組成物において、更にその効果を確認した結果、すすぎ時のすべり性と乾燥後の櫛通りに優れ、更にきしみ感の少なさ等のコンディショニング効果に優れるものであった。
【0103】
(配合例8〜9)
以下に、コンディショニング効果を必要とする他の毛髪処理組成物への、本発明の好適な配合例を示す。
【表20】

常法に基づき、ヘアワックスを製造する。
【0104】
【表21】

常法に基づき、ヘアジェルを製造する。

【0105】
配合例8〜9で製造した化粧料組成物において、更にその効果を確認した結果、乾燥後の仕上がり感が改善され、コンディショニング効果に優れるものであった。
【0106】
(配合例10〜12)
以下に本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの損傷毛髪に対するコンディショニング効果を利用した、好適な配合例を示す。
【表22】

常法に基づき、二剤式酸化染毛剤を製造する。
【0107】
【表23】

常法に基づき、二剤式酸化染毛剤を製造する。
【0108】
【表24】

常法に基づき、二剤式毛髪脱色剤を製造する。
【0109】
配合例10〜12で製造した化粧料組成物において、更にその効果を確認した結果、すすぎ時のすべり性に優れ、乾燥後の仕上がり感も改善されコンディショニング効果に優れるものであった。
【0110】
ボディ用洗浄剤
(調製)
実施例13
13−a
実施例1、2及び4で得られた試料番号1、4及び6のカチオン変性精製ローカストビーンガムを用いて、表25の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤(ボディソープ)を調製した。表25中の(A)の成分(11)を60°Cに加熱し、成分(1)を攪拌しながら加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40°Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表25の(A)に示した組成のボディ用洗浄剤を各々調製し、表1中の試料番号1、4及び6の本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含むボディ用洗浄剤を順に、本発明品の処方16、17及び18とした。
【0111】
13−b(比較品の調製)
本発明で用いるカチオン変性精製ローカストビーンガムの、ボディ用洗浄剤におけるその効果を比較するため、比較例2で得たガラクトマンナン含有量85質量%、1質量%水溶液濁度52.8%、カチオン電荷量0.87meq/gのカチオン変性粗製ローカストビーンガム(試料番号10)及び他のカチオン性ポリマーとして、エチレンオキサイド平均付加モル数1.8、窒素含有率1.8質量%のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(カチナールHC-100:東邦化学工業(株)社製)について表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製した。表25中の(C)の成分(11)を60°Cに加熱し、成分(2)を攪拌しながらゆっくり加え溶解させ、溶解を確認した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40 °Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合した。こうして表25の(C)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、それぞれ比較品8及び9とした。
【0112】
【表25】

【0113】
(評価)
実施例14
上記13-aで得た本発明品の処方16、17及び18各々のボディ用洗浄剤について、10名のテスターにより次に示した項目の性能評価を実施した。性能評価方法は、成分にカチオン性ポリマー等の高分子化合物を含まない表25の標準品(B)に示される組成のボディ用洗浄剤と、それぞれ評価するべき対象のボディ用洗浄剤とを使用し、
・使用時の泡の量及び泡質
・使用時の使用感(すすぎ易さ、及びぬめり感)
・使用後(乾いた後)の使用感(つっぱり感、滑らかさ感、しっとり感)
について、標準品(B)の使い心地と比較し、それを下記表26の方法にて数値化し、評価を実施した10名のテスターの値を合計した。この評価結果を表27に示した。なお、標準品は表25の標準品(B)の成分(11)を60°Cに加熱した後、50〜60°Cで成分(3)〜(7)を撹拌しながら加えて均一とし、更に30〜40°Cで成分(8)〜(10)を同様に撹拌しながら加え、均一に混合し、表25の(B)に示した組成のボディ用洗浄剤を調製し、本評価の標準品とした。
【0114】
比較例5
先述の13-bで得た比較品8及び9のボディ用洗浄剤について、実施例14と同様の性能評価を行った。これらの結果を表27中に示した。
【0115】
【表26】

【0116】
【表27】

【0117】
表27の結果から、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムは、ボディ用洗浄剤に用いた場合、従来の粗製ローカストビーンガムをカチオン変性した、カチオン変性粗製ローカストビーンガムを含む比較品8と比較しても、カチオン変性ローカストビーンガム中の水不溶物が少ないため使用時の使用感が良好となり、尚且つ泡質の改善効果が確認され、使用後の仕上がり感も向上するということが確認された。また、他のカチオン性ポリマー(比較品9)と比較しても、カチオン変性精製ローカストビーンガムに由来する泡質の改善、及び洗浄時の使用感、使用後の仕上がり感などが向上し、良好な使用感を得ることが確認された。
【0118】
(配合例13〜15)
以下に、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムによるコンディショニング効果と水不溶物除去による感触改善を利用した、ボディ用洗浄剤等の皮膚化粧料組成物への好適な配合例を示す。
【表28】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0119】
【表29】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0120】
【表30】

常法に基づき、液体状ボディ用洗浄剤(ボディソープ)を製造する。
【0121】
【表31】

常法に基づき、洗顔料を製造する。
【0122】
【表32】

常法に基づき、洗顔料を製造する。
【0123】
配合例13〜17で製造した化粧料組成物において、更にその効果を確認した結果、使用感及び泡質の改善効果が確認され、使用後の仕上がり感も向上することが確認された。
【0124】
(配合例18〜23)
以下に、本発明のカチオン変性精製ローカストビーンガムの化粧料組成物に対する感触改善を利用する他の適用例としてアフターシューブローション等の配合例を示す。
【0125】
【表33】

表28の精製水に本発明品を溶解した後、グリセリン、スクワラン及び1,3−ブタンジオールを添加して水相部とした。次に、エチルアルコールにポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(8)セチルエーテル、オクチルドデカノール、ビタミンEアセテート、メチルパラベン及び香料を添加して調整したアルコール相部を水相部に添加し混合した。この混合物に、タルク、黄酸化鉄、赤酸化鉄、黒酸化鉄を添加して分散処理し、メーキャップローションを製造する。
【0126】
【表34】

常法に基づき、ファンデーションを製造する。
【0127】
【表35】

常法に基づき、アフターシェーブローションを製造する。
【0128】
【表36】

常法に基づき、入浴剤を製造する。
【0129】
【表37】

常法に基づき、アフターシャンプー用乳化頭皮・毛髪処理組成物を製造する。
【0130】
【表38】

常法に基づき、水系マスカラを製造する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粗製ローカストビーンガムを精製することにより得られる、マンノースを構成単位とする主鎖にガラクトース単位が側鎖として構成された、マンノースとガラクトースの組成比が4対1であるガラクトマンナンの含有量が90質量%以上で、かつ1質量%水溶液の濁度が15%以下である精製ローカストビーンガムの水酸基の一部を、下記化学式(1)で表される第4級窒素含有基で置換したものであって、該第4級窒素含有基由来のカチオン電荷量が0.1〜3.0meq/gであり、さらに第4級窒素含有基を導入したあとのカチオン変性精製ローカストビーンガムの1%水溶液の濁度が15%以下あるカチオン変性精製ローカストビーンガム。
【化1】

(式中R1、R2は各々炭素数1〜3個のアルキル基、R3は炭素数1〜24のアルキル基を示し、X-は陰イオンを示す。nは、n=0又はn=1〜30を示し、n=1〜30の時、(R4O)nは炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの重合体残基であって、単一のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖及び/又は2種類以上のアルキレンオキサイドからなるポリアルキレングリコール鎖を示す。)
【請求項2】
精製ローカストビーンガムのカチオン変性が、グリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いてなされたものである請求項1のカチオン変性精製ローカストビーンガム。
【請求項3】
精製ローカストビーンガムのカチオン変性が、精製ローカストビーンガムに含まれる水酸基の一部に、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを付加した後、カチオン変性剤としてグリシジルトリアルキルアンモニウム塩または、3-ハロゲノ-2-ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウム塩を用いてなされたものである請求項1記載のカチオン変性精製ローカストビーンガム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン変性精製ローカストビーンガムを含有する化粧料組成物。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン変性精製ローカストビーンガムの含有量が組成物全体を100質量%として、0.05〜5質量%である請求項4記載の化粧料組成物。
【請求項6】
さらに他のカチオン性水溶性高分子及び/又は両性水溶性高分子を、組成物全体を100質量%として、5質量%以下含有することを特徴とする請求項4又は5記載の化粧料組成物。
【請求項7】
アミドアミン化合物と有機酸及び/又は無機酸等の中和剤とさらに、高級脂肪酸及び/又は高級アルコールを含むことを特徴とする請求項4〜6のうちいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
シリコーン誘導体をさらに配合することを特徴とする請求項4〜7のうちいずれか1項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
化粧料組成物が毛髪処理用組成物である請求項4〜8のいずれか1項に記載の化粧料組成物。


【公開番号】特開2006−241082(P2006−241082A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−59741(P2005−59741)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000221797)東邦化学工業株式会社 (188)
【Fターム(参考)】