説明

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子

【課題】着色剤として染料を用いた場合であっても、耐熱性、耐溶剤性が良好な着色パターンを形成することができる着色組成物を提供すること。
【解決手段】(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、及び(C)2個以上のエポキシ基と、ケイ素原子に結合する2個以上のアルコキシ基を有する架橋剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ及びカラー液晶表示素子に関わり、より詳しくは、透過型あるいは反射型のカラー液晶表示素子、固体撮像素子、有機EL表示素子、電子ペーパー等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成に有用な着色組成物、当該着色組成物を用いて形成された着色パターンを備えるカラーフィルタ、並びに当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感放射線性組成物を用いてカラーフィルタを製造するに当たっては、基板上に、顔料分散型の着色感放射線性組成物を塗布して乾燥したのち、乾燥塗膜を所望のパターン形状に放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像することにより、各色の画素を得る方法(特許文献1〜2)が知られている。また、カーボンブラックを分散させた光重合性組成物を利用してブラックマトリックスを形成する方法(特許文献3)も知られている。さらに、顔料分散型の着色熱硬化性樹脂組成物を用いてインクジェット方式により各色の画素を得る方法(特許文献4)も知られている。
【0003】
ところで、液晶表示素子の高コントラスト化や固体撮像素子の高精細化を実現するには、着色剤として染料を用いることが有効であること知られている(特許文献5〜7)。そして、特許文献5〜7に開示されているように、染料を含む着色組成物においては、多官能アクリレートやアルコキシメチルメラミン樹脂と光重合開始剤を組み合わせた硬化システムが主に採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2−144502号公報
【特許文献2】特開平3−53201号公報
【特許文献3】特開平6−35188号公報
【特許文献4】特開2000−310706号公報
【特許文献5】特開2005−99584号公報
【特許文献6】特開2007−219466号公報
【特許文献7】特開2007−316179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、染料を含む従来の着色組成物を用いて形成された着色パターンは、顔料分散型の着色組成物を用いて形成された着色パターンに比べて、耐熱性や耐溶剤性が著しく劣るという問題があった。そのため、染料を用いた場合であっても、耐熱性や耐溶剤性が良好な着色パターンを形成することができる着色組成物の開発が強く求められている。
【0006】
したがって、本発明の課題は、着色剤として染料を用いた場合であっても、耐熱性、耐溶剤性が良好な着色パターンを形成することができる着色組成物を提供することにある。さらに、本発明の課題は、上記着色組成物から形成された着色パターンを備えてなるカラーフィルタ、及び当該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情に鑑み、本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、エポキシ硬化部位とゾルゲル硬化部位の両方を有する架橋剤を用いることで上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、及び(C)2個以上のエポキシ基と、ケイ素原子に結合する2個以上のアルコキシ基を有する架橋剤(以下、「(C)特定架橋剤」ということがある。)を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記着色組成物を用いて形成された着色パターンを備えてなるカラーフィルタ、及び該カラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子を提供するものである。
さらに、本発明は、(1)上記着色組成物を用いて着色パターンを形成する工程、及び(2)該着色パターンを180℃以下でポストベークする工程を含むカラーフィルタの製造方法を提供するものである。ここで、「着色パターン」とは、カラーフィルタに用いられる各色画素、ブラックマトリックス、ブラックスペーサー等を意味する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いれば、着色剤として染料を用いた場合であっても、耐熱性、耐溶剤性が良好な着色パターンを有するカラーフィルタを得ることができる。更に、本発明のカラーフィルタ用着色組成物を用いれば、従来に比して低いポストベーク温度によりカラーフィルタを製造することが可能となる。
しがたって、本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、カラー液晶表示素子用カラーフィルタ、固体撮像素子の色分解用カラーフィルタ、有機EL表示素子用カラーフィルタ、電子ペーパー用カラーフィルタを始めとする各種のカラーフィルタの作製に極めて好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
カラーフィルタ用着色組成物
以下、本発明のカラーフィルタ用着色組成物(以下、単に「着色組成物」という。)の構成成分について説明する。
【0012】
−(A)着色剤−
本発明における(A)着色剤としては着色性を有すれば特に限定されるものではなく、カラーフィルタの用途に応じて色彩や材質を適宜選択することができる。具体的には、着色剤として、顔料、染料及び天然色素の何れをも使用することができるが、カラーフィルタには高い色純度、輝度、コントラスト等が求められることから、顔料及び/又は染料が好ましい。
【0013】
上記顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれでもよく、有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行)においてピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0014】
C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー211;
【0015】
C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ68、C.I.ピグメントオレンジ70、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ72、C.I.ピグメントオレンジ73、C.I.ピグメントオレンジ74;
【0016】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272;
【0017】
C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー80;
C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58;
C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;
C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7。
【0018】
また、上記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。
【0019】
本発明においては、顔料を、再結晶法、再沈殿法、溶剤洗浄法、昇華法、真空加熱法又はこれらの組み合わせにより精製して使用することもできる。また、顔料は、所望により、その粒子表面を樹脂で改質して使用してもよい。顔料の粒子表面を改質する樹脂としては、例えば、特開2001−108817号公報に記載のビヒクル樹脂、又は市販の各種の顔料分散用の樹脂が挙げられる。カーボンブラック表面の樹脂被覆方法としては、例えば、特開平9−71733号公報、特開平9−95625号公報、特開平9−124969号公報等に記載の方法を採用することができる。また、有機顔料は、いわゆるソルトミリングにより、一次粒子を微細化して使用することが好ましい。ソルトミリングの方法としては、例えば、特開平08−179111号公報に開示されている方法を採用することができる。
【0020】
また、上記染料としては、各種の油溶性染料、直接染料、酸性染料、金属錯体染料等の中から適宜選択することができ、例えば、下記のようなカラーインデックス(C.I.)名が付されているものを挙げることができる。
【0021】
C.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー82、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー179;
C.I.ソルベントレッド45、C.I.ソルベントレッド49;
C.I.ソルベントオレンジ2、C.I.ソルベントオレンジ7、C.I.ソルベントオレンジ11、C.I.ソルベントオレンジ15、C.I.ソルベントオレンジ26、C.I.ソルベントオレンジ56;
C.I.ソルベントブルー35、C.I.ソルベントブルー37、C.I.ソルベントブルー59、C.I.ソルベントブルー67;
【0022】
C.I.アシッドイエロー17、C.I.アシッドイエロー29、C.I.アシッドイエロー40、C.I.アシッドイエロー76;
C.I.アシッドレッド91、C.I.アシッドレッド92、C.I.アシッドレッド97、C.I.アシッドレッド114、C.I.アシッドレッド138、C.I.アシッドレッド151;
C.I.アシッドオレンジ51、C.I.アシッドオレンジ63;
C.I.アシッドブルー80、C.I.アシッドブルー83、C.I.アシッドブルー90;
C.I.アシッドグリーン9、C.I.アシッドグリーン16、C.I.アシッドグリーン25、C.I.アシッドグリーン27。
【0023】
本発明において着色剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
ところで、カラーフィルタ用着色組成物においては、着色剤として染料を使用することにより、顔料単独では達成することができない高輝度化や高コントラスト化が可能となる。しかしながら、着色剤として染料を使用すると、着色組成物の画素の耐熱性、耐溶剤性等が著しく悪化する。本発明の着色組成物によれば、着色剤として染料を使用した場合であっても、耐熱性、耐溶剤性の良好な画素を形成することができる着色組成物を得ることができる。
【0025】
(A)着色剤の含有割合は、輝度が高く色純度に優れる画素、あるいは遮光性に優れるブラックマトリックスを形成する点から、通常、着色組成物の固形分中に5〜70質量%、好ましくは5〜60質量%である。ここいう「固形分」とは、後述する溶媒以外の成分である。
【0026】
本発明において着色剤として顔料を使用する場合、所望により、分散剤、分散助剤と共に使用することができる。上記分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の適宜の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、アクリル系共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン等を挙げることができる。
【0027】
このような分散剤は商業的に入手することができ、例えば、アクリル系共重合体として、Disperbyk−2000、Disperbyk−2001、BYK−LPN6919、BYK−LPN21116(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ポリウレタンとして、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−165、Disperbyk−167、Disperbyk−170、Disperbyk−182(以上、ビックケミー(BYK)社製)、ソルスパース76500(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエチレンイミンとして、ソルスパース24000(ルーブリゾール(株)社製)、ポリエステルとして、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB880(味の素ファインテクノ株式会社製)等を挙げることができる。
【0028】
これらの分散剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
分散剤の含有量(固形分)は、顔料100質量部に対して、通常、100質量部以下、好ましくは1〜70質量部、更に好ましくは10〜50質量部である。分散剤の含有量が多すぎると、現像性等が損なわれるおそれがある。
【0029】
上記分散助剤としては、例えば、顔料誘導体を挙げることができ、具体的には、銅フタロシアニン、ジケトピロロピロール、キノフタロンのスルホン酸誘導体等を挙げることができる。なお、分散助剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜決定することが可能である。
【0030】
−(B)バインダー樹脂−
本発明における(B)バインダー樹脂としては、特に限定されるものではないが、カルボキシル基、フェノール性水酸基等の酸性官能基を有する樹脂であることが好ましい。中でも、カルボキシル基を有する重合体(以下、「カルボキシル基含有重合体」という。)が好ましく、例えば、1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b1)」という。)と他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(以下、「不飽和単量体(b2)」という。)との共重合体を挙げることができる。
【0031】
上記不飽和単量体(b1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、p−ビニル安息香酸等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b1)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0032】
また、上記不飽和単量体(b2)としては、例えば、
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドの如きN−位置換マレイミド;
スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、アセナフチレンの如き芳香族ビニル化合物;
【0033】
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングルコール(n=2〜10)メチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタンの如き(メタ)アクリル酸エステル;
【0034】
シクロヘキシルビニルエーテル、イソボルニルビニルエーテル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルビニルエーテル、ペンタシクロペンタデカニルビニルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタンの如きビニルエーテル
ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンの如き重合体分子鎖の末端にモノ(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー等を挙げることができる。
これらの不飽和単量体(b2)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体において、該共重合体中の不飽和単量体(b1)の共重合割合は、好ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質量%である。このような範囲で不飽和単量体(b1)を共重合させることにより、アルカリ現像性及び保存安定性に優れた着色組成物を得ることができる。
【0036】
不飽和単量体(b1)と不飽和単量体(b2)の共重合体の具体例としては、例えば、特開平7−140654号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−31308号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−174224号公報、特開平11−258415号公報、特開2000−56118号公報、特開2004−101728等に開示されている共重合体を挙げることができる。
【0037】
また、本発明においては、例えば、特開平5−19467号公報、特開平6−230212号公報、特開平7−207211号公報、特開平09−325494号公報、特開平11−140144号公報、特開2008−181095号公報等に開示されているように、側鎖に(メタ)アクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するカルボキシル基含有重合体を、バインダー樹脂として使用することもできる。
【0038】
本発明におけるバインダー樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)が、通常、1,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000である。また、本発明におけるバインダー樹脂のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、溶出溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)の比(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜5.0、より好ましくは1.0〜3.0である。
【0039】
本発明におけるバインダー樹脂は、公知の方法により製造することができるが、例えば、特開2003−222717号公報、特開2006−259680号公報、国際公開第07/029871号パンフレット等に開示されている方法により、その構造やMw、Mw/Mnを制御することもできる。
【0040】
本発明において、(B)バインダー樹脂は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0041】
本発明において、(B)バインダー樹脂の含有量は、(A)着色剤100質量部に対して、通常、10〜1,000質量部、好ましくは20〜500質量部である。バインダー樹脂の含有量が少なすぎると、例えば、アルカリ現像性が低下したり、得られる着色組成物の保存安定性が低下したりするおそれがあり、一方多すぎると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0042】
−(C)特定架橋剤−
本発明の着色組成物は、架橋剤として、特定架橋剤、即ち、2個以上のエポキシ基と、ケイ素原子に結合する2個以上のアルコキシ基を有する架橋剤を含有することを特徴とする。このように、エポキシ硬化部位と、いわゆるゾルゲル硬化部位の両方を有する特定架橋剤を使用することにより、強固な着色パターンを形成することが可能となる。なお、本発明において、エポキシ基とは、環状エーテル構造を有する基を意味し、オキシラニル基又はオキセタニル基が好ましい。
【0043】
特定架橋剤は、2個以上のエポキシ基と、ケイ素原子に結合する2個以上のアルコキシ基を有する限り、特に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する化合物と、アルコキシシラン又はその部分縮合物とを用いて、上記水酸基と上記アルコキシ基とのエステル交換反応に付することにより得ることができる。
【0044】
水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する化合物としては、水酸基及び2個以上のエポキシ基を有すれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂の他、多価アルコール型エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0045】
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール類と、エピクロルヒドリン又はβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得ることができる。ビスフェノール類としては、例えば、フェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン等のアルデヒド類又はアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のケトン類との反応物の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られたものが挙げられる。また、多価アルコール型型エポキシ樹脂は、多価アルコールと、ハロエポキシドとの反応により得ることができる。
【0046】
また、本発明においては、水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する樹脂として、エポキシ基を有する不飽和単量体と、水酸基を有する不飽和単量体を構造単位として含む共重合体を使用してもよい。エポキシ基を有する不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4−グリシジルオキシブチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、3−(ビニルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕オキセタン、3−〔(メタ)アクリロイルオキシメチル〕−3−エチルオキセタン等が挙げられる。また、水酸基を有する不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜10)モノ(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
更に、上記共重合体は、エポキシ基を有する不飽和単量体及び水酸基を有する不飽和単量体以外の構造単位を含んでいてもよく、そのような構造単位を与える単量体として、例えば、上記不飽和単量体(b1)、不飽和単量体(b2)が挙げられる。
【0048】
上記共重合体は、上記(B)バインダー樹脂と同様の方法により製造することが可能であり、共重合体の構造は特に限定されず、ランダム共重合体、交互共重合体及びブロック共重合体の何れであってもよい。なお、共重合体中のエポキシ基を有する不飽和単量体、水酸基を有する不飽和単量体及びこれら以外の単量体の各共重合割合は、所望の(C)特定架橋剤が得られるように適宜設定可能である。
【0049】
これらの中でも、水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0050】
一方、アルコキシシランとしては、例えば、下記式(1)で表される化合物が挙げられ、その部分縮合物は、シロキシ単位数が好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8である。
【0051】
【化1】

【0052】
(式(1)中、R1は置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基、又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示し、R2は相互に独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは0又は1である。)
【0053】
1における炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、また炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。中でも、R1としては、メチル基が好ましい。
【0054】
2における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
【0055】
1における置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。
【0056】
上記一般式(1)で表される化合物として、具体的には、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらの中でも、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が好ましい。
【0057】
アルコキシシラン部分縮合物は商業的にも入手することができ、例えば、テトラメトキシシラン部分縮合物としてメチルシリケート51が、テトラエトキシシラン部分縮合物としてシリケート40、同45(以上、多摩化学工業株式会社製)等がそれぞれ挙げられる。
【0058】
エポキシ基及び水酸基を有する樹脂と、アルコキシシラン又はその部分縮合物とのエステル交換反応は、例えば、特開2001−59011号公報に記載の方法を採用することができる。また、エポキシ基及び水酸基を有する樹脂と、アルコキシシラン又はその部分縮合物との配合割合は、着色パターンの硬化性の観点から、アルコキシシラン又はその部分縮合物のシリカ(SiO2)換算質量/エポキシ基及び水酸基を有する樹脂の質量との比が0.01〜1.2、特に0.1〜0.8であることが好ましい。
【0059】
(C)特定架橋剤は、エポキシ当量が好ましくは100〜5,000g/eq、より好ましくは200〜2,000g/eqである。ここで、「エポキシ当量」はJIS K 7236に準拠して電位差滴定法により測定した値である。
【0060】
(C)特定架橋剤は商業的にも入手することができ、例えば、シラン変性したビスフェノール型エポキシ樹脂として、コンポセランE102、同E102B、同E103、同E103B、同E201、同E202C(荒川化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
【0061】
本発明における(C)特定架橋剤の含有量は、(B)バインダー樹脂100質量部に対して、10〜1,000質量部が好ましく、特に10〜500質量部が好ましい。この場合、特定架橋剤の含有量が少なすぎると、所望の効果が得られないおそれがある。一方、特定架橋剤の含有量が多すぎると、アルカリ現像時に着色パターンが欠けやすくなるおそれがある。
【0062】
本発明においては、架橋剤として、特定架橋剤と共に、特定架橋剤以外の他の架橋剤を使用することにより、硬化性をより一層高めることができる。
他の架橋剤としては、例えば、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物、2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物等を挙げることができる。本発明において、他の架橋剤としては、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、又は2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物が好ましい。
【0063】
上記「2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物」の具体例としては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート、水酸基を有する(メタ)アクリレートと酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0064】
ここで、上記脂肪族ポリヒドロキシ化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き2価の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールの如き3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物を挙げることができる。上記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート等を挙げることができる。上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。酸無水物としては、例えば、無水こはく酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸の如き二塩基酸の無水物、無水ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の如き四塩基酸二無水物を挙げることができる。
【0065】
また、上記カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、特開11−44955号公報の段落〔0015〕〜〔0018〕に記載されている化合物を挙げることができる。上記アルキレンオキサイド変性された多官能(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールAのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0066】
また、上記「2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物」としては、例えば、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造、ウレア構造を有する化合物等を挙げることができる。なお、メラミン構造、ベンゾグアナミン構造とは、1以上のトリアジン環又はフェニル置換トリアジン環を基本骨格として有する化学構造をいい、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物又はそれらの縮合物をも含む概念である。2個以上のN−アルコキシメチルアミノ基を有する化合物の具体例としては、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)グリコールウリル等を挙げることができる。
【0067】
これらの他の架橋剤のうち、所望の効果を高める点から、3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性された多官能(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、カルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレート、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アルコキシメチル)メラミン、N,N,N,N−テトラ(アルコキシメチル)ベンゾグアナミンが好ましい。3価以上の脂肪族ポリヒドロキシ化合物と(メタ)アクリル酸を反応させて得られる多官能(メタ)アクリレートの中では、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートが特に好ましく、またカルボキシル基を有する多官能(メタ)アクリレートの中では、ペンタエリスリトールトリアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートと無水こはく酸を反応させて得られる化合物が特に好ましい。
本発明において、他の架橋剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
本発明における他の架橋剤の含有量は、(B)バインダー樹脂100質量部に対して、5〜500質量部が好ましく、特に20〜300質量部が好ましい。
【0069】
−(D)光重合開始剤−
本発明の着色組成物には、(D)光重合開始剤を含有せしめることができる。本発明に用いる(D)光重合開始剤は、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線の露光により、上記(C)特定架橋剤及び/又は必要に応じて用いる他の架橋剤の重合を開始しうる活性種を発生する化合物である。これにより、着色組成物に感放射線性を付与することができる。
【0070】
このような光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等を挙げることができる。本発明において、光重合開始剤としては、光ラジカル発生剤と、光酸発生剤又は光塩基発生剤を組み合わせて使用することが好ましい。光酸発生剤又は光塩基発生剤を使用することにより、(C)特定架橋剤のゾルゲル硬化反応を利用することができ、着色パターンの硬化性をより一層高めることができる。
【0071】
上記光ラジカル発生剤のうち好ましい化合物としては、
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;
2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;
【0072】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−n−ブトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のトリアジン系化合物;
1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(O−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のO−アシルオキシム系化合物等を挙げることができる。
【0073】
本発明において、光ラジカル発生剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0074】
また、上記光酸発生剤としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリトシレート、ピロガロールトリメシレート、2−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、ジフェニルジスルホン、ジ(p−トリル)ジスルホン、フタルイミジルトリフレート、1,8−ナフタルイミジルトリフレート、トリ(ニトロベンジル)フォスフェート、トリアニソインフォスフェートの他、公知のジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等を挙げることができる。なお、上記光ラジカル発生剤において列挙したトリアジン系化合物は、光酸発生剤としても機能する成分である。
本発明において、光酸発生剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0075】
また、上記光塩基発生剤としては、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミンなどのオルトニトロベンジルカルバメート類、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミンなどのα,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類等を挙げることができる。
本発明において、光塩基発生剤は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0076】
本発明において、光ラジカル発生剤を使用する場合、その含有量は、上記2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、0.01〜120質量部が好ましく、特に1〜100質量部が好ましい。
また、光酸発生剤又は光塩基発生剤を使用する場合、その含有量は、上記(C)特定架橋剤100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、特に1〜50質量部が好ましい。
このような態様で光重合開始剤を使用することにより、耐熱性、耐溶剤性が良好な着色パターンを形成することが可能な着色組成物を得ることができる。
【0077】
なお、本発明において、光重合開始剤を用いる場合には、増感剤を併用することもできる。このような増感剤としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン、アントラセン、2−tert-ブチルアントラセン、ペリレン等を挙げることができる。
【0078】
−添加剤−
本発明の着色組成物は、必要に応じて、種々の添加剤を含有することもできる。
添加剤としては、例えば、ガラス、アルミナ等の充填剤;ポリビニルアルコール、ポリ(フロオロアルキルアクリレート)類等の高分子化合物;フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の界面活性剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等の密着促進剤;2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール等の酸化防止剤;2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノン類等の紫外線吸収剤;ポリアクリル酸ナトリウム等の凝集防止剤;マロン酸、アジピン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、メサコン酸、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、5−アミノ−1−ペンタノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、4−アミノ−1,2−ブタンジオール等の残渣改善剤;こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等の現像性改善剤;スルホニウム塩(但し、上記トリアリールスルホニウム塩を除く。)、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホンイミド化合物等の熱酸発生剤等を挙げることができる。
【0079】
−溶媒−
本発明の着色組成物は、上記(A)〜(C)成分、及び任意的に加えられる他の成分を含有するものであるが、通常、溶媒を配合して液状組成物として調製される。
上記溶媒としては、着色組成物を構成する(A)〜(C)成分や他の成分を分散又は溶解し、かつこれらの成分と反応せず、適度の揮発性を有するものである限り、適宜に選択して使用することができる。
【0080】
このような溶媒としては、例えば、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;
【0081】
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン)、4−ヒドロキシ−4−メチルヘキサン−2−オン等のケトン類;
【0082】
プロピレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート等のジアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;
酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−ペンチル、酢酸i−ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピオン酸n−ブチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ヒドロキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、2−オキソ酪酸酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類
等を挙げることができる。
【0083】
これらの溶媒のうち、溶解性、顔料分散性、塗布性等の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、乳酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、ぎ酸n−アミル、酢酸i−アミル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸エチル等が好ましい。
本発明において、溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0084】
さらに、前記溶媒と共に、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、しゅう酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。
上記高沸点溶媒は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0085】
溶媒の含有量は、特に限定されるものではないが、得られる着色組成物の塗布性、安定性等の観点から、当該着色組成物の溶媒を除いた各成分の合計濃度が、5〜50質量%となる量が好ましく、特に10〜40質量%となる量が好ましい。
【0086】
カラーフィルタ及びその製造方法
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成された着色パターンを備えるものである。カラーフィルタを製造する方法は、通常、少なくとも下記(1)〜(2)の工程を含んでいる。
(1)基板上に本発明の着色組成物を用いて着色パターンを形成する工程。
(2)前記着色パターンをポストベークする工程
【0087】
以下、これらの工程について順次説明する。
【0088】
−(1)基板上に本発明の着色組成物を用いて着色パターンを形成する工程−
基板上に着色パターンを形成する方法としては、第一に次の方法が挙げられる。まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するように遮光層(ブラックマトリックス)を形成する。次いで、この基板上に、例えば、赤色の着色剤を含有する本発明の着色組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去することにより、赤色の画素パターンが所定の配列で配置された画素アレイを形成する。
【0089】
次いで、緑色又は青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、各着色組成物の塗布、プレベーク、露光、現像及びポストベークを行って、緑色の画素アレイ及び青色の画素アレイを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素アレイが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない。
【0090】
また、ブラックマトリックスは、スパッタや蒸着により成膜したクロム等の金属薄膜を、フォトリソグラフィー法を利用して所望のパターンとすることにより形成することができるが、黒色の着色剤を含有する本発明の着色組成物を用いて、上記画素の形成の場合と同様にして形成することもできる。
【0091】
カラーフィルタを形成する際に使用される基板としては、例えば、ガラス、シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。
【0092】
着色組成物を基板に塗布する際には、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法等の適宜の塗布法を採用することができるが、特に、スピンコート法、スリットダイ塗布法を採用することが好ましい。
【0093】
プレベークは、通常、減圧乾燥と加熱乾燥を組み合わせて行われる。減圧乾燥は、通常50〜200Paに到達するまで行う。また、加熱乾燥の条件は、通常70〜110℃で1〜10分程度である。
【0094】
塗布厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.6〜8.0μm、好ましくは1.2〜5.0μmである。
【0095】
画素及び/又はブラックマトリックスを形成する際に使用される放射線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、XeClエキシマーレーザー、窒素レーザー等のレーザー光源等を挙げることができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0096】
放射線の露光量は、一般的には10〜10,000J/m2が好ましい。
また、上記アルカリ現像液としては、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等の水溶液が好ましい。
【0097】
上記アルカリ現像液には、例えばメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像条件は、常温で5〜300秒が好ましい。
【0098】
また、基板上に着色パターンを形成する第二の方法として、特開平7−318723号公報、特開2000−310706号公報等に開示されている、インクジェット方式により各色の画素を得る方法を採用することができる。この方法においては、まず、基板の表面上に、遮光機能も兼ねた隔壁を形成する。次いで、形成された隔壁内に、例えば、赤色の着色剤を含有する本発明の着色組成物を、インクジェット装置により吐出したのち、プレベークを行って溶媒を蒸発させる。次いで、この塗膜を必要に応じて露光し、赤色の画素パターンを形成する。
【0099】
次いで、緑色又は青色の各着色組成物を用い、上記と同様にして、緑色の画素パターン及び青色の画素パターンを同一基板上に順次形成する。これにより、赤色、緑色及び青色の三原色の画素パターンが基板上に配置されたカラーフィルタが得られる。但し、本発明においては、各色の画素を形成する順序は、上記のものに限定されない
【0100】
なお、上記隔壁は、遮光機能のみならず、区画内に吐出された各色の着色組成物が混色しないための機能も果たしているため、上記した第一の方法で使用されるブラックマトリックスに比べ、膜厚が厚い。したがって、隔壁は、通常、黒色感放射線性組成物を用いて形成される。
カラーフィルタを形成する際に使用される基板や放射線の光源、また、プレベークの方法や条件は、上記した第一の方法と同様である。
【0101】
−(2)着色パターンをポストベークする工程−
着色パターンを形成した後、ポストベークを行うことにより、着色パターンを硬化させる。ポストベークの条件は、通常120〜280℃で10〜60分程度である。このようにして形成された画素の膜厚は、通常0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜3.0μmである。
本発明の着色組成物を用いれば、ポストベーク温度が従来に比して低温であっても、耐溶剤性等の良好な着色パターンを得ることができる。より具体的には、ポストベーク温度が200℃以下であっても、更には180℃以下であっても、十分な耐溶剤性を有する着色パターンを得ることができる。
【0102】
なお、上記(1)及び(2)の工程を経て得られた画素パターン上に、必要に応じて保護膜を形成した後、透明導電膜をスパッタリングにより形成し、更にスペーサーを形成してカラーフィルタとすることもできる。スペーサーは、通常、感放射線性組成物を用いて形成されるが、遮光性を有するスペーサー(ブラックスペーサー)とすることもできる。この場合、黒色の着色剤が分散された着色感放射線性組成物が用いられるが、本発明の着色組成物は、かかるブラックスペーサーの形成にも好適に使用することができる。
【0103】
カラー液晶表示素子
本発明のカラー液晶表示素子は、本発明のカラーフィルタを具備するものである。
本発明のカラー液晶表示素子は、適宜の構造をとることができる。例えば、カラーフィルタを、薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板とは別の基板上に形成して、駆動用基板とカラーフィルタを形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることができ、さらに薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板の表面上にカラーフィルタを形成した基板と、ITO(錫をドープした酸化インジュウム)電極を形成した基板とが、液晶層を介して対向した構造をとることもできる。後者の構造は、開口率を格段に向上させることができ、明るく高精細な液晶表示素子が得られるという利点を有する。
【実施例】
【0104】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0105】
顔料分散液の調製
調製例1
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58/C.I.ソルベントイエロー82=60/40(質量比)混合物15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(a−1、固形分濃度=19質量%)を調製した。
【0106】
調製例2
着色剤としてC.I.ピグメントグリーン58/C.I.ピグメントイエロー150=80/20(質量比)混合物15質量部、分散剤としてBYK−LPN21116(ビックケミー(BYK)社製)10質量部(不揮発成分=40質量%)、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75質量部を、ビーズミルにより12時間混合・分散して、着色剤分散液(a−2、固形分濃度=19質量%)を調製した
【0107】
(B)バインダー樹脂の合成
合成例1
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル2重量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200重量部を仕込み、引き続きメタクリル酸15重量部、N−フェニルマレイミド20重量部、ベンジルメタクリレート55重量部、スチレン10重量部及び分子量調節剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(日本油脂(株)製、商品名:ノフマーMSD)3重量部を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、バインダー樹脂溶液(固形分濃度=33質量%)を得た。得られた樹脂は、Mw=16,000、Mn=7,000であった。このバインダー樹脂をバインダー樹脂(b−1)とする。
【0108】
(C)特定架橋剤の合成
合成例2
特開2001−59011号公報の実施例2の記載に従って、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とテトラメトキシシラン部分縮合物とを部分的に縮合させて得られる(C)特定架橋剤溶液(固形分濃度=50質量%)を得た。この特定架橋剤を、特定架橋剤(c−1)とする。特定架橋剤(c−1)は、エポキシ当量=869g/eqであった。
【0109】
合成例3
冷却管、攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル16質量部及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部を仕込み、引き続きメタクリル酸30質量部、N−フェニルマレイミド40質量部、ベンジルメタクリレート90質量部、p−ヒドロキシ−α−メチルスチレン40質量部及び分子量調節剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(日本油脂(株)製、商品名:ノフマーMSD)8質量部を仕込んで、窒素置換した。その後ゆるやかに撹拌して、反応溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度を5時間保持して重合することにより、樹脂溶液(固形分濃度=32質量%)を得た。
次いで、攪拌機、分水機、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、得られた樹脂溶液を430質量部及びジメチルホルムアミド100質量部を加え、100℃に加温し攪拌した。さらにテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名メチルシリケート51)47.6質量部と触媒としてジブチリチンジラウレート1質量部を仕込み、110℃で6時間、脱メタノール反応を行った。80℃まで冷却し、メタノール及びジメチルホルムアミドを減圧留去した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより希釈し、固形分濃度50%の(C)特定架橋剤溶液を得た。この特定架橋剤を、特定架橋剤(c−2)とする。特定架橋剤(c−2)は、エポキシ当量=1980g/eqであった。
【0110】
実施例1
着色組成物の調製
(A)着色剤としてC.I.ソルベントブルー62を30質量部と、C.I.ソルベントイエロー82を20質量部、(B)バインダー樹脂としてバインダー樹脂(b−1)溶液を100質量部、(C)特定架橋剤として特定架橋剤(c−1)溶液を100質量部、他の架橋剤としてビスコート#802(トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物、大阪有機化学工業株式会社製)50質量部、(D)光重合開始剤としてエタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(光ラジカル発生剤)を20質量部と、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピルフェニル)]−ヘキサフルオロフォスフェート(光酸発生剤)を10質量部、及び溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合して、固形分濃度が20質量%の着色組成物(S−1)を調製した。
【0111】
着色パターンの形成
着色組成物(S−1)を、表面にナトリウムイオンの溶出を防止するSiO2膜が形成されたソーダガラス基板上に、スピンコーターを用いて塗布したのち、90℃のホットプレートで2分間プレベークを行って、プレベーク後の膜厚が2.5μmとなる5枚の塗膜を形成した。
次いで、これらの基板を室温に冷却したのち、高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して、塗膜に365nm、405nm及び436nmの各波長を含む放射線を300、1,000J/m2の露光量で露光した。その後、これらの基板に対して23℃の0.04質量%水酸化カリウム水溶液からなる現像液を現像圧1kgf/cm2 (ノズル径1mm)で吐出することにより、シャワー現像を行ったのち、さらに180℃で30分間ポストベークを行って、基板上に200×200μmのドットパターンを形成した。
【0112】
現像耐性の評価
上記「着色パターンの形成」において、ドットパターンの現像前後での膜厚比(現像後の膜厚×100/現像前の膜厚)が95%以上である場合を「A」、現像前後での膜厚比が95%未満であるか、あるいはドットパターンの一部に欠けが認められる場合を「B」、現像後にパターンが全て基板から剥がれる場合を「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
【0113】
耐溶剤性の評価
上記「着色パターンの形成」において、1,000J/m2の露光量でドットパターンを形成した基板を、60℃のN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。その結果、浸漬後にドットパターンが保持されており且つ浸漬後のN−メチルピロリドンが全く着色しなかった場合を「A」、浸漬後にドットパターンは保持されているものの浸漬後のN−メチルピロリドンが若干着色した場合を「B」、浸漬後に基板から剥離するドットパターンが観察されると共に浸漬後のN−メチルピロリドンが着色した場合を「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
【0114】
耐熱性の評価
上記「着色パターンの形成」において、1,000J/m2の露光量でドットパターンを形成した基板を、更に180℃で30分間追加加熱した。そして、追加加熱前後の色変化ΔEab*を求めた。ΔEab*が3未満である場合を「A」、3以上5未満である場合を「B」、5以上である場合を「C」として評価した。評価結果を表2に示す。
【0115】
実施例2〜7及び比較例1〜3
実施例1において、(A)着色剤、(C)架橋剤及び(D)光重合開始剤の種類及び量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、着色組成物の調製を行った。そして、実施例2〜6及び比較例1〜2については、実施例1と同様にして評価を行った。また、実施例7及び比較例3については、以下に示す評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0116】
実施例7及び比較例3
<インクジェット方式による着色パターンの形成>
インクジェット装置Nanoprinter−1500S(マイクロジェット株式会社製)を使用して、高さ2.0μm、長さ500μm、幅150μmの隔壁で区画された画素内に、乾燥後の画素中心付近の膜厚が2.0μmとなるよう、着色組成物(S−7)又は着色組成物(S−10)を吐出した。次いで、0.2Torrにて真空乾燥を行った後、90℃にて5分間ホットプレート上でプレベークを行い、さらに180℃にて30分間クリーンオーブン内でポストベークを行うことにより、着色組成物を硬化させた。
【0117】
<耐溶剤性の評価>
上記<インクジェット方式による着色パターンの形成>において得られた基板を、60℃のN−メチルピロリドンに30分間浸漬した。そして、侵漬前後の色変化ΔEab*を求めた。ΔEab*が3未満である場合を「A」、3以上5未満である場合を「B」、5以上である場合を「C」として評価した。
【0118】
<耐熱性の評価>
上記<インクジェット方式による着色パターンの形成>において得られた基板を、更に230℃で30分間追加加熱した。そして、追加加熱前後の色変化ΔEab*を求めた。ΔEab*が3未満である場合を「A」、3以上5未満である場合を「B」、5以上である場合を「C」として評価した。
【0119】
【表1】

【0120】
表1において各成分は以下の通りである。
a−3:C.I.ソルベントブルー62(染料)
a−4:C.I.ソルベントイエロー82(染料)
c−3:トリペンタエリスリトールオクタアクリレートとトリペンタエリスリトールヘプタアクリレートの混合物(商品名ビスコート#802、大阪有機化学工業株式会社製)
d−1:ヨードニウム(4−メチルフェニル(4−(2−メチルプロピルフェニル))−ヘキサフルオロフォスフェート(光酸発生剤、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
d−2:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(光ラジカル発生剤、商品名IRGACURE OX02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
d−3:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン(光ラジカル発生剤、商品名イルガキュア369、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
d−4:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(増感剤)
【0121】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)着色剤、(B)バインダー樹脂、及び(C)2個以上のエポキシ基と、ケイ素原子に結合する2個以上のアルコキシ基を有する架橋剤を含有することを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項2】
前記(C)成分が、水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する化合物と、アルコキシシラン又はその部分縮合物とのエステル交換物である、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
前記アルコキシシランが下記式(1)で表される化合物である、請求項2に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【化1】

(式(1)において、R1は置換若しくは非置換の炭素数1〜8のアルキル基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜18のアリール基を示し、R2は相互に独立に炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは0又は1である。)
【請求項4】
前記水酸基及び2個以上のエポキシ基を有する化合物がビスフェノール型エポキシ樹脂である、請求項2又は3に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項5】
更に(D)光重合開始剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の着色組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色パターンを備えてなるカラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載のカラーフィルタを具備するカラー液晶表示素子。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の着色組成物を用いて着色パターンを形成する工程と、
前記着色パターンを180℃以下でポストベークする工程
を含むカラーフィルタの製造方法。

【公開番号】特開2011−253054(P2011−253054A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126888(P2010−126888)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】