説明

カラー画像形成装置

【課題】 画像形成する画像が高密度画像である場合に、装置内部でのジャム等を防止しつつ、画像形成においてユーザが高密度画像であることを認識できる共に転写材の斤量に依存することなく効率的に装置を稼動することができるカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】 カラー画像形成装置において、高密度画像部のピクセル数積算手段を備え、ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、転写材搬送手段による転写材の供給前であれば、転写材搬送制御手段が、転写材の供給をしないように転写材搬送手段を制御し、転写材搬送手段による転写材の供給後であれば、二次転写制御手段が、転写材に二次転写をしないように二次転写手段を制御すると共に、定着器制御手段が、転写材にトナー像を定着しないで排出するように定着器を制御する、ことを判定する画像形成可否判定手段を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式などを適用したプリンタ、複写機、及びファクシミリ、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機等のカラー画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−058450号公報
【特許文献2】特開2004−354424号公報
【0003】
一般に、電子写真方式を採用したカラー画像形成装置としては、色毎に静電潜像が形成されこの静電潜像が対応する色のトナーで可視化されたトナー像を担持する像担持体と、この像担持体に形成される色毎のトナー像が同一位置を基準として重ねて一次転写される中間転写体と、この中間転写体に重ねて一次転写されたトナー像を転写材に二次転写する二次転写手段と、この二次転写手段によって転写材に二次転写する又は二次転写しないように二次転写手段を制御する二次転写制御手段と、転写材を二次転写手段に向けて供給する転写材搬送手段と、この転写材搬送手段が転写材を二次転写手段に向けて供給する又は供給しないように制御する転写材搬送制御手段と、二次転写手段で転写材に二次転写されたトナー像を転写材に定着させる定着器と、転写材にトナー像を定着して排出する又は定着しないで排出するように定着器を制御する定着器制御手段とを備えるものが知られている。
【0004】
従来、上記のカラー画像形成装置では、形成する画像の、像担持体に静電潜像を形成するための画像情報におけるピクセル数が、二次転写手段で中間転写体から転写材に二次転写された際に転写材の先端から所定距離において所定値を超える場合がある(以下、高密度画像という)。この場合、中間転写体に担持されているトナー像が二次転写手段で転写材に二次転写されて定着器で転写材に定着される際に、転写材の先端は高密度のトナー像のため(トナー量が多いため)、定着器でのトナー溶融(熱による溶融)が不十分となり、転写材と定着器の定着ロールとの分離が出来ず、転写材が定着ロールに巻き付いてしまう場合があった。この結果、転写材がカラー画像形成装置内部でジャムになった。尚、転写材が定着ロールに巻き付く現象は、定着ロールの径及び転写材の斤量(剛性)に依存している。
【0005】
そこで、上述のような転写材のジャムを防止するために、従来、形成する画像が高密度画像である場合には、カラー画像形成装置を強制的に停止させることが行われている。また、複数枚の画像形成の場合、効率化のため転写材上のトナー像が定着器で定着されている際には、既に次の転写材が二次転写手段の近傍に搬送されている。従って、上記のように装置を強制的に停止させることは、転写材の搬送路に転写材が詰まるという問題を生じさせている。このような場合には、装置から詰まっている転写材を除去する必要がある。
【0006】
しかし、装置を強制的に停止させて装置から詰まっている転写材を除去するのは、画像形成において極めて非効率的である。そこで、このような問題点を解決する技術として下記のものが開示されている。
【0007】
第1には、接続されたプリンタコントローラから送出されるプリントタイミング情報および画像情報の受信を行い、前記プリントタイミング情報と前記画像情報の両者に基づいて、プリンタエンジンのプリントシーケンスを制御するプリンタ制御部を備える画像形成装置において、前記プリンタ制御部は、前記プリンタコントローラから出力される垂直同期タイミング情報と前記プリンタコントローラからの画像情報から画像書き出し先端余白量を判断し、前記余白量が所定量より少なく、かつ先端書き出し位置から一定距離の印字比率が所定の割合を越えていると判断した場合には、先端余白を指定量よりも多く取るような制御を行うことを特徴とする画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
本例によれば、接続されたプリンタコントローラからの画像情報と垂直同期タイミング情報により、画像書き出し余白を制御するため、書き出し余白が少ない状況下でベタ黒のような印字比率の高いプリントが指定された場合にも定着ローラと用紙の分離を確実に行えるようになり、定着ローラに用紙が巻き付くジャムを防止できる。
【0008】
第2には、画像データを蓄積する画像情報蓄積手段と、該画像情報蓄積手段に蓄積された画像データから印字率を算出する印字率算出手段と、使用する転写紙の斤量を入力する操作部と、前記印字率と該操作部から入力された斤量とから、画像形成が可能かどうかを判定する画像形成可否判定手段とを有することを特徴とする画像形成装置が知られている(特許文献2参照)。
本例によれば、画像データを蓄積する画像情報蓄積手段と、該画像情報蓄積手段に蓄積された画像データから印字率を算出する印字率算出手段と、使用する転写紙の斤量を入力する操作部と、前記印字率と該操作部から入力された斤量とから、画像形成が可能かどうかを判定する画像形成可否判定手段とを有する構成とすることで、印字前に転写紙の使用可否が判断されて定着巻き付きを防止することができ、しかも多様な紙種・斤量に対応できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術の場合には、第1の例の場合では、プリンタコントローラから出力される垂直同期タイミング情報とプリンタコントローラからの画像情報から画像書き出し先端余白量を判断し、余白量が所定量より少なく、かつ先端書き出し位置から一定期間の印字比率が所定の割合を越えていると判断した場合には、先端余白を指定量よりも多く取るような制御を行っているため、転写材上に印字される位置が、ユーザが指定した位置とは異なるので、ユーザが望んでいる画像形成ができないという問題点がある。また、転写材が通常のように排出されるため、画像形成される画像が高密度画像であることをユーザが認識できないという問題点もある。
【0010】
第2の例の場合では、印字率と操作部から入力された斤量とから、画像形成が可能かどうかを判定する画像形成可否判定手段を有しているため、転写材の斤量が不明の場合には画像形成ができないという問題点がある。また、転写材の斤量が誤って入力された際には、転写材が定着ロールに巻き付いて装置内部でジャムが発生する場合があるという問題点がある。更に、本例の場合、印字率と操作部から入力された斤量に従うため、画像形成する画像が高密度画像であるか否かを判断した後に転写材を二次転写手段に向けて搬送するので画像形成の効率が悪化するという問題点もある。
【0011】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、画像形成する画像が高密度画像である場合に、転写材が定着ロールに巻き付いて装置内部でジャムが発生することを防止すると共に、転写材の搬送路に転写材が詰まることを防止しつつ、画像形成においてユーザが高密度画像であることを認識でき、転写材の斤量に依存することなく効率的に装置を稼動することができるカラー画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明は、色毎に静電潜像が形成されこの静電潜像が対応する色のトナーで可視化されたトナー像を担持する像担持体と、この像担持体に形成される色毎のトナー像が同一位置を基準として重ねて一次転写される中間転写体と、この中間転写体に重ねて一次転写されたトナー像を転写材に二次転写する二次転写手段と、この二次転写手段によって転写材に二次転写する又は二次転写しないように二次転写手段を制御する二次転写制御手段と、転写材を二次転写手段に向けて供給する転写材搬送手段と、この転写材搬送手段が転写材を二次転写手段に向けて供給する又は供給しないように転写材搬送手段を制御する用紙搬送制御手段と、二次転写手段で転写材に二次転写されたトナー像を転写材に定着させる定着器と、転写材にトナー像を定着して排出する又は定着しないで排出するように定着器を制御する定着器制御手段とを備えるカラー画像形成装置において、像担持体に静電潜像を形成するための画像情報におけるピクセル数を形成される画像の先端から所定距離間積算するピクセル数積算手段を備え、ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、転写材搬送手段による転写材の供給前であれば、転写材搬送制御手段が、転写材の供給をしないように転写材搬送手段を制御し、転写材搬送手段による転写材の供給後であれば、二次転写制御手段が、転写材に二次転写をしないように二次転写手段を制御すると共に、定着器制御手段が、転写材にトナー像を定着しないで排出するように定着器を制御する、ことを判定する画像形成可否判定手段を有することを特徴とするカラー画像形成装置である。
これによれば、高密度画像が転写材に転写されないため、画像形成する画像が高密度画像である場合に、転写材が定着ロールに巻き付いて装置内部でジャムが発生することを防止すると共に、転写材の搬送路に転写材が詰まることを防止しつつ、画像形成においてユーザが高密度画像であることを認識でき、転写材の斤量に依存することなく効率的に装置を稼動することができるカラー画像形成装置を提供することができる。
【0013】
本発明において、画像形成可否判定手段の判定結果に応じて二次転写制御手段が転写材に二次転写しないように二次転写手段を制御する場合には、定着器制御手段は、転写材にトナー像を定着しない条件で排出するように定着器を制御するのがよく、これによれば、転写材上にはトナー像が無く、転写材への加熱も抑えられるので、転写材が紙である場合には含まれている水分の蒸発が抑制され、排出された転写材を再利用することができる。尚、転写材が紙である場合には、転写材に含まれている水分が蒸発すると転写材に歪みが生じて再利用すると、用紙詰まりや用紙じわ等の不具合が発生しやすくなる。
【0014】
また、本発明において、ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、二次転写制御手段は、画像情報を転写材の先端位置から所定距離の間は、二次転写手段によって転写材に二次転写しないように制御するのがよく、これによれば、画像情報が転写材の先端位置から所定距離の間、転写材に転写されない不完全画像として画像形成されるため、ユーザが、画像形成された画像が高密度画像であることを確実に認識することができる。また、同様に、画像情報が転写材の先端位置から所定距離の間、転写材に転写されないため、中間転写体をクリーニングした後の廃トナー量を抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、定着器から転写材を排出する際に、転写材の所定箇所に所定形状の印を印字するようにスタンプ装置と、スタンプ装置を制御するスタンプ制御手段とを有するのがよく、これによれば、ユーザが、排出された転写材の所定箇所に印字された印を見ることで、画像形成された画像が高密度画像であることを確実に認識することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成する画像が高密度画像である場合に、転写材が定着ロールに巻き付いて装置内部でジャムが発生することを防止すると共に転写材の搬送路に転写材が詰まることを防止し、画像形成においてユーザが高密度画像であることを認識できる共に転写材の斤量に依存することなく効率的に装置を稼動することができるカラー画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図1〜図3は、本発明に係るカラー画像形成装置おける第1の実施形態を示す図である。
【0019】
図1は、本実施形態におけるカラー画像形成装置10を示す概略図である。本カラー画像形成装置10は、ブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤を用いる画像形成装置である。カラー画像形成装置10には、像担持体である感光体ドラム12が設けられており、その表面では、画像情報における色毎の静電潜像及び色毎の静電潜像が対応する色のトナーで可視化されたトナー像が形成される。また、感光体ドラム12は、図の前後方向に対する軸を中心に時計回り方向に回転する。感光体ドラム12の周辺には、感光体ドラム12の回転方向に向けていくつかのユニットが設けられている。帯電器14は感光体ドラム12の表面を帯電させる。帯電器14の下流側で、露光装置(ROS)16からの光により、帯電器14で帯電された感光体ドラム12の表面に静電潜像が形成される。静電潜像が形成される位置の下流側には、現像装置18が設けられており、図の前後方向に対する軸を中心に反時計回り方向に回転する。また、現像装置18は、感光体ドラム12に形成されている色毎の静電潜像をブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化するための現像ユニット(ブラック色(Bk)現像ユニット18a、イエロー色(Y)現像ユニット18b、マゼンタ色(M)現像ユニット18c、及び、シアン色(C)現像ユニット18d)を有し、18a〜18dまでの各現像ユニットは、現像装置18の円周上に略均等の間隔で配置されている。
【0020】
また、現像装置18の下流側には、中間転写体ユニット20が設けられている。中間転写体ユニット20は、現像装置18のブラック色(Bk)現像ユニット18a、イエロー色(Y)現像ユニット18b、マゼンタ色(M)現像ユニット18c、及び、シアン色(C)現像ユニット18dで感光体ドラム12にブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化されたトナー像を同一位置が基準となるように重ねて転写材22に転写するものである。中間転写体ユニット20には、感光体ドラム12に接触してブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化されたトナー像を同一位置が基準となるように重ねあわせる中間転写ベルト(中間転写体)20aが設けられている。中間転写ベルト20aは、一次転写ロール20bで感光体ドラム12に押圧されている。中間転写ベルト20aは、無端状ベルトであって駆動ロールで周回駆動され駆動ロール及び従動ロールで周回軌道が形成されている。また、中間転写体ユニット20には、感光体ドラム12に接触してブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化されたトナー像を転写材22に転写する二次転写ロール20c(二次転写手段)が設けられている。更に、中間転写体ユニット20の所定箇所には、二次転写ロール20cで中間転写ベルト20aの表面からブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化されたトナー像が転写材22に転写された後、中間転写ベルト20aの表面に残存する現像剤を取り除くためのクリーニングブレード20dを有するクリーニング装置20eと、所定パターンに形成されたトナー像の濃度を検出する濃度センサ20fとが配置されている。
【0021】
中間転写体ユニット20の下流側には、感光体ドラム12の表面からブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で可視化されたトナー像が中間転写ベルト20aに転写された後、感光体ドラム12の表面に残存する現像剤を取り除くためのクリーニングブレード24aを有するクリーニング装置24が配置されている。
【0022】
画像形成装置10の下部には、転写材22を収納するための転写材トレイ26が設けられている。転写材トレイ26の上方には、転写材22を上方から押圧して転写材22を上方に搬送するための搬送ロール28(転写材搬送手段)が設けられている。また、搬送ロール28の上方であって二次転写ロール20cの下方には、転写材22をレジストするレジストロール対30が設けられている。二次転写ロール20cの上方には、中間転写体ユニット20でブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の現像剤で重ねて転写材22に転写された未定着トナー像を転写材22に定着させる定着器32が設けられている。二次転写ロール20cと定着器32との間には、転写材22を除電するための転写材除電部材34が設けられている。
【0023】
以上におけるカラー画像形成装置10では、最初に感光体ドラム12が帯電器14で帯電され、次いで、ブラック色(Bk)、イエロー色(Y)、マゼンタ色(M)、及び、シアン色(C)の何れかの色の画像情報に対応する静電潜像が露光装置16で形成され、そして、上記の色に対応する現像装置18でトナー像として可視化され、次いで、中間転写体ユニット20の中間転写ベルト20aに上記のトナー像が一次転写される。上記工程を全ての色についてトナー像が同一位置を基準として重なるように実施する。そして、転写材22にトナー像を二次転写ロール20cにて二次転写する。次いで、転写材22上に二次転写された未定着トナー像を定着器32で転写材22上に定着する。その後、定着器32から転写材22を排出する。
【0024】
図2は、カラー画像形成装置10における制御ブロック図である。カラー画像形成装置10における制御ブロックは、画像制御部50、及び画像制御部50と接続されているプリンタ制御部52から概略構成されている。
【0025】
画像制御部50は、ピクセル数積算手段50a、ピクセル数蓄積手段50b、画像展開手段50c、及び、画像形成可否判定手段60から概略構成されている。ピクセル数積算手段50aは、形成される画像の先端から所定距離間における画像情報の色毎のピクセル数を積算する手段である。ピクセル数蓄積手段50bは、ピクセル数積算手段50aで積算された色毎のピクセル数を蓄積する手段である。画像展開手段50cは、画像情報を転写材22に画像形成可能な形に展開する手段である。画像形成可否判定手段60は、ピクセル数蓄積手段50bの蓄積数が所定値を超えた場合、所定の条件に基づいて画像形成の可否を判定する手段である(詳細については、後述する)。
【0026】
また、画像制御部50は、画像形成条件及び画像形成状況等を表示する表示部54、及び画像形成条件等を入力するオペパネ操作部56と接続されている。更に、画像制御部50は、ネットワークインターフェース58と接続されている。
【0027】
プリンタ制御部52は、帯電制御手段52a、露光制御手段52b、現像制御手段52c、一次転写制御手段52d、二次転写制御手段52e、定着器制御手段52f、クリーニング制御手段52g、用紙(転写材)搬送制御手段52h、及び、スタンプ制御手段52iから概略構成されている。帯電制御手段52aは、帯電器14によって感光体ドラム12が帯電する又は帯電しないように帯電器14を制御する手段である。露光制御手段52bは、露光装置16によって感光体ドラム12に静電潜像を形成する又は形成しないように露光装置16を制御する手段である。現像制御手段52cは、現像装置18によって感光体ドラム12に形成された色毎の静電潜像を対応する色のトナーで可視化する又は可視化しないように現像装置18を制御する手段である。一次転写制御手段52dは、一次転写ロール20bによって感光体ドラムに形成された各色のトナー像を中間転写ベルト20aに同一位置を基準として重ねて転写する又は転写しないように中間転写ベルト20aの駆動ロール及び一次転写ロール20bを制御する手段である。二次転写制御手段52eは、二次転写ロール20cによって転写材22に二次転写する又は二次転写しないように二次転写ロール20cを制御する手段である。定着器制御手段52fは、定着器32によって転写材22にトナー像を定着して転写材を排出する又は定着しないで転写材を排出するように定着器32を制御する手段である。クリーニング制御手段52gは、クリーニング装置20eによって中間転写ベルト20aの表面の現像剤を取り除く又は取り除かないようにクリーニング装置20eを制御する手段である。用紙搬送制御手段52hは、搬送ロール28が転写材22を二次転写ロール20cに向けて供給する又は供給しないように搬送ロール28を制御する手段である。スタンプ制御手段52iは、ピクセル数積算手段50aの積算値が所定値を超えた場合、及び定着器32から転写材22を排出する場合に、転写材22の所定箇所に所定形状の印を印字するようにスタンプ装置を制御する手段である。尚、スタンプ装置は、転写材22の所定箇所に所定形状の印を印字するように公知の手段で構成される装置である。
【0028】
図3は、本発明の要部であるカラー画像形成装置10における第1の実施形態の画像形成可否判定手段60の詳細を示すフローチャートである。最初に、色毎の形成される画像の先端から所定距離(印字先頭)の画像情報におけるピクセル数(画素データ)をピクセル数積算手段50aで積算(入手)する(S100)。尚、所定距離は、定着器32の定着ロールの径及び転写材の斤量(剛性)に依存し、例えば、50mmである。次いで、ピクセル数蓄積手段50bに、ピクセル数積算手段50aから送られてくる色毎のピクセル数を順次加算し蓄積する(S102)。そして、画像形成可否判定手段60で、ピクセル数蓄積手段50bに蓄積された値が所定値(閾値)を超えたか否かを判断する(S104)。尚、所定値は、例えば、ベタ黒を100%として240%である。S104でYESの場合には、次いで、搬送ロール28による転写材22の供給前(用紙pick前)か否かを判断する(S106)。S106でYESの場合には、次いで、用紙搬送制御手段52hが、搬送ロール28による転写材22の供給をしないように制御する(印字動作中止)(S108)。一方、S106でNOの場合には、次いで、二次転写制御手段52eが、二次転写ロール20cによって転写材22に二次転写をしないように二次転写ロール20cを制御する(二次転写中止)(S110)。そして、定着器制御手段52fが、転写材22にトナー像を定着しないで排出するように定着器32を制御する(定着器ヒーターへの通電off、白紙排紙)(S112、S114)。また、S104でNOの場合には、次いで、4色分のピクセル数(データ)をピクセル数蓄積手段50bに蓄積したか否かを判断する(S116)。S116でYESの場合には、通常の印字動作を実行する(S118)。一方、S104でNOの場合には、S100に戻る。所定の動作(S108あるいはS114あるいはS118)が終了後は、ピクセル数蓄積手段50bに蓄積されている値をリセットする(0にする)。尚、S100は、ピクセル数積算手段50aが実行する。また、S102は、ピクセル数蓄積手段50bが実行する。
【0029】
以上、本実施形態によれば、高密度画像が転写材22に転写されないため、画像形成する画像が高密度画像である場合に、定着器32の定着ロールに転写材22が巻き付いて装置内部でジャムが発生することを防止すると共に、転写材22の搬送路に転写材22が詰まることを防止しつつ、画像形成においてユーザが高密度画像であることを認識でき、転写材22の斤量に依存することなく効率的に装置を稼動することができるカラー画像形成装置を提供することができる。
【0030】
また、本実施形態によれば、二次転写ロール20cによって転写材22に二次転写しないと共に定着器32によって転写材22にトナー像を定着しない条件で排出するため、転写材22への加熱も抑えられるので、転写材22が紙である場合には含まれている水分の蒸発が抑制され、排出された転写材22を再利用することができる。
【0031】
[第2の実施形態]
次に、本発明に係るカラー画像形成装置における第2の実施形態について説明する。尚、本実施形態において、第1の実施形態に示す構成と同一の構成については、同一符号を付すことでその説明を省略する。
【0032】
図4は、本発明の要部であるカラー画像形成装置10における第2の実施形態の画像形成可否判定手段70を示すフローチャートである。最初に、色毎の形成される画像の先端から所定距離(印字先頭)の画像情報におけるピクセル数(画素データ)をピクセル数積算手段50aで積算(入手)する(S200)。尚、所定距離は、定着器32の定着ロールの径及び転写材の斤量(剛性)に依存し、例えば、50mmである。次いで、ピクセル数蓄積手段50bに、ピクセル数積算手段50aから送られてくる色毎のピクセル数を順次加算し蓄積する(S202)。そして、画像形成可否判断手段60で、ピクセル数蓄積手段50bに蓄積された値が所定値(閾値)を超えたか否かを判断する(S204)。尚、所定値は、例えば、ベタ黒を100%として240%である。S204でYESの場合には、次いで、二次転写制御手段52eが、二次転写ロール20cによって形成される画像の先端から所定距離(印字先頭)のみ転写材22に二次転写をしないように二次転写ロール20cを制御する(二次転写中止)(S206)。尚、所定距離は、例えば、50mmである。尚、所定距離は、転写材22が二次転写ロール20cに到達してから二次転写制御手段52eによって二次転写ロール20cに転写バイアス電圧を印加しないように制御する時間(例えば、800msec)を距離に換算した値である。そして、スタンプ制御手段52iが、スタンプ装置によって転写材22の所定箇所に所定形状の印を印字するようにスタンプ装置を制御する(印字先頭が高密度画像であることを転写材に記載)(S208)。また、S204でNOの場合には、次いで、4色分のピクセル数(データ)をピクセル数蓄積手段50bに蓄積したか否かを判断する(S210)。S210でYESの場合には、通常の印字動作を実行する(S212)。一方、S210でNOの場合には、S200に戻る。所定の動作(S208あるいはS212)が終了後は、ピクセル数蓄積手段50bに蓄積されている値をリセットする(0にする)。尚、S200は、ピクセル数積算手段50aが実行する。また、S202は、ピクセル数蓄積手段50bが実行する。
【0033】
以上、本実施の形態によれば、画像情報を転写材22の先端位置から所定距離の間は、二次転写ロール20cによって転写材22に二次転写されない不完全画像として画像形成されるため、ユーザが、画像形成された画像が高密度画像であることを確実に認識することができる。また、同様に、画像情報が転写材22の先端位置から所定距離の間、二次転写ロール20cによって転写材22に二次転写されない不完全画像として画像形成されるため、中間転写ベルト20aをクリーニングした後の廃トナー量を抑制することができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、ユーザが、排出された転写材22の所定箇所に印字された印を見ることで、画像形成された画像が高密度画像であることを確実に認識することができる。
【0035】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、本発明に係る画像形成装置を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明に係る画像形成装置における制御ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の要部であるカラー画像形成装置における第1の実施形態の画像形成可否判定手段を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の要部であるカラー画像形成装置における第2の実施形態の画像形成可否判定手段を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
10:画像形成装置、12:感光体ドラム、14:帯電器、16:露光装置、18:現像装置、20:中間転写体ユニット、20a:中間転写ベルト、20c:二次転写ロール、22:転写材、24:クリーニング装置、26:転写材トレイ、28:搬送ロール、30:レジストロール対、32:定着器、34:転写材除電部材、50:画像制御部、50a:ピクセル数積算手段、52:プリンタ制御部、52e:二次転写制御手段、52f:定着器制御手段、52h:用紙搬送制御手段52h、60,70:画像形成可否判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色毎に静電潜像が形成されこの静電潜像が対応する色のトナーで可視化されたトナー像を担持する像担持体と、この像担持体に形成される色毎のトナー像が同一位置を基準として重ねて一次転写される中間転写体と、この中間転写体に重ねて一次転写されたトナー像を転写材に二次転写する二次転写手段と、この二次転写手段によって転写材に二次転写する又は二次転写しないように二次転写手段を制御する二次転写制御手段と、転写材を二次転写手段に向けて供給する転写材搬送手段と、この転写材搬送手段が転写材を二次転写手段に向けて供給する又は供給しないように転写材搬送手段を制御する転写材搬送制御手段と、二次転写手段で転写材に二次転写されたトナー像を転写材に定着させる定着器と、転写材にトナー像を定着して転写材を排出する又は定着しないで転写材を排出するように定着器を制御する定着器制御手段とを備えるカラー画像形成装置において、
像担持体に静電潜像を形成するための画像情報におけるピクセル数を形成される画像の先端から所定距離間積算するピクセル数積算手段を備え、
ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、転写材搬送手段による転写材の供給前であれば、転写材搬送制御手段が、転写材の供給をしないように転写材搬送手段を制御し、転写材搬送手段による転写材の供給後であれば、二次転写制御手段が、転写材に二次転写をしないように二次転写手段を制御すると共に、定着器制御手段が、転写材にトナー像を定着しないで排出するように定着器を制御する、ことを判定する画像形成可否判定手段を有することを特徴とするカラー画像形成装置。
【請求項2】
画像形成可否判定手段の判定結果に応じて二次転写制御手段が二次転写手段によって転写材に二次転写をしないように制御する場合には、定着器制御手段は、転写材にトナー像が定着しない条件で転写材を排出するように定着器を制御する請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、二次転写制御手段は、画像情報が転写される転写材の先端位置から所定距離の間、二次転写手段によって転写材に二次転写しないように制御する請求項1記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
ピクセル数積算手段の積算値が所定値を超えた場合、及び定着器から転写材を排出する場合に、転写材の所定箇所に所定形状の印を印字するようにスタンプ装置とスタンプ装置を制御するスタンプ制御手段とを有する請求項1〜3のいずれかに記載のカラー画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−52344(P2007−52344A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−238719(P2005−238719)
【出願日】平成17年8月19日(2005.8.19)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】