説明

カードコネクタ

【課題】 プッシュプッシュ方式の操作性を損なうことなく、かつ、ハーフロック・フルロック双方の状態を取り得る簡素な構成を提供する。
【解決手段】 イジェクトプレート16は押動部16aと係合部16cとバネ部16dを有し、ハートカム19により二つの位置に切換可能である。カードとコネクタとの電気的接続がされた状態ではイジェクトプレート16が第二の位置とされ、その係合部16cがカードに設けられた切欠に係合し、当該係合の解除はガイド壁24によって阻止され、カードに強い引抜き力が加わっても抜脱できない(フルロック)。引張バネ17によりイジェクトプレート16が第二の位置から第一の位置へ移行するとき、押動部16aによりカードが押し出される。この第一の位置でも係合部16cはカードの切欠に係合しているが、該係合の解除は壁部24によって許容され、バネ部16dの弾性変形によりカードを引き抜き得る(ハーフロック)。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メモリカード等のカードの接続に用いられるカードコネクタに関する。詳細には、そのようなカードコネクタにおいて、挿入されたカードを排出するためのイジェクト機構の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、音声データや、デジタルカメラで撮影した画像データを記録するために、小型のメモリカードが広く使用されるようになっている。このようなカードを使用する機器側のコネクタには、挿入され接続されたカードを簡易な操作で排出できるようにすべく、イジェクト機構を設けたものが知られている。
【0003】そして、このようなイジェクト機構を使用してカードを排出させる場合、カードがコネクタから強い勢いで飛び出すと、落下して破損したりするおそれがある。このため、カードを接続した状態においてイジェクト操作がされた場合、カードを適宜抜脱させて、電極部とコネクタの入出力端子との電気的接続は解除させつつも、カード挿入口からカードを完全には抜脱させない状態で保持するロック機構(いわゆるハーフロック機構)を設けたものが知られている。このハーフロックにおいては、カードはカード挿入口に適宜の保持力をもって保持され、この状態でカードを抜脱しようとする力が働いても、その力が小さいときはカードは抜けることがない。つまり、ハーフロック状態ではカード挿入口側が下となるように逆さまにしても、あるいは通常の使用に伴う振動が加えられても、カードが自然に抜けてしまうことはない。一方で、カードを手で掴んで抜き出すような強い力が加わった場合は、カードは容易に取り出すことができる。
【0004】例えば、特開平11−135192号公報や、特開2001−185286号公報は、ハートカム機構を用いたプッシュプッシュ式のカードコネクタで前述のハーフロック機構を設けた構成を開示する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】他方で、カードを接続して電極部とコネクタの入出力端子との電気的接続を行わせている状態では、ユーザがカードを手で掴んで抜き出すような強い力が加わった場合でも、それに抗し得る保持力をもってカードの抜脱を阻止するロック機構(いわゆるフルロック機構)を設けておくと、ユーザの過誤によるカードの引抜きを防止し、メモリカードの記憶内容の消去や破損を防止し得る点で有利である。この点、前述の特開平11−135192号公報や特開2001−185286号公報に開示されている技術は、いずれも、単にハーフロック機構が設けられているのみであって、上記のフルロックの形態をとることができない。
【0006】一方、ハーフロック機構とフルロック機構の双方が設けられている構成は、特開平11−149956号公報に開示されている。しかしながら、この技術ではフルロック機構とハーフロック機構とが別々に構成されていて、部品点数や装置の小型化の面で不都合がある。更には、この構成においてカードを抜脱する際には、フルロックを解除する操作を一旦行ってからカードを抜き出さなければならず、煩雑な操作をユーザに強いるものである。
【0007】更には、フルロック機構によるフルロック状態は、ユーザが無理矢理にカードを抜き出そうとする力に対抗するものであるから、カードを接続状態で強固にロックし、相当の強い力が加わってもカードの抜脱を阻止し得る保持力を発揮し得るものでなければならない。また、フルロック機構には、そのような強い力が何度も加えられるような場合でも容易に損耗しないような耐久性も必要とされる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】即ち、請求項1においては、開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、ハートカム機構によって切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有するものである。
【0010】この構成により、■カードが完全に挿入されてイジェクト部材が「第二の位置」におかれ、電極部が入出力端子に接続された状態では、イジェクト部材の係合部がカードの切欠に入り込み、かつ、その係合の解除がガイド部によって阻止されて、強い力が加わってもカードが抜けないフルロックの状態となる。従って、機器側に振動が与えられても電気的接続の安定は確保され、かつ、ユーザによる誤ったカードの引抜きを防止できる。
■イジェクト操作がされ、イジェクト部材が付勢手段の付勢力を得てその位置が「第二の位置」から「第一の位置」へ移動するときに、該イジェクト部材の押動部がカードの挿入方向端部に当接してカードを抜脱方向へ押し出すことで、前述した■のカードの完全挿入状態が解除される。このとき、係合部がバネ部の作用によりカードの切欠に入り込んだ状態が維持されるので、カードはカード収容空間から勢い良く飛び出すことがなく、イジェクト部材の「第一の位置」に相当する位置に保持される。
■イジェクト部材が「第一の位置」にあるときはハーフロック状態とされ、ハウジング手前側が下となるよう機器を逆さまにしたり、通常の使用により生ずる程度の振動によっては、カードはコネクタから抜脱されない。一方、係合部と切欠との係合解除はガイド部によって許容されているから、ユーザによるカードの引抜き等、カードにバネ部の付勢力を上回る程の引抜き力が加わった場合は、バネ部の弾性変形によって係合部と切欠との係合が解除され、カードを容易に引き抜くことができる。
【0011】請求項2においては、前記係合部と前記バネ部とが、イジェクト部材に一体形成されているものである。
【0012】この構成により、部品点数の削減・製造コスト/工数の低減を図ることができる。
【0013】請求項3においては、前記イジェクト部材が合成樹脂により形成されているものである。
【0014】この構成により、イジェクト部材が安価にかつ少ない工数で構成でき、製造コストの低減を図ることができる。
【0015】請求項4においては、開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有し、前記イジェクト部材は、少なくともその係合部が合成樹脂で形成され、かつ、該係合部は厚肉状に形成されているものである。
【0016】この構成により、カードをコネクタに接続したフルロック状態においてカードが無理な力で誤って引き抜かれても、係合部が塑性変形を呈することが防止され、イジェクト部材の耐久性に優れる。
【0017】請求項5においては、開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有し、前記ガイド部は、コネクタにカードが接続されてイジェクト部材が「第二の位置」に保持されているときに該カードに引抜き力が加えられた場合に、カードの前記切欠に係合している前記係合部がカード収容空間への突出量を減少できるように構成するとともに、該ガイド部には、「第二の位置」にあるイジェクト部材の前記係合部がカード収容空間への突出量を減少させたときに、該イジェクト部材の「第一の位置」への変位を阻止し得る規制部が形成されているものである。
【0018】この構成により、カードをコネクタに接続したフルロック状態でカードを無理に引き抜こうとした場合に、係合部がカード収容空間への突出量を減少して、このときに規制部がイジェクト部材の「第二の位置」から「第一の位置」への移動を阻止する。従って、カードの誤った引抜きが確実に防止されてカードの記憶内容の消去などの事態を回避できるとともに、イジェクト部材の係合部が塑性変形して潰れることが防止され、イジェクト部材の耐久性に優れる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るコネクタとこれに挿入させるカードについて、全体的な構成を示した斜視図、図2はコネクタの斜視図、図3は同じく平面図である。図4はハートカム機構を示した側面要部拡大図である。図5はイジェクトプレートの位置に応じて、係合部の退避を許容/阻止する様子を示した図である。
【0020】図1に示す第一実施形態において、カードコネクタ1は、カード2を収容するハウジング3と、ハウジング3の内部に組み込まれたイジェクト機構4と、を備えている。カード2は、デジタルカメラ等のモバイル電子機器に用いられるメモリカードであって、例えば、デジタルカメラで撮影した画像データを記録するメモリースティック(登録商標)である。このカード2の長手方向一端部の下面には、10個の面状電極部5が並設されている。
【0021】コネクタ1の拡大図である図2に示すように、ハウジング3には開口6が形成されるとともに、その内部にカード2の収容空間31を形成している。このハウジング3は、合成樹脂で形成された下側半部7と、その上面を覆う金属製の上側半部8と、を有している。なお、図1・図2においては、ハウジング3の内部空間の図示の便宜のために、本来は実線で示されるべき上側半部8を鎖線で透視的に図示している。下側半部7は前記開口6側からみて略「凹」字状となるように形成され、カード2を該開口6から挿入する際には、その下面及び両側縁をガイドし得るようになっている。
【0022】下側半部7の奥側には入出力端子9が設けられ、この入出力端子9は、細長帯状の導電性の板バネを折り曲げて成形してある。この入出力端子9はカード2の前記面状電極部5に対応して10個設けられ、カード2をハウジング3の奥まで完全に挿入されたときは、入出力端子9が面状電極部5に電気的に接続されるようになっている。
【0023】イジェクト機構4を、コネクタ1の拡大図である図2や平面図である図3を参照して説明する。このイジェクト機構4は、カード2の挿入方向端部を押動可能なイジェクトプレート16(イジェクト部材)と、イジェクトプレート16をカード2抜脱方向に付勢する引張バネ(付勢手段)17と、イジェクトプレートに一端が連結されるロッド18と、ロッド18の他端が係合するハートカム19と、ロッド18のハートカム19係合側の端部を押圧する板バネ20とからなる。これらイジェクトプレート16、引張バネ17、ロッド18、ハートカム19、板バネ20は、ハウジング3の下側半部7の一側側部(本実施形態では、開口6に向かって右側の側部)に形成した、延長部21に設けられている。
【0024】イジェクトプレート16は、厚み一様の金属製の細長い板状部材の一端を、カード収容空間31側に突出するよう垂直に折曲して、押動部16aを構成している。この押動部16aは、後述するイジェクト操作のときに、カード2の挿入方向端部に当接して該カード2を抜脱方向へ押動するためのものである。ハウジング3の下側半部7においては細長いガイド壁24が、その長手方向をカード挿抜方向に沿わせるようにして垂直に形成される。また、ガイド壁24と小さい間隔(イジェクトプレート16の厚みに相当する間隔)を空けて、該ガイド壁24に沿うように薄い支持壁25が垂直に形成されて、ガイド壁24と支持壁25との間にイジェクトプレート16の中途部を挟み込むようにしている。このようにして、該イジェクトプレート16はガイド壁24・支持壁25との間で挟持されながら、カード挿抜方向に沿って移動可能とされている。イジェクトプレート16の中途部においてはその上縁に、水平部分と垂直部分が連続する「L」字状の連結部16bを、横向きに突設した形状としている。この連結部16bはガイド壁24を上側から迂回するように形成されて、その垂直部分に、前記引張バネ17やロッド18を係止するための孔を形成してある。
【0025】そして引張バネ17は、その一端を前記イジェクトプレート16の連結部16bに係止し、他端をハウジング3の延長部21に設けた係止壁23に係止して、イジェクトプレート16をカード抜脱方向へ常時付勢する。なお、イジェクトプレート16の後述する「第一の位置」は、該イジェクトプレート16に形成された前記押動部16aが前記支持壁25の端部に図3のように接触することで規定されている。
【0026】ロッド18は、横向きに折り曲げられた一端が前記イジェクトプレート16の連結部16bに係止し、同じく横向きに折曲された他端が、以下に説明するハートカム19に係合されている。このハートカム19は側面要部拡大図である図4に示すように、第一の点19a、第一屈曲点19b、第二の点19c、第二屈曲点19dが略ハート型に連続する溝であって、延長部21のハウジング奥側の側壁に刻設されている。このカム溝の底部には適宜段差や傾斜が形成されており(図略)、かつ、該ロッド18の先端は、該溝を覆うように設けられた前記板バネ20によって、溝に入り込む方向に横向きに付勢され、カム溝の底部に接触する。
【0027】この構成で、イジェクトプレート16が図3R>3に示す位置(以下、「第一の位置」)にあるときは、該イジェクトプレート16に連結されるロッド18の先端は、第一の点19aに位置する。この状態から、イジェクトプレート16が引張バネ17の付勢力に抗してカード挿入方向に押されると、イジェクトプレート16に連結されるロッド18の先端は図4の矢印Aのように移動し、第一の点19aから第一屈曲点19bへ至る。そして、この状態から押動力が解除されると、ロッド18の先端は図4の矢印Bのように移動し、第二の点19cへ至って係止される。この結果、イジェクトプレート16は、図3の「第一の位置」よりもハウジング3奥側の位置(前述の「第一の位置」よりも開口6から遠い側の位置。以下、「第二の位置」)で静止することになる。
【0028】次に、この「第二の位置」にあるイジェクトプレート16を更にカード挿入方向へ押動すると、イジェクトプレート16に連結されるロッド18の先端は第二の点19cから矢印Cのように第二屈曲点19dへ至り、この状態から押動を解除することで、ロッド18の先端はカム溝を矢印Dのように移動し、引張バネ17のバネ力が作用するイジェクトプレート16は前述の「第一の位置」へ戻る。このようにハートカム19は、該カムにロッド18を介して連結されるイジェクトプレート16の位置を、第一の点19aに対応する「第一の位置」と、第二の点19cに対応する「第二の位置」とに、切り換えて保持可能とされている。
【0029】このように、ハートカム19を利用したプッシュプッシュ式のコネクタとしたことにより、いったん接続されたカードを抜脱する際は、■開口から外部に突出している状態のカードの端部を指で押して該カードをハウジング奥側に向けて僅かに押し込み、その後に、■排出されてきたカードをその指で掴んで引き抜くという、合理的な方法を採ることができる。この方法は、イジェクトボタンを有する構成のコネクタ(例えば、特許第3065310号公報に記載のコネクタ)での場合に比して、非常に簡便である。即ち、イジェクトボタン式のコネクタでは、接続されているカードを取り外す際には、■開口の脇に通常配設されているイジェクトボタンを指で押し込む操作(カードイジェクト操作)を行ってから、■カードの端部を掴んで引き抜く操作を行わなければならず、指をイジェクトボタンとカードの互いに若干離れた二箇所へ持っていかなければならない。一方、プッシュプッシュ式のコネクタでは、カードイジェクト操作をカードの端部を僅かに指で押し込むことで行うことができるから、その後にカード端部を掴む動作へ素早く移行することができ、少ない指の動きで目的を達成できるスマートなカード抜脱方法をユーザに提供できるのである。
【0030】また、前述したプッシュプッシュ式のコネクタでは、イジェクトボタンが不要であるため部品点数の低減を図ることができるとともに、イジェクトボタン組込のためのスペースも不要となるから、省スペース化に適している。また、イジェクトボタン式のコネクタでは、このイジェクトボタンの存在によって、コネクタ搭載機器側が設計上の制約を受けることになる。また、逆に、ユーザのカード抜脱操作時などの簡便性を向上させるためにコネクタ搭載機器におけるイジェクトボタンの配置を優先させると、コネクタの設計上の自由度がそれだけ減少してしまうし、そのようなイジェクトボタンの配置の要請を満たそうとすると特別な部品の追加が必要になったりコネクタの占有面積を増大させたりしてしまうことになる。一方、プッシュプッシュ式のコネクタにおいては、このような不都合もないのである。
【0031】図3に示すように、イジェクトプレート16のカード抜脱方向端部は略「く」字状に折り曲げられて、カード収容空間31へ側方から突入する係合部16cを構成している。この係合部16cはカード2の一側側面に設けられた切欠(図1の符号26)に係合させるためのものであって、カード2をコネクタ1へ挿入してその挿入方向端部が前記イジェクトプレート16の押動部16aに接触したときに、前記切欠26内に係合部16cが入り込むように、その位置関係が定められている。また、イジェクトプレート16はバネ性を有する金属素材で形成されており、その中途部から係合部16cへ向かう部分においては、弾性変形可能なバネ部16dが一体的に形成されている(図3)。
【0032】イジェクトプレート16の一側側面に面して形成された前記ガイド壁24(ガイド部)は図5の拡大図に示すように、ハウジング3の開口6側に近づくにつれて段状に削り込まれて、イジェクトプレート16との間に退避空間Sを形成している。この構成で、イジェクトプレート16が前記「第一の位置」にあるときは、その係合部16cやバネ部16dは図5(i)に示すように退避空間Sに面しており、このときは鎖線で図示するように、バネ部16dが弾性変形することで、係合部16cがカード収容空間31から側方へ退避可能である。他方、イジェクトプレート16が前記「第二の位置」におかれるときは、その係合部16cやバネ部16dは開口6から遠ざかっている結果、図5(ii)に示すようにガイド壁24に接触するので、バネ部16dの弾性変形の余地はなく、係合部16cはカード収容空間31から退避できない。
【0033】なお、この係合部16cの形状は、図5(i)の拡大図に示すように、開口6に近づくにつれてやや鋭い角度でカード収容空間31へ突入させ(aの部分)、突入量を最大とした後、やや緩やかな角度で突入量を減少させていく(bの部分)ような形状としてある。これにより、カード2を挿入するときはbの部分の作用で係合部16cが容易に退避しスムーズな挿入を可能にする一方で、後述するように係合部16cがカード2の切欠26に係合しているときに該係合を解除してカード2を抜脱する際は、aの部分の作用により係合部16cの退避のためにやや大きな引抜き力が必要となるように配慮されている。
【0034】以上の構成で、カード2をコネクタ1に接続する際の様子を、図6(a)(b)・図7(c)(d)を参照して説明する。図6はコネクタにカードが(a),(b)と挿入されてゆく様子を示した図である。図7は図6に引き続いてカードが押し込まれ、ハーフロック(c),フルロック(d)の状態がとられる様子を示した図である。
【0035】まず、図6(a)には、カード2が全く挿入されていない状態が示されている。このときはイジェクトプレート16の位置は開口6に近い側の「第一の位置」とされ、イジェクトプレート16の係合部16cは、カード収容空間31に向けて突出している。
【0036】図6(b)には、カード2の一部が開口6からカード収容空間へ挿入された状態が示される。このときカード2の側縁は、カード収容空間31に向けて突出する係合部16cに対して当接するが、イジェクトプレート16は前述のとおり「第一の位置」とされているために、係合部16cは図5(i)の鎖線のように退避することが可能である。従って図6(b)のように、係合部16cはバネ部16dが弾性変形することによって、カード2の側縁によって側方へ押しのけられるようにカード収容空間31から退避し、カード2の挿入の邪魔とならない。
【0037】そして図7(c)に示すように、カード2の挿入方向端部が、「第一の位置」にあるイジェクトプレート16の押動部16aに当接すると、それと同時に前記係合部16cの位置に前記カード2の切欠26が位置して、前記バネ部16dの復元力によって係合部16cはカード収容空間31へ再び突出し、切欠26に対し係合する。この図7(c)の状態がハーフロック状態である。即ち、図7(c)の状態においては係合部16cと切欠26とが係合しているから、開口6が下となるようにコネクタ1を向けても、あるいはカード2に通常の機器の使用により生ずる程度の振動が加わっても、カード2が抜脱することはない。一方、イジェクトプレート16は「第一の位置」とされ、係合部16cと切欠26との係合はバネ部16dの弾性変形によって解除し得るから、バネ部16dのバネ力を上回る引抜き力をカード2に作用させれば、カード2を容易に抜き取ることができる。
【0038】図7(c)の状態から更にカード2が押し込まれると、カード2の挿入方向端部が、イジェクトプレート16の押動部16aをハウジング3の奥側へ押し込み、イジェクトプレート16全体が開口6から遠ざかる方向へ移動する。なお、このとき、イジェクトプレート16の係合部16cとカード2の切欠26との係合状態はそのまま維持される。イジェクトプレート16が押し込まれるとき、該イジェクトプレート16に連結されたロッド18の先端は、ハートカム19のカム溝内を第一の点19aから図4の矢印Aのように移動して第一屈曲点19bへ至り、カード2の押込み力を解除するに伴い、図4の矢印Bのように移動して第二の点19cへ至って係止される。この結果、図7(d)に示すように、カード2の面状電極部5が入出力端子9に電気的に接続されるとともに、イジェクトプレート16は「第二の位置」で前述のハートカム19によって保持される。こうしてカード2の接続が完了する。そして、この図7(d)の状態がフルロック状態である。即ち、図7(d)の状態においては係合部16cとカード2の切欠26とが係合しており、また、イジェクトプレート16が「第二の位置」にあることから、係合部16cは図5(ii)に示すように、カード収容空間からの退避をガイド壁24によって阻止されているため、切欠26との当該係合を解除できない。結局、図7(d)のようにカード2の面状電極部5と入出力端子9との電気的接続がされた状態では、係合部16cと切欠26とが強固に(解除不可能に)係合する結果、カードの過誤による引抜きが防止され、メモリカードの記憶内容の消去や破損を防止し得る。
【0039】なお、上述したように本実施形態においては、■イジェクト部材16がハートカム機構19によって「第二の位置」に保持されていること、■イジェクト部材16の係合部16cとカード2の切欠26とが係合し、当該係合の解除がガイド壁24によって阻止されていることによって、フルロック状態が達成される。これは言い換えれば、カード2のフルロックの役割を、イジェクト部材16の位置切換のためのハートカム機構19に兼ねさせているということができる。つまり当該構成は、フルロックのための部材を特別に設ける必要がなく、部品点数の増加の不都合が生じない点で優れるものである。
【0040】次に、カード2をコネクタ1から引き抜く際の様子を、図8(e)(f)・図9(g)(h)を参照して説明する。図8は(e)のカード接続状態(フルロック)から(f)のハーフロックの状態へ移行する様子を示した図である。図9は図8に引き続いてカードが(g),(h)と引き抜かれる様子を示した図である。
【0041】図8(e)は図7(d)とまったく同様の図であり、カード2の面状電極部5が入出力端子9に接続され、フルロックとされた状態が示されている。この接続状態を解除するには、ユーザはカード2を僅かなストロークだけ押し込めば良い。すると、イジェクトプレート16はカード2に押されて、イジェクトプレート16に連結されているロッド18の先端が、図4の第二の点19cから矢印Cをたどって第二屈曲点19dへ至る。そして、ユーザのカード2の押込み力の解除に伴い、イジェクトプレート16は引張バネ17の引張力を受けて「第二の位置」から「第一の位置」へ移動する(このとき、ロッド18の先端は第二屈曲点19dから矢印Dのように第一の点19aへ移動する)。カード2は、該イジェクトプレート16の押動部16aによってカード抜脱方向へ押し出され、面状電極部5と入出力端子9との電気的接続を解除する。この状態が図8(f)である。
【0042】なお、イジェクトプレート16が引張バネ17により張引されて図8(e)の「第二の位置」から図8(f)の「第一の位置」へ移行し、カード2が押動部16aによって押されて移動するときも、イジェクトプレート16の係合部16cとカード2の切欠26との係合は維持されている。従って、イジェクトプレート16が「第一の位置」への移動を完了して静止したときも、カード2が慣性力によってイジェクトプレート16から外れて開口6から抜脱して飛び出すことは防止される。そして、この図8(f)の状態がハーフロック状態である。即ち、係合部16cと切欠26とが係合しているから、開口6が下となるようにコネクタ1を向けても、あるいはカード2に通常の機器の使用により生ずる程度の振動が加わっても、カード2が抜脱することはない。一方、イジェクトプレート16は「第一の位置」とされ、このときは前述のように係合部16cと切欠26との係合はバネ部16dの弾性変形によって解除し得るから、バネ部16dのバネ力を上回る引抜き力をカード2に作用させれば、図8(f)→図9(g)→図9(h)のようにカード2を容易に抜き取ることができる。
【0043】以上に第一の実施形態を説明したが、本発明の適用はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、以下の第二・第三の実施形態で示すように、イジェクト部材の素材としては金属素材に限らず、また、イジェクトプレート16の係合部16cの位置は、カード2の切欠26の位置が変わるのに応じて、自在に変更させることができる。
【0044】図10に示されるのは、本発明の第二の実施形態に係るカードコネクタ11であり、ハウジング3の一側の側壁(ガイド部)24に沿わせて、イジェクト部材16が設けられている。このイジェクト部材16は第一実施形態と異なり合成樹脂製(例えば、PBT、6Tナイロン等)とされ、押動部16aと、係合部16cと、弾性変形し得るバネ部16dを一体的に形成して構成されている。イジェクト部材16は弾性変形可能でかつ可撓性を有するよう構成されている。側壁24は段状に削り込まれて、係合部16cをカード収容空間から退避させるための退避空間Sが形成されている。図示しないが、イジェクト部材16には、前記の第一実施形態と同様にハートカム機構や引張バネを連結している。この結果、イジェクト部材16を、ハウジング3の開口6に近い側の「第一の位置」、及び、開口6から遠い側の「第二の位置」とに、切り換えて保持可能とされている。
【0045】この第二実施形態においてコネクタにカードが挿入されてゆく様子が、図10の(a)→(b)→(c)→(d)と示される。このときにイジェクト部材16がなす作用は、第一実施形態と全く同様である。(c)の状態が、イジェクト部材16が「第一の位置」にあって切欠26と係合部16cとが係合しているが、該係合を解除することができるハーフロック状態であり、この状態ではカードを手で掴んで容易に抜き取ることが可能である。(d)の状態がカードとコネクタとの電気的接続がされた状態であり、このときイジェクト部材16は「第二の位置」とされ、側壁24によって係合部16cが退避できず切欠26との係合を解除できないフルロック状態となる。
【0046】図11に示される第三の実施形態は、前述の第二の実施形態の変形例であって、ハウジング3の床部(ガイド部)24にイジェクト部材16が設けられている。イジェクト部材16の係合部16cは、カード収容空間31に対し(側方からではなく)下方から突出させて、カードの床部側に設けられた切欠26に係合させ得るようにしている。床部24はその一部が開口されて、係合部16cをカード収容空間から下方へ退避させるための退避空間Sが形成されている。
【0047】この第三実施形態においてコネクタにカードが挿入されてゆく様子が、図11の(a)→(b)→(c)→(d)と示される。このときにイジェクト部材16がなす作用は、第一・第二実施形態と全く同様である。(c)の状態が、イジェクト部材16が「第一の位置」にあって切欠26と係合部16cとが係合されたハーフロック状態であり、この状態ではカードを手で掴んで容易に抜き取ることができる。(d)の状態がカードとコネクタとの電気的接続がされた状態であり、このときイジェクト部材16は「第二の位置」とされ、係合部16cが退避できず切欠26との係合を解除できないフルロック状態とされる。
【0048】なお、第二・第三実施形態においては、イジェクト部材16を合成樹脂の成形品とすることで、前述の第一実施形態に比して、耐久性の面での向上が図られている。即ち、第一実施形態のように、イジェクト部材16の係合部16cを金属材の折り曲げによって構成した場合には、図7(d)のフルロック状態においてユーザがカード2を無理に引っ張った場合、その引っ張りに抗する係合部16cの根元の部分が強い曲げ作用を受け、極端な場合には係合部16cが塑性変形してカード2が引き抜かれてしまう恐れがある。あるいは、カード2が引き抜かれるとまでは行かないにしても、係合部16cが塑性変形して潰れてしまうと、カード収容空間への係合部16cの突入量が減少し、図7(c)のハーフロック状態でのカード2の保持力が低下することになる。一方、第二・第三実施形態においては、イジェクト部材16の係合部16cが肉が盛り上がった厚肉状に構成されているため、例えば図11(d)のフルロック状態においてカード2に無理な引抜き力が加えられても、係合部16cの根元部分が極端な曲げ作用を受けるということはない。従って、そのような無理な引抜きが行われてもそれに負けない強い力をもってカードを保持でき、また、イジェクト部材16が容易に塑性変形することも防止されるから、部品の長寿命化が図られて長期間の使用にも耐え得る。なお、上述の効果は、イジェクト部材16のうち係合部16cの部分のみを合成樹脂の成形品で構成し、そのほかの部分(バネ部16dや押動部16a等)を金属板材で構成しても、同様に達成することができる。また、係合部を厚肉状に形成しさえすれば、ハートカム機構を用いない例えばイジェクトボタン式のカードコネクタにおいても、上述のイジェクト部材の耐久性向上の効果は同様に発揮される。
【0049】なお、前述の第一実施形態のようにイジェクト部材16を薄板状の金属素材で構成する場合においても、ガイド壁24の形状を図12のようにすることで、フルロック状態におけるユーザの無理な引抜きに確実に対抗し得る構成をとることができる。即ち、この図1212の構成においては、イジェクトプレート16が「第二の位置」にあるときに、その係合部16cとガイド壁24との間には少量の隙間gが形成されるようにし、かつ、該係合部16cの端部16eに近接した位置に、ガイド壁24に規制部たる突起24aを設けた構成としている。この突起24の突出量は少量として、通常のカードの抜き差しによってイジェクト部材16が「第一の位置」と「第二の位置」との間で移動する際には、突起24aと係合部端部16eとが干渉しないようにしている。この構成の作用を説明する。図12には、カード2が差し込まれて前述のフルロックとなった状態が示され、このとき、イジェクトプレート16は「第二の位置」にハートカム機構19によって保持されている。この状態から太線矢印のようにカード2に無理な引抜き力が誤って加えられた場合は、切欠26の内壁部分によって係合部16cがカード抜脱方向に押され、係合部16cの根元の屈曲点の部分16fが弾性変形を呈することになる。この結果、係合部16cは鎖線で示すように変位して、カード収容空間から少量退避してその突出量を減少させ、その端部16eがガイド壁24に接する。従って、この状態から更にカード2が引き抜かれようとすると、係合部の端部16eが突起24aの側部に当接して、イジェクトプレート16の「第一の位置」への移動を(前述のハートカム機構19とともに)阻止する。この結果、カード2の誤った引抜きが強固に防止されるとともに、係合部16cの塑性変形も防止されて耐久性が向上する。なお、ガイド壁に規制部や隙間を設けた形状とすれば、ハートカム機構を用いない例えばイジェクトボタン式のカードコネクタにおいても、上述のイジェクト部材の係合部の潰れ防止、及び、カードの無理な引抜きへの対抗力向上の効果は同様に達成される。
【0050】第二・第三実施形態においてはイジェクト部材16を合成樹脂で成形しているために、ハートカム19のカム溝を、ハウジング3側でなくイジェクト部材16側に形成することも可能である。このときは、前述ロッド18は、その一端をハウジング3側に枢支して他端を揺動自在とした上で、その他端が、イジェクト部材16に設けられたカム溝に挿入されるようにすれば良い。この場合は、ロッド18全体が変位する構成ではなく、カム溝に入っているロッド18の前記他端側のみがハートカム溝の形成領域の幅の分だけ揺動する構成となるから、板バネ20により該ロッド18の他端をカム溝へ入り込む方向へ付勢するための構成をより的確に行うことができ、ハートカム機構19の作用をより安定的に営ませることができる。
【0051】以上に三つの実施形態を示したが、イジェクトプレート16の押動部16aと係合部16cやバネ部16dとを一体形成せず、別体に形成するようにしても構わない。例えば、イジェクトプレートの代わりに、カードの挿入方向端部に当接する部分が既知のスライダ等(例えば、特開2001−195546号公報、特許第3083778号公報に開示される)と同様に構成し、カードの切欠に係合させる部分は金属板バネで形成して、これらの結合により形成されるようにしても良い。また、カード排出のための弾発力を付与するバネは引張バネに限らず、上記公報に記載されているような形式のバネであっても良い。更には、イジェクト部材16の押動部16aは、上述の第二・第三実施形態においては合成樹脂を「L」字状に成形して構成しているが、押動部16aの形状はこれに限定されるものではなく、カード2の端部に当接して押動できるものであれば、三角形状など、様々な形状を採用することができる。
【0052】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、プッシュプッシュ式の簡便な操作性を損なうことなく、場合に応じてハーフロック・フルロックの二形態をとってカードの自然な抜脱・飛び出しや誤った引抜きを防止でき、そのための構成も簡素で部品点数の低減・コンパクト化に適合的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタとこれに挿入されるカードについて、全体的な構成を示した斜視図。
【図2】コネクタの斜視図。
【図3】同じく平面図。
【図4】ハートカム機構を示した側面要部拡大図。
【図5】イジェクトプレートの位置に応じて、係合部の退避を許容/阻止する様子を示した図。(i)はイジェクトプレートが「第一の位置」にあるときを、(ii)は「第二の位置」にあるときを、それぞれ示す。
【図6】コネクタにカードが(a),(b)と挿入されてゆく様子を示した図。
【図7】図6に引き続いてカードが押し込まれ、ハーフロック(c),フルロック(d)の状態がとられる様子を示した図。
【図8】(e)のカード接続状態(フルロック)から(f)のハーフロックの状態へ移行する様子を示した図。
【図9】図8に引き続いてカードが(g),(h)と引き抜かれる様子を示した図。
【図10】第二実施形態のコネクタにおいて、カードが(a),(b),(c),(d)と差し込まれる様子を示した平面図。
【図11】第三実施形態のコネクタにおいて、カードが(a),(b),(c),(d)と差し込まれる様子を示した側面断面図。
【図12】第一実施形態において、フルロック状態でのカードの誤った引きを防止する構成を示した図。
【符号の説明】
1 カードコネクタ
2 カード
3 ハウジング
5 カードの面状電極部
6 開口
9 入出力端子
16 イジェクトプレート(イジェクト部材)
16a 押動部
16c 係合部
16d バネ部
17 引張バネ(付勢手段)
24 ガイド壁(ガイド部)
26 カードの切欠
31 カード収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、ハートカム機構によって切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有する、カードコネクタ。
【請求項2】 請求項1のカードコネクタにおいて、前記係合部と前記バネ部とが、イジェクト部材に一体形成されていることを特徴とする、カードコネクタ。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のカードコネクタにおいて、前記イジェクト部材が合成樹脂により形成されていることを特徴とする、カードコネクタ。
【請求項4】 開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有し、前記イジェクト部材は、少なくともその係合部が合成樹脂で形成され、かつ、該係合部は厚肉状に形成されていることを特徴とする、カードコネクタ。
【請求項5】 開口からカードを挿入させるカード収容空間を形成し、かつ、該カードの電極部に対応する入出力端子を備えるハウジングと、カードの挿抜方向に沿って移動可能とされ、かつ、その位置を、「第一の位置」と、該「第一の位置」よりも前記開口から遠い側にある「第二の位置」とに、切り換えられるイジェクト部材と、該イジェクト部材をカード抜脱方向へ付勢する付勢手段と、前記イジェクト部材に一体的に形成され、該カードの挿入方向端部に当接可能とされた、押動部と、前記イジェクト部材に設けられ、前記カードの挿入方向端部が前記押動部に接触しているときに、カード収容空間へ突出して該カードに設けられている切欠に係合する、係合部と、前記イジェクト部材に設けられ、弾性変形することにより前記係合部がカード収容空間から退避して前記切欠との係合を解除するようにしたバネ部と、前記イジェクト部材が「第一の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を許容し、イジェクト部材が「第二の位置」にあるときは前記係合部のカード収容空間からの退避を阻止するように、前記ハウジングに設けられたガイド部と、を有し、前記ガイド部は、コネクタにカードが接続されてイジェクト部材が「第二の位置」に保持されているときに該カードに引抜き力が加えられた場合に、カードの前記切欠に係合している前記係合部がカード収容空間への突出量を減少できるように構成するとともに、該ガイド部には、「第二の位置」にあるイジェクト部材の前記係合部がカード収容空間への突出量を減少させたときに、該イジェクト部材の「第一の位置」への変位を阻止し得る規制部が形成されていることを特徴とする、カードコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2003−217738(P2003−217738A)
【公開日】平成15年7月31日(2003.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−9554(P2002−9554)
【出願日】平成14年1月18日(2002.1.18)
【出願人】(390033318)日本圧着端子製造株式会社 (457)
【Fターム(参考)】