説明

カーボンナノチューブパッド及び電子デバイス

【課題】 カーボンナノチューブパッド及び電子デバイスに関し、通常のプローブを低押圧力で押圧して検査を可能にするためのパッド構造を提供する。
【解決手段】 配向性を有する複数のカーボンナノチューブ4でパッドを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーボンナノチューブパッド及び電子デバイスに関するものであり、特に、半導体集積回路装置等の電子デバイスの試験工程におけるプローブの押圧力を低減するための構成に特徴のあるカーボンナノチューブパッド及び電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路をはじめとする電子デバイス上には、電子回路に信号あるいは駆動電流を供給するためのパッド(電極)が設けられており、このパッドは、ワイヤーボンディング、バンプなどを通してパッケージ外部の電極端子と電子回路を電気的に結ぶ中間点となっている。
【0003】
例えば、半導体集積回路装置においては、半導体基板中にMOSFET等のデバイスを多数形成したのち、層間絶縁膜を介した局所配線等により各デバイスを電気的に結合して電子回路を構成し、この電子回路の各ノードに信号や駆動電流を供給するために多層配線構造を介して最上層に設けたパッドに外部電気信号や外部電源等を接続している。
【0004】
このパッド上にワイヤーボンディング、バンプなどを形成する前工程として、デバイスが正常動作するかどうかをチェックする試験工程があるが、この時、プローブを一時的にパッドに接触させ、電子回路に試験用の信号・駆動電流を供給する。
【0005】
電子回路の試験を行なうためには、プローブの一時的な接触で十分に低抵抗な電気的接触を得る必要があるが、表面に電気抵抗の高い自然酸化膜の存在するAl等の金属を使ったパッドに対して十分な電気接触を得るため、先端の尖ったプローブを用いてこれに荷重を印加し、パッドへの接触時に自然酸化膜を機械的に除去あるいは突き破ることが一般におこなわれている。
【0006】
この時、プローブとパッド間に十分な電気接触を得るにはプローブに印加する荷重を大きくするほうが有利だが、先端の尖ったプローブによって大きな荷重を加えた場合には電子デバイスにダメージを与える虞があるため、低押圧力化の試みが各種行なわれている(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−082130号公報
【特許文献2】特開2005−249693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、半導体デバイスの高速動作のため配線層を形成するための層間絶縁膜として有機系のSILKや無機系のSiOC等の低誘電率材料(low−k材料)が使われるようになっている。
【0008】
しかし、low−k材料は従来使われていたSiO2 に較べて機械的強度が小さいため、プローブの低押圧力化を図っても必ずしも充分ではなく、機械強度の弱いlow−k材料を用いた配線層にクラックなどのダメージが生じる可能性が大きくなるという問題がある。
【0009】
さらに、上述の特許文献1,2においては、低押圧力化のために特殊な形状・構造のプローブを必要としており、このような特殊な形状・構造のプローブを現状の検査装置にそのまま組み込めるか否かが不明であり、且つ、組み込めたとしても検査装置の装置構成が複雑化する等の問題がある。
【0010】
したがって、本発明は、通常のプローブを低押圧力で押圧して検査を可能にするためのパッド構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
図1は本発明の原理的構成図であり、ここで図1を参照して、本発明における課題を解決するための手段を説明する。
図1参照
上記課題を解決するために、本発明は、カーボンナノチューブパッドにおいて、配向性を有する複数のカーボンナノチューブ4を含むことを特徴とする。
【0012】
このように、配向性を有する複数のカーボンナノチューブ4、即ち、触媒部材3上に成長させたカーボンナノチューブ4をパッドとして用いることにより、方向の揃ったカーボンナノチューブ4の有する弾力によってプローブを押圧力を緩衝することができる。
【0013】
また、カーボンナノチューブ4は表面に酸化物などができない安定した物質であるので、低い押圧力による接触でも充分な導通を保つことができ、それによって、層間絶縁膜2にダメージを与えることなく各種のテストを行なうことができる。
【0014】
さらに、カーボンナノチューブ4にはCuの1000倍程度の高電流密度耐性があり、且つ、ダイアモンド以上の高熱伝導性を有するので、パッド面積縮小による電流密度増加に対応できるとともに、デバイス内部で発生する熱を効率よくパッドから放熱することができる。
【0015】
この場合、カーボンナノチューブ4の長さ方向が、パッド面と垂直な方向に配向していることが望ましく、垂直方向に配向したカーボンナノチューブ4の撓みにより、層間絶縁膜2に掛かるプローブの押圧力を緩衝することができる。
【0016】
また、カーボンナノチューブ4はビア導体1上に直接成長させても良く、この場合には、ビア導体1をCoやNi等の触媒作用のある金属で構成するか、或いは、ビア導体1の頂部表面に触媒微粒子を散布すれば良く、触媒部材3の形成工程が不要になる。
【0017】
また、垂直方向に配向したカーボンナノチューブ4を金属或いは絶縁物からなる埋込部材で埋め込むとともに、カーボンナノチューブ4の先端部を埋込部材から露出させるようにしても良く、それによって、最終製品においてバンプを形成したり或いはボンディングをする際の機械的強度を高めることができる。
【0018】
この場合、金属で埋込部材を構成する場合には、ボンディング部材或いはバンプ部材と合金化が可能なAl,Au,Cu等の金属を用いることが望ましく、それによって、ボンディング部材或いはバンプ部材との接触抵抗を低減することができる。
【0019】
或いは、カーボンナノチューブ4は、パッド面と水平な方向に配向したものでも良く、緩やかに束化したカーボンナノチューブ4の弾性により、プローブの押圧力を緩衝することができる。
なお、カーボンナノチューブ4の短軸方向の導電性は長軸方向の導電性より低いものの、導電性よりも緩衝性をより有効に利用するものである。
【0020】
また、上述のカーボンナノチューブパッドを半導体集積回路装置等の電子デバイスのパッドとして採用することにより、外部電源や信号に対して接続抵抗を低減することができるとともに、テスト段階でプローブの押圧に起因するダメージが発生することがないので製品歩留りが向上する。
【0021】
この場合、カーボンナノチューブ4の先端部が、ボンディング部材或いはバンプ部材と直接接触している状態にすることが望ましく、特に、水平配向したカーボンナノチューブ4を用いる場合には、短軸方向の導電性は低くても、ボンディング部材或いはバンプ部材とは導電性の高い長軸方向でも電気的に接続することになるので、外部電源や信号に対して接続抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カーボンナノチューブは表面に酸化物などができない安定した物質なので、非常に弱い力でプローブを当てるだけで十分小さい接触抵抗が得られ、機械強度の弱いlow−k材料を用いた配線層にダメージを与えることがない。
【0023】
また、カーボンナノチューブは長さ方向には大きな機械的剛性を有するが、それと垂直方向には繊維が撓うように柔らかいので、プローブからの荷重が撓う方向にかかるように配置すると、接触時の荷重を緩和することができる。
【0024】
さらに、カーボンナノチューブの有する高電流密度耐性及び高熱伝導性により、パッド面積縮小による電流密度増加に対応できる、半導体集積回路装置等の電子デバイスのさらなる小型化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、半導体集積回路装置等の電子デバイスのパッドとして、基板に対して垂直方向或いは水平方向に配向した複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ束を用いたものであり、このパッドの機械的強度を高める場合には、ポリイミドやSiO2 等の絶縁物、或いは、ボンディング部材或いはバンプ部材と合金化が可能なAl,Au,Cu等の金属によりカーボンナノチューブの先端部が露出するように埋め込むものである。
【実施例1】
【0026】
ここで、図2を参照して、本発明の実施例1の半導体装置のパッドの形成工程を説明するが、半導体基板内の素子構造は本発明の技術内容とは直接関連しないので、最上層の構成のみを説明する。
図2参照
下地層間絶縁膜11上に最終の配線12を形成したのち、有機系のlow−k材料であるSILKからなる最終の層間絶縁膜13で覆い、次いで、最終の配線12に達するビアホールを形成したのち、このビアホール内にTiN膜を介してWで埋め込むことによってビア14を形成する。
【0027】
次いで、例えば、電源配線に接続する複数のビア14を跨ぐように厚さが、例えば、1μmのAl層16を設けるとともにその上に触媒となる厚さが、例えば、10nmのNi層17を形成し、次いで、40μm×40μmの大きさにエッチングすることによってパッド下地層15を形成する。
【0028】
次いで、原料ガスとしてアセチレン(C2 2 )、キャリアガスとしてH2 を用いたホットフィラメントCVD法を用いて、基板温度を例えば600℃とした状態でCo層17の触媒作用を利用してカーボンナノチューブ束18を、例えば、1μmの長さまで成長させてバンプを構成する。
【0029】
図3参照
図3は、カーボンナノチューブパッドのプローブとの接触状態の説明図であり、プローブ19はカーボンナノチューブ束18に接触した場合、カーボンナノチューブ束18が撓むのでプローブ19による押圧力を緩和し、プローブの押圧力による応力が最終の層間絶縁膜13等に過大に印加されることがないのでダメージが発生することがない。
【0030】
また、カーボンナノチューブは表面に酸化物などができない安定した物質なので、カーボンナノチューブ束18の頂面にも酸化物が形成されず、従来より小さな押圧力でパッドとの電気的接触を取ることができ、この点でも、プローブの押圧力による応力が最終の層間絶縁膜13等に過大に印加されることがない。
【0031】
図4参照
図4は、最終的な半導体装置のパッド構造の説明図であり、パッドとなるカーボンナノチューブ束18にはSnAgからなるバンプ20が設けられて電気的な結合がなされるとともに、バンプ20を構成するSnAgがカーボンナノチューブ束18を構成する各カーボンナノチューブの隙間にも入り込んで機械的結合もなされる。
【0032】
このように、本発明の実施例1においては、パッドをカーボンナノチューブ束18で形成しているので、従来より小さな押圧力でパッドとの電気的接触を取ることができ、且つ、その押圧力をカーボンナノチューブ束18の撓みで緩和することができるので、検査工程において半導体デバイスのダメージが発生することがなく、製品歩留りを向上することができる。
【実施例2】
【0033】
次に、図5を参照して本発明の実施例2の半導体装置のパッド構造を説明するが、触媒の形成方法が異なる以外は上記の実施例1と同様であるので、最終構造のみを説明する。 図5参照
図5は、本発明の実施例2の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図であり、パッド下地層21となるAl層16の表面にCo等からなる触媒微粒子22を散布し、この触媒微粒子22を成長核としてカーボンナノチューブ束23を成長させたものである。
【0034】
この場合のカーボンナノチューブ束23の密度は、触媒微粒子22の分布密度に依存するので、上記の実施例1のカーボンナノチューブ束18より密度が疎になり、バンプを形成した場合、バンプを構成するSnAgがカーボンナノチューブ束23の内部へより進入しやすくなるので、機械的強度が高まる。
【実施例3】
【0035】
次に、図6を参照して本発明の実施例3の半導体装置のパッド構造を説明するが、カーボンナノチューブ束18を機械的に支える埋込層を設けた以外は上記の実施例1と同様であるので、最終構造のみを説明する。
図6参照
図6は、本発明の実施例3の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図であり、カーボンナノチューブ束18を形成したのち、CVD法によりSiO2 膜を堆積させ、次いで、所定の形状にパターニングすることによって埋込層24としたものである。
【0036】
なお、この時、カーボンナノチューブ束18の先端部分が、例えば、0〜100nm程度埋込層24の表面から突出するようにSiO2 膜の堆積膜厚を制御する必要がある。
また、SiO2 膜の堆積工程で、カーボンナノチューブ束18の先端部にもSiO2 膜が堆積した電気的導通が取れなくなるので、SiO2 膜のパターニング工程前に、カーボンナノチューブ束18の先端部に堆積したSiO2 膜を除去する必要がある。
【0037】
このように、本発明の実施例3においては、カーボンナノチューブ束18をSiO2 膜からなる埋込層24で埋め込んでいるので、バンプ部材を設ける場合或いはワイヤボンディングする際の機械的強度を充分に確保することができる。
【0038】
なお、この場合には、プローブとの接触段階におけるカーボンナノチューブ束の撓みによる緩衝作用は期待できないが、カーボンナノチューブ束の頂面には酸化膜が形成されていないので、低い押圧力でもプローブとパッドとの間の電気的導通を充分にとることができる。
【実施例4】
【0039】
次に、図7及び図8を参照して本発明の実施例4の半導体装置のパッド構造を説明するが、カーボンナノチューブ束18を機械的に支える埋込層を金属で構成した以外は上記の実施例3と同様であるので、最終構造のみを説明する。
図7参照
図7は、本発明の実施例4の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図であり、カーボンナノチューブ束18を形成したのち、真空蒸着法によりAl膜を堆積させ、次いで、所定の形状にパターニングすることによって埋込層25としたものである。
【0040】
なお、この時もカーボンナノチューブ束18の先端部分が、例えば、0〜100nm程度埋込層25の表面から突出するようにAl膜の堆積膜厚を制御する必要がある。
また、Al膜の堆積工程で、カーボンナノチューブ束18の先端部にもAl膜が堆積して、Al膜の表面に形成される酸化膜が障害となるので、Al膜のパターニング工程前に、カーボンナノチューブ束18の先端部に堆積したAl膜を除去する必要がある。
【0041】
図8参照
図8は、本発明の実施例4の最終的な半導体装置のパッド構造の説明図であり、パッドとなるカーボンナノチューブ束18にSnAgからなるバンプ20が設けられ、バンプ20を構成するSnAgと埋込層25を構成するAlとが合金反応するので、バンプ20とパッドの機械的結合をより強固にすることができるとともに、電気的な接触面積も大きくなるのでバンプ20との接触抵抗をより低くすることができる。
【実施例5】
【0042】
次に、図9を参照して、本発明の実施例4の半導体装置のパッドの形成工程を説明するが、半導体基板内の素子構造は本発明の技術内容とは直接関連しないので、最上層の構成のみを説明する。
図9参照
下地層間絶縁膜11上に最終の配線12を形成したのち、有機系のlow−k材料であるSILKからなる最終の層間絶縁膜13で覆い、次いで、最終の配線12に達するビアホールを形成したのち、このビアホール内にTiN膜を介してWで埋め込むことによってビア14を形成する。
【0043】
次いで、例えば、電源配線に接続する複数のビア14を跨ぐように厚さが、例えば、1μmのAl層16を設けたのち、40μm×40μmの大きさにエッチングすることによってパッド下地層15とし、次いで、全面にSiO2 膜26を堆積させたのち、レジストパターン27をマスクとしてパッド形成部分に開口部28を形成してAl層16を露出させる。
【0044】
次いで、レジストパターン27をそのままリフトオフ用マスクとして、触媒となる厚さが、例えば、1μmのNi層29及び厚さが、例えば、100nmのAl層30を順次堆積させる。
【0045】
次いで、レジストパターン27を除去したのち、新たなレジストパターン(図示を省略)を用いてAl層30及びNi層29をエッチングすることによって、幅が例えば5μmのストライプ状パターン31とする。
【0046】
次いで、レジストパターンを除去したのち、原料ガスとしてアセチレン(C2 2 )、キャリアガスとしてH2 を用いたホットフィラメントCVD法を用いて、基板温度を例えば600℃とした状態でNi層29の露出端面の触媒作用を利用してカーボンナノチューブ束32を横方向に成長させてバンプを構成する。
この場合、Ni層29の上面はAl層30で覆われているとともに、他の側端面はSiO2 膜26で覆われているので、これらの面にカーボンナノチューブが成長することはない。
【0047】
図10参照
図10は、カーボンナノチューブパッドのプローブとの接触状態の説明図であり、プローブ19はカーボンナノチューブ束32に接触した場合、カーボンナノチューブ束32の弾力によって押圧力が緩和され、プローブの押圧力による応力が最終の層間絶縁膜13等に過大に印加されることがないのでダメージが発生することがない。
【0048】
図11参照
図11は、最終的な半導体装置のパッド構造の説明図であり、パッドとなるカーボンナノチューブ束32にはSnAgからなるバンプ20が設けられて電気的な結合がなされるとともに、バンプ20を構成するSnAgがカーボンナノチューブ束32を構成する各カーボンナノチューブの隙間にも入り込んで機械的結合もなされる。
【0049】
また、バンプ20がカーボンナノチューブ束32の先端部とも電気的に接触しているので、最終製品におけるバンプ20との接触抵抗は、上記の実施例1と同様に低抵抗にすることができる。
【実施例6】
【0050】
次に、図12を参照して、本発明の実施例6の半導体装置のパッドの形成工程を説明するが、ストライプ状パターンの形成工程が異なるだけで他の基本的工程は上記の実施例4と同様であるので、最終パッド構造のみを図示する。
図12参照
下地層間絶縁膜11上に最終の配線12を形成したのち、有機系のlow−k材料であるSILKからなる最終の層間絶縁膜13で覆い、次いで、最終の配線12に達するビアホールを形成したのち、このビアホール内にTiN膜を介してWで埋め込むことによってビア14を形成する。
【0051】
次いで、例えば、電源配線に接続する複数のビア14を跨ぐように厚さが、例えば、1μmのAl層16を設けたのち、40μm×40μmの大きさにエッチングすることによってパッド下地層15とし、次いで、全面に触媒となる厚さが、例えば、1μmのNi層を形成したのち、Ni層をエッチングすることによって幅が例えば5μmのストライプ状パターン33とする。
【0052】
次いで、全面にAl膜を堆積させたのち、ストライプ状パターン33の一方の側面が露出するようにAl膜をエッチングしてAl被覆層34としたのち、原料ガスとしてアセチレン(C2 2 )、キャリアガスとしてH2 を用いたホットフィラメントCVD法を用いて、基板温度を例えば600℃とした状態でNi層からなるストライプ状パターン33の露出端面の触媒作用を利用してカーボンナノチューブ束32を横方向に成長させてバンプを構成する。
この場合も、Ni層からなるストライプ状パターン33の上面及び他の側端面はAl被覆層34で覆われているので、これらの面にカーボンナノチューブが成長することはない。
【実施例7】
【0053】
次に、図13を参照して、本発明の実施例7の半導体装置のパッドの形成工程を説明する。
図13参照
下地層間絶縁膜11上に最終の配線12を形成したのち、有機系のlow−k材料であるSILKからなる最終の層間絶縁膜13で覆い、次いで、最終の配線12に達するビアホールを形成したのち、このビアホール内にTiN膜を介して触媒作用のあるNiで埋め込むことによってビア35を形成する。
【0054】
次いで、原料ガスとしてアセチレン(C2 2 )、キャリアガスとしてH2 を用いたホットフィラメントCVD法を用いて、基板温度を例えば600℃とした状態でNiからなるビア35の表面にカーボンナノチューブ束36を、例えば、1μmの長さまで成長させてバンプを構成する。
【0055】
このように、本発明の実施例7においては、ビア上に直接カーボンナノチューブパッドを形成しているので、パッド下地層の形成工程が不要になるとともに、特に、カーボンナノチューブの有する高電流密度耐性及び高熱伝導性により、半導体装置の微細化に伴うパッド面積縮小による電流密度増加に効果的に対応することができる。
【0056】
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、本発明は各実施例に記載された構成・条件等に限られるものではなく各種の変更が可能であり、例えば、各実施例においては触媒層としてNiを用いているが、Niに限られるものではなく、CoやFe或いはNiを含めたこれらの合金を用いても良いものである。
【0057】
また、上記の各実施例における触媒層は、実施例2に示した触媒微粒子に置き換えても良いものであり、その場合の触媒微粒子はCo微粒子に限られるものではなく、NiやFe或いはCoを含めたこれらの合金からなる微粒子を用いても良いものである。
【0058】
また、上記の各実施例においてはパッド下地層の主要部或いは触媒層の被覆層をAlによって構成しているが、Alに限られるものではなく、カーボンナノチューブの成長工程において触媒作用のない導電体であれば良く、例えば、Cu,Au,Ti,Ta,TiN等で構成しても良いものである。
【0059】
また、上記の実施例3においては絶縁性の埋込層をSiO2 によって構成しているが、SiO2 に限られるものではなく、ポリイミド樹脂等の有機系の絶縁物を用いても良いものである。
【0060】
また、上記の実施例4においては導電性の埋込層をAlによって構成しているが、Alに限られるものではなく、Alと同様に、ボンディング部材或いはバンプ部材と合金化が可能な金属であれば良く、例えば、CuやAuを用いても良いものである。
【0061】
また、上記の実施例3或いは実施例4においては、カーボンナノチューブの先端部を0〜100nm程度埋込層の表面から突出させているが、0μmの場合は埋込層の表面と面一の状態でカーボンナノチューブの先端部の頂面が露出していることになる。
【0062】
また、上記の各実施例においては、カーボンナノチューブの成長方法としてホットフィラメントCVD法を用いているが、ホットフィラメントCVD法に限られるものではなく、公知の他のカーボンナノチューブの成長方法を用いても良いものである。
【0063】
ここで再び図1を参照して、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
再び、図1参照
(付記1) 配向性を有する複数のカーボンナノチューブ4を含むことを特徴とするカーボンナノチューブパッド。
(付記2) 上記カーボンナノチューブ4の長さ方向が、パッド面と垂直な方向に配向していることを特徴とする付記1記載のカーボンナノチューブパッド。
(付記3) 上記カーボンナノチューブ4をビア導体1上に直接成長させたことを特徴とする付記2に記載のカーボンナノチューブパッド。
(付記4) 上記カーボンナノチューブ4を金属或いは絶縁物からなる埋込部材で埋め込むとともに、前記カーボンナノチューブ4の先端部を前記埋込部材から露出させることを特徴とする付記1乃至3のいずれか1に記載のカーボンナノチューブパッド。
(付記5) 上記埋込部材が、ボンディング部材或いはバンプ部材と合金化が可能な金属からなることを特徴とする付記4記載のカーボンナノチューブパッド。
(付記6) 上記カーボンナノチューブ4の長さ方向が、パッド面と水平な方向に配向していることを特徴とする付記1記載のカーボンナノチューブパッド。
(付記7) 付記1乃至6のいずれか1に記載のカーボンナノチューブパッドを備えたことを特徴とする電子デバイス。
(付記8) 上記カーボンナノチューブ4の先端部が、ボンディング部材或いはバンプ部材と直接接触していることを特徴とする付記7記載の電子デバイス。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の活用例としては、半導体装置のパッドが典型的なものであるが、半導体装置のパッドに限られるものではなく、液晶表示装置や、光偏向装置等の強誘電体デバイス等の各種の電子デバイスに適用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の原理的構成の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の半導体装置のパッドの形成工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1のカーボンナノチューブパッドのプローブとの接触状態の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の最終的な半導体装置のパッド構造の説明図である。
【図5】本発明の実施例2の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図である。
【図6】本発明の実施例3の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図でる。
【図7】本発明の実施例4の半導体装置のパッド構造の概略的斜視図である。
【図8】本発明の実施例4の最終的な半導体装置のパッド構造の説明図である。
【図9】本発明の実施例5の半導体装置のパッドの形成工程を説明図である。
【図10】本発明の実施例5のカーボンナノチューブパッドのプローブとの接触状態の説明図である。
【図11】本発明の実施例5の最終的な半導体装置のパッド構造の説明図である。
【図12】本発明の実施例6の半導体装置のパッドの説明図である。
【図13】本発明の実施例7の半導体装置のパッドの説明図である。
【0066】
1 ビア導体
2 層間絶縁膜
3 触媒部材
4 カーボンナノチューブ
11 下地層間絶縁膜
12 配線
13 層間絶縁膜
14 ビア
15 パッド下地層
16 Al層
17 Ni層
18 カーボンナノチューブ束
19 プローブ
20 バンプ
21 パッド下地層
22 触媒微粒子
23 カーボンナノチューブ束
24 埋込層
25 埋込層
26 SiO2
27 レジストパターン
28 開口部
29 Ni層
30 Al層
31 ストライプ状パターン
32 カーボンナノチューブ束
33 ストライプ状パターン
34 Al被覆層
35 ビア
36 カーボンナノチューブ束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配向性を有する複数のカーボンナノチューブを含むことを特徴とするカーボンナノチューブパッド。
【請求項2】
上記カーボンナノチューブの長さ方向が、パッド面と垂直な方向に配向していることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブパッド。
【請求項3】
上記カーボンナノチューブを金属或いは絶縁物からなる埋込部材で埋め込むとともに、前記カーボンナノチューブの先端部を前記埋込部材から露出させることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブパッド。
【請求項4】
上記カーボンナノチューブの長さ方向が、パッド面と水平な方向に配向していることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブパッド。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブパッドを備えたことを特徴とする電子デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−115798(P2007−115798A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303944(P2005−303944)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】