説明

ガス器具管理システム

【課題】使用されている器具を判別することで使用器具や使用状態に応じた適切な処置を容易かつ迅速に実行可能にする。
【解決手段】ガス器具管理システムは、ガス供給管20に接続されガスの瞬時流量を計測する超音波流量計11と、瞬時流量から器具判別のための流量差分値を算出する流量演算部12と、流量差分値に基づく流量変化量や変化時間等のガス流量の流量変化特性によって使用されているガス器具を判別する器具判別部13と、流量情報と使用器具情報を含む使用状況情報を送信する通信部41とをユーザ宅装置10に備えるとともに、ユーザ宅装置10から使用状況情報を受信し、流量及び器具判別結果に応じて対応処置を選択して実行指示する管理センター装置40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等に設置されるガス流量を計測するガスメータを用いてガス器具やガス供給路の使用状況把握や保安処理等の管理を行うガス器具管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス器具の使用の際には、ガスの消し忘れなどによる事故を未然に防止するために、ガスのユーザ宅やガス供給路を管理しているセンターなどにおいて、異常時に通報やガス供給路の遮断を行うシステムが普及しつつある。
【0003】
従来のガス器具管理システムとしては、ガスの使用継続時間が継続使用可能時間に対して接近した時に、センター監視装置側に電話回線を介してガスの供給を遮断する旨の遮断予告とこの時点における使用流量を報知し、センター監視装置では、ユーザ宅に設置されているガス器具及び使用流量を対応付けた情報と報知を受けた使用流量とに基づき、使用されている可能性のあるガス器具を選択し、その器具名を遮断予告の受信に応答してユーザ宅に通報する集中監視システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−53663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のガス器具管理システムでは、センター監視装置でユーザの使用器具等を集中的に管理しているため、ユーザ宅への通報等が遅くなったり、使用状況に応じた適切な処置ができない場合があった。また、ユーザが使用しているガス器具を管理する際に、ユーザごとに使用器具の情報を保存して管理する必要があり、そのメンテナンス等の管理に手間がかかるという課題も有していた。また、流量の有無のみで処置の実行を判断しようとした場合、処置の実行判断に時間がかかり、迅速に適切な処置ができないことがある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、使用されている器具を判別することで使用器具や使用状態に応じた適切な処置を容易かつ迅速に実行することが可能なガス器具管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス器具管理システムは、ガス供給管に接続され、ガス流量を計測する流量計測部と、前記流量計測部により計測されたガスの瞬時流量に基づき、ガス流量の流量変化特性から前記ガス供給管を流れるガスを使用する器具を判別する器具判別部と、前記ガス流量に関する流量情報と前記器具に関する使用器具情報を含む使用状況情報を送信する通信部と、前記使用状況情報を受信し、前記ガス流量及び前記器具判別結果に応じて対応処置を選択して実行指示する管理部と、を備えるものである。
これにより、使用されている器具を判別することで使用器具や使用状態に応じた適切な処置を容易かつ迅速に実行することが可能となる。
【0007】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記器具判別部は、前記流量変化特性として、流量変化量と変化時間の少なくとも一方を用いて器具を判別するものを含む。
これにより、流量変化量と変化時間の少なくとも一方を用いて、ガスを使用している器具を判別することが可能となる。
【0008】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記管理部は、前記対応処置として、前記器具が設けられているユーザ宅への警告、ガス供給の遮断、使用状況の回答、放置、あるいは、前記器具のユーザが利用する通信端末への警告及び使用状況回答の少なくとも一方の通知、のうちの少なくともいずれか一つを含む実行指示を行うものを含む。
これにより、例えば、異常がある場合に警告を行ったり、ガス供給を遮断したり、正常な場合または異常の場合に使用状況を回答したり、特に問題がない場合に放置したり、器具のユーザが利用する通信端末へ警告したり、使用状況を回答したりなど、ガス供給やガス器具の管理における各種の処置を行うことが可能になる。
【0009】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記通信部は、前記使用状況情報として、前記流量情報及び前記使用器具情報とともに前記器具の使用履歴に関する履歴情報を含む情報を送信し、前記管理部は、前記使用状況情報を受信して前記使用履歴に応じて対応処置を選択するものを含む。
これにより、使用履歴に応じて適切な処置を選択して実行させることが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記管理部は、前記器具判別結果と当該器具が動作している連続使用時間とによって対応処置を選択するものを含む。
これにより、器具の動作時間によって適切な処置を選択して実行させることが可能となる。
【0011】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記管理部は、前記器具判別結果と当該器具の動作時の流量とによって対応処置を選択するものを含む。
これにより、器具の動作時の流量によって適切な処置を選択して実行させることが可能となる。
【0012】
また、本発明は、上記のガス器具管理システムであって、前記管理部は、前記器具のユーザが利用する通信端末から使用状況の問合せを受けた場合に、前記器具判別部及び前記通信部を有するユーザ宅装置へ使用状況を確認するための状況確認要求を送信し、前記通信部より前記状況確認要求に応答する使用状況情報を受信するものを含む。
これにより、ユーザからの使用状況の問合せを受け、ユーザ宅から使用状況情報を取得することで、例えばユーザの通信端末へ使用状況を回答するなどの適切な処置を選択して実行させることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用されている器具を判別することで使用器具や使用状態に応じた適切な処置を容易かつ迅速に実行することが可能なガス器具管理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施形態に係るガス器具管理システムの構成を示すブロック図である。本実施形態では、ガスのユーザの家屋等に設置されるガスメータを利用するガス器具管理システムの構成例を示す。
【0015】
本実施形態のガス器具管理システムは、ガス供給路20を管理している管理センター装置40と、ガスのユーザのユーザの家屋等に設けられるユーザ宅装置10とを有して構成される。管理センター装置40とユーザ宅装置10とは、公衆電話回線、携帯電話回線、光通信回線、有線や無線のLAN、その他の通信インタフェースなどの通信回線42を介して接続され、各種信号や情報を送受信可能となっている。また、通信回線42には、外部からユーザが使用状況の問合せを行う場合に用いる通信端末45が接続され、管理センター装置40と通信端末45との間で各種信号や情報を送受信可能となっている。
【0016】
ユーザ宅装置10は、ユーザの家屋等に敷設されたガス供給管20の途中に設けられ、このガス供給管20の下流側の配管には複数のガス器具として器具A21、器具B22、器具C23が接続されている。このユーザ宅装置10は、屋外または屋内の所定位置に設置される。なお、接続されるガス器具の数は図示例に限るものではなく、任意である。また、ユーザ宅としては、一般住宅の家屋だけでなく、共同住宅、店舗、工場、その他の各種施設を含むものとする。
【0017】
前記ユーザ宅装置10は、超音波流量計11、流量演算部12、器具判別部13、用途判別部14、制御部15、記憶部16、表示部17、感震器18、遮断弁19、通信部41を有して構成される。超音波流量計11は、ガス供給管20の経路中に接続され、後述するように、超音波信号を用いてガス供給管20内のガス流により生じる伝搬時間差を求め、ガスの瞬時流量を検出するものである。流量演算部12は、検出された瞬時流量を基に、瞬時流量を積算してガス流量を算出したり、後述する器具判別や用途判別のための流量差分値を算出するなど、流量に関する各種演算を行うものである。この超音波流量計11及び流量演算部12が流量計測部の機能を実現する。
【0018】
器具判別部13は、前記算出された流量差分値に基づき、記憶された器具別の判定値によって流量変化量や変化時間等のガス流量の流量変化特性を判定し、ガス供給管20をガスが流れているときに使用されているガス器具の判別を行うものである。用途判別部14は、器具判別部13による器具判別結果を用いて、さらに記憶された用途別の判定値によって流量変化量や変化時間等のガス流量の流量変化特性を判定し、ガス供給管20を流れるガスの用途として、例えば判別されたガス器具における用途の判別を行うものである。なお、用途判別部14は、器具判別部13とは独立して動作させ、前記算出された流量差分値に基づき、記憶された用途別の判定値によってガス流量の流量変化特性を判定し、ガス供給管20をガスが流れているときに使用されているガス器具の用途を判別するようにしてもよい。
【0019】
制御部15は、保安処理部の機能を有しており、ユーザ宅装置10各部の動作制御の他、管理センター装置40からの指示に基づき警告やガスの遮断などの保安処理を行うものである。記憶部16は、器具判別や用途判別に用いる判定値情報、超音波流量計11により計測された瞬時流量値情報、流量演算部12により算出されたガス流量値情報や流量差分値情報などの流量情報、及び、使用器具情報や使用状況の情報、並びに使用器具や使用状況の履歴情報など、ユーザ宅装置10にて用いる各種情報を記憶するものである。ここで、制御部15、流量演算部12、器具判別部13、用途判別部14は、マイクロコンピュータ(マイコン)等を構成するプロセッサ及び動作プログラムにより構成され、プロセッサにおいて所定の動作プログラムを実行して対応する処理を行うことにより、各機能が実現される。また、記憶部16は、フラッシュROM、RAM等のメモリにより構成される。
【0020】
表示部17は、LED、液晶ディスプレイ等により構成され、ガス流量やガス器具の動作状態、警告などを表示するものである。感震器18は、地震などの振動を検出して検出信号を制御部15に出力するものである。遮断弁19は、ガス供給管20の経路中に接続され、制御部15からの指示に基づいてガス供給管20を閉塞してガスの供給を遮断するものである。
【0021】
通信部41は、有線または無線による通信機能を有し、通信回線42を介して管理センター装置40と接続される。この通信部41は、流量情報や使用器具情報などを管理センター装置40へ送信し、状況確認要求や遮断命令、警報などのコマンドや信号を管理センター装置40から受信するなど、各種情報及びコマンドや信号を管理センター装置40との間で授受するものである。
【0022】
通信端末45は、携帯電話機や携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ(PC)、固定電話機などから構成され、有線または無線による通信機能を有する。この通信端末45は、ユーザからの使用状況問合せ信号などを管理センター装置40へ送信し、回答情報や信号を管理センター装置40から受信するなど、各種情報及びコマンドや信号を管理センター装置40との間で授受するものである。
【0023】
管理センター装置40は、コンピュータ等を有して構成され、管理部の機能を実現するもので、ユーザ宅装置10から取得した情報に基づき、ユーザ宅装置10で使用されているガス器具及びその使用状況に応じて対応処置を選択し、状況確認要求や遮断命令、警報などの対応処置に該当するコマンドや信号をユーザ宅装置10あるいは通信端末45へ送信する。このコマンドや信号の送信により、対応処置の実行指示がなされる。この管理センター装置40は、コンピュータ等を構成するプロセッサ及び動作プログラムを含み、プロセッサにおいて所定の動作プログラムを実行して対応する処理を行うことにより、各機能が実現される。
【0024】
上記の超音波流量計11及び流量演算部12の動作について詳しく説明する。図2は超音波流量計11の概略構成を示す構成図である。
【0025】
超音波流量計11は、ガス供給管20に連通する矩形断面を持つ計測流路32を有し、この計測流路32の相対向する路壁の上流側と下流側には、一対の超音波送受信器33、34が配置されている。これらの超音波送受信器33、34は、超音波伝播経路が計測流路32を流動するガス流を斜めに横切るように設定され、交互に超音波を送受信させることによって、ガス流に対して順方向と逆方向に超音波の伝搬を行う。
【0026】
このとき、超音波送受信器33、34間の距離、すなわち測定距離をL、ガス流に対する超音波伝播経路の角度をφ、超音波送受信器33、34の上流から下流への超音波伝播時間をt1、下流から上流への超音波伝播時間をt2、音速をCとすると、流速Vは以下の式により求められる。
V=L/2cosφ((1/t1)−(1/t2)) …(1)
この流速Vと計測流路32の断面積とからガス流の瞬時流量を算出する。
【0027】
瞬時流量の計測の時間間隔は、超音波の送受信が可能な範囲で設定できる。ガス器具により起動や制御により変化する時間が器具ごとに異なるため、計測時間間隔を小さくすることは器具判別を瞬時に行う点では有利となるが、計測時間間隔を短くすると電池の消耗が大きくなる。また、計測時間間隔が従来のガスメータで使用している膜式方式と同等の2桁オーダーの秒数間隔になると、流量変化の差分を見て判断することが困難になる。そこで、本実施形態では、ガス器具が使われていないときは2秒間隔の周期的な瞬時流量の計測を行い、その差分値をとってガス器具の起動を判別する。なお、計測時間間隔は更に短くすることも可能である。例えば、ガス器具起動後は計測精度を上げるために計測時間間隔を短くするなどの制御を行ってもよい。
【0028】
次に、器具判別部13及び用途判別部14の動作について詳しく説明する。図3は起動時の器具ごとのガス流量特性を示す特性図、図4は起動時の器具ごとの流量差分値特性を示す特性図である。
【0029】
図3において、(A)はガスファンヒータなどガス流量調整が所定の時間をかけて、例えばステッピングモータなどを駆動源を介して行われる器具Aの起動時の流量変化特性を、(B)はガスコンロなど流量調整が手動で瞬間的に行われる器具Bの起動時の流量変化特性をそれぞれ示している。
【0030】
したがって、図4に示すように、例えば所定の単位時間あたりでは、(A)のように器具Aでは起動時のガス流量調整による瞬時流量の差分値が6回カウントされ、(B)のように器具Bでは1回カウントされることとなる。すなわち、ガス器具毎に起動時や終了時、並びに出力調整時のガス流量調整における制御の形態が異なるため、瞬時流量の差分値のカウント数も異なるものとなる。したがって、ガス器具の起動時や終了時、並びに出力調整時には、瞬時流量において所定量以上の差分値が発生するが、この差分値の連続発生回数や連続発生時間などによって、器具や用途を判別することが可能である。
【0031】
例えば、ガスコンロ、ガス燃焼熱を熱源とするファンヒータ、ガス湯沸かし器などの器具が判別できることとなる。なお、ガスコンロは調理用、ファンヒータは温風暖房用というように単機能であるが、ガス湯沸かし器は給湯用と床暖房用の二つの機能を有する。床暖房は床裏側に熱媒体流路を形成したもので、ここを流動する熱媒体をガス湯沸かし器で沸かした湯で加熱するようにしたものである。そして、給湯用と床暖房用とでは、起動または制御パターンが異なり、当然のことながら差分値発生回数や発生時間にも違いがある。そこで、差分値の連続発生回数や連続発生時間などにより、ガス器具がガス湯沸かし器である場合には、給湯用か床暖房用かまでも判定可能である。なお、差分値は起動または制御開始時だけではなく、停止または制御終了時のマイナス差分を用いてもよい。
【0032】
器具判別部13は、超音波流量計11で検出された所定時間ごとの瞬時流量、及び流量演算部12で算出された瞬時流量の差分値に基づき、ガス器具の起動時などに、記憶部16に予め記憶されている器具判別用の判定値を用いて流量変化量や変化時間を判定し、ガス器具の判定を行う。また、用途判別部14は、器具判別部13で判別されたガス器具について、記憶部16に予め記憶されている用途判別用の判定値を用いて流量変化量や変化時間、単位時間の流量などを判定し、ガス器具の用途の判定を行う。なお、用途判別部14において瞬時流量の差分値から直接的に用途を判別するようにしてもよい。
【0033】
続いて、本実施形態のガス器具管理システムの動作を説明する。保安処理などを行う際に、使用されているガス器具によって適切な対応処置が異なる場合がある。本実施形態では、ユーザ宅装置10において検出されたガスの流量及びガス器具の情報に基づき、管理センター装置40においてユーザ宅で使用されているガス器具及び使用状況に応じた処置を選択し、対応処置に該当するコマンドや信号をユーザ宅装置10へ送信して処置を実行する。
【0034】
図5は本実施形態において管理センター装置とユーザ宅装置間で送受信する信号及び情報の一例を示す図である。図5において、(A)は管理センター装置40が送信する信号や情報の例を示し、(B)はユーザ宅装置10が送信する信号や情報の例を示している。管理センター装置40は、ガスの使用状況を確認するための状況確認要求信号、ガスの供給を遮断するための遮断命令信号、異常があった場合に警告するための警報情報を含む警報信号、使用状況を回答するための使用状況情報を含む状況回答信号など、各種指示を含む信号をユーザ宅装置10へ送信する。ユーザ宅装置10は、ガスの流量の有無、現在の使用器具、過去の使用器具、今までの使用履歴などの使用状況情報を含む信号(流量情報信号や使用器具情報信号、履歴情報信号など)を管理センター装置40へ送信する。
【0035】
対応処置としては、遠隔指示によるガス供給の遮断、警告表示(異常指摘)、警告報知、放置、使用状況問合せに対する回答、などの種々の処置が考えられる。
【0036】
警告を行う場合は、管理センター装置40からユーザ宅装置10へ警報信号を送信する。ユーザ宅装置10では、通信部41で受信した警報信号に基づき、制御部15から表示部17に警告指示信号を送出し、この警告指示信号に応じて、表示部17においてLED点灯や液晶ディスプレイへの文字や絵の表示などを行って異常や動作状態を報知する。また、音などを用いて警告してもよい。また、警告を行う際に、ユーザが登録している通信端末45に通知してもよい。
【0037】
ガス供給の遮断を行う場合は、管理センター装置40からユーザ宅装置10へ遮断命令信号を送信する。ユーザ宅装置10では、通信部41で受信した遮断命令信号に基づき、制御部15から遮断弁19に遮断指示信号を送出し、この遮断指示信号に応じて、遮断弁19を駆動してガス供給管20を閉じ、ガスの供給を遮断する。
【0038】
また、ユーザからの使用状況問合せに対する回答を行う場合は、通信端末45やユーザ宅装置10から使用状況問合せを受けた場合に、管理センター装置40からユーザ宅装置10へ使用状況についての状況確認要求信号を送信し、ユーザ宅装置10から取得したガスの流量及びガス器具の情報に基づき、管理センター装置40から通信端末45やユーザ宅装置10へ使用状況回答信号を送信する。通信端末45やユーザ宅装置10では、受信した使用状況回答信号に基づき、表示部に文字や絵の表示などを行って動作状態や異常を報知する。また、音などを用いて使用状況を報知してもよい。
【0039】
図6は本実施形態のガス器具管理システムの動作手順を示すフローチャートである。図6において、(A)はユーザ宅装置10の動作を示し、(B)は管理センター装置40の動作を示している。
【0040】
ユーザ宅装置10は、超音波流量計11及び流量演算部12により、所定の計測時間間隔ごとに瞬時流量を計測し、瞬時流量の積算値や差分値等を算出する(ステップS11)。そして、器具判別部13により、瞬時流量の差分値に基づいて流量変化量や変化時間から使用されているガス器具を判別する(ステップS12)。また、用途判別部14により、流量変化量や変化時間、単位時間の流量などから判別されたガス器具における用途を判別する(ステップS13)。
【0041】
次いで、制御部15は、通信部41を介してガスの流量、使用されている器具、用途などの使用状況情報を管理センター装置40へ送信する(ステップS14)。そして、通信部41で管理センター装置40から指示を受信したかどうかを判定する(ステップS15)。ここで、管理センター装置40から指示を受信しない場合は、元の処理に戻って再び流量計測及び器具判別処理を行う。ステップS15で管理センター装置40から指示を受信した場合は、制御部15は、指示に応じて警告、遮断、回答表示などの対応処置を実行する(ステップS16)。
【0042】
一方、管理センター装置40は、ユーザ宅装置10やユーザが使用する通信端末45から使用状況の問合せがあるかどうかを判定する(ステップS21)。ここで、ユーザから使用状況の問合せがあった場合は、状況確認要求信号をユーザ宅装置10へ送信する(ステップS22)。ステップS21でユーザからの使用状況の問合せがない場合は、ステップS22をスキップして次へ進む。
【0043】
次に、ユーザ宅装置10から使用状況情報を含む信号を受信したかを判断する(ステップS23)。ここで、使用状況情報を受信しない場合は、元の処理に戻って使用状況の問合せや使用状況情報の受信確認処理を行う。ステップS23で使用状況情報を受信した場合は、取得した使用状況情報に基づいてユーザ宅で使用されているガス器具を確認し(ステップS24)、適切な対応処置を選択する(ステップS25)。そして、選択した対応処置に応じた指示信号をユーザ宅装置10へ送信する(ステップS26)。
【0044】
管理センター装置40における対応処置の選択時には、流量の有無等の流量情報によりガスの使用中や漏れなどを判断するとともに、使用器具情報により現在または過去に使用されているガス器具を確認する。使用器具によって適切な対応処置が異なるため、本実施形態では、使用されている器具に応じて警告や遮断、使用状況の報告などの対応処置を選択して実行するようにする。
【0045】
使用器具に応じた対応処置としては、例えば消し忘れなどにより、ガステーブルのコンロ等の安全装置が設けられていない器具が所定時間以上継続して使用されている場合は、即時ガスの供給を遮断する。また、ガスファンヒータなどの安全装置が設けられているガス器具の場合は、使用状況の報告や警告などの報知を行う。また、給湯器などのガス機器で所定時間以上継続して使用されている場合は、現地確認指示を行ったり、ガス遮断を行うとともに、水道管を閉じて水の供給を停止する。また、床暖房のようにオンオフするガス器具の場合は、現在流量がゼロであっても再燃焼する可能性があるので、器具の使用履歴に関する履歴情報を参照して使用状況を判断できる。この場合、しばらく観察して再度使用されか否かを確認したり、判断した使用状況に基づいて、放置する、使用状況を回答する、ガス供給を遮断するなどの対応処置を選択すればよい。
【0046】
また、ガス供給の遮断を行う際に、現状を維持しながらガス流量が増加した場合に遮断したり、使用器具が特定できなかった場合に遮断するようなことも可能である。また、対応処置は、ガス器具の情報と当該器具が動作している連続使用時間情報との組み合わせ、ガス器具の情報と当該器具の動作時の流量情報との組み合わせなどによって、異なる処置を設定することもできる。
【0047】
上述したように、本実施形態によれば、管理センター装置40においてユーザ宅のガス器具の使用状況などを管理する場合に、超音波流量計11及び流量演算部12においてガス流量の流量変化量や変化時間を算出し、器具判別部13において使用されているガス器具を判別して、これらの流量情報や使用器具情報を用いることにより、使用器具に応じて適切な処置を選択することができる。これにより、使用器具や使用状態に応じて、迅速に適切な処置を遠隔から行うことが可能であり、ガスの使用状況の確認や監視を容易に自動で実行できる。
【0048】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、使用されている器具を判別することで使用器具や使用状態に応じた適切な処置を容易かつ迅速に実行することが可能となる効果を有し、家屋等に設置されるガス流量を計測するガスメータを用いてガス器具やガス供給路の使用状況把握や保安処理等の管理を行うガス器具管理システムならびにガスを供給する供給システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係るガス器具管理システムの構成を示すブロック図
【図2】本実施形態における超音波流量計の概略構成を示す構成図
【図3】本実施形態における起動時の器具ごとのガス流量特性を示す特性図
【図4】本実施形態における起動時の器具ごとの流量差分値特性を示す特性図
【図5】本実施形態において管理センター装置とユーザ宅装置間で送受信する信号及び情報の一例を示す図
【図6】本実施形態のガス器具管理システムの動作手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0051】
10 ユーザ宅装置
11 超音波流量計
12 流量演算部
13 器具判別部
14 用途判別部
15 制御部(保安処理部)
16 記憶部
17 表示部
18 感震器
19 遮断弁
20 ガス供給管
21、22、23 器具
40 管理センター装置(管理部)
41 通信部
42 通信回線
45 通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス供給管に接続され、ガス流量を計測する流量計測部と、
前記流量計測部により計測されたガスの瞬時流量に基づき、ガス流量の流量変化特性から前記ガス供給管を流れるガスを使用する器具を判別する器具判別部と、
前記ガス流量に関する流量情報と前記器具に関する使用器具情報を含む使用状況情報を送信する通信部と、
前記使用状況情報を受信し、前記ガス流量及び前記器具判別結果に応じて対応処置を選択して実行指示する管理部と、
を備えるガス器具管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記器具判別部は、前記流量変化特性として、流量変化量と変化時間の少なくとも一方を用いて器具を判別するガス器具管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記管理部は、前記対応処置として、前記器具が設けられているユーザ宅への警告、ガス供給の遮断、使用状況の回答、放置、あるいは、前記器具のユーザが利用する通信端末への警告及び使用状況回答の少なくとも一方の通知、のうちの少なくともいずれか一つを含む実行指示を行うガス器具管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記通信部は、前記使用状況情報として、前記流量情報及び前記使用器具情報とともに前記器具の使用履歴に関する履歴情報を含む情報を送信し、
前記管理部は、前記使用状況情報を受信して前記使用履歴に応じて対応処置を選択するガス器具管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記管理部は、前記器具判別結果と当該器具が動作している連続使用時間とによって対応処置を選択するガス器具管理システム。
【請求項6】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記管理部は、前記器具判別結果と当該器具の動作時の流量とによって対応処置を選択するガス器具管理システム。
【請求項7】
請求項1に記載のガス器具管理システムであって、
前記管理部は、前記器具のユーザが利用する通信端末から使用状況の問合せを受けた場合に、前記器具判別部及び前記通信部を有するユーザ宅装置へ使用状況を確認するための状況確認要求を送信し、前記通信部より前記状況確認要求に応答する使用状況情報を受信するガス器具管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−209097(P2008−209097A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48900(P2007−48900)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】