説明

ガンマセクレターゼを阻害する新規なスルホン

本発明は式(I)の化合物を提供する。化合物はγ−セクレターゼのインヒビターであり、従ってアルツハイマー病の治療または予防に有用である。
【化13】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なクラスの化合物、それらの塩、それらを含む医薬組成物、それらの製造方法、ヒトの身体治療法におけるそれらの使用に関する。より特定的には本発明は、γ−セクレターゼによるAPPのプロセシングを阻害し、従ってアルツハイマー病の治療または予防に有効な新規なスルホンに関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は最も多く見られる認知症の形態である。ADは65歳以上の人口の10%までが罹患している主として高齢者の疾病であるが、遺伝的疾病素質をもつ若年患者も相当数存在する。これは神経変性疾患であり、その臨床的特徴は、記憶及び認識の機能が次第に失われることであり、病理的特徴は罹患患者の皮質及び連合脳野に細胞外タンパク質プラークが沈着していることである。これらのプラークは主としてβ−アミロイドペプチド(Aβ)の原線維凝集物を含む。推定γ−セクレターゼなどのセクレターゼがAβを形成するアミロイド前駆タンパク質(APP)のプロセシングに果たす役割は、文献に詳細に記載されており、例えば、国際特許WO01/70677に概説されている。
【0003】
細胞ベースアッセイで測定したときにγ−セクレターゼに対して阻害活性を有している化合物の報告は文献に比較的少ない。これらは国際特許WO01/70677に概説されている。該当する化合物の多くはペプチドまたはペプチド誘導体である。
【0004】
国際特許WO00/50391は、β−アミロイド産生のモジュレーターとして広いクラスのスルホンアミドを開示しているが、本発明の化合物は開示も示唆もされていない。
【0005】
本発明は、推定γ−セクレターゼによるAPPのプロセシングを阻害し従ってAβの産生を阻止することによってADの治療または予防に有用な新規なクラスのスルホンを提供する。
【0006】
本発明によれば、式I:
【0007】
【化6】

の化合物または医薬として許容されるその塩が提供される。式中の、
nは2、3または4であり;
Arは、0−3個の置換基を有しているフェニルまたはヘテロアリールを表し、前記置換基はハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルから独立に選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;
Arは、0−3個の置換基を有しているフェニルまたはヘテロアリールを表し、前記置換基はハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルから独立に選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF3、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;
は、C1−4アルキルを表すか、または、Rと共にピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環を完成しており;
は、Hを表すか、または、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC
1−4アルコキシから選択された置換基で置換されるかまたは未置換のC1−6アルキルを表すか;または、Rと共にピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環を完成しているか;または、Rと共にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成しており;
は、0−3個の置換基を有し得るフェニル、ナフチルまたはヘテロアリールを表し、これらの基は、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノまたはC1−4アルキルから選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;あるいは、Rは、CFを表すか、または、場合によっては1個の置換基を有している炭素原子数6までの非芳香族炭化水素基を表し、前記置換基は、ハロゲン、CN、CF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、または、3個以下の置換基を有し得るフェニル、ナフチルもしくはヘテロアリールから選択され、該置換基は、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノまたはC1−4アルキルから選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;あるいは、RはRと共にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成している。
【0008】
本発明の特定実施態様において、nが2でありR及びRの双方がCHでありRがHでありArが4−クロロフェニルでありArが2,5−ジフルオロフェニルである場合、式Iの化合物は可能な2つのジアステレオ異性体のうちで極性の強いほうである。このようなジアステレオ異性体の相対的極性の判断手段はそれぞれのHPLCカラムの保持時間である。極性の強いジアステレオ異性体のほうが長い保持時間を有している。
【0009】
本文中に使用した“非芳香族炭化水素基”という表現は、指定された最大数以下の炭素原子を有しており炭素原子と水素原子とだけから構成されており芳香環を含まない任意の基を意味する。従ってこの用語は、単独のまたは任意の組合せのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル及びシクロアルケニル部分を含意する。
【0010】
本文中に使用した“C1−xアルキル”という表現でxが2以上の整数である場合、この表現は、構成炭素原子数が1−xの範囲である直鎖状または分枝状のアルキル基を表す。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル及びt−ブチルなどである。 “C2−6アルケニル”、“ヒドロキシC1−6アルキル”、“ヘテロアリールC1−6アルキル”、“C2−6アルキニル”及び“C1−6アルコキシ”などの派生表現は同様に解釈するとよい。
【0011】
本文中に使用した“C2−6アシル”という表現は、水素化されていてもよい直鎖状、分枝状または環状のアルキル部分を有しているC1−5アルキルカルボニル基を意味する。具体例は、アセチル、プロピオニル及びトリフルオロアセチルである。
【0012】
本文中に使用した“ヘテロアリール”という表現は、C、N、O及びSから選択された5個または6個の環原子を含む単環系、または、10個以下の環原子を含む融合二環系を意味する。二環系の場合、構成環の少なくとも1つが芳香族であり、炭素以外の環原子を少なくとも1個は含んでいる。5員環または6員環の単環系が好ましい。ヘテロアリール基の具体例は、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル及びチアジアゾリル基及びそれらのベンゾ融合類似体である。ヘテロアリール基の別の例は、テトラゾール、1,2,4−トリアジン及び1,3,5−トリアジンである。
【0013】
本文中に使用した“ハロゲン”という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。このうちでは、フッ素及び塩素が好ましい。
【0014】
医薬に使用する場合には式Iの化合物が医薬として許容される塩の形態であるのが有利であろう。しかしながら、それ以外の塩も式Iの化合物または医薬として許容されるそれらの塩の製造に有用であろう。本発明の化合物の医薬として許容される適当な塩は、例えば本発明の化合物の溶液と医薬品に許容される酸の溶液とを混合することによって形成され得る酸付加塩を包含する。このような酸は例えば、塩酸、硫酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸である。あるいは、本発明の化合物が酸性部分を含んでいる場合、医薬として許容される塩は、上記酸性部分を適当な塩基で中和することによって形成され得る。このようにして形成された医薬として許容される塩の具体例は、ナトリウム塩またはカリウム塩のようなアルカリ金属塩;アンモニウム塩;カルシウム塩またはマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩;並びに、アミン塩(ピリジニウム塩を含む)及び第四アンモニウム塩のような適当な有機塩基と共に形成された塩である。
【0015】
本発明の化合物が少なくとも1個の非対称中心を有している場合、これに応じて化合物が鏡像異性体として存在し得る。本発明の化合物が2個以上の非対称中心を有している場合、これらの化合物は更にジアステレオ異性体として存在し得る。明白に違うと指示されているのでなければ、このような異性体及び任意の割合のそれらの混合物は本発明の範囲内に包含されると理解されたい。
【0016】
式Iの化合物において、nは好ましくは2または3であり、最も好ましくは2である。
【0017】
式Iの化合物において、Arは置換または未置換のフェニルまたはヘテロアリールを表す。Arの典型的なヘテロアリールの具体例は、6−員環、例えば置換または未置換のピリジル、特に置換または未置換の3−ピリジルである。Arは好ましくは、6−(トリフルオロメチル)−3−ピリジル、及び、4−位がハロゲン、メチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリフルオロメチルで置換されたフェニル基から選択される。本発明の好ましい実施態様では、Arが4−クロロフェニルを表す。別の好ましい実施態様ではArが4−トリフルオロメチルフェニルを表す。
【0018】
Arは好ましくは置換または未置換フェニル、特に2または3個のハロゲン置換基を有しているフェニルを表す。Arは典型的には、2−位と5−位または2−、3−及び6−位にハロゲン置換基(好ましくはフッ素)を有しているフェニル基から選択される。本発明の好ましい実施態様では、Arが2,5−ジフルオロフェニルを表す。
【0019】
1つの特定実施態様では、Arが4−クロロフェニルまたは4−トリフルオロメチルフェニルであり、Arが2,5−ジフルオロフェニルである。
【0020】
本発明の1つの実施態様では、Rが、メチル、エチル、プロピルまたはブチルのようなC1−4アルキルを表す。この実施態様のうちではRがメチルであるのが好ましい。
【0021】
代替的実施態様では、RとRとがピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環、好ましくはピロリジンまたはピペリジン環、最も好ましくはピペリジン環を完成する。従って、RとRとが一緒に(CHを表し、mは1、2または3で(n+m)が3、4または5となるような数を表す。この実施態様のうちではnが好ましくは2、mが好ましくは1または2である。最も好ましくはn及びmの双方が2である。
【0022】
がC1−4アルキルを表すとき、Rは、Hまたは置換もしくは未置換のC
1−6アルキルを表すか、あるいは、Rと共にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成する。この実施態様では、Rが典型的には、H、及び、メチル、エチル、プロピルまたはブチルから選択され、これらは場合によってはハロゲン、OH、CN、メトキシまたはCFによって置換されている。または、RがRと共に(CHを表す。この実施態様では、好ましくはRがH、メチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルを表すか、あるいは、Rと共に(CHを表す。
【0023】
がHまたは置換もしくは未置換のC1−6アルキルを表すか、あるいはRと共に環を形成するとき、Rは、置換または未置換のフェニル、ナフチルまたはヘテロアリール、CF、及び、炭素原子数6以下の置換または未置換の炭化水素から選択される。1つの実施態様では、Rが置換または未置換のフェニル、ナフチルまたはヘテロアリール、好ましくは置換または未置換のフェニルまたはヘテロアリールを表す。Rによって表されるアリールまたはヘテロアリール基が2個以上の置換基を有している場合、これらの置換基は好ましくはハロゲン原子(特に塩素またはフッ素)またはアルキル基(特にメチル)である。この実施態様のうちでは、特に好適にはRが置換または未置換のフェニル、チオフェン、キノリン、チアゾール、イソキサゾールまたはピラゾールを表す。好ましい置換基は、ハロゲン(特に、塩素、臭素またはフッ素)、アルキル(特に、メチル)、アルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル)及びアシルアミノ(例えばアセチルアミノ)、などである。Rによって表されるアリール基またはヘテロアリール基の好ましい例は、フェニル、2−チエニル、3−クロロ−2−チエニル、5−クロロ−2−チエニル、3−ブロモ−2−チエニル、8−キノリニル、2−メトキシカルボニル−3−チエニル、2−アセチルアミノ−4−メチルチアゾール−5−イル、3,5−ジメチルイソキサゾール−4−イル及び1,3,5−トリメチルピラゾール−4−イルである。
【0024】
代替的実施態様では、Rが、CFを表すか、または、上述のように置換されるかもしくは未置換の炭素原子数6以下の炭化水素基を表す。フェニル、ナフチルまたはヘテロアリール置換基が存在するとき、これらの置換基自体が上記のような置換基を3個まで有し得る。このようなフェニル、ナフチルまたはヘテロアリール置換基自体が有しているハロゲンまたはアルキル以外の置換基は1つ以下であるのが好ましく、未置換であるのが最も好ましい。適当な炭化水素基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはt−ブチルのようなアルキル、及び、ビニルまたはアリルのようなアルケニルである。好ましい置換基としては、ハロゲン(特に塩素)及びフェニルがある。Rによって表される置換または未置換の炭化水素基の例は、メチル、イソプロピル、3−クロロプロピル、ベンジル及びスチリルである。
【0025】
本発明の特に好ましい実施態様において、Rは、メチル、イソプロピル、2−チエニル、ベンジル、及び、Rと組合せた(CHから選択される。
【0026】
本発明の化合物及び医薬として許容されるその塩のサブクラスは式II:
【0027】
【化7】

によって定義され、式中のn、Ar、Ar、R及びRは上記と同義であり、好ましい選択肢も上記と同じである。
【0028】
好ましくはnが2または3であり、最も好ましくはnが2である。
【0029】
式IIの化合物の第一のサブセットでは、RがH、メチルまたは2,2,2−トリフルオロエチルを表す。
【0030】
式IIの化合物の第二のサブセットでは、RとRとが一緒に(CHを表す。
【0031】
式IIの化合物において、Arに結合した炭素原子とメチル基に結合した炭素原子とがキラル中心を有しており、2つのジアステレオ異性体と4つの鏡像異性体とを生じることは容易に理解されよう。単独または何らかの割合の混合物として存在するこれらの可能な異性体のすべてが本発明の範囲に包含される。しかしながら、nが2でありRがHでありRがCHでありArが4−クロロフェニルでありArが2,5−ジフルオロフェニルであるとき、2つのジアステレオ異性体のうちの極性の強いほうが好ましい。この好ましいジアステレオ異性体は2つの鏡像異性体として存在し、実施例1に記載の条件下で2番目に溶出するものが好ましい。
【0032】
本発明の化合物及び医薬として許容されるその塩のサブクラスは式III:
【0033】
【化8】

によって定義され、式中のm、Ar及びArは上記の定義と同義であり、好ましい選択肢も上記と同じであり、R3aはRと共に環を形成しないRを表す。
好ましくはmが2である。
【0034】
式IIIの化合物の好ましいサブセットにおいて、R3aはメチル、CF、2−チエニルまたは3−クロロ−2−チエニルである。
【0035】
式Iの個々の化合物の具体例は後出の実施例の項に記載する。
【0036】
式Iの化合物はγセクレターゼによるAPPのプロセシングのモジュレーターとして作用する活性を有している。
【0037】
本発明はまた、1種または複数の式Iの化合物または医薬として許容されるその塩と医薬品に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。好ましくはこれらの組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口溶液剤または懸濁液剤、計量供給エアロゾルまたは液体スプレー、液滴剤、アンプル剤、経皮貼付剤、自己注入デバイスまたは座薬剤のような単位剤形であり、経口、非経口、鼻腔内、舌下もしくは直腸内への投与、または、吸入もしくは吹送によって投与される。錠剤のような固体組成物を調製するためには、主有効成分を医薬用担体、例えば、トウモロコシデンプン、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムもしくはガムのような慣用の錠剤形成成分、または、ソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールのような界面活性剤、並びに、その他の医薬希釈剤例えば水と混合して、本発明の化合物または医薬として許容されるその塩の均質混合物を含有する固体予備配合組成物を形成する。これらの予備配合組成物が均質であるという表現は、有効成分が組成物全体に均一に分散し、組成物を錠剤、丸剤及びカプセル剤のような等しい効力の単位剤形に容易に細分できることを意味する。この固体予備配合組成物を、0.1−約500mgの本発明の有効成分を含有している上述の種類の単位剤形に細分する。典型的な単位剤形は、1−250mg、例えば、1、2、5、10、25、50、100、200または250mgの有効成分を含有している。新規な組成物の錠剤または丸剤に剤皮をかけるかまたは別の複方成分を配合して、該剤形に持続作用という利点を与えることもできる。例えば、錠剤または丸剤が、内部薬剤成分と外側成分とを含み、後者が前者を包囲するエンベロープの形態でもよい。内部成分が胃で崩壊することを阻止し完全な状態で十二指腸に送るかまたは緩徐に放出させる腸溶性の層によって2つの成分を隔離し得る。このような腸溶性の層またはコーティングとして多様な材料を使用できる。このような材料としては例えば、多くの高分子酸、及び、高分子酸とセラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースとの混合物がある。
【0038】
経口投与または注入によって投与できるように本発明の新規な組成物を組み込んだ液体形態としては、水溶液、適宜風味を加えたシロップ、水性または油性の懸濁液、及び、綿実油、ゴマ油またはココヤシ油のような食用油で風味を加えたエマルジョン、並びに、エリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルがある。水性懸濁液用の適当な分散剤及び懸濁剤としては、合成及び天然のガム、例えば、トラガカントガム、アラビアガム、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリ(ビニルピロリドン)またはゼラチンがある。
【0039】
本発明はまた、ヒトの身体治療方法に使用するための式Iの化合物または医薬として許容されるその塩を提供する。好ましくは治療が、β−アミロイドの沈着に付随する疾病の治療である。好ましくは疾病が、アルツハイマー病のようなβ−アミロイド沈着を伴う神経変性疾患である。
【0040】
本発明は更に、アルツハイマー病を治療または予防する医薬を製造するための式Iの化合物または医薬として許容されるその塩の使用を提案する。
【0041】
本発明は更に、β−アミロイドの沈着に付随する疾病に罹患しているかまたは罹患し易い患者の治療方法を提供する。方法は、有効量の式Iの化合物または医薬として許容されるその塩を該当する患者に投与することから成る。好ましくは、疾病が、アルツハイマー病のようなβ−アミロイド沈着を伴う神経変性疾患である。
【0042】
アルツハイマー病を治療または予防するための適当な薬用量レベルは、体重1Kgあたりの1日用量で表すと、約0.01−250mg/Kg/日、好ましくは約0.10−100mg/Kg/日、特に約1.0−50mg/Kg/日であり、例えば、約10−30mg/Kg/日である。従って、一人あたりでは約500mg/人/日の薬用量であると考えるとよい。化合物は1日あたり1−4回という用法で投与し得る。しかしながらいくつかの場合には、これらの範囲外の薬用量も使用し得る。
【0043】
R2がR3と共に環を形成しない式Iの化合物は、式(IV):
【0044】
【化9】

[式中、R2aは、Rと共に環を完成しないRを表し、
3aはRと共に環を完成しないRを表し、
n、Ar、Ar、R、R及びRは請求項1の定義と同義である]
のアミンをR3a−SOClと反応させることによって製造し得る。反応は、ジクロロメタンのような非極性溶媒中、ピリジンのような塩基の存在下、周囲温度で行うとよい。
【0045】
及びRが一緒にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成する式Iの化合物は、R2aがHを表すアミンIVとL−(CH−SOCl[ここに、Lはハロゲンのような脱離基を表す]とを反応させ、次いで、得られたスルホンアミド窒素を分子内アルキル化することによって製造できる。このアルキル化は還流トルエン中、水素化ナトリウムの存在下で行うとよい。
【0046】
2aがHを表す式IVのアミンは、ニトリルV:
【0047】
【化10】

[式中、n、Ar、Ar及びRは上記の定義と同義である]の還元によって製造し得る。還元は50℃、THF中でボランを使用して行うとよい。
【0048】
式VのニトリルはスルホンVIを求電子剤VII:
【0049】
【化11】

[式中、L、n、Ar、Ar及びRは上記の定義と同義である]でアルキル化することによって製造できる。
【0050】
nが2であるニトリルVは、シアノアルケンVIII:
−CH=−CN
VIII
[式中、Rは上記と同義]にスルホンVIを付加することによってより容易に製造される。反応は0℃、THF中、水素化ナトリウムの存在下で行うとよい。
【0051】
スルホンVIはUS2003/0114496に記載の方法で製造される。
【0052】
2aがアルキルを表す式IVのアミンは、R2aがHを表す対応する第一級アミンIVのN−アルキル化によって製造し得る。
【0053】
あるいは、ニトリルVを水素化ジイソブチルアルミニウムで処理し次いで加水分解することによって対応するアルデヒドに変換し、このアルデヒドをR2aNH及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウムと反応させてもよい。DIBALとの反応は典型的には、−40℃、ジクロロメタン中で行い、第二段階は周囲温度、ジクロロメタン中、酢酸の存在下で行う。
【0054】
とR2aとが環を完成する式IVのアミンは、式XIIのメシラートとスルホンVI:
【0055】
【化12】

[式中、BOCはt−ブトキシカルボニルを表し、Msはメタンスルホニルを表し、RとR2aとが環を完成している]に由来のカルボアニオンとを反応させ、次いでBOC保護基を除去することによって得られる。カルボアニオンは、VIを0℃、THF中、水素化ナトリウムで処理することによって、典型的には還流THF中でメシラートとin situ反応させることによって形成される。
【0056】
出発材料R3a−SOCl、VII、VIII、X、XI及びXIIは、これらが市販されていないとき、当業界で公知の方法で製造し得る。上述の方法によって製造した式Iに対応するいくつかの化合物が標準的な有機合成技術を使用して式Iの定義に包含される別の化合物に変換され得ることは当業者に明らかであろう。例えば、RがHを表す式Iの化合物をN−アルキル化処理すると、Rがアルキルまたは置換アルキルを表す対応する化合物が得られる。
【0057】
上述の合成スキームの多くが立体異性体の混合物を生成することは理解されよう。このような混合物は、分別結晶化及び分取クロマトグラフィーのような慣用の手段によって分離し得る。
【0058】
本発明のいくつかの化合物は1つもしくは複数のキラル中心が存在するため、または、分子が全対称であるため、光学異性体として存在し得る。このような化合物はラセミ体として製造してもよく、または、エナンチオ特異的合成もしくは分割によって個々の鏡像異性体及びジアステレオ異性体を製造してもよい。新規な化合物は例えば、分取HPLCのような標準技術によってそれぞれの構成鏡像異性体に分割されてもよく、または、(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸及び/または(+)−ジ−p−トルオイル−l−酒石酸のような光学活性酸との塩形成によってジアステレオ異性体対を形成し、次いで、分別結晶化し、遊離塩基を再生してもよい。新規な化合物はまた、ジアステレオ異性体のエステルまたはアミドを形成し、次いでクロマトグラフィー分離し、キラル助剤を除去することによって分割してもよい。
【0059】
上記の連続合成手順のいずれかの進行中に関連分子のいずれかに存在する感受性または反応性の基を保護することが必要及び/または望ましいであろう。このような保護は、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1974;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,3rded.,1999に記載されているような慣用の保護基によって得られるであろう。保護基は当業界に公知の方法を使用して後の段階で除去し得る。
【0060】
本発明の化合物の活性レベルを測定するために使用できるアッセイは国際特許WO01/70677に記載されている。このような活性を測定する好ましいアッセイ手順を以下に示す
(1)βAPP C−末端フラグメントSPA4CTを安定に超発現しているSH−SY5Y細胞を50−70%の単層集密度まで培養する。平板培養の4時間前に10mMの酪酸ナトリウムを加える。
(2)10%のウシ胎仔血清(FBS)、50mMのHEPESバッファ(pH7.3)、1%のグルタミンを加えたダルベッコの最小必須培地(DMEM)(フェノールレッド非含有)中、96−ウェルプレートに35,000細胞/ウェル/100μLで細胞を平板培養する。
(3)化合物プレートの希釈物を調製する。予製液を18.2xに希釈し、5.5%DMSO及び最終化合物濃度11xまで希釈する。化合物を激しく撹拌し、使用するまで4℃で保存する。
(4)10μLの化合物/ウェルを加え、穏やかに撹拌し、37℃、5%COで18時間静置する。
(5)例えばHomogeneous Time Resolved Fluorescence(HTRF)アッセイによってアミロイドペプチドレベルを測定するために必要な試薬を調製する。
(6)HTRF試薬混合物の160μLのアリコートを黒色96HTRFウェルプレートの各ウェルに入れる。
(7)40μLの馴化上清を細胞プレートからHTRFプレートに移す。混合し、4℃で18時間保存する。
(8)化合物の投与後に化合物が細胞毒性であるか否かを判定するために、レドックス染料還元を使用して細胞の生死を判別する。典型例は、レドックス染料MTS(Promega)と電子カップリング試薬PESとの併用である。この混合物を製造業者の指示通りに調製し、室温で放置する。
(9)10μL/ウェルのMTS/PES溶液を細胞に加える。混合し、37℃で静置する。
(10)吸光度の値が約0.4−0.8であるときのプレートを読み取る(読み取りの前に還元されたホルマザン(formazan)生成物を分散させるために軽くかき混ぜる)。
(11)HTRFプレートリーダーを使用してアミロイドベータ40ペプチドを定量する。
【0061】
代替アッセイはBiochemistry,2000,39(30),8698−8704に記載されている。
【0062】
また、J.Neuroscience Methods,2000,102,61−68も参照するとよい。
【0063】
本発明の実施例はいずれも、上記アッセイの少なくとも1つで1μM未満、典型的には0.5μM未満、大抵の場合には100nM未満、好ましい場合には10nM未満のED50を有していた。
【0064】
以下の実施例で本発明を説明する。
【0065】
(実施例)
中間体A
2−[(4−クロロベンゼンスルホニル)メチル]−1,4−ジフルオロベンゼン
US2003/0114496(8頁、中間体1)に記載の手順で製造した。
【実施例1】
【0066】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−メタンスルホンアミド
(a) 0℃の無水THF(200ml)中の中間体A(20.1g;66.6mmol)の溶液に水素化ナトリウム(油中の60%分散液;3.2g;79.9mmol)を添加し、混合物を30分間撹拌した。クロトノニトリル(8.1ml;99.9mmol)をゆっくりと添加し、室温で撹拌を18時間継続した。水(200ml)で反応を停止させ、酢酸エチル(4x100ml)で抽出し、集めた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、真空下で濃縮した。イソ−ヘキサン中の5−25%酢酸エチルで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィーによって未精製残渣を精製すると、ジアステレオ異性体の混合物として(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチロニトリルがクリーム色の固体として得られた(14.1g,57%)。
δ(360MHz,CDCl)1.1 & 1.6(total 3H,d,J=6.7Hz),2.21 & 2.63(total 1H,2xdd,J=7.6,16.8 & J=3.8,16.8Hz),2.90 & 3.14(total 1H,2xdd,J=3.7,16.5 & J=6.4,16.5Hz),3.04−3.09(1H,m),4.54−4.58(1H,m),6.75−6.85(1H,m),6.93−7.01(1H,m),7.31−7.36(3H,m),7.47−7.54(2H,m)。
【0067】
(b)THF(30ml)中の(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチロニトリル(2g,5.42mmol)の溶液に、ボラン(THF中の1M溶液,6.5ml,6.5mmol)を添加し、混合物を50℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、メタノール(50ml)及びHCl(2M,5ml)で反応を停止させ、次いで還流下で1時間加熱した。冷却した反応混合物を真空下で濃縮し、ジクロロメタン中の2%−10%メタノールで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると、ジアステレオ異性体の混合物として(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチルアミンが白色固体として得られた(1.7g,84%)。
δ(360MHz,CDCl)1.10 & 1.38(total 3H,d,J=7.9Hz),1.41−1.52(1H,m),1.63−1.70 & 1.80−1.90(total 1H,m),2.60−2.94(3H,m),4.46(1H,m),6.70−6.81(1H,m),6.89−6.97(1H,m),7.29−7.34(2H,m),7.42−7.53(3H,m);m/z(ES)374(MH)。
【0068】
(c)ジクロロメタン(5ml)中の(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチルアミン(0.1g,0.268mmol)及びピリジン(0.045ml;0.54mmol)に、メタンスルホニルクロリド(0.03ml,0.40mmol)を添加し、混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を水(5ml)で希釈し、相を分離し、有機層をブライン(5ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。未精製の生成物を分取HPLCによって精製すると、標題化合物が白色固体として得られた(50mg,42%)。
【0069】
ジアステレオ異性体を分取HPLC(SupelcosilTM ABZ+プラスカラム(100x212mm)、移動相には50%アセトニトリル:50%(0.1%TFA)水を使用)で分割し、次いで、キラル分取HPLC(キラルOJカラム(250x21mm)、移動相には70%エタノール:30%イソ−ヘキサンを流速4.5m/分で使用)によって極性の強いほうのジアステレオ異性体対の単一鏡像異性体に分割した。
第一溶出液(ジアステレオ異性体1)−δ(400MHz,DMSO−d)0.85−0.89(1H,m),1.25(3H,d,J=6.6Hz),1.53−1.56(1H,m),2.71−2.74(1H,m),2.81(3H,s),2.89−2.96(2H,m),4.70(1H,d,J=8.8Hz),6.91(1H,t,J=8.8Hz),7.04−7.09(1H,m),7.18−7.21(1H,m),7.36(1H,broad s),7.54−7.62(4H,m);m/z(ES)452(MH)。
第二溶出液(ジアステレオ異性体2)−δ(400MHz,DMSO−d)0.85−0.87(1H,m),0.99(3H,d,J=6.7Hz),1.28−1.40(1H,m),2.81−2.82(1H,m),2.89(3H,s),2.97−3.06(2H,m),4.76(1H,d,J=6.6Hz),7.02(1H,m),7.10−7.14(1H,m),7.21−7.25(1H,m),7.38−7.42(1H,m),7.57−7.62(2H,m),7.62−7.65(2H,m);m/z(ES)452(MH)。
第一溶出液(鏡像異性体1)−δ(400MHz,CDCl)0.87−0.92(1H,m),1.26(3H,d,J=7.6Hz),1.26−1.44(1H,m),2.83−2.86(1H,m),2.94(3H,s),3.11−3.17(1H,m),3.23−3.27(1H,m),4.48(1H,d,J=7.8Hz),6.77−6.83(1H,m),6.93−6.98(1H,m),7.32−7.35(2H,m),7.44(1H,broad s),7.49−7.53(2H,m);m/z(ES)452(MH)。
第二溶出液(鏡像異性体2)−δ(400MHz,CDCl)0.87−0.91(1H,m),1.27(3H,d,J=7.6Hz),1.29−1.44(1H,m),2.79−2.87(1H,m),2.94(3H,s),3.11−3.16(1H,m),3.23−3.26(1H,m),4.48(1H,d,J=6.9Hz),6.77−6.83(1H,m),6.94−6.97(1H,m),7.33−7.35(2H,m),7.44(1H,broad s),7.69−7.71(2H,m);m/z(ES)452(MH)。
【0070】
実施例2−13は段階(c)で適切なスルホニルクロリドを使用して実施例1の手順で製造した。
【実施例2】
【0071】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−チオフェン−2−スルホンアミド
m/z(ES)520(MH
【実施例3】
【0072】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチルブチル]−イソプロピルスルホンアミド
m/z(ES)478(MH
【実施例4】
【0073】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−フェニルメタンスルホンアミド
m/z(ES)528(MH
【実施例5】
【0074】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−キノリン−8−スルホンアミド
m/z(ES)564(MH
【実施例6】
【0075】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−フェニルスルホンアミド
m/z(ES)515(MH
【実施例7】
【0076】
(3RS,4RS)−メチル−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチルスルファモイル]−チオフェン−2−カルボキシレート
m/z(ES)578(MH
【実施例8】
【0077】
(3RS,4RS)−N−{2−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチルスルファモイル]−4−メチルチアゾール−5−イル}アセトアミド
m/z(ES)593(MH
【実施例9】
【0078】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−5−クロロチオフェン−2−スルホンアミド
m/z(ES)554(MH
【実施例10】
【0079】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−3,5−ジメチルイソキサゾール−4−スルホンアミド
m/z(ES)533(MH
【実施例11】
【0080】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−2−フェニルエテンスルホンアミド
m/z(ES)540(MH
【実施例12】
【0081】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−5−クロロ−1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−4−スルホンアミド
m/z(ES)566(MH
【実施例13】
【0082】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−4−クロロベンゼンスルホンアミド
m/z(ES)548(MH
【実施例14】
【0083】
(3RS,4RS)−2−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−イソチアゾリジン1,1−ジオキシド
(a)(3RS,4RS)−2−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチル]−3−クロロプロパン−1−スルホンアミドを、(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチルアミンと3−クロロプロピルスルホニルクロリドとから実施例1と同様にして製造した。
m/z(ES)514(MH)。
【0084】
(b)無水トルエン(10ml)中の上記の3−クロロプロパンスルホンアミド(0.12g,0.24mmol)を水素化ナトリウム(0.011g,0.29mmol)で処理し、混合物を還流下で96時間加熱した。冷却し、水(30ml)で希釈し、酢酸エチル(3x30ml)で抽出した後、集めた有機画分をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の10%−25%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、ジアステレオ異性体の混合物として標題化合物が無色固体として得られた(47mg,41%)、
δ(400MHz,CDCl)0.85−0.90,1.32−1.38(1H,m),1.05 & 1.26(toatl 3H,d,J=7.0Hz),1.62−1.69(1H,m),2.08−2.23(1H,m),2.35−2.39(2H,m),2.85−2.98(1H,m),3.08−3.24(4H,m),3.26−3.46(1H,m),4.47−4.54(1H,m),6.75−6.78(1H,m),6.89−6.92(1H,m),7.30−7.34(2H,m),7.41−7.52(3H,m);m/z(ES)478(MH)。
【実施例15】
【0085】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−メチル−ブチル]−N−メチル−メタンスルホンアミド
(a)N下、−40℃のジクロロメタン(10ml)中の(3RS,4RS)−4−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチル−ブチロニトリル(4.67g,1.26mmol)の懸濁液に、DIBAL(トルエン中の1M溶液を26.46ml)を滴下した。混合物を−40℃で1時間撹拌し、次いで塩化アンモニウムの飽和水溶液(20ml)で反応を停止させた。相を分離し、有機相を乾燥し(NaSO)、減圧下で蒸発させると、ジアステレオ異性体の混合物として(3RS,4RS)−4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチルブチルアルデヒドが黄色油として得られたのでこれをそれ以上精製しないで次段階に使用した(4.6g,定量的)。
δ(360MHz,CDCl)1.20 & 1.37(total 3H,d,J=6.6Hz),1.60−1.75(2H,m),3.09−3.45(2H,m),4.82−5.12(1H,m),7.10−7.14(1H,m),7.26−7.29(1H,m),7.49−7.52(1H,m),7.65−7.71(2H,m),7.77−7.87(2H,m)。
【0086】
(b)無水ジクロロメタン(5ml)中の段階(a)で得られたアルデヒド(0.55g,1.47mmol)とメチルアミン(THF中の2M溶液,1.48ml,2.95mmol)とに、酢酸(0.5ml)及びトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.63g,2.95mmol)を順次に添加した。混合物を室温で16時間撹拌後、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10ml)で反応を停止させ、相を分離した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させると、ジアステレオ異性体の混合物として(3RS,4RS)−N−メチル−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチル−ブチル]アミンがガム状黄色固体として得られたので、これをそれ以上精製しないで次段階で使用した。
δ(400MHz,CDCl)0.90−0.94,1.29−1.33(1H,m;m),1.07 & 1.35(total 3H,d,J=6.8Hz),1.48−1.57(1H,m),2.36 & 2.42(total 3H,s),2.58−2.92(3H,m),4.46−4.57(1H,m),6.72−6.80(1H,m),6.90−6.94(1H,m),7.26−7.34(2H,m),7.40−7.54(3H,m);m/z(ES)388(MH)。
【0087】
(c)無水ジクロロメタン(5ml)中の段階(b)で得られたアミン(0.116g,0.3mmol)に、ピリジン(0.060ml,0.75mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.035ml,0.45mmol)を順次に添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。水(20ml)で希釈し、酢酸エチル(3x20ml)で抽出した後、集めた有機画分をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の10%−30%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、ジアステレオ異性体の混合物として標題化合物が無色油として得られた(35mg,25%)。
δ(360MHz,CDCl)1.45−1.50(1H,m),1.65 & 1.85(total 3H,d,J=6.8Hz),1.88−1.96(1H,m),2.20−2.31(2H,m),3.37(3H,d,J=5.2Hz),3.41 & 3.48(total 3H,s),3.87−3.91(1H,m),5.08−5.16(1H,m),7.32−7.43(1H,m),7.48−7.57(1H,m),7.89−7.94(2H,m),8.01−8.13(3H,m);m/z(ES)466(MH)。
【実施例16】
【0088】
(3RS,4RS)−N−[4−(4−クロロベンゼンスルホニル)−4−(2,5−ジフルオロフェニル)−3−メチル−ブチル]−N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−メタンスルホンアミド
段階(b)で2,2,2−トリフルオロエチルアミンを使用して実施例15の手順で製造した。
【0089】
イソ−ヘキサン中の7%−20%の酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって生成物を精製すると、ジアステレオ異性体の混合物として標題化合物が無色固体として得られた(59%、収率)。
δ(400MHz,CDCl)1.05 & 1.28(total 3H,d,J=6.9Hz),1.35−1.45 & 1.77−1.86(total 1H,m),2.08−2.27(1H,m),2.74−2.84(1H,m),2.93 & 3.00(total 3H,s),3.44−3.57(2H,m),3.75−4.02(2H,m),4.47−4.51(1H,m),6.75−6.82(1H,m),6.91−6.98(1H,m),7.31−7.34(2H,m),7.41−7.52(3H,m);m/z(ES)534(MH)。
【実施例17】
【0090】
(RS)−4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)メチル]−1−メタンスルホニル−ピペリジン
(a)窒素下、−17℃のジクロロメタン(40ml)中のtert−ブチル−4−ヒドロキシ−1−ピペリジン−カルボキシレート(2.0g,9.94mmol)の撹拌溶液に、トリエチルアミン(1.4ml,10mmol)を添加した。メタンスルホニルクロリド(0.85ml,11mmol)を滴下し、混合物を室温に加温して一夜維持した。反応混合物をジクロロメタン(50ml)で希釈し、水(100ml)を添加した。有機層を分離し、水相をジクロロメタン(2x50ml)で再度抽出した。集めた有機層を乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、tert−ブチル4−メタンスルホニルオキシ−ピペリジン−1−カルボキシレートが無色油として得られた(2.47g,89%)。
δ(360MHz,CDCl)1.46(9H,s),1.75−1.88(2H,m),1.90−2.00(2H,m),3.04(3H,s),3.25−3.35(2H,m),3.65−3.75(2H,m),4.88(1H,m)。
【0091】
(b)窒素下、0℃のTHF(8ml)中の段階(a)で得られたメシラート(250mg,0.895mmol)と中間体A(542mg,1.79mmol)との撹拌混合物に、水素化ナトリウム(鉱油中の60%分散液を72mg,1.8mmol)を添加した。混合物を0℃で1時間、室温で0.75時間及び還流下で72時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(10ml)と水(10ml)とに分配し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の20%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、(RS)−tert−ブチル4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)メチル]−1−ピペリジン−1−カルボキシレートが無色油として得られた(72mg,17%)。m/z386(MH−BOC)。
【0092】
(c)96%ギ酸(2ml)中の段階(b)の生成物(72mg,0.15mmol)を、窒素下、室温で17時間撹拌した。メタノールを添加し、混合物を真空中で蒸発させた。残渣を少量の水(10ml)に溶解し、飽和炭酸カリウム溶液で塩基性にし、ジクロロメタン(10ml)で抽出した。集めた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、真空下で蒸発させた。この残渣を窒素下でジクロロメタン(2ml)に溶解し、トリエチルアミン(0.029ml,0.21mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.016ml,0.21mmol)を順次に添加した。得られた混合物を室温で40時間撹拌し、次いでジクロロメタン(10ml)と水(10ml)とに分配した。水層を分離し、ジクロロメタンで再度抽出し、集めた有機抽出物を乾燥し(MgSO)、真空下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の40%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、標題化合物が白色固体として得られた(37mg,58%)。
δ(360MHz,CDCl)1.39(1H,m),1.62−1.76(2H,m),2.53−2.83(7H,δ2.78にsを含むm),3.77(1H,br d,J=12.1Hz),3.88(1H,br d,J=12.3Hz),4.48(1H,br d,J=8.0Hz),6.77(1H,m),6.95(1H,m),7.31−7.51(5H,m);m/z464(MH)。
【実施例18】
【0093】
(RS)−4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)−メチル]−1−トリフルオロメタンスルホニル−ピペリジン
(a)無水ジクロロメタン中のエチルイソニペコテート(20.0g,127mmol)とジ−tert−ブチルジカーボネート(29.1g,134mmol)との溶液を室温で1時間撹拌し、減圧下で溶媒を除去すると、BOC誘導体が無色油として得られた(31g,91%)。
δ(360MHz,CDCl)1.26(3H,t,J=7.1Hz),1.46(9H,s),1.61−1.66(2H,m),1.85(2H,m),2.43(1H,m),2.83(2H,m),3.95−4.05(2H,m),4.14(2H,dd,J=7.1 & 14.2Hz)。
【0094】
(b)−78℃のテトラヒドロフラン(100ml)中の段階(a)で得られたBOC誘導体(28g,109mmol)の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(1M,222ml,222mmol)をゆっくりと添加し、反応混合物を2時間撹拌した。混合物にメタノール(60ml)をゆっくりと添加して反応を停止させ、室温に加温し、氷冷した希塩酸(1M,60ml)に注ぎ、酢酸エチル(3x40ml)で抽出した。集めた有機画分をブライン(50ml)で洗浄し、乾燥し、濃縮すると、tert−ブチル−4−ホルミル−ピペリジン−1−カルボキシレート(20g)が無色油として得られたので、これをそれ以上精製しないで次段階で使用した。
【0095】
(c)−78℃の無水テトラヒドロフラン(400ml)中の2,5−ジフルオロ−1−ブロモベンゼン(24.5g,127mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(1.6M,80ml,128mmol)を添加した。溶液を15分間撹拌し、THF(50ml)中のtert−ブチル−4−ホルミル−ピペリジン−1−カルボキシレート(27.0g,127mmol)をゆっくりと添加した。混合物を室温に加温し、16時間撹拌し、水(200ml)で反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した(3x150ml)。集めた有機抽出物を水(50ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。イソ−ヘキサン中の3−10%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、(RS)−tert−ブチル4−[(2,5−ジフルオロフェニル)−ヒドロキシメチル]−ピペリジン−1−カルボキシレートが無色油として得られた(14g,34%)。
δ(360MHz,CDCl)1.12−1.45(3H,m),1.44(9H,s),1.79−1.90(2H,m),2.06(1H,m),2.55−2.70(2H,m),4.09−4.15(2H,m),4.77(1H,m),6.95−6.99(2H,m),7.15(1H,m)。
【0096】
(d)室温のピリジン(10ml)中の(RS)−tert−ブチル−4−[(2,5−ジフルオロフェニル)−ヒドロキシメチル]−ピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g,3.1mmol)及びビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド(1.7g,6.1mmol)の溶液に、トリ−n−ブチルホスフィン(1.2g,6.1mmol)を添加し、混合物を室温で48時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を酢酸エチル(30ml)に入れ、塩酸(2N,10ml)水(10ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の5−20%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、(RS)−tert−ブチル−4−[(4−クロロベンゼンスルファニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)−メチル]−1−ピペリジン−1−カルボキシレートが油として得られた(1.1g,65%)。
δ(360MHz,CDCl)1.15(1H,m),1.30−1.40(1H,m),1.44(9H,s),1.46(1H,m),1.85−1.95(1H,m),2.15−2.20(1H,m),2.55−2.80(2H,m),4.00−4.20(2H,m),4.31(1H,d,J=8.8Hz),6.86−6.90(2H,m),7.05−7.15(5H,m)。
【0097】
(e)ジクロロメタン(25ml)中の段階(d)で得られたスルフィド(1.1g,2.4mmol)の溶液に、mCPBA(50%,2.1g,6.1mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。亜硫酸ナトリウム(20ml)の飽和水溶液を添加し、有機相を分離し、水(10ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の10%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、(RS)−tert−ブチル−4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)−メチル]−1−ピペリジン−1−カルボキシレートが白色固体として得られた(0.75g,65%)。
δ(360MHz,CDCl)1.15−1.20(1H,m),1.44(9H,s),1.45−1.56(2H,m),2.35−2.45(1H,m),2.65−2.90(3H,m),4.00−4.20(2H,m),4.45(1H,m),6.70−6.78(1H,m),6.85−6.95(1H,m),7.27(2H,d,J=8.5Hz),7.35−7.45(1H,m),7.48(2H,d,J=8.5Hz)。
【0098】
(f)ジクロロメタン(5ml)中の(RS)−tert−ブチル−4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)−メチル]−1−ピペリジン−1−カルボキシレート(0.75g,1.5mmol)の溶液に、トリフルオロ酢酸(5ml)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を水酸化ナトリウム溶液(1N,5ml)、水(5ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させると、(RS)−4−[(4−クロロベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロフェニル)メチル]−ピペリジンが白色固体として得られた(0.5g,83%)。
δ(360MHz,CDCl)1.47−1.70(2H,m),1.85−1.95(2H,m),2.65−2.95(4H,m),3.27−3.44(2H,m),4.48(1H,td,J=8.5Hz),6.72−6.76(1H,m),6.88−6.96(1H,m),7.31(2H,d,J=8.6Hz),7.37(1H,m),7.48(2H,d,J=8.6Hz)。
【0099】
(g)−78℃のジクロロメタン(3ml)中の段階(f)で得られたピペリジン(0.1g,0.26mmol)とトリエチルアミン(0.036ml,0.26mmol)との溶液に、無水トリフルオロメタンスルホン酸(0.15g,0.32mmolを添加し、混合物を−40℃に加温し、この温度で3時間撹拌した。クエン酸水溶液(10%w/v,5ml)を加えて反応を停止させ、ジクロロメタン(20ml)で希釈し、水(20ml)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、減圧下で蒸発させた。イソ−ヘキサン中の5%酢酸エチルで溶出させるフラッシュクロマトグラフィーによって残渣を精製すると、標題化合物が白色固体として得られた(0.1g,84%)。
δ(360MHz,CDCl)1.30−1.40(1H,m),1.65−1.75(2H,m),2.55−2.65(1H,m),2.70−2.80(1H,m),3.06−3.20(2H,m),3.85−4.05(2H,m),4.45(1H,m),6.70−6.80(1H,m),6.90−7.00(1H,m),7.31(2H,d,J=8.6Hz),7.40(1H,m),7.48(2H,d,J=8.6Hz)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
nは2、3または4であり;
Arは、0−3個の置換基を有しているフェニルまたはヘテロアリールを表し、前記置換基はハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルから独立に選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;
Arは、0−3個の置換基を有しているフェニルまたはヘテロアリールを表し、前記置換基はハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシまたはC1−4アルキルから独立に選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF3、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;
は、C1−4アルキルを表すか、または、Rと共にピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環を完成しており;
は、Hを表すか、または、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基で置換されるかまたは未置換のC1−6アルキルを表すか;または、Rと共にピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環を完成しているか;または、Rと共にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成しており;
は、0−3個の置換基を有し得るフェニル、ナフチルまたはヘテロアリールを表し、これらの基は、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノまたはC1−4アルキルから選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;あるいは、Rは、CFを表すか、または、場合によっては1個の置換基を有している炭素原子数6までの非芳香族炭化水素基を表し、前記置換基は、ハロゲン、CN、CF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノ、または、3個以下の置換基を有し得るフェニル、ナフチルもしくはヘテロアリールから選択され、該置換基は、ハロゲン、CN、NO、CF、CHF、OH、OCF、C1−4アルコキシ、C1−4アルコキシカルボニル、C2−6アシル、C2−6アシルオキシ、C2−6アシルアミノ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、ジ(C1−4アルキル)アミノまたはC1−4アルキルから選択され、前記C1−4アルキルは場合によっては、ハロゲン、CN、NO、CF、OH及びC1−4アルコキシから選択された置換基を有しており;あるいは、RはRと共にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシド環を完成している]
の化合物または医薬として許容されるその塩。
【請求項2】
式II:
【化2】

[式中、n、Ar、Ar、R及びRは請求項1の定義と同義である]
で表される請求項1に記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【請求項3】
式III:
【化3】

[式中、mは1、2または3である;
3aは、Rと共に環を形成しないRを表す;
Ar、Ar及びRは請求項1の定義と同義である]
で表される請求項1に記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【請求項4】
Arが4−クロロフェニルまたは4−トリフルオロメチルフェニルであり、Arが2,5−ジフルオロフェニルである請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または医薬として許容されるその塩と医薬品に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項6】
治療法に使用するための請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または医薬として許容されるその塩。
【請求項7】
アルツハイマー病を治療または予防する医薬を製造するための請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または医薬として許容されるその塩の使用。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または医薬として許容されるその塩を有効量で患者に投与することを含む、β−アミロイドの沈着に付随する疾病に罹患しているかまたは罹患し易い患者の治療方法。
【請求項9】
式(IV):
【化4】

[式中、R2aは、Rと共に環を完成しないRを表し、
3aはRと共に環を完成しないRを表し、
n、Ar、Ar、R、R及びRは請求項1の定義と同義である]
のアミンをR3a−SOClと反応させる段階を含む請求項1に記載の化合物の製造方法。
【請求項10】
アミン:
【化5】

[式中、n、Ar、Ar及びRは請求項1の定義と同義である]
と、L−(CH−SOCl[Lは脱離基を表す]とを反応させ、次いで得られたスルホンアミド窒素を分子内アルキル化する段階を含む、RとRとが一緒にテトラヒドロイソチアゾール−1,1−ジオキシドを完成する請求項1に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2006−501293(P2006−501293A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540929(P2004−540929)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004173
【国際公開番号】WO2004/031138
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】