説明

クラッチ機構、および減速機付モータ

【課題】電動モータの出力効率を低下させることなく、外力による電動モータの回転軸の回転を防止することができるクラッチ機構、および減速機付モータを提供する。
【解決手段】ウォームホイール22、ドライブプレート41、クラッチプレート42、コイルスプリング43、およびこれらを収容するケーシング13とを備え、クラッチプレート42、およびケーシング13に、互いに係合可能なクラッチ係合部55をそれぞれ設け、ウォームホイール22よりも先にドライブプレート41が回転するとき、クラッチプレート42がウォームホイール22に近接し、ドライブプレート41の回転が阻止されると共に、ドライブプレート41よりも先にウォームホイール22が回転するとき、クラッチプレート42がウォームホイール22から離反し、ドライブプレート41がウォームホイール22と共回りするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等に搭載されるクラッチ機構、およびこれを用いた減速機付モータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される減速機付モータとしては、例えば、自動車のパワーウインド装置に用いられるものがある。この種の減速機付モータは、ウォーム減速機と電動モータとが連結されている。ウォーム減速機は、電動モータの回転軸に連結されるウォーム軸と、このウォーム軸に噛合されるウォームホイールとを備えている。そして、このウォームホイールをパワーウインド装置の出力軸に連結することにより、ウインドガラスの開閉動作を行うことができるようになっている。
【0003】
ところで、電動モータの回転軸にウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力による回転力が作用し、ウインドガラスが開いてしまう場合がある。そこで、ウインドガラスの停止位置を保持させるため、回転軸の一端とウォーム軸の一端とにエンドスペーサを設け、このエンドスペーサに対する回転軸、およびウォーム軸の摺動抵抗により、外力による回転軸の回転を防止する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−232153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術にあっては、エンドスペーサに対して回転軸に摺動抵抗が生じるので、外力による回転軸の回転を防止するという点では優れているが、電動モータにより回転軸を回転させようとする場合にも同様に摺動抵抗が生じてしまう。このため、電動モータの出力効率が低下するという課題がる。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、電動モータの出力効率を低下させることなく、外力による電動モータの回転軸の回転を防止することができるクラッチ機構、および減速機付モータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、電動モータの回転が入力される駆動回転体と、前記駆動回転体と係合し、前記電動モータの回転を出力する従動回転体と、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、軸方向に沿って前記駆動回転体に対して近接・離反可能に設けられていると共に、前記駆動回転体、および前記従動回転体に係合可能なクラッチプレートと、前記従動回転体と前記クラッチプレートとの間に配置され、前記クラッチプレートを前記駆動回転体側に向かって付勢する弾性部材と、これら駆動回転体、従動回転体、クラッチプレート、および弾性部材を収容するケーシングとを備え、前記クラッチプレート、および前記ケーシングに、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接している状態で互いに係合可能なクラッチ係合部をそれぞれ設け、前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接し、前記駆動回転体の回転が阻止されると共に、前記従動回転体よりも先に前記駆動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体から離反し、前記従動回転体が前記駆動回転体と共回りするように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、出力側である従動回転体が入力側である駆動回転体よりも先に回転しようとすると、クラッチプレートとケーシングとが互いに係合し、駆動回転体に回転力が伝達されるのを防止できる。このため、従来のように回転軸に摺動抵抗を付与することなく、回転軸の外力による回転を防止でき、電動モータの出力効率の低下を防止できる。
また、弾性部材によりクラッチプレートのバタつきを抑えることができるので、クラッチ機構の騒音を低減することができる。
【0008】
請求項2に記載した発明は、前記駆動回転体と前記従動回転体のそれぞれ対向面の何れか一方に、複数の第一凸部を設けると共に、他方に、前記複数の第一凸部と周方向で当接可能な複数の第一係合部を設け、前記駆動回転体と前記クラッチプレートのそれぞれ対向面の何れか一方に、複数の第二凸部を設けると共に、他方に、前記複数の第二凸部と周方向で当接可能な第二係合部を設け、前記クラッチプレートに、前記第一凸部が貫通可能な複数の貫通孔を形成し、前記駆動回転体が回転すると、前記第一係合部が前記第一凸部に当接するよりも先に前記第二係合部と前記第二凸部とが互いに当接し、この第二凸部が前記第二係合部によって前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする。
この場合、請求項3に記載した発明のように、前記従動回転体の前記駆動回転体側の面に複数の第一凸部を設け、前記クラッチプレートに、前記複数の貫通孔を形成すると共に、前記駆動回転体側の面に複数の第二凸部を設ける一方、前記駆動回転体の前記従動回転体側の面に、前記複数の第一係合部を設けると共に、前記複数の第二係合部を設けてもよい。
このように構成することで、簡単な構造で外力による従動回転体の回転を阻止することができると共に、電動モータによる回転力を容易に従動回転体に伝達することができる。このため、製造コストを抑えたクラッチ機構を提供することができる。
【0009】
請求項4に記載した発明は、前記第一係合部、および前記第二係合部は、断面略コの字の凹状に形成されたものであって、前記第二係合部の側壁と底壁との接合部分には、前記第二係合部の深さが周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなるように斜壁部が形成され、この斜壁部に前記第二凸部の角部が当接することにより、前記第二凸部が前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、クラッチ機構の構造をさらに単純化することができるので、さらに製造コストの抑制化を図ることが可能になる。
【0010】
請求項5に記載した発明は、前記ケーシングに、前記駆動回転体を回転自在に支持するための支柱を設けると共に、前記駆動回転体に、前記支柱を挿通可能な挿通孔を形成し、前記支柱の前記クラッチプレート側の端面と、前記クラッチプレートの前記駆動回転体側の面であって前記支柱に対応する部位とに、それぞれ前記クラッチ係合部を設けたことを特徴とする。
この場合、請求項6に記載した発明のように、前記ケーシングの内周面と前記クラッチプレートの外周縁とに、それぞれ前記クラッチ係合部を設けてもよい。
このように構成することで、単純な構造で、かつ省スペースにクラッチ係合部を設けることができるので、クラッチ機構の小型化を図ることができる。
【0011】
請求項7に記載した発明は、請求項1〜請求項6の何れかに記載のクラッチ機構の駆動回転体をウォームホイールとし、このウォームホイールに噛合うウォーム軸と、このウォーム軸に前記電動モータを連結させたことを特徴とする減速機付モータとした。
このように構成することで、電動モータの出力効率を低下させることなく、外力による電動モータの回転軸の回転を防止することができる減速機付モータを提供できる。
【0012】
請求項8に記載した発明は、ブラシホルダを備えた電動モータの回転軸と、減速機構とを連結するクラッチ機構であって、前記回転軸に連結される駆動回転体と、前記駆動回転体と係合し、前記回転軸の回転力を前記減速機構に伝達する従動回転体と、前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、軸方向に沿って前記駆動回転体に対して近接・離反可能に設けられていると共に、前記駆動回転体、および前記従動回転体に係合可能なクラッチプレートと、前記従動回転体と前記クラッチプレートとの間に配置され、前記クラッチプレートを前記駆動回転体側に向かって付勢する弾性部材とを備え、前記ブラシホルダに前記駆動回転体を収納可能な収納部を設け、この収納部の周縁と前記クラッチプレートの外周側とに、それぞれ前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接している状態で互いに係合可能なクラッチ係合部を設け、前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接し、前記駆動回転体の回転が阻止されると共に、前記従動回転体よりも先に前記駆動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体から離反し、前記従動回転体が前記駆動回転体と共回りするように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、減速機構よりも電動モータに近い箇所で電動モータの回転軸の外力による回転を防止することができる。このため、減速機構の複雑化を防止することができる。また、回転軸の回転力を減速機構側に伝達し易くなり、電動モータの出力効率を向上させることが可能になる。
【0013】
請求項9に記載した発明は、前記従動回転体の前記駆動回転体側の面に複数の第一凸部を設け、前記クラッチプレートに、前記第一凸部を貫通可能な複数の貫通孔を形成すると共に、前記駆動回転体側の面に複数の第二凸部を設ける一方、前記駆動回転体に、前記第二凸部と周方向で当接可能な複数の第二係合部を設けると共に、各第二係合部の間を、それぞれ前記第一凸部と周方向で当接可能な第一係合部に設定し、前記駆動回転体が回転すると、前記第一係合部が前記第一凸部に当接するよりも先に、前記第二係合部と前記第二凸部とが当接し、この第二凸部が前記第二係合部によって前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、減速機構の複雑化を防止しつつクラッチ機構の構造も単純化できるので、製造コストを低減することが可能になる。
【0014】
請求項10に記載した発明は、前記第二係合部は、断面略コの字の凹状に形成されたものであって、前記第二係合部の側壁と底壁との接合部分には、前記第二係合部の深さが周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなるように斜壁部が形成され、この斜壁部に前記第二凸部の角部が当接することにより、前記第二凸部が前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする。
このように構成することで、さらにクラッチ機構の構造をさらに単純化することができるので、さらに製造コストの抑制化を図ることが可能になる。
【0015】
請求項11に記載した発明は、請求項8〜請求項10の何れかに記載のクラッチ機構と、このクラッチ機構によって互いに連結される前記電動モータ、および減速機構とを備えた減速機付モータであって、前記減速機構は、ウォーム軸、およびこれに噛合うウォームホイールを備え、前記ウォーム軸と前記従動回転体とを相対回転不能に連結したことを特徴とする減速機付モータとした。
このように構成することで、電動モータの出力効率を低下させることなく、外力による電動モータの回転軸の回転を防止することができる減速機付モータを提供できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、出力側である従動回転体が入力側である駆動回転体よりも先に回転しようとすると、クラッチプレートとケーシングとが互いに係合し、駆動回転体に回転力が伝達されるのを防止できる。このため、従来のように回転軸に摺動抵抗を付与することなく、回転軸の外力による回転を防止でき、電動モータの出力効率の低下を防止できる。
また、弾性部材によりクラッチプレートのバタつきを抑えることができるので、クラッチ機構の騒音を低減することができる。
さらに、簡単な構造で外力による従動回転体の回転を阻止することができると共に、電動モータによる回転力を容易に従動回転体に伝達することができる。このため、製造コストを抑えたクラッチ機構を提供することができる。
そして、単純な構造で、かつ省スペースにクラッチ係合部を設けることができるので、クラッチ機構の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第一実施形態における減速機付モータの斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構4の分解斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態におけるドライブプレートを示し、(a)はウォームホイールとは反対側からみた斜視図、(b)はウォームホイール側からみた斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態におけるクラッチプレートを示し、(a)はドライブプレート側からみた斜視図、(b)はウォームホイール側からみた斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の位置関係を示し、(a)は図2のA部の詳細図、(b)は図2のB部の詳細図、(c)は図2のC部の詳細図である。
【図7】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図8】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図9】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図10】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図11】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図12】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図13】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図14】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図15】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図16】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図17】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図18】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図19】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図20】本発明の第一実施形態におけるクラッチ機構の各部の挙動を示し、(a)は図2のA部の説明図、(b)は図2のB部の説明図、(c)は図2のC部の説明図である。
【図21】本発明の第二実施形態におけるクラッチ機構の分解斜視図である。
【図22】本発明の第二実施形態におけるクラッチプレートを示し、(a)はドライブプレート側からみた斜視図、(b)はウォームホイール側からみた斜視図である。
【図23】本発明の第三実施形態におけるクラッチ機構の斜視図である。
【図24】図23のY−Y線に沿う断面図である。
【図25】本発明の第三実施形態におけるクラッチ機構の分解斜視図である
【図26】本発明の第三実施形態におけるブラシホルダ部を示し、(a)はアーマチュアコア側からみた斜視図、(b)はウォーム軸側からみた斜視図である。
【図27】本発明の第三実施形態におけるジョイントモータを示し、(a)はアーマチュアコア側からみた斜視図、(b)はウォーム軸側からみた斜視図である。
【図28】本発明の第三実施形態におけるジョイントフレームを示し、(a)はジョイントモータ側からみた斜視図、(b)はウォーム軸側からみた斜視図である。
【図29】本発明の第三実施形態におけるクラッチプレートを示し、(a)はジョイントモータ側からみた斜視図、(b)はジョイントフレーム側からみた斜視図であるアーマチュアの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第一実施形態)
(減速機付モータ)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、減速機付モータ1の斜視図である。同図に示すように、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインド装置等に用いられるものであって、ウォーム減速機2と、これに着脱可能に設けられた電動モータ3とを備え、ウォーム減速機2にクラッチ機構4が内装されている。
電動モータ3としては、例えば、ブラシ付直流モータなどが用いられており、複数の永久磁石(不図示)が配設されている有底筒状のヨーク5と、ヨーク5の内側に回転自在に設けられたアーマチュア6とを備えている。
【0019】
ヨーク5は、有底筒状に形成されており、開口部側をウォーム減速機2側に向けた形で取り付けられている。
アーマチュア6は、ヨーク5に回転自在に支持された回転軸7と、回転軸7のヨーク5底面側に外嵌固定されているアーマチュアコア8と、回転軸7のヨーク5開口部側に外嵌固定されているコンミテータ9とを有している。アーマチュアコア8には、巻線を巻装するための複数のスロット(不図示)が形成されている。
【0020】
(ウォーム減速機)
図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
図1、図2に示すように、ウォーム減速機2は、電動モータ3のコンミテータ9を受け入れるブラシホルダ部10と、ウォームギヤ11、およびクラッチ機構4を収納するギヤ収納部12とが一体形成された樹脂製のケーシング13を有している。
ブラシホルダ部10は、電動モータ3側に開口部を有する箱状に形成されたものであって、コンミテータ9に摺接し、電力を供給するためのブラシ(不図示)を収納するようになっている。電動モータ3のヨーク5は、ブラシホルダ部10の開口部を閉塞するように取り付けられている。
【0021】
また、ブラシホルダ部10の周壁10aには、不図示の外部電源と接続可能なコネクタ14が設けられている。コネクタ14の電源用端子15は、ブラシホルダ部10に収納されている不図示のブラシと電気的に接続されており、これによって外部電源の電力を電動モータ3のアーマチュア6に供給できるようになっている。
【0022】
ケーシング13のギヤ収納部12は、ウォームギヤ11の一方を構成するウォーム軸21を収納するウォーム軸収納部16と、ウォームギヤ11の他方を構成するウォームホイール22を収納すると共に、クラッチ機構4を収納するクラッチ収納部17とが一体成形されたものである。ウォーム軸収納部16は有底円筒状に形成されたものであって、この開口部を電動モータ3側に向けた形で設けられている。
【0023】
ウォーム軸収納部16に収納されたウォーム軸21は、この一端がウォーム軸収納部16に回転自在に支持されている。一方、他端が電動モータ3の回転軸7に連結部材18を介して連結されている。すなわち、回転軸7は、連結部材18を介してウォーム軸21に着脱自在に構成されており、回転軸7がウォーム軸21に連結された状態にあっては、両者7,21が共回りする。ウォーム軸収納部16には、ウォーム軸21一端側にスチールボール(不図示)が設けられており、このスチールボールでウォーム軸21のスラスト荷重を受けるようになっている。
【0024】
クラッチ収納部17は有底筒状に形成されており、外周面に径方向外側に向かって突出する3つのボルト座24,24,24が設けられている。3つのボルト座24,24,24のうちの1つは、ウォーム軸収納部16側に設けられている。各ボルト座24には、それぞれ貫通孔25が形成されている。各貫通孔25には、それぞれブッシュ26が設けられている。
【0025】
また、クラッチ収納部17の底面17aには、径方向略中央にウォームホイール22を回転自在に支持するための支柱27が突設されている。
この支柱27の径方向中央には、挿通孔28が形成されており、ここにセンターシャフト29がOリング58を介して挿入されている。センターシャフト29はクラッチ機構4を回転自在に支持するためのものであって、クラッチ収納部17の底面17a側から開口部側に向かって挿入されている。センターシャフト29の基端側には、外フランジ部30が形成されており、この外フランジ部30がクラッチ収納部17の底面17aに当接することによって、センターシャフト29の軸方向の位置決めが行われる。
【0026】
(クラッチ機構)
図3は、クラッチ機構4の分解斜視図である。
図2、図3に示すように、クラッチ収納部17の支柱27に回転自在に支持されているウォームホイール22は、樹脂により略円板状に形成されたものであって、外周面にウォーム軸21に噛合う歯部22aが形成されている。ウォームホイール22の径方向中央には、支柱27を挿通するための挿通孔35が形成されている。ウォームホイール22を支柱27に挿入した状態では、支柱27の端面27aがウォームホイール22の挿通孔35を介して露出した状態になる。
【0027】
ウォームホイール22において、クラッチ収納部17の底面17aとは反対側の面には、挿通孔35の周囲に、軸方向平面視で略扇状に形成された3つの第一凹部36,36,36、および3つの第二凹部37,37,37が形成されている。これら第一凹部36、および第二凹部37は、それぞれ周方向に等間隔で配置されている。すなわち、第一凹部36と第二凹部37は、周方向に交互に配置された状態になっている。
【0028】
第一凹部36は、断面略コの字状に形成されたものであって、底壁36aと側壁36bとを有している。一方、第二凹部37も断面略コの字状に形成されており、底壁37aと側壁37bとを有している。また、第二凹部37には、底壁37aと側壁37bとの接合部分に、斜壁37cが形成されている。この斜壁37cが形成されることによって、第二凹部37の深さは、周方向中央から周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなるように構成されている。
【0029】
ここで、ウォームホイール22は、ウォームギヤ11の他方を構成していると共に、クラッチ機構4の一部を構成している。
すなわち、クラッチ機構4は、ウォームホイール22と、ウォームホイール22のクラッチ収納部17の底面17aとは反対側に配置されたドライブプレート41と、ウォームホイール22とドライブプレート41との間に配置されたクラッチプレート42と、ドライブプレート41とクラッチプレート42との間に配置され、このクラッチプレート42をウォームホイール22側に向かって付勢するコイルスプリング43とを備えている。
【0030】
図4はドライブプレート41を示し、(a)はウォームホイール22とは反対側からみた斜視図、(b)はウォームホイール22側からみた斜視図である。
図2、図3、図4(a)、図4(b)に示すように、ドライブプレート41は樹脂で形成されたものであって、略円板状のプレート本体44を有している。プレート本体44のウォームホイール22とは反対側の面44aには、径方向略中央にボス部45が一体形成されている。
このボス部45は、円柱状に形成されており、軸方向に沿って突出している。ボス部45の外周面にはスプライン加工が施されている。
【0031】
ボス部45の径方向中央には、センターシャフト29を挿通可能な挿通孔46が形成され、ここにセンターシャフト29が挿通される。すなわち、ドライブプレート41は、センターシャフト29に回転自在に支持された状態になっている。また、ボス部45の端面には、挿通孔46の周縁にOリング溝47が形成されており、ここにOリング62が装着される。これにより、センターシャフト29とドライブプレート41との間に、外部からの塵埃や水滴などが侵入してしまうのを防止できる。
【0032】
一方、プレート本体44のウォームホイール22側の面44bには、径方向中央にコイルスプリング43の一端を受け入れるスプリング収納部49が形成されている。スプリング収納部49は、挿通孔46に連通した状態になっている。
また、プレート本体44のウォームホイール22側の面44bには、ウォームホイール22の第一凹部36に対応する部位に、第一凸部48が3箇所設けられている。この第一凸部48は、第一凹部36の軸方向平面視の形状に対応するように、軸方向平面視で略扇状であって、かつ軸方向断面で四角形状に形成されている。
【0033】
第一凸部48の周方向の幅は、ウォームホイール22の第一凹部36の周方向の幅よりも小さくなるように設定され、第一凹部36に第一凸部48が挿入された状態になっている。そして、ウォームホイール22が回転すると、この第一凹部36の側壁36bと、第一凸部48の周方向の側面48aとが周方向で当接し、互いに係合した状態で共回りする(詳細は後述する)。
すなわち、クラッチ機構4のうち、ウォームホイール22は、電動モータ3の回転軸7の回転がウォーム軸21を介して入力される駆動回転体の役割を有している。一方、ドライブプレート41は、駆動回転体であるウォームホイール22の回転をパワーウインド装置に出力する従動回転体の役割を有している。
【0034】
図5はクラッチプレート42を示し、(a)はドライブプレート41側からみた斜視図、(b)はウォームホイール22側からみた斜視図である。
図2、図3、図5(a)、図5(b)に示すように、クラッチプレート42は樹脂で形成されたものであって、略円板状のプレート本体51を有している。プレート本体51の外径は、ウォームホイール22の歯部22aが形成されている部位よりも内側となるように設定されている。プレート本体51の径方向中央には、センターシャフト29を挿通するための挿通孔33が形成され、ここにセンターシャフト29が挿通される。すなわち、クラッチプレート42は、センターシャフト29に回転自在に支持された状態になっている。
【0035】
また、プレート本体51において、ドライブプレート41の第一凸部48に対応する部位に、開口部(貫通孔)53が3箇所形成されている。この開口部53は、ドライブプレート41の第一凸部48の軸方向平面視の形状に対応するように、軸方向平面視で略扇状に形成されている。開口部53の周方向の幅は、ドライブプレート41の第一凸部48の周方向の幅よりも大きくなるように設定されている。
この開口部53には、第一凸部48が貫通されている。つまり、ドライブプレート41の第一凸部48は、クラッチプレート42の開口部53を介してウォームホイール22の第一凹部36に挿入した状態になっている。
【0036】
プレート本体51のドライブプレート41側の面51aには、コイルスプリング43の他端を受け入れるスプリング収納部52が形成されている。コイルスプリング43は、圧縮変形した状態で、この両端部がドライブプレート41に形成されたスプリング収納部49と、クラッチプレート42に形成されたスプリング収納部52とにそれぞれ収納されることにより保持される。すなわち、コイルスプリング43は、クラッチプレート42をウォームホイール22側に付勢した状態になっている。
【0037】
一方、プレート本体51のウォームホイール22側の面51bには、ウォームホイール22の第二凹部37に対応する部位に、第二凸部54が3箇所設けられている。この第二凸部54は、第二凹部37の軸方向平面視の形状に対応するように、軸方向平面視で略扇状であって、かつ軸方向断面で四角形状に形成されている。
第二凸部54の周方向の幅は、ウォームホイール22の第二凹部37の周方向の幅よりも小さくなるように設定されている。第二凹部37は、第二凸部54が挿入された状態になっている。そして、ウォームホイール22が回転すると、この第二凹部37の側壁37b、および斜壁37cと、第二凸部54の周方向の側面54aとが周方向で当接するように構成されている(詳細は後述する)。
【0038】
ここで、クラッチ収納部17に一体成形されている支柱27の端面27aは、ウォームホイール22を挿入した状態でウォームホイール22の挿通孔35から露出した状態になっている。このため、支柱27の端面27aは、クラッチプレート42のプレート本体51と重ね合わさった状態になる。これら互いに重ね合わさっているプレート本体51の支柱27に対応する部位と、この支柱27の端面27aとには、クラッチ係合部55が形成されている。
【0039】
クラッチ係合部55は、支柱27の端面27aに形成された複数の係合溝56と、プレート本体51に形成され、係合溝56に嵌合可能な係合突起57とで構成されている。これら係合溝56と係合突起57は、それぞれ周方向に等間隔で放射状に形成されており、径方向外側に向かうに従って周方向の幅が大きくなるように設定されている。
【0040】
また、図1、図2に示すように、クラッチ収納部17には、この開口部17bを閉塞する略円環状のボトムカバー63が設けられている。ボトムカバー63は、クラッチ収納部17内への塵埃や水滴などの浸入を防止するためのものである。
ボトムカバー63の中央からは、ドライブプレート41のボス部45が突出した状態になっている。したがって、ウォームホイール22、クラッチプレート42、およびコイルスプリング43は、それぞれクラッチ収納部17内に完全に収納された状態になる。
【0041】
ボトムカバー63の内周縁には、クラッチ収納部17の内部の密閉性を高めるためにゴム製のシール部材64が設けられている。
一方、ボトムカバー63の外周縁には、係止片67が複数設けられている。係止片67は弾性変形可能に形成されたものであって、クラッチ収納部17の外周面に沿うようにして、クラッチ収納部17の底面17aに向かって延出している。
また、クラッチ収納部17の外周面には、係止片67に対応する部位に、係止突起65が形成されている。この係止突起65と係止片67とが係合することで、ボトムカバー63が固定される。
【0042】
このようなクラッチ機構4は、ウォームホイール22、クラッチプレート42、コイルスプリング43、およびドライブプレート41の順でクラッチ収納部17に収納され、ドライブプレート41のボス部45からセンターシャフト29が突出した状態になっている。このセンターシャフト29の先端には、C型止め輪60およびワッシャ59が取り付けられており、これによってウォームホイール22、クラッチプレート42、コイルスプリング43、およびドライブプレート41の抜けが規制される。
【0043】
ここで、ケーシング13にクラッチ機構4を組み付けた際、クラッチプレート42とドライブプレート41との間には、クリアランスK1が形成されるようになっている。このクリアランスK1は、クラッチ係合部55の係合状態が解除可能、つまり、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56からクラッチプレート42に形成されている係合突起57が軸方向に沿って離反可能な大きさに設定されている。
【0044】
図6はクラッチ機構4の各部の位置関係を示し、(a)は図2のA部の詳細図、(b)は図2のB部の詳細図、(c)は図2のC部の詳細図である。
図6(b)、図6(c)に示すように、ウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bと、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aとの間には、クリアランスK2が形成されている。さらに、ウォームホイール22の第二凹部37の側壁37b(斜壁37c)と、クラッチプレート42の第二凸部54の側面54aとの間には、クリアランスK3が形成されている。また、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aと、クラッチプレート42の開口部53との間には、クリアランスK4が形成されている。
【0045】
これらクリアランスK2,K3,K4は、それぞれウォームホイール22がドライブプレート41よりも先に回転した場合、ドライブプレート41の第一凸部48が第一凹部36に当接するよりも先に、クラッチプレート42の第二凸部54の角部54bが第二凹部37の斜壁37cに当接するように設定されている。つまり、ウォームホイール22がドライブプレート41よりも先に回転した場合、クラッチプレート42が押し上げられ、クラッチ係合部55の係合状態が解除されるように構成されている。
【0046】
また、クリアランスK2,K3,K4は、ドライブプレート41がウォームホイール22よりも先に回転した場合、クラッチプレート42の第二凸部54の角部54bが第二凹部37の斜壁37cに当接するよりも先に、ドライブプレート41の第一凸部48が第一凹部36に当接するように設定されている。つまり、ドライブプレート41がウォームホイール22よりも先に回転した場合、クラッチ係合部55の係合状態が維持されるように構成されている。
【0047】
より詳しく、図3〜図6に基づいて説明する。
ここで、以下の説明において、クラッチプレート42に形成されている第二凸部54の側面54aと、ウォームホイール22に形成されている第二凹部37の斜壁37cとの間の角度(第二凸部54と第二凹部37との間の周方向のガタ)をθaとする。
また、クラッチプレート42に形成されている係合突起57の側面57aと、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56の側壁56aとの間の角度(係合突起57と係合溝56との間の周方向のガタ)をθbとする。
【0048】
さらに、ドライブプレート41に形成されている第一凸部48の側面48aと、ウォームホイール22に形成されている第一凹部36の側壁36bとの間の角度(第一凸部48と第一凹部36との間の周方向のガタ)をθxとする。
そして、第二凹部37の斜壁37cによるクラッチプレート42の乗り上げ角度(クラッチ係合部55の解除角度)をθy’とする。
また、ドライブプレート41のプレート本体44と、クラッチプレート42のプレート本体51との間の角度をθvとする。
【0049】
さらに、クラッチプレート42のプレート本体51に形成されている開口部53の一方の側面53aと、ウォームホイール22に形成されている第一凹部36の側壁36bとの間の角度をθzとする。
このように角度θa〜θzを設定したとき、角度θa〜θzは、
θx>θy・・・(1)
θy=θa+θb+θy’・・・(2)
θy’<θv・・・(3)
θz>θy’・・・(4)
を満たすように設定する。
【0050】
ここで、式(2)の角度θbは、クラッチプレート42に形成されている係合突起57の周方向両側面57a,57aの間の角度をθ1とし、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56の両側壁56a,56aの間の角度をθ2としたとき、
θb=(θ2−θ1)/2・・・(5)
に基づいて決定される。
【0051】
また、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56からクラッチプレート42に形成されている係合突起57が完全に離反し、クラッチ係合部55が解除されるまでクラッチプレート42を押し上げるために必要なウォームホイール22の回転角度をθy1とし、ウォームホイール22に形成されている第二凹部37の斜壁37cの角度をθとしたとき、角度θy’は、
θy’=θy1・tanθ・・・(6)
に基づいて決定される。なお、第二凹部37の斜壁37cの角度θは、
θ=45°
に設定されている。
【0052】
ここで、式(1)〜式(3)、式(5)、および式(6)は、ドライブプレート41よりも先にウォームホイール22が回転したときの条件、つまり、電動モータ3を回転させてドライブプレート41から不図示のパワーウインド装置等に出力させるための出力条件となる。
一方、式(4)は、ウォームホイール22よりも先ドライブプレート41が回転したときの条件、つまり、例えば、ウインドガラスの停止位置を保持可能なドライブプレート41の逆転防止条件となる。
【0053】
これらのことから、角度θz、および角度θxが
θz>θy1・・・(7)
θx>θy1・・・(8)
を満たすことにより、電動モータ3を駆動させた際、確実にドライブプレート41を回転させることができる。また、ドライブプレート41の逆転、つまり、外力によりドライブプレート41の回転を確実に防止することができる。
【0054】
(作用)
次に、図7〜図20に基づいて、クラッチ機構4の作用について説明する。
図7〜図20は、クラッチ機構4の各部の挙動を示し、各図の(a)は図2のA部の説明図、各図の(b)は図2のB部の説明図、各図の(c)は図2のC部の説明図である。
まず、電動モータ3を駆動させ、ドライブプレート41を回転させる場合について説明する。
図7(a)、図7(b)、図7(c)に示すように、電動モータ3が停止している状態にあっては、コイルスプリング43によってクラッチプレート42がウォームホイール22側に付勢されている。このため、支柱27の端面27aに形成された複数の係合溝56に、クラッチプレート42の係合突起57が嵌まり込み、クラッチ係合部55が係合した状態になっている(図7(a)参照)。
【0055】
また、クラッチプレート42の第二凸部54にウォームホイール22の第二凹部37が当接しておらず、フリー状態になっている(図7(b)参照)。
さらに、ドライブプレート41の第一凸部48にウォームホイール22の第一凹部36が当接しておらず、フリー状態になっている。このとき、ドライブプレート41の第一凸部48とクラッチプレート42の開口部53も互いに当接しておらず、フリー状態になっている(図7(c)参照)。
【0056】
図8(a)、図8(b)、図8(c)に示すように、電動モータ3を駆動させると、回転軸7とウォーム軸21とが共回りし、ウォーム軸21に噛合うウォームホイール22が回転する。すると、ウォームホイール22に形成されている第二凹部37の斜壁37cがクラッチプレート42の第二凸部54の角部54bに当接する(図8(b)参照)。このとき、ウォームホイール22の第一凹部36とドライブプレート41の第一凸部48は、互いに当接した状態になっていない(図8(c)参照)。
【0057】
この状態で、さらにウォームホイール22が回転し続けると、図9(a)、図9(b)、図9(c)に示すように、ウォームホイール22の第二凹部37がクラッチプレート42をウォームホイール22の回転方向と同じ方向に向かって回転させる。すると、クラッチプレート42に形成されている係合突起57の側面57aと、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56の側壁56aとが互いに当接する。すなわち、クラッチプレート42の第二凸部54は、回転方向後方側(図9における左側)の角部54bがウォームホイール22の第二凹部37の斜壁37cに当接する(図9(b)参照)。
【0058】
一方、クラッチプレート42の係合突起57は、回転方向前方の側面57aが支柱27の係合溝56の側壁56aに当接する(図9(a)参照)。
このため、クラッチプレート42の回転が規制される。また、このとき、ウォームホイール22の第一凹部36とドライブプレート41の第一凸部48は、未だ互いに当接した状態になっていない(図9(c)参照)。
【0059】
図10(a)、図10(b)、図10(c)に示すように、クラッチプレート42の回転が規制された状態で、さらに、ウォームホイール22が回転し続けると、クラッチプレート42の第二凸部54が支柱27の第二凹部37の斜壁37cに押圧される。そして、第二凸部54は、斜壁37cに沿ってドライブプレート41側(図10(b)における上側)に向かって押し上げられる。すると、支柱27の係合溝56からクラッチプレート42の係合突起57が離反し、クラッチ係合部55の係合状態が解除される(図10(a)参照)。
【0060】
ここで、クラッチプレート42はコイルスプリング43によってウォームホイール22側に付勢されているので、このコイルスプリング43の付勢力(バネ力)をFとし、クラッチプレート42の押し上げ力をF’としたとき、押し上げ力F’は、
F<F’・・・(9)
を満たすように設定する必要がある。
【0061】
また、この押上げ力F’は、ウォームホイール22のトルクTqによって決定される。すなわち、第二凹部37の斜壁37cに沿って第二凸部37が移動する距離をrとし(図10(b)参照)、第二凹部37の斜壁37cの摩擦係数をμとしたとき、ウォームホイール22のトルクTqは、
Tq=μ×F×cosθ×cosθ×r・・・(10)
により決定される。
このため、コイルスプリング43のバネ定数、および電動モータ3の出力は、式(9)、および式(10)を満たすように決定する必要がある。
【0062】
図10(a)、図10(c)に示すように、クラッチ係合部55の係合状態が解除された時点においては、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aと、ウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bとの間に、僅かに間隙Sが形成されている。
【0063】
図11(a)、図11(b)、図11(c)に示すように、引き続きウォームホイール22を回転させると、クラッチ係合部55は解除されたままの状態を維持する。そして、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aに、ウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bが当接する(図11(c)参照)。
このとき、クラッチプレート42は、ウォームホイール22の第二凹部37によって押し上げられたままの状態を維持しつつ、ウォームホイール22と一体となって回転する。このため、クラッチプレート42がコイルスプリング43によって押し下げられることがない。また、ドライブプレート41の第一凸部48とクラッチプレート42の開口部53が当接することもない。
【0064】
続いて、このような状態でウォームホイール22がドライブプレート41を周方向に押圧し、これらウォームホイール22とドライブプレート41とが一体となって回転する。これにより、ドライブプレート41の回転がパワーウインド装置等に伝達される。
なお、電動モータ3を駆動させてからドライブプレート41が回転するまでの回転軸7(アーマチュア6)の回転角度は、ドライブプレート41に形成されている第一凸部48の側面48aと、ウォームホイール22に形成されている第一凹部36の側壁36bとの間の角度(第一凸部48と第一凹部36との間の周方向のガタ)であるθxとなる(図6(c)参照)。
【0065】
次に、電動モータ3を停止させ、例えば、車両のウインドガラス(不図示)を所望の位置で停止させている場合について説明する。
図12(a)、図12(b)、図12(c)に示すように、ウォームホイール22が停止した状態であるのに対し、例えば、不図示のウインドガラスの自重や車両走行時の振動等の外力によりドライブプレート41が回転し始めると、このドライブプレート41の第一凸部48の側面48aがウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bに当接する(図12(c)参照)。
このとき、ドライブプレート41は、まだウォームホイール22の第二凹部37によって押し上げられたままの状態であり、クラッチ係合部55は解除されたままの状態である(図12(a)、図12(b)参照)。
【0066】
図13(a)、図13(b)、図13(c)に示すように、ドライブプレート41が回転し続けると、ドライブプレート41は、ウォームホイール22を周方向に押圧する状態で一体となって回転する。そして、第一凸部48の側面48aがクラッチプレート42の開口部53の側面53aに当接する(図13(c)参照)。
すると、ドライブプレート41がクラッチプレート42、およびウォームホイール22を周方向に押圧する状態となり、これらドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し始める(図13(a)、図13(b)参照)。
【0067】
図14(a)、図14(b)、図14(c)に示すように、ドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し続けると、クラッチプレート42の係合突起57がクラッチ収納部17に形成されている支柱27の係合溝56上に移動する。すると、クラッチプレート42は、コイルスプリング43によって押し下げられ、係合突起57が係合溝56に嵌まり込む(図14(a)参照)。
【0068】
図15(a)、図15(b)、図15(c)に示すように、さらに、ドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し続けると、クラッチプレート42の係合突起57の側面57aと、支柱27の係合溝56の側壁56aとが互いに当接する。これにより、クラッチ係合部55が完全に係合する(図15(a)参照)。
【0069】
すると、クラッチプレート42の回転が規制されるので、これと一体となって回転していたドライブプレート41の回転が阻止される。このため、ドライブプレート41に周方向に押圧されて回転していたウォームホイール22も停止する。これによって、ウォームホイール22よりも先にドライブプレート41が回転した場合、ドライブプレート41、およびウォームホイール22の回転(逆転)が阻止される。
【0070】
次に、電動モータ3を停止させた状態で、ドライブプレート41が図12〜図15とは反対側に向かって回転し始めた場合について説明する。
図16(a)、図16(b)、図16(c)に示すように、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aがウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bの一方(図16(c)における左側)に当接している状態のとき、ドライブプレート41が他方に向かって(図16(c)における右方向に向かって)回転し始めた時点においては、クラッチ係合部55が解除されたままの状態になっている。
【0071】
図17(a)、図17(b)、図17(c)に示すように、引き続きドライブプレート41が回転すると、クラッチプレート42の開口部53の側面53aに、ドライブプレート41の第一凸部48の側面48aが当接する(図17(c)参照)。
図18(a)、図18(b)、図18(c)に示すように、ドライブプレート41が回転し続けると、ドライブプレート41は、クラッチプレート42を周方向に押圧する状態で一体となって回転する。そして、第一凸部48の側面48aがウォームホイール22の第一凹部36の側壁36bに当接する(図18(c)参照)。
すると、ドライブプレート41がクラッチプレート42、およびウォームホイール22を周方向に押圧する状態となり、これらドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し始める(図18(a)、図18(b)参照)。
【0072】
図19(a)、図19(b)、図19(c)に示すように、ドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し続けると、クラッチプレート42の係合突起57が解除された係合溝56から1つ隣の係合溝56に移動する。すると、クラッチプレート42は、コイルスプリング43によって押し下げられ、係合突起57が係合溝56に嵌まり込む(図19(a)参照)。
【0073】
ここで、周方向に隣接する係合溝56,56間の角度(距離)は、できるかぎり小さく設定することが望ましい。これは、外力によりドライブプレート41が回転した場合の回転角度を小さく設定することができるからである。しかしながら、クラッチ係合部55が解除された際、係合溝56と、これに隣接する係合溝56との間に、係合突起57が位置することになる。このため、係合溝56,56間の角度(距離)は、クラッチ係合部55の解除状態を維持可能な大きさに設定する必要がある。
これらのことに鑑みて、例えば、クラッチ収納部17の支柱27に形成されている係合溝56の両側壁56a,56aの間の角度θ2を4°程度に設定した場合、係合溝56,56間の角度θ2’は、3°程度に設定される。
【0074】
図20(a)、図20(b)、図20(c)に示すように、さらに、ドライブプレート41、クラッチプレート42、およびウォームホイール22が一体となって回転し続けると、クラッチプレート42の係合突起57の側面57aと、支柱27の係合溝56の側壁56aとが互いに当接する。これにより、クラッチ係合部55が完全に係合する(図20(a)参照)。
すると、クラッチプレート42の回転が規制されるので、これと一体となって回転していたドライブプレート41の回転が阻止される。このため、ドライブプレート41に周方向に押圧されて回転していたウォームホイール22も停止する。これによって、ウォームホイール22よりも先にドライブプレート41が回転した場合、ドライブプレート41、およびウォームホイール22の回転(逆転)が阻止される。
【0075】
(効果)
したがって、上述の第一実施形態によれば、出力側であるドライブプレート41が入力側であるウォームホイール22よりも先に回転しようとすると、クラッチプレート42の係合突起57と、クラッチ収納部17の係合溝56とが互いに係合し、ウォームホイール22に回転力が伝達されるのを防止できる。このため、従来のように回転軸7に摺動抵抗を付与することなく、回転軸7の外力による回転を防止でき、電動モータ3の出力効率の低下を防止できる。
また、コイルスプリング43によりクラッチプレート42がウォームホイール22側に付勢されているので、クラッチプレート42とドライブプレート41との間にクリアランスK1が形成されていてもクラッチプレート42のバタつきを抑えることができる。このため、クラッチ機構4の騒音を低減することができる。
【0076】
さらに、ドライブプレート41に複数(3つ)の第一凸部48を設け、クラッチプレート42に第一凸部48が貫通可能な開口部53を形成すると共に、第二凸部54を設けている。一方、ウォームホイール22に、第一凹部36、および第二凹部37を形成している。これに加え、クラッチ収納部17に形成した支柱27と、クラッチプレート42とにそれぞれクラッチ係合部55を形成している。そして、ウォームホイール22からの回転力をスムーズにドライブプレート41に伝達していると共に、ドライブプレート41の逆転を阻止している。このため、クラッチ機構4の構造を簡素化でき、製造コストを低減することができる。
また、クラッチ係合部55がクラッチプレート42の係合突起57と支柱27の係合溝56とで構成された単純なものであるので、クラッチ係合部55を省スペースに配置することができ、クラッチ機構4を小型化できる。
【0077】
なお、上述の第一実施形態では、クラッチ係合部55をクラッチ収納部17の支柱27に形成された係合溝56と、クラッチプレート42に形成された係合突起57とで構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、支柱27に係合突起57を形成する一方、クラッチプレート42に係合溝56を形成してもよい。
【0078】
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図21、図22に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図21は、この第二実施形態のクラッチ機構74の分解斜視図、図22は、クラッチプレート82を示し、(a)はドライブプレート41側からみた斜視図、(b)はウォームホイール22側からみた斜視図である。
この第二実施形態において、ウォーム減速機72に電動モータ3が着脱可能に設けられている点、ウォーム減速機72にクラッチ機構74が内装されている点、ウォーム減速機72のケーシング73は、ウォーム軸収納部16と、クラッチ収納部77とが一体成形されたものである点、クラッチ収納部77は有底筒状に形成されたものであって、この開口部77bをボトムカバー63で閉塞している点、クラッチ機構74は、ウォームホイール22と、ウォームホイール22のクラッチ収納部77の底面77aとは反対側に配置されたドライブプレート41と、ウォームホイール22とドライブプレート41との間に配置されたクラッチプレート82と、ドライブプレート41とクラッチプレート82との間に配置されクラッチプレート82をウォームホイール22側に向かって付勢するコイルスプリング43とを備えている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様である。
【0079】
ここで、第二実施形態のクラッチ収納部77には、径方向略中央に突設された支柱27の端面27aと、クラッチプレート82の支柱27に対応する部位にクラッチ係合部55が形成されておらず、クラッチ収納部77の内周面77cとクラッチプレート82の外周縁とに新たなクラッチ係合部75が形成されている。
【0080】
図21、図22(a)、図22(b)に示すように、クラッチプレート82は、略円板状に形成されたプレート本体83を有している。このプレート本体83の外径は、クラッチ収納部77の内周面77cの直径と略一致するように設定されている。
一方、クラッチ収納部77の内周面77cには、開口部77bよりも底面77a側が段差により縮径された縮径部76が形成されている。
この縮径部76の段差面76aの位置は、クラッチ収納部77にクラッチプレート82をセットした状態でプレート本体83の外周縁に当接可能な位置に設定されている。すなわち、プレート本体83は、クラッチ収納部77の支柱27と重ね合わさった状態になっていると共に、クラッチ収納部77の縮径部76の段差面76aと重ね合わさった状態になっている。
【0081】
縮径部76の段差面76aと、プレート本体83の外周縁には、クラッチ係合部75が形成されている。クラッチ係合部75は、縮径部76の段差面76aに形成された複数の係合溝78と、プレート本体83の外周縁に形成され、係合溝78に嵌合可能な係合突起79とで構成されている。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述した第一実施形態と同様の効果を奏することができる。また、前述したクラッチ機構4と、この第二実施形態のクラッチ機構74とを使い分けることで、クラッチ機構のレイアウトや減速機付モータ1の仕様などに応じてバリエーションを増大させることができ、さまざまな要望に応じることが可能になる。
【0082】
なお、上述の第一実施形態、および第二実施形態では、ウォームホイール22に第一凹部36を形成する一方、ドライブプレート41に第一凸部48を形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ウォームホイール22に第一凸部48を形成する一方、ドライブプレート41に第一凹部36を形成してもよい。
また、ウォームホイール22に第二凹部37を形成する一方、クラッチプレート42に第二凸部54を形成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ウォームホイール22に第二凸部54を形成する一方、クラッチプレート42に第二凹部37を形成してもよい。
【0083】
さらに、上述の第二実施形態では、クラッチ係合部75をクラッチ収納部77における内周面77cの段差面76aに形成された係合溝78と、クラッチプレート42の外周縁に形成された係合突起79とで構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、クラッチ収納部77の段差面76aに係合突起79を形成する一方、クラッチプレート42の外周縁に係合溝78を形成してもよい。
【0084】
(第三実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図23〜図28に基づいて説明する。
図23は、この第三実施形態のクラッチ機構94の斜視図、図24は、図23のY−Y線に沿う断面図である。
この第三実施形態において、ウォーム減速機92に電動モータ3が着脱可能に設けられている点は、上述の第一実施形態と同様である。
【0085】
ここで、図23、図24に示すように、ウォーム減速機92は、電動モータ3のコンミテータ9を受け入れるブラシホルダ部100と、ウォームギヤ11を収納するギヤ収納部(不図示)とが別体構造になっている。そして、不図示のギヤ収納部には、ウォームギヤ11、つまり、ウォームギヤ11の一方を構成するウォーム軸21と、他方を構成する不図示のウォームホイールのみ収納されている。また、ブラシホルダ部100を介してウォームギヤ11側に向かって突出する回転軸7とウォーム軸21との間にクラッチ機構94が設けられている。
【0086】
図25は、クラッチ機構94の分解斜視図である。
図24、図25に示すように、クラッチ機構94は、回転軸7のウォーム軸21側端に固定されているジョイントモータ102と、ウォーム軸21の回転軸7側端に固定されているジョイントフレーム103と、ジョイントモータ102とジョイントフレーム103との間に配置されたクラッチプレート104と、ジョイントフレーム103とクラッチプレート104との間に配置され、クラッチプレート104をブラシホルダ部100側に向かって付勢するコイルスプリング105とを備えている。
【0087】
図26は、ブラシホルダ部100を示し、(a)はアーマチュアコア8側からみた斜視図、(b)はウォーム軸21側からみた斜視図である。
図26(a)、図26(b)に示すように、ブラシホルダ部100は、電動モータ3側に開口部を有する箱状に形成されたものであって、電動モータ3のヨーク5がブラシホルダ部100の開口部を閉塞するように取り付けられる。
ブラシホルダ部100の内部には、ブラシホルダ本体107が設けられている。ブラシホルダ本体107には、ブラシ106が径方向中央に向かって出没自在に設けられている。ブラシ106は、コンミテータ9に摺接し、電力を供給するためのものである。
【0088】
ブラシホルダ部100の周壁100aには、ブラシ106に給電を行うためのピグテール108が配線され、この一端がブラシ106に接続されている。また、ブラシホルダ部100の周壁100aには、端子109が設けられており、この端子109にピグテール108の他端が接続されている。端子109は、不図示のギヤ収納部に設けられたコネクタ(不図示)に電気的に接続される。これによって外部電源の電力を電動モータ3のアーマチュア6に供給できるようになっている。
【0089】
また、ブラシホルダ部100の底面100bには、径方向略中央に回転軸7の一端側を回転自在に支持するためのすべり軸受け111が設けられている(図24参照)。さらに、ブラシホルダ部100の底面100bには、円筒状のジョイント収納部110が一体成形されている。
ジョイント収納部110は、すべり軸受け111の周囲を取り囲むように形成され、ジョイントモータ102側に向かって(図26(b)の左側に向かって)突設している。このジョイント収納部110には、ジョイントモータ102が収納されている。
【0090】
図27は、ジョイントモータ102を示し、(a)はアーマチュアコア8側からみた斜視図、(b)はウォーム軸21側からみた斜視図である。
図24、図25、図27(a)、図27(b)に示すように、ジョイントモータ102は樹脂で形成されたものであって、略円板状の本体部112を有している。本体部112の径方向中央には、この大部分に角孔113が形成されている。
一方、回転軸7のウォーム軸21側端には、二方面取り部114が形成されており(図25参照)、この二方面取り部114が本体部112の角孔113に挿入されるようになっている。これにより、回転軸7とジョイントモータ102とが相対回転不能、かつ軸方向に移動可能に連結される。
【0091】
本体部112の外周面には、軸方向平面視略扇状の突出部115が径方向外側に向かって3箇所設けられている。そして、これら突出部115は、周方向に等間隔で配置されている。各突出部115の回転軌跡に直径は、ジョイント収納部110の内径よりもやや小さく設定されている。また、各突出部115のクラッチプレート104側の面には、突出部115の平面視形状に対応するように軸方向平面視略扇状の凹部116がそれぞれ形成されている。
【0092】
凹部116は、クラッチプレート104側と径方向外側とが開口された状態になっており、底壁116aと、一対の側壁116b,116bと、底壁116aと側壁116bとを連結するように形成された斜壁116cとを有している。この斜壁116cによって、凹部116の軸方向の深さは、周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなっている。
【0093】
図28はジョイントフレーム103を示し、(a)はジョイントモータ102側からみた斜視図、(b)はウォーム軸21側からみた斜視図である。
図24、図25、図28(a)、図28(b)に示すように、ジョイントフレーム103は樹脂で形成されたものであって、略円板状に形成された本体部117を有している。本体部117の外径は、ジョイントモータ102に形成されている突出部115の回転軌跡の直径と略一致するように設定されている。
【0094】
本体部117の径方向中央には、この大部分にウォーム軸21の回転軸7側端を挿通可能な挿通孔118が形成されている。この挿通孔118の内周面には、スプライン加工が施されている。一方、ウォーム軸21の回転軸7側端には、外周面にスプライン加工が施されており、ジョイントフレーム103とウォーム軸21とが互いにスプライン嵌合するようになっている。
【0095】
また、挿通孔118のジョイントモータ102側には、内フランジ部121が本体部117のジョイントモータ102側の面117aと面一になるように形成されている。さらに、本体部117の面117aには、内フランジ部121の周囲を取り囲むように形成された円環部122が設けられている。これら内フランジ部121と円環部122は、コイルスプリング105の一端を受け入れるスプリング収納部123として機能している。
【0096】
本体部117のジョイントモータ102側の面117aには、外周側に軸方向平面視扇状の凸部119が軸方向に沿って3箇所突設している。これら凸部119は、ジョイントモータ102に形成されている各突出部115間に対応するように、周方向に等間隔で配置されている。さらに、凸部119の軸方向の長さは、ジョイントフレーム103をセットした際、ジョイントモータ102に形成されている各突出部115間に介在可能な長さに設定されている。
【0097】
ジョイントモータ102に形成されている各突出部115間に、凸部119が介在することで、ジョイントモータ102が回転すると、突出部115の側面115aがジョイントフレーム103の凸部119の側面119aに当接する。そして、ジョイントモータ102と、ジョイントフレーム103とが一体となって回転する。これにより、回転軸7の回転力がウォーム軸21に伝達される。
【0098】
すなわち、クラッチ機構94のうち、ジョイントモータ102は、電動モータ3の回転軸7の回転が入力される駆動回転体の役割を有している。一方、ジョイントフレーム103は、駆動回転体であるジョイントモータ102の回転をウォーム軸21に出力する従動回転体の役割を有している。また、ジョイントモータ102の各突出部115間は、それぞれ対応するジョイントフレーム103の凸部119と係合する係合部120としての機能を有している。
【0099】
図29はクラッチプレート104を示し、(a)はジョイントモータ102側からみた斜視図、(b)はジョイントフレーム103側からみた斜視図である。
図24、図25、図29(a)、図29(b)に示すように、クラッチプレート104は樹脂で形成されたものであって、略円板状に形成されたプレート本体124を有している。プレート本体124の外径は、ブラシホルダ部100に設けられたジョイント収納部110の外径と略一致するように設定されている。プレート本体124の径方向中央には、回転軸7を挿通するための挿通孔125が形成され、ここに回転軸7が挿通される。すなわち、クラッチプレート104は、回転軸7に回転自在に支持された状態になっている。
【0100】
また、プレート本体124において、ジョイントフレーム103の凸部119に対応する部位に、開口部(貫通孔)126が3箇所形成されている。この開口部126は、ジョイントフレーム103の凸部119の断面形状に対応するように、軸方向平面視で略扇状に形成されている。開口部126の周方向の幅は、ジョイントフレーム103の凸部119の周方向の幅よりも大きくなるように設定されている。開口部126には、第一凸部48が貫通されている。つまり、ジョイントフレーム103の凸部119は、クラッチプレート104の開口部126を介してジョイントモータ102の係合部120に介在した状態になっている。
【0101】
プレート本体124のジョイントフレーム103側の面124aには、コイルスプリング105の他端を受け入れるスプリング収納部127が形成されている。コイルスプリング105は、圧縮変形した状態で、この両端部がジョイントフレーム103に設けられたスプリング収納部123と、クラッチプレート104に形成されたスプリング収納部127とにそれぞれ収納されることにより保持される。すなわち、コイルスプリング105は、クラッチプレート104をジョイントモータ102側に付勢した状態になっている。
【0102】
一方、プレート本体124のジョイントモータ102側の面124bには、ジョイントモータ102の突出部115に形成されている凹部116に対応する部位に、凸部128が3箇所設けられている。この凸部128は、凹部116の軸方向平面視の形状に対応するように、軸方向平面視で略扇状であって、かつ軸方向断面で四角形状に形成されている。
【0103】
凸部128の周方向の幅は、ジョイントモータ102の凹部116の周方向の幅よりも小さくなるように設定され、凹部116に凸部128が挿入された状態になっている。そして、ジョイントモータ102が回転すると、この凹部116の側壁116b、および斜壁116cと、凸部128の周方向の側面128aとが周方向で当接するようになっている。
【0104】
ここで、ブラシホルダ部100に設けられているジョイント収納部110に、ジョイントモータ102が収納されている一方、クラッチプレート104のプレート本体124の外径は、ジョイント収納部110の外径と略一致するように設定されているので、ジョイント収納部110の周縁と、クラッチプレート104のプレート本体124の外周縁とが重ね合わさった状態になる。この互いに重ね合わさったジョイント収納部110の周縁と、プレート本体124の外周縁には、クラッチ係合部130が形成されている。
クラッチ係合部130は、ジョイント収納部110の周縁に形成された複数の係合溝131と、プレート本体124の外周縁に形成され、係合溝131に嵌合可能な複数の係合突起132とで構成されている。これら係合溝131と係合突起132は、それぞれ周方向に等間隔で形成されている。
【0105】
このようなクラッチ機構94は、図23〜図24に示すように、ブラシホルダ部100に、ジョイントモータ102、クラッチプレート104、コイルスプリング105、およびジョイントフレーム103の順で取り付けられ、回転軸7の端面とウォーム軸21の端面とが互いに対向した状態になる。
ここで、回転軸7の端面とウォーム軸21との間には、スチールボール135が設けられている。このスチールボール135によって、回転軸7、およびウォーム軸21に生じるスラスト荷重を互いに受け合うようになっている。また、ウォーム軸21の回転軸7側端面には、断面略円錐状の凹部136が形成されており、ここにスチールボール135がセットされるようになっている。これにより、スチールボール135の移動が規制される。
【0106】
また、クラッチ機構94を組み付けた際、クラッチプレート104とジョイントフレーム103の本体部117との間には、クリアランスK5が形成されているようになっている(図24参照)。このクリアランスK5は、クラッチ係合部130の係合状態が解除可能、つまり、ブラシホルダ部100のジョイント収納部110に形成されている係合溝131からクラッチプレート104に形成されている係合突起132が軸方向に沿って離反可能な大きさに設定されている。
【0107】
そして、電動モータ3を駆動させることにより、ジョイントモータ102がジョイントフレーム103よりも先に回転した場合、ジョイントモータ102の突出部115の側面115aがジョイントフレーム103の凸部119の側面119aに当接するよりも先に、ジョイントモータ102の凹部116の斜壁116cがクラッチプレート42の凸部128の角部128b(図29参照)に当接するようになっている。このため、クラッチプレート42が押し上げられ、クラッチ係合部130が解除された状態で、ジョイントモータ102の突出部115の側面115aがジョイントフレーム103の凸部119の側面119aに当接し、ジョイントフレーム103に回転力が伝達される。
【0108】
一方、外力によりジョイントフレーム103がジョイントモータ102よりも先に回転した場合、ジョイントフレーム103の凸部119の側面119aがジョイントモータ102の突出部115の側面115aに当接するよりも先に、クラッチプレート42に形成されている開口部126の周方向側面126aに当接するようになっている。このため、クラッチ係合部130の係合状態が維持されたままの状態になるので、ジョイントフレーム103の逆転が阻止される。
【0109】
すなわち、この第三実施形態におけるジョイントモータ102の各突出部115間に設けられた係合部120は、前述の第一実施形態のウォームホイール22の第一凹部36(図6参照)に相当している。また、ジョイントモータ102の凹部116は、前述の第一実施形態のウォームホイール22の第二凹部37(図6参照)に相当している。
さらに、ジョイントフレーム103の凸部119は、前述の第一実施形態のドライブプレート41の第一凸部48(図6参照)に相当している。
【0110】
そして、クラッチプレート104の凸部128は前述の第一実施形態のクラッチプレート42の第二凸部54(図6参照)に相当している。また、クラッチプレート104の開口部126は、前述の第一実施形態のクラッチプレート42の開口部53に相当している。さらに、ブラシホルダ部100に設けられているジョイント収納部110、およびクラッチプレート104のプレート本体124に形成されたクラッチ係合部130は、前述の第一実施形態のクラッチ係合部55(図6参照)に相当している。
【0111】
したがって、上述の第三実施形態によれば、上述の第一実施形態と同様の効果に加え、ウォーム減速機92よりも電動モータ3に近い箇所で回転軸7の外力による逆転を防止することができる。このため、ウォーム減速機92の複雑化を防止することができる。また、回転軸7の回転力をウォーム減速機92側に伝達し易くなり、電動モータ3の出力効率を向上させることが可能になる。
【0112】
なお、上述の第三実施形態では、クラッチ係合部130をブラシホルダ部100のジョイント収納部110に形成された係合溝131と、クラッチプレート104の外周縁に形成された係合突起132とで構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラシホルダ部100のジョイント収納部110に係合突起132を形成する一方、クラッチプレート104の外周縁に係合溝131を形成してもよい。
【0113】
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
さらに、上述の実施形態では、減速機付モータ1は、例えば、車両のパワーウインド装置等に用いられるものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、さまざまな装置に用いることが可能である。
【0114】
そして、上述の第一実施形態、および第二実施形態ではクラッチプレート42、82をウォームホイール22側に向かって付勢する弾性部材としてコイルスプリング43を用い、上述の第三実施形態では、クラッチプレート104をジョイントモータ102側に向かって付勢する弾性部材としてコイルスプリング105を用いた場合について説明した。しかしながら、圧縮変形させて用いる弾性部材であればよく、例えば、コイルスプリング43,105に代わって、板バネ等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 減速機付モータ
2,92 ウォーム減速機(減速機構)
3 電動モータ
4,94 クラッチ機構
13 ケーシング
21 ウォーム軸
22 ウォームホイール(駆動回転体)
27 支柱
27a 端面
35 挿通孔
36 第一凹部(第一係合部)
36a,37a,116a 底壁
36b,37b,116b 側壁
37 第二凹部(第二係合部)
37c,116c 斜壁
41 ドライブプレート(従動回転体)
42,82,104 クラッチプレート
43,105 コイルスプリング(弾性部材)
44 プレート本体
44a,44b 面
48 第一凸部
53,126 開口部(貫通孔)
54 第二凸部
54a,128a 側面
54b,128b 角部
55,75,130 クラッチ係合部
56,131 係合溝
57,132 係合突起
100 ブラシホルダ部(ブラシホルダ)
102 ジョイントモータ(駆動回転体)
103 ジョイントフレーム(従動回転体)
110 ジョイント収納部(収納部)
115 突出部
116 凹部(第二係合部)
119 凸部(第一凸部)
120 係合部(第一係合部)
124 プレート本体
124a 面
128 凸部(第二凸部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータの回転が入力される駆動回転体と、
前記駆動回転体と係合し、前記電動モータの回転を出力する従動回転体と、
前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、軸方向に沿って前記駆動回転体に対して近接・離反可能に設けられていると共に、前記駆動回転体、および前記従動回転体に係合可能なクラッチプレートと、
前記従動回転体と前記クラッチプレートとの間に配置され、前記クラッチプレートを前記駆動回転体側に向かって付勢する弾性部材と、
これら駆動回転体、従動回転体、クラッチプレート、および弾性部材を収容するケーシングとを備え、
前記クラッチプレート、および前記ケーシングに、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接している状態で互いに係合可能なクラッチ係合部をそれぞれ設け、
前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接し、前記駆動回転体の回転が阻止されると共に、
前記従動回転体よりも先に前記駆動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体から離反し、前記従動回転体が前記駆動回転体と共回りするように構成されていることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項2】
前記駆動回転体と前記従動回転体のそれぞれ対向面の何れか一方に、複数の第一凸部を設けると共に、他方に、前記複数の第一凸部と周方向で当接可能な複数の第一係合部を設け、
前記駆動回転体と前記クラッチプレートのそれぞれ対向面の何れか一方に、複数の第二凸部を設けると共に、他方に、前記複数の第二凸部と周方向で当接可能な第二係合部を設け、
前記クラッチプレートに、前記第一凸部が貫通可能な複数の貫通孔を形成し、
前記駆動回転体が回転すると、前記第一係合部が前記第一凸部に当接するよりも先に前記第二係合部と前記第二凸部とが互いに当接し、この第二凸部が前記第二係合部によって前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のクラッチ機構。
【請求項3】
前記従動回転体の前記駆動回転体側の面に複数の第一凸部を設け、
前記クラッチプレートに、前記複数の貫通孔を形成すると共に、前記駆動回転体側の面に複数の第二凸部を設ける一方、
前記駆動回転体の前記従動回転体側の面に、前記複数の第一係合部を設けると共に、前記複数の第二係合部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクラッチ機構。
【請求項4】
前記第一係合部、および前記第二係合部は、断面略コの字の凹状に形成されたものであって、
前記第二係合部の側壁と底壁との接合部分には、前記第二係合部の深さが周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなるように斜壁部が形成され、
この斜壁部に前記第二凸部の角部が当接することにより、前記第二凸部が前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のクラッチ機構。
【請求項5】
前記ケーシングに、前記駆動回転体を回転自在に支持するための支柱を設けると共に、前記駆動回転体に、前記支柱を挿通可能な挿通孔を形成し、
前記支柱の前記クラッチプレート側の端面と、前記クラッチプレートの前記駆動回転体側の面であって前記支柱に対応する部位とに、それぞれ前記クラッチ係合部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のクラッチ機構。
【請求項6】
前記ケーシングの内周面と前記クラッチプレートの外周縁とに、それぞれ前記クラッチ係合部を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載のクラッチ機構。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れかに記載のクラッチ機構の駆動回転体をウォームホイールとし、
このウォームホイールに噛合うウォーム軸と、このウォーム軸に前記電動モータを連結させたことを特徴とする減速機付モータ。
【請求項8】
ブラシホルダを備えた電動モータの回転軸と、減速機構とを連結するクラッチ機構であって、
前記回転軸に連結される駆動回転体と、
前記駆動回転体と係合し、前記回転軸の回転力を前記減速機構に伝達する従動回転体と、
前記駆動回転体と前記従動回転体との間に配置され、軸方向に沿って前記駆動回転体に対して近接・離反可能に設けられていると共に、前記駆動回転体、および前記従動回転体に係合可能なクラッチプレートと、
前記従動回転体と前記クラッチプレートとの間に配置され、前記クラッチプレートを前記駆動回転体側に向かって付勢する弾性部材とを備え、
前記ブラシホルダに前記駆動回転体を収納可能な収納部を設け、
この収納部の周縁と前記クラッチプレートの外周側とに、それぞれ前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接している状態で互いに係合可能なクラッチ係合部を設け、
前記駆動回転体よりも先に前記従動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体に近接し、前記駆動回転体の回転が阻止されると共に、
前記従動回転体よりも先に前記駆動回転体が回転するとき、前記クラッチプレートが前記駆動回転体から離反し、前記従動回転体が前記駆動回転体と共回りするように構成されていることを特徴とするクラッチ機構。
【請求項9】
前記従動回転体の前記駆動回転体側の面に複数の第一凸部を設け、
前記クラッチプレートに、前記第一凸部を貫通可能な複数の貫通孔を形成すると共に、前記駆動回転体側の面に複数の第二凸部を設ける一方、
前記駆動回転体に、前記第二凸部と周方向で当接可能な複数の第二係合部を設けると共に、各第二係合部の間を、それぞれ前記第一凸部と周方向で当接可能な第一係合部に設定し、
前記駆動回転体が回転すると、前記第一係合部が前記第一凸部に当接するよりも先に、前記第二係合部と前記第二凸部とが当接し、この第二凸部が前記第二係合部によって前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載のクラッチ機構。
【請求項10】
前記第二係合部は、断面略コの字の凹状に形成されたものであって、
前記第二係合部の側壁と底壁との接合部分には、前記第二係合部の深さが周方向外側に向かうに従って徐々に浅くなるように斜壁部が形成され、
この斜壁部に前記第二凸部の角部が当接することにより、前記第二凸部が前記従動回転体側に押し上げられるように構成されていることを特徴とする請求項9に記載のクラッチ機構。
【請求項11】
請求項8〜請求項10の何れかに記載のクラッチ機構と、
このクラッチ機構によって互いに連結される前記電動モータ、および減速機構とを備えた減速機付モータであって、
前記減速機構は、ウォーム軸、およびこれに噛合うウォームホイールを備え、
前記ウォーム軸と前記従動回転体とを相対回転不能に連結したことを特徴とする減速機付モータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2010−230153(P2010−230153A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81512(P2009−81512)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000144027)株式会社ミツバ (2,083)
【Fターム(参考)】