クロック供給装置
【課題】上位からのクロックに位相同期したクロックを供給するクロック供給装置に関し、現用系と予備系とのクロックの位相を一致させる。
【解決手段】システムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系システムクロック供給装置1aと予備系クロックを出力する予備系システムクロック供給装置1bとを有し、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部2a,2bと、このDPLL部2a,2bからのクロックを遅延制御する可変遅延回路4a,4bと、この可変遅延回路4a,4bを介して出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相を比較する位相比較部7a,7bと、この位相比較部7a,7bによる現用系クロックと予備系クロックとの位相比較結果により、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御する位相比較判定部5a,5bとをそれぞれ備えている。
【解決手段】システムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系システムクロック供給装置1aと予備系クロックを出力する予備系システムクロック供給装置1bとを有し、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部2a,2bと、このDPLL部2a,2bからのクロックを遅延制御する可変遅延回路4a,4bと、この可変遅延回路4a,4bを介して出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相を比較する位相比較部7a,7bと、この位相比較部7a,7bによる現用系クロックと予備系クロックとの位相比較結果により、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御する位相比較判定部5a,5bとをそれぞれ備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現用系のシステムクロック供給装置と予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して通信を行う通信装置は、システムクロックに同期して送受信処理を実行するものである。その為に、上位装置からのシステムクロックを受信して、そのシステムクロックに位相同期したクロックを再生し、そのクロックを装置内各部に供給する為のシステムクロック供給装置を設けることになる。その場合、信頼性向上の為に、現用系と予備系との二重化構成を適用する場合が一般的である。
【0003】
図12は、従来の二重化構成を適用したクロック供給装置を示し、101a、101bはN系(現用系)及びE系(予備系)とのシステムクロック供給装置、102a,102bはDPLL部(位相同期部)、103a,103bは位相合わせ部,104a,104bはCLK(クロック)分配部、105a,105b,106a,106b,107a,107bはバッファを示す。図示を省略した上位装置からのシステムクロックを現用系と予備系とのシステムクロック供給装置101a,102bに入力し、DPLL部102a,102bによりシステムクロックに位相同期化したクロックを再生し、CLK分配部104a,104bから分配出力する現用系と予備系とのクロックを、図示を省略した現用予備切替手段により切替えて、装置内各部の動作クロックとするものである。
【0004】
なお、バッファは、入力インピーダンスが出力特性に影響を与えないようにしたバッファアンプに相当する。又DPLL部102a,102bは、現用系と予備系との出力クロック位相が同一となるように、位相合わせ部103a,103bにより、上位装置からのシステムクロックと、バッファ106a,106b,107a,107bを介した他方のDPLL部からの出力クロックとの位相比較を行い、位相が一致するように出力クロックの位相を制御する構成を有するものであり、システムクロックと出力クロックとの周波数が同一でない場合、位相合わせ部103a,103bは、システムクロックの周波数と同一の周波数となるように出力クロックを分周して位相比較を行う構成を備えている。
【0005】
又現用系と予備系とのクロックを切替える切替回路に於いて、予め現用系と予備系とのクロック位相を比較し、位相差と位相の進み遅れとを検出して、現用系と予備系とのクロックに対する遅延量を設定し、現用系と予備系とのクロックを切替えた場合のクロック位相の変化を防止する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又上位装置からのクロックを現用系と予備系とのクロック受信部に入力し、クロック受信部は2分岐して、一方は自系、他方は他系のそれぞれ現用系と予備系とのクロック分配部に入力し、現用系のクロックは、そのままセレクタに、予備系のクロックは遅延素子を介してセレクタにそれぞれ入力し、セレクタにより選択したクロックを位相制御発振器に入力し、遅延素子により、セレクタを介して位相制御発振器に入力される現用系と予備系とのクロックの位相を同一となるように処理する手段が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−2438号公報
【特許文献2】特開平5−244132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現用系と予備系との冗長構成を備えると共に、高精度の周波数安定度が要求されるクロック供給装置に於いては、冗長構成の何れか一方を運用系とした時に、クロック停止又は異常周波数出力発生となると、他方の待機系へ切替えるものであるが、その際に、切替える前のクロック位相と、切替えた後のクロック位相とが変化する場合が多いものである。例えば、携帯電話基地局に於いて、現用系と予備系とのクロック切替え等により、急激なクロック位相の変化が発生すると、音声通話の場合は一瞬の音声途切れが発生し、又データ通信の場合はデータ欠落が発生する。特に、データ通信の高速化に伴って、データ欠落量が大きくなる問題がある。又パケット通信に於けるデータ欠落時は、再送処理を行うことができるが、テレビ電話等のリアルタイム映像配信サービスに於けるデータ欠落は、表示画面上にモザイク状のブロックノイズが現れる異常状態となり、音声通話のみの場合に比較して、クロック位相の急激な変動の影響は大きくなる問題がある。
【0007】
又クロック供給装置は、基準位相のクロックと、発生したクロックとの位相比較により、出力クロック位相を基準位相クロックに同期化するPLL回路を用いた構成が一般的であり、このPLL回路に於けるカットオフ周波数を低くすることにより、位相変動を低減することができるが、その場合に、位相同期引き込み時間が増加するから、運用開始時間が長くなる問題がある。又図12に示すような従来のクロック供給装置に於いては、システムクロックの入力側で、位相合わせを行うことになるが、出力側までの各種電子回路素子の遅延時間にバラツキがあり、温度変動、動作電圧変動及び経年変化等による素子特性の変動があるから、これらを考慮すると、変動要因の影響を受けないように回路設計を行うとしても、非常に複雑となって、回路設計が破綻する可能性が高くなり、又安価な回路素子を用いた回路設計は不可能に近いものとなる。又二乗平均包等の統計分布手法を適用した設計方法を用いることもできるが、大量に生産される民生用機器に対しては、不良率の増大により、実現性が乏しいものであった。
【0008】
又各種の通信装置に於いて、ユニット、パッケージ、ボード等の構成単位の各種の機能部を実装して構成する場合が一般的であり、クロック供給装置から複数の装置構成単位にクロックを分配するものであるから、現用、予備のクロック切替えに対する位相合わせの手段をそれぞれのクロック分配先の装置構成単位毎に設けることは、システムコストの上昇につながる問題がある。
【0009】
本発明は、前述の従来の問題点を解決するものであり、現用、予備の冗長構成によるクロックの発生手段に於いて、クロック出力端側で、現用、予備のクロック位相を一致させて、現用、予備の切替時の位相を一定に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のクロック供給装置は、上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有し、現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えている。
【0011】
又前記位相比較部は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、現用系クロックをデータ端子に、予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、現用系クロックをクロック端子に、予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備え、予備系進み検出信号を保持するラッチ回路と、予備系遅れ検出信号を保持するラッチ回路とにより、何れか一方の検出信号保持により他方をリセットする構成とすることができる。
【0012】
又前記位相比較部は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備え、位相差量をディジタル値として出力する。
【0013】
又前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有し、ディレイラインの選択接続により、最小遅延量のディレイラインのステップ量で遅延量を制御する。
【0014】
又前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、この基準遅延量を、現用系クロックと予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、予備系クロックの進み位相検出時に、基準遅延量より予備系クロックに対する遅延量を増加し、予備系クロックの遅れ位相検出時に、基準遅延量より予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えることができる。
【発明の効果】
【0015】
上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックと予備系クロックとを発生して、正常時は、現用系クロックを装置内各部に供給するもので、現用系システムクロック供給装置1aの出力端のCLK分配部6aからの現用系クロックと、予備系システムクロック供給装置1bの出力端のCLK分配部6bからの予備系クロックとの位相を比較して、位相が一致するように、可変遅延回路4a,4bを制御するもので、システムクロック供給装置1aの出力端の現用系クロックと、システムクロック供給装置1bの出力端の予備系クロックとの位相を、各部を構成する回路素子特性の温度変化や経年変化に関係なく一致させることが可能となり、従って、現用系クロックと予備系クロックとを切替えた時に、位相変動が生じないから、装置内各部の動作を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のクロック供給装置は、図1を参照すると、上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置1aと予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置1bとを有し、現用系と予備系とのシステムクロック供給装置1a,1bは、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部2a,2bと、このDPLL部2a,2bからのクロックを遅延制御する可変遅延回路4a,4bと、この可変遅延回路4a,4bを介して出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相を比較する位相比較部7a,7bと、この位相比較部7a,7bによる現用系クロックと予備系クロックとの位相比較結果により、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御する位相比較判定部5a,5bとをそれぞれ備えている。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1aはN系(現用系)のシステムクロック供給装置、1bはE系(予備系)のシステムクロック供給装置、2a,2bはDPLL部(位相同期部)、3a,3bは位相合わせ部、4a,4bは可変遅延回路、5a,5bは位相判定部,6a,6bはクロックを装置内の各部に分配するCLK分配部、7a,7bは位相比較部、8a、8b,9a,9b,10a,10bは信号入力側のインピーダンスの影響を除く為のバッファ(Buffer)を示す。
【0018】
現用系と予備系とのシステムクロック供給装置1a,1bは、同一構成を有するものであり、図示を省略した上位システムからシステムクロックをDPLL部2a,2bに入力し、一方のDPLL部2aの出力クロックを、他方のDPLL部2bに入力し、この他方のDPLL部2bの出力クロックを一方のDPLL部2aに入力して、システムクロックに位相同期化したクロックを再生し、再生した出力クロックを可変遅延回路4a,4bを介してCLK分配部6a,6bに入力し、分配出力した現用系と予備系とのクロックを一方と他方との位相比較部7a,7bにそれぞれ入力し、現用系と予備系との分配出力したクロックの位相を比較し、位相比較判定部5a,5bにより位相差と位相進み遅れとを基に、可変遅延回路4a,4bを制御して、現用系と予備系とのクロック位相を常に一致させる。従って、現用系システムクロック供給装置1aのCLK分配部6aから分配出力する現用系クロックの位相と、予備系システムクロック供給装置1bのCLK分配部6bから分配出力する予備系クロックの位相とは、常に一致させることが可能となり、システムクロック入力端から、クロック分配部6a,6bまでの回路素子等による位相変動要因の影響を除くことができる。
【0019】
なお、バッファ8a〜10a,8b〜10bは、入力インピーダンスが出力特性に影響を与えないようにしたバッファアンプに相当し、又DPLL部2a,2bは、現用系と予備系との出力クロック位相が同一となるように、位相合わせ部3a,3bにより、上位装置からのシステムクロックと、バッファ6a,6b,7a,7bを介した他方のDPLL部からの出力クロックとの位相比較を行い、位相が一致するように出力クロックの位相を制御する構成を有するものであり、システムクロックと出力クロックとの周波数が同一でない場合、位相合わせ部3a,3bは、システムクロックの周波数と同一の周波数となるように出力クロックを分周して位相比較を行う構成を備えているものであり、DPLL部2a,2bは既に知られている各種の構成を適用することもできる。
【0020】
図2は、位相比較部の説明図であり、図1に於ける位相比較部7a,7bの構成の一例を示す。同図に於いて、11は位相比較器、12は積分回路、13,15はフリップフロップ(FF)、14,16はラッチ回路を示す。位相比較器11は、排他的論理和回路構成の場合を示し、位相比較器11は、排他的論理和構成の場合を示し、CLK分配部6a,6b(図1参照)から分配出力する現用系クロックと予備系クロックとの立上がりのタイミング差のパルス幅の出力信号を積分回路12に入力する。この積分回路12は、位相差に対応した位相比較出力信号を積分して、位相差電圧信号とする。
【0021】
又フリップフロップ13は、現用系クロックをデータ端子Dに、予備系クロックをクロック端子clkにそれぞれ入力し、現用系クロックの立上がりタイミングより予備系クロックの立上がりが遅れている場合に出力端子Qを“1”とし、ラッチ回路14によりラッチして、予備系遅れ検出信号とする。又フリップフロップ15は、予備系クロックをデータ端子Dに、現用系クロックをクロック端子clkにそれぞれ入力し、現用系クロックの立上がりタイミングより予備系クロックの立上がりタイミング進んでいる場合に出力端子Qを“1”とし、ラッチ回路16によりラッチして、予備系進み検出信号を出力する。又ラッチ回路14,16は、何れか一方のみがラッチする状態となるものであり、一方がラッチした場合は、他方をリセット信号によりリセットして、予備系遅れ検出信号と予備系進み検出信号との両方が同時に出力されないように構成する。又前述の位相差電圧信号と、予備系遅れ検出信号と、予備系進み検出信号とを、図1に於ける位相比較判定部5a,5bに入力する。
【0022】
位相比較判定部5a,5b(図1参照)は、位相比較部7a,7bからの前述の位相差電圧信号と、予備系遅れ検出信号と、予備系進み検出信号とにより、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御して、CLK分配部6a,6bに入力される現用系クロックと予備系クロックとの位相を一致させる。従って、CLK分配部6a,6bから分配出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相は、内部回路素子の特性の影響を除いて、常に一致するように制御することができる。又現用系クロックに対する予備系クロックの遅れ、進みを検出する場合を示し、この検出結果により、予備系の可変遅延回路4b(図1参照)を制御するものであるが、現用系の可変遅延回路4a(図1参照)は、例えば、遅延量零の状態を維持することができる。又予備系のCLK分配部6bからのクロックを選択して運用する場合、前述の予備系と現用系との関係を反転して、分配出力するクロック位相を一致させる制御を行うことができる。
【0023】
図3は、高速サンプリングによる位相差測定の説明図であり、(A)は動作説明図で、現用系クロックと予備系クロックと位相差と高速サンプリングクロックとのそれぞれ一例を示し、(B)は回路構成説明図である。現用系クロックと予備系クロックとの周波数をnMHzとし、高速サンプリングクロックをその10倍のn×10MHzとした場合を示す。回路構成は、現用系クロックと予備系クロックとを入力するゲート回路21と、このゲート回路の出力信号をデータ端子Dに、高速サンプリングクロックをクロック端子clkにそれぞれ入力するフリップフロップ(FF)22と、このフリップフロップ22の出力端子Qからの出力信号と高速サンプリングクロックとを入力するカウンタ回路23とを含む構成の場合を示す。
【0024】
現用系クロックと予備系クロックとの位相差が、図3の(A)に示す場合、ゲート回路21の出力信号は、予備系クロックをゲート回路21のインヒビット端子に入力することにより、現用系クロックの立上がりから予備系クロックの立上がりまでの時間を位相差として示すものとなる。フリップフロップ22は、このゲート回路21の出力信号の時間長即ち位相差を高速サンプリングクロックにより保持し、出力保持期間内の高速サンプリングクロック数をカウンタ回路23によりカウントする。それにより、カウンタ回路23のカウント値は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差分を示すものとなる。この場合、(A)に示すタイミング関係であると、予備系クロックは、現用系クロックの立上がりから、2パルス分の高速サンプリングクロック期間の遅れがあり、従って、t1、t2のタイミングの高速サンプリングクロックをカウンタ回路23によりカウントアップすることになる。なお、ゲート回路21のインヒビット端子に現用系クロックを入力する構成とすると、予備系クロックが進み位相の場合のカウント値を進み位相差分を示すものとなる。又高速サンプリングクロックを更に高速とすることにより、更に細かい分解能で位相差を検出することができる。
【0025】
図4は、(A)予備系位相遅れ検出時と、(B)予備系位相進み検出時とに於ける現用系クロック、予備系クロック、位相比較器出力の波形、予備系進み検出信号、予備系遅れ検出信号を示し、図2に示す構成を参照して説明すると、位相比較器11の出力信号は、予備系クロック位相の進み遅れに関係なく、現用系クロックと予備系クロックとの位相差の期間、“1”となる。即ち、図4の(A),(B)に示す現用系クロックと予備系クロックとの位相差があれば、その位相差の期間“1”となる。又現用系クロックに対して予備系クロックが遅れている場合、フリップフロップ13の出力信号は、現用系クロックが“1”となった後に、予備系クロックが“1”となるから、“1”となる。即ち、ラッチ回路14によりラッチして、予備系遅れ検出信号が出力される。又フリップフロップ15の出力信号は、現用系クロックが“1”となった時に、予備系クロックは“0”であるから、フリップフロップ15の出力信号は“0”の状態を継続する。反対に、予備系クロックが現用系クロックより進み位相の場合は、フリップフロップ13の出力信号は“0”を継続し、フリップフロップ15の出力信号は“1”となり、予備系進み検出信号が出力される。
【0026】
図5は、位相比較部の出力特性の説明図であり、縦軸は電圧、横軸は位相差を示し、位相比較部7a,7b(図1参照)の積分回路12(図2参照)の出力特性の概要を示す。即ち、位相比較器11からの位相差信号を積分回路12により積分し、DPLL部2aから出力する現用系クロックと、DPLL部2bから出力する予備系クロックとの位相差に比例した位相差電圧として出力する場合を示す。実際には、図示の特性曲線のように、僅かではあるが、リプル成分を含むことを示している。
【0027】
図6は、図1に示すDPLL部2a,2bのジッタ/ワンダが、位相比較部7a,7bの出力特性に影響を及ぼす例を示すものであり、瞬間的な誤差を含む位相差成分を電圧変換することにより、位相比較部7a,7bの出力特性には、図示のような位相誤差を含むものとなる。
【0028】
図7は、位相比較判定部の説明図であり、図1に於ける位相比較判定部5a,5bの構成を示し、31はA/D変換部、32はCPU(プロセッサ)、33はメモリ、34は変換テーブルを示す。又位相差電圧信号from位相比較部は、図2に示す位相比較部の積分回路12からの位相差電圧信号を示し、この位相差電圧をA/D変換部31に入力し、ラッチ回路14からの予備系遅れ検出信号と、ラッチ回路16からの予備系進み検出信号とをCPU32に入力し、又A/D変換部31により変換した位相差データをCPU32に入力する。CPU32は、例えば、入力された複数回の測定データをメモリ33に格納し、平均値を算出して、変換テーブル34により、可変遅延回路4a,4b(図1参照)に対する可変ステップ信号を求め、可変ステップ信号to可変遅延回路として示すように、可変ステップ信号を、可変遅延回路4a,4b(図1参照)に入力する。又CPU32により、位相差測定結果を複数回メモリ33に蓄積して平均値算出を行うことにより、図5に示すリプルを含む位相差電圧信号及び図6に示すジッタを含む位相差電圧信号のリプルやジッタ/ワンダの影響を除去することができる。
【0029】
図8は、メモリ内容の説明図であり、例えば、CPU32に於いて、10回の位相差比較結果の平均値を求める場合、予備系進み検出信号と、予備系遅れ検出信号と、位相差変換データとを10回分格納する。図示の場合は、予備系進み検出信号が“1”、予備系遅れ検出信号が“0”が継続し、3ビット構成で示す位相差変換データが“110”,“111”,“110”,“101”・・・として保持する。なお、位相差変換データは、3ピット構成に限定されるものではなく、所望のビット構成とすることができる。又予備系進み検出信号と予備系遅れ検出信号との論理構成は、識別判定可能の論理構成とすることができる。
【0030】
図9の(A)は、可変遅延回路、(B)は変換テーブルの説明図であり、図1に於ける可変遅延回路4a,4bを、図9の(A)に示すように、複数のそれぞれ異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとを、セレクタにより選択的に切替える4段構成とした場合を示し、D0〜D3により各段のセレクタが制御される。この場合の各段のディレイラインの遅延量を、100ps,200ps,400ps,800psとし、各段のセレクタにより全ディレイラインを選択接続すると、遅延量1500psの最大遅延量となり、又各段のセレクタにより全バイパスラインを選択接続すると、遅延量0となる。又1段目のディレイラインのみを選択接続すると、遅延量100ps、1段目と3段目とのディレイラインを選択接続すると、遅延量は500psとなる。従って、可変遅延回路は、更に多数の異なる遅延量のディレイラインを組み合わせることにより、多種類の遅延量とすることが可能であり、又更に遅延量の小さいディレイラインを選択すれば、遅延量の変化量を小さくして、比較的滑らかな遅延量の変更を可能とすることもできる。なお、クロック入力toDPLL側Bufferは、図1のバッファ9a,9bに対応し、クロック出力toCLK分配部は、図1のCLK分配部6a,6bに対応する。
【0031】
又図9の(B)に示す変換テーブルは、図7に於ける変換テーブル34に相当し、アドレスD0〜D3は、図9の(A)のそれぞれの1〜4段目のセレクタを指定するアドレスとし、“1”のアドレスD0〜D3対応のディレイラインをセレクタにより選択接続することを示す。又ステップ0〜15の16ステップにより、遅延量を選択制御することができる。例えば、ステップ10は、アドレスD1,D3が“1”であるから、2段目のセレクタによる200psのディレイラインと、4段目のセレクタによる800psのディレイラインとが選択接続されて、合計1000psの遅延量となる。
【0032】
図10は、変換テーブルの説明図であり、図9の(A)に示す構成の可変遅延回路に対する場合、図9の(B)に示す変換テーブルであると、クロックの遅延制御のみとなり、予備系進み検出信号には対応できないので、その変換テーブルのステップ0〜15と遅延量との関係を変更し、ステップ1〜15の中間のステップ8を、現用系と予備系とのクロック位相差の平均結果が0の場合の基準ステップとする。即ち、図1に於ける可変遅延回路4a,4bによる現用系クロックと予備系クロックとに対して、予め800psの遅延をオフセット値とし、DPLL部2a,2bからのクロックを可変遅延回路4a,4bにより、オフセット値の800psの遅延を与えて、CLK分配部6a,6bにより分配する。
【0033】
又図9の(B)に示す変換テーブルのステップ9〜15を、図10に示すステップ7〜1にそれぞれ変更し、図9の(B)に示す変換テーブルのステップ1〜7を、図10に示すステップ15〜9にそれぞれ変更する。それにより、予備系遅れ検出信号が“1”、位相差平均結果が“011”の場合、予備系の位相差が300ps遅れを示すから、ステップ5(図9の(B)ではステップ11)とし、1段目と2段目と4段目とのディレイラインをセレクタにより選択接続することにより、合計1100psの遅延量とする。この場合、前述のように、遅延量800psをオフセット値としているから、300psの遅延を与えることに相当する。又予備系進み検出信号が“1”、位相差平均結果が“011”の場合、予備系の位相差が300ps進みを示し、ステップ11(図9の(B)ではステップ5)とし、1段目と3段目との100psと400psとのディレイラインをセレクタにより選択接続することにより、500psの遅延量とする。この場合、オフセット値を800psとしているから、800−(100+400)=300(ps)の進みとなり、現用系クロック位相に予備系クロック位相を一致させることができる。
【0034】
図11は、クロック位相制御動作の説明図であり、(A)は予備系クロック位相遅れの場合の調整前と調整後とを示し、(B)は予備系クロック位相進みの場合の調整前と調整後とを示す。図11の(A)に於いては、調整前の予備系クロック遅れ検出信号により、予備系クロックに対する可変遅延回路のディレイラインによる遅延量を減らす調整により、現用系クロック位相に予備系クロック位相を合わせる。又図11の(B)に於いては、調整前の予備系クロック進み検出信号により、可変遅延回路のディレイラインによる遅延量を増やして、現用系クロック位相に予備系クロック位相を合わせる。従って、予備系クロック位相が現用系クロック位相に対して進み位相の場合も遅れ位相の場合も、クロック出力端側で一致させ、現用予備の切替えによるクロック位相の変動を防止することができる。
【0035】
(付記1)上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に於いて、前記現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、前記システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えたことを特徴とするクロック供給装置。
(付記2)前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、前記現用系クロックをデータ端子に、前記予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、前記現用系クロックをクロック端子に、前記予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記3)前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、前記位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
【0036】
(付記4)前記位相比較判定部は、前記位相比較部からの位相差電圧信号を平均化する手段を含み、前記位相差電圧信号を平均化した信号に基づいて前記可変遅延回路を制御する構成を備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記5)前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有することを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記6)前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、前記可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、該基準遅延量を前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、前記予備系クロックの進み位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を増加し、前記予備系クロックの遅れ位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えていることを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記7)前記位相比較判定部は、前記位相比較部からの位相差電圧信号をディジタル信号に変換し、前記位相比較部からの予備系遅れ検出信号と予備系進み検出信号とを複数回保持するメモリと、該メモリの保持内容を平均化処理する手段と、該手段により平均化した位相差と前記予備系遅れ検出信号又は前記予備系進み検出信号とに基づいた前記可変遅延回路の遅延量の増加、減少のステップを保持した変換テーブルとを備えたことを特徴とする付記1又は付記6記載のクロック供給装置。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】位相比較部の説明図である。
【図3】高速サンプリングによる位相差測定の説明図である。
【図4】予備系位相遅れ検出時と予備系位相進み検出時との説明図である。
【図5】位相比較部の出力特性の説明図である。
【図6】ジッタ/ワンダを含む位相比較部の出力特性説明図である。
【図7】位相比較判定部の説明図である。
【図8】メモリ内容の説明図である。
【図9】可変遅延回路と変換テーブルとの説明図である。
【図10】変換テーブルの説明図である。
【図11】クロック位相制御動作の説明図である。
【図12】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1a N系(現用系)システムクロック供給装置
1b E系(予備系)システムクロック供給装置
2a,2b DPLL部
3a,3b 位相あわせ部
4a,4b 可変遅延回路
5a,5b 位相比較判定部
6a,6b CLK分配部
7a,7b 位相比較部
【技術分野】
【0001】
本発明は、現用系のシステムクロック供給装置と予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して通信を行う通信装置は、システムクロックに同期して送受信処理を実行するものである。その為に、上位装置からのシステムクロックを受信して、そのシステムクロックに位相同期したクロックを再生し、そのクロックを装置内各部に供給する為のシステムクロック供給装置を設けることになる。その場合、信頼性向上の為に、現用系と予備系との二重化構成を適用する場合が一般的である。
【0003】
図12は、従来の二重化構成を適用したクロック供給装置を示し、101a、101bはN系(現用系)及びE系(予備系)とのシステムクロック供給装置、102a,102bはDPLL部(位相同期部)、103a,103bは位相合わせ部,104a,104bはCLK(クロック)分配部、105a,105b,106a,106b,107a,107bはバッファを示す。図示を省略した上位装置からのシステムクロックを現用系と予備系とのシステムクロック供給装置101a,102bに入力し、DPLL部102a,102bによりシステムクロックに位相同期化したクロックを再生し、CLK分配部104a,104bから分配出力する現用系と予備系とのクロックを、図示を省略した現用予備切替手段により切替えて、装置内各部の動作クロックとするものである。
【0004】
なお、バッファは、入力インピーダンスが出力特性に影響を与えないようにしたバッファアンプに相当する。又DPLL部102a,102bは、現用系と予備系との出力クロック位相が同一となるように、位相合わせ部103a,103bにより、上位装置からのシステムクロックと、バッファ106a,106b,107a,107bを介した他方のDPLL部からの出力クロックとの位相比較を行い、位相が一致するように出力クロックの位相を制御する構成を有するものであり、システムクロックと出力クロックとの周波数が同一でない場合、位相合わせ部103a,103bは、システムクロックの周波数と同一の周波数となるように出力クロックを分周して位相比較を行う構成を備えている。
【0005】
又現用系と予備系とのクロックを切替える切替回路に於いて、予め現用系と予備系とのクロック位相を比較し、位相差と位相の進み遅れとを検出して、現用系と予備系とのクロックに対する遅延量を設定し、現用系と予備系とのクロックを切替えた場合のクロック位相の変化を防止する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又上位装置からのクロックを現用系と予備系とのクロック受信部に入力し、クロック受信部は2分岐して、一方は自系、他方は他系のそれぞれ現用系と予備系とのクロック分配部に入力し、現用系のクロックは、そのままセレクタに、予備系のクロックは遅延素子を介してセレクタにそれぞれ入力し、セレクタにより選択したクロックを位相制御発振器に入力し、遅延素子により、セレクタを介して位相制御発振器に入力される現用系と予備系とのクロックの位相を同一となるように処理する手段が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平5−2438号公報
【特許文献2】特開平5−244132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現用系と予備系との冗長構成を備えると共に、高精度の周波数安定度が要求されるクロック供給装置に於いては、冗長構成の何れか一方を運用系とした時に、クロック停止又は異常周波数出力発生となると、他方の待機系へ切替えるものであるが、その際に、切替える前のクロック位相と、切替えた後のクロック位相とが変化する場合が多いものである。例えば、携帯電話基地局に於いて、現用系と予備系とのクロック切替え等により、急激なクロック位相の変化が発生すると、音声通話の場合は一瞬の音声途切れが発生し、又データ通信の場合はデータ欠落が発生する。特に、データ通信の高速化に伴って、データ欠落量が大きくなる問題がある。又パケット通信に於けるデータ欠落時は、再送処理を行うことができるが、テレビ電話等のリアルタイム映像配信サービスに於けるデータ欠落は、表示画面上にモザイク状のブロックノイズが現れる異常状態となり、音声通話のみの場合に比較して、クロック位相の急激な変動の影響は大きくなる問題がある。
【0007】
又クロック供給装置は、基準位相のクロックと、発生したクロックとの位相比較により、出力クロック位相を基準位相クロックに同期化するPLL回路を用いた構成が一般的であり、このPLL回路に於けるカットオフ周波数を低くすることにより、位相変動を低減することができるが、その場合に、位相同期引き込み時間が増加するから、運用開始時間が長くなる問題がある。又図12に示すような従来のクロック供給装置に於いては、システムクロックの入力側で、位相合わせを行うことになるが、出力側までの各種電子回路素子の遅延時間にバラツキがあり、温度変動、動作電圧変動及び経年変化等による素子特性の変動があるから、これらを考慮すると、変動要因の影響を受けないように回路設計を行うとしても、非常に複雑となって、回路設計が破綻する可能性が高くなり、又安価な回路素子を用いた回路設計は不可能に近いものとなる。又二乗平均包等の統計分布手法を適用した設計方法を用いることもできるが、大量に生産される民生用機器に対しては、不良率の増大により、実現性が乏しいものであった。
【0008】
又各種の通信装置に於いて、ユニット、パッケージ、ボード等の構成単位の各種の機能部を実装して構成する場合が一般的であり、クロック供給装置から複数の装置構成単位にクロックを分配するものであるから、現用、予備のクロック切替えに対する位相合わせの手段をそれぞれのクロック分配先の装置構成単位毎に設けることは、システムコストの上昇につながる問題がある。
【0009】
本発明は、前述の従来の問題点を解決するものであり、現用、予備の冗長構成によるクロックの発生手段に於いて、クロック出力端側で、現用、予備のクロック位相を一致させて、現用、予備の切替時の位相を一定に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のクロック供給装置は、上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有し、現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えている。
【0011】
又前記位相比較部は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、現用系クロックをデータ端子に、予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、現用系クロックをクロック端子に、予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備え、予備系進み検出信号を保持するラッチ回路と、予備系遅れ検出信号を保持するラッチ回路とにより、何れか一方の検出信号保持により他方をリセットする構成とすることができる。
【0012】
又前記位相比較部は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備え、位相差量をディジタル値として出力する。
【0013】
又前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有し、ディレイラインの選択接続により、最小遅延量のディレイラインのステップ量で遅延量を制御する。
【0014】
又前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、この基準遅延量を、現用系クロックと予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、予備系クロックの進み位相検出時に、基準遅延量より予備系クロックに対する遅延量を増加し、予備系クロックの遅れ位相検出時に、基準遅延量より予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えることができる。
【発明の効果】
【0015】
上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックと予備系クロックとを発生して、正常時は、現用系クロックを装置内各部に供給するもので、現用系システムクロック供給装置1aの出力端のCLK分配部6aからの現用系クロックと、予備系システムクロック供給装置1bの出力端のCLK分配部6bからの予備系クロックとの位相を比較して、位相が一致するように、可変遅延回路4a,4bを制御するもので、システムクロック供給装置1aの出力端の現用系クロックと、システムクロック供給装置1bの出力端の予備系クロックとの位相を、各部を構成する回路素子特性の温度変化や経年変化に関係なく一致させることが可能となり、従って、現用系クロックと予備系クロックとを切替えた時に、位相変動が生じないから、装置内各部の動作を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のクロック供給装置は、図1を参照すると、上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置1aと予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置1bとを有し、現用系と予備系とのシステムクロック供給装置1a,1bは、システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部2a,2bと、このDPLL部2a,2bからのクロックを遅延制御する可変遅延回路4a,4bと、この可変遅延回路4a,4bを介して出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相を比較する位相比較部7a,7bと、この位相比較部7a,7bによる現用系クロックと予備系クロックとの位相比較結果により、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御する位相比較判定部5a,5bとをそれぞれ備えている。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、1aはN系(現用系)のシステムクロック供給装置、1bはE系(予備系)のシステムクロック供給装置、2a,2bはDPLL部(位相同期部)、3a,3bは位相合わせ部、4a,4bは可変遅延回路、5a,5bは位相判定部,6a,6bはクロックを装置内の各部に分配するCLK分配部、7a,7bは位相比較部、8a、8b,9a,9b,10a,10bは信号入力側のインピーダンスの影響を除く為のバッファ(Buffer)を示す。
【0018】
現用系と予備系とのシステムクロック供給装置1a,1bは、同一構成を有するものであり、図示を省略した上位システムからシステムクロックをDPLL部2a,2bに入力し、一方のDPLL部2aの出力クロックを、他方のDPLL部2bに入力し、この他方のDPLL部2bの出力クロックを一方のDPLL部2aに入力して、システムクロックに位相同期化したクロックを再生し、再生した出力クロックを可変遅延回路4a,4bを介してCLK分配部6a,6bに入力し、分配出力した現用系と予備系とのクロックを一方と他方との位相比較部7a,7bにそれぞれ入力し、現用系と予備系との分配出力したクロックの位相を比較し、位相比較判定部5a,5bにより位相差と位相進み遅れとを基に、可変遅延回路4a,4bを制御して、現用系と予備系とのクロック位相を常に一致させる。従って、現用系システムクロック供給装置1aのCLK分配部6aから分配出力する現用系クロックの位相と、予備系システムクロック供給装置1bのCLK分配部6bから分配出力する予備系クロックの位相とは、常に一致させることが可能となり、システムクロック入力端から、クロック分配部6a,6bまでの回路素子等による位相変動要因の影響を除くことができる。
【0019】
なお、バッファ8a〜10a,8b〜10bは、入力インピーダンスが出力特性に影響を与えないようにしたバッファアンプに相当し、又DPLL部2a,2bは、現用系と予備系との出力クロック位相が同一となるように、位相合わせ部3a,3bにより、上位装置からのシステムクロックと、バッファ6a,6b,7a,7bを介した他方のDPLL部からの出力クロックとの位相比較を行い、位相が一致するように出力クロックの位相を制御する構成を有するものであり、システムクロックと出力クロックとの周波数が同一でない場合、位相合わせ部3a,3bは、システムクロックの周波数と同一の周波数となるように出力クロックを分周して位相比較を行う構成を備えているものであり、DPLL部2a,2bは既に知られている各種の構成を適用することもできる。
【0020】
図2は、位相比較部の説明図であり、図1に於ける位相比較部7a,7bの構成の一例を示す。同図に於いて、11は位相比較器、12は積分回路、13,15はフリップフロップ(FF)、14,16はラッチ回路を示す。位相比較器11は、排他的論理和回路構成の場合を示し、位相比較器11は、排他的論理和構成の場合を示し、CLK分配部6a,6b(図1参照)から分配出力する現用系クロックと予備系クロックとの立上がりのタイミング差のパルス幅の出力信号を積分回路12に入力する。この積分回路12は、位相差に対応した位相比較出力信号を積分して、位相差電圧信号とする。
【0021】
又フリップフロップ13は、現用系クロックをデータ端子Dに、予備系クロックをクロック端子clkにそれぞれ入力し、現用系クロックの立上がりタイミングより予備系クロックの立上がりが遅れている場合に出力端子Qを“1”とし、ラッチ回路14によりラッチして、予備系遅れ検出信号とする。又フリップフロップ15は、予備系クロックをデータ端子Dに、現用系クロックをクロック端子clkにそれぞれ入力し、現用系クロックの立上がりタイミングより予備系クロックの立上がりタイミング進んでいる場合に出力端子Qを“1”とし、ラッチ回路16によりラッチして、予備系進み検出信号を出力する。又ラッチ回路14,16は、何れか一方のみがラッチする状態となるものであり、一方がラッチした場合は、他方をリセット信号によりリセットして、予備系遅れ検出信号と予備系進み検出信号との両方が同時に出力されないように構成する。又前述の位相差電圧信号と、予備系遅れ検出信号と、予備系進み検出信号とを、図1に於ける位相比較判定部5a,5bに入力する。
【0022】
位相比較判定部5a,5b(図1参照)は、位相比較部7a,7bからの前述の位相差電圧信号と、予備系遅れ検出信号と、予備系進み検出信号とにより、可変遅延回路4a,4bの遅延量を制御して、CLK分配部6a,6bに入力される現用系クロックと予備系クロックとの位相を一致させる。従って、CLK分配部6a,6bから分配出力する現用系クロックと予備系クロックとの位相は、内部回路素子の特性の影響を除いて、常に一致するように制御することができる。又現用系クロックに対する予備系クロックの遅れ、進みを検出する場合を示し、この検出結果により、予備系の可変遅延回路4b(図1参照)を制御するものであるが、現用系の可変遅延回路4a(図1参照)は、例えば、遅延量零の状態を維持することができる。又予備系のCLK分配部6bからのクロックを選択して運用する場合、前述の予備系と現用系との関係を反転して、分配出力するクロック位相を一致させる制御を行うことができる。
【0023】
図3は、高速サンプリングによる位相差測定の説明図であり、(A)は動作説明図で、現用系クロックと予備系クロックと位相差と高速サンプリングクロックとのそれぞれ一例を示し、(B)は回路構成説明図である。現用系クロックと予備系クロックとの周波数をnMHzとし、高速サンプリングクロックをその10倍のn×10MHzとした場合を示す。回路構成は、現用系クロックと予備系クロックとを入力するゲート回路21と、このゲート回路の出力信号をデータ端子Dに、高速サンプリングクロックをクロック端子clkにそれぞれ入力するフリップフロップ(FF)22と、このフリップフロップ22の出力端子Qからの出力信号と高速サンプリングクロックとを入力するカウンタ回路23とを含む構成の場合を示す。
【0024】
現用系クロックと予備系クロックとの位相差が、図3の(A)に示す場合、ゲート回路21の出力信号は、予備系クロックをゲート回路21のインヒビット端子に入力することにより、現用系クロックの立上がりから予備系クロックの立上がりまでの時間を位相差として示すものとなる。フリップフロップ22は、このゲート回路21の出力信号の時間長即ち位相差を高速サンプリングクロックにより保持し、出力保持期間内の高速サンプリングクロック数をカウンタ回路23によりカウントする。それにより、カウンタ回路23のカウント値は、現用系クロックと予備系クロックとの位相差分を示すものとなる。この場合、(A)に示すタイミング関係であると、予備系クロックは、現用系クロックの立上がりから、2パルス分の高速サンプリングクロック期間の遅れがあり、従って、t1、t2のタイミングの高速サンプリングクロックをカウンタ回路23によりカウントアップすることになる。なお、ゲート回路21のインヒビット端子に現用系クロックを入力する構成とすると、予備系クロックが進み位相の場合のカウント値を進み位相差分を示すものとなる。又高速サンプリングクロックを更に高速とすることにより、更に細かい分解能で位相差を検出することができる。
【0025】
図4は、(A)予備系位相遅れ検出時と、(B)予備系位相進み検出時とに於ける現用系クロック、予備系クロック、位相比較器出力の波形、予備系進み検出信号、予備系遅れ検出信号を示し、図2に示す構成を参照して説明すると、位相比較器11の出力信号は、予備系クロック位相の進み遅れに関係なく、現用系クロックと予備系クロックとの位相差の期間、“1”となる。即ち、図4の(A),(B)に示す現用系クロックと予備系クロックとの位相差があれば、その位相差の期間“1”となる。又現用系クロックに対して予備系クロックが遅れている場合、フリップフロップ13の出力信号は、現用系クロックが“1”となった後に、予備系クロックが“1”となるから、“1”となる。即ち、ラッチ回路14によりラッチして、予備系遅れ検出信号が出力される。又フリップフロップ15の出力信号は、現用系クロックが“1”となった時に、予備系クロックは“0”であるから、フリップフロップ15の出力信号は“0”の状態を継続する。反対に、予備系クロックが現用系クロックより進み位相の場合は、フリップフロップ13の出力信号は“0”を継続し、フリップフロップ15の出力信号は“1”となり、予備系進み検出信号が出力される。
【0026】
図5は、位相比較部の出力特性の説明図であり、縦軸は電圧、横軸は位相差を示し、位相比較部7a,7b(図1参照)の積分回路12(図2参照)の出力特性の概要を示す。即ち、位相比較器11からの位相差信号を積分回路12により積分し、DPLL部2aから出力する現用系クロックと、DPLL部2bから出力する予備系クロックとの位相差に比例した位相差電圧として出力する場合を示す。実際には、図示の特性曲線のように、僅かではあるが、リプル成分を含むことを示している。
【0027】
図6は、図1に示すDPLL部2a,2bのジッタ/ワンダが、位相比較部7a,7bの出力特性に影響を及ぼす例を示すものであり、瞬間的な誤差を含む位相差成分を電圧変換することにより、位相比較部7a,7bの出力特性には、図示のような位相誤差を含むものとなる。
【0028】
図7は、位相比較判定部の説明図であり、図1に於ける位相比較判定部5a,5bの構成を示し、31はA/D変換部、32はCPU(プロセッサ)、33はメモリ、34は変換テーブルを示す。又位相差電圧信号from位相比較部は、図2に示す位相比較部の積分回路12からの位相差電圧信号を示し、この位相差電圧をA/D変換部31に入力し、ラッチ回路14からの予備系遅れ検出信号と、ラッチ回路16からの予備系進み検出信号とをCPU32に入力し、又A/D変換部31により変換した位相差データをCPU32に入力する。CPU32は、例えば、入力された複数回の測定データをメモリ33に格納し、平均値を算出して、変換テーブル34により、可変遅延回路4a,4b(図1参照)に対する可変ステップ信号を求め、可変ステップ信号to可変遅延回路として示すように、可変ステップ信号を、可変遅延回路4a,4b(図1参照)に入力する。又CPU32により、位相差測定結果を複数回メモリ33に蓄積して平均値算出を行うことにより、図5に示すリプルを含む位相差電圧信号及び図6に示すジッタを含む位相差電圧信号のリプルやジッタ/ワンダの影響を除去することができる。
【0029】
図8は、メモリ内容の説明図であり、例えば、CPU32に於いて、10回の位相差比較結果の平均値を求める場合、予備系進み検出信号と、予備系遅れ検出信号と、位相差変換データとを10回分格納する。図示の場合は、予備系進み検出信号が“1”、予備系遅れ検出信号が“0”が継続し、3ビット構成で示す位相差変換データが“110”,“111”,“110”,“101”・・・として保持する。なお、位相差変換データは、3ピット構成に限定されるものではなく、所望のビット構成とすることができる。又予備系進み検出信号と予備系遅れ検出信号との論理構成は、識別判定可能の論理構成とすることができる。
【0030】
図9の(A)は、可変遅延回路、(B)は変換テーブルの説明図であり、図1に於ける可変遅延回路4a,4bを、図9の(A)に示すように、複数のそれぞれ異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとを、セレクタにより選択的に切替える4段構成とした場合を示し、D0〜D3により各段のセレクタが制御される。この場合の各段のディレイラインの遅延量を、100ps,200ps,400ps,800psとし、各段のセレクタにより全ディレイラインを選択接続すると、遅延量1500psの最大遅延量となり、又各段のセレクタにより全バイパスラインを選択接続すると、遅延量0となる。又1段目のディレイラインのみを選択接続すると、遅延量100ps、1段目と3段目とのディレイラインを選択接続すると、遅延量は500psとなる。従って、可変遅延回路は、更に多数の異なる遅延量のディレイラインを組み合わせることにより、多種類の遅延量とすることが可能であり、又更に遅延量の小さいディレイラインを選択すれば、遅延量の変化量を小さくして、比較的滑らかな遅延量の変更を可能とすることもできる。なお、クロック入力toDPLL側Bufferは、図1のバッファ9a,9bに対応し、クロック出力toCLK分配部は、図1のCLK分配部6a,6bに対応する。
【0031】
又図9の(B)に示す変換テーブルは、図7に於ける変換テーブル34に相当し、アドレスD0〜D3は、図9の(A)のそれぞれの1〜4段目のセレクタを指定するアドレスとし、“1”のアドレスD0〜D3対応のディレイラインをセレクタにより選択接続することを示す。又ステップ0〜15の16ステップにより、遅延量を選択制御することができる。例えば、ステップ10は、アドレスD1,D3が“1”であるから、2段目のセレクタによる200psのディレイラインと、4段目のセレクタによる800psのディレイラインとが選択接続されて、合計1000psの遅延量となる。
【0032】
図10は、変換テーブルの説明図であり、図9の(A)に示す構成の可変遅延回路に対する場合、図9の(B)に示す変換テーブルであると、クロックの遅延制御のみとなり、予備系進み検出信号には対応できないので、その変換テーブルのステップ0〜15と遅延量との関係を変更し、ステップ1〜15の中間のステップ8を、現用系と予備系とのクロック位相差の平均結果が0の場合の基準ステップとする。即ち、図1に於ける可変遅延回路4a,4bによる現用系クロックと予備系クロックとに対して、予め800psの遅延をオフセット値とし、DPLL部2a,2bからのクロックを可変遅延回路4a,4bにより、オフセット値の800psの遅延を与えて、CLK分配部6a,6bにより分配する。
【0033】
又図9の(B)に示す変換テーブルのステップ9〜15を、図10に示すステップ7〜1にそれぞれ変更し、図9の(B)に示す変換テーブルのステップ1〜7を、図10に示すステップ15〜9にそれぞれ変更する。それにより、予備系遅れ検出信号が“1”、位相差平均結果が“011”の場合、予備系の位相差が300ps遅れを示すから、ステップ5(図9の(B)ではステップ11)とし、1段目と2段目と4段目とのディレイラインをセレクタにより選択接続することにより、合計1100psの遅延量とする。この場合、前述のように、遅延量800psをオフセット値としているから、300psの遅延を与えることに相当する。又予備系進み検出信号が“1”、位相差平均結果が“011”の場合、予備系の位相差が300ps進みを示し、ステップ11(図9の(B)ではステップ5)とし、1段目と3段目との100psと400psとのディレイラインをセレクタにより選択接続することにより、500psの遅延量とする。この場合、オフセット値を800psとしているから、800−(100+400)=300(ps)の進みとなり、現用系クロック位相に予備系クロック位相を一致させることができる。
【0034】
図11は、クロック位相制御動作の説明図であり、(A)は予備系クロック位相遅れの場合の調整前と調整後とを示し、(B)は予備系クロック位相進みの場合の調整前と調整後とを示す。図11の(A)に於いては、調整前の予備系クロック遅れ検出信号により、予備系クロックに対する可変遅延回路のディレイラインによる遅延量を減らす調整により、現用系クロック位相に予備系クロック位相を合わせる。又図11の(B)に於いては、調整前の予備系クロック進み検出信号により、可変遅延回路のディレイラインによる遅延量を増やして、現用系クロック位相に予備系クロック位相を合わせる。従って、予備系クロック位相が現用系クロック位相に対して進み位相の場合も遅れ位相の場合も、クロック出力端側で一致させ、現用予備の切替えによるクロック位相の変動を防止することができる。
【0035】
(付記1)上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に於いて、前記現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、前記システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えたことを特徴とするクロック供給装置。
(付記2)前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、前記現用系クロックをデータ端子に、前記予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、前記現用系クロックをクロック端子に、前記予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記3)前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、前記位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
【0036】
(付記4)前記位相比較判定部は、前記位相比較部からの位相差電圧信号を平均化する手段を含み、前記位相差電圧信号を平均化した信号に基づいて前記可変遅延回路を制御する構成を備えたことを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記5)前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有することを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記6)前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、前記可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、該基準遅延量を前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、前記予備系クロックの進み位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を増加し、前記予備系クロックの遅れ位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えていることを特徴とする付記1記載のクロック供給装置。
(付記7)前記位相比較判定部は、前記位相比較部からの位相差電圧信号をディジタル信号に変換し、前記位相比較部からの予備系遅れ検出信号と予備系進み検出信号とを複数回保持するメモリと、該メモリの保持内容を平均化処理する手段と、該手段により平均化した位相差と前記予備系遅れ検出信号又は前記予備系進み検出信号とに基づいた前記可変遅延回路の遅延量の増加、減少のステップを保持した変換テーブルとを備えたことを特徴とする付記1又は付記6記載のクロック供給装置。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】位相比較部の説明図である。
【図3】高速サンプリングによる位相差測定の説明図である。
【図4】予備系位相遅れ検出時と予備系位相進み検出時との説明図である。
【図5】位相比較部の出力特性の説明図である。
【図6】ジッタ/ワンダを含む位相比較部の出力特性説明図である。
【図7】位相比較判定部の説明図である。
【図8】メモリ内容の説明図である。
【図9】可変遅延回路と変換テーブルとの説明図である。
【図10】変換テーブルの説明図である。
【図11】クロック位相制御動作の説明図である。
【図12】従来例の説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1a N系(現用系)システムクロック供給装置
1b E系(予備系)システムクロック供給装置
2a,2b DPLL部
3a,3b 位相あわせ部
4a,4b 可変遅延回路
5a,5b 位相比較判定部
6a,6b CLK分配部
7a,7b 位相比較部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に於いて、
前記現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、前記システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、
該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、
該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、
該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えた
ことを特徴とするクロック供給装置。
【請求項2】
前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、前記現用系クロックをデータ端子に、前記予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、前記現用系クロックをクロック端子に、前記予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備えたことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項3】
前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、前記位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項4】
前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項5】
前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、前記可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、該基準遅延量を前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、前記予備系クロックの進み位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を増加し、前記予備系クロックの遅れ位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項1】
上位装置からのシステムクロックに位相同期した現用系クロックを出力する現用系のシステムクロック供給装置と予備系クロックを出力する予備系のシステムクロック供給装置とを有するクロック供給装置に於いて、
前記現用系と予備系とのシステムクロック供給装置は、前記システムクロックに位相同期したクロックを出力するDPLL部と、
該DPLL部からのクロックを遅延制御する可変遅延回路と、
該可変遅延回路を介して出力する前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相を比較する位相比較部と、
該位相比較部による前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相比較結果により前記可変遅延回路の遅延量を制御する位相比較判定部とをそれぞれ備えた
ことを特徴とするクロック供給装置。
【請求項2】
前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差に対応し電圧値を出力する積分回路と、前記現用系クロックをデータ端子に、前記予備系クロックをクロック端子にそれぞれ入力して、予備系遅れ検出信号を出力するフリップフロップと、前記現用系クロックをクロック端子に、前記予備系クロックをデータ端子にそれぞれ入力して予備系進み検出信号を出力するフリップフロップとを備えたことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項3】
前記位相比較部は、前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差を高速サンプリングクロックによりサンプリングして、前記位相差に対応するカウント値を求めるカウンタ回路を備えたことを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項4】
前記可変遅延回路は、複数の異なる遅延量のディレイラインと、遅延量零のバイパスラインとをセレクタにより選択して直列に接続する構成を有することを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【請求項5】
前記可変遅延回路の遅延量を制御する前記位相比較判定部は、前記可変遅延回路の最小遅延量と最大遅延量との中間の遅延量を基準遅延量とし、該基準遅延量を前記現用系クロックと前記予備系クロックとの位相差零の検出時に選択し、前記予備系クロックの進み位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を増加し、前記予備系クロックの遅れ位相検出時に前記基準遅延量より前記予備系クロックに対する遅延量を減少する制御構成を備えていることを特徴とする請求項1記載のクロック供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−219216(P2008−219216A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50951(P2007−50951)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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