説明

グレージング操作における電気接続

【課題】車両の電力接続装置、除霜システムおよび電力コネクタ構築方法を提供すること。
【解決手段】車両の電力接続装置であって、それぞれ第1の端部および第2の端部を有する実質的に平坦な一対の電気導体条片を備えた電力接続装置が提供される。第1の端部は、自動車グレージングの統合加熱器導体に電気結合されるようになされている。膜が電気導体条片対の中間セクションの上に保護被覆を形成している。この膜は、実質的に平坦な電気導体対の間を絶縁し、かつ、一定の間隔で維持している。第2の端部には一対のワイヤが電気結合されている。電気導体条片の第2の端部とワイヤの電気結合を封止するための第1の保護オーバモールド・シールが、実質的に平坦な電気導体条片対の第2の端部の上に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に加熱風防ガラス・システム(heated windshield system)に関し、より詳細には車両の湿った領域における加熱風防ガラス・システムに電力を提供するための電力接続(power connection)に関する。
【背景技術】
【0002】
風防ガラス除霜システム(windshield defrost system)は、風防ガラスに張り付いた氷を解かすために、通常、強制空気の形あるいは窓に取り付けられた加熱素子から導かれる熱の形で熱を発生する。風防ガラスに統合された加熱素子は、強制空気ではなく、風防ガラス全体に一様で、かつ、均一な除霜パターンを提供している。加熱素子は、風防ガラスのビニル中間層に埋め込まれる複数の微細なワイヤを備えている。ビニル中間層は、2枚のガラス・ペインの間に挟まれている。微細なワイヤ・エレメントを通って電流が流れ、それにより風防ガラスが除霜される。微細なワイヤを通って流れる電流によってワイヤ・エレメントの温度が上昇し、上昇した温度がガラスに伝達される。風防ガラスに張り付いた氷が熱によって融解し、風防ガラスに形成される水分が蒸発する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的な加熱風防ガラスには、大量の電力、たとえば300ワットないし1200ワットの電力の使用を必要とする微細な加熱ワイヤ・エレメントが利用されている。この電力は、グレージング・システム(glazing system)における所望の熱を達成するために、所定の抵抗に特定の電圧を印加することによって得られる。車両バッテリ、同期発電機または他のデバイスなどの外部電力源から風防ガラス・グレージング・システムに電力が供給される。加熱ワイヤ・エレメントを適切に加熱するためには、加熱ワイヤ・エレメントに供給される電力は、とりわけコネクタによる重大な電力損失を何ら伴うことなく電力源から風防ガラス・グレージング・システムに伝送しなければならない。コネクタは、湿気(すなわち水)あるいは風防ガラス洗浄溶媒などの化学溶媒などの環境エレメントへの露出に耐えることができるものでなければならない。
【0004】
風防ガラス除霜システムのための典型的なコネクタは、風防ガラスの支持車体フレームのアップライト・ピラー(すなわちA−ピラー)内の風防ガラス・グレージング・システムに電気接続される。このコネクタは、通常、A−ピラー内の電力源ハーネスに結合される。A−ピラーの内部構造は、一般的には車両の外部環境条件から保護された乾燥した環境と見なされている。コネクタのための乾燥した環境を維持しているA−ピラー内にコネクタを実装している間、コネクタにアクセスすることは場合によっては不利である。風防ガラスおよび風防ガラス・グレージング・システム・コネクタが、車両にアセンブルするための組立て済みパッケージとして提供される風防ガラス・システムの場合、アセンブルされているため、場合によってはコネクタへのアクセスならびにコネクタをA−ピラー内に実装することは困難である。
【0005】
風防ガラスの底部で電気接続される風防ガラス加熱システムの場合、通常、電気コネクタを実装するために、風防ガラスの下方に配置されているエンジン・コンパートメント(すなわちカウル領域)の近傍のアンプル空間が利用される。しかしながら、この位置は、風防ガラスから流れ出た水がこの領域を通って導かれ、かつ、経路化されているため、湿った環境と見なされている。この位置に実装されるコネクタは、水および水の凍結腐蝕効果に耐えることができなければならず、また、外部の周囲気象条件および動作中のエンジンの熱によって生成される温度による熱サイクルに耐えることができなければならない。
【0006】
本発明は、電源と、一対のペイン間に埋め込まれた抵抗回路との間の電気接続であって、該電気接続が車両の湿った領域に配置される電気接続を提供する利点を有している。この電気接続により、水または化学溶媒の浸入による短絡を防止し、かつ、電気接続の腐蝕を防止するための気密封止が提供される。本発明によれば湿った環境で電気接続することができるため、実装位置が制限されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、車両の電力接続装置が提供される。この電力接続装置は、それぞれ第1の端部および第2の端部を有する実質的に平坦な一対の電気導体条片を備えている。第1の端部は、自動車グレージングの統合加熱器導体に電気結合されるようになされている。ポリイミド膜が電気導体条片対の中間セクションの上に保護被覆を形成している。このポリイミド膜は、実質的に平坦な電気導体対の間を絶縁し、かつ、一定の間隔で維持している。第2の端部には一対のワイヤが電気結合されている。電気導体条片の第2の端部とワイヤの電気結合を封止するための第1の保護オーバモールド・シールが、実質的に平坦な電気導体条片対の第2の端部の上に形成されている。
【0008】
本発明の様々な目的および利点については、当業者には、好ましい実施形態についての以下の詳細説明を添付の図面に照らして読むことによって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
添付の図面を参照すると、従来技術による典型的な加熱風防ガラス・システム10が図1に示されている。この加熱風防ガラス・システムは、通常、風防ガラス12を備えており、風防ガラス12には統合加熱風防ガラス回路14が埋め込まれている。加熱回路14は、グレージング操作における2枚の透明ペイン(transparent panes)の間の中間層(たとえばビニル層)に埋め込まれている。この2枚の透明ペインは、ガラスでできていることが好ましい。別法としては、これらの透明ペインは、ガラス以外の材料組成でできていても良い。
【0010】
加熱風防ガラス回路14は、第1の加熱セクション16および第2の加熱セクション18を備えている。第1の加熱セクション16は、風防ガラス12の上側左半分の部分に配置された正の母線20および風防ガラスの下側左半分の部分に配置された負の母線22を備えている。正の母線20と負の母線22の間に、微細な複数のワイヤ・エレメント24が接続されている。これらの微細なワイヤ・エレメント24は実質的に透明である。母線20および22は、通常、風防ガラスの周囲に適用された半透明バンド29の後側に隠ぺいされている。第1のコネクタ26は、乗客者側のA−ピラー28の中に配置されており、正の母線20に電気接続されている。第2のコネクタ30も同じく乗客側のA−ピラー28の中に配置されており、負の母線22に電気接続されている。また、第1のコネクタ26および第2のコネクタ30は、電力源から電力を受け取るためのワイヤ・ハーネスにそれぞれ電気接続されている。第1および第2のコネクタ26および30を介して正の母線20および負の母線22に電圧および電流を生成することによって第1の加熱セクション16に電力が提供される。複数のワイヤ・エレメント24は、熱を発生し、かつ、発生した熱を風防ガラス12に伝達する抵抗回路を備えており、それにより風防ガラス12の第1の加熱セクション16が除霜される。
【0011】
第2の加熱セクション18は、風防ガラス12の上側右半分の部分に配置された正の母線31および風防ガラス12の下側右半分の部分に配置された負の母線32を備えている。正の母線31と負の母線32の間に、微細な複数のワイヤ・エレメント34が接続されている。第3のコネクタ36は、運転者側のA−ピラー38の中に配置されており、正の母線31に電気接続されている。第2のコネクタ40も同じく運転者側のA−ピラー38の中に配置されており、負の母線32に電気接続されている。第3のコネクタ36および第4のコネクタ40は、電力源から電力を受け取るためのワイヤ・ハーネスにそれぞれ電気接続されている。第3および第4のコネクタ36および40を介して正の母線31および負の母線32に電圧および電流を生成することによって第2の加熱セクション18に電力が提供される。複数のワイヤ・エレメント34は、熱を発生し、かつ、発生した熱を風防ガラス12に伝達する抵抗回路を備えており、それにより風防ガラス12の第2の加熱セクション18が除霜される。
【0012】
対応するA−ピラー領域に配置されている電気コネクタ26、30、36および40は、風防ガラスの内側の表面に対して平らに経路化されており、風防ガラスを車体に密閉するために適用された接着ビードの内側で電気システムに接続されている。したがって、形成される水または湿気にこれらのコネクタが晒されることはない。したがって、電気コネクタ26、30、36および40を気密電気接続あるいは防水電気接続にする必要はない。
【0013】
図2は、本発明の第1の好ましい実施形態による加熱風防ガラス・システムを示したものである。同様の参照には図1と同じ数表示を使用して示されている加熱風防ガラス・システム50は、加熱風防ガラス回路14にエネルギーを供給するために配電システムから電力を受け取るための電気コネクタ51および電気コネクタ52を有している。配電システムは、同期発電機56などの電圧発生デバイスにバッテリ電圧を供給するためのバッテリ54を備えている。同期発電機56は、加熱風防ガラス回路14に公称動作電圧および電流を提供することができるよう、供給電圧および電流を生成している。回路58は、バッテリ54の負の端子59に電気接続されており、また、電気コネクタ51および52に接続されている。回路60は、同期発電機56にバッテリ電圧を提供するためにバッテリ54の正の端子61に電気接続されている。回路63は、同期発電機56のB+端子(出力調整電圧)から電気接続されており、電気コネクタ51および52に供給されている。
【0014】
電気コネクタ51および52は、風防ガラス12の下部部分でそれぞれ第1の加熱セクション16および第2の加熱セクション18に電気結合されている。電気コネクタ51および52は、本来、車両の湿った領域であるカウル領域64に配置されている。風防ガラスから流れ出た水および洗浄溶媒(washer solvent)は、カウル領域64を通って導かれる。
【0015】
図3および図4は、本発明の第1の好ましい実施形態による電気コネクタ51を示したものである。電気コネクタ51は、実質的に平坦な第1の電気導体条片(electrical conductor strip)66および実質的に平坦な第2の電気導体条片(electrical conductor strip)68を備えている。これらの電気導体条片は、厚さが0.0042インチであることが好ましい平坦な銅箔片でできていることが好ましい。別法としては、様々な厚さの銅箔を使用することも可能であり、また、他の導電材料を利用することも可能である。また、電気導体は、箔ではなく、実質的に平坦な編組線であっても良い。第1の導体条片66および第2の導体条片68は、互いに実質的に平行である。
【0016】
膜(film)70は、第1の導電条片(conductive strip)66および第2の導電条片(conductive strip)68の中間セクション71の上に保護絶縁被覆を形成するために使用されている。膜70は、Kapton(登録商標)などのポリイミド膜(polyimide film)であることが好ましい。別法としては、重合体をベースとする膜などの他の膜を使用することも可能である。第1の導電条片66の第1の端部72に露出導電部分が形成され、また、第1の導電条片66の第2の端部74に露出導電部分が形成されている。同様に、第2の導電条片68の第1の端部76に露出導電部分が形成され、また、第2の導電条片68の第2の端部78に露出導電部分が形成されている。第1の導体条片66および第2の導体条片68の上に一体形成されたポリイミド膜70は、それぞれ導電条片を互いに絶縁し、かつ、導電条片を湿気および化学溶媒から保護している。また、ポリイミド膜70は、実質的に導電性の第1の条片66と第2の条片68の間を一定の間隔で維持している。
【0017】
それぞれ第1の端部72および76を起点とする第1の導体条片66と第2の導体条片68の間に、所定の幅および長さを有するスロット80(たとえば長さ17mm、幅4mmのスロット)が形成されている。このスロットは、第1の導電条片66と第2の導体条片68の間の中間セクション71の一部へ長手方向に展開している。また、それぞれ第2の端部74および78を起点とする第1の導体条片66と第2の導体条片68の間に、所定の幅および長さを有するスロット81が形成されている。このスロットは、第1の導電条片66と第2の導体条片68の間の中間セクション71の一部へ長手方向に展開している。これらのスロットは、水および湿気による導電条片間の導電部分の両端間のブリッジの形成を防止している。スロット80および81には、個々のアプリケーションに適した様々なサイズの幅および長さが使用される。
【0018】
第1の導体条片66の第2の端部74に、第1の加熱セクション16に電力を供給するためのワイヤ82が電気結合86によって接続されている。また、第2の導体条片68の第2の端部78に、第1の加熱セクション16を接地するためのワイヤ84が電気結合88によって接続されている。好ましい実施形態では、電気結合にははんだ接続が含まれている。別法としては、電気結合を提供するための他の方法、たとえば溶接、クリンピングあるいは他の電気アタッチメント手段を利用することも可能である。電気コネクタ52(図2に示されている)は、第2の加熱セクション18に電力を供給し、かつ、接地するための2本のワイヤを備えている。第2の加熱セクション18に電力を供給するためのワイヤは、外側の端子に配置されている(図2に示すように)。第2の加熱セクション18を接地するためのワイヤは、内側の端子に配置されている。電力を供給するためのワイヤは、対応するコネクタの外側(風防ガラスに対して)に配置されることが好ましい。別法としては、他の電気構成を使用することも可能であり、たとえば、コネクタが風防ガラスの運転者側に配置されているか、あるいは乗客者側に配置されているかには無関係に、内側の端子に電力を供給し、外側の端子を接地することも可能であり、あるいはそれぞれ端子の第1の側に電力を提供し、それぞれ端子の第2の側を接地することも可能である。
【0019】
フレームワーク(framework)90は、中間セクション71およびワイヤ82、84の一部を含む電気結合86および88の上に配置されている。フレームワーク90は、成形プラスチック材料またはプラスチック合成物でできていることが好ましい。別法としては、フレームワークは、他の材料組成を使用して構築することも可能である。フレームワーク90は、電気結合86および88の構造的な損傷を防止するための保護サポート構造を提供している。フレームワーク90は、フレームワーク90による電気結合86および88の封止を可能にするプラスチック・ヒンジを有する一体クラムシェル保護カバーであることが好ましい。別法としては、個別に形成され、かつ、一体に結合された複数の構造部材を有する構造を始めとする他のフレームワーク構造部材を使用することも可能である。フレームワーク90は、車体あるいは車両に対する電力接続を保証するための車両フレーム構造部材に取り付けるためのタブ部材83を備えている。タブ部材83は、車体あるいは車両フレーム構造部材の開口に挿入されるプッシュピン・タイプのタブを備えることができ、あるいは車両部材に取り付けられるスタッドまたはボルトを受け入れる中空スタッドを備えることができる。
【0020】
フレームワーク90の外部表面に第1の保護シール92が形成されている。第1の保護シール92は、ゴムの特性を有し、かつ、プラスチックとして処理することができる材料であるSarlink(登録商標)などの熱可塑性加硫ゴム製品を備えることができる。したがってフレームワーク90は、電気結合86および88を封止するために第1の保護シール92が射出成形される周囲表面領域を提供している。
【0021】
第1の保護シール92が接着されるフレームワーク90、ワイヤ82、84および中間セクション71のセグメントの上に、第1の保護シールとオーバモールド・コンポーネントの間の結合を強化するべくゴム様材料と共に使用される接着剤であるChemlock(登録商標)などの接着促進剤(adhesive promoter)94が配置されている。接着促進剤94は、フレームワーク90およびその下を覆っているコンポーネントへの第1の保護シール92の取付けを補助している。別法としては、他のタイプの接着促進剤を使用することも可能である。また、フレームワークを利用しない場合、接着促進剤94を直接電気結合に塗布することも可能である。
【0022】
図5は、図3のA−Aから見た横断面図を示したものである。第1の導体条片66の中間セクション71の上にポリイミド膜70が形成されている。フレームワーク90は、第1の導体条片66の第2の端部74の上に配置されている。また、フレームワーク90は、中間セクション71およびワイヤ82の一部の上に配置されている。電気結合86は、ワイヤ82と第1の導体条片66の第2の端部74を導電結合している。第1の保護シール92は、フレームワーク90およびその下を覆っているコンポーネントの上に形成されている(たとえば射出成形されている)。ワイヤ82およびワイヤ84は、第1の保護シール92から突出しており、ピグテール・コネクタ95に結合されている。ピグテール・コネクタ95は、窓加熱回路16(図2に示されている)に電力を供給するためのワイヤ・ハーネスを介して電源回路(図示せず)に電気接続されている。
【0023】
図6は、本発明の第1の好ましい実施形態によるフレームワーク90を示したものである。フレームワーク90は、プラスチック・ヒンジ113によって一体接続された上部シェル・ケーシング110および下部シェル・ケーシング112を備えている。上部シェル・ケーシング110および下部シェル・ケーシング112は、プラスチック・ヒンジ113の周りにビボットさせることができ、それにより中の電気接続の周りにクラムシェルを形成している。上部シェル・ケーシング110は、上部シェル・ケーシング110と下部シェル・ケーシング112がピボット可能に閉じると、下部シェル・ケーシング112の凹所領域115と整列するバンパ表面領域114を備えている。バンパ表面領域114および凹所領域115は、上部シェル・ケーシング110および下部シェル・ケーシング112を連動させて閉位置に維持するための干渉条件を提供している。
【0024】
フレームワークの第1の側に、ワイヤ82および84(図5に示されている)を受け入れるための第1の開口116および第2の開口117が形成されている。上部シェル・ケーシング110および下部シェル・ケーシング112は、フレームワーク90の第1の側の反対側に、それぞれ第1の導電条片66の第2の端部74および第2の導電条片68の第2の端部78を受け入れるための第3の開口118および第4の開口119を形成している。第1のノッチ部分120と第2のノッチ部分121は整列しており、上部シェル・ケーシング110と下部シェル・ケーシング112が閉じると第3の開口118が形成される。第3のノッチ部分122と第4のノッチ部分123は整列しており、上部シェル・ケーシング110と下部シェル・ケーシング112が閉じると第4の開口119が形成される。別法としては、フレームワーク90は、個別に形成され、かつ、一体に結合された2つのシェル・ケーシングを備えることも可能であり、それにより単一のシェル・ケーシングを形成することができる。
【0025】
図7および図8は、本発明の第2の好ましい実施形態による電力接続を示したものである。同様のエレメントには同じ数表示が使用されているが、図7および図8に示す電力接続は、図4および図5で説明した電力接続と同じであり、第2の保護シール96が追加されている。第2の保護シール96を使用して、オーバモールド・プロセスの間に第1の保護シール92に形成された開口97が封止される。
【0026】
第1の保護シール92をオーバモールドしている間、ダイ・モールドにピン(図示せず)を挿入することができ、それにより、射出成形プロセスを実行している間、オーバモールドすべき構造を所定の位置に保持することができる。これらのピンによって、これらのピンが除去された後に開口97がオーバモールド中に形成され、第1の保護シール92に入って電気結合86(および結合88)と接触する湿気あるいは化学溶媒(すなわち洗浄液)の通路が形成されることになる。導電特性を有する湿気あるいは他の流体は、第1の導体条片66と第2の導体条片68の間の電気接続が短絡し、あるいは腐蝕する原因になることがある。第1の保護シール92の上に第2の保護シール96をオーバモールドすることにより、第1の保護シール92に形成された開口97が気密封止される。第2のオーバモールド・プロセスの間、これらのピン(図示せず)を使用して第1のオーバモールド・ユニットを位置決めする場合、第2のオーバモールド・プロセスのためのこれらのピンは、第1のオーバモールド・プロセスとは異なる位置に配置することができる。
【0027】
図9は、本発明の第3の好ましい実施形態による風防ガラス加熱システムを示したものである。風防ガラス加熱回路100は、複数の加熱素子が窓ペインの両端間に水平方向に配置された単一の加熱セクションを備えている。窓ペインの両端に正の母線104および負の母線106が配置されており、複数の加熱素子102によって互いに電気接続されている。図2に示す2本のジャンパ・ハーネスとは異なり、単一の電力接続107を使用して風防ガラス加熱回路に電力が提供される。図2の場合と同様、ジャンパ・ハーネスは、車両のカウル領域64に配置されている。
【0028】
以上、特許法の規定に基づいて、好ましい実施形態によって本発明の原理および動作モードを説明し、かつ、図面に示した。しかしながら、本発明の精神あるいは範囲を逸脱することなく、とりわけ上で説明し、かつ、図面に示した方法以外の方法で本発明を実践することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】従来技術による加熱風防ガラス・システムを示す図である。
【図2】本発明の第1の好ましい実施形態による加熱風防ガラス・システムを示す図である。
【図3】本発明の第1の好ましい実施形態による導体の平面図である。
【図4】本発明の第1の好ましい実施形態による導体の断面図である。
【図5】本発明の第1の好ましい実施形態による導体の断面図である。
【図6】本発明の第1の好ましい実施形態によるフレームワークを示す図である。
【図7】本発明の第2の好ましい実施形態による導体の断面図である。
【図8】本発明の第2の好ましい実施形態による導体の断面図である。
【図9】本発明の第3の好ましい実施形態による加熱風防ガラス・システムを示す図である。
【符号の説明】
【0030】
10、50 加熱風防ガラス・システム
12 風防ガラス
14 統合加熱風防ガラス回路
16、18 加熱セクション(窓加熱回路)
20、31、104 正の母線
22、32、106 負の母線
24、34 ワイヤ・エレメント
26、30、36、40、51、52 コネクタ(電気コネクタ)
28、38 A−ピラー
29 半透明バンド
54 バッテリ
56 同期発電機
58、60、63 回路
59 バッテリの負の端子
61 バッテリの正の端子
64 カウル領域
66 第1の電気導体条片(第1の導電条片)
68 第2の電気導体条片(第2の導電条片)
70 膜(ポリイミド膜)
71 中間セクション
72 第1の導電条片の第1の端部
74 第1の導電条片の第2の端部
76 第2の導電条片の第1の端部
78 第2の導電条片の第2の端部
80、81 スロット
82、84 ワイヤ
83 タブ部材
86、88 電気結合
90 フレームワーク
92、96 保護シール
94 接着促進剤
95 ピグテール・コネクタ
97、116、117、118、119 開口
100 風防ガラス加熱回路
102 加熱素子
107 電力接続
110 上部シェル・ケーシング
112 下部シェル・ケーシング
113 プラスチック・ヒンジ
114 バンパ表面領域
115 下部シェル・ケーシングの凹所領域
120、121、122、123 ノッチ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の電力接続装置であって、
それぞれ第1の端部および第2の端部を有する実質的に平坦な一対の電気導体条片であって、前記第1の端部が自動車グレージングの統合加熱器導体に電気結合されるようになされた一対の電気導体条片と、
前記電気導体条片対の中間セクションの上に保護被覆を形成している、実質的に平坦な前記電気導体対の間を絶縁し、かつ、一定の間隔で維持している膜と、
前記第2の端部に電気結合された一対のワイヤと、
実質的に平坦な前記電気導体条片対の前記第2の端部の上に形成された、電気導体条片の前記第2の端部と前記ワイヤの前記電気結合を封止するための第1の保護オーバモールド・シールと
を備えた電力接続装置。
【請求項2】
前記ワイヤおよび前記自動車グレージングの前記統合加熱器導体に電気結合された実質的に平坦な前記電気導体対が前記車両の湿った環境に配置される、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項3】
前記電気導体条片の前記第2の端部および前記ワイヤの上に接着促進剤が配置され、それによりオーバモールド操作に先立つ前記電気導体条片の前記第2の端部および前記ワイヤへの前記第1の保護オーバモールド・カバーの取付けが補助される、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項4】
前記電気導体条片の前記第2の端部と前記ワイヤの前記電気結合の上に配置された、前記電気結合にサポート構造を提供するためのフレームワークをさらに備え、前記フレームワークが前記第1の保護オーバモールド・シールによってオーバモールドされた、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項5】
前記フレームワークの上、前記中間セクションのセグメントの上、および前記ワイヤの上に接着促進剤が配置され、それによりオーバモールド操作に先立つ前記フレームワーク、前記中間セクションの前記セグメントおよび前記ワイヤへの前記第1の保護オーバモールド・シールの取付けが補助される、請求項4に記載の電力接続装置。
【請求項6】
前記膜が、それぞれ前記第2の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に形成され、かつ、前記中間セクションの一部に長手方向に展開している、所定の幅および長さを有するスロットを備え、前記第1の保護オーバモールド・シールが前記スロットの一部の上に形成された、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項7】
前記膜が、それぞれ前記第1の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に形成され、かつ、前記中間セクションの一部に長手方向に展開している、所定の幅および長さを有するスロットを備えた、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項8】
前記第1の保護オーバモールド・シールの上に形成された第2の保護オーバモールド・シールをさらに備えた、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項9】
前記第2の保護オーバモールド・シールが、前記第1の保護オーバモールド・シールに形成された開口を気密封止する、請求項8に記載の電力接続装置。
【請求項10】
前記膜がポリイミド膜を備えた、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項11】
前記膜が重合体をベースとする膜を備えた、請求項1に記載の電力接続装置。
【請求項12】
自動車グレージングのための除霜システムであって、
第1の透明ペインと、
第2の透明ペインと、
前記第1の透明ペインと前記第2の透明ペインの間に配置された統合加熱器導体を備えた中間層であって、前記統合加熱器導体が正の母線、負の母線および複数のワイヤ・エレメントを備え、前記複数のワイヤ・エレメントが前記正の母線と前記負の母線の間を展開している中間層と、
電源回路を前記加熱回路に電気接続するための電力接続であって、前記電力接続が、
それぞれ第1の端部および第2の端部を有する実質的に平坦な第1の電気導体条片および実質的に平坦な第2の電気導体条片であって、実質的に平坦な前記第1および第2の電気導体条片の前記第1の端部が前記第1の透明ペインと前記第2の透明ペインの間に配置され、かつ、自動車グレージングの統合加熱器導体に電気結合された、実質的に平坦な第1の電気導体条片および実質的に平坦な第2の電気導体条片と、
実質的に平坦な前記第1および第2の電気導体の前記第2の端部に電気結合された、前記統合加熱器導体に電力を提供するための一対のワイヤと、
前記電気導体条片対の中間セクションの上に保護被覆を形成している、実質的に平坦な前記電気導体対の間を絶縁し、かつ、一定の間隔で維持している膜と、
実質的に平坦な前記電気導体条片対の前記第2の端部の上に形成された、前記導体条片の前記第2の端部と前記ワイヤの前記電気結合を絶縁するための第1の保護オーバモールド・シールと
を備えた電力接続と
を備えた除霜システム。
【請求項13】
前記電気結合の前記第2の端部と前記ワイヤの上に接着促進剤が配置され、それによりオーバモールド操作に先立つ前記実質的に平坦な電気導体条片の前記第2の端部への前記第1の保護オーバモールド・カバーの取付けが補助される、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項14】
前記電気導体条片の前記第2の端部と前記ワイヤの前記電気結合の上に配置された、前記電気結合にサポート構造を提供するためのフレームワークをさらに備え、前記フレームワークが前記第1の保護オーバモールド・シールによってオーバモールドされた、請求項12に記載の除霜システム回路。
【請求項15】
前記フレームワークの上、前記中間セクションのセグメントの上、および前記ワイヤの上に接着促進剤が配置され、それによりオーバモールド操作に先立つ前記フレームワーク、前記中間セクションの前記セグメントおよび前記ワイヤへの前記第1の保護オーバモールド・シールの取付けが補助される、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項16】
前記膜が、それぞれ前記第2の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に形成され、かつ、前記中間セクションの一部に長手方向に展開している、所定の幅および長さを有するスロットを備え、前記第1の保護オーバモールド・シールが前記スロットの一部の上に形成された、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項17】
前記膜が、それぞれ前記第1の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に形成され、かつ、前記中間セクションの一部に長手方向に展開している、所定の幅および長さを有するスロットを備えた、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項18】
前記第1の保護オーバモールド・シールの上に形成された第2の保護オーバモールド・シールをさらに備えた、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項19】
前記膜がポリイミド膜を備えた、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項20】
前記膜が重合体をベースとする膜を備えた、請求項12に記載の除霜システム。
【請求項21】
前記ワイヤおよび前記自動車グレージングの前記統合加熱器導体に電気結合された実質的に平坦な前記電気導体対が前記車両の湿った環境に配置される、請求項12に記載の除霜装置。
【請求項22】
第1の端部および第2の端部を有する、電源回路から車両の統合加熱器導体に電力を供給するための電力コネクタを構築する方法であって、
実質的に平坦な第1の電気導体と実質的に平坦な第2の電気導体を実質的に平行に整列させるステップと、
実質的に平坦な前記第1の電気導体と実質的に平坦な前記第2の電気導体の間を絶縁し、かつ、一定の間隔に維持するための保護膜シールを、実質的に平坦な前記第1および第2の電気導体の中間セクションの上に形成するステップと、
前記実質的に平坦な電気導体の前記第2の端部を一対のワイヤに電気結合するステップと、
前記電気結合の上に第1の保護シールを形成するステップと、
実質的に平坦な前記第1および第2の電気導体条片の前記第1の端部を前記第1の透明ペインと前記第2の透明ペインの間の中間層に配置するステップと、
実質的に平坦な前記第1および第2の電気導体条片の前記第1の端部を自動車グレージングの前記統合加熱器導体に電気結合するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記第1の保護オーバモールド・シールのオーバモールドに先立って前記実質的に平坦な電気導体に接着促進剤を塗布するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記電気結合にサポート構造を提供するためのフレームワークを前記電気導体条片の前記第2の端部と前記ワイヤの前記電気結合の上に配置するステップであって、前記フレームワークが前記第1の保護オーバモールド・シールによってオーバモールドされるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
オーバモールド操作の間、前記フレームワーク、前記中間セクションのセグメントおよび前記ワイヤへの前記第1の保護オーバモールド・シールの取付けを補助するために、前記フレームワーク、前記中間セクションの前記セグメントおよび前記ワイヤの一部に接着促進剤を塗布するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の保護オーバモールド・シールの開口を気密封止するための第2の保護オーバモールド・シールを前記第1の保護オーバモールド・シールの上に形成するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
それぞれ前記第2の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に、前記中間セクションの一部に長手方向に展開する、所定の幅および長さを有するスロットを形成するステップであって、前記第1の保護オーバモールド・シールが前記スロットの一部の上に形成されるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
それぞれ前記第1の端部を起点とする前記第1の導体条片と前記第2の導体条片の間に、前記中間セクションの一部に長手方向に展開する、所定の幅および長さを有する第2のスロットを形成するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記車両の湿った環境に前記電力コネクタを実装するために、自動車グレージングを使用して前記電力コネクタが形成される、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−87947(P2007−87947A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252802(P2006−252802)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(505410508)オータモウティヴ、カムポウナンツ、ホウルディングス、エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】