説明

ゲームシステム、及びそれを実現するためのコンピュータ読取可能な記憶媒体

【課題】 楽器の演奏に不慣れな者でも操作を楽しむことができ、演奏の達成感も満足させ得る音楽ゲームシステムを提供する。
【解決手段】 鍵盤楽器に準じて配列された複数の白鍵7a及び黒鍵7bを有する入力装置7と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された入力装置7の一連の操作を案内画面100を通じて案内する操作案内装置21と、入力装置7の押鍵に応答して各鍵に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置とを備えるゲームシステムにおいて、実際に楽器を演奏するときの鍵盤の操作範囲よりも狭い範囲の鍵7a、7bを操作すれば同じ音楽が演奏できるように入力装置7の各鍵と各鍵に対応付けられた音高との相関関係を変化させる。押鍵位置の並び順と音の高低の関係は楽器のそれと一致させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音楽に合わせた操作を楽しむゲームシステム等に関する。
【0002】
【従来の技術】音楽に合わせた操作を楽しむゲームシステムが例えば特開平11−151380号公報に記載されている。このゲームシステムは、入力装置に設けられた操作部材の操作を画面を通じて案内し、その案内に従って入力装置を操作すると適切な効果音等がBGMとして再生中の音楽に重ね合わされるというものである。操作の案内はゲーム画面内に設けられたインジケータを通じて行われる。インジケータの内部には入力装置の操作部材毎に異なる通路が設定され、各通路の下端にはそれぞれの通路に対応付けられた操作部材の外形的特徴を表した静止マークが配置される。インジケータの上端からはそれらの静止マークに向かって所定の移動マークが曲に合わせたテンポで下降する。各移動マークは操作の継続時間に応じた長さを上下方向(移動方向)に有している。移動マークがインジケータの下端に設定された基準位置に達してからその基準位置を通り過ぎるまで操作部材を操作することがプレイヤーに要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したゲームシステムでは、楽器を演奏している現実感を高めようとすると入力部材の数を増やすことが必要となる。しかし、操作部材が増せばそれだけ演奏も難しくなり、楽器の演奏に長けたプレイヤーは満足できても、不慣れな者はゲームを楽しめないおそれがある。多数の操作部材の一部のみを操作すれば弾ける曲(例えば1オクターブの範囲内で弾けるような曲)を用意すれば操作の難易度は低下する。しかし、そのような曲は魅力が乏しく、たとえゲーム機の指示通りに演奏できたとしても達成感を得られない。
【0004】そこで、本発明は楽器の演奏に不慣れな者でも操作を楽しむことができ、しかも演奏の達成感を十分に感じさせることが可能な音楽ゲームシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0006】本発明は、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器の場合には白鍵及び黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内装置(21)と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置(21、28、25C)とを備え、前記発音制御装置は、前記複数の操作部材の並び順と各操作部材の操作に対応して出力される音の高低との関係を、実際の楽器における前記操作子の並び順と各操作子の操作に対応して出力される音の高低との関係に一致させながら、前記楽器により前記所定の音楽を演奏するときの前記操作子の操作範囲よりも、前記入力装置にて前記所定の音楽を演奏するときの前記操作部材の操作範囲が狭くなるように、前記入力装置の各操作部材と各操作部材に対応付けられた音高との相関関係を変化させる補完手段を備えているゲームシステムにより、上述した課題を解決する。
【0007】この発明によれば、実際の楽器を演奏するときよりも狭い操作範囲内の操作部材を操作するだけで、楽器を演奏したときと同じ音楽が演奏できる。例えば、実際の楽器では3オクターブ程度の範囲の操作子を使用して演奏される音楽が2オクターブ相当あるいはそれ以下の範囲の操作部材を操作するだけで演奏できる。従って、楽器の演奏に不慣れな者でも容易に演奏を行うことができる。出力される音楽は、実際の楽器においてより広い範囲の操作子を操作したときと同等の音高の変化を含んでいるためにプレイヤーにとって十分魅力のあるものとなり、演奏の達成感も十分に味わえる。
【0008】さらに、操作部材の並び順と音の高低との関係が実際の楽器のそれと一致しているので操作に不自然さを感じない。例えばキーボードに準じた入力装置を設けた場合、プレイヤーから見て右側の操作部材ほど高い音が出るように各操作部材の操作と音高との関係が維持されるので、押鍵位置が右に変化しているのに音が下がるような不自然さが生じない。
【0009】なお、入力装置は実際の楽器としてのキーボードに準じたものに限らず、音階に従って操作子が並んでいる形式の種々の楽器に準じて構成してよい。本発明における操作範囲の広狭は、その範囲に含まれる操作子や操作部材の数に基づいて比較することが本発明の趣旨からみて好適である。物理上の長さ単位を利用して操作範囲の幅を比較したときに、実際の楽器上の操作範囲より入力装置の操作範囲が狭くても、その入力装置の操作範囲に含まれる操作部材の数が実際の楽器の操作子の数と同一又は多い場合には、結局、操作の難易度は低下しないからである。なお、鍵盤楽器の黒鍵のように半音階に対応した操作子が含まれている場合、その半音階に対応した操作子及び操作部材は操作範囲の大小比較において無視してもよい。
【0010】本発明のゲームシステムにおいて、前記補完手段は、前記楽器を演奏するときの前記操作子に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔の比率と、前記操作案内装置の指示に従って操作されるべき前記入力装置の操作部材に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔の比率とを前記操作範囲内の少なくとも一部で互いに一致させながら前記相関関係を変化させてもよい。
【0011】ここで、操作子に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔とは、楽器により所定の音楽を演奏する場合において、操作順(演奏順)からみて隣接する一対の操作子(n番目に操作する操作子と、n+1番目に操作する操作子)の間に含まれる操作子の数に基づいて定義できる。同様に、操作部材に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔とは、前記所定の音楽を演奏する場合において、操作順からみて隣接する一対の操作部材(n番目に操作する操作部材と、n+1番目に操作する操作部材)の間に含まれる操作部材の数に基づいて定義できる。この場合も半音階に対応した操作子や操作部材は無視してもよい。そして、間隔の比率とは、例えば音を順に上げるあるいは下げるフレーズを演奏する場合において、1番目に操作する操作子と2番目に操作する操作子との間隔をA、2番目に操作する操作子と3番目に操作する操作子との間隔をB、3番目に操作する操作子と4番目に操作する操作子との間隔をCとしたときのA:B:Cのように操作子同士の間隔を操作順に従って並べたときの間隔の相互の比率をいう。操作部材の場合も同様に定義される。
【0012】上記のように、楽器の操作子に関する操作位置の間隔の比率と、入力装置の操作部材に関する操作位置の間隔の比率とを一致させながら入力装置の操作範囲を実際の楽器のそれよりも狭めたならば、実際の楽器において操作位置の変化が小さい箇所では入力装置の操作位置の変化も小さくなり、実際の楽器において操作位置の変化が大きい箇所では装置の操作位置の変化も大きくなるというように、操作位置の変化の傾向が楽器と入力装置とで一致するようになる。そのため、実際に楽器を弾いている感覚を高めつつ、操作範囲を狭めて操作の難易度を低下させることができる。
【0013】前記補完手段は、前記操作部材を操作する際の難易度が所定のレベルよりも高い部分のみ前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が前記操作子に関する一連の操作位置の間隔よりも詰められるようにして前記相関関係を変化させてもよい。
【0014】この場合には、難易度が高い部分のみ操作位置の間隔が詰められるので、入力装置を楽器の演奏と同様に操作する部分を残して楽器を演奏する実感を高めつつ、難易度が必要以上に高い部分を排除して楽器に不慣れなプレイヤーでも十分にプレイを楽しませることができる。
【0015】前記補完手段は、前記操作位置の間隔が所定の基準値以下の部分では前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が対応する前記操作子に関する操作位置の間隔と一致し、前記操作位置の間隔が所定の基準値よりも大きい部分では前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が対応する前記操作子に関する一連の操作位置の間隔よりも狭くなるようにして、前記相関関係を変化させてもよい。
【0016】このようにすれば、楽器を演奏する場合に操作位置が大きく変化する箇所では入力装置の操作位置の間隔が狭められて難易度が所定のレベルよりも低く維持される。これにより、楽器の演奏に不慣れな者でもゲームを十分に楽しめる。また、操作位置の間隔が所定の基準値以下の部分では楽器と同様に操作位置が変化するので、楽器を演奏する実感が高まる。
【0017】前記入力装置の前記操作部材は、前記特定の楽器としてのキーボードの前記操作子としての鍵の配列に準じて配列されていてもよい。この場合、前記補完手段は、前記キーボードの黒鍵を避けるようにして前記相関関係を変化させてもよい。一般に、キーボードを演奏する場合には白鍵よりも黒鍵の方が操作が難しい。これを避けて相関関係を変化させることにより操作の難易度が不所望に上がるおそれがなくなる。特に、上述したように操作位置間の比率を一致させつつ操作位置の間隔を狭めるような場合には、操作位置が黒鍵に移る場合が生じるが、これをさらに黒鍵から隣接する白鍵に移すことにより、操作の難易度を確実に下げることができる。
【0018】本発明の別のゲームシステムは、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器の場合には白鍵及び黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内装置(21)と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置(21、28、25C)とを備え、前記発音制御装置は、単一の操作部材の一回の操作に応答して和音を発音可能であることを特徴とする。
【0019】このゲームシステムによれば、本来の楽器であれば複数の操作子を同時に操作しなければ得られない和音が、単一の操作部材を一回操作しただけで得られるので、操作の難易度を低下させつつ、プレイヤーに十分な達成感を感じさせることができる。
【0020】本発明のさらに別のゲームシステムは、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器の場合には白鍵及び黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内装置(21)と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置(21、28、25C)とを備え、前記発音制御装置は、単一の操作部材の一回の操作に応答して少なくとも二つの楽音を連続して発音可能であることを特徴とする。
【0021】このゲームシステムによれば、本来の楽器であれば複数の操作子を続けて操作しなければ得られない複数の楽音が、単一の操作部材を一回操作しただけで得られるので、操作の難易度を低下させつつ、プレイヤーに十分な達成感を感じさせることができる。複数の楽音は、曲中の特定のフレーズが再生されるように選ぶとよい。
【0022】本発明のゲームシステムは、前記操作案内装置が案内した操作と、該操作の案内を受けてプレイヤーが実際に行った操作との相関関係に基づいてプレイヤーの操作を評価する評価装置(21)を具備し、該評価装置は、前記操作案内装置の案内に従って操作すべき操作部材と、前記操作すべき操作部材に対して所定範囲内で隣接しかつ前記操作案内装置からは操作が指示されていない他の操作部材とが同時的に操作された場合に正しい操作が行われたものと判断してもよい。上述した補完手段による処理を行うと、操作部材相互の間隔が狭くなって操作し易くなる反面、所定範囲内で隣接する操作部材を連続して操作する機会が増え、誤って隣の操作部材を操作するおそれが生じる。しかし、上記の評価装置を設けた場合には、操作案内装置に指示された操作部材を正しく操作している限り、これに隣接(必ずしも1つ隣に限らず、2以上の所定範囲を定めてよい。)する操作部材が操作されても正しい操作が行われたと判断すればプレイの難易度が下がって楽器に不慣れなプレイヤーでも手軽にゲームを楽しめる。なお、ここでいう同時的とは、ゲームの制御装置からみて同時刻に限定されず、同時とみなして差し支えない範囲を同時的として扱ってよい。すなわち、同時的の語は一定の許容範囲を含む。
【0023】さらに、複数の操作部材が同時的に操作された場合には、それら同時に操作された操作部材のすべてに対応するすべての楽音を同時に発音すれば、操作すべき操作部材のみを操作した場合と異なる発音が行われることとなるので、プレイヤーに操作の誤りを認識させ、次回から正しい操作を試みるように注意を喚起できる。
【0024】本発明は、記憶媒体として構成されてもよい。すなわち、本発明の記憶媒体は、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器であれば白鍵及び黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体(10)であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、前記複数の操作部材の並び順と各操作部材の操作に対応して出力される音の高低との関係を、前記楽器における前記操作子の並び順と各操作子の操作に対応して出力される音の高低との関係に一致させながら、前記楽器により所定の音楽を演奏するときの前記操作子の操作範囲よりも、前記入力装置にて前記所定の音楽を演奏するときの前記操作部材の操作範囲が狭くなるように、前記入力装置の各操作部材と各操作部材に対応付けられた音高との相関関係を変更可能であることを特徴とする。
【0025】本発明の別の記憶媒体は、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器の場合には白鍵と黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、単一の操作部材の一回の操作に応答して和音を発音可能であることを特徴とする。
【0026】本発明のさらに別の記憶媒体は、特定の楽器(例えば鍵盤楽器)の操作子(鍵盤楽器の場合には白鍵と黒鍵)に準じて配列された複数の操作部材(7a、7b)を有する入力装置(7)を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面(100)を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、単一の操作部材の一回の操作に応答して少なくとも二つの楽音を連続して発音可能であることを特徴とする。
【0027】これらの記憶媒体に記録されたプログラムをゲームシステムのコンピュータで読み取って実行することにより、上述した本発明のゲームシステムを構成することができる。なお、本発明において、記憶媒体は磁気記憶装置、光磁気記憶装置、半導体記憶装置等の各種の記憶媒体を含む。
【0028】本発明における操作案内装置は種々の構成のものを使用できる。一例として、前記操作案内装置は、前記入力装置に対する所定の単位時間よりも長い継続的操作を、前記一連の操作に含まれる操作の一種として案内する継続的操作案内手段を含み、前記継続的操作案内手段は、少なくとも一つの継続的操作に関しては、その継続的操作を開始するタイミングの案内に従って前記プレイヤーが前記入力装置の操作を開始した以降に当該継続的操作を終えるタイミングを案内してもよい。
【0029】この場合、操作案内装置の案内に従ってプレイヤーが継続的操作を開始した後に、その継続的操作を終えるタイミングがプレイヤーに案内される。従って、継続的操作を開始するまでは、その操作をいつ終えればよいかをプレイヤーが予測不可能か又は予測困難となる。これにより、ゲームに意外性が付与されてプレイヤーの興味が刺激される。
【0030】前記操作案内装置は、前記案内画面内の所定方向に前記音楽の演奏に応じたテンポで移動する可動標識(115)と、その可動標識の移動経路上の所定位置に表示される基準標識(116)との位置関係によって前記一連の操作に含まれる各操作を案内するように構成することができる。そして、前記継続的操作案内手段は、前記継続的操作を開始するタイミングに同期して前記可動標識が前記基準標識に到達し、かつ前記継続的操作を終えるタイミングに同期して前記可動標識が前記基準標識を通過するように、前記可動標識又は前記基準標識から選択された制御対象標識の前記所定方向に関する位置及び長さを制御するとともに、前記少なくとも一部の継続的操作に関しては、その継続的操作を開始するタイミングの案内に応答して前記継続的操作が開始されるまでは前記制御対象標識の前記長さを前記継続的操作の継続時間に対応する本来の長さとは異なる長さに設定し、前記継続的操作が開始された後に前記制御対象標識を前記本来の長さに変更して前記継続的操作を終えるタイミングを案内することができる。この場合には、継続的操作の案内に従って入力装置の操作を開始すると、可動標識又は基準標識が伸びたり縮んだりして正しい操作終了のタイミングがプレイヤーに案内されるようになる。
【0031】前記操作案内装置(21)は、前記単位時間内で終了する単発的操作を、前記一連の操作に含まれる操作の一種として案内する単発的操作案内手段を含んでもよい。その単発的操作案内手段は、前記単発的操作が行われるべきタイミングに同期して前記可動標識が前記基準標識に到達するように、前記可動標識又は前記基準標識から選択された制御対象標識の前記所定方向に関する位置を制御するとともに、その単発的操作に対応する制御対象標識の長さを所定の基準長さに設定することができる。この場合には、一回限りの操作と、継続的な操作とが混ざって案内されるようになり、操作の種類が増えて実際にキーボード等の楽器を操作する場合に近い感覚を体感させることができる。
【0032】前記単発的操作に対応する前記制御対象標識と、前記本来の長さとは異なる長さに設定された前記継続的操作に対応する制御対象標識とは前記案内画面内において識別可能であってもよい。この場合には、長さが変更される前の継続的操作に対応した制御対象標識をプレイヤーが容易に見分けることができ、継続的操作の開始後の長さの変更に備えることができる。
【0033】前記本来の長さとは異なる長さに設定された前記継続的操作に対応する制御対象標識は、前記単発的操作に対応する前記制御対象標識の前記基準長さよりも長く表示されてもよい。このように長さを違えて制御対象標識を表示させた場合には、その制御対象標識が単発的操作に対応するものなのか、継続的操作に対応するものなのかをプレイヤーが容易に見分けられるようになる。
【0034】前記可動標識を前記制御対象標識として選択し、前記継続的操作案内手段は、前記継続的操作が開始された後に前記可動標識をその移動方向と反対側に伸ばして前記継続的操作を終えるタイミングを案内してもよい。この場合には、可動標識が案内画面上の所定位置に達し、それに合わせてプレイヤーが可動標識にて案内された継続的操作を開始すると、可動標識がその移動方向と反対側に伸びて実際の操作終了のタイミングがそれまでの可動標識によって示された位置よりも後にあることがプレイヤーに案内される。
【0035】前記操作案内装置は、前記案内画面内の所定方向に前記音楽の演奏に応じたテンポで移動する可動標識(115)と、その可動標識の移動経路上の所定位置に表示される基準標識(116)との位置関係によって前記一連の操作に含まれる各操作を案内するように構成されてもよい。そして、前記操作案内装置は、前記可動標識と前記基準標識とによって案内される少なくとも一つの操作が前記入力装置に対して開始された以降に、当該操作を案内するための前記可動標識と前記基準標識のうち、いずれか一方の前記所定方向の長さを変化させる長さ制御手段を含んでもよい。
【0036】このようにすれば、操作が行われてから可動標識又は基準標識の長さが変更されるので、それらの位置関係によって示されるべき操作の案内が変化してゲームに意外性が付与される。
【0037】この場合、前記操作案内装置は、前記操作を開始するタイミングに同期して前記可動標識が前記基準標識に到達し、かつ前記操作を終えるタイミングに同期して前記可動標識が前記基準標識を通過するように、前記可動標識と前記基準標識との位置関係を制御し、前記長さ制御手段は、前記操作を終えるタイミングが変化するように前記可動標識又は前記基準標識の長さを変化させてもよい。さらに、前記長さ制御手段は、前記可動標識をその移動方向と反対側に伸ばしてもよい。
【0038】なお、上記における継続的操作とは、例えば操作部材としての鍵を押し続ける操作、同一の鍵を短い周期で繰り返し押し続ける連打、複数の鍵を所定の順序、あるいは任意の順序で押す操作のように、プレイヤーが操作の継続性を意識するように仕向けられた操作をいい、継続性を意識しないで済む単発的操作とは例えば操作の継続時間が所定の単位時間を超えるか否かによって区別される。
【0039】以上の各形態において、案内した操作と、操作の案内を受けてプレイヤーが実際に行った操作との相関関係(例えば操作の一致度)に基づいてプレイヤーの操作を評価する手段を設けてもよい。単発的操作に対する操作の評価は、例えば、案内した操作のタイミングと、実際に行われた操作のタイミングとの一致度に基づいて行うことができ、一致度が高いほど評価を高くすることができる。一方、継続的操作に対する評価は、例えば案内した操作の開始のタイミングと、実際にプレイヤーが操作を開始したタイミングとの相関関係(例えば一致度)、案内した操作の終了のタイミングと、実際にプレイヤーが操作を終えたタイミングとの相関関係(例えば一致度)の両者、またはいずれか一方に基づいて行うことができる。案内した操作開始のタイミングと、実際に操作が開始されたタイミングとの相関関係のみを評価し、その後、操作終了のタイミングになるまでは全く評価を行わないか、あるいは減点となる評価のみを行わないようにしてもよい。この場合には、継続的操作が開始された後、その継続的操作の終了のタイミングが訪れるまではプレイヤーが評価の低下を気にすることなく入力装置を自由に操作することができる。これにより、例えば音楽のフリーセッションを擬似的に体験させることもできる。
【0040】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明が適用されたアーケードゲーム機(業務用ゲーム機)の外観を示している。このゲーム機1は、筐体2と、筐体2の前面側に取り付けられた左右一対のモニタ3,3と、筐体2の上部及び側方にそれぞれ配置されたスピーカユニット4A,4B,4Bと、筐体2の周囲に配置されたスポットライト等の照明装置5…5とを有している。各モニタ3はそれぞれの長辺を上下方向と一致させた縦置き状態で取り付けられている。但し、二台のモニタ3,3に代え、横長の一台のモニタを設置してもよい。
【0041】筐体2のモニタ3よりも下側の部分には、前方へ突出するようにしてコントロールパネル2aが設けられている。コントロールパネル2aの上面はほぼ水平であり、そこには各モニタ3に対応付けて一対の操作部6,6が設けられる。各操作部6,6はそれぞれ一人のプレイヤーがプレイする場として設けられている。但し、一人のプレイヤーが両操作部6,6を同時に操作してプレイを楽しむこともできる。
【0042】各操作部6には、入力装置として、キーボード7とホイールコントロールスイッチ8とが設けられている。キーボード7は、電子楽器の分野においてMIDI(Musical Instruments Digital Interfaceの略)キーボードと呼ばれているものであり、操作部材として2オクターブ相当の鍵、すなわち14個の白鍵7a…7aと10個の黒鍵7b…7bとを有している(図5参照)。なお、以下において白鍵7aおよび黒鍵7bを区別する必要がないときは単に鍵と呼ぶ。鍵の個数は2オクターブに限定されず、1オクターブ又は3オクターブ以上であってもよい。
【0043】ここでいうMIDIとは、MIDI出力とMIDI入力とを結ぶMIDIケーブル上の通信プロトコルを定めた規格である。MIDI規格では16個のチャンネルが規定され、各チャンネルにはそれぞれ異なる音色、換言すれば互いに異なる種類の楽器を割り当てることができる。キーボード7の鍵が押されるとノートオンメッセージが、鍵が離されるとノートオフメッセージがそれぞれ出力される。ノートオンメッセージは、メッセージの種類、チャンネル番号、ノート番号及びベロシティに関する情報を含んでいる。チャンネル番号の情報は、16個のチャンネルのいずれを制御するかを指定する情報である。ノート番号の情報は、どの音高(音程)の音を出力すべきか、換言すればどの鍵が押されたかを指定する情報である。ベロシティの情報は、鍵の押された強さを例えば128段階に分けて指定する情報である。同様に、ノートオフメッセージは、メッセージの種類、チャンネル番号、ノート番号及びベロシティに関する情報を含んでいる。チャンネル番号の情報は、16個のチャンネルのいずれを制御するかを指定する情報であり、ノート番号の情報はどの音高(音程)の音を消音すべきか、換言すればどの鍵が離されたかを指定する情報である。ベロシティの情報は、鍵の離された強さを例えば128段階に分けて指定する情報である。
【0044】図6に示すように、ホイールコントロールスイッチ8は、コントロールパネル2aの左右方向(キーボード7の鍵が並ぶ方向に等しい。)に延びる軸8aと、その軸8aを中心として図中に矢印で示したように一定範囲で回動可能な半月状の操作部材としてのホイール8bを有している。ホイールコントロールスイッチ8からはホイール8bの回転方向に対応した信号が出力される。なお、ホイールコントロールスイッチ8の操作部材は半月状に限らず、円盤型等でもよい。ホイールコントロールスイッチ8に代え、スライド操作が可能な入力装置を設けてもよい。
【0045】図4から明らかなように、各ホイールコントロールスイッチ8は各操作部6の外側に配置され、スイッチ8の内側にキーボード7,7が配置されている。コントロールパネル2aの左右方向の中央(キーボード7,7の間)にはステージの選択等に用いる押釦型のパネルスイッチ9,9が設けられている。筐体2の前面であってコントロールパネル2aの下方には硬貨投入口2b及び硬貨返却口2cが設けられている。パネルスイッチ9をキーボード7同士の間から離れた位置に配置し、空いたスペースを詰めてキーボード7,7を連続させてもよい。
【0046】図7はゲーム機1に設けられた制御系の構成を示すブロック図である。ゲーム機1はマイクロプロセッサを主体として構成されたCPU21と、CPU21に対する主記憶装置としてのROM22およびRAM23と、CPU21からの命令に従って所望の画像をモニタ3上に表示させる画像処理装置24と、所望の音をスピーカユニット4A,4Bから出力させるためのサウンド処理装置としてのCD−DA音源25A、PCM音源25B及びMIDI音源25Cと、記憶媒体としてのCD−ROM10に記録されたプログラムやデータを読み取るためのCD−ROM読取装置27とを有している。各要素21,22,23,24,25B,及び27はバス30を介して互いに接続されている。
【0047】ROM22には、ゲーム機1の起動処理等の基本的な動作制御に必要なプログラムが書き込まれる。RAM23にはCD−ROM10から読み取ったゲーム用のプログラムやデータが必要に応じて書き込まれる。CD−ROM10に記録されたデータには、ゲーム中にBGMとして使用する曲を再生するための曲データ、その曲に重ね合わされるべき各種の効果音を再生するための効果音データが含まれる。曲データはCD−DA形式で記録され、効果音データはPCM形式で記録される。
【0048】CPU21からCD−ROM読取装置27に対してCD−ROM10上の特定の曲の再生が指示されると、CD−ROM読取装置27はその指示された曲の先頭のセクタを検出し、そのセクタから曲データの読み取りを開始する。読み取られたデータはCD−ROM読取装置27からCD−DA音源25Aに渡され、そこでアナログ音声信号に変換されてアンプ26へと出力される。
【0049】CPU21からCD−ROM読取装置27に対してCD−ROM10上の特定の効果音の再生が指示されると、CD−ROM読取装置27はその指示された効果音のデータを読み取ってPCM音源25Bに渡す。読み取られた効果音データはPCM音源25Bによりアナログ信号に変換されてアンプ26へと出力される。なお、CD−ROM10上の効果音データを予めRAM23に読み込んでおき、CPU21の命令に応じてRAM23からPCM音源25Bへと効果音データを渡してもよい。
【0050】MIDI音源25CはMIDI制御回路28と接続される。キーボード7が操作されると、その操作に応じたMIDIメッセージがMIDI制御回路28に出力される。MIDI制御回路28は、受け取ったMIDIメッセージに対応して、キーボード7の操作状態を判別するための情報をCPU21に出力する。操作状態を判別するための情報は、どの鍵が操作されたか、及びその操作が押鍵又は離鍵のいずれかを特定するためのデータを含んでいる。CPU21はMIDI制御回路28からの情報に基づいてキーボード7の操作を判別し、その操作に対応した発音データをMIDI制御回路28に渡してその再生を指示することができる。この処理により、キーボード7から出力されるMIDIメッセージとは異なる内容の発音が行われるが、詳細は後述する。
【0051】MIDI音源25Cから出力される音は、キーボード7を演奏した気分を体感させるべく主として楽器音に設定し、CD−DA音源25Aによる発音とMIDI音源25Cによる発音とが重ね合わされて一つの楽曲が演奏されるようにするとよい。これに対して、PCM音源25Bから出力される効果音は、CD−DA音源25Aによる発音とMIDI音源25Cによる発音とによって構成される演奏にさらに特有の演出(雰囲気)を加えるための音が望ましい。例えば、人の歓声や拍手の音等を効果音データとして用意し、これらを適切なタイミングで再生してライブ演奏の雰囲気を出すようにしてもよい。
【0052】さらに、CPU21にはバス30を介してホイールコントロールスイッチ8,8、パネルスイッチ9及び金銭認証装置31が接続される。ホイールコントロールスイッチ8又はパネルスイッチ9が操作されると、その操作を示す信号がCPU21に出力され、CPU21はその操作に対応した処理を例えば割り込み処理として実行する。金銭認証装置31は硬貨投入口2bから投入された硬貨の真偽を判定し、真と判断したときに所定の投入信号をCPU21へ出力する。
【0053】なお、以上の構成では、CD−ROM10上に曲データをCD−DA形式で記録したが、本発明はこれに限らず、曲データは各種のフォーマットで記録してよい。例えばMP3(Mpeg Audio Layer-3)規格によって圧縮したデータを曲データとして使用してもよい。この場合には、CD−DA形式と比較して曲データを1/10程度まで圧縮できるため、CD−ROM10に記録できる曲数が増加し、かつCDクオリティ(44.1kHz、16ビットステレオ)の音声の聴感上の劣化が生じない利点がある。曲データ等の記憶媒体としては、CD−ROM10に代え、あるいは追加して、ハードディスク、DVD−ROM等の大容量記憶装置を設けてもよい。
【0054】図8はゲーム機1にてゲームが実行されるときにモニタ3,3上に表示される画面の一例を示しており、左側の画面100は筐体2の左側のモニタ3に、右側の画面100は筐体2の右側のモニタ3にそれぞれ表示される。図8から明らかなように、画面100は、操作案内部110と、画像表示部120と、評価表示部130とを含んでいる。
【0055】操作案内部110は曲に合わせた入力装置7,8の操作をプレイヤーに案内するために設けられている。操作案内部110の下端にはキーボード7及びホイールコントロールスイッチ8の外形的特徴を示したキーボード画像111及びホイール画像112が表示されている。画像111,112よりも上側の部分は、上下方向に延びる区切線113…113により縦長の複数の領域114…114に区分されている。区切線113の位置はキーボード画像111の白鍵同士の境界(但し、黒鍵と重なる部分に限る)及びホイール画像112上のホイール8bの左端(左側の画面100)又は右端(右側の画面100)とそれぞれ一致している。黒鍵が存在しない白鍵同士の境界及びキーボード画像111とホイール画像112との境界では、区切線113の表示に代え、背景色の切り換え(図8ではハッチングの相違により示す。)により領域114,114の境界が示される。
【0056】各領域114の内部及びそれらの境界上には、キーボード7の鍵7a、7b又はホイール8bの操作タイミングを示すマークとして、ショートオブジェ115A、ロングオブジェ115B及びホイールオブジェ115Cの少なくとも3種類の画像が表示される。ショートオブジェ115Aは、キーボード7を所定の単位時間内に一回限り叩く操作(単発操作)を案内するためのものであり、その上下方向の長さは単位時間に対応した最小値に設定される。ロングオブジェ115Bは、上記の単位時間を越えて継続されるキーボード7の操作(継続的操作)を案内するためのものであり、その上下方向の長さはショートオブジェ115Aよりも長い。ホイールオブジェ115Cはホイール8bの操作を案内するものであり、ホイール8bの操作方向を示す矢印117が付されていることが他のオブジェ115A,115Bと相違する。以下において、これらを区別する必要のないときはオブジェ115と呼ぶ。
【0057】オブジェ115…115のうち、白鍵7a又はホイール8bに対応するものは領域114内に、黒鍵7bに対応するものは区切線113上にそれぞれ表示される。換言すれば、操作案内部110には、オブジェ115の通路として、白鍵7a及びホイール8bに対応した領域114内の通路と、黒鍵7bに対応した領域114同士の境界上の通路とが設けられていることになる。白鍵に対応するオブジェと黒鍵に対応するオブジェとは互いに異なる色で表示されて視覚的に区別可能である。
【0058】各オブジェ115は、プレイ中に再生されるBGMの進行に応じて操作案内部110の上端に所定のタイミングで出現する。出現したオブジェ115は、曲のテンポに合わせた速度で真っ直ぐ下降する。操作案内部110の下端には入力装置7,8の画像111,112に重なるようにして判定ライン116が表示されている。判定ライン116は画面100の左右方向に真っ直ぐ伸びており、画像111,112とは異なる色彩で表示される。判定ライン116とオブジェ115との関係に基づいてキーボード7及びホイールコントロールスイッチ8の操作のタイミングが案内される。また、オブジェ115A,115Bと画像111上の鍵との対応関係により、キーボード7の押鍵位置が案内される。例えばキーボード7の右端の白鍵7bの操作が要求される場合には、画像110上の右端の鍵に連なる領域114内にオブジェ115A又は115Bが表示される。
【0059】オブジェ115Aの下端が判定ライン116に達するタイミングに合わせてプレイヤーがそのオブジェ115Aによって案内された押鍵位置の鍵7a又は7bを押鍵すると正解となり、そのオブジェ115Aに対応付けられた発音が行われる。この場合、オブジェ115Aが判定ライン116に達したタイミングと、そのオブジェ115Aに対応する鍵7a又は7bが実際に操作されたタイミングとのずれに基づいてプレイヤーの操作が評価される。
【0060】また、オブジェ115Bの下端が判定ライン116に達するタイミングに合わせて、プレイヤーがそのオブジェ115Bによって案内された押鍵位置の鍵7a又は7bを押鍵すると正解となり、オブジェ115Bに対応付けられた発音が開始される。その後、プレイヤーが離鍵するか、又はオブジェ115Bの上端が判定ライン116を通過するかのいずれか早い時期まで発音が継続される。この場合、オブジェ115Bの下端が判定ライン116に達したタイミングと実際の押鍵のタイミングとのずれ、及びオブジェ115Bの上端が判定ライン116を通過したタイミングと実際の離鍵のタイミングとのずれに基づいてプレイヤーの操作が評価される。
【0061】さらに、オブジェ115Cが判定ライン116に達するのに合わせて、プレイヤーがホイール8bを矢印117で指示された方向に操作すると、その操作に対応付けられた処理(例えば、上述した効果音を重ねる処理)が行われる。この場合には、オブジェ115Cが判定ライン116に達したタイミングと、ホイール8bが実際に操作されたタイミングとのずれ、及びオブジェ115C上の矢印117にて指示された操作方向と実際のホイール8bの操作方向とに基づいてプレイヤーの操作が評価される。
【0062】図9に示すように、ロングオブジェ115Bは本来の長さよりも短い長さで操作案内部110に表示される。短く表示されたロングオブジェ115Bが判定ライン116に重なっている間にプレイヤーがロングオブジェ115Bに対応した押鍵位置の鍵を押鍵すると、図10に示すようにロングオブジェ115Bが上方に伸びて本来の長さで表示され、これにより正しい離鍵のタイミングがプレイヤーに提示される。従って、プレイヤーは、ロングオブジェ115Bの下端と判定ライン116との関係から押鍵のタイミングを予め把握しておくことはできるが、その押鍵に対応する離鍵のタイミングは押鍵後でないと正しく把握できない。これにより、操作の案内に意外性が生じ、プレイヤーの興味が刺激される。
【0063】なお、長さ変更前のロングオブジェ115Bはショートオブジェ115Aよりも長く表示される。これにより、長さ変更前であっても、ロングオブジェ115Bとショートオブジェ115Aとの区別を可能とし、プレイヤーに継続的操作が要求されることを確実に意識させることができる。なお、長さ変更前のロングオブジェ115Bをショートオブジェ115Aと同一長さとし、両者を区別する手段を別に設けてもよい。例えば色を変えたり、ロングオブジェ115Bとショートオブジェ115Aとで異なるアニメーション表示を行ったり、両者を区別する標識を別に表示してもよい。要は、長さ変更前のロングオブジェ115Bとショートオブジェ115Aとをプレイヤーが見分けられるようにすればよい。反対に、長さ変更前のロングオブジェ115Bとショートオブジェ115Aとの区別を不可能とし、ロングオブジェ115Bに対応する押鍵を行った後の長さ変更により、プレイヤーが初めて継続的操作と認識できるようにしてもよい。
【0064】画像表示部120には、ゲームの雰囲気を盛り上げる画像等が表示される。その画像にはプレイヤーの操作の評価結果に応じた変化が加えられてもよい。例えば図8の右側の画像は、プレイヤーの操作ミスを示すために「MISS」の英文字が表示されるとともに、画像に乱れが生じている。評価表示部130には、プレイヤーの操作の評価に応じて伸縮するゲージ131やプレイヤーの操作を数値化したスコア132が表示される。さらに、評価表示部130の上端には、現在演奏されている曲のタイトルを示すタイトル部133が設けられる。
【0065】上述したオブジェ115の表示は、CD−ROM10上に記録されたオブジェデータに基づいて制御される。オブジェデータは曲毎に用意される。左右の操作部6,6に対して互いに異なる操作を要求する場合には、操作部6毎にオブジェデータが作成される。オブジェデータは、入力装置の操作内容、具体的には、キーボード7及びホイール8bがそれぞれ曲中のどのタイミングでどのように操作されるべきかを記述したものであり、オブジェ115を第1〜第3のオブジェ115A〜115Cのいずれとして表示させるか、それらのオブジェ115によって案内される操作のタイミング(曲中の位置)を特定できる情報を含んでいる。さらに、オブジェ115A,115Bに関するデータは、各オブジェ115A,115Bによって案内すべき押鍵位置を特定するための情報を、オブジェ115Cに関するデータは、矢印117を上向き又は下向きのどちらで表示させるのかを特定するための情報を含んでいる。
【0066】また、CD−ROM10には、オブジェデータにて記述されたオブジェ115に対応してどのような音を発生させるべきかを記述したデータも記録される。ここで、オブジェ115A及び115Bのそれぞれに対応するデータはMIDI形式で記述された発音データとして記録される。キーボード7が操作されたとき、キーボード7から出力されるMIDIメッセージに代えてオブジェ115A又は115Bに対応付けられた発音データをMIDI制御回路28からMIDI音源25Cに渡すことにより、キーボード7からのMIDIメッセージで指定される音とは異なる音を発生させることができる。このときの音は、例えば押鍵位置とは異なる鍵に対応した高さの単音でもよいし、和音でもよい。複数の異なる音を連ねたフレーズを発音させてもよい。オブジェ115Cに対応するデータは、オブジェ115A、115Bと同様にMIDI形式で記述したデータでもよいし、PCM音源25Bを制御して所定の効果音を発生させるための固有の形式のデータでもよい。
【0067】図11は、ゲーム機1で実行されるゲーム処理の概要を示すフローチャートである。金銭認証装置31(図7参照)から所定額の硬貨の投入を示す信号が出力されると、CPU21は図11のゲーム処理を開始する。この処理では、まずゲームに必要な各種のパラメータや設定が初期化され(ステップS1)、続いてステージ選択が行われる(ステップS2)。各ステージはCD−ROM10上に記録された互いに異なる曲と関連付けられている。ステージの選択は、モニタ3に選択可能なステージを一覧表示し、プレイヤーに操作部6のいずれかの入力装置を操作して希望するステージを選択させる手順で行われる。
【0068】ステージが選択されると、その選択されたステージを実行するために必要なデータがCD−ROM10からRAM23に読み込まれ(ステップS3)、続いてCD−ROM読取装置27に対してステージに関連付けられた曲の再生が指示されて演奏が開始される(ステップS4)。これに同期して図12及び図13に示す処理も開始されるが、これらについては後述する。
【0069】演奏開始後は、現在の演奏位置(曲中の位置)が検出される(ステップS5)。例えば、CD−ROM読取装置27からCD−DA音源25Aへの曲データの出力に連動して、現在再生中のセクタのヘッダ情報をCD−ROM読取装置27を介してCPU21にて読み取ることにより、現在の演奏位置が検出される。続いて、検出された演奏位置に基づいてステージ終了か否かが判別され(ステップS6)、未了であればステップS7へ処理が進められる。
【0070】ステップS7ではMIDI制御回路28及びホイールコントロールスイッチ8からの出力に基づいて現在のキーボード7又はホイールコントロールスイッチ8の操作状態が検出される。そして、検出された操作状態とオブジェデータに記述されている操作内容とが対比されて両者の一致度が演算され(ステップS8)、その演算結果に基づいた評価結果がモニタ3上に表示される(ステップS9)。一致度が高いほど評価が高くなり、例えばゲージ131が伸びたり、スコア132が増加することになる。評価の表示後はステップS5へと処理が戻される。
【0071】ステップS6でステージ終了と判断された場合にはステップS11へ処理が進められる。ステップS11ではゲーム開始からの評価が集計される。その後、集計結果に基づいてゲーム成績がプレイヤーに表示され(ステップS12)、さらに所定の条件(例えばゲージ131の残量が所定以上か否か)に従ってステージがクリアされたか否かが判別される(ステップS13)。ステージクリアであれば、予め用意された全てのステージがクリアされたか否かが判別され(ステップS14)、まだステージが残っていればステップS2へと処理が戻される。ステージが残っていない場合、又はステップS13でステージがクリアされなかった場合には所定の終了表示が行われ(ステップS15)、ゲーム処理が終了する。なお、ステージの途中でも所定の条件が満たされた場合にはゲーム終了となるようにしてもよい。
【0072】上記のゲーム処理でステップS5〜S9が繰り返される間、それと並行して図12に示すオブジェ表示更新処理が実行される。この処理は、オブジェ115の操作案内部110内における位置を所定の周期で更新してオブジェ115を画面100内の下方にスクロールさせるものである。オブジェ表示更新処理が開始されると、まず所定の表示更新時期が到来したか否か判断され(ステップS21)、更新時期のときは、その時点で使用中のオブジェデータから、次に操作案内部110に表示すべき全てのオブジェ115が抽出されてそれらの表示位置が演算される(ステップS22)。続いて、次回の操作案内部110の表示範囲に、長さ変更前のロングオブジェ115Bが存在するか否かが判断される(ステップS23)。ここでいう長さ変更前のロングオブジェ115Bは、判定ライン116に達する前のロングオブジェ115B、及び判定ライン116に達しても、まだ対応する押鍵が行われていないロングオブジェ115Bの両者を含む。変更前のロングオブジェ115Bがあれば、その長さが偽の長さ(本来よりも短い長さ)に変更されて表示されるようにロングオブジェ115Bの表示位置が調整される(ステップS24)。但し、ロングオブジェ115Bの下端の位置は本来の押鍵タイミングに対応した位置に設定される。つまり、ロングオブジェ115Bの下端は、オブジェデータにて定められた押鍵タイミングに対応する位置に設定されるが、ロングオブジェ115Bの上端はオブジェデータにて定められた離鍵タイミングよりも時間的に早い位置に設定される。変更前のロングオブジェ115BがなければステップS24はスキップされる。
【0073】この後、新たに演算されたオブジェ115の表示位置に基づいて操作案内部110の表示が更新される(ステップS25)。続いて、長さ変更前でかつ判定ライン116に重なっているオブジェ115Bが監視対象として抽出され(ステップS26)、その監視対象のロングオブジェ115Bに対応する押鍵操作がなされたか否かが判断される(ステップS27)。ここでは、判定ライン116の上下に許容範囲が設定され、その許容範囲と重なっているオブジェ115Bは判定ライン116と重なっているとみなして監視対象に含めることとする。オブジェ115Bの下端が一致するよりも僅かに早いタイミング、又は偽の長さで表示されたオブジェ115Bの上端が判定ライン116を通り過ぎてから僅かに遅いタイミングで押鍵が行われた場合に、それらに応答してオブジェ115Bの長さを変化させるためである。ステップS21で更新時期でないときはステップS22〜ステップS25がスキップされてステップS26へ処理が進められる。
【0074】次に、監視対象として抽出されたオブジェ115Bに対応する押鍵が行われたか否かが判断される(ステップS27)。押鍵があれば、そのオブジェ115Bが本来の長さに変更されて表示され(ステップS28)、そのオブジェ115Bが監視対象から外され(ステップS29)、その後にステップS21へと処理が戻される。ステップS27で監視対象のロングオブジェ115Bに対する押鍵がないと判断されたときはステップS28,S29が省略されてステップS21へ処理が戻される。
【0075】以上の処理によれば、ロングオブジェ115Bは判定ライン116に達するまでオブジェデータで規定されている操作継続時間よりも短く表示される。そして、ロングオブジェ115Bが判定ライン116に達したタイミングに合わせてプレイヤーがロングオブジェ115Bに対応する鍵7a又は7bを押鍵すると、オブジェ115Bが上方に伸びてプレイヤーに正しい離鍵のタイミングが提示される。長さ変更前のロングオブジェ115Bに対応した押鍵操作が行われることなく、そのロングオブジェ115Bが判定ライン116を通り過ぎた場合には、ステップS26でそのオブジェ115Bが監視対象として抽出されないから、その後、オブジェデータ上の押鍵範囲に押鍵が行われてもロングオブジェ115Bが本来の長さに変化することはない。変更前のロングオブジェ115Bの長さはランダムに設定してもよいし、本来の長さに対して一定の割合(例えば1/2)となるように設定してもよい。長さの変更は、押鍵に応答して直ちに本来の長さに戻してもよいし、押鍵が継続されるに従って徐々に本来の長さへと戻るようにしてもよい。なお、ロングオブジェ115Bが判定ライン116を通り過ぎた場合でも、オブジェデータ上の押鍵範囲内に押鍵があったときにロングオブジェ115Bの上端をオブジェデータ上で規定された本来の離鍵タイミングに相当する位置まで伸ばしてもよい。このとき、長さ変更前のオブジェ115Bが判定ライン116を通り過ぎてから押鍵が行われるまでの期間に相当する部分だけロングオブジェ115Bの表示を省略してもよい。
【0076】図13は、図11のゲーム処理でステップS5〜S9が繰り返される間、それと並行して実行される発音処理の手順を示すフローチャートである。この発音処理では、鍵7a又は7bが押鍵(キーオン)、又は離鍵(キーオフ)されたか否か(ステップS51,S52)、ロングオブジェ115Bに対応する発音期間が開始されたか否か(ステップS53)、ロングオブジェ115Bに対応する発音期間が終了したか否か(ステップS54)、及びホイールコントロールスイッチ8が操作されたか否か(ステップS55)が繰り返し判断される。ここで、ロングオブジェ115Bに対応する発音期間とは、図8のゲーム画面100においてロングオブジェ115B(但し、正しい長さのもの)が判定ライン116に達してからそれを通り過ぎるまでの期間である。
【0077】上述したように、本実施形態のゲーム機1では、キーボード7に関するオブジェ115A,115Bのそれぞれに対してどのような発音を行うかを記述したMIDI形式の発音データが用意されている。図13の処理では、ステップS51〜S54の判断結果に応じて次のようにキーボード7に対する発音が制御される。
【0078】まず、押鍵があったときはステップS51が肯定され、その押鍵がロングオブジェ115Bに対応するものか否かが判断される(ステップS61)。ロングオブジェ115Bに対応しないものであれば、その押鍵に対する発音データがMIDI制御回路28を介してMIDI音源25Cに出力され(ステップS62)、その発音データに従って発音が行われる。例えば、ショートオブジェ115Aに対応する押鍵であれば、そのショートオブジェ115Aに対して予め割り当てられている発音データに応じた発音が行われる。
【0079】一方、ロングオブジェ115Bに対応した押鍵のときは、そのロングオブジェ115Bに対応した発音データで指定されているMIDI音源25Cのチャンネルのボリュームがオンされる(ステップS63)。ボリュームオンのときは、該当チャンネルに関してMIDI音源25Cからアンプ26への音声出力が許可される。ボリュームオフのときは、MIDI音源25Cに対してMIDIデータが送られても該当チャンネルに関する発音は行われない。ステップS62又はS63の処理後はステップS53へと処理が進められる。
【0080】ここで、オブジェ115A,115Bに対応した押鍵か否かは、例えば実際に押鍵されたタイミングと、その押鍵された鍵に関してオブジェデータに記述された最も近い押鍵タイミングとの差が所定範囲か否かで判断できる。いずれのオブジェ115にも対応していない押鍵のときは、発音を行わないか、あるいはキーボード7から出力されるMIDIメッセージに従った発音を行うことが考えられる。
【0081】次に、離鍵があったときはステップS52が肯定され、その離鍵がロングオブジェ115Bに対応するものか否かが判断される(ステップS64)。ロングオブジェ115Bに対応しないものであれば、その離鍵に対応する発音データ(但し、この場合は消音を指示する内容となる)がMIDI制御回路28を介してMIDI音源25Cに出力される(ステップS66)。例えば、ショートオブジェ115Aに対応する離鍵であれば、そのショートオブジェ115Aに対する発音が停止される。
【0082】一方、ロングオブジェ115Bに対応した離鍵のときは、そのロングオブジェ115Bに対応した発音データで指定されているMIDI音源25Cのチャンネルのボリュームがオフされる(ステップS65)。ここでいうロングオブジェ115Bに対応する離鍵とは、ロングオブジェ115Bが判定ライン116と重なっているにも拘わらず、そのロングオブジェ115Bに対応した鍵を離す操作をいう。ステップS65又はS66の処理後はステップS53へと処理が進められる。
【0083】ステップS53にてロングオブジェ115Bに対応する発音期間が開始されたと判断された場合には、そのロングオブジェ115Bに対応する発音データにて指定されているMIDIチャンネルのボリュームがオフされ(ステップS71)、続いて、そのロングオブジェ115Bに対応する発音データのMIDI制御回路28を経由したMIDI音源25Cへの出力が開始される(ステップS72)。ロングオブジェ115Bに対応する発音データは、ロングオブジェ115Bに対応する発音期間に相当する長さだけ所定のフレーズ(例えばドラムループ)が自動的に演奏されるように構成される。その発音データの出力開始後はステップS55へと処理が進められる。
【0084】ステップS54にてロングオブジェ115Bに対応する発音期間が終了したと判断された場合には、そのロングオブジェ115Bに対応する発音データの出力が停止され(ステップS73)、続いて該当チャンネルのボリュームがオンされる(ステップS74)。その後、ステップS55へと処理が進められる。
【0085】ステップS55にてホイールコントロールスイッチ8がオンされたと判断された場合には、その操作に対応した効果が加えられる(ステップS81)。ここでいう効果としては、例えばPCM音源25Bを介した効果音の再生、現在のMIDI音源25Cからの発音に対する音色、ピッチ(音階)の変更等がある。ステップS81の処理後はステップS51へと処理が戻される。
【0086】図14は上記の発音制御によって実現されるロングオブジェ115Bに対応した発音状況の一例を示している。いま、ロングオブジェ115Bに対応する発音期間が図14(a)の通り設定され、その発音期間に合わせて押鍵が行われた後に図14(b)に示すように途中で離鍵が行われ、その後、図14(c)に示すように同一発音期間内で再度押鍵が行われたとする。ロングオブジェ115Bに対応する発音データは発音期間の開始に同期して逐次MIDI音源25Cに供給されるが、押鍵があるまではボリュームがオフのため(ステップS71参照)、その発音データに対応するフレーズは再生されない。押鍵が行われるとボリュームオンとなり(ステップS63)、発音データに応じたフレーズがその押鍵タイミングに合わせた位置から再生される。つまり、押鍵開始によりフレーズが最初から再生されるのではなく、押鍵がずれた場合には途中からフレーズが再生されることになる。
【0087】離鍵から再度押鍵されるまでの間はボリュームオフとなり、フレーズは再生されない。但し、その間もロングオブジェ115Bに対応したMIDIデータ(発音データ)はMIDI音源25Cに供給され続ける。そして、再度押鍵が行われると、その押鍵時点から再びフレーズが出力される。
【0088】このように、実際の押鍵に対応してロングオブジェ115Bに対応した発音データの出力を開始せず、発音期間の開始に合わせて発音データを出力し、押鍵があるまでボリュームをオフにして発音を防止するようにしたので、ロングオブジェ115Bが判定ライン116に重なっている期間と、そのロングオブジェ115Bに対応した発音データに従ってフレーズが再生されている期間とが常に一致する。ロングオブジェ115Bと判定ライン116とが重なっていないにも拘わらず、押鍵に対応してフレーズが再生されるという不自然さは回避される。
【0089】また、上記の処理によれば、ロングオブジェ115Bに対してフレーズを割り当て、ロングオブジェ115Bに対応して押鍵を続ければ自動的にフレーズが再生されるので、キーボード7を画面100上の指示されたタイミングで押鍵するという瞬間的かつ一回限りの操作だけでなく、キーボード7の特定の鍵を押し続けるという継続性がプレイの要素に加わり、プレイヤーに楽器を弾いている感覚をより強く体感させることができる。また、鍵を継続的に押鍵している途中でホイールコントロールスイッチ8の操作を要求し、その操作に応答してピッチ変更等の効果を加えることにより、音を操作する要素をさらに加えてプレイヤーに一層本格的な演奏感覚を体感させることができる。さらに、ショートオブジェ115Aに対応して鍵7a、7bの並び順に従った音階で発音を行えば、電子楽器としてのキーボードを弾いている感覚をより強く体感させることができる。
【0090】本実施形態では、各操作部6にそれぞれ2オクターブ相当の24個の鍵7a…7a,7b…7bが設けられているので、それらの鍵を利用して実際の曲をその楽譜通りの運指で弾かせることも不可能ではない。しかし、24個の鍵を使用した楽譜通りの演奏を要求すると、オブジェ115が操作案内部110の左右に散らばって操作案内が複雑化し、鍵盤操作に習熟した者でないと十分な操作が行えないおそれがある。これではゲームとして成立しない。
【0091】そこで、操作案内部110に表示するオブジェ115の配置や個数をより簡単なものへと変更しつつ、オブジェ115に対応した発音内容は実際に曲を弾いているものと同等として、簡単な操作で本格的な演奏を行えるようにオブジェ115と発音データとの対応関係を設定することが望ましい。このような調整を、ここでは補完と呼ぶ。補完には種々の方法が考えられるが、キーボードを弾いている実感を損なわないように配慮することが重要である。そのためには、上述したように、鍵の並び順と音の高低との関係を一致させる必要がある。つまりは、右側の鍵ほど高い音が発音されるようにすることである。例えば音が徐々に高くなっていく時にオブジェ115が操作案内部110の左から右へと並んでいると、音高の変化する方向と、キーボード7上の押鍵位置が変化する方向とが一致せず、キーボードを弾いている感覚が損なわれる。以下、図15〜図17を参照して補完方法の例を説明する。
【0092】図15は補完方法の一例を示している。図1515(a)の■〜■は本来の楽譜に基づいて要求される押鍵位置を、(b)の■〜■は補完後の押鍵位置をそれぞれ示し、丸内の数値は押鍵順番である。この補完方法は、押鍵位置間の比率を維持しつつ、押鍵位置の間隔を圧縮するものである。すなわち、隣接する白鍵同士の距離を1としたとき、図15(a)の場合の押鍵位置■〜■の間隔は順に2,4,6,8となっており、これをそれぞれ1/2に圧縮して1,2,3,4の間隔に詰める。オブジェ115はこの補完後の押鍵位置に対応して操作案内部110に表示させるが、そのオブジェ115に対応した発音は補完前の押鍵位置に対応したものとする。なお、オブジェ115は補完後の押鍵位置に対応して操作案内部110に表示させるが、各オブジェ115に対応した発音は補完前の押鍵位置に対応したものとする。なお、間隔の圧縮比は1/2に限らず、それ以上または以下でもよい。
【0093】このように補完されてもまだ難易度が高い場合には、図16に示した変則圧縮方法を用いるとよい。図16(a)の変則圧縮方法Aは、図15(a)に示した押鍵位置のうち、間隔が所定の基準値(例えば4)以下の部分はすべて最小間隔(例えば1)に圧縮し、基準値を越える間隔は1/2に圧縮した例である。また、図16(b)の変則圧縮方法Bは、図15(a)に示した押鍵位置のうち、間隔が所定の基準値(例えば8)以下の部分はすべて間隔を最小間隔(例えば1)に圧縮し、基準値を越える間隔はすべて最小間隔よりも大きくてかつ基準値よりも小さい値(例えば2)に圧縮した例である。
【0094】以上の方法で補完を行ったことにより、黒鍵が新たな押鍵位置として割り当てられた場合には、さらに隣接する白鍵へと押鍵位置を変化させると難易度をさらに低下させることができる。特に初心者に対しては片手で演奏ができる範囲(例えば1オクターブの範囲)内にオブジェ115が収まるように補完を行うことが望ましい。
【0095】なお、全ての押鍵位置を補完すると、キーボードを弾く実感が損なわれるおそれがある。そこで、本来の押鍵位置のままでも難易度が低い箇所はそのままの間隔を維持し、難易度が所定のレベルよりも高い部分のみ押鍵位置の間隔を詰めておくことが望ましい。図17R>7にその一例を示す。図17(a)は補完前の押鍵位置を、同(b)は補完後の押鍵位置をそれぞれ示している。この例では、間隔が所定の基準値(例えば2)以下に収まっている押鍵位置は補完せず、基準値を超える間隔を上述した補完方法に従って圧縮している。すなわち、図17(a)のα、βで示した範囲は押鍵位置の間隔が2以下であるため、それらの間隔をそのまま維持する。そして、押鍵位置の間隔が3以上の部分についてはすべて間隔が2となるように補完を行っている。範囲βに関しては、その左端の押鍵位置■とそれに隣接する押鍵位置■との間隔が4であるため、これを2に詰めるとともに、範囲β内の押鍵位置■、■の間隔は元のまま維持している。
【0096】図18〜図21は補完の実例を楽譜により示したものである。各図において下段の「本当の楽譜」は補完前の楽譜を、上段の「弾いている楽譜」は補完後の楽譜をそれぞれ意味している。操作案内部110のオブジェ115は上段の楽譜に対応した位置に表示され、CPU21及びMIDI制御回路28を介した発音制御は下段の楽譜に従って行われる。換言すれば、実際の楽器では下段の楽譜に従って演奏をしなければならないが、本ゲーム機では上段の楽譜に従って演奏すれば下段の楽譜に応じた楽音が出力されることになる。
【0097】図18は演奏する曲に2オクターブを越える音階が含まれているので、これを2オクターブの範囲に収まるように補完した例であり、図中のA部及びB部でそれぞれ補完が行われている。A部及びB部では、それぞれ音符間の音高の相違が補完の前後で同一であるものの、補完前のすべての音符を均等に高音側あるいは低音側にシフトして全ての音符を2オクターブの範囲内に収めている。
【0098】図19では、A部、B部及びC部のそれぞれにおいて音符間の音高の変化が小さくなるように補完をしている。さらに、B部においては半音記号(フラット)の付された音符が含まれているが、これは黒鍵の操作となるために隣接する白鍵へと押鍵位置が変更されている。
【0099】図20では、下段の楽譜における和音がすべて上段の楽譜では単音へと変更されている。従って、プレイヤーが上段の楽譜に従って単一の鍵を操作するだけで和音が発音されることになる。
【0100】図21では、下段の楽譜のA部、B部、C部及びD部にそれぞれ含まれる複数の音符が上段の楽譜における単音符にそれぞれ補完されている。従って、プレイヤーが上段の楽譜に従って各鍵を操作する毎に、複数の音が連続的に発音されることになる。
【0101】以上では、本発明をアーケードゲーム機として実施した形態を説明したが、本発明はこれに限らず、家庭用ゲーム機、パーソナルコンピュータあるいはネットワークを利用したゲームシステムとしても構成できる。入力装置としては、キーボードに限らず、ギター、ドラム等の各種の電子楽器に準じたものを使用できる。オブジェ115を画面内の所定位置に静止させて基準標識として機能させ、判定ライン116を移動させて可動標識として機能させてもよい。補完の例は上記に限らず、種々の方法で実施してよい。入力装置は2オクターブ相当に限らず、2オクターブ未満又は2オクターブよりも多い数の操作部材を備えていてもよい。
【0102】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、楽器により所定の音楽を演奏するときの操作子の操作範囲よりも、ゲームシステムの入力装置にて前記音楽を演奏するときの操作部材の操作範囲が狭くなるように、入力装置の各操作部材と各操作部材に対応付けられた音高との相関関係を変化させるようにしたので、楽器の演奏に不慣れな者でも操作を楽しむことができ、しかも演奏の達成感を十分に感じさせることができる。加えて、複数の操作部材の並び順と各操作部材の操作に対応して出力される音の高低との関係を、実際の楽器における操作子の並び順と各操作子の操作に対応して出力される音の高低との関係に一致させているから、操作位置の変化に対する音高の変化に不自然さがなく、補完手段の操作によって楽器を弾いている実感が損なわれるおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたアーケードゲーム機の外観を示す斜視図。
【図2】図1のゲーム機の正面図。
【図3】図1のゲーム機の右側面図。
【図4】図1のゲーム機の平面図。
【図5】図1のゲーム機に設けられた一対の操作部のうち、左側の操作部を拡大して示す平面図。
【図6】図5の操作部に設けられたホイールコントロールスイッチの斜視図。
【図7】図1のゲーム機に設けられた制御系の構成を示すブロック図。
【図8】図1のゲーム機にてゲームが実行されるときにモニタ上に表示される画面の一例を示す図。
【図9】図8のゲーム画面に表示されるロングオブジェの長さが変更される前の様子を示す図。
【図10】図8のゲーム画面に表示されるロングオブジェの長さが変更される様子を示す図。
【図11】図1のゲーム機で実行されるゲーム処理の手順を示すフローチャート。
【図12】図11のゲーム処理中に並行して実行されるオブジェ表示更新処理の手順を示すフローチャート。
【図13】図11のゲーム処理中に並行して実行される発音処理の手順を示すフローチャート。
【図14】図13の発音処理によって実現される継続的操作に対応した発音状況の一例を示す図。
【図15】キーボードの操作を容易化するために行われる補完の一例を示す図。
【図16】キーボードの操作を容易化するために行われる補完の他の例を示す図。
【図17】キーボードの操作を容易化するために行われる補完のさらに他の例を示す図。
【図18】補完の一例を楽譜により示した図。
【図19】補完の他の例を楽譜により示した図。
【図20】補完のさらに他の例を楽譜により示した図。
【図21】補完のさらに他の例を楽譜により示した図。
【符号の説明】
1 ゲーム機
2 筐体
3 モニタ(表示装置)
6 操作部
7 キーボード(入力装置)
8 ホイールコントロールスイッチ
8b ホイール
9 パネルスイッチ
10 CD−ROM(記憶媒体)
21 CPU(操作案内装置、発音制御装置)
25A CD−DA音源
25B PCM音源
25C MIDI音源(発音制御装置)
28 MIDI制御回路(発音制御装置)
100 ゲーム画面(操作案内画面)
110 操作案内部
111 キーボード画像
112 ホイール画像
113 区切線
114 領域
115A ショートオブジェ(単発的操作に対応した可動標識)
115B ロングオブジェ(継続的操作に対応した可動標識)
115C ホイールオブジェ
116 判定ライン(基準標識)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内装置と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置と、を備え、前記発音制御装置は、前記複数の操作部材の並び順と各操作部材の操作に対応して出力される音の高低との関係を、実際の楽器における前記操作子の並び順と各操作子の操作に対応して出力される音の高低との関係に一致させながら、前記楽器により前記所定の音楽を演奏するときの前記操作子の操作範囲よりも、前記入力装置にて前記所定の音楽を演奏するときの前記操作部材の操作範囲が狭くなるように、前記入力装置の各操作部材と各操作部材に対応付けられた音高との相関関係を変化させる補完手段を備えていることを特徴とするゲームシステム。
【請求項2】 前記補完手段は、前記楽器を演奏するときの前記操作子に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔の比率と、前記操作案内装置の指示に従って操作されるべき前記入力装置の操作部材に関する一連の操作位置の操作順に従った間隔の比率とを前記操作範囲内の少なくとも一部で互いに一致させながら前記相関関係を変化させることを特徴とする請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】 前記補完手段は、前記操作部材を操作する際の難易度が所定のレベルよりも高い部分のみ前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が前記操作子に関する一連の操作位置の間隔よりも詰められるようにして前記相関関係を変化させることを特徴とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】 前記操作位置の間隔が所定の基準値以下の部分では前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が対応する前記操作子に関する操作位置の間隔と一致し、前記操作位置の間隔が所定の基準値よりも大きい部分では前記操作部材に関する一連の操作位置の間隔が対応する前記操作子に関する一連の操作位置の間隔よりも狭くなるようにして、前記補完手段が前記相関関係を変化させることを特徴とする請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項5】 前記入力装置の前記操作部材は、前記特定の楽器としてのキーボードの前記操作子としての鍵の配列に準じて配列されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項6】 前記補完手段は、前記キーボードの黒鍵を避けるようにして前記相関関係を変化させることを特徴とする請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内装置と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置と、を備え、前記発音制御装置は、単一の操作部材の一回の操作に応答して和音を発音可能であることを特徴とするゲームシステム。
【請求項8】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置と、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内装置と、前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御装置と、を備え、前記発音制御装置は、単一の操作部材の一回の操作に応答して少なくとも二つの楽音を連続して発音可能であることを特徴とするゲームシステム。
【請求項9】 前記操作案内装置が案内した操作と、該操作の案内を受けてプレイヤーが実際に行った操作との相関関係に基づいてプレイヤーの操作を評価する評価装置を具備し、該評価装置は、前記操作案内装置の案内に従って操作すべき操作部材と、前記操作すべき操作部材に対して所定範囲内で隣接しかつ前記操作案内装置からは操作が指示されていない他の操作部材とが同時的に操作された場合に正しい操作が行われたものと判断することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のゲームシステム。
【請求項10】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、前記複数の操作部材の並び順と各操作部材の操作に対応して出力される音の高低との関係を、前記楽器における前記操作子の並び順と各操作子の操作に対応して出力される音の高低との関係に一致させながら、前記楽器により所定の音楽を演奏するときの前記操作子の操作範囲よりも、前記入力装置にて前記所定の音楽を演奏するときの前記操作部材の操作範囲が狭くなるように、前記入力装置の各操作部材と各操作部材に対応付けられた音高との相関関係を変更可能であることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項11】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、単一の操作部材の一回の操作に応答して和音を発音可能であることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項12】 特定の楽器の操作子に準じて配列された複数の操作部材を有する入力装置を備えたゲームシステムのコンピュータにより実行可能なプログラムが記録された記憶媒体であって、前記プログラムは、前記コンピュータを、所定の音楽の演奏に対応付けて設定された前記入力装置の一連の操作を所定の案内画面を通じて案内する操作案内手段、および前記入力装置の各操作部材の操作に応答して、各操作部材に対応付けられた音高の発音を行う発音制御手段、としてそれぞれ機能させるように構成され、前記発音制御手段は、単一の操作部材の一回の操作に応答して少なくとも二つの楽音を連続して発音可能であることを特徴とするコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【図16】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図3】
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【図5】
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【図7】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図17】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図18】
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【図19】
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【図13】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2001−145778(P2001−145778A)
【公開日】平成13年5月29日(2001.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−374855
【出願日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【出願人】(000105637)コナミ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】