説明

コイル内蔵基板

【課題】コイル内蔵基板のサイズを大きくすることなく、高インダクタンス値のコイルを内蔵したコイル内蔵基板を提供すること。
【解決手段】一対の絶縁基体1と、この一対の絶縁基体1間に設けられたフェライト磁性層2と、フェライト磁性層2内に形成された平面スパイラルコイル3と、平面スパイラルコイル3の中心部に設けられており、フェライト磁性層2より高い透磁率を有する高磁性体8とを備えていることを特徴とするコイル内蔵基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁基体の内部にインダクタンス値を上げるためのフェライト磁性層が設けられたコイル内蔵基板に関するものであり、特に高いインダクタンスを得ることができるコイル内蔵基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機を始めとする移動体通信機器等の電子機器には、多数の電子装置が組み込まれている。このような携帯電話機等の通信機器は、近年小型化が急激に進んでおり、これに搭載される各種電子装置も小型化や薄型化が要求されている。例えば、ガラスセラミック基板の内部にコイルを内蔵した構成のLCフィルタが知られている。このLCフィルタの場合、従来はチップ部品のコイルを用いて外付けしていたものを、セラミック基板等の絶縁基板の内部に内蔵することで小型化や薄型化ができるという利点を有する。なかでも、100nHを超えるインダクタンスの大きなコイルは、チップ部品として比較的大型であり、これを絶縁基板に内蔵することは小型化や薄型化への効果が大きいという利点を有する。
【0003】
このようなセラミック基板に内蔵されるコイルとしては、厚み方向にコイルを繋げて形成するソレノイドコイル、同一平面状にコイルを形成するスパイラルコイルがあるが、なかでも平面スパイラルコイルは同一平面状にコイルを形成するためセラミック基板を薄型化する上で好ましく多用されている。
【0004】
しかしながら、コイルを内蔵したセラミック等の絶縁基板では、磁性を持たない基板内にコイルを形成するため、100nH程度の比較的大きなインダクタンスを得ることができるコイルを内蔵させるにはコイルの巻き数を多くすることが必要となり、小型化や薄型化を効果的に達成することができないという不具合があった。
【0005】
そこで、近年では絶縁基板内部に強磁性を有するフェライト磁性層を形成し、コイルをこのフェライト磁性層に埋設させることにより、コイルの巻き数を多くすることなく100nHを超えるコイルを内蔵させ、これにより表面実装工程の簡略化およびコイル内蔵基板の小型化が図られるようになってきた。
【0006】
例えば、携帯電話機に使用されるコイル内蔵基板は、図2に断面図で示すように、複数の絶縁層が積層されて成る絶縁基体11と、絶縁基体11に挟まれて積層されるとともに内部にコイル用導体13が埋設されたフェライト磁性層12によって構成されている。
【0007】
ここで、通常は抵抗による電気的なロスを抑えるため、低抵抗のCuやAgなどの融点の低い低抵抗金属導体を用いる必要があることから、フェライト磁性層12には低温焼成のNi−Zn系フェライトが用いられており、例えば、低温焼成であるガラスセラミックスからなる絶縁基体11と同時焼成することによって製造されている。
【特許文献1】特開平2−101714号公報
【特許文献2】特開平6−20839号公報
【特許文献3】特開平6−21264号公報
【特許文献4】特開平6−333743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、携帯電話機に用いられるDC−DCコンバータ用途のコイル内蔵基板においては、電気エネルギーをチョークコイル内に蓄積するために、例えば、1μH以上のより一層高いインダクタンス値を有するコイル内蔵基板が要求されている。上述した従来のコイル内蔵基板に用いられているフェライトでは高透磁率のNi−Zn系フェライトであってもその透磁率は1000程度であり、このようなフェライト磁性層にコイルを形成したコイル内蔵基板ではコイルの巻き数を多くするなどしなければ1μH以上というような高いインダクタンス値を得ることができず、一方で携帯電話機に用いられるDC−DCコンバータに対する小型化という要求に対応することは困難であるという問題点があった。
【0009】
そこで、コイルが形成されるフェライト磁性層を、より透磁率が高い材料にすることが考えられる。しかし、上記従来のコイル内蔵基板のフェライト磁性層を高透磁率のものに置き換えると、高透磁率のフェライト磁性層は焼結温度が高いので、絶縁基体の焼成温度で焼成すると先に焼結した絶縁基体にフェライト磁性層の焼結収縮が拘束されて焼結不足になり、本来の高透磁率が得られないという問題点があった。
【0010】
一方、別々に焼成した絶縁基体と高透磁率のフェライト磁性層を貼り合わせることにより高インダクタンスのコイル内蔵基板を得ることが考えられるが、この場合、一般的に焼成温度が高い高透磁率の材料とCuやAg等の融点の低い低抵抗金属導体とを同時焼成することができないことから、コイル用導体や配線導体にWやMo等の高抵抗金属導体を用いることとなるので、DC−DCコンバータの電圧変換時に損失が生じるという問題点があった。
【0011】
本発明は以上のような従来の問題点を解決するために案出されたものであり、その目的は、基板サイズを大きくすることなく高インダクタンス値が得られる、例えば、小型のDC−DCコンバータ用途のコイル内蔵基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコイル内蔵基板は、一対の絶縁基体と、該一対の絶縁基体間に設けられたフェライト磁性層と、該フェライト磁性層内に形成された平面スパイラルコイルと、該平面スパイラルコイルの中心部に設けられており、前記フェライト磁性層より高い透磁率を有する高磁性体とを備えていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明のコイル内蔵基板は、上記構成において、前記平面スパイラルコイルと前記高磁性体との間に、前記フェライト磁性層より低い透磁率を有する低磁性体が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明のコイル内蔵基板は、上記構成において前記低磁性体が樹脂であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコイル内蔵基板によれば、平面スパイラルコイルの中心に、フェライト磁性層よりも高い透磁率を有する高磁性体を形成したことから、最も磁束が集中する平面スパイラルコイルの中心に、より多くの磁束を通ることができるようなることで、より高いインダクタンス値を得ることができる。
【0016】
本発明のコイル内蔵基板によれば、上記構成において好ましくは、前記平面スパイラルコイルと前記高磁性体との間に、前記フェライト磁性層より透磁率を有する低磁性体が設けられていることから、平面スパイラルコイルに流れる電流が高くなったとしても、非磁性体では磁束が通りにくいので、平面スパイラルコイル中心と高磁性体付近に発生する漏れ磁束が起きにくくなり、磁束が安定し、磁気飽和がおきにくくなるため、重畳特性の低下を防ぐことができる。
【0017】
また、低磁性体が樹脂であることから、ガラスと比べて低温で形成できるので、基板に熱的なダメージを与えることなく、高磁性体と絶縁基体及びフェライト磁性層を密着よく固着することができ、高磁性体が絶縁基体及びフェライト磁性層からの脱落することを防止できる。
【0018】
その結果、コイル内蔵基板で発生する磁力線が基板外部に洩れることで、例えば、コイル内蔵基板の上面や下面に実装した半導体チップやチップ部品や配線に対して電気的に影響を及ぼすことを防止することもできる。
【0019】
以上より、本発明によれば、基板サイズを大きくすることなく、インダクタンスが向上した小型のコイル内蔵基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のコイル内蔵基板(以下、基板ともいう)を添付図面に基づいて以下に詳細に説明する。図1は本発明のコイル内蔵基板の実施の形態の一例を示す断面図であり、1は絶縁基体、2はフェライト磁性層、3は平面スパイラルコイル、4は搭載用電極、5は電極パッド、6は内部配線導体、7は貫通導体、8は高磁性体、9は低磁性体(非磁性体)である。
【0021】
本発明のコイル内蔵基板は、一対の絶縁基体1と、この一対の絶縁基体1間に設けられたフェライト磁性層2と、このフェライト磁性層2内に形成された平面スパイラルコイル3と、この平面スパイラルコイル3の中心部に設けられており、フェライト磁性層2より高い透磁率を有する高磁性体8とを備えていることを特徴とするものである。
【0022】
このような構成としたことから、最も磁束が集中する平面スパイラルコイル3の中心に、フェライト磁性層2よりも高い透磁率を有する高磁性体8を形成することによって、より多くの磁束がコイル中心を通ることができるようなることで、より高いインダクタンス値を得ることができる。その結果、基板サイズを大きくすることなく、インダクタンスが向上した小型のコイル内蔵基板を得ることができる。
【0023】
図1に示す例おいては、絶縁基体1には半導体チップやチップ部品が搭載される搭載用電極4および外部電気回路と電気的に接続される電極パッド5が基板の外表面となる位置に形成され、内部配線導体6や貫通導体7を介して互いに、また平面スパイラルコイル3に接続される。
【0024】
絶縁基体1は、内部に形成されるフェライト磁性層2や平面スパイラルコイル3などと800〜1100℃の温度で同時焼成された焼結体からなり、絶縁体の粉末と有機バインダーを主成分とする絶縁基体用グリーンシートを製作し、この絶縁基体用グリーンシートを必要な配線展開ができるだけの枚数積層した後、焼成することにより作製される。搭載用電極4などの絶縁基体1の表面や内部に形成される配線導体のインダクタンスが高くなることを抑制するという観点からは、非磁性フェライトやガラスセラミックスなどの非磁性絶縁体が好ましい。
【0025】
非磁性フェライトとしてはZn系フェライト、Cu系フェライト用いればよい。詳細には、X−Fe(XはCu,Zn)として示される正スピネル構造の固溶体であるCu−Zn系フェライトが好適である。
【0026】
Cu−Zn系フェライトの場合、その組成比は焼結体としてFeを50〜70質量%、CuOを5〜20質量%、ZnOを20〜35質量%とすると、1000℃以下の低温で焼結密度5.0g/cm以上の高密度焼成が可能であることから低抵抗の配線層と同時焼成することでき、かつ、焼成後の非磁性フェライト層は低温度域でも非磁性であるので好ましい。Feはフェライトの基幹成分であり、50質量%未満の場合、磁性が発生する傾向がある。他方、70質量%を超えて多い場合は、焼結密度の低下により機械的強度が低下する傾向がある。この組成において、ZnOは非磁性フェライトを非磁性にするために重要な要素であり、フェライト主成分のうち20質量%未満であると、焼結密度の低下により機械的強度が低下する傾向があり、逆に35質量%より多くても磁性が発生する傾向がある。CuOは焼結温度の低温化のために重要な要素であり、CuOが低温で液層を形成することにより焼結を促進させる効果を用いて、磁気特性を損なわずに800〜1000℃の低温で焼成することができる。このことからCuOが5質量%未満であると、後述する表面導体ペーストや内層導体ペーストと同時に低温度域で焼成を行う場合に焼結密度が不十分になり、機械強度が不足する傾向がある。また、20質量%を超えて多い場合、キュリー温度が上がり、低温領域で磁性が発生する傾向がある。
【0027】
また、軟化点の低いガラスにより非磁性フェライトを低温焼成化したものであっても良い。
【0028】
搭載用電極4、電極パッド5、内部配線導体6および貫通導体7は、金属粉末の焼結体であるメタライズ金属からなるものであり、絶縁基体用グリーンシートにこれらの配線パターンを形成しておき、絶縁基体用グリーンシートと同時焼成することにより形成される。搭載用電極4、電極パッド5および内部配線導体6となる配線パターンは、絶縁基体1となる絶縁基体用グリーンシートの表面に配線導体ペーストをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等の印刷法で所定パターンに印刷して形成される。貫通導体7となる配線パターンは、搭載用電極4、電極パッド5および内部配線導体6の印刷に先立って絶縁基体用フェライトグリーンシートにパンチング加工やレーザ加工等により貫通孔を形成し、この貫通孔に印刷やプレス充填等の埋め込み手段によって貫通導体ペーストを充填することで形成される。
【0029】
フェライト磁性層2は、強磁性フェライトであるNi−Zn系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Mg−Zn系フェライト、Ni−Co系フェライト等の粉末の焼結体であるが、X−Fe(XはCu,Ni,Zn)として示される逆スピネル構造の固溶体であるNi−Zn系フェライトが高周波帯域で十分に高い透磁率を得るのに好ましく、特にその組成比は焼結体としてFeを63〜73質量%、CuOを5〜10質量%、NiOを5〜12質量%、ZnOを10〜23質量%とすると、1000℃以下の低温で焼結密度5.0g/cm以上の高密度焼成が可能であり、かつ、高周波帯域で十分に高い透磁率を得ることができるので好ましい。
【0030】
ここで、Feはフェライトの基幹成分であり、63質量%未満の場合、十分な透磁率が得られない傾向がある。他方、73質量%を超えて多い場合は、焼結密度の低下により機械的強度が低下する傾向がある。
【0031】
CuOは焼結温度の低温化のために重要な要素であり、CuOが低温で液層を形成することにより焼結を促進させる効果を用いて、磁気特性を損なわずに800〜1000℃の低温で焼成することができるためである。5質量%未満であると、内部配線導体6などと同時に低温度域で焼成を行う場合に焼結密度が不十分になり、機械強度が不足する傾向がある。また、10質量%を超えて多い場合、磁気特性の低いCuFeの割合が多くなるため磁気特性を損ないやすくなる傾向がある。
【0032】
NiOはフェライト磁性層2の高周波域における透磁率を確保するために含有させる。NiFeは高周波域まで共振による透磁率の減衰を起さず、高周波域での透磁率を比較的高い値に維持することができるが、初期透磁率は低い特徴をもつため、5質量%未満であると、10MHz乃至それ以上の高周波域での透磁率が低下する傾向がある。また、12質量%より多い場合、NiFeの割合が多くなり初期透磁率が低下する傾向にある。
【0033】
ZnOはフェライト磁性層2の透磁率向上のために重要な要素であり、フェライト主成分のうち10質量%未満であると、透磁率が低くなる問題を生じる可能性があり、逆に23質量%より多くても磁気特性が悪くなる傾向がある。
【0034】
フェライト磁性層2は、絶縁基体1に用いられる絶縁基体用グリーンシートと同様の手法で形成されたフェライト磁性層用グリーンシートを用いることで作製される。
【0035】
平面スパイラルコイル3は、金属粉末の焼結体であるメタライズ金属層からなるものであり、フェライト磁性層用グリーンシートの表面にコイル用導体ペーストを所定コイルパターンに印刷し、さらにその上にフェライト磁性層用グリーンシートを積層して同時焼成することにより、フェライト磁性層2に埋設されて形成される。図1に示した例では、3ターンのスパイラル状のコイルが上下に2つ並べて形成されており、これらは図示しない貫通導体で電気的に直列に接続されている。
【0036】
平面スパイラルコイル3の作製に用いられる金属粉末は、Cu,Ag,Au,Pt,Ag−Pd合金およびAg−Pt合金などの低抵抗金属の粉末を用いることが好ましい。これは、コイル内蔵基板に搭載される半導体チップが、例えばDC−DCコンバータ用途の電源用であるような場合、平面スパイラルコイル3に高い電流が流せるほど好ましいが、平面スパイラルコイル3の導体抵抗が高いと、平面スパイラルコイル3が発熱することで半導体チップの動作に影響を与えてしまう場合があるからである。
【0037】
また、フェライト磁性層2にもその上下の絶縁基体1に形成された配線と平面スパイラルコイル3とを接続するための貫通導体が、上記の絶縁基体1の貫通導体7と同様の方法で形成される。
【0038】
絶縁基体用グリーンシートまたはフェライト磁性層用グリーンシートは絶縁体粉末または磁性フェライト粉末に有機バインダー,有機溶剤,必要に応じて分散剤や可塑剤等を混合してスラリーを得て、これからドクターブレード法,圧延法,カレンダーロール法、押し出し成形法等によってシート状に成形することにより作製される。
【0039】
絶縁基体用グリーンシートに用いられる絶縁体粉末は、絶縁基体1が非磁性フェライトから成る場合は、FeとCuOやZnOの粉体を所定の割合で混合して仮焼したものを粉砕し、原料粉末とすることができる。
【0040】
非磁性フェライトに含有するガラス粉末としては、例えばSiO−B系,SiO−B−Al系,SiO−B−Al−MO系(但し、MはCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−Al−MO−MO系(但し、M及びMは同じまたは異なってCa,Sr,Mg,BaまたはZnを示す),SiO−B−Al−MO−MO系(但し、M及びMは上記と同じである),SiO−B−MO系(但し、MはLi,NaまたはKを示す),SiO−B−Al−MO系(但し、Mは上記と同じである),Pb系ガラス,Bi系ガラス等を用いることができ、ガラスの軟化点が600℃以下であることがフェライトの焼結を阻害しないうえで望ましい。
【0041】
絶縁基体1がガラスセラミックスから成る場合の絶縁体粉末は、上記のガラス粉末とフィラー粉末とからなり、フィラー粉末は、例えばAl,SiO,ZrOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物、TiOとアルカリ土類金属酸化物との複合酸化物,AlおよびSiOから選ばれる少なくとも1種を含む複合酸化物(例えばスピネル,ムライト,コージェライト)等のセラミック粉末が挙げられる。
【0042】
フェライト磁性層用グリーンシートに用いられる強磁性フェライト粉末は、FeとCuO,ZnO,またはNiOとを予め仮焼することにより作製されたフェライト粉末であり、平均粒径が0.1μm〜0.9μmの範囲で均一であり、粒形状は球形状に近いものが望ましい。これは、平均粒径が0.1μmより小さいと、フェライト磁性層用グリーンシートの製作においてフェライト粉末の均一な分散が困難であり、平均粒径が0.9μmより大きいとフェライト磁性層用グリーンシートの焼結温度が高くなりやすくなるからである。また、粒径が均一で球状に近いことにより均一な焼結状態を得ることができる。例えばフェライト粉末で部分的に小さい粒径が存在した場合は、その部分のみ結晶粒の成長が低下し、焼結後に得られるフェライト層の透磁率が安定しにくい傾向がある。
【0043】
グリーンシートの有機バインダーは、従来よりセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系バインダーがより好ましい。
【0044】
グリーンシートの有機溶剤は、絶縁体粉末やフェライト粉末と有機バインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、トルエン,ケトン類,アルコール類の有機溶媒や水等が挙げられる。これらの中で、トルエン,メチルエチルケトン,イソプロピルアルコール等の蒸発係数の高い溶剤はスラリー塗布後の乾燥工程が短時間で実施できるので好ましい。
【0045】
グリーンシートを作製するためのスラリーは絶縁体粉末やフェライト粉末100質量部に対して有機バインダーを5〜20質量部、有機溶剤を15〜50質量部加え、ボールミル等の混合手段により混合することにより3〜100cpsの粘度となるように調製される。
【0046】
配線導体ペースト、貫通導体ペースト、コイル用導体ペースト等の導体ペーストは、主成分の金属導体粉末に有機バインダー,有機溶剤,必要に応じて分散剤等を加えてボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー等の混練手段により混合および混練することで作製される。
【0047】
導体ペーストの有機バインダーは、従来より導体ペーストに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体,具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。有機バインダーの選定に当たっては、溶解度パラメータの他、焼成工程での分解、揮発性を考慮すると、アクリル系、アルキド系の有機バインダーがより好ましい。
【0048】
導体ペーストの有機溶剤は、金属導体粉末と有機バインダーとを良好に分散させて混合できるようなものであればよく、テルピネオールやブチルカルビトールアセテート及びフタル酸等などが使用可能である。
【0049】
配線導体ペーストやコイル用導体ペーストは、金属導体粉末100質量部に対して有機バインダーを3〜15質量部、有機溶剤を10〜30質量部加えて混練することにより、印刷により導体ペーストの滲みやかすれ等の不具合が発生せず良好に所定形状のパターン形成ができる程度の粘度、10000〜20000cps程度となるようにすることが望ましい。
【0050】
絶縁基体1を非磁性フェライトで形成する場合には、搭載用電極4と電極パッド5を形成するための配線導体ペーストには、ZnO,CuO,MgO,CoO,NiO,MnO,FeO等の2価の金属酸化物の粉末を、添加することが望ましい。2価の金属酸化物を添加することで、搭載用電極4および電極パターン5と、非磁性フェライトを主成分とする絶縁基体用グリーンシートを焼成してなる絶縁基体1とを強く結合させることができる。
【0051】
また、貫通導体ペーストは、溶剤量や有機バインダー量により15000〜40000cps程度と、配線導体ペーストやコイル用導体ペーストに対して比較的流動性の低いペースト状に調整し、貫通孔への充填を容易にし、かつ、加温硬化するようにするとよい。また、焼結挙動の調整のために金属導体粉末にガラスやセラミックスの粉末を加えた無機成分としてもよい。この場合、無機成分100質量部に対して有機バインダーの量は3〜15質量部の範囲が好ましく、3質量部未満ではペースト状に調整することが困難となり、15質量部を越えるとペースト中の有機成分が多すぎて、焼結後の導体内部に空隙が発生するか、過剰に収縮することにより貫通導体7と貫通孔内壁との間に空隙が生じやすくなる。
【0052】
コイルパターンが形成されたものを含む所定枚数のフェライト磁性層用グリーンシートの上下にそれぞれ配線パターンが形成された所定枚数の絶縁基体用グリーンシートを配置して積層体を作製し、この積層体を焼成することによりコイル内蔵基板は作製される。
【0053】
積層体を作製する方法は、積み重ねた絶縁基体用グリーンシートとフェライト磁性層用グリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法や、有機バインダー,可塑剤,溶剤等からなる密着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。積層の際の加熱加圧の条件は用いる有機バインダー等の種類や量により異なるが、概ね30〜100℃、2〜20MPaである。
【0054】
積層体の焼成は、大気中または窒素雰囲気中にて、300〜600℃の温度で脱バインダーした後800〜1000℃の温度で焼成することにより、コイル内蔵基板が得られる。平面スパイラルコイル3やその他の配線がCu等の酸化しやすい材料からなる場合は、窒素雰囲気が用いられ、脱バインダーしやすいように加湿したものを用いる。
【0055】
なお、焼成後のコイル内蔵基板の表面形成された搭載用電極4と電極パッド5には、半田等による半導体チップやチップ部品、ならびに、外部電気回路との接合を強固なものにするために、その表面にニッケル層および金層をめっき法により順次被着するとよい。
【0056】
なお、図1において高磁性体8は、搭載した半導体チップやチップ部品に高磁性体8から発生する磁力線の影響を避けるために、絶縁基体1の電極パッド5が形成された面に開口するように形成された凹部に挿入された形態となっているが、本発明の実施の形態はこれに限られるものではなく、平面スパイラルコイル3の中心で、かつ、平面スパイラルコイル3のコイル導体以上の厚みを有したものであれば良い。
【0057】
高磁性体8は、磁束の集中する平面スパイラルコイル3の中心部にあればより多くの磁束を通すことができ、高インダクタンスを得ることができるが、より高いインダクタンスを実現するためには、高磁性体8を平面スパイラルコイル3の最内周のコイル導体にできるだけ近い位置に配置することが望ましい。即ち、平面スパイラルコイル3の中心部領域に比してできるだけ大きい高磁性体8を設け、高磁性体8とスパイラルコイル3との距離を小さくするのが望ましい。
【0058】
高磁性体8は、絶縁基体1からフェライト磁性層2にかけて平面スパイラルコイル3の中心に設けた凹部に挿入することで形成される。
【0059】
高磁性体8は、例えば金属材料の純鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、アモルファス合金、ナノ結晶合金、圧粉材料のダストコア、センダスト、焼結材料のソフトフェライトであるMn−Zn系フェライトがある。なかでも、Mn−Zn系フェライトは、電気絶縁性の観点から特に好ましい。
【0060】
高磁性体8にMn−Zn系フェライトを用いる場合には、例えば、Mn−Zn系フェライト粉を直方体もしくは円柱の形状に成形して成形体を作製し、この成形体を焼成することにより焼結体とすることで作製することができる。成形体の作製は、例えば、Mn−Zn系フェライト粉を金型に充填して圧縮加圧することにより行う乾式成形、Mn−Zn系フェライト粉に有機バインダーや溶剤を加えたものを金型から押し出す押出成形等の湿式成形が挙げられる。焼成は、大気中にて1100〜1250℃の温度で行なわれる。
【0061】
高磁性体8を挿入する凹部は、絶縁基体用グリーンシートとフェライト磁性層用グリーンシートの所定の位置に凹部となる貫通穴を金型加工やレーザ加工により形成しておき、積層して凹部を有する積層体を作製し、これを焼成することにより形成することができる。凹部の形成されていないコイル内蔵基板を作製した後、切削加工にて形成してもよい。
【0062】
高磁性体8は凹部に固着される。上記のようにして凹部を有するコイル内臓基板を形成した後、ガラスや樹脂などの接合部材を介して固着してもよいし、焼成前の積層体の凹部に凹部の内寸以下の外寸の高磁性体8を挿入して焼成し、焼成時の収縮を利用してかしめて固着してもよいし、生積層体の凹部内にガラスペーストを塗布しておいて焼成時にガラスを溶融させることで固着してもよい。
【0063】
さらに、図1に示す例のように、平面スパイラルコイル3と高磁性体8との間に、即ち平面スパイラルコイル3のコイル用導体のうち、最も内側のコイル用導体と高磁性体8との間に、フェライト磁性層2より低い透磁率を有する低磁性体9が設けられていることが好ましい。本実施の形態において、フェライト磁性層2より低い透磁率を有する非磁性体9が設けられている。平面スパイラルコイル3の各コイル導体周囲には磁力線が発生しており、特にコイル最内周には磁力線が集中し、更に高磁性体8を配することで更に強い磁力線となり、その強い磁力線が発生するため、より多くの漏れ磁束が発生しやすくなる。この漏れ磁束が多く発生している高磁性体8とコイル最内周の間に磁束が通りにくい非磁性体9を配したことから、平面スパイラルコイル3に流れる電流が高くなったとしても漏れ磁束を抑制して磁力線を安定させることで磁気飽和がおきにくくなるので、重畳特性の低下を防ぐことが出来る。
【0064】
非磁性体9は、例えばSiO−B系ガラス、SiO−B−Al系ガラス、SiO−AlPbO−SiO−B系ガラス、Bi−SiO−B系ガラスおよびZnO−SiO−B系ガラスのうちの少なくとも1種の非磁性であるガラスや、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素樹脂のうち少なくとも1種の非磁性である樹脂を用いることができる。
【0065】
非磁性体9は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびフッ素系樹脂等の樹脂であることが好ましい。これらの樹脂はガラスと比べて低温で固化することができるので、基板に熱的なダメージを与えことなく、高磁性体8と絶縁基体1及びフェライト磁性層2を密着性よく固着することができ、コイル内蔵基板の機械的信頼性を高いものとなすことができる。
【0066】
非磁性体9の形成は、高磁性体8を固着するための接合部材として非磁性のものを用いると容易である。コイル内蔵基板の凹部内壁に予め接合部材(非磁性体9)のペーストを塗布しておき、高磁性体8を凹部内部に挿入した際に凹部と高磁性体8との間全てに非磁性体9を満たし、接合部材(非磁性体9)のペーストを固化させて固着すればよい。非磁性体9がガラスの場合は、ガラス粉末有機バインダー,有機溶剤,必要に応じて分散剤等を加えてボールミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー等の混練手段により混合および混練することでガラスペーストを作製し、ガラスペーストを塗布してガラスの軟化点程度に加熱すればよい。樹脂の場合は、その樹脂を主成分とする接着剤等を用いればよい。
【0067】
以下、本発明の実施例について、比較例を挙げて説明する。
【0068】
(実施例1)
本実施例1では、本発明の請求項1に関わる実施の形態例を示す。まず、Fe粉末630gと、CuO粉末80gと、ZnO粉末290gとを、純水4000cmとともにジルコニアボールを使用した7000cmのボールミルにて24時間かけて混合した後、乾燥した混合粉末をジルコニアるつぼに入れて大気中730℃で1時間加熱することにより非磁性フェライト仮焼粉末を作製した。作製した非磁性フェライト仮焼粉末100質量部に対し、バインダーとしてブチラール樹脂を10質量部、有機溶剤としてIPAを45質量部添加し、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ100μmの非磁性フェライトからなる絶縁基体用グリーンシートを成型した。
【0069】
この絶縁基体用グリーンシートに金型による打ち抜き加工によって、直径150μmの貫通孔を形成した。この貫通孔に、貫通導体ペーストをスクリーン印刷法によって充填し、70℃で30分乾燥して貫通導体となる貫通導体組成物を形成した。貫通導体ペーストとしては、Ag粉末100質量部と、焼結助剤としてのガラス粉末10質量部に、アクリル樹脂12質量部と有機溶剤としてのα−テルピネオール2質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合した後に3本ロールにて十分に混練したものを用いた。
【0070】
次に、この絶縁基体用グリーンシートに導体ペーストをスクリーン印刷法によって2mm四方のサイズで20μmの厚みに塗布し、70℃で30分乾燥して表層配線導体となる表層配線導体パターンおよび電気特性測定用パターンを形成した。
【0071】
導体ペーストとしては、金属粉末としてAg粉末100質量部に金属酸化物としてCuO粉末10質量部を加えた原料100質量部に、アクリル樹脂12質量部と有機溶剤としてのα−テルピネオール2質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合した後に3本ロールにて十分に混練したものを用いた。
【0072】
次にFe粉末700gと、CuO粉末60gと、NiO粉末60gと、ZnO粉末180gとを用いて非磁性フェライト仮焼粉末と同様の作製方法で強磁性フェライト仮焼粉末を作製した。作製した磁性フェライト仮焼粉末100質量部に対し、バインダーとしてブチラール樹脂10質量部、有機溶剤としてIPAを45質量部添加し、ボールミル法により混合しスラリーとした。このスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ100μmのフェライト磁性層用グリーンシートを成型した。
【0073】
次に、絶縁基体の裏面に使用する絶縁基体用グリーンシート、及び、フェライト磁性層用グリーンシートの中央に凹部として使用する1.2mm角の穴を金型により打ち抜き加工をおこなった。
【0074】
このフェライト磁性層用グリーンシートに金型による打ち抜き加工によって、直径150μmの貫通孔を形成した。この貫通孔に、貫通導体ペーストをスクリーン印刷法によって充填し、70℃で30分乾燥して貫通導体となる貫通導体組成物を形成した。貫通導体ペーストとしては、上記と同じものを用いた。
【0075】
続いて、フェライト磁性層用グリーンシートに導体ペーストをスクリーン印刷法によって30μmの厚みに塗布し、70℃で30分乾燥して平面スパイラルコイルを形成した。導体ペーストとしては、Ag粉末100質量部に、アクリル樹脂10質量部と有機溶剤としてのα−テルピネオール1質量部とを加え、攪拌脱泡機により十分に混合した後に3本ロールにて十分に混練したものを用いた。
【0076】
次に、絶縁基体用グリーンシートとフェライト磁性層用グリーンシートとを積み重ねて、5MPaの圧力と50℃の温度で加熱圧着して絶縁基体用グリーンシートが表層に位置する積層体を作製した。
【0077】
次に、この積層体を、大気中で500℃、3時間の条件で加熱して有機分を除去した後、大気中で900℃、1時間の条件で焼成して、1.0mm角で深さ0.6mmの凹部を有する外形サイズが3mm角、厚み0.8mmのコイル内蔵基板を作製した。
【0078】
コイル内蔵基板の表層配線導体上には無電界めっき法を用いてNiめっき皮膜、Auめっき皮膜を順次形成した。
【0079】
次に先に加工した凹部底面部に非磁性体としてエポキシ系接着剤を塗布した後、0.9mm角×0.5mmのMn−Zn系フェライトの高磁性体を挿入して固着させた。Mn−Zn系フェライトの高磁性体は、Mn−Zn系フェライト粉を金型によるプレス成形で直方体の形状に成形し、大気中にて1200℃の温度で焼成することにより焼結体を作製した後、研磨により上記寸法のものとした。
【0080】
また、高磁性体の透磁率の測定は、上記と同様の方法で外径16mm、内径8mm、厚さ1.3mmのリング形状の評価用の試験片を作製し測定した。透磁率の測定は、インピーダンスアナライザー(「HP−4291A」、ヒューレットパッカード社製)を用い、高周波電流電圧法にて測定したところ10000であった。
【0081】
フェライト磁性層の透磁率は、高磁性体の透磁率測定と同様に、上記強磁性フェライト仮焼粉末を用いて外径16mm、内径8mm、厚さ1.3mmのリング形状の評価用の試験片を作製し測定したところ500であった。
【0082】
このようにして、絶縁基体に挟まれて積層された透磁率500のフェライト磁性層が内蔵され、絶縁基体からフェライト磁性層にかけて平面スパイラルコイルの中心に設けた凹部に、フェライト磁性層よりも高い透磁率10000の高磁性のフェライトを配置した試料を得た。
【0083】
(実施例2)
実施例1におけるエポキシ樹脂の塗布を高磁性体と平面スパイラルコイル間、すなわち凹部内面の全面に行なって試料を作製し、実施例1と同様の評価を行なった。
【0084】
(比較例)
本発明の実施例との比較のために、従来構成として実施例1の試料に対して凹部および高磁性体を設けていない試料を作製し、実施例1と同様の評価を行なった。
【0085】
以上の実施例1、2および比較例1について、インダクタンス値、重畳特性を評価した結果を表1に示す。インダクタンスの測定は、インピーダンスアナライザー(「HP−4194A」、ヒューレットパッカード社製)を用い、電流電圧法にて18mAの印加電流で測定した。一般的に携帯電話のDC−DCコンバータに使用されるコイルは1μH以上あれば十分に機能することから、表1のインダクタンスの評価欄において、インダクタンス値が1μH以上であれば○とし、1μH未満であれば×とした。また、重畳特性の評価は印加電流を300mA,600mAと上げてインダクタンス値を測定し、そのときのインダクタンス値が1μH以上であるかどうかで評価した。重畳特性の評価欄において、600mA、300mAのいずれの印加電流でもインダクタンス値が1μH以上であれば◎、300mAでインダクタンス値が1μH以上であれば○、600mA、300mAのいずれの印加電流でもインダクタンス値が1μH未満であれば×とした。
【表1】

【0086】
表1より、絶縁基体からフェライト磁性層にかけて平面スパイラルコイルの中心に設けた凹部に、フェライト磁性層よりも高い透磁率10000の高磁性体を配置した実施例1が、比較例1のインダクタンス及び重畳特性と比べ、優れていることが確認された。
【0087】
また、高磁性体と平面スパイラルコイル間に非磁性体を形成した実施例2は、実施例1と比較して、インダクタンスは同等であるが、より高い印加電流でも高インダクタンス値が得られたことから重畳特性が優れることが確認された。これは平面スパイラルコイルと高磁性体との間の非磁性体により、磁力線が外部に漏れにくくなるため、磁力線を安定させることができたからであると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明のコイル内蔵セラミック基板の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】従来のコイル内蔵セラミック基板の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0089】
1・・・絶縁基体
2・・・フェライト磁性層
3・・・平面スパイラルコイル
4・・・搭載用電極
5・・・電極パッド
6・・・内部配線導体
7・・・貫通導体
8・・・高磁性体
9・・・非磁性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の絶縁基体と、該一対の絶縁基体間に設けられたフェライト磁性層と、該フェライト磁性層内に形成された平面スパイラルコイルと、該平面スパイラルコイルの中心部に設けられており、前記フェライト磁性層より高い透磁率を有する高磁性体とを備えていることを特徴とするコイル内蔵基板。
【請求項2】
前記平面スパイラルコイルと前記高磁性体との間に、前記フェライト磁性層より低い透磁率を有する低磁性体が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のコイル内蔵基板。
【請求項3】
前記低磁性体が樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のコイル内蔵基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−266245(P2007−266245A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88372(P2006−88372)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】