説明

コミュニケーションロボット

【構成】 コミュニケーションロボット10はアンテナ58を含み、RFIDタグ12、14および16から送信されるかつRFIDの情報を重畳した電波を受信する。ユーザA、BおよびCは、それぞれ、タグ12,14および16を所持または装着している。したがって、ロボット10は、RFIDの情報を取得して、その近傍或いは周囲に存在するユーザA、BおよびCを認識する。また、ロボット10は、RFIDの情報を取得した際の電波強度から最近傍に存在するユーザを特定し、当該ユーザに対してコミュニケーション行動を取る。
【効果】 近傍或いは周囲に存在するユーザを個別に認識することができ、特定したユーザに適したコミュニケーション行動を取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコミュニケーションロボットに関し、特にたとえば固有の無線タグを保有する複数のコミュニケーション対象との間でコミュニケーション行動を実行する、コミュニケーションロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のコミュニケーションロボットの一例が特許文献1に開示される。この特許文献1に開示されるロボット装置では、ロボット装置に対面する人物をカメラで撮影し、撮影したカメラ画像から正面顔画像を取得し、予め記憶してある識別辞書と照合して、人物を特定していた。
【特許文献1】特開2002−56388号(第6頁〜第11頁,第1図〜第10図,第12図,第19図〜第22図および第33図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来技術は、ロボットに対面する人物を特定(識別)するようにしてあるため、ロボットの近傍やその周囲に存在する人物を特定するのは困難であり、人物が複数人存在する場合には、それぞれの人物と対面して、人物を特定する必要があった。また、カメラで撮影した映像によって人物を特定するようにしてあるため、処理が膨大であり、人物の特定に時間がかかってしまうという問題があった。さらに、ロボットから見て人物が複数重なっている場合には、後ろに位置する人物を特定することができないという問題もあった。したがって、このような従来技術を、複数人の人物のような複数のコミュニケーション対象との間でコミュニケーション行動を実行するコミュニケーションロボットに適用することはできなかった。
【0004】
それゆえに、この発明の主たる目的は、コミュニケーション対象を容易に特定でき、特定したコミュニケーション対象に適したコミュニケーション行動を実行できる、コミュニケーションロボットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、固有の無線タグを保有する複数のコミュニケーション対象との間でコミュニケーション行動を実行するコミュニケーションロボットであって、少なくともタグ情報を記録するタグ情報データベース、コミュニケーション対象からタグ情報を取得する取得手段、取得手段の取得結果に基づいて近傍或いは周囲に存在する1または複数のコミュニケーション対象を個別に認識する認識手段、認識手段の認識結果に基づいてコミュニケーション行動を実行する1のコミュニケーション対象を特定する特定手段、および特定手段によって特定されたコミュニケーション対象にコミュニケーション行動を実行する実行手段を備える、コミュニケーションロボットである。
【0006】
コミュニケーションロボットは、固有の無線タグを保有するたとえば人間(ユーザ)のような複数のコミュニケーション対象に対して、音および動作の少なくとも一方によるコミュニケーション行動を実行する。コミュニケーションロボットは、少なくともタグ情報を記録するタグ情報データベースを備えている。コミュニケーションロボットは、コミュニケーション行動を実行する際、取得手段によってコミュニケーション対象からタグ情報を取得する。認識手段は、コミュニケーション対象としての人間(ユーザ)を個別に認識する。特定手段は、認識手段の認識結果に基づいて1のコミュニケーション対象を特定する。つまり、コミュニケーションロボットの近傍或いは周囲に存在するユーザのうち、1人のユーザを特定する。そして、実行手段は、当該ユーザに対してコミュニケーション行動を実行する。
【0007】
たとえば、検出手段が各コミュニケーション対象との距離の大小を検出するので、特定手段は、距離が最小となる1のコミュニケーション対象を特定することができる。つまり、最近傍に存在するユーザに対してコミュニケーション行動を取ることができる。
【0008】
また、無線タグは電波を発信し、取得手段はアンテナを含む。検出手段は、取得手段によってタグ情報を取得したときのアンテナにおける電波強度に応じて距離の大小を検出する。つまり、電波強度がより弱ければ、コミュニケーションロボットからの距離が大きく、電波強度がより強ければ、コミュニケーションロボットからの距離が小さい。したがって、特定手段は、一番強い電波強度で取得したタグ情報を有するユーザをコミュニケーション対象に特定するのである。
【0009】
ただし、無線タグは超音波や赤外線によりタグ情報を送信 (放射)するようにしてもよい。超音波によりタグ情報を送信する場合には、取得手段に含まれる超音波センサが無線タグからの超音波を受信し、そのときの超音波センサにおける音波強度に応じてコミュニケーション対象としてのユーザが特定される。また、赤外線によりタグ情報を送信(放射)する場合には、取得手段に含まれる赤外線センサが無線タグからの赤外線を受信し、そのときの赤外線センサにおける受光強度に応じてコミュニケーション対象としてのユーザが特定される。
【0010】
さらに、コミュニケーションロボットは、実行手段によって実行されたコミュニケーション行動の履歴を、たとえば当該コミュニケーション行動を実行したコミュニケーション対象に対応づけて記録する履歴データベースを備える。このため、履歴データベースを参照して、特定されたコミュニケーション対象に適したコミュニケーション行動を実行することができる。たとえば、初めて対話するユーザに対しては、お辞儀をするとともに、「○○さん、はじめまして」と挨拶することができる。また、以前に対話したことがあるが、今日初めて対話するユーザに対しては、お辞儀をするとともに、「○○さん、こんにちは」と挨拶することができる。つまり、適切でないコミュニケーション行動を繰り返すようなことがない。
【0011】
また、判別手段は、履歴データベースを参照して、認識手段によって認識されたコミュニケーション対象のそれぞれについて特定情報を取得しているかどうかを判別する。特定情報を取得していないと判別されたコミュニケーション対象が存在する場合には、実行手段が当該特定情報を少なくとも当該コミュニケーション対象に報知 (提示)するためのコミュニケーション行動を実行する。つまり、特定のユーザに対してのコミュニケーションだけでなく、それ以外のユーザに対してもコミュニケーション行動を取ることもできる。
【0012】
一方、特定情報を取得していないと判別されたコミュニケーション対象が存在しない場合には、実行手段は他のコミュニケーション対象を探すためのコミュニケーション行動を実行する。つまり、新しいコミュニケーション対象を求める。ただし、他の特定情報を報知するためのコミュニケーション行動を実行するようにしてもよい。
【0013】
また、認識手段によって、コミュニケーション対象を認識できない場合には、つまり近傍や周囲にユーザが存在しない場合には、実行手段は、コミュニケーション対象を探す (求める)ためのコミュニケーション行動を実行する。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、タグ情報に基づいてコミュニケーション対象を特定するので、その特定が簡単である。また、1のコミュニケーション対象を特定するので、ロボットは当該コミュニケーション対象に適したコミュニケーション行動を取ることができる。
【0015】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1を参照して、この実施例のコミュニケーションロボット(以下、単に「ロボット」ということがある。)10は、主として人間のようなコミュニケーションの対象とコミュニケーションすることを目的とした相互作用指向のコミュニケーションロボットである。ただし、コミュニケーションの対象としては、コミュニケーションロボット10と同様に構成された他のコミュニケーションロボットであってもよい。
【0017】
このロボット12の近傍或いは周囲には、人間ないしはユーザA、ユーザBおよびユーザCが存在し、ユーザA、ユーザBおよびユーザCは、それぞれ、RFIDタグ(以下、単に「タグ」という。)12、14および16を所持或いは装着(保有)している。タグ12、14および16は、任意のタグを用いることができるが、この実施例では、自走式(電池式)のタグを用いてある。したがって、タグ12、14および16は、それぞれ、固有のRFID(Radio Frequency Identification)の情報を所定周波数の電波に重畳して、一定の時間間隔で送信(発信)する。ただし、異なる周波数の電波を送信して、周波数の違いでタグ(ユーザ)を識別可能な構成としてもよい。
【0018】
なお、この実施例では、3人のユーザが存在する場合について示してあるが、ユーザは1人以上であればよい。
【0019】
図2はロボット10の外観を示す正面図であり、この図2を参照して、ロボット10のハードウェアの構成について説明する。ロボット12は台車20を含み、この台車20の下面にはロボット10を自律移動させる車輪22が設けられる。車輪22は車輪モータ(図3参照:90)によって駆動され、台車20すなわちロボット10を前後左右任意の方向に動かすことができる。
【0020】
なお、図2においては省略するが、台車20の前面には、衝突センサ(図3参照:94)が取り付けられ、この衝突センサ94は台車20への人や他の障害物の接触を検知する。つまり、ロボット10の移動中に障害物との接触を検知すると、直ちに車輪22の駆動を停止してロボット10の移動を急停止させて、衝突を未然に防止する。
【0021】
また、この実施例では、ロボット10の背の高さは、人(ユーザ)、特に子供に威圧感を与えることのないように、100cm程度とされる。ただし、この背の高さは変更可能である。
【0022】
台車20の上には、多角形柱のセンサ取付パネル24が設けられ、このセンサ取付パネル24の各面には、超音波距離センサ26が取り付けられる。この超音波距離センサ26は、センサ取付パネル24すなわちロボット10の周囲の主としてユーザとの距離を計測するものである。
【0023】
また、台車20の上には、さらに、下部がセンサ取付パネル24に囲まれて、ロボット10の胴体が直立するように設けられる。この胴体は、下部胴体28と上部胴体30とによって構成され、下部胴体28および上部胴体30は、連結部32によって互いに連結される。図示は省略するが、連結部32には昇降機構が内蔵されていて、この昇降機構を用いることによって、上部胴体30の高さすなわちロボット10の背の高さを変化させることができる。昇降機構は、後述するように、腰モータ(図3参照:88)によって駆動される。
【0024】
なお、上述したロボット10の背の高さは、上部胴体30をそれの最下位置にしたときのものである。したがって、ロボット10の背の高さは、100cm以上にすることができる。
【0025】
上部胴体30のほぼ中央には、1つの全方位カメラ34と1つのマイク36とが設けられる。全方位カメラ34は、ロボット10の周囲を撮影するものであり、後述する眼カメラ56とは区別される。この全方位カメラ34としては、たとえばCCDやCMOSのような固体撮像素子を用いるカメラを採用することができる。マイク36は、周囲の音、とりわけコミュニケーション対象であるユーザの声を取り込む。
【0026】
上部胴体30の両肩には、それぞれ、肩関節38Rおよび38Lによって、上腕40Rおよび40Lが設けられる。肩関節38Rおよび38Lは、それぞれ、3軸の自由度を有する。すなわち、肩関節38Rは、X軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの軸廻りにおいて上腕40Rの角度を制御できる。Y軸は、上腕40Rの長手方向(または軸)に平行な軸であり、X軸およびZ軸は、そのY軸に対して、それぞれ異なる方向から直交する軸である。他方、肩関節38Lは、A軸、B軸およびC軸のそれぞれの軸廻りにおいて上腕40Lの角度を制御できる。B軸は、上腕40Lの長手方向(または軸)に平行な軸であり、A軸およびC軸は、そのB軸に対して、それぞれ異なる方向から直交する軸である。
【0027】
また、上腕40Rおよび40Lのそれぞれの先端には、肘関節42Rおよび42Lを介して、前腕44Rおよび44Lが設けられる。肘関節42Rおよび42Lは、それぞれ、W軸およびD軸の軸廻りにおいて、前腕44Rおよび44Lの角度を制御できる。
【0028】
なお、上腕40Rおよび40Lならびに前腕44Rおよび44Lの変位を制御するX軸,Y軸,Z軸,W軸およびA軸,B軸,C軸,D軸では、それぞれ、「0度」がホームポジションであり、このホームポジションでは、図2に示すように、上腕40Rおよび40Lならびに前腕44Rおよび44Lは下方に向けられる。
【0029】
また、図示は省略するが、上部胴体30の肩関節38Rおよび38Lを含む肩の部分や上述の上腕40Rおよび40Lならびに前腕44Rおよび44Lには、それぞれ、タッチセンサ(図3で包括的に示す。:92)が設けられていて、これらのタッチセンサ92は、ユーザがロボット10の当該各部位に触れたかどうかを検知する。
【0030】
前腕44Rおよび44Lのそれぞれの先端には、手に相当する球体46Rおよび46Lがそれぞれ固定的に設けられる。ただし、指や掌の機能が必要な場合には、人の手の形をした「手」を用いることも可能である。
【0031】
なお、ロボット10の形状・寸法等は適宜設定されるが、他の実施例では、たとえば、上部胴体30は、前面、背面、右側面、左側面、上面および底面を含み、右側面および左側面は表面が斜め前方に向くように形成してもよい。つまり、前面の横幅が背面の横幅よりも短く、上部胴体30を上から見た形状が台形になるように形成されてもよい。
【0032】
このような場合、肩関節38Rおよび38Lは、右側面および左側面に、その表面が左右両側面とそれぞれ平行である左右の支持部を介して設けられる。そして、上腕40Rおよび上腕40Lの回動範囲は、これら左右側面または支持部の表面(取り付け面)によって規制され、上腕40Rおよび40Lは取り付け面を超えて回動することはない。
【0033】
しかし、左右側面の傾斜角、B軸とY軸との間隔、上腕40Rおよび40Lの長さ、ならびに前腕44Rおよび44Lの長さ等を適宜に設定すれば、上腕40Rおよび40Lは前方を超えてより内側まで回動できるので、たとえW軸およびD軸による腕の自由度がなくてもロボット10の腕は前方で交差できる。したがって、腕の自由度が少ない場合でも正面に位置する人と抱き合うなどの密接なコミュニケーションを取ることができる。
【0034】
上部胴体30の中央上方には、首関節48を介して頭部50が設けられる。首関節48は、3軸の自由度を有し、S軸、T軸およびU軸の各軸廻りに角度制御可能である。S軸は首から真上(鉛直上向き)に向かう軸であり、T軸およびU軸は、それぞれ、そのS軸に対して異なる方向で直交する軸である。頭部50には、人の口に相当する位置に、スピーカ52が設けられる。スピーカ52は、ロボット10が、それの周囲(周辺)の人に対して音声(音を含む。)または声によってコミュニケーションを取るために用いられる。ただし、スピーカ52は、ロボット10の他の部位、たとえば胴体に設けられてもよい。
【0035】
また、頭部50には、目に相当する位置に眼球部54Rおよび54Lが設けられる。眼球部54Rおよび54Lは、それぞれ眼カメラ56Rおよび56Lを含む。以下、右の眼球部54Rと左の眼球部54Lとをまとめて眼球部54ということがあり、また、右の眼カメラ56Rと左の眼カメラ56Lとをまとめて眼カメラ56ということもある。
【0036】
眼カメラ56は、ロボット10に接近した人の顔や他の部分ないし物体等を撮影して、それに対応する映像信号を取り込む。眼カメラ56としては、上述した全方位カメラ34と同様のカメラを用いることができる。
【0037】
たとえば、眼カメラ56は眼球部54内に固定され、眼球部54は眼球支持部(図示せず)を介して頭部50内の所定位置に取り付けられる。眼球支持部は、2軸の自由度を有し、α軸およびβ軸の各軸廻りに角度制御可能である。α軸およびβ軸は頭部50に対して設けられる軸であり、α軸は頭部50の上へ向かう方向の軸であり、β軸はα軸に直交しかつ頭部50の正面側(顔)が向く方向に直交する方向の軸である。この実施例では、頭部50がホームポジションにあるとき、α軸はS軸と平行であり、β軸はU軸と平行であるように設定される。このような頭部50において、眼球支持部がα軸およびβ軸の各軸廻りに回転されることによって、眼球部54ないし眼カメラ56の先端(正面)側が変位され、カメラ軸すなわち視線方向が移動される。
【0038】
なお、眼カメラ56の変位を制御するα軸およびβ軸では、「0度」がホームポジションであり、このホームポジションでは、図2に示すように、眼カメラ56のカメラ軸は頭部50の正面側(顔)が向く方向に向けられ、視線は正視状態となる。
【0039】
さらに、頭部50の横であり、右肩部から延びるアンテナ58が設けられる。アンテナ58は図1に示したタグ12、14および16から送信されるRFIDの情報(タグ情報)が重畳された電波を受信する。
【0040】
図3はロボット10の電気的な構成を示すブロック図であり、この図3を参照して、ロボット10は、全体の制御を司るCPU60を含む。CPU60は、マイクロコンピュータ或いはプロセサとも呼ばれ、バス62を介して、メモリ70、モータ制御ボード72、センサ入力/出力ボード74および音声入力/出力ボード76に接続される。
【0041】
メモリ70は、図示は省略するが、ROMやRAMを含み、ROMにはロボット10の制御プログラムが予め記憶されるとともに、コミュニケーション行動の実行の際にスピーカ52から発生すべき音声または声の音声データ(音声合成データ)および所定の身振りを提示するための角度データ等が記憶される。RAMは、ワークメモリやバッファメモリとして用いられる。
【0042】
モータ制御ボード72は、たとえばDSPで構成され、各腕や頭部および眼球部等の各軸モータの駆動を制御する。すなわち、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、右眼球部54Rのα軸およびβ軸のそれぞれの角度を制御する2つのモータ(図3では、まとめて「右眼球モータ」と示す。)78の回転角度を制御する。同様に、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、左眼球部54Lのα軸およびβ軸のそれぞれの角度を制御する2つのモータ(図3では、まとめて「左眼球モータ」と示す。)80の回転角度を制御する。
【0043】
また、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、右肩関節38RのX軸、Y軸およびZ軸のそれぞれの角度を制御する3つのモータと右肘関節42RのW軸の角度を制御する1つのモータとの計4つのモータ(図3では、まとめて「右腕モータ」と示す。)82の回転角度を調節する。同様に、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、左肩関節38LのA軸、B軸およびC軸のそれぞれの角度を制御する3つのモータと左肘関節42LのD軸の角度を制御する1つのモータとの計4つのモータ(図3では、まとめて「左腕モータ」と示す。)84の回転角度を調整する。
【0044】
さらに、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、頭部50のS軸、T軸およびU軸のそれぞれの角度を制御する3つのモータ(図3では、まとめて「頭部モータ」と示す。)86の回転角度を制御する。さらにまた、モータ制御ボード72は、CPU60からの制御データを受け、腰モータ88および車輪22を駆動する2つのモータ(図3では、まとめて「車輪モータ」と示す。)90の回転角度を制御する。
【0045】
なお、この実施例では、車輪モータ90を除くモータは、制御を簡素化するために、ステッピングモータ或いはパルスモータを用いるようにしてある。ただし、車輪モータ90と同様に、直流モータを用いるようにしてもよい。
【0046】
センサ入力/出力ボード74もまた、同様に、DSPで構成され、各センサからの信号を取り込んでCPU60に与える。すなわち、超音波距離センサ26のそれぞれからの反射時間に関するデータがこのセンサ入力/出力ボード74を通してCPU60に入力される。また、全方位カメラ34からの映像信号が、必要に応じてこのセンサ入力/出力ボード74で所定の処理を施された後、CPU60に入力される。眼カメラ56からの映像信号も、同様にして、CPU60に入力される。また、上述した複数のタッチセンサ(図3では、まとめて「タッチセンサ92」と示す。)からの信号がセンサ入力/出力ボード74を介してCPU60に与えられる。さらに、上述した衝突センサ94からの信号も、同様にして、CPU60に与えられる。
【0047】
音声入力/出力ボード76もまた、同様に、DSPで構成され、CPU60から与えられる音声合成データに従った音声または声がスピーカ52から出力される。また、マイク36からの音声入力が、音声入力/出力ボード76を介してCPU60に取り込まれる。
【0048】
また、CPU60は、バス62を介して通信LANボード96および無線IDタグ装置100に接続される。通信LANボード96は、DSPで構成され、CPU60から送られる送信データを無線通信装置98に与え、無線通信装置98から送信データを、図示は省略するが、たとえば、無線LANのようなネットワークを介して外部コンピュータに送信させる。また、通信LANボード96は、無線通信装置98を介してデータを受信し、受信したデータをCPU60に与える。つまり、この通信LANボード96および無線通信装置98によって、ロボット10は外部コンピュータ等と無線通信を行うことができる。
【0049】
無線IDタグ装置100は、図1に示したタグ12、14および16から送信されるRFIDの情報を重畳した電波を、アンテナ58を介して受信し、電波信号を増幅し、当該電波信号からRFIDの情報を分離し、当該RFIDの情報を復調(デコード)してCPU60に与えるとともに、当該RFIDの情報を重畳した電波を受信したときのアンテナ58における電波強度を検出してCPU60に与える。ただし、RFIDの情報は、外部コンピュータでデコードして、CPU60に与えるようにしてもよい。
【0050】
なお、この実施例に示すタグ(12、14、16)およびアンテナ(58)を含む無線IDタグ装置(100)としては、米国のRF Code社が製造販売する商品名「Spider tag」および「Spider readers」をそれぞれ用いることができる。
【0051】
また、この実施例では、RFIDの情報を重畳した電波をタグ12、14および16から発信し、これをアンテナ58を介して無線IDタグ装置100で受信するようにしてあるが、これに限定されるべきでない。たとえば、RFIDの情報を重畳した超音波をタグ12、14および16から発信し、これを超音波センサを有する受信装置で受信するような構成にすることができる。また、RFIDの情報を赤外線信号に変換した赤外線をタグ12、14および16から放射し、これを赤外線受光部(赤外線センサ)を有する受信装置で受信するような構成にすることもできる。
【0052】
さらに、CPU60は、バス62を介して2つのデータベース102および104に接続される。ただし、これらのデータベースは、外部のネットワーク上にアクセス可能に設けるようにしてもよい。データベース102は、ユーザ情報を記憶するデータベース(以下、「ユーザDB」という。)であり、この実施例では、図4(A)に示すようなユーザ情報のテーブルを記録する。図4(A)から分かるように、ユーザ情報のテーブルには、ユーザ名に対応してRFIDが記述される。したがって、たとえば、ユーザAに装着されたタグ12は、“AAAA”というRFIDを有していることが分かる。このようなユーザDB102は、予めロボット10の設計者或いは開発者が登録しておくことができる。また、新たなユーザを追加する場合には、設計者等が当該新しいユーザ等を、外部コンピュータを操作してユーザDB102に登録することができる。他の実施例として、ロボット10が音声認識機能を備える場合には、ロボット10と当該新しいユーザとが会話などのコミュニケーションを取ることにより取得したユーザ名およびそのとき取得したRFIDを対応づけて、ロボット10(厳密には、CPU60)がユーザDB102に登録することもできる。
【0053】
また、データベース104は、ロボット10がユーザDB102に登録されたユーザ(ユーザA、ユーザB、ユーザC、…)のそれぞれ、或いは近傍および周囲に存在するすべてのユーザに対して実行したコミュニケーション行動の履歴を記録したデータベース(コミュニケーション行動履歴DB)であり、図4(B)に示すような履歴情報のテーブルを記録する。この図4(B)から分かるように、履歴情報のテーブルには、年月日および時間、コミュニケーション行動の内容およびRFIDがそれぞれ対応づけて記述される。したがって、図4(B)に示す1行目の例は、ロボット10が、2003年1月20日の10時20分にコミュニケーション行動1をユーザC(RFID:CCCC)に対して実行したことを示してある。また、5行目の例は、ロボット10が、2003年2月2日の15時5分にコミュニケーション行動5を近傍或いは周囲に存在するすべてのユーザ(RFID:ZZZZ)に対して実行したことを示してある。図面の都合上、近傍或いは周囲に存在するすべてのユーザについてのRFIDを“ZZZZ”と記述してあるが、実際には、ロボット10の近傍或いはその周囲に存在するユーザに対応するRFIDが記述される。つまり、後述するIDリストに含まれるすべてのRFIDが記述される。
【0054】
なお、ロボット10が音声認識機能を備える場合には、ユーザがロボットに対して行ったコミュニケーション行動の内容を履歴に記録することもできる。たとえば、ユーザが発話した内容およびユーザが発話したときの全方位カメラ34や眼カメラ56からの映像信号を履歴に残しておくことができる。
【0055】
また、コミュニケーション行動の内容は、モータ78〜90の駆動を制御した角度データおよびスピーカ52から出力した音声(声)に対応するテキストデータであるが、これらの情報を履歴情報として記録した場合にはデータ量が膨大となるため、実際には、1のコミュニケーション行動(たとえば、挨拶、握手、抱きつく、情報提供など)に対応して割り当てられる識別情報(コミュニケーションID)を記録するようにしてある。
【0056】
さらに、この実施例では、コミュニケーション行動履歴DB(以下、単に「履歴DB」という。)104には、年月日および時間とコミュニケーション行動の内容とに対応づけて、RFIDを記録するようにしてあるが、ユーザ名を記録するようにしてもよい。
【0057】
また、この実施例では、履歴情報を時系列順に記録するようにして、1つのテーブルで管理するようにしてあるが、RFID(ユーザ)別の履歴情報をテーブルで管理するようにしてもよい。このようにすれば、RFIDに対応したテーブルに履歴情報を記録(追加)すればよいので、個々の履歴情報に対してRFIDを記録する必要がなくなる。
【0058】
たとえば、ロボット10は、コミュニケーション行動を取る(実行する)際、自身の近傍或いは周囲(周辺)に存在する、すなわちタグの送信電波がロボット10(アンテナ58)に届く範囲に存在するユーザを認識する。つまり、タグからのRFIDの情報を取得して、取得したRFIDのリスト(IDリスト)を作成する。IDリストは、図4(C)のように示され、RFIDの情報に対応して、当該RFIDの情報を受信した(取得した)際の電波強度が記述される。たとえば、IDリストには、RFIDの情報を取得した順に従ってRFIDおよびそれを取得したときの電波強度が記述され、たとえば、図4(C)に示す1列目の例からは、RFID“CCCC”が取得され、そのときの電波強度がP(dBm)であったことが分かる。
【0059】
ロボット10は、IDリストを作成すると、当該IDリストを参照して、1のコミュニケーション対象を特定する。この実施例では、一番強い電波強度のタグを所持(装着)しているユーザがロボット10に最も近い位置(短い距離)に存在すると判断して、当該ユーザをコミュニケーション対象に特定する。
【0060】
なお、2番目、3番目のように任意の番目に電波強度が強いタグを装着しているユーザをコミュニケーション対象として特定することもでき、これは設計者や開発者によって予め決定される事項である。
【0061】
また、上述したように、超音波によりRFIDの情報を取得する場合には、超音波センサにおける超音波の強度(音波強度)に応じてコミュニケーション対象が特定される。また、赤外線によりRFIDの情報を取得する場合には、赤外線センサにおける赤外線の強度(受光強度)に応じてコミュニケーション対象が特定される。
【0062】
コミュニケーション対象のユーザが特定されると、ロボット10は履歴情報に従って、当該ユーザに適したコミュニケーション行動を実行する。たとえば、この実施例では、特定したユーザが初めて対話する(コミュニケーションする)ユーザであるかどうかを判断する。
【0063】
初めて対話するユーザである場合には、お辞儀をする(頭部50を前方下向きに傾ける)とともに、“○○さん、はじめまして”と挨拶(発話)する(音声をスピーカ52から出力する。)。一方、初めて対話するユーザでない場合、すなわち以前に対話したことのあるユーザである場合には、さらに、今日初めて対話するユーザであるかどうかを判断する。
【0064】
今日初めて対話するユーザである場合には、お辞儀をするとともに、“○○さん、こんにちは”と発話する。一方、今日既に対話したユーザである場合には、ロボット10は、その近傍および周囲に存在するユーザに対してコミュニケーション行動を実行する。具体的には、IDリストに挙がっているユーザのうち、特定情報(たとえば、天気予報)を取得していないユーザが存在するかどうかを、履歴DB104を参照して検出する。
【0065】
特定情報を取得していないユーザが存在する場合には、たとえば、斜め上を向いて(頭部50を前方上方に傾けて)みんなに呼びかけるような振り振る舞いをするとともに、“明日は晴れるよ”という情報を発話する。一方、特定情報を取得していないユーザが存在しない場合には、たとえば、斜め上を向いてみんなに呼びかけるような振り振る舞いをするとともに、“暇だよ”と発話して、他のコミュニケーション対象を探す。ただし、特定情報を取得していないユーザが存在しない場合には、みんなに呼びかけるような振り振る舞いをするとともに、他の特定情報(たとえば、スポーツ番組の放送時間など)を発話するようにしてもよい。このように、特定したユーザに限らず、周囲に存在するユーザに対してもコミュニケーション行動を取ることもできるのである。
【0066】
なお、この実施例では、特定情報として、天気予報やスポーツ番組を知らせるようにしてあるが、これに限定されるべきでない。特定情報としては、スポーツ、趣味、ゲーム、ショッピングなど様々な情報が想定される。このような特定情報は、ロボット10がインターネットのようなネットワークを介して取得することができる。
【0067】
また、ユーザ情報にユーザの好みの情報(趣味、興味のある事物の内容など)を付加しておけば、ユーザに応じた特定情報を報知することもできる。
【0068】
具体的には、図2に示したCPU60が図5および図6に示すフロー図に従ってコミュニケーション行動の処理を実行する。図5に示すように、まず、ステップS1では、停止命令があるかどうかを判断する。つまり、CPU60は、ロボット10自身に設けられる停止スイッチ(図示せず)からの停止コマンドや外部コンピュータからの停止コマンドがあるかどうかを判断する。
【0069】
ステップS1で“YES”であれば、つまり停止コマンドがあれば、停止命令があると判断して、そのままコミュニケーション行動の処理を終了する。ただし、ロボット10の主電源がオフされた場合にも、同様に、処理を終了する。一方、ステップS1で“NO”であれば、つまり停止コマンドがなければ、ステップS3でタグを検出する。具体的には、CPU60は、無線IDタグ装置100からの入力を検出する。
【0070】
続くステップS5では、タグを検出したかどうかを判断する。ステップS5で“NO”であれば、つまり無線IDタグ装置100からRFIDの情報および電波強度を取得しなければ、タグを検出していないと判断し、すなわちロボット10の近傍或いはその周囲にタグを所持したユーザが存在しないと判断し、ステップS7でIDリストおよび最近傍タグID(RFID)を初期化して、ステップS25に進む。
【0071】
一方、ステップS5で“YES”であれば、つまり無線IDタグ装置100からRFIDの情報および電波強度を取得すれば、タグを検出したと判断し、ステップS9で、取得したRFIDおよび各RFIDを受信したときの電波強度とを用いて、図4(C)に示したようなIDリストを作成する。そして、ステップS11でIDリストを参照して、最近傍タグIDを取得する。つまり、電波強度が最大値を示すRFIDを取得して、コミュニケーション対象のタグすなわちユーザを特定する。
【0072】
続いて、ステップS13では、当該RFIDに対応するユーザと初めて対話するかどうかを判断する。具体的には、CPU60は、履歴DB104を参照して、当該RFIDが履歴に存在するかどうかを判断する。ステップS13で“YES”であれば、つまり当該RFIDが履歴に存在していなければ、当該RFIDに対応するユーザと初めて対話すると判断して、ステップS15で頭部50を下に向けるとともに、「○○(当該ユーザ名)さん、はじめまして」と挨拶して、ステップS27に進む。具体的には、CPU60は、角度データ(S軸0度、T軸0度、U軸−45度、X軸0度、Y軸0度、Z軸0度、W軸0度、A軸0度、B軸0度、C軸0度、D軸0度)をモータ制御ボード72に送るとともに、「○○さん、はじめまして」に相当する音声合成データをメモリ70から読み出して音声入力/出力ボード76に与える。すると、頭部モータ88(厳密には、U軸を制御するモータ)が駆動され、頭部50が前方下向きに傾けられる。これと同時或いはほぼ同時に、「○○さん、はじめまして」という音声がスピーカ52から出力される。
【0073】
一方、ステップS13で“NO”であれば、つまり当該RFIDが履歴に存在すれば、当該RFIDに対応するユーザとは以前対話したことがあると判断して、ステップS17で、履歴DB104を参照して、当該RFIDに対応するユーザと今日初めて対話をするかどうかを判断する。
【0074】
ステップS17で“YES”であれば、つまり履歴情報に当該RFIDが存在しているが、今日の履歴がなければ、当該RFIDに対応するユーザと今日初めて対話すると判断して、ステップS19で、頭部を下に向け、「○○(当該ユーザ名)さん、こんにちは」と挨拶して、ステップS27に進む。
【0075】
なお、ステップS19におけるコミュニケーション行動は、発話する内容が異なる以外は上述のステップS15において説明した内容と同じであるため、ここでは、詳細な説明は省略することにする。
【0076】
一方、ステップS17で“NO”であれば、つまり履歴情報に当該RFIDが存在し、今日の履歴もあれば、当該RFIDに対応するユーザとは今日既に対話したと判断して、ステップS21で、最新の天気予報(特定情報)を聞いて(取得して)いないユーザがいるかどうかを判断する。つまり、履歴DB104に記録される今日の履歴を参照して、最新の天気予報を聞いていないユーザに対応するRFIDがIDリストに存在するかどうかを判断する。
【0077】
ステップS21で“YES”であれば、つまり最新の天気予報を聞いていないユーザに対応するRFIDがIDリストに存在すれば、ステップS23で頭部を上に向けるとともに、「明日は晴れるよ」と天気予報を知らせて、ステップS27に進む。具体的には、ステップS23では、CPU60は、角度データ(S軸0度、T軸0度、U軸+45度、X軸0度、Y軸0度、Z軸0度、W軸0度、A軸0度、B軸0度、C軸0度、D軸0度)をモータ制御ボード72に送るとともに、「明日は晴れるよ」に相当する音声合成データをメモリ70から読み出して音声入力/出力ボード76に与える。すると、頭部モータ88(厳密には、U軸を制御するモータ)が駆動され、頭部50が前方上向きに傾けられる。これと同時或いはほぼ同時に、「明日は晴れるよ」という音声がスピーカ52から出力される。
【0078】
一方、ステップS21で“NO”であれば、つまり最新の天気予報を聞いていないユーザに対応するRFIDがIDリストに存在しなければ、ステップS25で頭部を上に向けるとともに、「暇だよ」と発声して、ステップS27に進む。つまり、ステップS25におけるコミュニケーション行動により、周囲に注意を促し、新しいコミュニケーション対象を探しているのである。ただし、ステップS5でタグを検出しない場合には、つまり近傍や周囲にユーザが存在しない場合には、単にコミュニケーション対象を探していることになる。したがって、このような場合には、上述したようなコミュニケーション行動に加えて、さらに車輪モータ90を駆動して、場所を移動するような行動を取ることも考えられる。
【0079】
なお、ステップS25におけるコミュニケーション行動は、発話する内容が異なる以外はステップS23で説明した場合と同じであるため、ここでは、詳細な説明は省略することにする。
【0080】
ステップS27では、ステップS15、S19、S23またはS25で実行されたコミュニケーション行動についての履歴情報を履歴DB104に記録(追加)して、ステップS1に戻る。つまり、時計回路(図示しない)から年月日および時間、実行したコミュニケーション行動に割り当てられるコミュニケーションIDおよび当該コミュニケーション対象のRFIDを履歴DB104に記録する。
【0081】
この実施例によれば、タグからRFIDを取得して、ユーザを特定するので、ユーザの特定が簡単である。
【0082】
また、ロボットの近傍やその周囲に存在するユーザを個別に認識することができるので、ユーザに適したコミュニケーション行動を実行することができる。
【0083】
さらに、コミュニケーション行動履歴を残しておくので、或るユーザに一度話した内容を当該ユーザに再び話すようなことを回避でき、ユーザに不快感や違和感を与えることがない。つまり、適切でないコミュニケーション行動を繰り返すことを回避することができる。
【0084】
なお、この実施例で示したコミュニケーション行動の処理は、単なる一例であり、これに限定されるべきでない。たとえば、今日までに対話した回数をユーザ(RFID)毎にカウントし、カウント数に応じて親密度の異なるコミュニケーション行動をユーザとの間で実行することもできる。たとえば、或るユーザに対しては、握手をしながら「○○さん、久しぶり」と挨拶し、他のユーザに対しては、抱きつきながら「○○さん、元気ですか」と挨拶することができる。また、今日だけに着目して、対話した回数をカウントして、カウント数が増えるにつれて、より親密度を深めたり、異なる話題(情報)の提供をしたりするなどのコミュニケーション行動を取ることもできる。
【0085】
また、この実施例では、コミュニケーション行動としては、ロボットの振り振る舞い(行動)および音声の両方を用いた場合についてのみ説明したが、行動および音声のいずれか一方のみによるコミュニケーション行動を実行するようにしてもよい。
【0086】
さらに、この実施例では、天気予報のような特定情報をネットワークから取得して、ユーザに提供するようにしたが、ロボット10に内蔵される記憶装置(たとえば、メモリ70)に記憶しておいた情報を提供することもできる。具体的には、メモリ70等に歌の音声合成データを記憶しておき、ロボット10が当該歌を歌って、その近傍または周囲に存在するユーザに歌を教えたりすることができる。また、複数種類の歌の音声合成データを記憶しておけば、履歴情報を参照して、特定のユーザ或いは近傍または周囲に存在するすべてのユーザに対して、聞いたことがない歌を聞かせて、教えることができる。ただし、歌に限らず、外国語(たとえば、英語)の単語や会話などを教えることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の一実施例の構成を示す図解図である。
【図2】図1実施例のロボットのハードウェアを示す正面図である。
【図3】図1実施例のロボットの電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】図3に示すデータベースの内容の一例およびIDリストの一例を示す図解図である。
【図5】図3に示すCPUのコミュニケーション行動の処理の一部を示すフロー図である。
【図6】図3に示すCPUのコミュニケーション行動の処理の他の一部を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0088】
10 …コミュニケーションロボット
12,14,16 …周波数タグ
60 …CPU
70 …メモリ
72 …モータ制御ボード
74 …センサ入力/出力ボード
76 …音声入力/出力ボード
100 …無線ID受信装置
102,104 …データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固有の無線タグを保有する複数のコミュニケーション対象との間でコミュニケーション行動を実行するコミュニケーションロボットであって、
少なくともタグ情報を記録するタグ情報データベース、
前記コミュニケーション対象からタグ情報を取得する取得手段、
前記取得手段の取得結果に基づいて近傍或いは周囲に存在する1または複数のコミュニケーション対象を個別に認識する認識手段、
前記認識手段の認識結果に基づいてコミュニケーション行動を実行する1のコミュニケーション対象を特定する特定手段、および
前記特定手段によって特定された前記コミュニケーション対象にコミュニケーション行動を実行する実行手段を備える、コミュニケーションロボット。
【請求項2】
前記認識手段は、各コミュニケーション対象との距離の大小を検出する検出手段を含み、
前記特定手段は、前記検出手段によって検出された距離が最小となる前記1のコミュニケーション対象を特定する、請求項1記載のコミュニケーションロボット。
【請求項3】
前記無線タグは電波を発信し、
前記取得手段はアンテナを含み、
前記検出手段は、前記取得手段によって前記タグ情報を取得したときの前記アンテナにおける電波強度に応じて前記距離の大小を検出する、請求項2記載のコミュニケーションロボット。
【請求項4】
前記無線タグは超音波を発信し、
前記取得手段は超音波センサを含み、
前記検出手段は、前記取得手段によって前記タグ情報を取得したときの前記超音波センサにおける音波強度に応じて前記距離の大小を検出する、請求項2記載のコミュニケーションロボット。
【請求項5】
前記無線タグは赤外線を放射し、
前記取得手段は赤外線センサを含み、
前記検出手段は、前記取得手段によって前記タグ情報を取得したときの前記赤外線センサにおける受光強度に応じて前記距離の大小を検出する、請求項2記載のコミュニケーションロボット。
【請求項6】
前記実行手段によって実行されたコミュニケーション行動の履歴を当該コミュニケーション行動を実行したコミュニケーション対象に対応づけて記録する履歴データベースをさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載のコミュニケーションロボット。
【請求項7】
前記認識手段によって認識されたコミュニケーション対象のそれぞれについて特定情報を取得しているかどうかを前記履歴データベースを参照して判別する判別手段をさらに備え、
前記判別手段によって前記特定情報を取得していないと判別された前記コミュニケーション対象が存在するとき、前記実行手段が少なくとも当該コミュニケーション対象に対して前記特定情報を報知するためのコミュニケーション行動を実行する、請求項6記載のコミュニケーションロボット。
【請求項8】
前記判別手段によって前記特定情報を取得していないと判別された前記コミュニケーション対象が存在しないとき、前記実行手段は他のコミュニケーション対象を探すためのコミュニケーション行動を実行する、請求項7記載のコミュニケーションロボット。
【請求項9】
前記判別手段によって前記特定情報を取得していないと判別された前記コミュニケーション対象が存在しないとき、前記実行手段は前記特定情報とは異なる他の特定情報を前記コミュニケーション対象に報知するためのコミュニケーション行動を実行する、請求項7記載のコミュニケーションロボット。
【請求項10】
前記認識手段によってコミュニケーション対象を認識できないとき、前記実行手段はコミュニケーション対象を探すためのコミュニケーション行動を実行する、請求項1ないし9のいずれかに記載のコミュニケーションロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−320033(P2007−320033A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222992(P2007−222992)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【分割の表示】特願2003−7292(P2003−7292)の分割
【原出願日】平成15年1月15日(2003.1.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(通信・放送機構、平成17年4月1日付け委託契約研究テーマ「超高速知能ネットワーク社会に向けた新しいインタラクション・メディアの研究開発」、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】