説明

コンデンサ寿命判定装置及び電源装置及び照明装置

【課題】始動直後と停止直後以外にも出力コンデンサの寿命末期の判定が可能なコンデンサ寿命判定装置及び電源装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】フィードバック制御により出力コンデンサの両端電圧Vdcを一定に保つDC−DCコンバータの出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するコンデンサ寿命判定装置である。DC−DCコンバータの後段に接続された負荷回路の出力電力を指示する制御電圧Vrを一時的に変化させるとともに直後の出力コンデンサの両端電圧Vdcの振幅に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するという動作を、所定時間T2おきに定期的に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ寿命判定装置及び電源装置及び照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、出力端間に接続されたコンデンサである出力コンデンサを含み直流電力を出力するDC−DCコンバータが提供され、電気的光源を点灯させる点灯回路などの電源として用いられている。この種のDC−DCコンバータとしては、例えば、昇圧チョッパ回路とも呼ばれるブーストコンバータや、降圧チョッパ回路とも呼ばれるバックコンバータなどがある。
【0003】
ところで、一般に電子回路を構成する部品には寿命が存在し、例えば上記の出力コンデンサとして用いられることが多い電解コンデンサの場合、電解液の揮発により徐々にキャパシタンスが低下し、この低下幅が許容範囲を超えたときが電解コンデンサの寿命となる。
【0004】
そして、上記のDC−DCコンバータにおいて、出力コンデンサのキャパシタンスが低下すると、出力電圧にリプルが発生し、後段に接続される装置の誤動作の原因となる可能性がある。
【0005】
そこで、出力コンデンサの充放電の速度に基いて出力コンデンサの寿命を検出する、コンデンサ寿命判定装置が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。すなわち、出力コンデンサが寿命末期であると判定されたときには、使用者に報知して出力コンデンサの交換を促すことや、DC−DCコンバータを停止させて回路部品の過熱などを防ぐことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−236666号公報
【特許文献2】特許第3324239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のコンデンサ寿命判定装置は、DC−DCコンバータの始動直後における出力コンデンサの両端電圧の上昇速度や、DC−DCコンバータの停止直後における出力コンデンサの両端電圧の低下速度に基いて、出力コンデンサが寿命末期か否かを判定していた。
【0008】
しかしながら、上記の判定方法では、DC−DCコンバータの始動直後や停止直後にしか、出力コンデンサが寿命末期か否かが判定されないから、例えば24時間営業の店舗での照明の電源など、DC−DCコンバータを長時間継続して動作させるような用途では、出力コンデンサの寿命末期を適切に判定することができなかった。
【0009】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、始動直後と停止直後以外にも出力コンデンサの寿命末期の判定が可能なコンデンサ寿命判定装置及び電源装置及び照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、直流電源により充電される出力コンデンサ、直流電源から出力コンデンサへの充電をオンオフするスイッチング素子、並びに、スイッチング素子を周期的にオンオフ駆動するとともに出力コンデンサの両端電圧を検出して出力コンデンサの両端電圧を所定の目標電圧とするようなフィードバック制御によりスイッチング素子のオンデューティを決定する制御部を有するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの出力電力を変換して負荷に出力する負荷回路であって外部からの入力に応じて負荷への出力電力を可変とする負荷回路とに接続され、DC−DCコンバータの出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するコンデンサ寿命判定装置であって、負荷回路の出力電力を一時的に変化させるという判定用制御を、判定用制御の継続時間よりも長い間隔で定期的に行う負荷制御部と、判定用制御が開始された直後の出力コンデンサの両端電圧の少なくとも交流成分を検出する電圧検出部と、電圧検出部によって検出された両端電圧の振幅に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定する寿命判定部とを備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、始動直後と停止直後以外であっても、定期的な判定用制御とともに出力コンデンサが寿命末期か否かの判定が行われる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、判定用制御の継続時間は10ms以内であることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、電圧検出部は、出力コンデンサの両端電圧の直流成分を減衰させるフィルタ手段を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、判定用制御が開始される直前での負荷回路の出力電力に応じて、判定用制御中の負荷回路の出力電力と、寿命判定部による判定の条件との少なくとも一方が変更されることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、判定用制御が開始される直前での負荷回路の出力電力の違いによる誤判定を抑えることができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、電圧検出部は、出力コンデンサの両端電圧に応じた電圧値のアナログ電圧を寿命判定部に出力するものであって、寿命判定部は、電圧検出部の出力電圧をデジタル値に変換して出力するA/D変換器と、A/D変換器の出力に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するデジタル回路とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、寿命判定部のデジタル回路は、製造直後の所定回数の判定用制御でのA/D変換器の出力の振幅の平均値である平均振幅が格納される記憶部と、記憶部に格納された平均振幅と、前記所定回数の判定用制御より後の判定用制御でのA/D変換器の出力の振幅の、記憶部に格納された平均出力に対する比を演算する演算部と、演算部によって演算された比に基づいて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定する判定部とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの発明において、負荷制御部は、寿命判定部によって出力コンデンサが寿命末期であると判定されたとき、負荷回路の出力電力を低下させることを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの発明において、寿命判定部によって出力コンデンサが寿命末期であると判定されたことを外部に報知する判定出力部を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置と、DC−DCコンバータとを備えることを特徴とする。
【0021】
請求項10の発明は、請求項9記載の電源装置と、DC−DCコンバータを電源とし、負荷としての電気的光源を点灯させる負荷回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、負荷回路の出力電力を一時的に変化させるという判定用制御を、判定用制御の継続時間よりも長い間隔で定期的に行う負荷制御部と、判定用制御が開始された直後の出力コンデンサの両端電圧の少なくとも交流成分を検出する電圧検出部と、電圧検出部によって検出された両端電圧の振幅に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定する寿命判定部とを備えるので、始動直後と停止直後以外であっても、定期的な判定用制御とともに出力コンデンサが寿命末期か否かの判定が行われる。
【0023】
請求項4の発明によれば、判定用制御が開始される直前での負荷回路の出力電力に応じて、判定用制御中の負荷回路の出力電力と、寿命判定部による判定の条件との少なくとも一方が変更されるので、判定用制御が開始される直前での負荷回路の出力電力の違いによる誤判定を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態1における出力コンデンサの両端電圧Vdcと制御電圧Vrとの時間変化の一例を示す説明図である。
【図2】同上を示す回路ブロック図である。
【図3】同上において出力コンデンサが寿命末期ではないと判定される場合(左側)と出力コンデンサが寿命末期であると判定される場合(右側)とについてそれぞれ出力コンデンサの両端電圧Vdcと制御電圧Vrと負荷回路の出力電圧Voの時間変化の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態2を示す回路ブロック図である。
【図5】同上の変更例において通常制御電圧Vr1がそれぞれ異なる2通りの場合についてそれぞれ出力コンデンサの両端電圧Vdcと制御電圧Vrとの時間変化の一例を示す説明図である。
【図6】同上の別の変更例において出力コンデンサの両端電圧Vdcと制御電圧Vrとの時間変化の一例を示す説明図である。
【図7】同上の更に別の変更例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施形態1)
本実施形態は、図2に示すように、ノイズ阻止用の適宜のフィルタ回路LPFを介して入力された交流電力を全波整流する直流電源としてのダイオードブリッジDBと、ダイオードブリッジDBの直流出力を所定電圧の直流電力に変換するDC−DCコンバータ1とを備える。ダイオードブリッジDBの低電圧側の直流出力端はグランドに接続されている。また、DC−DCコンバータ1の出力端間には、DC−DCコンバータ1が出力した直流電力を適宜変換して電気的光源としての放電灯FLに供給することにより放電灯FLを点灯させる負荷回路2が接続されている。
【0027】
詳しく説明すると、負荷回路2は、DC−DCコンバータ1の出力端間に接続された2個のスイッチング素子Q2,Q3の直列回路と、低電圧側のスイッチング素子Q3の両端間に接続されたインダクタL2と並列コンデンサC2との直列回路と、放電灯FLとの直列回路として並列コンデンサC2に並列に接続された直列コンデンサC3とからなる共振部20と、上記2個のスイッチング素子Q2,Q3を交互にオンオフ駆動する制御部21とを備える、周知のハーフブリッジ形のインバータ回路である。すなわち、スイッチング素子Q2,Q3が交互にオンオフ駆動されると、共振部20が放電灯FLとともに構成する共振回路の共振により、DC−DCコンバータ1の出力した直流電力が交流電力に変換されて放電灯FLに供給される。制御部21は、負荷回路2の外部から入力される電気信号である制御信号の電圧値(以下、「制御電圧」と呼ぶ。)Vrが高いほど、スイッチング素子Q2,Q3のオンオフの周波数を上記の共振回路の共振周波数に近くすることにより、放電灯FLへの出力電力を増加させて放電灯FLの光出力を上昇させる。
【0028】
また、DC−DCコンバータ1は、インダクタL1とスイッチング素子Q1との直列回路と、インダクタL1とスイッチング素子Q1との接続点にアノードが接続されたダイオードD1と、電解コンデンサからなりダイオードD1のカソードに一端が接続されるとともに他端がグランドに接続された出力コンデンサC1とを備え、出力コンデンサC1の両端電圧を出力電圧とする、周知のブーストコンバータ(昇圧チョッパ回路)である。すなわち、スイッチング素子Q1がオンされている期間にはダイオードブリッジDBの出力によりインダクタL1にエネルギーが蓄積され、スイッチング素子Q1がオフされている期間にはダイオードブリッジDBの出力電圧にインダクタL1の両端電圧が重畳された電圧によって出力コンデンサC1が充電される。つまり、スイッチング素子Q1がオフされている期間にのみ出力コンデンサC1が充電されるのであり、スイッチング素子Q1のオンオフにより出力コンデンサC1への充電がオンオフされる。スイッチング素子Q1としては例えばNMOSが用いられる。
【0029】
さらに、DC−DCコンバータ1は、スイッチング素子Q1を周期的にオンオフ駆動する制御部11を備える。制御部11は、出力コンデンサC1の両端電圧(すなわちDC−DCコンバータ1の出力電圧。以下、「直流出力電圧」と呼ぶ。)Vdcを監視しており、直流出力電圧Vdcを、所定の目標電圧Vdc0とするようなフィードバック制御により、スイッチング素子Q1のオンデューティを随時変化させる。
【0030】
さらに、本実施形態は、出力コンデンサC1が寿命末期か否かを判定するコンデンサ寿命判定装置3を備えており、コンデンサ寿命判定装置3とDC−DCコンバータ1とで請求項における電源装置が構成され、コンデンサ寿命判定装置3とDC−DCコンバータ1と負荷回路2とで請求項における照明装置が構成されている。
【0031】
以下、コンデンサ寿命判定装置3について詳しく説明する。コンデンサ寿命判定装置3は、出力コンデンサC1の両端電圧の少なくとも交流成分を検出する電圧検出部31と、電圧検出部31の出力に基いて出力コンデンサC1が寿命末期か否かを判定する寿命判定部32と、寿命判定部32の制御に応じた制御電圧Vrを負荷回路2の制御部21に入力する負荷制御部33と、寿命判定部32による判定結果に応じてDC−DCコンバータ1の制御部11を制御する電源制御部34と、寿命判定部32によって出力コンデンサC1が寿命末期であると判定されたことを外部に報知する判定出力部35とを備える。
【0032】
電圧検出部31と寿命判定部32と負荷制御部33と電源制御部34とはそれぞれ周知の電子回路によって実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0033】
また、判定出力部35は、出力コンデンサC1の寿命末期を使用者に対して視覚や聴覚により報知するものであってもよいし、出力コンデンサC1の寿命末期を使用者に対して報知する外部装置に対して電気信号又はワイヤレス信号を用いた適宜の通信手段により出力コンデンサC1の寿命末期を報知するものであってもよく、いずれの場合にも判定出力部35は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。
【0034】
また、寿命判定部32は、出力コンデンサC1が寿命末期であると判定されたとき、負荷制御部33を制御して負荷回路2から放電灯FLへの出力電力を減少又は停止させるとともに、電源制御部34を制御してスイッチング素子Q1のオンオフ駆動を停止させることで直流出力電圧Vdcを低下させる。これにより、寿命末期の出力コンデンサC1によるリプル電圧で他の回路部品に過剰な電気的ストレスが加わることを防ぐことができる。
【0035】
以下、本発明の要旨である、出力コンデンサC1が寿命末期か否かを判定する動作について具体的に説明する。寿命判定部32は、負荷回路2の制御部21に入力される制御電圧Vrを所定の判定制御時間T1にわたって一時的に変化させることで負荷回路2の出力電力を一時的に変化させるという判定用制御を、判定制御時間T1よりも長い所定の判定間隔時間T2(図1参照)おきに定期的に行うように負荷制御部33を制御するとともに、判定用制御の開始後に所定の判定時間が経過するまでの期間内での電圧検出部31の出力に応じて、出力コンデンサC1が寿命末期か否かを判定する。判定用制御は、例えば、図3に示すように、所定の判定用制御時間T1にわたり、制御電圧Vrを、判定用制御の前後での制御電圧(以下、「通常制御電圧」と呼ぶ。)Vr1よりも低い電圧(以下、「判定用制御電圧」と呼ぶ。)Vr2とすることで、負荷回路2の出力電圧Voの振幅を小さくするものである。ここで、判定制御時間T1は、DC−DCコンバータ1の後段に接続される負荷回路2の正常な動作を損なわない程度に充分に短い時間とされ、例えば、図2の例では判定用制御による放電灯FLの光出力の変化が人の目に認識できない程度に充分に短い時間、すなわち、いわゆる臨界フリッカ周波数の逆数の時間以下とされる。一般的な照明用の光源の光出力では上記の臨界フリッカ周波数は30Hz〜60Hz程度となることから、上記の判定制御時間T1は具体的には10ms(100Hz相当)以下とされることが望ましい。また、電解コンデンサC1の寿命は1000時間〜10000時間といったオーダーであるので、上記の判定間隔時間T2は例えば数分〜1時間程度の適宜の時間とする。
【0036】
上記のような判定用制御により、DC−DCコンバータ1から負荷回路2への出力電力も減少するから、DC−DCコンバータ1の制御部11が行うフィードバック制御において所謂ハンチングが発生し、直流出力電圧Vdcには、振幅を減衰させつつ判定用制御の終了後も暫く継続するリプル成分(交流成分)が発生する。そして、出力コンデンサC1のキャパシタンスが経年劣化により低下すると、出力コンデンサC1の両端電圧すなわち直流出力電圧Vdcの変化が速くなることで、図3の左側の波形から図3の右側の波形への変化のように、上記のリプル成分の振幅が大きくなる。寿命判定部32は、上記のリプル成分の振幅が所定の振幅よりも大きくなったときに、出力コンデンサC1が寿命末期であると判定する。具体的には、寿命判定部32は、判定用制御が開始された直後に所定の判定時間が経過する前に、図3の右側の例のように、直流出力電圧Vdcの瞬時値が、目標電圧Vdc0よりも高い所定の上側判定電圧Vth1以上になるか、又は、目標電圧Vdc0よりも低い所定の下側判定電圧Vth2未満となったとき、つまり直流出力電圧Vdcの振幅が上記の上側判定電圧Vth1や下側判定電圧Vth2と目標電圧Vdc0との差以上となったときに、出力コンデンサC1が寿命末期であると判定し、上記以外の場合、すなわち図3の左側の例のように、判定用制御の開始後に直流出力電圧Vdcが上側判定電圧Vth1以上となることも下側判定電圧Vth2未満となることもなく上記の判定時間が経過したときに、出力コンデンサC1が寿命末期ではないと判定する。上側判定電圧Vth1と下側判定電圧Vth2とは、それぞれ例えば目標電圧Vdc0に対して所定の判定振幅電圧を加算又は減算した値とされる。また、上記の判定時間は、判定間隔時間T2よりも短い適宜の時間とされる。
【0037】
上記構成によれば、定期的に行われる判定用制御により、DC−DCコンバータ1の始動直後や停止直後以外にも出力コンデンサC1の寿命末期の判定が可能である。
【0038】
(実施形態2)
本実施形態の基本構成は実施形態1と共通であるので、共通する部分についての図示並びに説明は省略する。
【0039】
本実施形態では、図4に示すように、電圧検出部31は、フィルタ手段としてのコンデンサC10を介して直流出力電圧Vdcが入力された分圧抵抗R1,R2で構成されている。
【0040】
さらに、寿命判定部32は、電圧検出部31の出力電圧(すなわち分圧抵抗R1,R2の接続点の電圧)をA/D変換するA/D変換器321と、A/D変換器321の出力を定期的にサンプリングすることで判定用制御の開始直後に所定の判定時間が経過するまでの期間内における直流出力電圧Vdcの最大値(以下、「最大電圧」と呼ぶ。)と最小値(以下、「最小電圧」と呼ぶ。)との差(いわゆるピークツーピーク値。以下、「PTP電圧」と呼ぶ。)を演算部322と、演算部322によって演算されたPTP電圧に基づいて出力コンデンサC1が寿命末期か否かを判定する判定部323と、読み書き可能な例えば半導体メモリからなり判定用制御毎に上記の判定時間の経過で確定する前の暫定的な最大電圧と最小電圧とがそれぞれ格納される記憶部324とを備える。すなわち、演算部322と判定部323と記憶部324とが請求項におけるデジタル回路を構成する。判定部323は、具体的には、PTP電圧を予め記憶部324に格納された所定の判定PTP電圧と比較し、PTP電圧が判定PTP電圧以上であったときに出力コンデンサC1が寿命末期であると判定し、PTP電圧が判定PTP電圧未満であったときに出力コンデンサC1が寿命末期ではないと判定する。
【0041】
なお、図4では、フィルタ回路LPFや、DC−DCコンバータ1及び負荷回路2の細部の図示は省略している。また、寿命判定部32は、判定用制御の開始及び終了の各タイミングの決定や判定時間の計時のための計時手段を有するが、その図示も省略している。
【0042】
ここで、上記のように出力コンデンサC1が寿命末期か否かをPTP電圧と判定PTP電圧との比較によって判定する代わりに、製造直後の最初の判定用制御で得られたPTP電圧(すなわちA/D変換器321の出力の振幅)、又は、製造直後の所定の複数回の判定用制御で得られたPTP電圧の平均値を、判定基準電圧として記憶部324に保存するとともに、PTP電圧の判定基準電圧に対する比が所定の判定係数以上となったときに出力コンデンサC1が寿命末期であると判定されるようにしてもよい。すなわち、PTP電圧の、製造直後の使用開始時での値に対する相対的な比に基いて、出力コンデンサC1が寿命末期か否かが判定される。この構成を採用すれば、例えば、出力コンデンサC1よりも寿命が短い部品が負荷回路2等に含まれていて、その部品の寿命末期を出力コンデンサC1の経年劣化に基いて判定する場合に、出力コンデンサC1のばらつきの影響を排除して比較的に正確な判定が可能となる。
【0043】
また、上記の各実施形態において、例えば制御電圧Vrが制御盤のような外部装置からの入力にも依存する場合のように、通常制御電圧Vr1が不確定である場合、判定用制御が開始される直前の通常制御電圧Vr1に応じて判定用制御電圧Vr2や判定振幅電圧や判定PTP電圧や判定係数が変更されてもよい。具体的には例えば判定用制御電圧Vr2を一定とする場合、図5の左側の例に対する右側の例のように、通常制御電圧Vr1が判定用制御電圧Vr2により近い(つまり判定用制御の前後の負荷回路2の出力電力が判定用制御中の負荷回路2の出力電力により近い)場合には、出力コンデンサC1のキャパシタンスが同じ場合であっても直流出力電圧Vdcの振幅がより小さくなる。そこで、判定振幅電圧や判定PTP電圧をより小さく(つまり、実施形態1の場合には上側判定電圧Vth1をより小さく且つ下側判定電圧Vth2をより大きく)する。又は、通常制御電圧Vr1の変化による通常制御電圧Vr1と判定用制御電圧Vr2との差の変化を抑えるように判定用制御電圧Vr2を変更したり、判定振幅電圧や判定PTP電圧の変更と判定用制御電圧Vr2の変更とを組み合わせてもよい。
【0044】
さらに、図6に示すように、判定用制御の前半と後半との一方(図6では前半)では制御電圧Vrを負荷回路2の出力電力を最大とするような第1判定用制御電圧Vr3とし、判定用制御の前半と後半との他方(図6では後半)では制御電圧Vrを負荷回路2の出力電力を放電灯FLが立ち消えない範囲で最小とするような第2判定用制御電圧Vr2とするといったように、判定用制御中に制御電圧Vrを2段階に変化させてもよい。上記構成を採用すれば、判定用制御中の制御電圧Vrの変化すなわち負荷回路2の出力電力の変化の大きさは、第1判定用制御電圧Vr3と第2判定用制御電圧Vr2との差に依存する。従って、PTP電圧や出力コンデンサC1の寿命末期の判定結果に対し、通常制御電圧Vr1の変動が影響を与えにくい。図6の例でも、判定用制御が開始される直前の通常制御電圧Vr1に応じて判定用制御電圧Vr2,Vr3や判定振幅電圧や判定PTP電圧を変更することは可能である。
【0045】
また、判定振幅電圧や判定PTP電圧や判定係数を複数通り用いて、直流出力電圧Vdcの振幅の大きさの程度に応じて異なる報知が行われるようにすることで、出力コンデンサC1の経年劣化の度合いが段階的に報知されるようにしてもよい。
【0046】
ここで、上記の各実施形態において、負荷回路2が点灯させる電気的光源は放電灯FLに限られず、白熱灯や有機ELや発光ダイオードといった他の周知の電気的光源であってもよい。図7に、電気的光源としての発光ダイオードLEDを点灯させる負荷回路2の例を示す。図7の負荷回路2は、発光ダイオードLEDに対して直列に接続されるインダクタL3と、インダクタL3と発光ダイオードLEDとの直列回路に対して並列に接続されカソードがDC−DCコンバータ1の高電圧側の出力端に接続されたダイオードD3と、ダイオードD3のアノードとグランドとの間に接続された(つまり発光ダイオードLEDへの給電路に挿入された)スイッチング素子Q4と、スイッチング素子Q4をオンオフ駆動する制御部21とを備える。図7の例での制御部21は、入力される制御電圧Vrに応じたオンデューティでスイッチング素子Q4をオンオフ駆動するものであって、制御電圧Vrが高いほど上記のオンデューティを高くすることで発光ダイオードLEDへの出力電力を増加させて発光ダイオードLEDの光出力を高くする。白熱灯を点灯させる負荷回路や、有機ELを点灯させる負荷回路であっても、出力電力を可変とする負荷回路は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【符号の説明】
【0047】
1 DC−DCコンバータ
2 負荷回路
3 コンデンサ寿命判定装置
31 電圧検出部
32 寿命判定部
33 負荷制御部
35 判定出力部
321 A/D変換器
322 演算部
323 判定部
324 記憶部
C1 出力コンデンサ
C10 コンデンサ(請求項におけるフィルタ手段)
FL 放電灯(請求項における電気的光源)
LED 発光ダイオード(請求項における電気的光源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源により充電される出力コンデンサ、直流電源から出力コンデンサへの充電をオンオフするスイッチング素子、並びに、スイッチング素子を周期的にオンオフ駆動するとともに出力コンデンサの両端電圧を検出して出力コンデンサの両端電圧を所定の目標電圧とするようなフィードバック制御によりスイッチング素子のオンデューティを決定する制御部を有するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの出力電力を変換して負荷に出力する負荷回路であって外部からの入力に応じて負荷への出力電力を可変とする負荷回路とに接続され、DC−DCコンバータの出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するコンデンサ寿命判定装置であって、
負荷回路の出力電力を一時的に変化させるという判定用制御を、判定用制御の継続時間よりも長い間隔で定期的に行う負荷制御部と、
判定用制御が開始された直後の出力コンデンサの両端電圧の少なくとも交流成分を検出する電圧検出部と、
電圧検出部によって検出された両端電圧の振幅に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定する寿命判定部とを備えることを特徴とするコンデンサ寿命判定装置。
【請求項2】
判定用制御の継続時間は10ms以内であることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項3】
電圧検出部は、出力コンデンサの両端電圧の直流成分を減衰させるフィルタ手段を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項4】
判定用制御が開始される直前での負荷回路の出力電力に応じて、判定用制御中の負荷回路の出力電力と、寿命判定部による判定の条件との少なくとも一方が変更されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項5】
電圧検出部は、出力コンデンサの両端電圧に応じた電圧値のアナログ電圧を寿命判定部に出力するものであって、
寿命判定部は、電圧検出部の出力電圧をデジタル値に変換して出力するA/D変換器と、A/D変換器の出力に基いて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定するデジタル回路とを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項6】
寿命判定部のデジタル回路は、製造直後の所定回数の判定用制御でのA/D変換器の出力の振幅の平均値である平均振幅が格納される記憶部と、記憶部に格納された平均振幅と、前記所定回数の判定用制御より後の判定用制御でのA/D変換器の出力の振幅の、記憶部に格納された平均出力に対する比を演算する演算部と、演算部によって演算された比に基づいて出力コンデンサが寿命末期か否かを判定する判定部とを有することを特徴とする請求項5記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項7】
負荷制御部は、寿命判定部によって出力コンデンサが寿命末期であると判定されたとき、負荷回路の出力電力を低下させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項8】
寿命判定部によって出力コンデンサが寿命末期であると判定されたことを外部に報知する判定出力部を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のコンデンサ寿命判定装置と、DC−DCコンバータとを備えることを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項9記載の電源装置と、DC−DCコンバータを電源とし、負荷としての電気的光源を点灯させる負荷回路とを備えることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−97683(P2011−97683A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247079(P2009−247079)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】