説明

コンバインドサイクル発電プラント、および熱交換器

【課題】排熱回収ボイラにおいて回収し得る熱の損失をなくし、これによって熱回収効率の高いコンバインドサイクル発電プラントを提供する。
【解決手段】ガスタービン10の排ガスが保有する熱を利用して蒸気タービン20駆動用の蒸気を発生させる排熱回収ボイラ30と、排熱回収ボイラ30の低圧節炭器37から供給される高圧給水と、ガスタービン10の圧縮機11から抽出されたタービン冷却用の圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱することによって圧縮空気を冷却する冷却空気冷却器71と、冷却空気冷却器71において冷却された圧縮空気とガスタービン10の燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却することによって燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器72とを備えるコンバインドサイクル発電プラントを採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排熱回収方式を採用したコンバインドサイクル発電プラント、および同プラントに具備される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインドサイクル発電プラントの発電方式としては、ガスタービンで仕事をした後の排ガスを排熱回収ボイラ(H.R.S.G.)に導き、その排熱を利用して蒸気を発生させ、その蒸気を利用して蒸気タービンを駆動する、いわゆる排熱回収方式が一般的である。
【0003】
このような排熱回収法方式のコンバインドサイクル発電プラントにおいては、高効率化・運転の安定化のため、常に改良・改善の努力がなされている。
例えば、ガスタービンにおいて、燃焼温度を高めることによる高効率化を図るために、燃料ガスの温度を高めることが行われている。具体的には、ガスタービンの燃料ガスを加熱するための燃料ガス加熱器が設けられている。燃料ガス加熱器は、燃料ガスを、排熱回収ボイラに供給される中圧の給水によって加熱する。加熱された燃料ガスは、ガスタービンの燃焼器に供給され、消費される(下記の特許文献1参照)。
【0004】
燃料ガス加熱器におけるヒートバランスの一例を挙げると、図7に示すように、燃料ガス加熱器172に供給される燃料ガスの温度は6.8℃、中圧節炭器139から燃料ガス加熱器172に供給される中圧給水の温度は255℃である。そして、熱交換後に燃料ガス加熱器172から排出されるガスタービン100の燃焼器112に供給される燃料ガスの温度は210℃、同じく熱交換後に燃料ガス加熱器172から排出されて予熱器137に供給される中圧給水の温度は65℃である。
【0005】
また、タービンの過熱を防止し、ガスタービンの安定した運転を実現するために、タービンの動翼や静翼を冷却することが行われている。この冷却には、ガスタービンの圧縮機から抽出された圧縮空気が用いられるが、圧縮空気は、圧縮によって高温となっているので、この圧縮空気を冷却するための冷却空気冷却器が設けられている。冷却空気冷却器では、ガスタービンの圧縮機から抽出された圧縮空気を、排熱回収ボイラに供給される高圧給水によって冷却する。冷却された空気は、タービンの動翼や静翼に供給され、それらを冷却する(例えば、下記の特許文献2参照)。
【0006】
冷却空気冷却器におけるヒートバランスの一例を挙げると、図7に示すように、予熱器137から従来の冷却空気冷却器171に供給される高圧給水の温度は172℃、ガスタービン100の圧縮機111から冷却空気冷却器171に供給される圧縮空気の温度は465℃である。そして、熱交換後に冷却空気冷却器171から排出されて高圧ドラム134に供給される高圧給水の温度は326℃、同じく熱交換後に冷却空気冷却器171から排出されてタービン113の冷却に供される圧縮空気の温度は200℃である。
【0007】
【特許文献1】特開2003−343283
【特許文献2】特開平10−169414
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したような従来の技術に対しても、さらなる高効率化が常に求められている。このような観点からすると、従来の技術には依然として改善の余地がある。
すなわち、従来のコンバインドサイクル発電プラントでは、燃料ガス加熱器において、燃料ガスを加熱するための熱源に中圧給水を使用し、燃料ガスと中圧給水との間で熱交換を行わせて中圧給水から熱を奪う。その後、中圧給水は高圧ドラムに供給され、排ガスの熱により気化されるが、燃料ガス加熱器において冷却されることにより、中圧給水の保有する熱量が減少してしまう。そのため、排熱回収ボイラにおいては、排ガスが中圧給水に対し、減少した熱量を補った上で気化することになるため、余計に仕事をしなければならない。すなわち、従来のコンバインドサイクル発電プラントにおいては、高圧ドラムにおいて中圧給水を蒸発させるために大きな熱量が必要になる。したがって、排熱回収ボイラにおいて回収し得る熱エネルギに改善の余地があると言える。
【0009】
また、従来のコンバインドサイクル発電プラントでは、冷却空気冷却器において、高温の圧縮空気から非常に多くの熱量を奪って冷却を行う必要がある。このため、熱エネルギの有効利用という観点で改善の余地があり、また多くの熱量を圧縮空気から奪うために冷却空気冷却器の伝熱面積を大きくしなければならず、結果的に冷却空気冷却器が大型化してしまうという問題もある。
【0010】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、熱回収効率が高いコンバインドサイクル発電プラントを提供すること、および同プラントに具備され、小型で熱効率のよい熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために次のような構成のコンバインドサイクル発電プラントを採用する。
すなわち本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントは、ガスタービンの排ガスが保有する熱を利用して蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させる排熱回収ボイラを備えるコンバインドサイクル発電プラントにおいて、排熱回収ボイラの節炭器から供給される高圧給水と、ガスタービンの圧縮機から抽出されたタービン冷却用の圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱することによって圧縮空気を冷却する第一熱交換器と、第一熱交換器において冷却された圧縮空気とガスタービンの燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却することによって燃料ガスを加熱する第二熱交換器とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明には、ガスタービンの排ガスが保有する熱を利用して蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させる排熱回収ボイラに具備される熱交換器とすることもできる。この熱交換器は、排熱回収ボイラの節炭器から供給される高圧給水と、ガスタービンのタービン冷却用の圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱することによって圧縮空気を冷却する第一伝熱部と、第一伝熱部において冷却された圧縮空気とガスタービンの燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却することによって燃料ガスを加熱する第二伝熱部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、このような熱交換器は、熱交換器の外殻を形成するケーシングと、ケーシング内に配置されたシュラウドとを有し、シュラウドの内側に内側流路が形成され、ケーシングとシュラウドとの間に、シュラウドの一端側で内側流路に連通する外側流路が形成されたものとすることができる。そして、第一伝熱部が内側流路に配置され、第二伝熱部が第一伝熱部よりも下流側の内側流路に配置されている。このような構成の熱交換器において、タービン冷却用の圧縮空気は、シュラウドの他端側から内側流路に流入し、第一伝熱部および第二伝熱部を順次通過した後、シュラウドの一端側において流れの向きを反転させて外側流路に流入し、外側流路からケーシングの外に排出される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントによれば、タービン冷却用の圧縮空気の冷却を、排熱回収ボイラの給水加熱器(本発明の第一熱交換器)と燃料ガス加熱器(本発明の第二熱交換器)とで行うので、熱損失が少ない。したがって、プラントの熱効率が改善される。
また、本発明に係る熱交換器によれば、各熱交換器の平均温度差が大きく取れるので、各熱交換器の伝熱面積が小さくなって、熱交換器を小型化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係るコンバインドサイクル発電プラントの実施の形態について図1を参照して説明する。
図1には、排熱回収方式を採用した一軸型のコンバインドサイクル発電プラントを示す。図に示すように、このコンバインドサイクル発電プラントは、主要な構成要素として、発電機1と、ガスタービン10と、蒸気タービン20と、排熱回収ボイラ30と、復水器60と、復水ポンプ62とを備えている。
【0016】
ガスタービン10は、圧縮機11と、燃焼器12と、タービン13とを備えている。蒸気タービン20は、低圧、中圧、高圧の3つのタービン21,22,23を備えている。ガスタービン10は、発電機1に接続された主軸2を蒸気タービン20と共有し、ガスタービン10においては燃焼ガスがタービン13に対してなす仕事を主軸2の回転力として取り出し、蒸気タービン20においては蒸気が各タービン21,22,23に対してなす仕事を主軸2の回転力として取り出すことによって圧縮機11および発電機1を駆動する。
【0017】
排熱回収ボイラ30には、ガスタービン10において発生した排ガスの流路をなす筐体30aの内部に、高圧、中圧、低圧の3つの蒸発器31,32,33が、排ガスの流れる方向に沿って順に設置されている。各蒸発器31,32,33には、それぞれ高圧、中圧、低圧の3つのドラム34,35,36が併設されている。
【0018】
低圧蒸発器33よりも下流側の排ガス流路には、復水器60から給水流路45を介して供給される水を排ガスの熱によって加熱する低圧節炭器37が設けられている。低圧節炭器37において加熱された低圧の給水は、給水流路46を介して低圧ドラム36に供給される。低圧蒸発器33と中圧蒸発器32との間の排ガス流路には、低圧節炭器37から給水流路47を介して供給される高圧給水を排ガスの熱によって加熱する一次高圧節炭器38と、低圧節炭器37から給水流路48を介して供給される中圧の給水を排ガスの熱によって加熱する中圧節炭器39とが設けられている。中圧節炭器39において加熱された中圧給水は、給水流路48を介して中圧ドラム35に供給される。
【0019】
高圧蒸発器31と中圧蒸発器32との間の排ガス流路には、低圧ドラム36から蒸気流路49を介して供給される低圧蒸気を排ガスの熱によって過熱する低圧過熱器40と、中圧ドラム35から蒸気流路50を介して供給される中圧蒸気を排ガスの熱によって過熱する中圧過熱器41と、一次高圧節炭器38から給水流路51を介して供給される高圧給水を排ガスの熱によって加熱する二次高圧節炭器42とが設けられている。二次高圧節炭器42において加熱された高圧給水は、給水流路51を介して高圧ドラム34に供給される。
【0020】
高圧蒸発器31よりも上流側の排ガス流路には、高圧ドラム34から蒸気流路52を介して供給される高圧の蒸気を排ガスの熱によって過熱する一次、二次の2つの高圧過熱器43a,43bと、高圧タービン23に対して仕事をした蒸気を排ガスの熱によって再加熱する一次、二次の2つの再熱器44a,44bとが設置されている。
【0021】
二次高圧過熱器43bは、蒸気流路53を介して高圧タービン23に接続されている。二次再熱器44bは、蒸気流路54を介して中圧タービン22に接続されている。中圧タービン22は、蒸気流路55を介して低圧タービン21に接続されている。低圧過熱器40は、蒸気流路56,55を介して低圧タービン21に接続されている。
高圧タービン23は、蒸気流路57を介して一次再熱器44aに接続されており、中圧過熱器41は、蒸気流路58,57を介して一次再熱器44aに接続されている。
【0022】
さらに、このコンバインドサイクル発電プラントは、タービン冷却用の圧縮空気を冷却する冷却空気冷却器(第一熱交換器)71と、ガスタービン10の燃料ガスを加熱する燃料ガス加熱器(第二熱交換器)72とを備えている。冷却空気冷却器71および燃料ガス加熱器72は、圧縮空気の供給経路に沿って直列に接続されており、両者は一体化されている。
【0023】
冷却空気冷却器71は、低圧節炭器37から給水流路59を介して高圧ドラム34に供給される高圧給水と、ガスタービン10の圧縮機11から空気流路61を介して抽出された圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱するとともに圧縮空気を冷却する。冷却空気冷却器71には、例えばシェルアンドチューブ型の熱交換器が採用される。
【0024】
燃料ガス加熱器72は、冷却空気冷却器71によって冷却された圧縮空気と燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却するとともに燃料ガスを加熱する。燃料ガス加熱器72においてさらに冷却された圧縮空気は、タービン13の動翼や静翼に供給され、加熱された燃料ガスは、燃焼器12に供給される。
【0025】
図2から図5には、冷却空気冷却器71と燃料ガス加熱器72とを一体化した構成の一体型熱交換器80の構造を示す。各図に示すように、この一体型熱交換器80は、同熱交換器の外殻を形成するケーシング81と、ケーシング81の内部に配置されたシュラウド82と、シュラウド82の内部に配置された伝熱管群83と、シュラウド82の内部にあって伝熱管群83の下方に配置された複数のプレートフィン84とを備えている。シュラウド82の内部には、内側流路88が形成され、ケーシング81とシュラウド82との間には、シュラウド82の下端側で内側流路88に連通する外側流路89が形成されている。伝熱管群83は、冷却空気冷却器71(すなわち第一伝熱部)を構成する要素であって、シュラウド82の内側流路88に配置されている。プレートフィン84は、燃料ガス加熱器72(すなわち第二伝熱部)を構成する要素であって、伝熱管群83の下流側の内側流路88に、圧縮空気の流れを妨げないように配置されている。
【0026】
シュラウド82には、シュラウド82の内部にガスタービン10の圧縮機11から空気流路61を介して抽出された圧縮空気を導入するための給気ダクト82aの一端が接続されている。給気ダクト82aの他端は、ケーシング81の外に突き出し、上流側の空気流路61に接続されている。ケーシング81には、シュラウド82の下端から吹き出した圧縮空気を外部に排出するための排気ダクト82bの一端が接続されている。この排気ダクト82bは、シュラウド82の下端よりも上方に位置している。そしてこの排気ダクト82bの他端は、下流側の空気流路61に接続されている。
【0027】
伝熱管群83の上下には、給水ヘッダ83aと排水ヘッダ83bとがそれぞれ設けられている。
給水ヘッダ83aには、低圧節炭器37から給水流路59を介して供給される高圧給水が供給される複数本の伝熱管85の上端が接続されている。給水ヘッダ83aは、シュラウド82を貫通してケーシング81の外に突き出し、上流側の給水流路59に接続されている。
排水ヘッダ83bには、複数本の伝熱管85の下端が接続され、熱交換に供された高圧給水が回収される。排水ヘッダ83bは、シュラウド82を貫通してケーシング81の外に突き出し、下流側の給水流路59に接続されている。
【0028】
給水ヘッダ83aと排水ヘッダ83bとに接続された各伝熱管85は、給水ヘッダ83aと排水ヘッダ83bとの間において、例えばつづら折り状に折曲されて設けられており、高圧給水を給水ヘッダ83aから排水ヘッダ83bへと送る。
このような伝熱管群83においては、低圧節炭器37から給水流路59を介して供給される高圧給水が各伝熱管85内を給水ヘッダ83aから排水ヘッダ83bに流れる。吸気ダクト82aを通じてシュラウド82の上端側から内側流路88に送り込まれた圧縮空気は、伝熱管群83を構成する各伝熱管85の隙間を通り、このときに各伝熱管85の表面と熱交換する。これによって高圧給水は加熱され、圧縮空気は冷却される。なお、伝熱管群83には、フィン付管又はスタッド付管などを採用してもよい。
【0029】
プレートフィン84は、燃料ガスを通過させる燃料ガス配管87の周囲に張り出すように設けられている。燃料ガス配管87の一端は、ケーシング81の外に突き出し、図示しない燃料供給経路に接続されている。燃料ガス配管87の他端も、ケーシング81の外に突き出し、ガスタービン10の燃焼器12に接続されている。
燃料ガスは燃料ガス配管87内を流れ、その熱は燃料ガス配管87を介してプレートフィン84に伝わる。一方、伝熱管群83で冷却された圧縮空気は、シュラウド82内でプレートフィン84に接触し、このときに熱交換がなされる。これによって燃料ガスは加熱され、圧縮空気は冷却される。
このようなプレートフィン84は、伝熱管群83に対し、圧縮空気の流れ方向下流側に位置する。したがって、伝熱管群83で高圧給水と熱交換することで冷却された圧縮空気は、プレートフィン84において燃料ガスと熱交換することでさらに冷却される。
伝熱管群83、プレートフィン84を順次通過した圧縮空気は、シュラウド82の下端側において流れの向きを反転させて外側流路89に流入する。外側流路89に流入した圧縮空気は、排気ダクト82bおよび空気流路61を通じてタービン13に供給される。
【0030】
さらに、ケーシング81の内側には、シュラウド82の下端から吹き出す圧縮空気を整流するための整流板90が設けられ、ケーシング81の最下部には、ケーシング81の内部で生じた凝縮水を排出するためのドレン管92が設けられている。また、ケーシング81には、ガス漏れ検知器94が設けられている。ガス漏れ検知器94は、燃料ガスの比重に応じて上部又は下部に設けられる。
【0031】
続いて、上記のように構成されたコンバインドサイクル発電プラントの作動の仕方について説明する。
まず、主軸2を回転させてガスタービン10を駆動するとともに、復水ポンプ62を駆動して復水器60から排熱回収ボイラ30の高圧、中圧、低圧の各ドラム34,35,36に給水を開始する。
【0032】
ガスタービン10が駆動し、排熱回収ボイラ30内部を流れる空気(排ガス)の温度が上昇することにより、高圧、中圧、低圧の各ドラム34,35,36のそれぞれに併設された高圧、中圧、低圧の各蒸発器31,32,33において蒸気が発生する。
【0033】
高圧蒸発器31において発生した高圧の蒸気は、高圧ドラム34から押し出され、一次、二次の高圧過熱器43a,43bにおいて過熱された後、高圧タービン23に供給される。
中圧蒸発器32において発生した中圧の蒸気は、中圧ドラム35から押し出され、中圧過熱器41において過熱された後、高圧タービン23を経て排熱回収ボイラ30に戻された蒸気とともに一次、二次の再熱器44a,44bにおいて再加熱される。一次、二次の再熱器44a,44bにおいて再加熱された中圧の蒸気は、中圧タービン22に供給される。
低圧蒸発器33において発生した低圧の蒸気は、低圧ドラム36から押し出され、低圧過熱器40において過熱され、低圧タービン21に供給される。
【0034】
ガスタービン10が駆動されると、燃焼ガスがタービン13に対してなす仕事が主軸2の回転力として取り出される。また、高圧蒸気が高圧タービン23に供給されると、高圧蒸気が高圧タービン23に対してなす仕事が主軸2の回転力として取り出される。中圧蒸気が中圧タービン22に供給されると、中圧蒸気が中圧タービン22に対してなす仕事が主軸2の回転力として取り出される。低圧蒸気が低圧タービン21に供給されると、低圧蒸気が低圧タービン21に対してなす仕事が主軸2の回転力として取り出される。これにより、主軸2に接続された発電機1が駆動して発電が開始される。
【0035】
上記コンバインドサイクル発電プラントの定常運転時、冷却空気冷却器71においては、高圧ドラム34に供給される高圧給水と、圧縮機11から抽出された圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱することによって圧縮空気を冷却する。さらに、燃料ガス加熱器72においては、冷却空気冷却器71によって冷却された圧縮空気と燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却することによって燃料ガスを加熱する。
【0036】
一体型熱交換器80では、各伝熱管の内部を流通する高圧給水と、シュラウド82の内部を流通する圧縮空気との間で熱交換を行わせ、高圧給水を加熱することによって圧縮空気を冷却する。さらに、伝熱管群83を通り抜けた圧縮空気と、燃料ガス配管87の内部を流通する燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、圧縮空気をさらに冷却する。
【0037】
上記のコンバインドサイクル発電プラントによれば、冷却空気を、冷却空気冷却器71および燃料ガス加熱器72によって段階的に冷却することになるので、冷却空気冷却器71において高圧給水が冷却空気に対してなす仕事は、従来よりも少ない。しかも、冷却空気冷却器71および燃料ガス加熱器72の平均温度差が大きく取れるので、各熱交換器における伝熱面積が小さくて済む。その結果、冷却空気冷却器71を小型化することが可能である。
【0038】
従来のコンバインドサイクル発電プラントとの比較のために、冷却空気冷却器71および燃料ガス加熱器72におけるヒートバランスの一例を挙げると、図6に示すように、低圧節炭器37から冷却空気冷却器71に供給される高圧給水の温度は172℃、ガスタービン10の圧縮機11から冷却空気冷却器71に供給される圧縮空気の温度は465℃である。そして、熱交換後に冷却空気冷却器71から排出されて高圧ドラム34に供給される高圧給水の温度は326℃、同じく熱交換後に冷却空気冷却器71から排出される圧縮空気の温度は357℃である。
【0039】
続いて、燃料ガス加熱器72に供給される燃料ガスの温度は6.8℃、冷却空気冷却器71から排出されて燃料ガス加熱器72に供給される圧縮空気の温度は357℃である。そして、熱交換後に燃料ガス加熱器72から排出されてガスタービン10の燃焼器12に供給される燃料ガスの温度は210℃、同じく熱交換後に燃料ガス加熱器72から排出されてタービン13の冷却に供される圧縮空気の温度は200℃である。
【0040】
図7に示す従来のコンバインドサイクル発電プラントでは、燃料ガス加熱器172において、燃料ガスを加熱(6.8℃→210℃)するための熱源に中圧給水を使用し、燃料ガスと中圧給水との間で熱交換を行わせて中圧給水から熱を奪う(255℃→65℃)。その後、中圧給水は65℃で高圧ドラム134に供給され、排ガスの熱により気化されるが、燃料ガス加熱器172において冷却されることにより、中圧給水の保有する熱量が減少してしまう。そのため、排熱回収ボイラにおいては、排ガスが中圧給水に対して余計に仕事をしなければならない。すなわち、従来のコンバインドサイクル発電プラントにおいては、高圧ドラム134において中圧給水を蒸発させるために余計な熱量が必要になる。したがって、排熱回収ボイラにおいて回収し得る熱を無駄に消費してしまう。
【0041】
これに対し、本実施形態のコンバインドサイクル発電プラントでは、燃料ガス加熱器72において、燃料ガスを加熱(6.8℃→210℃)するための熱源に圧縮空気を使用し、燃料ガスと圧縮空気との間で熱交換を行わせて圧縮空気から熱を奪う(357℃→200℃)。その後、圧縮空気は200℃でタービン13に供給され、静翼や動翼の冷却媒体として使用されるのであって、排熱回収ボイラ30において回収し得る熱を消費することはない。しかも、中圧給水は、燃料ガスの熱源に使用されないので、255℃のまま高圧ドラム34に供給される。したがって、排熱回収ボイラ30における無駄な熱損失が生じないので、プラントの熱効率を高めることができる。
【0042】
また、従来のコンバインドサイクル発電プラントでは、冷却空気冷却器171において、圧縮空気から非常に多くの熱量を奪う必要があるため(465℃→200℃)、冷却空気冷却器171の伝熱面積を大きくしなければならず、結果的に冷却空気冷却器171が大型化してしまう。
【0043】
これに対し、本実施形態のコンバインドサイクル発電プラントでは、冷却空気冷却器71において、圧縮空気から従来ほど多くの熱量を奪う必要がないため(465℃→357℃)、冷却空気冷却器71の伝熱面積が小さくて済む。したがって、冷却空気冷却器71を小型化することが可能である。
【0044】
なお、本実施形態においては一軸型のコンバインドサイクル発電プラントについて説明したが、本発明は、一軸型だけでなく多軸型のコンバインドサイクル発電プラントにも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態を示す図であって、排熱回収方式を採用した一軸型のコンバインドサイクル発電プラントを示す概要図である。
【図2】本発明の実施の形態を示す図であって、上記コンバインドサイクル発電プラントに具備される一体型熱交換器の内部構造を示す概要図である。
【図3】図2中のIII−III線に沿う一体型熱交換器の縦断面図である。
【図4】図2中のIV−IV線に沿う一体型熱交換器の横断面図である。
【図5】図2中のV−V線に沿う一体型熱交換器の横断面図である。
【図6】本発明のコンバインドサイクル発電プラントに具備される冷却空気冷却器および燃料ガス加熱器におけるヒートバランスを説明するための説明図である。
【図7】従来のコンバインドサイクル発電プラントに具備される冷却空気冷却器および燃料ガス加熱器におけるヒートバランスを説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1…発電機、2…主軸、10…ガスタービン、11…圧縮機、12…燃焼器、13…タービン、20…蒸気タービン、30…排熱回収ボイラ、60…復水器、71…冷却空気冷却器(第一熱交換器、第一伝熱部)、72…燃料ガス加熱器(第二熱交換器、第二伝熱部)、80…一体型熱交換器、83…伝熱管群、84…プレートフィン、87…燃料ガス配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンの排ガスが保有する熱を利用して蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させる排熱回収ボイラを備えるコンバインドサイクル発電プラントにおいて、
前記排熱回収ボイラの節炭器から供給される高圧給水と、前記ガスタービンの圧縮機から抽出されたタービン冷却用の圧縮空気との間で熱交換を行わせ、前記高圧給水を加熱することによって前記圧縮空気を冷却する第一熱交換器と、
前記第一熱交換器において冷却された前記圧縮空気と前記ガスタービンの燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、前記圧縮空気をさらに冷却することによって前記燃料ガスを加熱する第二熱交換器とを備えることを特徴とするコンバインドサイクル発電プラント。
【請求項2】
ガスタービンの排ガスが保有する熱を利用して蒸気タービン駆動用の蒸気を発生させる排熱回収ボイラに具備される熱交換器であって、
前記排熱回収ボイラの節炭器から供給される高圧給水と、前記ガスタービンのタービン冷却用の圧縮空気との間で熱交換を行わせ、前記高圧給水を加熱することによって前記圧縮空気を冷却する第一伝熱部と、
前記第一伝熱部において冷却された前記圧縮空気と前記ガスタービンの燃料ガスとの間で熱交換を行わせ、前記圧縮空気をさらに冷却することによって前記燃料ガスを加熱する第二伝熱部とを備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
前記熱交換器の外殻を形成するケーシングと、
前記ケーシング内に配置されたシュラウドと、を有し、
前記シュラウドの内側に内側流路が形成され、前記ケーシングと前記シュラウドとの間に前記シュラウドの一端側で前記内側流路に連通する外側流路が形成され、
前記第一伝熱部が前記内側流路に配置され、前記第二伝熱部が前記第一伝熱部よりも下流側の前記内側流路に配置され、
前記タービン冷却用の圧縮空気は、前記シュラウドの他端側から前記内側流路に流入し、前記第一伝熱部および前記第二伝熱部を順次通過した後、前記シュラウドの一端側において流れの向きを反転させて前記外側流路に流入し、前記外側流路から前記ケーシングの外に排出されることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−255822(P2008−255822A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96611(P2007−96611)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】