説明

コーティングされたポリエステルフィルム

コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのための、コーティングされたポリエステル基板のフレキシビリティーを改善する方法であって、(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;および(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に有機/無機ハイブリッドコーティングを配置するステップ;を含み、ここで、該コーティングは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステルフィルムを、電子、光および光学アセンブリまたは構造体、特に、電子ディスプレイ、光起電力セルおよび半導体デバイスにおけるフレキシブル基板として、より適しているようにするための、ポリエステルフィルムの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムは、例えば、WO−A−03/022575に開示されているように、フレキシブル電子または光電子技術における製造に用いられることが知られている。ポリエステルフィルムは、フレキシブルデバイスの電子動作を駆動するために、その上に電子回路が製造され、乗せられる基板としての役割を果たす。フレキシブル基板および回路を含むコンポーネントは、しばしば、バックプレーンとして記述される。ポリエステルフィルム基板は、寸法安定性(特に、高温での);および、その上に配置される(1つまたは複数の)薄い導電層が、できるだけ欠陥を有さないための、高度の表面平滑性;を含めて、かなりの数の必要条件を満たさなければならない。導電層における欠陥の存在は、電子ディスプレイにおけるピクセル歩留まり(すなわち、視野におけるピクセル数)を減少させ、その結果、ディスプレイの品質を低下させる。基板(これは通常、多層構造を有する)は、また、その層の間の良好な接着性、さらには、その上に配置される導電層に対する良好な接着性を示さなければならない。さらに、ローラブル電子ディスプレイを含めて、新世代の電子デバイスおよびディスプレイにより、基板、および基板を含むアセンブリに対するフレキシビリティーに関する要求が高くなってきている。これらの新しい電子デバイスでは、デバイスが、曲がったまたは円柱状の表面にぴったりと沿うことができ、特に、デバイスの機能に悪影響を及ぼすことなく、可逆的にそうできる程度にフレキシビリティーを増すことが望まれる。ローラブル電子ディスプレイは、十分にフレキシブルで、それを、フラットな状態から実質的に円柱状の形に巻きあげることができ、特に、それを可逆的に巻きあげることができるディスプレイである。他の電子デバイスおよび電子ディスプレイでは、特定の角度にデバイスまたはディスプレイを曲げられることが望まれる。したがって、特定の曲率に導くことが可能なデバイスまたはディスプレイを製造することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、前記課題の1つまたは複数に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのための、コーティングされたポリエステル基板のフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;および
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に有機/無機ハイブリッドコーティングを配置するステップ
を含み、ここで、該コーティングは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる、方法を提供する。
【発明の効果】
【0005】
ポリエステル基板のフレキシビリティーを改善すること(すなわち、増すこと)によって、電子デバイスまたは電子ディスプレイのフレキシビリティーが、それによって改善され、例えば、ローラブル電子ディスプレイおよびデバイスが製造される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】下にさらに詳細に説明される、2点曲げ試験の図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に有機/無機ハイブリッドコーティングを配置するステップ;および
(c)コーティングされたポリエステルフィルムを電子デバイスの基板として供用するステップ
を含み、ここで、該コーティングは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる、方法をさらに提供する。
【0008】
本発明は、コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステル基板を、有機/無機ハイブリッドコーティング(これは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる)により、その一方または両方の表面がコーティングされたポリエステルフィルムであるように選択するステップ;および
(b)前記フィルムを電子デバイスの基板として供用するステップ
を含む、方法をさらに提供する。
【0009】
一実施形態において、有機/無機ハイブリッドコーティングは、ポリエステル基板の両面に存在する。
【0010】
本明細書では、用語「改善されたフレキシビリティー」は、本明細書において規定されるコーティング組成物によりコーティングされたポリエステル基板を表すために用いられており、この基板は、歪および/または曲げの力が加えられた時に、別のコーティング組成物によりコーティングされた基板に比べてより大きい、コーティングされた基板のコーティングの耐クラッキング性を有する。
【0011】
特に、本明細書に規定されるコーティング組成物は、本明細書に規定されるコーティング組成物によりコーティングされたポリエステル基板を、コーティングされたポリエステル基板のコーティングに最初にクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度(draw rate)で横方向に、その元の寸法の約3%以上、好ましくは約5%以上、好ましくは約8%以上、好ましくは約10%以上、好ましくは約12%以上、好ましくは約15%以上、好ましくは約20%以上、好ましくは約25%以上、引き伸ばすことができる程度まで、フレキシビリティーを改善する。
【0012】
本明細書では、用語「改善されたフレキシビリティー」は、また、本明細書に規定されるコーティング組成物および電極層によりコーティングされたポリエステル基板、または、本明細書に規定されるコーティングされたポリエステル基板および電極層を含む電子デバイスを表すために用いられており、このポリエステル基板または電子デバイスは、歪および/または曲げの力が加えられた時に、別のコーティング組成物によりコーティングされた基板に比べて、または、別のコーティング組成物によりコーティングされたポリエステル基板を含む電子デバイスに比べてより大きな、電極層の耐クラッキング性を有する。
【0013】
特に、本明細書に規定されるコーティング組成物は、本明細書に規定されるコーティング組成物および電極層によりコーティングされたポリエステル基板を、電極層の導電性材料に最初にクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度で横方向に、その元の寸法の約3%以上、好ましくは約5%以上、好ましくは約8%以上、好ましくは約10%以上、好ましくは約12%以上、好ましくは約15%以上、引き伸ばすことができる程度まで、フレキシビリティーを改善する。
【0014】
フレキシビリティーのこの改善は、基板層が、ローラブル電子デバイス(すなわち、フラットな状態から実質的に円柱状の形に巻きあげることができるデバイス)の製造に用いられようとする場合に、特に利点がある。
【0015】
コーティング組成物によりコーティングされたポリエステル基板の「臨界曲率半径」は、コーティングされたポリエステル基板が機械的健全性を維持しながら(すなわち、コーティングされた基板に最初にクラックが現れる前)変形され得る度合いの尺度を与える。したがって、「臨界曲率半径」は、コーティングされた基板のコーティングに最初にクラックが現れる前に、コーティングされたポリエステル基板のコーティングを曲げることができる最小半径である。
【0016】
同様に、コーティング組成物および電極層によりコーティングされたポリエステル基板の「臨界曲率半径」を表す場合には、それは、電極層の導電性材料に最初にクラックが現れる前に、コーティングされたポリエステル基板を曲げることができる最小半径である。
【0017】
特に、フレキシビリティーの改善は、コーティング組成物によりコーティングされたポリエステル基板が、約10mm以下、好ましくは約8mm以下、好ましくは約6mm以下、好ましくは約5mm以下、好ましくは約4mm以下、好ましくは約3mm以下、好ましくは約2.5mm以下、好ましくは約2mm以下、好ましくは約1.5mm以下、好ましくは約1mm以下、好ましくは約0.75mm以下、好ましくは約0.5mm以下の臨界曲率半径を有するごときものである。
【0018】
コーティング組成物および電極層によりコーティングされたポリエステル基板では、フレキシビリティーの改善は、コーティング組成物および電極層によりコーティングされたポリエステル基板が、約10mm以下、好ましくは約8mm以下、好ましくは約6mm以下、好ましくは約5mm以下、好ましくは約4mm以下、好ましくは約3mm以下、好ましくは約2.5mm以下、好ましくは約2mm以下、好ましくは約1.5mm以下の臨界曲率半径を有するようなものである。
【0019】
本明細書において用いられる場合、ポリエステルという用語は、その最も単純な形における、または化学的および/もしくは物理的に変性されたポリエステルホモポリマーを含む。特に、フィルム基板は、
(i)1種または複数のジオール;
(ii)1種または複数の芳香族ジカルボン酸;および
(iii)任意選択で、一般式Cn2n(COOH)2(式中、nは2から8である)の1種または複数の脂肪族ジカルボン酸
から誘導される、ポリエステルまたはコポリエステルの層を含む2軸延伸ポリマーフィルムであり、
ここで、芳香族ジカルボン酸は、(コ)ポリエステル中のジカルボン酸成分の全量に対して、約80から約100モル%の量で、(コ)ポリエステル中に存在する。コポリエステルは、ランダム、交互またはブロックコポリエステルであり得る。
【0020】
2軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、好ましくは約12から約250μm、より好ましくは約12から約150μmであり、通常は、約25〜125μmの厚さである。フィルムは自立性であり、これによって、支持基材がなくても独立して存在することが可能であることを意味する。
【0021】
ポリエステルは、前記ジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(6個の炭素原子まで)ジエステルと、1種または複数のジオールを縮合させることによって得られる。芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸から好ましくは選択され、好ましくは、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸である。ジオールは、好ましくは脂肪族および脂環式グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから、好ましくは脂肪族グリコールから選択される。好ましくは、コポリエステルは、1種だけのグリコールを、好ましくはエチレングリコールを含む。脂肪族ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸またはセバシン酸であり得る。好ましいホモポリエステルは、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはテレフタル酸とエチレングルコールとのポリエステルである。特に好ましいホモポリエステルは、ポリ(エチレンナフタラート)、特に、2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールとのポリエステルである。
【0022】
ポリエステルの生成は、通常約295℃までの温度で、縮合またはエステル交換によって、知られているやり方で都合よく実施される。例えば、好ましいPENポリエステルは、2,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、好ましくは2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその低級アルキル(6個の炭素原子まで)ジエステルと、エチレングリコールとの縮合によって合成できる。通常、重縮合は、固相重合段階を含む。固相重合は、例えば窒素により流動化される流動床で、または回転真空乾燥機を用いる真空流動床で実施され得る。適切な固相重合法は、例えば、EP−A−0419400に開示されており、この特許の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。一実施形態において、PENは、触媒残渣、望ましくない無機析出物(deposit)およびポリマー製造の他の副生成物のような汚染物質が低レベルであるポリマー材料をもたらすゲルマニウム触媒を用いて製造される。「より不純物の少ない」ポリマー組成物は、光学的透明性および表面平滑性の改善を促進する。好ましくは、PENは、0.5〜1.5、好ましくは0.7〜1.5、特に0.79〜1.0のPET相当の固有粘度(IV)を有する。0.5未満のIVは、結果的に、機械的性質のような所望の性質を欠くポリマーフィルムを生じるが、1.5を超えるIVは、達成するのが困難であり、その原材料の加工上の困難に繋がるように思われる。
【0023】
フィルムの形成は、当技術分野においてよく知られている通常の技法によって実施され得る。都合よくは、フィルムの形成は、下に記載される手順に従って、押出によって実施される。一般的に言えば、この方法は、溶融ポリマーの層を押し出すステップ、押出物を冷却するステップ、および冷却された押出物を少なくとも1つの方向に延伸させるステップを含む。
【0024】
フィルムは2軸延伸され得る。好ましくは、フィルムは2軸延伸される。延伸は、延伸フィルムを製造するために、当技術分野において知られているどのような方法(例えば、チューブラー法またはフラットフィルム法)によって実施されてもよい。2軸延伸は、機械的および物理的性質の満足すべき組合せを実現するために、フィルム面における互いに直交する2つの方向に引っ張ることによって実施される。
【0025】
チューブラー法では、同時2軸延伸が、熱可塑性ポリエステルのチューブを押し出し、次いで、チューブを冷却し、再加熱し、次に、横延伸を生じるように内部ガス圧力によって膨張させ、縦延伸を生じる速度で引くことによって実施され得る。
【0026】
好ましいフラットフィルム法では、フィルム生成ポリエステルは、スロットダイを通して押し出され、ポリエステルが確実にアモルファス状態に冷却されるように、冷却されたキャスティングドラム上で素早く冷却される。次いで、延伸が、冷却された押出物を、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で、少なくとも1つの方向に延伸することによって実施される。逐次延伸は、冷却されたフラットな押出物を、最初に1つの方向(通常は縦方向、すなわち、フィルム延伸機を通して前の方向)に、次いで、横方向に延伸することによって実施され得る。押出物の前方延伸は、都合よくは、1組の回転するロールで、または、2対のニップロールの間で実施され、次いで、横への延伸はテンター(stenter)装置において実施される。延伸は通常、延伸フィルムの寸法が、その延伸方向または延伸の各方向において、フィルムの元の寸法の2から5倍、より好ましくは2.5から4.5倍であるように、実施される。通常、延伸は、ポリエステルのTgより高い温度で、好ましくは、Tgより約15℃高い温度で実施される。1つの方向だけの延伸が必要とされる場合、より大きな延伸倍率(例えば、約8倍まで)が用いられ得る。機械および横方向に等しく延伸する必要はないが、これは、バランスの取れた性質が望まれる場合には、好ましい。
【0027】
延伸フィルムは、ポリエステルの結晶化を生じるように、ポリエステルのガラス転移温度より高いが、その融点より低い温度で、寸法を維持した状態でヒートセットすることによって、寸法的に安定化されてもよく、好ましくは寸法的に安定化される。ヒートセットの間に、「トーイン(toe−in)」として知られているやり方によって、横方向(TD)において僅かな量の寸法緩和処理が実施され得る。トーインは、2から4%程度の寸法収縮を含み得るが、加工方向または機械方向(MD)における類似の寸法緩和処理は、低いライン張力が求められ、フィルム制御および巻取りに問題が生じるので、実施するのが困難である。実際のヒートセット温度および時間は、フィルムの組成およびその最終の所望の熱収縮に応じて変わるであろうが、耐引裂き性のようなフィルムの靱性を実質的に低下させるように選択されるべきでない。これらの制約内で、約180℃から245℃のヒートセット温度が、通常、望ましい。
【0028】
フィルムはまた、オンライン緩和段階の使用を通じてさらに安定化されてもよく、実際に、さらに安定化されることが好ましい。代わりに、緩和処理は、オフラインで実施され得る。この追加のステップでは、フィルムは、MDおよびTD張力をずっと低くして、ヒートセット段階の温度より低い温度で加熱される。こうして処理されたフィルムは、このようなヒートセット後緩和なしに製造されたフィルムより小さな熱収縮を示すであろう。
【0029】
一実施形態において、2軸延伸フィルムのヒートセットおよび熱安定化は、次のように実施される。延伸ステップが完了した後、ヒートセットは、好ましくは約135℃から約250℃、より好ましくは約235〜240℃のヒートセット温度、および、通常は5から40秒、好ましくは8から30秒の範囲の加熱時間を用い、約19から約75kg/(1mのフィルム幅)、好ましくは約45から約50kg/(1mのフィルム幅)の範囲の張力でフィルムを寸法的に拘束することによって実施される。次いで、ヒートセットステップで用いられた温度より低く、約135℃から約250℃、好ましくは190から250℃、より好ましくは200から230℃、より好ましくは少なくとも215℃で、通常は215から230℃の範囲にあるように選択される温度を通常用いて、通常は10から40秒の範囲で、20から30秒の時間であることが好ましい加熱時間、フィルムの受ける張力が5kg/(1mのフィルム幅)未満、好ましくは3.5kg/(1mのフィルム幅)未満、より好ましくは1から約2.5kg/(1mのフィルム幅)の範囲で、通常は1.5から2kg/(1mのフィルム幅)の範囲にあることが好ましいような低い張力の下で、ヒートセットされたフィルムを加熱することによって、それは熱安定化される。
【0030】
ヒートセットされ、熱安定化されたフィルムは、非常に小さい残留収縮を、またその結果として高い寸法安定性を示す。好ましくは、前記フィルムは、−40℃から+100℃の温度範囲内で、40×10-6/℃未満、好ましくは30×10-6/℃未満、より好ましくは25×10-6/℃未満、より好ましくは20×10-6/℃未満の線熱膨張係数(CLTE)を示す。好ましくは、フィルムは、本明細書に規定されるように測定して、230℃、30分で、1%未満、好ましくは0.75%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.25%未満、より好ましくは0.1%未満の収縮を有する。好ましくは、フィルムは、フィルムを8℃から200℃まで加熱し、次いで、8℃まで冷却する前後に、25℃で測定して、元の寸法の0.75%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.25%未満、より好ましくは0.1%未満の残留寸法変化(ΔLr)を有する。特に好ましい実施形態において、基板は、前記の230℃、30分での収縮特性を有し、また前記残留寸法変化(ΔLr)特性を好ましくは有するポリ(エチレンナフタラート)を含む、ヒートセットされ熱安定化された2軸延伸フィルムである。これらの寸法安定特性は、コーティングされていない、ヒートセットされ熱安定化された2軸延伸ポリエステルフィルムに当てはまることが理解されるであろう。
【0031】
フィルムは、都合よくは、ポリエステルフィルムの製造に通常用いられるどのような添加剤も含み得る。こうして、架橋剤、顔料および空孔形成剤(voiding agent)のような作用剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、UV吸収剤、熱安定剤、難燃剤および燃焼抑制剤のような作用剤(これらは、固体である、またはポリエステルに共有結合している)、ならびに最後に、蛍光増白剤、光沢向上剤、プロデグラダント(prodegradent)、粘度調整剤および分散安定剤のような作用剤が、適宜、組み込まれ得る。特に、フィルムは、製造の間の取扱いおよび巻取り易さを向上させ得る粒子状フィラーを含み得る。粒子状フィラーは、例えば、粒子状無機フィラー(例えば、空孔形成もしくは空孔非形成の金属または半金属酸化物、例えば、アルミナ、シリカおよびチタニア、か焼チャイナクレイ、ならびにアルカリ金属塩、例えば、カルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩)、または非相溶性樹脂フィラー(例えば、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、特に、その分子に6個までの炭素原子を含むモノ−α−オレフィンのホモ−もしくはコポリマー)、あるいはこのようなフィラーの2種以上の混合物であり得る。
【0032】
1つの層の組成物の成分は、通常のやり方で一緒に混合され得る。例えば、モノマー反応物(これらからフィルム形成ポリエステルが誘導される)と混合することによって、あるいは、成分は、回転もしくはドライブレンドによって、または、押出機において混練し、その後、冷却し、通常、顆粒もしくはチップへと粉末化することによって、ポリエステルと混合され得る。また、マスターバッチ技術を用いてもよい。
【0033】
好ましい実施形態において、フィルムは、光学的に透明であり、標準ASTM D 1003に従って測定して、<10%、好ましくは<6%、より好ましくは<3.5%、特に<1.5%の散乱可視光(ヘイズ)%を好ましくは有する。この実施形態では、フィラーは通常、少量でのみ(通常、所与の層の0.5質量%を超えず、好ましくは0.2質量%未満)存在する。
【0034】
本明細書において上で言及されたように、ポリエステルフィルムの一方または両方の表面は、低分子量反応性成分および/または不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、光化開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる有機/無機ハイブリッドコーティングをその上に配置している。有機/無機ハイブリッドコーティング層は、基板フィルム(この未処理表面の粗さは、その組成物中に存在する無機フィラー粒子の関数として変化し得る)に平坦化された平らな表面をもたらす。有機/無機ハイブリッドコーティング層は、また、例えばTaber摩耗機試験(ASTM方法D−1044)によって評価した場合に、好ましくは、フィルムにある程度の機械的保護をもたらす。通常、Taber摩耗試験は、標準的処理条件の下でフィルムのヘイズが40〜50%だけ増加することが認められるような、制御された損傷(controlled damage)を、保護されていないフィルムの表面に生じる。有機/無機ハイブリッドコーティングは、類似の条件の下でフィルム表面の劣化を食い止め、結果的に、測定される材料のヘイズの増加は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下となる。
【0035】
本明細書に記載の有機/無機ハイブリッドコーティングは、有機ポリマーマトリックス全体に渡って分布する無機粒子を含む。このポリマーマトリックスは、(i)低分子量反応性成分(例えば、モノマーアクリラート);および/または(ii)不飽和オリゴマー成分(例えば、アクリラート、ウレタンアクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートまたはポリエステルアクリラート);(iii)溶媒を、また(iv)光開始剤を任意選択で含むコーティング組成物から得られる。本明細書において用いられる場合、用語「低分子量」は、重合性モノマー化学種を示す。用語「反応性」は、モノマー化学種の重合性を示す。コーティングは、熱的にか、または光分解経路によって開始されるフリーラジカル反応によるかのいずれかで硬化され、光開始剤の存在は任意選択である。
【0036】
無機相は通常、シリカまたは金属酸化物粒子であり、これらは、かなりの数の方策によって、重合性有機マトリックス中に分散させることができる。一実施形態において、無機粒子はシリカ粒子である。無機粒子は、好ましくは、0.005から3μm;一実施形態では、少なくとも0.01μm;また一実施形態では、1μmを超えない、平均粒子直径を有する。無機粒子は、基板の光学的性質に実質的に影響を及ぼさない。一実施形態において、無機粒子は、コーティング組成物の固形成分の約5質量%から約60質量%、好ましくは、硬化したコーティング層の約5質量%から約60質量%の量で存在する。
【0037】
一実施形態において、有機/無機ハイブリッドコーティング組成物は、UV硬化性であり、溶媒(例えば、メチルエチルケトン)中に、無機(好ましくは、シリカ)粒子との組合せでモノマーアクリラート(通常、多官能性アクリラート)を含み、通常、ここで、コーティング組成物は、アクリラートおよびシリカを、コーティング組成物の全質量の5から50wt%の固形分として含み、通常、僅かな量(例えば、固形分の約1質量%)の光開始剤をさらに含む。多官能性モノマーアクリラートは、当技術分野において知られており、例には、ジペンタエリトリトールテトラアクリラートおよびトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアナートが含まれる。
【0038】
好ましくは、コーティング組成物は、少なくとも2種の異なる多官能性モノマーアクリラートを含む。
【0039】
コーティング組成物は、連続コーティング、さらにはディップコーティング法を含めて、通常のコーティング技法を用いて付けることができる。コーティングは通常、約1から約20μm、好ましくは約2から10μm、特に約3から約10μmの乾燥厚さに付けられる。コーティング組成物は、フィルム製造とは区別される処理ステップとしての「オフライン」か、またはフィルム製造過程の延長としての「インライン」のいずれかで付けることができる。コーティング組成物は、基板に付けられた後、約20から約200℃、好ましくは約20から約150℃の温度で硬化され得る。20℃の雰囲気温度では、数日の硬化時間が必要であるが、150℃の高温では、数秒でコーティングは硬化するであろう。
【0040】
むきだしのフィルム表面には、望まれる場合、その表面と後に付けられる層との間の接合を向上させるために、化学的または物理的表面改質処理が行われてもよい。好ましい処理は、その簡単さと効果のために、むきだしのフィルム表面を、コロナ放電を伴う高電圧の電気的ストレスに曝すことである。コロナ放電による好ましい処理は、高周波の高電圧発生器(好ましくは、1から100kVの電位で、1から20kWの出力電力を有する)を用いる通常の装置により、空気中で、大気圧で実施され得る。放電は通常、フィルムを、好ましくは1.0から500m/分の線速度で、放電ステーションの絶縁性支持ロールの上を通すことによって実施される。放電電極は、動いているフィルム表面から、0.1から10.0mmに位置し得る。
【0041】
好ましい実施形態において、ポリエステルフィルムベースは、有機/無機ハイブリッドコーティングを付けられる前に、前記コーティング組成物への基板の接着性を向上させるために、プライマー層により、その一方または両方の表面にコーティングされる。プライマー層は、ポリエステルおよびアクリル樹脂を含めて、当技術分野において知られている適切な任意の接着促進性ポリマー組成物であり得る。プライマー組成物は、また、ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の混合物でもあり得る。アクリル樹脂は、オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を任意選択で含んでいてもよい。プライマー組成物の(1種または複数の)ポリマーは、好ましくは、水溶性または水分散性である。
【0042】
ポリエステルのプライマー成分には、次のジカルボン酸とジオールから得られるものが含まれる。適切な二酸には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、フタル酸無水物、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ダイマー酸、および、5−スルホイソフタル酸ナトリウムが含まれる。2種以上のジカルボン酸成分を用いるコポリエステルが好ましい。ポリエステルは、僅かな量の不飽和二酸成分(例えば、マレイン酸もしくはイタコン酸)、または、少量のヒドロキシカルボン酸成分(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸)を任意選択で含んでいてもよい。適切なジオールには、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメチロール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、およびポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールが含まれる。ポリエステルのガラス転移点は、好ましくは40から100℃、さらに好ましくは60から80℃である。適切なポリエステルには、PETまたはPENと、比較的僅かな量の1種または複数の別のジカルボン酸コモノマー、特に、芳香族二酸(例えば、イソフタル酸およびスルホイソフタル酸ナトリウム)と、任意選択で、エチレングリコール以外の比較的僅かな量の1種または複数のグリコール(例えば、ジエチレングリコール)とのコポリエステルが含まれる。
【0043】
一実施形態において、プライマー層は、アクリラートまたはメタクリラートポリマー樹脂を含む。このアクリル樹脂は、1種または複数の他のコモノマーを含んでいてもよい。適切なコモノマーには、アルキルアクリラート、アルキルメタクリラート(ここで、アルキル基は、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシルまたは同類のものである);ヒドロキシ含有モノマー、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリラート、2−ヒドロキシエチルメタクリラート、2−ヒドロキシプロピルアクリラート、および2−ヒドロキシプロピルメタクリラート;エポキシ基含有モノマー、例えば、グリシジルアクリラート、グリシジルメタクリラート、およびアリルグリシジルエーテル;カルボキシル基またはその塩含有モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第4級アミン塩または同類のもの);アミド基含有モノマー、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリラート(ここで、アルキル基は、前記のものから好ましくは選択される)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、イソブトキシまたは同類のものである)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、およびN−フェニルメタクリルアミド;酸無水物、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸;ビニルイソシアナート、アリルイソシアナート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、モノアルキルマレアート、モノアルキルフマラート、モノアルキルイタコナート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、ビニルアセタート、およびブタジエンが含まれる。好ましい実施形態において、アクリル樹脂は、オキサゾリン基、ポリアルキレンオキシド鎖を含む1種または複数のモノマーと共重合される。オキサゾリン基含有モノマーには、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、および2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンが含まれる。1種または複数のコモノマーが用いられ得る。2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好ましい。ポリアルキレンオキシド鎖含有モノマーには、ポリアルキレンオキシドをアクリル酸またはメタクリル酸のエステル部分に付加することによって得られるモノマーが含まれる。ポリアルキレンオキシド鎖には、ポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、およびポリブチレンオキシドが含まれる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰返し単位は3から100個であることが好ましい。
【0044】
プライマー組成物が、ポリエステルとアクリル成分(特に、オキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を含むアクリル樹脂)との混合物を含む場合、ポリエステルの含量は、5から95質量%、好ましくは50から90質量%であり、アクリル樹脂の含量は、5から90質量%、好ましくは10から50質量%であることが好ましい。
【0045】
他の適切なアクリル樹脂には、以下が含まれる:
(i)(a)35から40モル%のアルキルアクリラート、(b)35から40%のアルキルメタクリラート、(c)遊離カルボキシル基を含む10から15モル%のコモノマー(例えば、イタコン酸)、ならびに(d)10から20モル%の芳香族スルホン酸および/またはその塩(例えば、p−スチレンスルホン酸)のコポリマー、この例は、EP−A−0429179(この開示は参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されている、エチルアクリラート/メチルメタクリレート/イタコン酸/(p−スチレンスルホン酸および/またはこの塩)を、37.5/37.5/10/15モル%の比で含むコポリマーである;
(ii)アクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂、この例は、EP−A−0408197(この開示は参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されている、約35から60モル%のエチルアクリラート、約30から55モル%のメチルメタクリラート、および2から20モル%のメタクリルアミドを含むポリマーである。
【0046】
プライマーまたは接着層は、また、基板への接着性を向上させ、内部架橋もまた可能であるべきである架橋剤も含み得る。適切な架橋剤には、メラミンとホルムアルデヒドとの縮合生成物(任意選択でアルコキシ化されている)が含まれる。プライマーまたは接着層は、また、架橋剤の架橋を容易にするために、架橋触媒、例えば、硫酸アンモニウムも含み得る。他の適切な架橋剤および触媒は、EP−A−0429179に開示されており、この開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0047】
適切なさらなるプライマーは、US−3,443,950に開示されており、この開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0048】
基板へのプライマー層のコーティングは、インラインまたはオフラインで実施され得るが、「インライン」で、好ましくは2軸延伸工程の前方延伸と横延伸との間で、好ましくは実施される。
【0049】
コーティングされたフィルムは、標準ASTM D 1003に従って測定して、<10%、好ましくは<6%、より好ましくは<3.5%、特に<1.5%の散乱可視光(ヘイズ)%を好ましくは有する。
【0050】
本発明の一実施形態において、コーティングされたフィルムは、本明細書に記載されるように測定して、0.7nm未満、好ましくは0.6nm未満、好ましくは0.5nm未満、好ましくは0.4nm未満、好ましくは0.3nm未満、理想的には0.25nm未満のRa値、および/または、本明細書に記載されるように測定して、0.9nm未満、好ましくは0.8nm未満、好ましくは0.75nm未満、好ましくは0.65nm未満、好ましくは0.6nm未満、好ましくは0.50nm未満、好ましくは0.45nm以下、好ましくは0.35nm未満、理想的には0.3nm未満のRq値を有する表面を示す。
【0051】
本発明のさらなる態様によれば、
(i)2軸延伸ポリエステル基板;
(ii)ポリエステル基板の一方または両方の表面にコーティングされたプライマー層;
(iii)プライマーがコーティングされた前記ポリエステル基板の一方または両方の表面に、有機/無機ハイブリッドコーティング(モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られ、ここで、該無機粒子は、約0.005から約3μmの平均粒子直径を有する);および
(iv)任意選択で、コーティングされた基板の表面に、導電性材料を含む電極層
を含む、複合フィルムが提供される。
【0052】
コーティングされたポリエステルフィルムは、電子、光および光学アセンブリまたは構造体、好ましくは、電子ディスプレイデバイス、光起電力セル、センサーおよび半導体デバイスを含めて、フレキシブル電子デバイスのための基板として、またそれらの製造における、特に、上で言及されたバックプレーンの製造における、より特別には、ローラブル電子ディスプレイにおける基板として適している。一実施形態において、用語「電子デバイス」は、本明細書において用いられる場合、不可欠の特徴として、ポリエステル基板および電子回路を少なくとも含むデバイスを表す。電子および光電子デバイスは導電性ポリマーを含み得る。好ましくは、デバイスは、電子ディスプレイデバイス(例えば、エレクトロルミネセンス(EL)デバイス(特に、有機発光ディスプレイ(OLED))が含まれる);光起電力セルまたは半導体デバイス(例えば、有機電界効果トランジスタ、薄膜トランジスタおよび広く集積回路)である。一実施形態において、用語「エレクトロルミネセンスディスプレイデバイス」、特に、用語「有機発光ディスプレイ(OLED)デバイス」は、本明細書で用いられる場合、2つの層(これらのそれぞれは電極を含む)の間に配置された発光エレクトロルミネセンス材料(特に、導電性ポリマー材料)の層を含み、得られる複合構造体が2つの基板(または支持体または被覆)層の間に配置されているディスプレイデバイスを表す。一実施形態において、用語「光起電力セル」は、本明細書で用いられる場合、2つの層(これらのそれぞれは電極を含む)の間に配置された導電性ポリマー材料の層を含み、得られる複合構造体が2つの基板(または支持体または被覆)層の間に配置されているデバイスを表す。一実施形態において、用語「トランジスタ」は、本明細書で用いられる場合、少なくとも1つの導電性ポリマー層、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極、ならびに1つまたは複数の基板層を含むデバイスを表す。こうして、一実施形態において、本明細書において上で言及された方法および使用法は、本明細書において上で記載されたコーティングされた基板上に、当技術分野において知られている通常の製造技法に従って、電極層を配置するステップを含み、本明細書において上で言及された複合フィルムは、コーティングされた基板上に電極層(任意選択で、透明または透光性の)をさらに含む。電極層は、約5から約200nm、好ましくは約10から約100nm、好ましくは約15から約50nm、特に約20から約30nmの範囲の厚さを有し得る。電極層は、当技術分野において知られている適切な導電性材料(例えば、金、または当技術分野において知られているように他の金属により任意選択でドーピングされた、導電性金属酸化物(例えば、酸化インジウムスズ))の層、またはそのパターン化された層であり得る。電極層に適する他の材料は、当業者によく知られており、それらには、例えば、銀、アルミニウム、白金、パラジウム、ニッケルが含まれる。好ましい実施形態において、電極層は金を含む。一実施形態において、結合層(tie layer)が、電極層を付着させる前に、本明細書において上で言及されたコーティングされたフィルム上に付着される。このような結合層は、通常、従来の技法によって、コーティングされたフィルムの表面上に付着された金属層を含み、ここで、この金属層は電極層の導電性材料とは異なる。例えば、電極層が金である場合、結合層は金属チタンの層であり得る。
【0053】
さらなる実施形態において、明細書において上で記載された複合フィルムは、水蒸気および/または酸素透過に対するバリア性を、特に、水蒸気透過率が10-6g/m2/日未満であり、酸素透過率が10-5/mL/m2/日未満であるようなバリア性を示す層をさらに含んでいてもよく、この層は、通常、電極層を付ける前に付けられる。このようなバリア層は、有機または無機(好ましくは、無機)であってよく、通常、真空蒸着またはスパッタリング法によって付けられる。バリア層を形成するために用いられるのに適する材料は、例えば、US−6,198,217およびWO−A−03/087247に開示されており、これらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、ポリエステル基板、および導電性材料を含む電極層を含み、該ポリエステル基板の一方または両方の表面に、有機/無機ハイブリッドコーティング(モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られ、ここで、該無機粒子は、約0.005から約3μmの平均粒子直径を有する)をさらに含む、フレキシブル電子デバイスが提供される。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、コーティングされたポリエステル基板層と導電性材料を含む電極層とを含むローラブル電子ディスプレイの製造方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;および
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面にコーティングを配置するステップ(該コーティングは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤を任意選択でさらに含むコーティング組成物から得られる有機/無機ハイブリッドコーティングであることに特徴がある);
(c)コーティングされた前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に、導電性材料を含む電極層を配置するステップ
を含み、
コーティングされた前記ポリエステル基板層および電極層を含む複合構造体を、60mm/minの引張り速度で横方向に、電極層の導電性材料に最初のクラックが現れる前に、その元の寸法の3%以上、引き伸ばすことができること、および/または、コーティングされたポリエステル基板層および電極層を含む複合構造体が約10mm以下の臨界曲率半径を有することにさらに特徴がある、方法が提供される。
【0056】
図1に示されるように、2点曲げ試験において、評価される試験体(1)は、2つの平行な圧板(2)の間で変形される。圧板(2)は距離(3)だけ離れており、この距離は、試験体の変形が円の弧で近似される場合、2×臨界曲率半径であると見なされる。
【0057】
特性測定
以下の分析を、本明細書に記載のフィルムの特性評価をするために用いた。
(i)熱収縮は、フィルムの機械および横方向に関して指定された方向に切断し、また目視測定のために印を付けた200mm×10mmの寸法のフィルム試料で評価した。試料の長い方の寸法(すなわち、200mmの寸法)は、収縮が試験されているフィルム方向に対応する、すなわち、機械方向の収縮の評価では、試験試料の200mmの寸法が、フィルムの機械方向に沿う方向にある。予め決められた温度に試験体を加熱し(その温度に加熱されたオーブン中に置くことによって)、30分間保った後、それを、室温まで冷却し、その寸法を手で再び測った。熱収縮を計算し、元の長さのパーセンテージとして表した。
【0058】
(ii)本質的に透明である、すなわち、それを不透明にすると思われる添加剤、顔料、空孔または他のものを十分に低レベルで含むフィルム試料では、フィルムの透明性を評価した。これは、フィルムの全厚を通しての全光線透過率(TLT)およびヘイズ(散乱透過可視光%)を、ASTM D 1003−61に従って、Gardner XL 211ヘイズメータを用いて測定することによって実施した。
【0059】
(iii)寸法安定性は、(a)線膨張係数(CLTE)、または(b)温度サイクル法(この方法では、フィルムを所与の温度に加熱し、次いで、フィルムを冷却した後で、所与の軸に沿った長さの残留変化が測定される)のいずれかによって評価され得る。
【0060】
どちらの測定方法も、温度、変位、力、固有変形(eigendeformation)、ベースラインおよび炉の温度調節についての知られている手順に従って校正され点検された、熱機械分析装置PE−TMA−7(Perkin Elmer)を用いて実施した。フィルムは、伸張(extension)分析クランプを用いて調べた。伸張クランプに必要なベースラインは、非常に小さい膨張係数の試験体(石英)を用いて得て、CLTEの精度および確度(スキャン後に、ベースラインを引き去ることに依存する)は、標準物質(例えば、純粋なアルミニウム箔、これのCLTE値はよく知られている)を用いて評価した。試験体(元のフィルム試料内の既知の延伸軸から選択される)を、約12mmのクランプ間隔を用い、装置に装着し、5mm幅に渡って75mNの力を加えた。加えられる力は、フィルムの厚さの変化に対して(すなわち、一定の張力を保証するように)調節し、フィルムは、分析の軸に沿って曲がっていなかった。試験体の長さは、23℃の温度で測った長さに対して規格化した。
【0061】
CLTE試験法(a)において、試験体は、8℃に冷却し、安定化させ、次いで、5℃/minで、8℃から+240℃まで加熱した。CLTE値(α)は、次の式から導いた。
α=ΔL/(Lx(T2−T1))
ここで、ΔLは、温度範囲(T2−T1)に渡る、試験体の長さの測定された変化であり、Lは、23℃での試験体の元の長さである。CLTE値は、Tgの温度まで信頼できると考えられる。
【0062】
データは、温度による、試験体の長さの変化%(23℃に規格化した)の関数としてプロットできる。
【0063】
温度サイクル試験法(b)では、方法(a)のものに似た手順を用いたが、この場合、温度は8℃といくつかの高温との間で循環させた。このように、フィルム試料は、8℃から140℃、160℃、180℃または200℃に加熱し、次いで8℃に冷却した。この加熱処理の前後で、横および機械方向のそれぞれに沿った長さを、25℃で測定し、長さの変化ΔLrを元の長さのパーセンテージとして計算した。
【0064】
(iv)固有粘度(IV)
IVは、次の手順を用い、溶融粘度測定によって求めた。既知の温度および圧力で、校正したダイを通る、予め乾燥した押出物の流量を、コンピュータに接続したトランスデューサによって測定する。コンピュータプログラムは、実験的に求められた回帰式から溶融粘度の値(log10(粘度))および相当するVIを計算する。時間(分)に対するIVのプロットがコンピュータによって作られ、分解速度が計算される。時間ゼロへのグラフの外挿は、初期のIVおよび相当する溶融粘度を与える。ダイのオリフィスの直径は0.020インチであり、IVが0.80までは284℃、IV>0.80では295℃の温度を用いる。
【0065】
(v)酸素透過率は、ASTM D3985を用い、測定する。
【0066】
(vi)水蒸気透過率は、ASTM F1249を用い、測定する。
【0067】
(vii)表面平滑性
表面平滑性は、波長604nmの光源を用いるWyko NT3300表面形状測定装置(surface profiler)を用い、通常の非接触白色光位相シフト干渉法(これは、当技術分野においてよく知られている)を用いて測定する。WYCO表面形状測定装置の技術参照マニュアル(Veeco Process Metrology、アリゾナ州、米国;6月、1998年;この開示は参照によって本明細書に組み込まれる)を参照すると、この技法を用いて得ることができる特性データには以下が含まれる。
平均パラメータ−平均粗さ(Roughness Average)(Ra):評価領域内で平均表面から測定される、測定高さ偏差の絶対値の算術平均。
平均パラメータ−2乗平均粗さ(Root Mean Square Roughness)(Rq):評価領域内で平均表面から測定される、測定高さ偏差の2乗平均平方根。
極値パラメータ−表面形状最高ピーク高さ(Maximum Profile Peak Height)(Rp):平均表面から測定される、評価領域における最高ピーク高さ。
平均極値パラメータ−表面形状最高ピーク高さ平均(Average Maximum Profile Peak Height)(Rpm):評価領域内の10個の最も高いピークの算術平均値。
極値ピーク高さ分布(Extreme Peak Height Distribution):200nmを超える高さのRp値の数分布。
表面積指数:表面の相対的平坦さの尺度。
【0068】
粗さパラメータおよびピーク高さは、通常の技法に従って、試料表面領域の平均レベル、または「平均表面」に対して測定される(ポリマーフィルム表面は完全に平らではないことがあり、しばしば、その表面になだらかなうねりを有する。平均表面は、うねりおよび表面高さの変動を貫いて中央を通り、平均表面の上および下に等しい容積があるように表面凹凸を分割する平面である)。
【0069】
表面形状分析は、表面形状測定装置の「視野」内の、フィルム表面の区切られた部分を走査することによって実施され、視野は1回の測定で走査される領域である。フィルム試料は、区切られた1つの視野を用いて、または、列を成す一連の視野を走査することによって、分析され得る。本明細書において実施される分析は、Wyko NT3300表面形状測定装置の最大解像度(この場合、各視野は480×736ピクセルを含む)を用いた。
【0070】
RaおよびRqの測定では、50倍の倍率を有する対物レンズを用いて、解像度を向上させた。得られた視野は、90μm×120μmの寸法を有し、ピクセルの大きさは0.163μmである。
【0071】
RpおよびPpmの測定では、5倍の全倍率を得るために、10倍の倍率を有する対物レンズを「0.5倍視野倍率器」と組み合わせて用い、視野を都合よく拡大した。得られた視野は、0.9mm×1.2mmの寸法を有し、ピクセルの大きさは1.63μmである。好ましくは、Rpは100nm未満、より好ましくは60nm未満、より好ましくは50nm未満、より好ましくは40nm未満、より好ましくは30nm未満、より好ましくは20nm未満である。
【0072】
本明細書におけるRaおよびRqの測定では、表面領域の同じ部分に渡る5回の一連の走査の結果を、平均値を得るために、一緒にする。下に記されるRpに関するデータは、100回の測定の平均値である。測定は、10%の変調閾値(modulation threshold)(信号:ノイズの比)を用い、実施した、すなわち、閾値に満たないデータ点は悪いデータと認定される。
【0073】
200nmを超える高さを有する極値ピークの存在について、表面トポグラフィーもまた分析され得る。この分析では、Rpの一連の測定が、5cm2の全領域に渡り、1.63μmのピクセルの大きさで行われる。結果は、データ点が、ピーク高さの予め決められた範囲に割り当てられる、ヒストグラムの形で表すことができ、例えば、この場合、ヒストグラムは、x軸に沿って等間隔の、チャネル幅25nmのチャネルを有する。ヒストグラムは、ピークカウント(y軸)vs.ピーク高さ(x軸)のグラフの形に表すことができる。Rpの値から求めた、5cm2の領域当たりの300から600nmの範囲の表面ピーク数が計算でき、N(300〜600)として示される。本発明において用いられるコーティングにより、減少F(これは、コーティングがない場合とある場合のN(300〜600)の比である)が、少なくとも5、好ましくは少なくとも15、より好ましくは少なくとも30であるごとく、アニーリングされたフィルムにおけるN(300〜600)が、好ましくは、減少する結果となる。好ましくは、コーティングされ、次いでアニーリングされたフィルムのN(300〜600)の値は、5cm2の領域当たり、50個未満、好ましくは35個未満、好ましくは20個未満、好ましくは10個未満、好ましくは5個未満である。
【0074】
表面積指数は、「3次元表面積」および「側表面積(lateral surface area)」から次の様に計算される。ある試料領域の「3次元(3−D)表面積」は、ピークおよび谷を含む、露出した全3−D表面積である。「側表面積」は、側方向に測った表面積である。3−D表面積を計算するために、表面高さを有する4つのピクセルが用いられて、X、YおよびZの寸法を有する、中央に位置する1つのピクセルを生成する。次いで、得られる4つの三角柱部分が、近似的な立体の容積を生じるように用いられる。この4−ピクセルウィンドウは、全データセットを通して動く。側表面積は、視野におけるピクセルの数に、各ピクセルのXYの大きさを掛けることによって計算される。表面積指数は、3−D表面積を側表面積で割ることによって計算され、表面の相対的な平坦さの尺度である。1に非常に近い指数は、非常に平らな表面を表し、この場合、側(XY)面積は、全3−D(XYZ)面積に非常に近い。
【0075】
ピークツーバレー(Peak−to−Valley)値(本明細書では、「PV95」と呼ばれる)は、平均表面を基準にした表面高さの関数としての、正および負の表面高さの頻度分布から得ることができる。PV95の値は、最高および最低の2.5%のデータ点を削除することによる分布曲線における、ピークツーバレー表面高さデータの95%を跨ぐ、ピークツーバレー高さの差である。PV95パラメータは、表面高さのピークツーバレーの全体としての広がりの統計的に重要な尺度を提供する。
【0076】
(viii)張力下の破損
フィルム試料を、長さ100mm(機械方向(MD))で、幅10mm(横方向(TD))であるストリップに切断する。Instron装置を用い、試料を、60mm/minの引張り速度で、試料の元の寸法の、使用者が決めるパーセンテージ(歪%)だけ、機械方向に引き伸ばす。クランプの間の開始時の長さは80mmである。次いで、得られる試料は、Leica DM RX顕微鏡を用い、反射顕微鏡検査(平坦化されたフィルムの場合)、および微分干渉コントラスト顕微鏡検査(平坦化され導電性コーティングされたフィルム、すなわち、例示の金コーティングフィルムの場合)によって、コーティングにおけるクラックについて検査する。1cm×1cmの領域内におけるクラックの数を、2.5倍の倍率の下で数える。TDにおける1cmの長さの少なくとも半分に渡るクラックは、部分的クラックの事例として数える。この手順により、臨界歪を求めることができ、これは、分析されているコーティング層(すなわち、複合フィルムの表面が、すぐ上に記載されたように分析される時に、複合フィルムの一番上にあるコーティング)に最初のクラックが現れる前に示される最大歪として定義される。
【0077】
(ix)曲げの下での破損
フレキシブル電子デバイスでは、ラミネートスタックが受ける変形の通常の形は、「曲げ」である。スタックの厚さは、非常に薄いラメラ(それぞれは、試料の全領域に渡って広がる)に小分割されると想像することができる。ラメラは、曲げによって生じる弧に沿って、それらが外側表面近くにある場合には長さが増加し、それらが内側表面近くにある場合には長さが減少する。各ラメラの歪は、長さが増す場合に正とされ、長さの増加を元の長さで割ったものと定義される。同様に、歪は、長さが減少する場合に負とされ、長さの減少を元の長さで割ったものと定義される。したがって、曲げは、外側表面に近いラメラでは弧の方向に正の歪を、内側表面に近いラメラでは負の歪を生じ、歪は2つの表面の間で連続的に線形に変化する。このセクション(ix)、および次の分析は、歪を単なる比率として定義するが、このパラメータは、また、パーセンテージでの比率として表され得ることが認められるであろう(歪パーセンテージは、言うまでもなく、比率としての歪を100倍することによって簡単に得られる)。この明細書では、関連する背景により、どちらの定義が用いられているか明らかになるであろう。セクション(viii)および実施例では、歪は、パーセンテージによる量として記述または報告されている。
【0078】
曲げられたラミネートスタックの曲げの方向に沿う1つの位置での小さな長さに対する形状は、円柱の一部に近く、その半径は「曲率半径」と呼ばれる。試験実験の任意の瞬間に、曲率半径は、試料の全長に沿う位置により変わり得る、また、ある特定の位置で、「最小曲率半径」と呼ばれる最小値を有する。対応して、歪は、長さに沿う位置によって、さらには厚さ方向で変わるであろう。試験が進むにつれて、最小曲率半径は益々小さくなり、その位置での歪の大きさは益々大きくなるであろう。ラミネートスタックは、最小半径が、「臨界曲率半径」と呼ばれる特定の値に達した時に、その試験において破損するであろう。破損のメカニズムがクラック発生による場合、その臨界曲率半径は、最初のクラックが現れる前の、測定される最小曲率半径として定義される。その臨界値に達した曲率半径は、上の(viii)において決定される、張力での臨界歪に達した、1つの層における歪に対応する。通常、破損する層は、曲げられる試料の外側表面の隣に位置し、そのため、最大の正のまたは引張り歪を受ける。外側の層における曲率半径と歪の間の、したがって、それらの臨界値の間の数学的関係を作り上げるために、弾性理論を用いることができる。
【0079】
板のような材料に対して十分に確立された試験は、図1に示される2点曲げ試験であり、この試験では、試験体は、2つの平行圧板の間で変形される。この試験の通常の近似的分析では、圧板の間の試験体の変形は、円弧であると仮定され、圧板の間の間隔は曲率半径の2倍と見なされる(「Preparation and Characterization of Graphene oxide Paper」、D. A. Dikin他、Nature 448、457頁(2007年))。
【0080】
しかし、臨界曲率半径を求めるこのような実験的手法は、実際には、実施するのが困難であり、しばしば、信頼できない結果につながる。例えば、フィルムは、それが変形される時に、圧板で滑ることがあり、また、この非平面的構成においてクラックの開始を探知することは困難であると分かった。さらに、より正確な分析は、変形したフィルムは、円弧の形状からかなり逸脱していることを示す。本発明において、張力の下で観察される臨界歪から試料の臨界曲率半径を計算することが、より好都合であることが分かった。
【0081】
臨界曲率の計算は次の様に進められる。シートが曲がり、円柱の一部になる。外周の周りの各位置で、デカルト軸が定義され、x軸は、外周(曲がっている)方向に対する接線にある。円柱の軸に平行には曲率がなく(これは、端部に近い無視できるほどの小さい部分(これらはこの分析では無視される)を除いて、この方向における、試料のほとんど全ての広がりについて正しい)、その方向がy軸を定める。z軸は、シートに直交し、z=0は内側表面にある。内側表面から距離zにある想像上の薄いラメラにおける歪の成分は、次の式で表される。
【数1】

【0082】
歪の成分は、曲げの方向においてεx、曲げの方向および厚さの両方に直交する方向においてεyである。全厚はTであり、中央の面(z=T/2)のラメラは、曲率半径Rに曲げられている。付加的な歪、
【数2】

が、厚さを通して均一にかかっている:それらの大きさは、平均応力ゼロの条件を保つという必要条件から、後に求められる。これらの表現は、曲率半径Rがスタックの厚さTよりずっと大きい、実際的な場合について正しい。
【0083】
それぞれの層(添え字iを有する)は、曲げる前はラミネートスタックにおいて歪がなく、線形弾性的で等方性であると仮定されており、ヤング率Eiおよびポアソン比νiを有する。曲げている間に、各ラメラは、xおよびy方向に、それぞれ、
【数3】

の成分を有する応力を生成する。応力の成分は、ラメラにおいて特定の方向に作用する内力を、その方向に垂直な横断面積で割ったものである。小さい歪の弾性理論によれば、応力および歪は、材料層iにおける各ラメラについて、次の式によって関係づけられる。
【数4】

【0084】
式1および2を、層番号iにおける位置zで応力σについて解くと、次の式が得られる。
【数5】

【0085】
ほとんどの曲げ試験において、ラミネートは、末端または端部で如何なる張力または圧縮力も受けない。したがって、厚さ全体の各応力成分の平均はゼロである。この平均は、厚さ全体の全てのラメラについて、応力成分の値を合計するすることによって与えられる。これは、ゼロとラメラの厚さTとの間のzの値に渡る、式(3)の数学的積分、すなわち、
【数6】

に等しい。計算法の標準的方法を用いて、スタックにおける各層の積分への寄与を求めることができ、次いで、全ての寄与が合計される。これは、結果として、付加的な歪、
【数7】

と、曲率半径Rとを関連付ける、2つの連立1次方程式(物質パラメータCi、各層の厚さおよび内側表面からの距離を含む和によって与えられる係数を有する)を与える。これらは、やはり標準的方法を用いて、解くことができる。
【0086】
【数8】

の値は、次に、式1に代入されて、厚さ方向の任意の位置zでの、曲げ方向における歪εxに対する表現が得られる。z=Tの値が選ばれると、曲率半径と最大歪(外側表面での)との間の関係が得られる。張力の下での破損に対する臨界歪(上の(viii)で求められる)に等しい最大歪の値を選ぶことによって、臨界曲率半径が計算できる。
【0087】
上で概略が示された計算は、直接的であるが、スタックがひとたび2層を超えると、多くの項を含む。それゆえに、それらは、コンピュータによって最も適切に実施され、特に、Excel(登録商標)ワークシートが、層の特性、厚さおよび曲率半径についてのユーザーのインプットを受け入れ、上の手順に従って歪を計算するように開発された。このワークシートの詳細は、すでに開示されている(「Mechanical Integrity of Flexible Displays」;Dilwyn P. Jones、Duncan H MacKerron、および、William A MacDonald;「Materials for Displays」Meeting、Institute of Physics、ロンドン、2004年)。
【0088】
本発明は、以下の実施例よってさらに例示される。実施例は、上に記載された本発明を限定しようとするものではない。詳細の修正は、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得る。
【実施例】
【0089】
(比較実施例1)
175μmの厚さを有し、延伸間インラインアクリル樹脂プライマー(本明細書において上で記載された)コーティングにより両方の表面を処理された、市販の熱安定化された2軸延伸ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(Melinex(登録商標)ST506;Dupon Teijin Films;英国)を基板として用いた。さらにまた、このフィルムを、WO−A−03/087247に開示されており、次のステップによって付ける前に調製した、無機ハードコートによりコーティングした。
(i)517cm3のメチルトリメトキシシラン(OSi Specialitiesから入手)を、室温で、1034cm3の脱塩水に加え、24時間撹拌した。
(ii)54cm3の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(Aldrich Chemical Comapnyから入手)を、室温で、108cm3の脱塩水に加え、24時間撹拌した。
(iii)53cm3の10%酢酸水溶液(Aldrich Chemical Comapny)を、700cm3のLudox LSコロイダルシリカ(12nm)に加えた。これに、162cm3の加水分解した3−グリシジルプロピルトリメトキシシラン/水の混合物、および1551cm3の加水分解したメチルトリメトキシシラン/水の混合物を加えた。この混合物を12時間撹拌し、その後、コーティングした。組成物の最終のpHは6.05であった。
【0090】
コーティングを、ポリエステルフィルムの両方の表面に付け、熱で架橋した。硬化/乾燥後の最終の乾燥コーティング厚さは2μmであった。
【0091】
(比較実施例2)
モノマーおよびポリマーアクリラートの混合物(メチルメタクリラートおよびエチルメタクリラートを含む)、ならびに光開始剤(Irgacure(商標)2959;Ciba)を、メチルエチルケトン(2−ブタノン)溶媒中に含み、26.5wt%の固形分(これらの固形分の約1%が光開始剤である)で、約1.22cP(センチポイズ)の粘度に調製した有機コーティング組成物を用いて、比較実施例1を繰り返した。コーティングは、80℃で乾燥し、次いで、UV線によって硬化した。コーティングは無機粒子を全く含んでいなかった。
【0092】
(実施例1)
比較実施例1を、アクリラートモノマーおよびシリカ粒子をMEK溶媒中に含み、10%の固形分および約1.7cPの粘度に調製した、ハイブリッド有機/無機コーティング組成物を用いて、繰り返した。コーティングを付け、次いで、直ちに、UV線によって硬化した。
【0093】
前記のように準備した3つのフィルムのそれぞれに、金属チタンの第1層(0.075μm)および金属の金の第2層(0.021μm)を含む導電性コーティングを、通常のスパッタリング法を用い、真空でコーティングした(Tiスパッタリング、7kW;Au、6.5kW)。次いで、各フィルムを、本明細書に記載の、張力の下での破損試験を用い、分析した。8つの試料を、平坦化された3種のフィルムのそれぞれ、および平坦化されAuコーティングされた3種のフィルムのそれぞれから、機械方向に切り取った。次に、それらに、0.5%から17%の範囲に渡る様々なレベルの歪を与えた。データは下の表1に示す。
【0094】
【表1】

【0095】
上の表1のデータは、実施例1が驚くほど優れた性能を示したことをはっきり示す。
【0096】
次いで、2点曲げにおける上のフィルム試料のそれぞれに対する臨界曲率半径を、本明細書において上で記載したモデリング方法を用いて、クラック密度データから計算した。これらを得るために、最初に、各試料の臨界歪が定められなければならない。臨界歪(εc)は、ここでは、機械的健全性が保持されている、最大の観察された歪の値(すなわち、クラックの発生が全く認められない最大歪)であるとする。これらの値は、クラックの発生が認められた特定の層(すなわち、ポリマーコーティング層または金の層のいずれか)に対して得られた、対応する応力値と一緒に、表2に列挙されている。個々の層に対する臨界応力は、歪の記載値、および破損を示した各材料のヤング率の値(表3に記載される)を用いて計算した。
【0097】
【表2】

【0098】
各材料のヤング率およびポアソン比を、表3に列挙する。これらのデータは、多層ラミネート実施例および比較実施例のそれぞれに対する臨界曲率半径を次に計算するのに必要であった。いくつかの場合において、材料のモジュラスの推定値を採用したが、さらなる計算によって、平坦化剤のモジュラス値の10倍の変化は、対応するコーティングの曲がった状態における予想応力に約10%の変化しか生じないことが確証された。
【0099】
【表3】

【0100】
本明細書に記載のモデルで計算した各試料についての臨界曲率半径(mm)を、下の表4に記す。臨界半径は、コーティングされたフィルムに関して、またTi/Au層がその上に配置された、コーティングされたフィルムに関して、下に報告する。
【表4】

【0101】
表3の結果は、実施例1のコーティングされたフィルムは、最初のクラックが現れる前に、0.72mmの半径まで曲がることができ、予想外に、よりフレキシブルであることを示す。導電性材料によりコーティングされた場合、実施例1は、最初のクラックが現れる前に、2.41mmの半径まで曲がることができ、やはり、予想外に、他の実施例よりフレキシブルである。
【0102】
(比較実施例3および4、ならびに実施例2)
上で例示した3種のコーティング組成物を、125μmの厚さを有し、延伸間インラインスルホン化ポリエステル樹脂プライマー(本明細書において上で記載された)コーティングにより両方の表面を処理された、熱安定化された2軸延伸PEN基板にもまた付けた。PEN基板は、次に様に準備した。PENを含むポリマー組成物を押し出し、回転する高温の研磨ドラム上にキャスティングした。次いで、フィルムを、前方延伸ユニットに供給し、そこで、それを、一連の温度制御されたロールで、押出方向(機械方向;MD)に、その元の寸法の約3.3倍に延伸した。延伸温度は約130℃であった。この段階で、後のコーティングに対する接着性を向上させるために、フィルムの両方の表面を、スルホン化ポリエステル樹脂プライマーコーティングにより処理した。次に、フィルムは135℃の温度でテンターオーブンの中に進み、そこで、フィルムを、横方向に、その元の寸法の約3.4倍に延伸した。次いで、この2軸延伸されたフィルムを、通常の手段によって、235℃までの温度でヒートセットし、この間に、ウェッブの横の寸法は4%だけ減少した。次に、フィルムを冷却し、リールに巻き取った。全厚は125μmであった。次いで、ヒートセットした2軸延伸フィルムを巻き戻し、次に、フィルムを、さらなる1組のオーブン(これらの最高温度は190℃であった)に通すことによって、ロールツーロールプロセスで、さらに熱安定化させた。フィルムは、その両端部で支えられておらず、小さなライン張力下にオーブンの中を移動し、それはさらに緩和および安定化される。2軸延伸され、ヒートセットされ、表面にプライマー処理され、オフラインで安定化されたフィルムを、次に、巻き戻し、上のコーティングによって両面をさらに改質した。次に、コーティングされたフィルムをスパッタリングし、PET試料と同様に分析した。類似の結果が認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのための、コーティングされたポリエステル基板のフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;および
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に有機/無機ハイブリッドコーティングを配置するステップ
を含み、ここで、該コーティングが、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られる、方法。
【請求項2】
コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面に有機/無機ハイブリッドコーティングを配置するステップ;および
(c)コーティングされたポリエステルフィルムを電子デバイスの基板として供用するステップ
を含み、ここで、該コーティングが、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られる、方法。
【請求項3】
コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含む電子デバイスのフレキシビリティーを改善する方法であって、
(a)ポリエステル基板を、有機/無機ハイブリッドコーティング(これは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られる)により、その一方または両方の表面がコーティングされたポリエステルフィルムであるように選択するステップ;および
(b)前記フィルムを電子デバイスの基板として供用するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
導電性材料を含む電極層を、前記コーティングされたポリエステル基板層の、一方または両方の表面に配置するステップをさらに含む、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
フレキシビリティーの改善が、コーティングされたポリエステル基板層を、コーティングされたポリエステル基板のコーティングに最初にクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度で横方向に、その元の寸法の3%以上、引き伸ばすことができるごときものである、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
フレキシビリティーの改善が、前記コーティングされたポリエステル基板層と導電性材料を含む電極層とを含む複合構造体を、電極層の導電性材料に最初にクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度で横方向に、その元の寸法の3%以上、引き伸ばすことができるごときものである、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
フレキシビリティーの改善が、コーティングされたポリエステル基板層が約10mm以下の臨界曲率半径を有するごときものである、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
フレキシビリティーの改善が、前記コーティングされたポリエステル基板層と導電性材料を含む電極層とを含む複合構造体が、約10mm以下の臨界曲率半径を有するごときものである、請求項1から7までのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記無機粒子が、約0.005から約3μmの平均粒子直径を有する、請求項1から8までのいずれかに記載の方法。
【請求項10】
ポリエステル基板と導電性材料を含む電極層とを含み、該ポリエステル基板の一方または両方の表面に、有機/無機ハイブリッドコーティング(モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られ、ここで、該無機粒子は約0.005から約3μmの平均粒子直径を有する)をさらに含む、フレキシブル電子デバイス。
【請求項11】
電子デバイスのフレキシビリティーが、前記コーティングされたポリエステル基板層と導電性材料を含む電極層とを含む複合構造体を、電極層の導電性材料に最初にクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度で横方向に、その元の寸法の3%以上、引き伸ばすことができるごときものである、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
ローラブルである、請求項10または11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
電子デバイスのフレキシビリティーが、コーティングされたポリエステル基板層と導電性材料を含む電極層とを含む複合構造体が、約10mm以下の臨界曲率半径を有するごときものである、請求項12に記載の電子デバイス。
【請求項14】
コーティングされたポリエステル基板層と、導電性材料を含む電極層とを含むローラブル電子ディスプレイの製造方法であって、
(a)ポリエステルフィルムを準備するステップ;および
(b)前記ポリエステルフィルムの一方または両方の表面にコーティングを配置するステップ(該コーティングは、モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、また光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られる有機/無機ハイブリッドコーティングであることに特徴がある);
(c)前記コーティングされたポリエステルフィルムの一方または両方の表面に、導電性材料を含む電極層を配置するステップ
を含み、
前記コーティングされたポリエステル基板層および電極層を含む複合構造体を、電極層の導電性材料に最初のクラックが現れる前に、60mm/minの引張り速度で横方向に、その元の寸法の3%以上、引き伸ばすことができること、および/または、コーティングされたポリエステル基板層および電極層を含む複合構造体が約10mm以下の臨界曲率半径を有することにさらに特徴がある、方法。
【請求項15】
電子デバイスが電子ディスプレイである、請求項1から13までのいずれかに記載の方法またはデバイス。
【請求項16】
電子ディスプレイが、ローラブル電子ディスプレイである、請求項15に記載の方法またはデバイス。
【請求項17】
電子デバイスが光起電力セルである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法またはデバイス。
【請求項18】
電子デバイスが半導体デバイスである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法またはデバイス。
【請求項19】
半導体デバイスがトランジスタである、請求項18に記載の方法またはデバイス。
【請求項20】
電子デバイスがセンサーである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法またはデバイス。
【請求項21】
(i)2軸延伸ポリエステル基板を含み;
(ii)ポリエステル基板の一方または両方の表面にコーティングされたプライマー層を含み;
(iii)プライマーがコーティングされた前記ポリエステル基板の一方または両方の表面に、有機/無機ハイブリッドコーティング(モノマーアクリラートから選択される低分子量反応性成分、ならびに/または、アクリラート、ポリエーテルアクリラート、エポキシアクリラートおよびポリエステルアクリラートから選択される不飽和オリゴマー成分;溶媒;ならびに無機粒子を含み、光開始剤をさらに含んでいてもよいコーティング組成物から得られ、ここで、該無機粒子は、約0.005から約3μmの平均粒子直径を有する)を含み;および
(iv)コーティングされた基板の表面に、導電性材料を含む電極層を含んでいてもよい、
複合フィルム。
【請求項22】
プライマー層がアクリル樹脂である、請求項21に記載の複合フィルム。
【請求項23】
プライマー層がポリエステル樹脂である、請求項21に記載の複合フィルム。
【請求項24】
前記無機粒子が、コーティング組成物の固形成分の約5%から約60質量%の量で、好ましくは存在する、請求項1から23までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項25】
前記無機粒子がシリカおよび金属酸化物から選択される、請求項1から24までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項26】
前記コーティング組成物がUV硬化性である、請求項1から25までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項27】
前記コーティングが、モノマーアクリラート、シリカ粒子および光開始剤を含む、UV硬化性組成物から得られる、請求項1から26までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項28】
有機/無機ハイブリッドコーティング組成物が、2種の異なるモノマーアクリラートを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記コーティング層が、1から20μmの乾燥厚さを有する、請求項1から28までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項30】
コーティングされたポリエステル基板層が、0.7nm未満のRa値および/または0.9nm未満のRq値を有する表面を示す、請求項1から29までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項31】
電極層が、パターン化された導電性材料層である、請求項1から30までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項32】
電極層の導電性材料が、金、銀、アルミニウム、白金、パラジウム、ニッケルおよび酸化インジウムスズから選択される、請求項1から31までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項33】
前記ポリエステルが、ポリ(エチレンナフタラート)またはポリ(エチレンテレフタラート)である、請求項1から32までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項34】
前記ポリエステルが、2,6−ナフタレンジカルボン酸から誘導される、請求項33に記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項35】
ポリ(エチレンナフタラート)が、0.5〜1.5の固有粘度を有する、請求項33または34に記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項36】
ポリエステル基板またはフィルムが、2軸延伸ポリエステルフィルムである、請求項1から35までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項37】
前記ポリエステル基板またはフィルムが、熱安定化され、ヒートセットされた、2軸延伸ポリエステルフィルムである、請求項1から36までのいずれかに記載の方法、デバイスまたはフィルム。
【請求項38】
前記の熱安定化され、ヒートセットされた、2軸延伸ポリエステルフィルムが、
(i)230℃、30分での、1%未満の収縮;
(ii)フィルムを8℃から200℃まで加熱し、次いで、8℃まで冷却する前後に、25℃で測定して、0.75%未満の残留寸法変化(ΔLr);および/または
(iii)−40℃から+100℃の温度範囲内で、40×10-6/℃未満の線熱膨張係数(CLTE)
の1つまたは複数を示す、請求項37に記載の方法、デバイスまたはフィルム。

【図1】
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【公表番号】特表2010−540684(P2010−540684A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518742(P2010−518742)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/002633
【国際公開番号】WO2009/016388
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(509122267)デュポン テイジン フィルムス ユーエス リミテッド パートナーシップ (3)
【Fターム(参考)】