説明

サネカズラ果実抽出物およびそれを含んでなる化粧用、皮膚科用および栄養補給用の組成物

本発明は、サネカズラ果実抽出物を含んでなる、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物に関する。該サネカズラ果実抽出物は、ペプチドおよび糖抽出物、粗製油、精製油、精製油濃縮物または該濃縮物の不鹸化物画分から選択される。本発明はまた、サネカズラ果実の、ペプチドおよび糖抽出物、精製油、ならびに油の濃縮物および不鹸化物画分を製造するための方法に関する。最後に、本発明は、該抽出物の皮膚科用途、化粧品用途および栄養補給用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
緒言
本発明は、好適な賦形剤およびサネカズラ(Schisandra sphenanthera)抽出物を含んでなる、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物に関する。
【0002】
サネカズラ(Schisandra sphenanthera)
マツブサ属(Schisandra)という植物学名を有するこの植物は、モクレン綱(Magnoliopsida)およびモクレン目(Magnoliales)に属する。植物学上の科ではマツブサ科(Schisandraceae)に分類される。完全なラテン名はSchisandra sphenanthera Rehd. et Wilsである。その植物の俗名は:schisandre a fleurs orangees(フランス)、southern Schisandra and lemon wood(イギリス)ならびにhua zhong wu wei ziおよびnan wu wie zi(中国)である。
【0003】
これらの低木は中国北部やロシアおよび韓国の隣接地域が原産である。マツブサ属に属するものは世界で約25種存在する。これらのうちおよそ16種は中国原産である。中国では2種が医薬と正式に認められている:チョウセンゴミシ(S. chinensis)およびサネカズラ(S. sphenanthera)(He et al., 1997)。それらの漿果は、咳、喘息、寝汗、夢精および慢性下痢を治療するために中医学において用いられる。また、それらの漿果は、強壮薬としても、慢性疲労を治療するためにも用いられる。
【0004】
単独で用いられるマツブサ属(Schisandra)という用語は、2種の異なる植物、チョウセンゴミシおよびサネカズラを指す場合がある。これらの2種は、長年同等と考えられてきており、原産地によって、チョウセンゴミシはホクゴミシ(northern Schisandra)、サネカズラはナンゴミシ(southern Schisandra)と呼ばれる。
【0005】
マツブサ属は雌雄異株植物(雄花と雌花が独立している)である。果実は、スグリの低木のものと多少似ている垂れ下がった房状である。その果実は、その上部(おおよそ5〜10cm)では果柄はむき出しであり、その下部ではスグリよりわずかに大きく、より緻密かつより硬い鮮紅色の漿果によって覆われている。球状の種子は、数ミリメートルの大きさである。
【0006】
果実の特徴
チョウセンゴミシの果実は、豊富な文献のテーマであったが(伝統的使用、化学組成、薬理学的効果および皮膚科学的効果:特にWO2005/044289を参照のこと)、サネカズラについてはそれほど研究が行われていない。この相違は、
・中国の伝統では、その使用に関して評判がより悪いこと;
・欧米ではほとんど使用されないこと;
・チョウセンゴミシと比べてネオリグナン総量の割合がより低いこと
などのいくつかの理由によって明白である。
【0007】
しかしながら、商業的には、サネカズラの果実は、チョウセンゴミシのものより安価であると考えられている。
【0008】
サネカズラ果実は、デオキシシザンドリン含量が高いことを特徴とする。その一方、サネカズラ果実のシザンドリンおよびγ−シザンドリンの含量はチョウセンゴミシ種子のものと比べて非常に低い(Zhu et al., 2007)。最近、Huyke et al. (2007)による論文によって、チョウセンゴミシおよびサネカズラの抽出物についての細胞増殖に対する効果の比較研究が報告された。
【0009】
マツブサ属の乾燥果実は、およそ20%の精油を含んでおり、そのような精油には7%〜30%不鹸化物が含まれている(Huyke et al., 2007)。リグナンは、精油の不鹸化物画分に含まれる。他の活性成分としては、フィトステロールならびにビタミンCおよびビタミンEが含まれる。
【0010】
精油(モノテルペンおよびセスキテルペン)
精油は、セスキテルペン誘導体:
δ−カジネン:25.6%、
γ−カジネン、
β−ヒマカレン、
サンタロール
を豊富に含む(Song et al., 2007)。
【0011】
チョウセンゴミシ果実の精油は、サネカズラ果実のものよりも多くのモノテルペン炭化水素を含む(Huyke et al., 2007)。
【0012】
ステロイド
シトステロール(Huyke et al., 2007)(果実中に<0.1%)
【0013】
トリテルペンアルコール
シザノール(I)(Schisanol (I))(Yue et al., 1994)
【化1】

【0014】
リグナン
A.定性的データ
皮膚科用途、化粧品用途または医薬用途では、リグナンはその果実の活性剤であると考えられている。マツブサ属の果実では、40種を超えるジベンゾ[a,c]シクロオクタジエン骨格のネオリグナン(有機酸(酢酸、安息香酸、アンゲリカ酸またはチグリン酸)によって多少エステル化されている)が発見された。これらは新規な成分である。リグナンの一般構造は以下のとおりである:
【化2】

【0015】
サネカズラ果実で確認されたネオリグナンのリストを表Iに示す。それらの構造については、Hancke et al., 1999;He et al., 1997;およびHuyke et al., 2007による刊行物を参照のこと。
【表1】

【0016】
スフェナンリグナン(I)と呼ばれるジアリールブタンリグナンは、その果実の種子で確認され(Jiang et al., 2005)、次の構造を有する。
【化3】

【0017】
B.定量的データ
10種のマツブサ属においてTLC−デンシトメトリーによって行われた分析では、種間でのクロマトグラフィープロフィールの違いが明らかになっている(Wang et al., 1991)。サネカズラのネオリグナンについてのHPLC分析によるデータセットはいくつかある、例えば:Zhou et al., 2005。
【0018】
下の表IIでは、イギリスで発表された論文による、サネカズラ果実の主要なネオリグナンの含量を示す。
【表2】

【0019】
サネカズラ果実は、デオキシシザンドリン含量が高いことを特徴とする。その一方、サネカズラ果実のシザンドリンおよびγ−シザンドリンの含量はチョウセンゴミシ種子のものと比べて非常に低い(Zhu et al., 2007)。
【0020】
果実抽出物:使用される形
乾燥状態での中国での伝統的使用の他に、サネカズラ果実は、果実のネオリグナンの飛沫同伴を可能にする抽出溶媒によって得られる抽出物としても使用される。文献に記述されている溶媒は、エタノール、超臨界CO(SC−CO)(補助溶媒と組み合わせるまたは組み合わせない)、およびヘキサンである。
【0021】
いくつかの発表された研究では、果実のネオリグナンに関してのSC−CO、クロロホルムおよび50%メタノールおよびエタノールの抽出能力の比較が試みられた。
【0022】
最近の刊行物によれば、COもしくはCO+5%エタノールによるまたはヘキサンによるサネカズラ果実の抽出では、ネオリグナンに関してかなり類似した抽出物組成が得られる。その一方、エタノールの使用によって、2種のネオリグナン(デヒドロシザンドリンおよびゴミシンO)の抽出は悪くなり、γ−シザンドリンの抽出は明らかに多くなるという結果に至っている(Huyke et al., 2007)。
【0023】
サネカズラ果実のネオリグナン(デオキシシザンドリン、γ−シザンドリンなど)に対して最適なSC−CO抽出条件は、Yang (2001)による文献によって提案されている:21MPa、37℃およびCO流量5l/分。
【0024】
エリトロ・コウペロース(erythro-couperose)および酒さの生理病理学
酒さは、主として顔に影響を及ぼす、よく見られる皮膚病であり、紅潮の出現(血管運動障害(vasomotor flashes))、持続性紅斑、丘疹、膿疱および毛細管拡張症として見られる。二次的特徴は、灼熱感または刺痛感、紅斑、皮膚の乾燥、顔面浮腫および瘤腫ならびに眼症状発現として現われることが多いかもしれない。
【0025】
この皮膚病は、熱い飲み物、アルコール、温度変化、香辛料の入った食物、運動、ストレスおよび強い感情、日光などのような多くの因子によって誘発されさらに悪化する可能性がある。
【0026】
酒さの生理病理学は、長年、ほとんど解明されておらず多くの因子から成っている(遺伝因子、炎症性因子および血管因子)とされてきた。
【0027】
最近になって、酒さの発症への様々な機構の関与が発見され、立証された(Yamasaki K. & Gallo RL., 2009):
1)先天性免疫の変化:カテリシジン(LL37)の変異体は、正常より多い量で存在し;さらに、これらの変異体は、炎症作用を有しIL−8分泌を誘導する;
2)血管障害:新血管新生の結果、毛細管拡張症が起こり(小血管が肉眼で見える);血管運動反応の繰り返しによって、持続性炎症に関与するリンパ系の病変が引き起こされる;
3)微生物作用;
4)酸化的ストレスおよび日光。
【0028】
これらの様々な機構は相互に関連している。特に、カテリシジンは血管障害も誘発する可能性がある。
【0029】
先行技術
文献では、サネカズラの工業的用途に関する情報は見出されなかった。米国において特許(米国特許第5,484,595号)があるにもかかわらず、この種の果実はネオリグナンの単離に利用されていなかったと思われる。
【0030】
医薬用途:
Phynovaによる出願WO2007/020382には、肝障害、代謝障害および/または免疫障害の治療のための、より特にはC型肝炎の治療を目的とする、チョウセンゴミシまたはサネカズラを含む4種の植物の抽出物を含んでなる組成物が記載されている。
【0031】
Guang Zhou Zhongyi Pharmaceuticalによる出願WO2006/122485およびWO2006/1222454には、サネカズラを含む数種の植物の混合物を含んでなる、糖尿病の治療を目的とする組成物が記載されている。
【0032】
Zhaoによる出願US2003/0026854には、肝疾患を治療するための、シザンドリンに基づく薬物が記載されており、そのシザンドリンは、特に、チョウセンゴミシまたはサネカズラから抽出される。
【0033】
出願WO2007/005760には、化学療法耐性癌細胞を治療するための、チョウセンゴミシおよびサネカズラの果実抽出物から生じるシザンドリンファミリーの化合物ゴミシンおよび他の化合物を含んでなる組成物が記載されている。
【0034】
欧州では、所轄官庁の認可を受けている薬物でサネカズラ抽出物を含有するものは存在しない。サネカズラは医薬としてチョウセンゴミシより劣っており、サネカズラは活性のあるリグナンの代替源としてのみ有用であることが一般的に認められている。
【0035】
皮膚科用途および化粧品用途:
Huyke et al. (2007)による論文には、培養細胞に対するサネカズラおよびチョウセンゴミシの抽出物の効果が記載され、比較されており、HaCaTおよびA431上皮細胞の増殖は、これらの抽出物によって用量依存的に阻害され、非極性抽出物は極性抽出物よりも効果的である。サネカズラのSC−CO抽出物は、最も活性が高くIC50が20μg/mlであることが判明した。遊離細胞を用いた酵素阻害試験では、SC−CO抽出物は、シクロオキシゲナーゼ−2(組換えCOX−2)によるプロスタグランジン産生を強く阻害した(インドメタシンの場合の1μg/mlに対し、IC50=0.2μg/ml)。SC−CO抽出物はまた、紫外線B線によって誘導されるPGE産生(IC50=4μg/ml)およびHaCaTケラチノサイトにおけるCOX−2発現を低減させた。その研究の執筆者らは、サネカズラのSC−CO抽出物は皮膚の炎症性疾患および過剰増殖性疾患の予防および治療において有用であるかもしれないと結論付けている。
【0036】
アクネの予防におけるチョウセンゴミシ抽出物の使用は、特許出願KR2001931において、パパインおよびブロメラインなどの植物プロテアーゼから選択されるかまたは微生物から生じる角質剥離剤(exfoliants)をさらに含んでなる組成物として記載された。
【0037】
中医学の抗アクネ組成物は、出願CN11040971に記載され、その組成物は、10部の菖蒲(Acorus calamus)(「shi chang pu(石菖蒲)」と呼ばれる)、8部のマツブサ属の果実、および他の3種の植物を含んでなる。
【発明の開示】
【0038】
本発明者らは、サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物がこれまでに記載されたことのない化粧品特性および皮膚科学的特性を有することを発見した。特に、サネカズラ抽出物が、チョウセンゴミシの代替物としてではなくそれらの固有の特性のために使用されたのはこれが初めてであった。
【0039】
本発明の目的は、サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物を、所望により、好適な賦形剤と組み合わせて含んでなる、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物である。
【0040】
数種のサネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物を得ることができ、単独でまたは組合せで使用することができる。
【0041】
サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物は、少なくとも以下から選択される:
・1種のペプチドおよび糖抽出物;
・次の表3に示される分析結果:
【表3】

の1種の粗製油;
・表4に示した特徴:
【表4】

を有する、特に、テルペンを全くまたはほとんど全く含まない(テルペンが微々たる量である)1種の精製油;
・該精製油の1種の濃縮物;または
・該精製油濃縮物から生じる1種の不鹸化物。
【0042】
本発明の第1の変形によれば、サネカズラ果実抽出物は、リグナンを全く含まないペプチドおよび糖抽出物である。
【0043】
「ペプチド抽出物」という用語は、主としてペプチドからなる抽出物を指す。
【0044】
「糖抽出物」という用語は、主として単糖類からなる抽出物を指す。
【0045】
本発明によるペプチド抽出物は、有利には、次の仕様を有する:
【表5】

【0046】
本発明の好ましい態様によれば、そのペプチドおよび糖抽出物は、10重量%〜50重量%のペプチドおよび10重量%〜60重量%の糖からなり、この際、その百分率は、該抽出物の総重量に対して表される。
【0047】
本発明の第2の変形によれば、サネカズラ果実抽出物は、粗製油、精製油、該精製油の濃縮物または該濃縮物から生じる不鹸化物から選択される脂質抽出物である。
【0048】
それらの脂質抽出物(粗製油、精製油)は、いくつかの方法:
・機械プレスでの冷圧、二軸押出機でのプレスなどのような物理的抽出;
・有機溶媒(脂肪族アルカン、アルコール、塩素化溶媒、フッ素化溶媒など)を用いる化学的抽出;
・二酸化炭素を単独でおよび/または補助溶媒とともに用いる超臨界媒体による抽出
によって得ることができる。
サネカズラ油の抽出では、二酸化炭素などの超臨界媒体中の溶媒を使用することが好ましいであろう。
【0049】
粗製サネカズラ油は、テルペン画分を除去するために、分子蒸留方法によって精製される。そのため、その精製油は「無テルペン粗製油」である。
【0050】
「濃縮物」という用語は、分子蒸留工程を受けた精製油を指す。
【0051】
「不鹸化物」という用語は、鹸化工程および好適な溶媒を用いた不鹸化物の抽出工程後に得られる精製油濃縮物の不鹸化物画分を指す。
【0052】
よって、本発明はまた、本発明による粗製油からの精製サネカズラ油の製造のための方法に関し、その方法は、前記粗製油の分子蒸留工程を含んでなる。
【0053】
前記分子蒸留工程は、好ましくは、遠心式分子蒸留器およびワイプトフィルム分子装置(wiped-film molecular devices)から選択される装置を用いて行われる。
【0054】
遠心式分子蒸留器は当業者に公知である。例えば、出願EP 493 144には、この種の分子蒸留器が記載されている。一般的に、蒸留しようとする生成物は、高速で回転している円錐形のローターの加熱表面(高温表面)上に薄層に広げられる。蒸留室は真空下に置かれる。これらの条件下では、テルペンなどのその油の成分は、高温表面から蒸発は起こるが沸騰は起こらず、油およびその成分、とりわけ、不鹸化物(これらの生成物は不安定であると考えられている)はそのプロセス中に分解されないという利点がある。
【0055】
ワイプトフィルム分子蒸留器もまた当業者に公知であり、蒸留しようとする生成物を蒸発表面(高温表面)上へ連続的に広げることが可能な回転ワイパーブレードを装備した蒸留室を備えている。生成物の蒸気は、蒸留室の中央に置かれた冷却フィンガーによって凝縮される。周辺の供給システムおよび真空システムは、遠心式蒸留器のものと非常に類似している(供給ポンプ、回転翼真空ポンプ、油拡散ポンプなど)。残留物および留出物は重力流によって回収される。
【0056】
本発明はまた、その不鹸化物画分で濃縮された、精製サネカズラ果実油濃縮物の製造のための方法に関する。この方法は、精製油の分子蒸留工程を含んでなる。特に、その分子蒸留工程は、上記の遠心式分子蒸留器およびワイプトフィルム分子装置から選択される装置を用いて行われる。
【0057】
本発明はまた、サネカズラ果実不鹸化物の製造のための方法に関し、その方法は、本発明による精製サネカズラ果実油濃縮物の鹸化工程と、その後の、好適な溶媒を用いた該不鹸化物の抽出工程を含んでなる。次いで、前記抽出物を石鹸が完全に除去されるまで洗浄し、その後、溶媒を蒸発させる。最後に、不鹸化物に蒸気脱臭、続いて、窒素ストリッピングを行って微量の溶媒および水を除去する。
【0058】
本発明はまた、目的として、サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物の製造のための方法を有する。サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物の製造のための該方法は、次の連続する工程を含んでなる:
a)マツブサ属(Schisandra)の果実からの、粗製油および固形油かすの抽出ならびに該固形油かすの回収(その固形油かすは水中に分散させる);
b)セルラーゼ、プロテアーゼおよびα−アミラーゼの酵素混合物による該固形油かすの酵素処理、次いで;
c)それらの酵素を阻害するための熱処理;
d)残留タンパク質を除去するための遠心分離、限外濾過および15kDaカットオフの膜でのダイアフィルトレーション;
e)例えば、無機塩または遊離アミノ酸を除去するためのナノフィルトレーション;
f)そのペプチド抽出物は活性炭の存在下で漂白することができ、その後、それは濾過後に回収される。
有利には、そのペプチドおよび糖抽出物は凍結乾燥することができる。
【0059】
本発明の1つの態様によれば、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物は、少なくとも2種のサネカズラ果実抽出物を含んでなる。特に、その組成物は、ペプチドおよび糖抽出物と粗製油、またはペプチドおよび糖抽出物と精製油、またはペプチドおよび糖抽出物と精製油濃縮物、またはペプチドおよび糖抽出物と不鹸化物を含んでなる。
【0060】
本発明の別の態様によれば、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物は、サネカズラ果実抽出物に加えて、少なくとも1種の他の活性化合物をさらに含んでもよい。
【0061】
前記他の化合物は、下に記述する総ての化合物およびそれらの機能的等価物から選択することができる。
【0062】
前記他の化合物は、特に、皮膚病学において一般に用いられる活性剤、例えば、皮膚軟化薬、保湿活性剤、ケラチン合成活性剤、角質調節薬(keratoregulating agents)、角質溶解薬、皮膚バリアを再構築する薬剤(皮膚脂質合成活性剤)、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)作動薬、RXRまたはLXR作動薬、ビタミンDまたはコルチコステロイド受容体作動薬、ケラチノサイト分化活性剤(レチノイド、Calcidone(登録商標)、カルシウム)、皮脂調節薬、抗刺激薬、無痛化薬、抗炎症薬、抗酸化薬および抗老化薬などから選択することができる。
【0063】
前記他の化合物はまた、補完治療効果を有する活性剤、例えば、抗生物質、プレバイオティクスおよびプロバイオティクス、抗菌薬、抗真菌化合物、抗ウイルス薬、保存剤、免疫調節薬(タクロリムスまたはピメクロリムス)、オキサゾリン、増殖因子、瘢痕形成薬または富栄養分子、色素形成薬または色素低下薬、脂肪分解薬または脂肪生成阻害薬または抗セルライト薬または還元剤、無機または有機サンフィルターおよびスクリーン(色素または超微粒子)、伝統食品または機能性食品:更年期の二次的徴候に影響を及ぼす、血糖上昇性または血糖低下性栄養素、抗脂肪または抗セルライト栄養素、抗コレステロール薬、抗酸化薬、精神賦活薬、強壮薬などから選択することができる。
【0064】
前記他の化合物はまた、天然植物抽出物(水相または油相に抽出することができる植物由来のもの:ポリフェノール、フラボノイド、他のペプチドおよび糖など)、植物性油不鹸化物を含有する化合物、ステロール不鹸化物またはそれらを含有する生成物(植物性油不鹸化物、とりわけ、ダイズ油不鹸化物、植物性バター不鹸化物またはバター状の物質およびそれらの混合物、天然蝋不鹸化物、油抽出物不鹸化物、油産業副産物の不鹸化物、動物性脂肪抽出物不鹸化物、海洋動物油不鹸化物、乳脂肪抽出物不鹸化物、単細胞生物から抽出される脂質不鹸化物、藻類および海洋生物から抽出される脂質不鹸化物など)、ステロール、スタノール、フィトステロール、フィトスタノール、トコフェロール、ヒマワリ油および/またはナタネ油および/またはパーム油の濃縮物、微量元素、ビタミン、オメガ−3または−6または−9脂肪酸、血糖低下性または血糖上昇性植物または甘味植物から選択することができる。
【0065】
最も一般的に用いられている保湿/皮膚軟化活性剤は、グリセリンまたはその誘導体、尿素、ピロリドンカルボン酸およびその誘導体、任意の分子量のヒアルロン酸、グリコサミノグリカンおよび海洋起源、植物起源またはバイオテクノロジー起源の任意の他の多糖類(例えば、キサンタンガム、Fucogel(登録商標)など)、特定脂肪酸(ラウリン酸、ミリスチン酸、ポリ不飽和およびモノ不飽和オメガ−3、−6、−7および−9脂肪酸(リノール酸およびパルミトオレイン酸など)など)、ヒマワリ油留出物(sunflower oleodistillate)、アボカドペプチド、クプアスバターである。
【0066】
組み合わせて使用することができるケラチン合成活性剤は、有利には、レチノイド、ルピナスペプチド、角質層または顆粒層(ケラチン)およびコルネオデスモソームの重要なタンパク質、アボカド糖、キノアペプチド抽出物である。
【0067】
抗炎症/抗刺激薬および無痛化薬は、サイトカインまたはアラキドン酸代謝メディエーターによって起こる炎症反応を制限し、鎮静性および抗刺激性を有する。最も伝統的なものは、グリシルレチン酸(カンゾウ誘導体)およびその塩およびエステル、リポ酸、β−カロテン、ビタミンB3(ナイアシンアミド、ニコチンアミド)、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB12、フラボノイド(緑茶、ケルセチンなど)、リコピンまたはルテイン、アボカド糖、アボカド油留出物、アラビノガラクタン、ルピナスペプチド、ルピナス全抽出物、キノアペプチド抽出物、Cycloceramide(登録商標)(オキサゾリン誘導体)、イソフラボン(例えば、ゲニステイン/ゲニスチン、ダイゼイン/ダイズィンなど)、湧き水または温泉水(eau d’Avene, eau de la Roche Posay, eau de Saint Gervais, eau d’Uriage, eau de Gamarde)、ゴージ抽出物(ナガバクコ(Lycium barbarum))、植物アミノ酸ペプチドまたは複合体、局所ダプソン、またはステロイド性抗炎症薬(SAID)(コルチコステロイドなど)または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。
【0068】
最も一般的に用いられている角質調節/角質溶解薬としては、果実のα−ヒドロキシ酸(AHA)(クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸など)、AHAエステル、AHAと他の分子との組合せ(リンゴ酸とアーモンドタンパク質の組合せ(Keratolite(登録商標))、グリコール酸または乳酸とアルギニンとの組合せまたはヒドロキシ酸と脂質分子との組合せ(LHA(登録商標)(リポヒドロキシ酸)など)など)、両性ヒドロキシ酸複合体(AHCare)、ヤナギの樹皮(セイヨウシロヤナギ(Salix alba)樹皮抽出物)、アゼライン酸およびその塩およびエステル、サリチル酸およびその誘導体(カプリロイルサリチル酸など)または他の分子との組合せ(サリチル酸と多糖類の組合せ(β−ヒドロキシ酸、すなわち、BHA)など)、タザロテン、アダパレン、ならびにレチノイドファミリーの分子(トレチノイン、レチンアルデヒド、イソトレチノインおよびレチノールなど):が挙げられる。
【0069】
組み合わせて使用することができる皮脂調節薬は、有利には、例えば、活性剤5−α Avocuta(登録商標)などの5−α−レダクターゼ阻害薬を含んでなる群から選択される。亜鉛(およびそのグルコン酸塩、サリチル酸塩およびピログルタミン酸)もまた、皮脂抑制活性を有する。また、抗アンドロゲン・アルドステロン拮抗薬であるスピロノラクトンも挙げることができ、これは12週間の適用後に皮脂分泌速度を大幅に低下させる。例えば、ペポカボチャ(Cucurbita pepo)種子抽出物、カボチャ(スクウォッシュ)種子油およびアメリカパルメットなどの他の分子は、5−α−レダクターゼの転写および活性を阻害することによって皮脂生成を抑制する。脂質品質に影響を及ぼす、脂質源の他の皮脂調節薬、例えば、リノール酸などが対象となる。
【0070】
組み合わせて使用することができる増殖因子は、有利には、ベカプレルミンおよびトランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、EGF、NGFおよびVEGFである。
【0071】
「抗酸化薬」という用語は、他の化学物質の酸化を減少させるまたは妨げる分子を指す。組み合わせて使用することができる抗酸化薬は、有利には、チオールおよびフェノール、カンゾウ誘導体(グリシルレチン酸およびその塩およびエステルなど)、α−ビサボロール、イチョウ(Ginkgo biloba)抽出物、キンセンカ属(Calendula)抽出物、Cycloceramide(登録商標)(オキサゾリン誘導体)、アボカドペプチド、微量元素(銅、亜鉛およびセレンなど)、リポ酸、ビタミンB12、ビタミンB3(ナイアシンアミド、ニコチンアミド)、ビタミンC、ビタミンE、補酵素Q10、オキアミ、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、リコピンまたはルテイン、β−カロテン、広範なポリフェノールファミリー(タンニン、フェノール酸、アントシアニン、フラボノイド(例えば、緑茶抽出物、レッドベリー抽出物、カカオ抽出物、ブドウ抽出物、パッションフラワー(Passiflora incarnata)抽出物もしくはカンキツ属(Citrus)抽出物またはイソフラボン(例えば、ゲニステイン/ゲニスチンおよびダイゼイン/ダイズィンなど)など)など)からなる群から選択される。抗酸化薬の群は、抗糖化薬(カルノシンまたは特定のペプチド、N−アセチル−システインなど)、ならびに抗酸化薬またはフリーラジカル除去酵素(スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、チオレドキシンレダクターゼおよびそれらの作動薬など)をさらに含んでなる。
【0072】
組み合わせて使用することができる、瘢痕形成させ/バリア機能を修復し、表皮の重要な脂質の合成を刺激する薬剤は、有利には、ビタミンA、パンテノール(ビタミンB5)、アボカド糖、ルペオール、マカペプチド抽出物、キノアペプチド抽出物、アラビノガラクタン、酸化亜鉛、マグネシウム、ケイ素、マデカス酸またはアシアト酸、硫酸デキストラン、補酵素Q10、グルコサミンおよびその誘導体、コンドロイチン硫酸および概してグリコサミノグリカン(GAG)、硫酸デキストラン、セラミド、コレステロール、スクアラン、リン脂質、発酵または非発酵ダイズペプチド、植物ペプチド、海洋性、植物性またはバイオテクノロジーによる多糖類(藻類抽出物またはシダ類抽出物など)、微量元素、タンニンを豊富に含む植物の抽出物(オーク没食子で最初に発見された、没食子タンニンまたは加水分解性タンニンと呼ばれている没食子酸由来のタンニン、およびカテキュー(アセンヤクノキ(Acacia catechu))がこのモデルとなる、フラバン単位の重合によって生じるカテキンタンニンなど)である。
【0073】
使用することができる微量元素は、有利には、銅、マグネシウム、マンガン、クロム、セレン、ケイ素、亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される。ヒマワリ濃縮物、より有利には、リノール酸ヒマワリ濃縮物、例えば、Laboratoires Expanscienceにより販売されている活性剤、Soline(登録商標)、植物性油不鹸化物(Avocadofurane(登録商標)など)、PPAR作動薬(ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、RXRおよびLXRなどもまた使用することができる。
【0074】
成人対象におけるアクネを治療するために組み合わせて作用し得る抗老化薬は、抗酸化薬、特に、ビタミンC、ビタミンA、レチノール、レチナール、任意の分子量のヒアルロン酸、Avocadofurane(登録商標)、ルピナスペプチドおよびマカペプチド抽出物である。
【0075】
組み合わせて使用することができる抗真菌化合物は、有利には、エコナゾールおよびケトコナゾールである。
【0076】
組み合わせて使用することができる防腐保存剤は、例えば、トリクロサン、クロルヘキシジンおよび第四級アンモニウムである。
【0077】
組み合わせて使用することができる抗生物質は、有利には、フシジン酸、ペニシリン、テトラサイクリン、プリスチナマイシン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、ムピロシン、ミノサイクリンおよびドキシサイクリンである。組み合わせて使用することができる抗ウイルス薬は、有利には、アシクロビルおよびバラシクロビルである。
【0078】
組み合わせて使用することができる保存剤は、例えば、化粧品またはニュートラシューティカルにおいて一般的に使用されるもの、抗菌活性を有する分子(擬似保存剤(pseudo-preservatives))、例えば、カプリロイルグリシンおよびカプリル酸グリセリルのようなカプリル酸誘導体など、ヘキサンジオールおよびレブリン酸ナトリウム、亜鉛および銅の誘導体(グルコン酸塩およびPCA)、フィトスフィンゴシンおよびその誘導体、過酸化ベンゾイル、ピロクトンオラミン、亜鉛ピリチオンおよび硫化セレンなどである。
【0079】
組み合わせて使用することができる紫外線防御活性剤としては、UVBおよび/またはUVAサンフィルターまたはサンスクリーン、あるいは当業者に公知である任意の無機および/または有機系スクリーンまたはフィルター(当業者ならば要求される防御の程度に応じてそれらの選択およびそれらの濃度を適合させる)が挙げられる。
【0080】
紫外線防御活性剤の例としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(商標名:Tinosorb M)およびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(商標名:Tinosorb S)、オクトクリレン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、4−メチルベンジリデンカンファー、ベンゾフェノン、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、ジメチルPABAエチルヘキシルおよびジエチルヘキシルブタミドトリアゾンを特に挙げることができる。
【0081】
組み合わせて使用することができる還元剤は、有利には、カフェイン、海草、植物抽出物(例えば:ツタ、カカオ、ガラナ、ナギイカダ(ナギイカダ属(Ruscus))、緑茶、マテ茶、カホクザンショウおよびセイヨウトチノキの抽出物など)、ツボクサ(Centella asiatica)、カルニチン、グラウシン、エスシン、イソフラボン(例えば、ゲニステインおよびイチョウなど)、フォルスコリン、レチノールおよび他のレチノイド、フロリジンおよびアツケシソウである。
【0082】
脱毛を予防しおよび/または髪および爪を強くする薬剤は、有利には、フィトステロール、イソフラボン(例えば、ダイズイソフラボンなど)、RTH16(登録商標)、Aminexil(登録商標)、Minoxidil(登録商標)、レチノール、亜鉛およびその誘導体、ネオルスシン(neoruscine)、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンPP、ビタミンB5(パンテノール、ベパンテン)、ビタミンB8(ビタミンHまたはビオチン)、ビタミンB9(葉酸)、αヒドロキシ酸、キニーネおよび特定アミノ酸(システイン、シスチンおよびメチオノン(methionone)など)である。使用することができる他の化合物としては、5−α−レダクターゼ阻害薬(例えば、フィナステリド、デュタステリド、ノコギリヤシ(Serenoa serrulataまたはSerenoa repens)、ペポカボチャ抽出物または特定フィトステロールなど)が挙げられる。また、ケラチン、微量元素、無機塩、特定の植物性タンパク質または脂質抽出物(例えば、パフィア、セージ、レモン、朝鮮人参、キナ皮、ホホバ、セイヨウトチノキ、蜂蜜、小麦、イラクサ、エキネア(echinea)またはココヤシの実の抽出物など)も挙げることができる。
【0083】
フケ防止剤(頭皮用)は、有利には、キンレンカ抽出物、ビタミンF、チモール、クレー、亜鉛ピリチオン、PCA亜鉛、グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、カンファー、ギンバイカ抽出物、サリチル酸、ビタミンB5、クリンバゾール、イヒチオール、セレンおよびその誘導体、カボチャ(スクウォッシュ)種子抽出物、ベニバナ属(Carthamus)抽出物、メラレウカ属(Melaleuca)油抽出物、ルリヂサおよびミモザ・テヌイフローラ(Mimosa tenuiflora)油、蜂蝋、ケルチオール(kertyol)、グリコール酸、ケルアミド(keluamid)、シクロピロキソラミン(cyclopiroxolamine)、ピロクトンオラミン、カプリロイルグリシンおよび5−α Avocutaから選択される。
【0084】
組み合わせて使用することができる薬物または化粧品用剤は、有利には、以下の予防および/または治療に好適な薬物である:
・アトピー:コルチコステロイド(ヒドロコルチゾン、デソニド、フルオシノロンアセトニド、プロピオン酸フルチカゾンなど)、カルシニュリンを阻害する局所免疫調節薬(タクロリムスおよびピメクロリムスなど)、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ビタミンB12、抗微生物分子、抗ヒスタミン薬(ヒドロキシジンおよびジフェンヒドラミンなど)、抗生物質、プロバイオティクス、ナルトレキソン、PPAR−α作動薬(ヒマワリ油留出物など)、セラミドまたは他の重要な表皮脂質を含有する皮膚軟化薬;
・アクネ:抗生物質、過酸化ベンゾイル、レチノイド、アゼライン酸、ビタミンPP、ビタミンB3、亜鉛、サイクリン;
・湿疹:免疫調節薬、皮膚軟化薬、サケ油、ルリヂサ油、プロバイオティクス;
・酒さ:ペルメトール(permethol)、ゲニステイン、エスクロシド、硫酸デキストラン、ヘスペリジンメチルカルコン、レチノイド、リコカルコン、オキシメタゾリン、キネチン、カンゾウ抽出物、ポリフェノール、フラボノイド、プロシアニジン(緑茶)、ビタミンP様物質、ナギイカダ抽出物、エンジュ(Sophora japonica)、マンサク抽出物および抗生物質(ドキシサイクリンなど);
・乾癬:コルチコステロイド、カルシポトリオール、カルシトリオール、タザロテン、カデ油、アシトレチンおよびPUVA療法。
【0085】
組み合わせて使用することができる薬物または食物は、有利には、脂質上昇性および/または脂質低下性薬物または食物である。スルホニル尿素に基づく薬物およびグリニドに基づく薬物、α−グルコシダーゼ阻害薬に基づく薬物、ビグアニドに基づく薬物(メトホルミン)、PPAR作動薬である、インスリン感受性アクチベーターまたはチアゾリジンジオンを含有する薬物(TZD、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン)、スタチンファミリーまたはフィブラートファミリーの脂質低下性薬物(PPAR−α作動薬)、オルリスタット(ゼニカル)およびシブトラミン(レダクチル(Reductyl)またはシブトラール(Sibutral))を特に挙げることができる。
【0086】
組み合わせて使用することができる抗脂肪栄養素は、有利には、脂肪の吸収を妨害する栄養素(キトサンなど)、熱発生を増加させることが可能な栄養素(脂肪燃焼栄養素)(エフェドリン(中国ハーブマオウ)、カフェイン、テオフィリンおよびテオブロミンおよびダイダイ(Citrus aurantium)など)、食欲を制御することが可能な栄養素(食欲抑制栄養素)(L−フェニルアラニンおよびL−チロシンなど)、血糖を制御することが可能な栄養素(鉱物(例えば、クロムまたはバナジウムまたはマグネシウム)またはアユルヴェーダハーブギムネマ(Gymnema sylvestre)など)、脂肪生成阻害薬(ガルシニア(Garcinia cambogia)ヒドロキシクエン酸抽出物など)および脂肪を輸送することが可能な栄養素(L−カルニチンなど)からなる群から選択される。
【0087】
血糖を再平衡化する血糖上昇性食物または療法薬の例としては、抗レトロウイルス薬、グルココルチコイド、免疫抑制薬、IFN−α、性ステロイド、THS、ピル、成長ホルモン、交感神経作用薬、心血管薬、利尿薬、β−遮断薬、カルシウム阻害薬および向精神薬が挙げられる。
【0088】
組み合わせて使用することができる血糖降下性植物は、有利には、コロハ(フェヌグリーク(Trigonella foenum-graecum))、コロソール酸(バナバ(Lagerstroemia speciosa)の木の葉の活性化合物)、ギムネマ、ツルレイシ(Momordica charantia)果汁、ユーカリノキ属(eucalyptus)(ユーカリノキ(Eucalyptus globulus))、オタネニンジン(Panax ginseng)およびホワートルベリー(ビルベリー(Vaccinium myrtillus))の葉からなる群から選択される。
【0089】
組み合わせて使用することができる免疫調節薬は、有利には、タクロリムス、ピメクロリムスおよびオキサゾリンである。組み合わせて使用することができるオキサゾリンは、有利には、2−ウンデシル−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−1,3−オキサゾリン、2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリン、(E)−4,4−ジメチル−2−ヘプタデカ−8−エニル−1,3−オキサゾリン、4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデシル−1,3−オキサゾリン、(E)−4−ヒドロキシメチル−4−メチル−2−ヘプタデカ−8−エニル−1,3−オキサゾリンおよび2−ウンデシル−4−エチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−オキサゾリンからなる群から選択されるオキサゾリンである。さらに有利には、前記オキサゾリンは、OX−100またはCycloceramide(登録商標)と呼ばれている2−ウンデシル−4,4−ジメチル−1,3−オキサゾリンである。
【0090】
組み合わせて使用することができる色素低下薬または色素脱失薬としては、ヒドロキノンおよびその誘導体、アルブチン、レチノイン酸、レチノール、レチンアルデヒド、トレチノイン、ヒドロキノン、コルチコステロイド、コウジ酸、アゼライン酸、エラグ酸、ピルビン酸、グリコール酸、ビタミンB3(ナイアシンアミド)またはPP、ビタミンC、Cycloceramide(登録商標)、レゾルシノール誘導体、レスベラトロール、カンゾウまたはトウグワ抽出物、α−リポ酸、リノール酸、インドメタシン、カチオンキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、およびダイズ抽出物(ゲニステインなど)が挙げられる。また、Seppicにより販売されている、化粧品用色素脱失剤である、Sepiwhite(登録商標)(N−ウンデシルエノイル−L−フェニルアラニン)も挙げることができる。
【0091】
組み合わせて使用することができる色素形成剤は、例えば、皮膚を着色する薬剤(ジヒドロキシアセトンおよびメラニンなど);自然の色素形成プロセスを刺激する薬剤(皮膚病学において治療特性を有するソラレン(8−メトキシソラレン、5−メトキシソラレン、4,5′,8−トリメチルソラレンまたはオランダビユ(Psoralea corylifolia)およびドクゼリモドキ(Ammi majus)の植物抽出物)、カロテノイド(リコピン、カンタキサンチン)、サイクリックAMP経路を刺激する薬剤(1.cAMP類似体(8−ブロモ−cAMPまたはジブチリル−cAMPなど)、2.フォルスコリン、3.イソブチル−メチル−キサンチンまたはテオフィリン)、プロテインキナーゼCアクチベーター(ジアシルグリセロール、特にオレイル−アセチル−グリセロール)、脂肪族または環状ジオール(1,2−プロパンジオール、5−ノルボルナン−2,2−ジメタノール、ノルボルナン−2,2−ジメタノール)、二環式モノテルペンジオール、チロシン誘導体(L−チロシン、L−DOPA)、ジメチルスルホキシド、リソソーム作用因子(lysosomotropic agents)、チミジンジヌクレオチド、DNA断片、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、硝酸供与体(Brown, Journal of photochemistry and photobiology B: biology 63 (2001) 148-161)など);またはコメペプチドなどの植物抽出物、およびメラニン形成促進活性(pro-melanogenesis activity)を示す藻類:Laminaria digitata(CodifのThalitan(登録商標))である。
【0092】
本発明による特に有利な組合せは、サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物と、植物性および動物性不鹸化物(例えば、アボカドおよびダイズの不鹸化物など)、および不鹸化植物性または動物性油濃縮物(例えば、ヒマワリ油またはパーム油の濃縮物など)、または不鹸化物を含有する植物性油(例えば、ダイズ油およびナタネ油など)、および不鹸化物の誘導体(アボカドフラン、ステロールエステルおよびビタミン誘導体など)を含んでなる組成物である。「ステロール」不鹸化物は、ステロール、メチルステロールおよびトリテルペンアルコールの含量がその不鹸化物の総重量に対して20重量%から95重量%まで、好ましくは45重量%から65重量%までに及ぶ不鹸化物である。
【0093】
本発明による特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とアボカド糖(出願WO2005/115421に記載されているようなもの)を含んでなる組成物である。前記組成物は、皮膚バリア修復および炎症の治療に特に適している。
【0094】
本発明による特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とアボカドペプチド(国際出願WO2005/105123に記載されているようなもの)を含んでなる組成物である。前記組成物は、刺激および炎症の治療に特に適している。
【0095】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とアボカド油(国際出願WO2004/012496、WO2004/012752、WO2004/016106、WO2007/057439に記載されているようなもの)を含んでなる組成物である。
【0096】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とAvocadofurane(登録商標)(国際出願WO01/21605に記載されている方法によって得ることができるアボカドフラン)を含んでなる組成物である。前記組成物は、瘢痕形成を促進するために、およびその抗老化特性のために、炎症の治療に特に適している。
【0097】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物と5−α Avocuta(登録商標)(アボカド油脂肪酸ブチル)を含んでなる組成物である。前記組成物は、5−α−レダクターゼの阻害(WO01/52837およびWO02/06205を参照)や、アクネおよびフケにおいて見られる脂漏分泌増加の調節に特に適している。
【0098】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とアボカドおよびダイズの不鹸化物を含んでなる組成物である。組み合わせて使用することができるアボカドおよびダイズの不鹸化物は、有利には、アボカドフランの不鹸化物とダイズ不鹸化物の、それぞれ、おおよそ1:3−2:3の比の混合物である。アボカドおよびダイズの不鹸化物は、さらに有利には、Laboratoires Expanscienceにより販売されている製品Piascledine(登録商標)である。
【0099】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とヒマワリ油留出物を含んでなる組成物であり、さらに有利には、リノール酸ヒマワリ濃縮物、例えば、Laboratoires Expanscienceにより販売されている活性剤、Soline(登録商標)(国際出願WO01/21150を参照)を含む。前記組成物は、炎症および皮膚バリア修復の治療に特に適している。
【0100】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とダイズ不鹸化物(国際出願WO01/51596に記載されている方法によって得られるようなもの)を含んでなる組成物である。
【0101】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とルペオール(FR 2 822 821、FR 2 857 596)を含んでなる組成物である。前記組成物は、瘢痕形成を支援するために特に適している。
【0102】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とルピナスペプチド(出願WO2005/102259に記載されている方法によって得られるようなもの)を含んでなる組成物である。前記組成物は、炎症の治療に特に適しており、その抗老化特性のために用いられる。
【0103】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物と全ルピナス抽出物(国際出願WO2005/102259を参照)を含んでなる組成物である。前記組成物は、刺激の治療に特に適している。
【0104】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とルピナス油、有利には、シロバナルピナス油(国際出願WO98/47479に記載されているようなもの)を含んでなる組成物である。
【0105】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とマカペプチド抽出物(国際出願WO2004/112742を参照)を含んでなる組成物である。前記組成物は、その瘢痕形成特性および抗老化特性のために特に評価される。
【0106】
本発明による特に有利な組合せは、サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物とコメペプチド(国際出願WO2008/009709を参照)を含んでなる組成物である。前記組成物は、メラニン形成の刺激やメラニン移動に関連するその特性のために特に評価される。
【0107】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とCycloceramide(登録商標)(オキサゾリン誘導体)(国際出願WO2004/050052、WO2004/050079およびWO2004/112741に記載されているようなもの)を含んでなる組成物である。前記組成物は、炎症反応の治療に特に適している。
【0108】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とキノア抽出物、特にペプチド抽出物(国際出願WO2008/080974を参照)を含んでなる組成物である。前記組成物は、炎症状態および皮膚バリア修復の治療に特に適している。
【0109】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とクプアスバターを含んでなる組成物である。前記組成物は、その保湿性のために特に評価される。
【0110】
本発明による別の特に有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とナタネ濃縮物を含んでなる組成物である。
【0111】
本発明による別の有利な組合せは、サネカズラ果実抽出物とトウモロコシ濃縮物を含んでなる組成物である。
【0112】
これらの組合せは総て、サネカズラ果実抽出物の他に少なくとも1種の他の活性化合物を含んでなり、上記のような、2種、3種、4種以上の活性化合物を含んでなってよい。
本発明による組成物は、局所適用にまたは経口投与、直腸投与、膣投与、鼻腔投与、耳投与、気管支投与または非経口投与に適した様々な調製物の形で処方することができる。
【0113】
第1の変形によれば、それらの様々な調製物は、局所適用に適しており、クリーム、エマルション、乳液、ポマード、ローション、油、水溶液または水性アルコール溶液またはグリコール溶液、粉末、パッチ、スプレーまたは任意の他の外用製品が含まれる。
【0114】
第2の変形によれば、それらの様々な調製物は、経口投与に適しており、その際、マツブサ属果実抽出物を食物組成物中または栄養補助食品中に含めることができる。その栄養補助食品は、サネカズラ果実抽出物そのまま(例えば、精製油)の形で、または本発明に関連してハードゼラチンもしくはソフトゼラチンまたは植物性カプセルの形で提供することができる。よって、前記栄養補助食品は、10重量%〜100重量%のサネカズラ果実抽出物を含有することができる。
【0115】
本発明のこの第2の変形によれば、本発明のサネカズラ果実抽出物は、限定されるものではないが、食物、飲料およびニュートラシューティカル中に混ぜることができ、それらとしては、以下が挙げられる:
1)酪農製品、例えば、チーズ、バター、牛乳および他の乳飲料、乳製品を含有する混合物およびスプレッド、アイスクリームおよびヨーグルトなど;
2)脂肪ベースの製品、例えば、マーガリン、スプレッド、マヨネーズ、料理用脂肪、フライ用油およびビネグレットなど;
3)シリアルベースの製品、穀物からなる、例えば、パンおよびパスタなど(これらの食品は調理したものでも、焼いたものでもまたは加工処理したものでもよい)。
4)菓子、例えば、チョコレート、キャンディー、チューインガム、デザート、トッピング、シャーベット、アイシングおよび他の飾りなど;
5)アルコール飲料またはノンアルコール飲料、これらには、炭酸水および他の清涼飲料、フルーツジュース、ダイエット用栄養補助食品、飲料形態の食事代替品(例えば、Boost(商標)およびEnsure(商標)という商標名で販売されているものなど)が含まれる;
6)様々な製品、例えば、卵、加工食品(例えば、スープ、既製パスタソース、調理食品および同種の他の製品など)など。
【0116】
本発明の組成物は、配合、浸出、注入、混和、吸収、捏和および噴霧などの技術によって、直接および他の改良を行わずに、食物中、ニュートラシューティカル中、ダイエット用製品、特に高タンパク質製品中、または飲料中に混ぜることができる。
【0117】
本発明による化合物および組成物の投与様式、投与スケジュールおよび最適な生薬形態は、患者または動物に適した、薬物治療、特に皮膚科学的治療、または獣医学的治療の確立において一般的に考慮される基準(例えば、患者または動物の年齢または体重、患者または動物の全身状態の重大性、治療に対する耐性、顕著な副作用および肌質など)に従って決定することができる。所望の投与の種類に応じて、本発明による活性組成物および/または化合物は、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤、特に皮膚科学上許容される賦形剤をさらに含んでもよい。第1の変形によれば、局所外用に適している賦形剤を使用する。本発明による組成物は、当業者に公知である増粘剤、保存剤、香料、着色剤、化学フィルターまたは無機フィルター、保湿剤、温泉水などから選択される少なくとも1種の補佐薬をさらに含んでもよい。
【0118】
表示した仕様のサネカズラ果実抽出物を含んでなる組成物は、特に、化粧用途、皮膚科用途または栄養補給用途に向けられる。
【0119】
化粧用途または皮膚科用途に関連して、その組成物は、有利には、局所適用に適した調製物の形に処方される。ペプチドおよび糖抽出物を含んでなる組成物は、特に、化粧用途または皮膚科用途に向けられる。
【0120】
栄養補給用途に関連して、栄養目的または美容目的(美容食品)で、その組成物は、有利には、経口投与に適した調製物の形に処方される。その組成物は、賦形剤を含まず、サネカズラ精製油から全体的になる。
【0121】
本発明はまた、目的として、化粧用組成物または皮膚科用組成物または食品組成物の製造のための、サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物またはサネカズラ果実脂質抽出物から選択されるサネカズラ果実抽出物の使用を有し、ここで、該サネカズラ果実脂質抽出物は、粗製油、精製油、濃縮物または不鹸化物からなる群から選択される。
【0122】
第1の態様では、本発明は、目的として、化粧用組成物における、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、上記のようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択される、サネカズラ果実抽出物の使用を有する。
【0123】
第2の態様では、本発明は、目的として、機能性食品などの食品組成物における、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、上記のようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択される、サネカズラ果実抽出物の使用を有する。
【0124】
機能性食品は、既存食品であるか、または既存食品であると思われ、普通食の一部であり、特徴としてその典型的な栄養機能を上回る有益な生理学的効果を提供するまたは慢性疾患の危険性を減少させるものである。
【0125】
特に、その機能性食品は、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは以下のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療に向けられる:
・皮膚、例えば、アクネ、酒さ(エリトロ・コウペロース)、皮膚発赤、乾癬、血管障害、おむつかぶれ、アトピー性皮膚炎、湿疹、接触性皮膚炎、刺激性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎(乳児脂肪冠)、乾癬、敏感肌、反応肌、乾燥肌(乾燥症)、脱水肌、発赤を伴う皮膚、皮膚紅斑、老化および光老化皮膚、光線過敏性皮膚、色素沈着皮膚(肝斑、炎症後の色素沈着など)、色素脱失皮膚(白斑)、蜂巣炎を伴う皮膚、弛緩性皮膚、伸展線、頭垢、あかぎれ、昆虫刺傷、(特に乳房)亀裂、日焼け、あらゆる種類の光線に起因する炎症、化学薬品、物理的作用因(引張応力:妊婦)、細菌病原体、真菌病原体またはウイルス病原体、寄生虫病原体(シラミ、ダニ、白癬、コナダニ、皮膚糸状菌)または放射体による刺激または先天性免疫欠損(抗微生物ペプチド)または獲得免疫欠損(細胞性、体液性、サイトカイン)による刺激を伴う皮膚など;および/または
・粘膜、例えば、歯肉炎(新生児過敏性歯肉、喫煙による衛生問題など)、歯周疾患を伴う歯肉および歯周組織、または男性または女性の内部または外部生殖器領域の刺激を伴う生殖器粘膜など;および/または
・上皮付属器、例えば、未成熟、正常または成熟爪(こわれやすい、脆弱な爪など)および特に頭皮障害(例えば、アンドロゲン性脱毛症、急性脱毛症、限局性脱毛症、瘢痕性脱毛症または先天性脱毛症、新生児後頭部脱毛症、円形脱毛症(alopecia aerata)、化学療法/放射線療法に起因する脱毛症または休止期脱毛症、成長期脱毛症、ピラージストロフィー(pilar dystrophy)、抜毛癖、輪癬または油性フケまたは乾性フケなど)を示す頭髪(脱毛症、フケ、多毛症、脂漏性皮膚炎、毛嚢炎)など。
【0126】
本発明はまた、サネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物またはサネカズラ果実脂質抽出物から選択されるサネカズラ果実抽出物を含んでなる食品組成物または栄養補給用組成物に関し、ここで、該脂質抽出物はそれ自体が粗製油、精製油、濃縮物または不鹸化物からなる群から選択される。
【0127】
第3の態様では、本発明は、目的として、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、上記のようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択される、サネカズラ果実抽出物の治療的使用を有する
【0128】
好ましい態様によれば、本発明は、目的として、化粧用組成物における、皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび酒さの治療および予防のためのサネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物の使用を有する。
【0129】
別の好ましい態様によれば、本発明は、目的として、食品組成物における、皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび酒さの治療および予防のためのサネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物の使用を有する。
【0130】
第3の好ましい態様によれば、本発明は、目的として、皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび/または酒さの治療および予防のためのサネカズラ果実のペプチドおよび糖抽出物の治療的使用を有する。
【実施例】
【0131】
実施例1:局所適用用組成物
本発明者らは下にいくつかの局所適用用組成物を示す。油、リグナン濃縮精製油、不鹸化物画分およびサネカズラペプチドおよび糖抽出物は、様々な化粧品、例えば、クレンジングウォーター、水中油型エマルション、油中水型エマルション、オイル、乳液、ローション、シャンプー、泡沫製品およびスプレーなどに混ぜることができ、それらの組成を以下に示す。
【0132】
【表6】

【0133】
【表7】

【0134】
【表8】

【0135】
【表9】

【0136】
【表10】

【0137】
【表11】

【0138】
【表12】

【0139】
【表13】

【0140】
【表14】

【0141】
【表15】

【0142】
【表16】

【0143】
【表17】

【0144】
【表18】

【0145】
【表19】

【0146】
【表20】

【0147】
【表21】

【0148】
【表22】

【0149】
【表23】

【0150】
【表24】

【0151】
【表25】

【0152】
【表26】

【0153】
【表27】

【0154】
【表28】

【0155】
【表29】

【0156】
実施例2:経口投与用組成物
マツブサ属油、濃縮物およびペプチドを、経口組成物中に、1日当たり50mg〜200mgのマツブサ属抽出物の投与を可能にする組成で組み込む。
【0157】
2.1 軟カプセル形態の抗伸展線組成物(Anti-stretch marks composition)
A−組成物1
マツブサ属ペプチドおよび糖抽出物 30mg
・アワラオイル(Awara oil) 60mg
・不鹸化物を豊富に含むナタネ油 300mg
・ビタミンB群(B1、B2、B3、B5、B6、B9、B12)
QSP 100%RDA
・トコトリエノール QSP 50%RDA
・ビタミンE
・蜜蝋
・ダイズレシチン
・消化ゼラチン(Alimentary gelatin)
・グリセリン QSP 軟カプセル1個
【0158】
該組成物を1日当たり500mgカプセル剤4〜6個として投与する。
【0159】
B−組成物2
マツブサ属油 30mg
・セラミドおよび極性脂質を豊富に含む穀物油
300mg
・ルピナス油 50mg
・ビタミンE QSP 100%RDA
・ビタミンC QSP 50%RDA
・蜜蝋
・ダイズレシチン
・消化ゼラチン
・グリセリン QSP 軟カプセル1個
【0160】
該組成物を1日当たり500mgカプセル剤4〜6個として投与する。
【0161】
2.2 抗脱毛錠剤
マツブサ属濃縮物 25mg
・硫黄アミノ酸を豊富に含む穀物抽出物(トウモロコシ、ソバ、キビ、スペルト小麦)
200mg
・ビタミンC QSP 50%RDA
・魚類軟骨グリコサミノグリカン 200mg
・Glucidex IT 19(圧縮剤)
QSP 800mg錠剤1錠
【0162】
該組成物を1日当たり錠剤5〜8錠として投与する。
【0163】
マツブサ属不鹸化物画分 200mg
・硫黄アミノ酸を豊富に含む穀物抽出物(トウモロコシ、ソバ、キビ、スペルト小麦)
200mg
・キレート型Zn QSP 100%RDA
・ビタミンC QSP 50%RDA
・魚類軟骨グリコサミノグリカン 200mg
・果実フレーバー(カンキツ属果実、レッドベリー)、アセスルファムカリウム、Glucidex IT 19(圧縮剤)
QSP 2000mg錠剤1錠
【0164】
該組成物を1日1回投与する。
【0165】
2.3 痩身粉末スティックの例
マツブサ属ペプチドおよび糖抽出物 100mg
・ポリフェノールを豊富に含む茶抽出物 100mg
・OPCを豊富に含むブドウ抽出物 50mg
・植物β−グルカン 100mg
・キサンタンガム 1mg
・アスコルビン酸ナトリウム 0.3mg
・マルトデキストリン QSP 5g
【0166】
該組成物を1日2回投与する。
【0167】
マツブサ属不鹸化物画分 100mg
・ツボクサ抽出物 100mg
・マグネシウム、セレン、マンガン QSP 100%RDA
・キサンタンガム 1mg
・アスコルビン酸ナトリウム 0.3mg
・マルトデキストリン QSP 5g
【0168】
該組成物を1日2回投与する。
【0169】
2.4 チョコレート風味のシリアルバーの例
精製マツブサ属油 200mg
・リコペン 6mg
・アスタキサンチン 4mg
・フコキサンチン 4mg
・マイクロカプセル型ルテイン 4mg
・マイクロカプセル化トコトリエノール
QSP ビタミンE中100%RDA
・ブラックチョコレート、オリゴフルクトース、糖、フルクトースシロップ、低脂肪カカオ、クランチシリアル、脱脂粉乳、アーモンド、グリセロール、ソルビトール、植物性油、グルコースシロップ、香味剤、加糖練乳、ダイズレシチン、脂肪酸モノ−およびジグリセリド、カラメルシロップ、マルトデキストリン、塩、ソルビン酸カリウム、α−トコフェロール
QSP 50gのバー1本
【0170】
該組成物を1日1回投与する。
【0171】
2.5 バニラ風味のシリアルバーの例
マツブサ属油 200mg
・硫黄アミノ酸を豊富に含む穀物抽出物(トウモロコシ、ソバ、キビ、スペルト小麦)
200mg
・魚類軟骨グリコサミノグリカン 200mg
・ポリフェノールを豊富に含む緑茶抽出物 200mg
・オリゴフルクトース、糖、フルクトースシロップ、クランチシリアル、脱脂粉乳、アーモンド、グリセロール、ソルビトール、植物性油、グルコースシロップ、香味剤、加糖練乳、ダイズレシチン、脂肪酸モノ−およびジグリセリド、カラメルシロップ、マルトデキストリン、塩、ソルビン酸カリウム、α−トコフェロール
QSP 50gのバー1本
【0172】
該組成物を1日1回投与する。
【0173】
2.6 プラリネ風味の乳飲料の例
マツブサ属濃縮物 200mg
・ポリフェノールを豊富に含む緑茶抽出物 100mg
・ビタミンB群(B1、B2、B3、B5、B6、B9、B12)
QSP 100%RDA
・Zn、Mg、Se QSP 100%RDA
・脱脂粉乳、香味剤、フルクトース、卵白、へーゼルナッツ、糖、カラメル、β−カロテン、キサンタンガム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ダイズレシチン、マルトデキストリン
QSP 30gパック1個
【0174】
該組成物を1日1回投与する。
【0175】
実施例3:酒さ炎症期におけるサネカズラペプチドおよび糖抽出物の活性
実施例3〜5では、「マツブサ属ペプチド」という表現は、ある特定の百分率のペプチドを含有するサネカズラペプチドおよび糖抽出物を指す。
【0176】
酒さ炎症期におけるマツブサ属ペプチドの潜在活性を評価するために、我々は、ケラチノサイトにおいてビタミンD類似体(カルシトリオール)によって誘導されるカリクレイン5(KLK5)およびカテリシジン(LL37)遺伝子発現に対するこの活性剤複合体の効果を研究した。
【0177】
材料と方法
正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を、Ca++を補給した培養培地で培養し、それらの細胞を分化状態に至らせた。
【0178】
それらのケラチノサイトを、10−7Mカルシトリオール(ビタミンD類似体)の存在下または不在下で0.05%(w/v)マツブサ属ペプチドで24時間処理した。
【0179】
処理終了時に、培養上清を除去し、抽出キット(RNeasy Mini Kit, Qiagen)を用いて全RNAを抽出した。次いで、Experio(商標)システムおよびExperion RNA StdSensキット(Bio-Rad)を用いてチップで全RNAをアッセイし、その後、iScript cDNA Synthesisキット(Bio-Rad)を用いてcDNAに逆転写した。
【0180】
対象となる遺伝子(KLK5およびLL37)または参照遺伝子に関する新合成cDNAを、SybrGreen技術(iQ SybrGreenキット、Bio-Rad)を用い、iQ5システム(Bio-Rad)においてリアルタイムPCRによって選択的に増幅した。
【0181】
リアルタイムRT−PCR法は、所定の処理に応じた、参照遺伝子と比較した対象遺伝子の発現レベルの相対定量が可能である。
【0182】
結果の定量的解析は、閾値に達したときのサイクル数(閾値サイクル)の収集に基づく。
【0183】
閾値サイクル(Ct)は、蛍光発光シグナルがバックグラウンドよりも統計的にかつ大幅に高いポイントである。閾値サイクルは、標的DNAの初期コピー数と直接相関している。
【0184】
各サンプルについて、対象遺伝子の発現レベルを、最も安定した参照遺伝子の発現レベルによって正規化した。最も安定した参照遺伝子は、GeNorm macroを用いて決定した;この場合には、最も安定した参照遺伝子は、GAPDH遺伝子である。
【0185】
よって、ΔCtは以下のとおり算出される:
【数1】

【0186】
第2の工程では、処理および対象遺伝子コピー数の関数として、差異を決定した。よって、ΔΔCtは以下のとおり算出される:
【数2】

【0187】
最後に、相対量(RQ)が算出される:RQ=(1+E)ΔΔCt。
【0188】
E(効率)は1に等しいと考えられるため:
【数3】

となる。
【0189】
ΔCt値について、結果の有意性を一要因分散分析によって検証し、続いてTukeyの検定を行った(GraphPad Prismバージョン5.02ソフトウェア、GraphPad Software, San Diego, California, USA)。
【0190】
結果
KLK5遺伝子発現:
カルシトリオール(ビタミンD類似体)は、ケラチノサイトによるカリクレイン5遺伝子発現を強くかつ有意に刺激した(+149%、p<0.01)。
【0191】
マツブサ属ペプチドは、カルシトリオールによって誘導されるKLK5発現を有意に阻害した(54%阻害、p<0.01)。
【0192】
【表30】

【0193】
LL37遺伝子発現:
カルシトリオールは、ケラチノサイトによるLL37遺伝子発現を強くかつ有意に刺激した(+795%、p<0.001)。
【0194】
マツブサ属ペプチドは、カルシトリオールによって誘導されるLL37発現を有意に阻害した(58%阻害、p<0.01)。
【0195】
【表31】

【0196】
結論
これらの実験条件下では、マツブサ属ペプチドは、酒さにおいて増加するマーカー、カテリシジン(LL37)、ならびにその成熟に関与する酵素、カリクレイン5の発現を調節した。
【0197】
従って、マツブサ属ペプチドは、酒さにおける炎症応答誘導の調節に役立つことができる。
【0198】
実施例4:他の炎症パラメーターに対するサネカズラペプチドおよび糖抽出物の活性
材料と方法
正常ヒトケラチノサイトを、濃度0.005%および0.05%のマツブサ属ペプチドとともにまたは10−7Mデキサメタゾン(抗炎症参照分子)とともに24時間プレインキュベートした。
【0199】
次いで、常にマツブサ属ペプチドまたはデキサメタゾンの存在下で、10μg/ml PMAでの24時間の処理によって炎症を誘導した。
【0200】
インキュベーション終了時に、培養上清中に存在するインターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−8(IL−8)およびインターロイキン−6(IL−6)の量をELISAによって測定した。
【0201】
同時に、生物活性のある細胞の数をニュートラルレッド試験によって測定する。各条件で測定されたサイトカインの量は、ニュートラルレッド試験終了時に得られたOD540値で割ることによって生存細胞の数に変えられる。
【0202】
結果の有意性を一要因分散分析によって検証し、続いてTukeyの検定を行った(GraphPad Prismバージョン5.02ソフトウェア、GraphPad Software, San Diego, California, USA)。
【0203】
結果
IL−1β分泌:
PMAでの処理は、ケラチノサイトによるIL−1βの放出を明らかに刺激し、デキサメタゾンは、この放出を明らかに阻害した(−65%);これらの結果は、本試験の正当性を実証している。
【0204】
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、ケラチノサイトにおいてPMAによって誘導されるIL−1β分泌を有意に阻害した:0.005%では64%阻害(p<0.001)および0.05%では56%阻害(p<0.001)。
【0205】
【表32】

【0206】
IL−8分泌:
PMAでの処理は、ケラチノサイトによるIL−8の放出を明らかに刺激し、デキサメタゾンは、この放出を明らかに阻害した(−53%);これらの結果は、本試験の正当性を実証している。
【0207】
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、PMAによって誘導されるIL−8の放出を有意に阻害した:0.005%では58%阻害(p<0.001)および0.05%では37%阻害(p<0.001)。
【表33】

【0208】
IL−6分泌:
PMAでの処理は、ケラチノサイトによるIL−6の分泌を有意に誘導し、デキサメタゾンは、この放出を阻害した;これらの結果は、本試験の正当性を実証している。
【0209】
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、PMAによって誘導されるIL−6の放出を強くかつ有意に阻害した:0.005%では−70%(p<0.001)および0.05%では−74%(p<0.001)。
【0210】
【表34】

【0211】
結論
これらの実験条件下では、マツブサ属ペプチドは、1種の一次サイトカイン(IL−1β)および2種の二次サイトカイン(IL−8およびIL−6)に対して炎症調節効果を示した。
【0212】
実施例5:血管パラメーターに対するサネカズラペプチドおよび糖抽出物の活性
5.1.内皮細胞増殖の制限
材料と方法
正常ヒト皮膚微小血管内皮細胞を、濃度0.05%および0.1%のマツブサ属ペプチドの不在下(対照)または存在下で、かつ10ng/ml血管内皮細胞増殖因子(VEGF)(参照アクチベーター)の存在下および不在下で、24時間または48時間インキュベートした。
【0213】
インキュベーション終了時に、細胞の生存を、細胞内ホスファターゼ活性の分光分析によって評価した。
【0214】
統計的有意性を一要因分散分析によって評価し、続いてHolm−Sidak検定を行った。
【0215】
結果
VEGFの不在下での内皮細胞増殖:
ベースライン条件(VEGFなし)では、内皮細胞増殖は、マツブサ属ペプチドでの24時間の処理後に、試験した両濃度において有意に減少した:
【0216】
【表35】

【0217】
VEGFの存在下での内皮細胞増殖:
VEGFは、対照細胞と比較して内皮細胞増殖を有意に刺激した:24時間のインキュベーション後には+41.4%(p<0.01)、48時間のインキュベーション後には+96.3%(p<0.01)。この結果は、本試験の正当性を実証している。
【0218】
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、VEGFによって誘導される内皮細胞増殖を有意に阻害した:
【0219】
【表36】

【0220】
結論
マツブサ属ペプチドは、内皮細胞増殖を制限することによって、血管新生の初期段階を制限することができる。
【0221】
5.2.ケラチノサイトにおける血管新生マーカーの発現に対する効果
マツブサ属ペプチドの抗血管新生効果を理解するために、血管新生に関与する特定の遺伝子マーカーまたはタンパク質マーカーについてのケラチノサイトにおける発現、特に血管新生促進増殖因子VEGFおよびFGF−2ならびに抗血管新生マーカー、トロンボスポンジン−1(THBS−1)の発現を研究した。
【0222】
A.血管新生促進マーカー(VEGF、FGF−2)遺伝子の発現
材料と方法
正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を、0.05%および0.1%(w/v)マツブサ属ペプチドの存在下で48時間インキュベートした。
【0223】
処理終了時に、培養上清を除去し、抽出キット(RNeasy Mini Kit, Qiagen)を用いて全RNAを抽出した。次いで、Experio(商標)システムおよびExperion RNA StdSensキット(Bio-Rad)を用いてチップで全RNAをアッセイし、その後、iScript cDNA Synthesisキット(Bio-Rad)を用いてcDNAに逆転写した。
【0224】
対象となる遺伝子(VEGF、FGF−2、HIF−1α、THBS−1)または参照遺伝子に関する新合成cDNAを、SybrGreen技術(iQ SybrGreenキット、Bio-Rad)を用い、iQ5システム(Bio-Rad)においてリアルタイムPCRによって選択的に増幅した。
【0225】
リアルタイムRT−PCR法は、所定の処理に応じた、参照遺伝子と比較した対象遺伝子の発現レベルの相対定量が可能である。
【0226】
結果の定量的解析は、閾値に達したときのサイクル数(閾値サイクル)の収集に基づく。
【0227】
閾値サイクル(Ct)は、蛍光発光シグナルがバックグラウンドよりも統計的にかつ有意に高いポイントである。閾値サイクルは、標的DNAの初期コピー数と直接相関している。
【0228】
各サンプルについて、対象遺伝子の発現レベルを、最も安定した参照遺伝子の発現レベルによって正規化した。最も安定した参照遺伝子は、GeNorm macroを用いて決定した;この場合には、最も安定した参照遺伝子は、YWHAZ遺伝子である。
【0229】
よって、ΔCtは以下のとおり算出される:
【数4】

【0230】
第2の工程では、処理および対象遺伝子コピー数の関数として、差異を決定した。よって、ΔΔCtは以下のとおり算出される:
【数5】

【0231】
最後に、相対量(RQ)が算出される:RQ=(1+E)ΔΔCt。
【0232】
E(効率)は1に等しいと考えられるため:
【数6】

となる。
【0233】
ΔCt値について、結果の有意性を一要因分散分析によって検証し、続いてDunnettの検定を行った(GraphPad Prismバージョン5.02ソフトウェア、GraphPad Software, San Diego, California, USA)。
【0234】
結果
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)遺伝子発現:
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、ケラチノサイトによるVEGF遺伝子発現を非常に強くかつ有意に阻害した:0.05%では89%阻害(p<0.001)および0.1%では93%阻害(p<0.001)。
【0235】
【表37】

【0236】
塩基性繊維芽細胞増殖因子(FGF−2)遺伝子発現:
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、ケラチノサイトによるFGF−2発現を非常に強くかつ有意に阻害した:0.05%では93%阻害(p<0.001)および0.1%では95%阻害(p<0.001)。
【0237】
【表38】

【0238】
トロンボスポンジン−1遺伝子発現:
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、ケラチノサイトによるトロンボスポンジン−1、抗血管新生因子の発現を有意に刺激した:0.05%では+118%(p<0.01)および0.1%では+60%(p<0.05)。
【0239】
【表39】

【0240】
B.血管新生マーカータンパク質(VEGF)の発現
材料と方法
正常ヒトケラチノサイトを、濃度0.005%、0.05%および0.1%のマツブサ属ペプチドとともにまたは10−7Mデキサメタゾン(抗炎症参照分子)とともに24時間プレインキュベートした。
【0241】
次いで、常にマツブサ属ペプチドまたはデキサメタゾンの存在下で、10μg/ml PMAでの24時間の処理によって炎症を誘導した。
【0242】
インキュベーション終了時に、培養上清中に存在するVEGFの量をELISAによって測定した。
【0243】
同時に、生物活性のある細胞の数をニュートラルレッド試験によって測定する。各条件で測定されたサイトカインの量は、ニュートラルレッド試験終了時に得られたOD540値で割ることによって生存細胞の数に変えられる。
【0244】
結果の有意性を一要因分散分析によって検証し、続いてTukeyの検定を行った(GraphPad Prismバージョン5.02ソフトウェア、GraphPad Software, San Diego, California, USA)。
【0245】
結果
PMAでの処理は、ケラチノサイトによるVEGF分泌を有意に誘導し、デキサメタゾンは、この放出を阻害した(−46%);これらの結果は、本試験の正当性を実証している。
【0246】
マツブサ属ペプチドは、試験した3種の濃度において、PMAによって誘導されるVEGF放出を強くかつ有意に阻害した:それぞれ63%、72%および69%阻害(p<0.001)。
【0247】
【表40】

【0248】
C.結論
上に示した実験条件下で、我々は、マツブサ属ペプチドは、ケラチノサイトにおいて、血管新生の誘導に関与する因子の発現を調節したことから、ペプチドが抗血管新生効果を有することを立証した。
【0249】
実際に、マツブサ属ペプチドは、血管新生促進マーカー(FGF−2、VEGF)の発現を減少させ、抗血管新生マーカー(THBS−1)の発現を増加させた。
【0250】
このように、新血管新生の初期現象である血管新生を抑制することによって、マツブサ属ペプチドは、内皮細胞の活性化および新生血管の合成を制限することができる。
【0251】
5.3.血管拡張に対する効果:エンドセリン−1の発現
エンドセリンは、強力な血管収縮活性を有するニューロペプチドである。エンドセリンは、内皮細胞および上皮細胞(ケラチノサイト)、繊維芽細胞、脂肪細胞およびマクロファージによって分泌される。内皮細胞によるエンドセリン産生に対するマツブサ属ペプチドの効果を研究した。
【0252】
材料と方法
単層で培養した正常成人ヒト皮膚微小血管内皮細胞を、0.05%および0.1%マツブサ属ペプチドまたは16.7nMインスリン(参照アクチベーター)の不在下(対照)または存在下で6時間インキュベートした。
【0253】
インキュベーション期間終了時に、分泌されたエンドセリンをELISAによって定量した。同時に、細胞溶解物中に含まれるタンパク質をブラッドフォード法によって定量した。
【0254】
そこで、測定されたエンドセリンの量は、総タンパク質量で正規化し、結果を、細胞層中の総タンパク質量(μg)に対するエンドセリン(ng)の比として表した。
【0255】
結果の統計的有意性を一要因分散分析によって評価し、続いてHolm−Sidak検定を行った。
【0256】
結果
マツブサ属ペプチドは、試験した両濃度において、内皮細胞によるエンドセリン産生を有意に増加させた:0.05%では+67%(p<0.05)および0.1%では+78%(p<0.05)。
【0257】
【表41】

【0258】
結論
エンドセリン活性化の発現に対する効果によって、マツブサ属ペプチドは、血管拡張に対して調節効果を有し得るため、皮膚発赤を軽減することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種のペプチドおよび糖抽出物;
次の分析結果:
【表1】

の1種の粗製油;
次の分析結果:
【表2】

の1種の精製油;
該精製油の1種の濃縮物;または
該精製油濃縮物から生じる1種の不鹸化物
から選択される少なくとも1種のサネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物を含んでなる、化粧用、皮膚科用または栄養補給用の組成物。
【請求項2】
ペプチドおよび糖抽出物が、10重量%〜50重量%のペプチドおよび10重量%〜60重量%の糖からなり、その百分率が、該抽出物の総重量に対して表される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
サネカズラ果実抽出物に加えて、少なくとも1種の他の活性化合物を含んでなる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも2種のサネカズラ果実抽出物を含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実のペプチドおよび糖抽出物の製造のための方法であって、以下の連続する工程:
マツブサ属(Schisandra)の果実から出発する、粗製油の超臨界COによる抽出および脱脂固形油かすの回収;
該固形油かすの水相分散;
セルラーゼ、プロテアーゼおよびα−アミラーゼの酵素混合物による該固形油かすの酵素処理、次いで
遠心分離、限外濾過、ナノフィルトレーションおよびそのペプチド抽出物の回収
を含んでなる、方法。
【請求項6】
請求項1に定義された粗製油からの精製サネカズラ(Schisandra sphenanthera)油の製造のための方法であって、該粗製油の分子蒸留工程を含んでなる、方法。
【請求項7】
分子蒸留工程が遠心式分子蒸留器およびワイプトフィルム分子装置から選択される装置を用いて行われる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1に定義された精製油からの精製サネカズラ(Schisandra sphenanthera)油濃縮物の製造のための方法であって、該精製油の分子蒸留工程を含んでなる、方法。
【請求項9】
サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実不鹸化物の製造のための方法であって、請求項8に記載の方法によって得られた精製サネカズラ果実油濃縮物の鹸化工程と、その後の、好適な溶媒を用いた該不鹸化物の抽出工程を含んでなる、方法。
【請求項10】
化粧用組成物における、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、請求項1に定義されたようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択されるサネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物の使用。
【請求項11】
食品組成物における、アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、請求項1に定義されたようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択されるサネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物の使用。
【請求項12】
アレルギー性、炎症性または刺激性反応または病変の予防および治療、あるいは皮膚および/または粘膜および/または未成熟、正常または成熟/老齢上皮付属器のバリアまたはホメオスタシスの障害の予防および治療のための、請求項1に定義されたようなペプチドおよび糖抽出物または粗製油または精製油または濃縮物または不鹸化物から選択されるサネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実抽出物の治療的使用。
【請求項13】
化粧用組成物における、皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび酒さの治療および予防のための、サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実のペプチドおよび糖抽出物の使用。
【請求項14】
食品組成物における、皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび酒さの治療および予防のための、サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実のペプチドおよび糖抽出物の使用。
【請求項15】
皮膚発赤、エリトロ・コウペロースおよび/または酒さの治療および予防のための、サネカズラ(Schisandra sphenanthera)果実のペプチドおよび糖抽出物の治療的使用。

【公表番号】特表2013−500308(P2013−500308A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−522149(P2012−522149)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060873
【国際公開番号】WO2011/012612
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(503028525)ラボラトワール エクスパンシアンス (12)
【Fターム(参考)】