説明

シフト装置

【課題】アクチュエータを介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合に、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である車両用シフト装置を提供する。
【解決手段】障害物が検出された際に所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無を判定する特殊操作判定手段150と、特殊操作が有ると判定された場合には、動力伝達経路解放手段148によりニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを特殊操作により指定された走行レンジへ復帰させる走行レンジ復帰手段152とを含むことから、障害物が検出され動力伝達が遮断された場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である。すなわち、状況に合わせて適宜車両が走行させられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータを介して走行レンジを切り換える車両用シフト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シフト操作体の操作に基づく電気的指令信号等に従って駆動するアクチュエータにより走行レンジが切り換えられる所謂シフトバイワイヤ方式の車両用シフト装置が知られている。このような車両用シフト装置では、シフト操作体の操作を伝達するリンク機構等の機械的構成が不要となる。このため、そのシフト操作体の操作性向上、およびシフト操作体等の部品の小型化、車内におけるレイアウト性向上が可能となる。
【0003】
また、上記車両用シフト装置においては、上記シフト操作体の操作に基づく電気的指令信号ではなく、その他の電気的指令信号であっても走行レンジを切り換えることが可能である。このことを利用して、たとえば、特許文献1においては、車両の前方に障害物が検出された場合は前進走行レンジへの走行レンジ切り換えを不能にし、車両の後方に障害物が検出された場合は後進走行レンジへの走行レンジ切り換えを不能にする制御を実行するシフト装置が記載されている。また、特許文献2および特許文献3においては、車両の前方あるいは後方に障害物が検知された場合は走行レンジをエンジンからの動力伝達を遮断する走行レンジに切り換える制御を実行するシフト装置が記載されている。それらのシフト装置によれば、車両と障害物との距離が接近した状況で、たとえ運転者がアクセルペダルを操作していたとしても、障害物への更なる接近が抑止される、すなわち障害物との衝突が回避できる。
【特許文献1】特開2002−248963号公報
【特許文献2】特開2004−092849号公報
【特許文献3】特開2003−065430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような障害物の検出はコンピュータにより実行されるので、誤作動を伴う場合がある。そのような場合には、安全が確認され次第、速やかに走行状態に復帰されることが望まれる。また、実際に障害物が有るとしても、状況によっては、たとえば、その障害物を走行しつつ回避できる場合も考えられる。したがって、障害物が検出された場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能であることが望まれる。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、アクチュエータを介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合に、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である車両用シフト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、(a) シフト操作体の操作に基づいてアクチュエータが駆動されることにより走行レンジが切り換えられる車両において、走行中の路面上に障害物が検出された際には、該車両の動力伝達経路を遮断するニュートラルレンジへ切り換える車両用シフト装置であって、(b) 前記障害物が検出された際に所定のシフト操作体の予め設定された特殊操作の有無を判定する特殊操作判定手段と、(c) 該特殊操作判定手段により特殊操作が有ると判定された場合には、前記ニュートラルレンジから該特殊操作により指定された走行レンジへ復帰させる走行レンジ復帰手段とを、含むことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記走行レンジ復帰手段は、前記走行レンジにて走行中の前記車両の進行方向に障害物が検出された際に前記特殊操作判定手段により前記走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合には、前記ニュートラルレンジから該走行レンジに復帰させるものであることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された一定時間以上操作され続けることであることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、請求項1または2の発明において、前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された所定時間以内に複数回操作されることであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1の発明において、前記障害物が検出された際のニュートラルレンジへの切り換えが実行されたことを警告表示および/または警告音により報知する報知器を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1の発明において、(a) 前記障害物の検出に用いられる障害物検出装置の異常を検出する障害物検出装置異常判定手段を含み、(b) 該障害物検出装置異常判定手段により該障害物検出装置の異常が検出された場合には、前記ニュートラルレンジへの切り換えが実行されないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明の車両用シフト装置によれば、(b) 前記障害物が検出された際に所定のシフト操作体の予め設定された特殊操作の有無を判定する特殊操作判定手段と、(c) 該特殊操作判定手段により特殊操作が有ると判定された場合には、前記ニュートラルレンジから該特殊操作により指定された走行レンジへ復帰させる走行レンジ復帰手段とを、含むことから、アクチュエータを介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能となる。すなわち、状況に合わせて適宜車両が走行させられる。
【0013】
また、請求項2に係る発明の車両用シフト装置によれば、前記走行レンジ復帰手段は、前記走行レンジにて走行中の前記車両の進行方向に障害物が検出された際に前記特殊操作判定手段により前記走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合には、前記ニュートラルレンジから該走行レンジに復帰させるものである。たとえば、前記走行レンジ復帰手段は、前進走行レンジにて前進走行中の前記車両の前方に障害物が検出された際に前記特殊操作判定手段により前進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合に、前記ニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを該前進走行レンジに復帰させるか、あるいは、後進走行レンジにて後進走行中の前記車両の後方に障害物が検出された際に前記特殊操作判定手段により後進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合に、前記ニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを該後進走行レンジに復帰させるかの少なくともいずれかを実行するものである。したがって、アクチュエータを介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である。
【0014】
また、請求項3に係る発明の車両用シフト装置によれば、前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された一定時間以上操作され続けることであるから、レンジ切換のために一般的に実行される通常の操作とは異なる特殊な操作であるので、より正確に運転者の意思を反映させることができる。
【0015】
また、請求項4に係る発明の車両用シフト装置によれば、前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された所定時間以内に複数回操作されることであるから、レンジ切換のために一般的に実行される通常の操作とは異なる特殊な操作であるので、より正確に運転者の意思を反映させることができる。
【0016】
また、請求項5に係る発明の車両用シフト装置によれば、前記障害物が検出された際のニュートラルレンジへの切り換えが実行されたことを警告表示および/または警告音により報知する報知器を含むことから、障害物が検出されたこと、およびそれにより走行レンジが強制的に変更されたことが確実に運転者に報知されるので、運転者のより的確な判断が可能である。
【0017】
また、請求項6に係る発明の車両用シフト装置によれば、(a) 前記障害物の検出に用いられる障害物検出装置の異常を検出する障害物検出装置異常判定手段を含み、(b) 該障害物検出装置異常判定手段により該障害物検出装置の異常が検出された場合には、前記ニュートラルレンジへの切り換えが実行されないことから、誤検出により走行レンジが強制的に切り換えられることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明が適用された車両用の自動変速機10の構成を説明する骨子図である。また、図2は、自動変速機10の複数のギヤ段(変速段)を成立させる際の係合要素の作動の組み合わせを説明する作動表である。この自動変速機10は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース(以下、ケースと表す)30内において、ダブルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成されている第1変速部14と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置16およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体として構成されている第2変速部20とを共通の軸心C上に備え、入力軸22の回転を変速して出力軸24から出力する。入力軸22は、入力回転部材に相当するものであり、本実施例では走行用の動力源であるエンジン26によって回転駆動されるトルクコンバータ28のタービン軸である。出力軸24は、出力回転部材に相当するものであり、たとえば図示しない差動歯車装置(終減速機)や一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機10は、軸心Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその軸心Cの下半分が省略されている。
【0020】
第1遊星歯車装置12は、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するキャリヤCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備え、サンギヤS1、キャリヤCA1、およびリングギヤR1によって3つの回転要素が構成されている。キャリヤCA1は入力軸22に連結されて回転駆動され、サンギヤS1は回転不能にケース30に一体的に固定されている。リングギヤR1は中間出力部材として機能し、入力軸22に対して減速回転させられて、回転を第2変速部20へ伝達する。本実施例では、入力軸22の回転をそのままの速度で第2変速部20へ伝達する経路が、予め定められた一定の変速比(=1.0)で回転を伝達する第1中間出力経路PA1であり、第1中間出力経路PA1には、入力軸22から第1遊星歯車装置12を経ることなく第2変速部20へ回転を伝達する直結経路PA1aと、入力軸22から第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1を経て第2変速部20へ回転を伝達する間接経路PA1bとがある。また、入力軸22からキャリヤCA1、そのキャリヤCA1に配設されたピニオンギヤP1、およびリングギヤR1を経て第2変速部20へ伝達する経路が、第1中間出力経路PA1よりも大きい変速比(>1.0)で入力軸22の回転を変速(減速)して伝達する第2中間出力経路PA2である。
【0021】
第2遊星歯車装置16は、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するキャリヤCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。また、第3遊星歯車装置18は、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3、そのピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するキャリヤCA3、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。
【0022】
第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18では、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。具体的には、第2遊星歯車装置16のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置16のキャリヤCA2および第3遊星歯車装置18のキャリヤCA3が互いに一体的に連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置16のリングギヤR2および第3遊星歯車装置18のリングギヤR3が互いに一体的に連結されて第3回転要素RM3が構成され、第3遊星歯車装置18のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。この第2遊星歯車装置16および第3遊星歯車装置18は、キャリヤCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置16のピニオンギヤP2が第3遊星歯車装置18の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
【0023】
第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1を介してケース30に選択的に連結されて回転停止され、第3クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置12のリングギヤR1(すなわち第2中間出力経路PA2)に選択的に連結され、さらに第4クラッチC4を介して第1遊星歯車装置12のキャリヤCA1(すなわち第1中間出力経路PA1の間接経路PA1b)に選択的に連結されている。第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびCA3)は、第2ブレーキB2を介してケース30に選択的に連結されて回転停止させられるとともに、第2クラッチC2を介して入力軸22(すなわち第1中間出力経路PA1の直結経路PA1a)に選択的に連結されている。第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸24に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に連結されている。なお、第2回転要素RM2とケース30との間には、第2回転要素RM2の正回転(入力軸22と同じ回転方向)を許容しつつ逆回転を阻止する一方向クラッチF1が第2ブレーキB2と並列に設けられている。
【0024】
第3回転部材RM3の外周側には、後述のシフト制御機構105の一部を構成し、パーキングロックポール106と噛み合うことにより出力軸24の回転を阻止するパーキングギヤ108が固設されている。
【0025】
図2の作動表は、自動変速機10において各変速段を成立させる際のクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の作動状態を説明する図表であり、「○」は係合状態を、「(○)」はエンジンブレーキ時のみ係合状態を、空欄は解放状態をそれぞれ表している。第1変速段「1st」を成立させるブレーキB2には並列に一方向クラッチF1が設けられているため、発進時(加速時)には必ずしもブレーキB2を係合させる必要は無い。また、各変速段毎に異なる変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、および第3遊星歯車装置18の各ギヤ比ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
【0026】
本実施例の自動変速機10は、図2に示すように複数の係合要素すなわちクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2を選択的に係合させることによりギヤ比(=入力軸回転速度NIN/出力軸回転速度NOUT)が異なる前進8段を含む複数の変速段を成立させるものである。また、図2の作動表から明らかなように、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2の何れか2つを掴み替える所謂クラッチツウクラッチにより各変速段の変速を行うことができる。上記クラッチC1〜C4、およびブレーキB1、B2(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBと表す)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置である。
【0027】
図3は、クラッチCおよびブレーキBの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブSL1〜SL6等に関する油圧制御回路32の要部を示す回路図である。
【0028】
図3において、油圧供給装置34は、エンジン26によって回転駆動される機械式のオイルポンプ36(図1参照)から発生する油圧を元圧としてライン油圧(第1ライン油圧)PL1を調圧する例えばリリーフ型のプライマリレギュレータバルブ(第1調圧弁)38と、そのプライマリレギュレータバルブ38によるライン油圧PL1の調圧のためにプライマリレギュレータバルブ38から排出される油圧を元圧としてセカンダリ油圧(第2ライン油圧)PL2を調圧するセカンダリレギュレータバルブ(第2調圧弁)40と、アクセル開度Acc或いはスロットル弁開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じたライン油圧PL1およびセカンダリ油圧PL2が調圧されるためにプライマリレギュレータバルブ38およびセカンダリレギュレータバルブ40へ信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLTと、ライン油圧PL1を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ42と、 後述のシフトレバー(シフト操作体)43の操作に基づく電気的指令信号Sに従って駆動する電動アクチュエータ(アクチュエータ)44により油路が切り換えられ、入力されたライン油圧PL1をシフトレバー43がその操作位置すなわちシフト位置である後述の「D」ポジション或いは「B」ポジションへ操作されたときにはDレンジ圧(前進走行レンジ圧、前進油圧)PDとして出力し、後述の「R」ポジションへ操作されたときにはRレンジ圧(後進走行レンジ圧、後進油圧)PRとして出力し、後述の「N」ポジションまたは「P」ポジションへ操作されたときには油圧の出力を遮断するマニュアルバルブ46とを備えており、ライン油圧PL1、セカンダリ油圧PL2、モジュレータ油圧PM、Dレンジ圧PD、およびRレンジ圧PRを供給するようになっている。
【0029】
クラッチC1、C2、およびブレーキB1、B2の各油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)48、50、56、58には、油圧供給装置34から出力されたDレンジ圧PDがそれぞれリニアソレノイドバルブSL1、SL2、SL5、SL6により調圧されて供給され、クラッチC3およびC4の各油圧アクチュエータ52、54には、油圧供給装置34から出力されたライン油圧PL1がそれぞれリニアソレノイドバルブSL3、SL4により調圧されて供給されるようになっている。なお、ブレーキB2の油圧アクチュエータ58には、リニアソレノイドバルブSL6の出力油圧およびRレンジ圧PRのうちの何れかがシャトル弁59を介して供給される。
【0030】
リニアソレノイドバルブSL1〜SL6は、基本的には何れも同じ構成であり、それぞれ独立に励磁、非励磁や電流制御がなされ、各油圧アクチュエータ48〜58の油圧を独立に調圧制御してクラッチC1〜C4、ブレーキB1、B2の係合圧をそれぞれ制御するものである。そして、自動変速機10は、例えば図2の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各変速段が成立させられる。例えば、図2の係合作動表に示すように5速→4速のダウンシフトでは、クラッチC2が解放されると共にクラッチC4が係合され、変速ショックを抑制するようにクラッチC2の解放過渡油圧とクラッチC4の係合過渡油圧とが適切に制御される。このように、自動変速機10の油圧式摩擦係合装置(クラッチC、ブレーキB)がリニアソレノイドバルブSL1〜SL6により各々制御されるので、係合装置の作動の応答性が向上される。また、その油圧式摩擦係合装置の係合、解放作動の為の油圧回路が簡素化される。
【0031】
図4は、図1の自動変速機10などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。電子制御装置(ECU)60は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、RAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン26の出力制御や自動変速機10の変速制御等を実行するようになっている。また、電子制御装置60は、必要に応じてエンジン制御用やリニアソレノイドバルブSL1〜SL6を制御する変速制御用等に分けて構成される。
【0032】
図4に示すように、電子制御装置60には、車両に設けられた各種センサやスイッチ等から、たとえば、クランクポジションセンサ62から検出されるクランクポジションP(クランク角度(位置)ACRおよびエンジン26の回転速度Nに対応)、タービン回転速度センサ64から検出されるトルクコンバータ28のタービン回転速度N(入力軸22の回転速度NINに対応)、出力軸回転速度センサ66から検出される出力軸24の回転速度NOUT(車速Vに対応)、吸入空気量センサ68から検出されるエンジン26の吸入空気量QAIR、レバーポジションセンサ70から検出される後述のシフト操作装置97のシフトレバー(シフト操作体)43のレバーポジションPSH、アクセル開度センサ72から検出されるアクセルペダル74の操作量であるアクセル開度Acc、スロットル弁開度センサ76から検出される吸気配管に設けられた電子スロットル弁の開き角すなわちスロットル弁開度θTH、ブレーキスイッチ78から検出される常用ブレーキであるフットブレーキ80の操作の有無を表すブレーキ操作信号BON、AT油温センサ82から検出される油圧制御回路32内の作動油の温度である油温TOIL、加速度センサ84から検出される車両の加速度(減速度)G、ロータリエンコーダ45から検出される電動アクチュエータ44の作動量すなわち本実施例では回転角度を示すパルス信号Sなどを表す信号が供給される。
【0033】
さらに、電子制御装置60には、車両のたとえばフロントグリル等の前端部に設けられた前方カメラ86からその車両前方の所定領域の撮像画像情報が供給され、車両のたとえばリヤバンパー等の後端部に設けられた後方カメラ88からその車両後方の所定領域の撮像画像情報が供給される。本実施例の前方カメラ86および後方カメラ88は、CCDカメラによって構成されているが、CMOSカメラ等のほかのカメラであってもよい。なお、本実施例においては、前方カメラ86および後方カメラ88が障害物検出装置に相当する。また、上記所定領域とは、好適には、運転者が着席した際に死角となる領域を含んだ領域に設定される。
【0034】
電子制御装置60からは、たとえば電子スロットル弁の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータへの駆動信号や燃料噴射装置から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号やイグナイタによるエンジン26の点火時期を制御するための点火時期信号など、エンジン26の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Sが出力される。また、たとえば前述のように自動変速機10の変速段を切り換えるために油圧制御回路32内のリニアソレノイドバルブSL1〜SL6の励磁、非励磁などを制御するためのバルブ指令信号やライン油圧PL1やセカンダリ油圧PL2を制御するためのリニアソレノイドバルブSLTへの駆動信号など、自動変速機10の変速制御の為の変速制御指令信号Sが出力される。また、シフトレバー43のシフト操作すなわちレバーポジションPSHに応じてシフト切換すなわち走行レンジの切り換えを実施するために、電動モータ、ソレノイドなどからなる電動アクチュエータ44を作動させる電気的な指令信号Sが出力される。すなわち、本実施例の自動変速機10は、シフトレバー43の操作に基づく電気的指令信号Sに従って電動アクチュエータ44が駆動されることにより走行レンジが切り換えられるようになっている。なお、本実施例の電子制御装置60は、ロータリエンコーダ45から出力されるパルス信号Sを取得して上記電動モータの実際の回転状況を検出し、実際の位置が指令位置となるように電動アクチュエータ44を駆動するフィードバック制御を行う。
【0035】
さらに、電子制御装置60からは、上記供給された車両前方あるいは後方の撮像画像情報に対して画像処理が施された結果に基づいて、走行中の路面上に障害物が有ると判断された場合に、たとえば、警告表示させるために車内に設けられた警告灯(報知器)90を点灯させる指令信号S、警告音を発するために警告ブザー(報知器)92を作動させる指令信号Sが出力される。
【0036】
電子制御装置60は、たとえば車速V及びアクセル操作量Accがパラメータとして予め記憶された関係(マップ、変速線図)から、実際の車速V及びアクセル操作量Accに基づいて変速判断を行い、その判断に応じた変速段が得られるよう変速制御を行う。たとえば、車速Vが低くなったりアクセル操作量Accが大きくなったりするに従って、変速比が大きい低速側の変速段が成立させられる。この変速制御においては、その変速判断がなされた変速段が成立させられるように、上述のように油圧制御回路32内の複数のリニアソレノイド弁SLの励磁、非励磁や電流制御が実行されることで、複数の油圧式摩擦係合装置(クラッチCやブレーキB)の係合、解放状態がそれぞれ切り換えられるとともに変速過程の過渡油圧が制御される。つまり、前記リニアソレノイド弁SLの励磁、非励磁をそれぞれ制御することによりクラッチC及びブレーキBの係合、解放状態が切り換わり、第1変速段「1st」〜第8変速段「8th」のいずれか1の前進変速段、エンジン26からの動力伝達を遮断するパーキングおよびニュートラル、あるいは第1後進変速段「Rev1」〜第2後進変速段「Rev2」のいずれか1の後進変速段が成立させられようになっている。なお、スロットル弁開度θTHや吸入空気量QAIR、路面勾配などに基づいて変速制御が行われる等、種々の態様が可能である。
【0037】
図4に示すシフト操作装置97は、例えば運転席の近傍に配設されて運転者のシフト意思に応じて操作されるもので、図5に示すように車両前後(縦)方向に配列された3つの「R」ポジション、「N」ポジション、「D」ポジション、およびそれに平行に配列された手動操作用の3つの「+」ポジション、「B」ポジション、「−」ポジションへH型パターンで操作されるシフトレバー43と、駐車する際に押圧操作される押釦式のP操作スイッチ94とを備えている。
【0038】
シフトレバー43は、図示しないスプリングの付勢力に従って、非操作時には図5に示す位置すなわち原位置(ホームポジション)に自動的に復帰させられるモーメンタリータイプ(自動復帰型)である。また、シフトレバー43は、上記原位置から「N」ポジションを通過して「D」ポジションまたは「R」ポジションへ操作され、また上記原位置から「B」ポジションを通過して「+」ポジションまたは「−」ポジションへ操作されるようになっている。シフト操作装置97は、シフトレバー43が上記各操作位置「R」ポジション、「N」ポジション、「D」ポジション、「+」ポジション、「B」ポジション、「−」ポジションへ操作されたことを検出する前記レバーポジションセンサ70をさらに備えており、P操作スイッチ94のON操作(「P」ポジション)を含めて、それ等のレバーポジションPSH、すなわち運転者のシフト意思が電気的に検出されるようになっている。
【0039】
ここで、たとえば、図5に示すH型パターンにおいて、上記構成のシフトレバー43が上記各操作位置のいずれか1に一定時間以上操作され続けた場合には、その操作位置に相当するレバーポジションPSHを示す信号が一定時間以上出力され続ける。また、上記構成のシフトレバー43が上記各操作位置のいずれか1に所定時間以内に複数回操作された場合には、その操作位置に相当するレバーポジションPSHを示す信号が所定時間以内に複数回出力される。
【0040】
上記「R」ポジションは、自動変速機10の走行レンジを出力軸24の回転方向を逆回転とする後進走行レンジに切り換えるため、すなわち前記第1後進変速段「Rev1」〜第2後進変速段「Rev2」のいずれか1の後進変速段を成立させるための後進走行ポジションである。
【0041】
また、上記「N」ポジションは、自動変速機10の走行レンジを自動変速機10内の動力伝達経路を遮断するニュートラルレンジに切り換えるための中立ポジションである。
【0042】
また、上記「D」ポジションは、自動変速機10の走行レンジを前進走行レンジに切り換えるため、すなわち前記第1ギヤ段「1st」〜第8ギヤ段「8th」のいずれか1の後進変速段を成立させるための前進走行ポジションである。
【0043】
また、P操作スイッチ94の操作により選択される「P」ポジションは、自動変速機10内の動力伝達経路を解放しすなわち自動変速機10内の動力伝達が遮断されるニュートラル状態(中立状態)とし且つ後述のシフト制御機構105によって機械的に出力軸24の回転を阻止(パーキングロック)するための駐車ポジションである。
【0044】
また、上記「B」ポジションは、ギヤ段の変化範囲を制限する複数種類の前進走行レンジすなわち高車速側のギヤ段が異なる複数種類の前進走行レンジを切り換えることにより手動変速が可能な前進走行ポジションである。この「B」ポジションにおいては、シフトレバー43の操作毎に変速範囲をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、シフトレバー43の操作毎に変速範囲をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションが備えられている。例えば、「B」ポジションにおいては、「8」レンジ〜「L」レンジの何れかがシフトレバー43の「+」ポジション或いは「−」ポジションへの操作に応じて変更される。また、「B」ポジションにおける「L」レンジは、第1ギヤ段「1st」にて第2ブレーキB2を係合させて一層エンジンブレーキ効果が得られるためのエンジンブレーキレンジでもある。
【0045】
「D」ポジションは、自動変速機10の変速可能な例えば図2に示す第1速ギヤ段乃至第8速ギヤ段の範囲で自動変速制御が実行される制御様式である自動変速モードを選択するシフトポジションでもあり、「B」ポジションは、自動変速機10の走行レンジの最高速側ギヤ段を超えない範囲で自動変速制御が実行されると共にシフトレバー43の手動操作により変更された変速レンジ(すなわち最高速側ギヤ段)に基づいて手動変速制御が実行される制御様式である手動変速モードを選択するシフトポジションでもある。
【0046】
図6は、自動変速器10に設けられているシフト制御機構105の構成を示す図である。なお、本実施例において「シフト位置」とは、マニュアルバルブ46の油路切換位置または後述のディテントプレート116の位置決め位置であって、前記駐車ポジションまたはパーキングレンジに対応するP位置、前記後進走行ポジションまたは後進走行レンジに対応するR位置、前記中立ポジションまたはニュートラルレンジに対応するN位置、前記前進走行ポジションまたは前進走行レンジに対応するD位置を意味し、R位置、N位置、およびD位置は非P位置と称する。
【0047】
シフト制御機構105は、自動変速機6の出力軸24に固定されたパーキングギヤ108と噛み合う噛合位置へ回動可能に設けられて選択的にパーキングギヤ108をロックするパーキングロックポール106と、パーキングロックポール106に係合するテーパ部材110に挿し通されてそのテーパ部材110を一端部において支持するパーキングロッド112と、パーキングロッド112に設けられてテーパ部材110をその小径方向へ付勢するスプリング114と、パーキングロッド112の他端部に回動可能に接続されて節度機構により少なくともP位置に位置決めされるディテントプレート116と、ディテントプレート116に固設されて一軸まわりに回転可能に支持されたシャフト118と、シャフト118を回転駆動させる電動アクチュエータ34と、電動アクチュエータ34の作動量すなわちシャフト118の回転角度を検出するロータリエンコーダ76と、ディテントプレート116の回転に節度を与えて各シフト位置に固定するディテントスプリング120およびその先端部に設けられた係合部122とを、備えている。また、ディテントプレート116には、前記マニュアルバルブ46のスプール(弁子)126の一端がピン124を介してそのピン124まわりに回動可能且つディテントプレート116に対してシャフト118とピン124とを結ぶ直線方向に相対移動可能に設けられており、シャフト118の回転すなわちディテントプレート116のシャフト118の軸心まわりの回動に伴ってスプール126がそのスプール126の軸心方向に摺動させられるようになっている。
【0048】
ディテントプレート116は、シャフト118を介して電動アクチュエータ44の駆動軸に作動的に連結されており、パーキングロッド112、ディテントスプリング120、係合部122などと共に電動アクチュエータ44により駆動されてシフト位置を切り換えるためのシフト位置決め部材として機能する。シャフト118、ディテントプレート116、パーキングロッド112、ディテントスプリング120、および係合部122は、シフトレンジ切換機構の役割を果たす。ディテントプレート116の頂部には、一対の内壁面128と130(図7参照)との間においてP位置、R位置、N位置、D位置に対応して設けられた4つの凹部が形成されており、それらのうちの端に位置する凹部132がP位置に対応している。また、ロータリエンコーダ45は、電動アクチュエータ44の駆動量すなわち回転量に応じた計数値(エンコーダカウント)を取得するためのパルス信号Sを電子制御装置60へ供給する。
【0049】
図6は、シフト位置がP位置であるときの状態を示している。この状態では、パーキングロックポール106がパーキングギヤ108をロックしており、車両の駆動軸の回転は妨げられている。この状態から、電子制御装置60から作動のための指令信号Sを受けた電動アクチュエータ44によりシャフト118が図6に示す矢印Cの方向に回転されると、ディテントプレート116を介してパーキングロッド112が図6に示す矢印Aの方向に押され、パーキングロッド112の先端に設けられたテーパ部材110によりパーキングロックポール106が図6に示す矢印Bの方向に押し下げられるとともに、マニュアルバルブ46のスプール126が図6に示す矢印Eの方向すなわちスプール126の軸心方向に摺動させられる。
【0050】
上記電動アクチュエータ44の作動すなわちディテントプレート116の回転に伴って、ディテントプレート116の頂部にP位置、R位置、N位置、D位置に対応して設けられた4つの凹部(谷)のうちの端に位置する谷、すなわち図7に示すP位置凹部132にあったディテントスプリング120の係合部122が、凸部134を乗り越えて他方の谷のいずれか、すなわち非P位置136(図7参照)へ移動させられる。係合部122は、その軸心まわりに回転可能にディテントスプリング120に設けられている。係合部122が非P位置136に到達するまでディテントプレート116がC方向へ回転したとき、パーキングロックポール106がパーキングギヤ108と噛み合うことのない位置まで押し下げられる。これにより、出力軸24およびこれに連結された車両の駆動輪が機械的に固定されなくなり、シフト位置が非P位置136に切り換えられる。そして、その切り換えられた非P位置136に対応する箇所に位置決めされたスプール126によりマニュアルバルブ46の油路が切り換えられるようになっている。
【0051】
一方、電動アクチュエータ44によりシャフト118がD方向に回転させられると、上記と逆の作動によりシフト位置がP位置に切り換えられるとともにマニュアルバルブ46の油路がパーキングレンジに対応する状態に切り換えられるようになっている。すなわち、シフトレバー43の操作に基づいて出力されるレバーポジションPSHに応じて電子制御装置60により電動アクチュエータ44が制御され、シャフト118が軸心まわりに回転させられることにより、ディテントプレート116を介してマニュアルバルブ46のスプール(弁体)126が機械的に一直線方向へ移動させられ、4箇所のシフト位置すなわちD位置、R位置、N位置、およびP位置に位置決めされて、油圧制御回路32の油路が切り換えられるようになっている。
【0052】
前記電子制御装置60は、シフトレバー43の操作に基づいて電動アクチュエータ44が駆動されることにより走行レンジが切り換えられる車両において、走行中の路面上に障害物が検出された場合には、その車両の動力伝達経路を遮断するニュートラルレンジへ切り換える、車両用シフト装置140としても機能している。図8は、その電子制御装置60の制御機能の一部、すなわち、車両用シフト装置140の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【0053】
図8において、障害物検出装置異常判定手段142は、本実施例における障害物検出装置に相当する前方カメラ86あるいは後方カメラ88の異常すなわち断線等の故障状態を判定する。具体的には、たとえば、前方カメラ86或いは後方カメラ88から車両の前方或いは後方の所定の撮像画像情報が出力されないこと等に基づいて判定される。
【0054】
障害物判定手段144は、前方カメラ86から供給される車両前方の所定領域の撮像画像情報に対して所定の画像処理を施した結果に基づいて、走行中或いは停止中の車両前方の路面上に障害物が有るか否かを判定する。また、障害物判定手段144は、後方カメラ88から供給される車両後方の所定領域の撮像画像情報に対して所定の画像処理を施した結果に基づいて、走行中或いは停止中の車両後方の路面上に障害物が有るか否かを判定する。
【0055】
走行レンジ判定手段146は、ロータリエンコーダ45から出力される電動アクチュエータ44の駆動量すなわち回転量に応じたパルス信号Sに基づいて、現在のマニュアルバルブ46の作動位置すなわち現在の走行レンジを判定する。たとえば、本実施例では、前進走行レンジ、後進走行レンジ、ニュートラルレンジ、あるいはパーキングレンジのいずれであるかが判定される。
【0056】
動力伝達経路解放手段148は、障害物検出装置異常判定手段142により障害物検出装置に異常があるとは判定されず、障害物判定手段144により障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが前進走行レンジ或いは後進走行レンジであると判定された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。
【0057】
さらに詳しくは、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両前方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが前進走行レンジであると判定された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。また、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両前方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが前進走行レンジではないと判定され、後述の特殊操作に相当しない通常の前進走行レンジへの切換操作が検出された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。
【0058】
また、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両後方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが後進走行レンジであると判定された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。また、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両後方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが後進走行レンジではないと判定され、後述の特殊操作に相当しない通常の後進走行レンジへの切換操作が検出された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。
【0059】
上記ニュートラルレンジへの切り換えが実行された際には、そのことを報知するために、例えば車内に設けられた警告灯90が点灯されて警告表示が行われ、また例えば車内に設けられた警告ブザー92が作動させられて警告音が発せられる。なお、障害物検出装置異常判定手段142により障害物検出装置の異常が検出された場合には、上記ニュートラルレンジへの切り換えすなわち動力伝達経路解放手段148が実行されない。
【0060】
特殊操作判定手段150は、障害物判定手段144において障害物が有ると判定された際に所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無を判定する。なお、本実施例においては、上記特殊操作とは、シフトレバー43が前記各操作位置のいずれか1に一定時間以上操作され続けることであり、その特殊操作の有無は、レバーポジションセンサ70から出力されるレバーポジションPSHを示す信号に基づいて判定される。上記一定時間には、レンジ切換のために一般的に実行される通常の操作における操作時間では到達し難い例えば1秒〜10秒程度の所定時間から、本実施例では3秒程度が予め設定されている。
【0061】
走行レンジ復帰手段152は、特殊操作判定手段150により特殊操作が有ると判定された場合には、動力伝達経路解放手段148によりニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを、その特殊操作判定手段150において指定された走行レンジへ復帰させる。たとえば、上記走行レンジ復帰手段152は、前進走行レンジにて前進走行中或いは停止中の車両前方に障害物が検出された際に特殊操作判定手段150により前進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判定された場合に、前記ニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを前進走行レンジに復帰させ、また、後進走行レンジにて後進走行中或いは停止中の車両後進に障害物が検出された際に特殊操作判定手段150により後進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判定された場合に、前記ニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを後進走行レンジに復帰させる。
【0062】
図9および図10は、電子制御装置60の信号処理によって実行される制御作動の一部であって、車両用シフト装置140の制御作動の要部を説明するフローチャートである。これらのフローチャートは、車両走行中或いは停止中に障害物が検出された場合の対処を決定するルーチンすなわち一連の手順であって、たとえば数msec〜数十msecの所定の周期ごとにそれぞれのルーチンが同時並行にて繰り返し実行される。
【0063】
先ず、図9について説明する。図9において、先ず、障害物検出装置異常判定手段142に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1では、障害物検出装置である前方カメラ86が異常であるかすなわち故障しているか否かが判断される。
【0064】
S1の判断が肯定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、否定される場合には、障害物判定手段144に対応するS2において、前方カメラ86から供給される車両前方の所定領域の撮像画像情報に対して所定の画像処理が施された結果に基づいて、走行中或いは停止中の車両前方の路面上に障害物が有るか否かが判断される。
【0065】
S2の判断が否定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、肯定される場合には、走行レンジ判定手段146に対応するS3において、ロータリエンコーダ45から出力される電動アクチュエータ44の駆動量すなわち回転量に応じたパルス信号Sに基づいて、現在の走行レンジが前進走行レンジであるか否かが判断される。
【0066】
S3の判断が否定される場合には、S6以下が実行されるが、肯定される場合には、動力伝達経路解放手段148に対応するS4において、車内に設けられた警告灯90が点灯させられて警告表示が行われるとともに、車内に設けられた警告ブザー92が作動させられて警告音が発せられる。
【0067】
次いで、動力伝達経路解放手段148に対応するS5において、車両の走行レンジがその車両の動力伝達を遮断するニュートラルレンジへ切り換えられ、本ルーチンは終了させられる。
【0068】
上記S3の判断が否定される場合には、S6において、シフトレバー(シフト操作体)43のレバーポジションPSHに基づいて、前進走行レンジへの走行レンジ切換操作の有無が判断される。
【0069】
S6の判断が否定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、肯定される場合には、特殊操作判定手段150に対応するS7において、シフトレバー43の操作に対応して出力されるレバーポジションPSHを示す信号に基づいて、所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無が判断される。本実施例における上記特殊操作とは、シフトレバー43が一定時間以上操作され続けることである。
【0070】
S7の判断が否定される場合には、動力伝達経路解放手段148に対応するS9において、車内に設けられた警告灯90が点灯させられて警告表示が行われるとともに、車内に設けられた警告ブザー92が作動させられて警告音が発せられる。
【0071】
次いで、動力伝達経路解放手段148に対応するS10において、車両の走行レンジがその車両の動力伝達を遮断するニュートラルレンジへ切り換えられ、本ルーチンは終了させられる。
【0072】
上記S7の判断が肯定される場合には、走行レンジ復帰手段152に対応するS8において、前回以前に実行された本ルーチンのS5においてニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジが、特殊操作判定手段150に対応するS7にて指定された走行レンジすなわち前進走行レンジへ復帰させられる。
【0073】
続いて、図10について説明する。図10において、先ず、障害物検出装置異常判定手段142に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S11では、障害物検出装置である後方カメラ88が異常であるかすなわち故障しているか否かが判断される。
【0074】
S11の判断が肯定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、否定される場合には、障害物判定手段144に対応するS12において、後方カメラ88から供給される車両後方の所定領域の撮像画像情報に対して所定の画像処理が施された結果に基づいて、走行中或いは停止中の車両後方の路面上に障害物が有るか否かが判断される。
【0075】
S12の判断が否定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、肯定される場合には、走行レンジ判定手段146に対応するS13において、ロータリエンコーダ45から出力される電動アクチュエータ44の駆動量すなわち回転量に応じたパルス信号Sに基づいて、現在の走行レンジが後進走行レンジであるか否かが判断される。
【0076】
S13の判断が否定される場合には、S16以下が実行されるが、肯定される場合には、動力伝達経路解放手段148に対応するS14において、車内に設けられた警告灯90が点灯させられて警告表示が行われるとともに、車内に設けられた警告ブザー92が作動させられて警告音が発せられる。
【0077】
次いで、動力伝達経路解放手段148に対応するS15において、車両の走行レンジがその車両の動力伝達を遮断するニュートラルレンジへ切り換えられ、本ルーチンは終了させられる。
【0078】
上記S13の判断が否定される場合には、S16において、シフトレバー(シフト操作体)43のレバーポジションPSHに基づいて、後進走行レンジへの走行レンジ切換操作の有無が判断される。
【0079】
S16の判断が否定される場合には、本ルーチンは終了させられるが、肯定される場合には、特殊操作判定手段150に対応するS17において、シフトレバー43の操作に対応して出力されるレバーポジションPSHを示す信号に基づいて、所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無が判断される。本実施例における上記特殊操作とは、シフトレバー43が一定時間以上操作され続けることである。
【0080】
S17の判断が否定される場合には、動力伝達経路解放手段148に対応するS19において、車内に設けられた警告灯90が点灯されて警告表示が行われるとともに、車内に設けられた警告ブザー92が作動させられて警告音が発せられる。
【0081】
次いで、動力伝達経路解放手段148に対応するS20において、車両の走行レンジがその車両の動力伝達を遮断するニュートラルレンジへ切り換えられ、本ルーチンは終了させられる。
【0082】
上記S17の判断が肯定される場合には、走行レンジ復帰手段152に対応するS18において、前回以前に実行された本ルーチンのS15においてニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジが、特殊操作判定手段150に対応するS17にて指定された走行レンジすなわち後進走行レンジへ復帰させられる。
【0083】
上述のように、本実施例の車両用シフト装置140によれば、障害物判定手段144において障害物が有ると判定された際に所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無を判定する特殊操作判定手段150と、その特殊操作判定手段150により特殊操作が有ると判定された場合には、動力伝達経路解放手段148によりニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを特殊操作判定手段150により指定された走行レンジへ復帰させる走行レンジ復帰手段152とを、含むことから、電動アクチュエータ44を介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である。すなわち、状況に合わせて適宜車両が走行させられるので、より一層安全を確保することが可能となる。
【0084】
また、本実施例の車両用シフト装置140によれば、走行レンジ復帰手段152は、前進走行レンジにて前進走行中の車両の前方に障害物が検出された際に特殊操作判定手段150により前進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合に、動力伝達経路解放手段148によりニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを前進走行レンジに復帰させるか、あるいは、後進走行レンジにて後進走行中の車両の後方に障害物が検出された際に特殊操作判定手段150により後進走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合に、動力伝達経路解放手段148によりニュートラルレンジに切り換えられた走行レンジを後進走行レンジに復帰させるかの少なくともいずれかを実行するものである。したがって、電動アクチュエータ44を介して走行レンジが切り換えられる車両において、障害物が検出され動力伝達が遮断されている場合であっても、運転者の意思により車両を走行可能にするか否かが選択可能である。
【0085】
また、本実施例の車両用シフト装置140によれば、上記特殊操作は、シフトレバー43が予め設定された一定時間以上操作され続けることであるから、通常の操作とは異なる特殊な操作であるので、より正確に運転者の意思を反映させることができる。
【0086】
また、本実施例の車両用シフト装置140によれば、前記障害物が検出された際の動力伝達経路解放手段148によるニュートラルレンジへの切り換えが実行されたことを警告表示および警告音により報知する警告灯90および警告ブザー92を含むことから、障害物が検出されたこと、およびそれにより走行レンジが強制的に変更されることが確実に運転者に報知されるので、運転者のより的確な判断が可能である。
【0087】
また、本実施例の車両用シフト装置140によれば、前記障害物の検出に用いられる前方カメラ86および後方カメラ88の異常を検出する障害物検出装置異常判定手段142を含み、その障害物検出装置異常判定手段142により前方カメラ86の異常が検出された場合には車両前方に障害物が検出された際の前記ニュートラルレンジへの切り換えが実行されず、また、後方カメラ88の異常が検出された場合には車両後方に障害物が検出された際の前記ニュートラルレンジへの切り換えが実行されないことから、誤検出により走行レンジが強制的に切り換えられるということがないので、異常な作動によって危険な状態となることがない。
【実施例2】
【0088】
次に、本発明の他の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前述の実施例と重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0089】
本実施例における特殊操作判定手段151は、障害物判定手段144において障害物が有ると判定された際に所定のシフトレバー43の予め設定された特殊操作の有無、すなわちシフトレバー43が所定時間以内に複数回操作されたか否かをレバーポジションセンサ70から出力されるレバーポジションPSHを示す信号に基づいて判定する。なお、本実施例においては、上記所定時間には例えば1秒程度が予め設定される。
【0090】
上述のように、本実施例の車両用シフト装置141によれば、特殊操作は、シフトレバ―43が予め設定された所定時間以内に複数回操作されることであるから、通常の操作とは異なる特殊な操作であるので、より正確に運転者の意思を反映させることができる。
【0091】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、別の態様でも実施され得る。
【0092】
たとえば、前述の実施例では、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両前方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが前進走行レンジではないと判定され、前記特殊操作に相当しない通常の前進走行レンジへの切換操作が検出された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換えるものであったが、上記ニュートラルレンジへ切り換えられるのではなく、そのときの走行レンジたとえば後進走行レンジが保持されてもよい。
【0093】
また、前述の実施例では、動力伝達経路解放手段148は、障害物判定手段144により車両後方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが後方走行レンジではないと判定され、前記特殊操作に相当しない通常の後進走行レンジへの切換操作が検出された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換えるものであったが、上記ニュートラルレンジへ切り換えられるのではなく、そのときの走行レンジたとえば前進走行レンジが保持されてもよい。
【0094】
また、障害物判定手段144により車両後方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが後進走行レンジであると判定された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。また、障害物判定手段144により車両後方に障害物が有ると判定され、走行レンジ判定手段146により現在の走行レンジが後進走行レンジではないと判定され、後述の特殊操作に相当しない通常の後進走行レンジへの切換操作が検出された場合に、車両の走行レンジをその車両の動力伝達が遮断されるニュートラルレンジへ切り換える。
【0095】
また、前述の実施例において、車両には車両の前方および後方の障害物を検出する装置すなわち前方カメラ86および後方カメラ88が設けられていたが、いずれか一方だけが設けられてもよい。それに伴って、車両用シフト装置140、141は、図9および図10に示す各ルーチンのいずれか一方だけが実行されるものであってもよい。
【0096】
また、前述の実施例では、車両に設けられた前方カメラ86および後方カメラ88から得られた撮像画像情報に基づいて障害物の検出が行われていたが、これに限らず、たとえば、ソナー(sonar)すなわち音波または超音波を発信して障害物等によって反射されて戻って来るまでの時間からその障害物の距離および方向を知る装置や、レーダー(radar)すなわち電磁波を対象物に向けて発信してその反射波を測定することにより対象物までの距離や方向を明らかにする装置が用いられることにより障害物の検出が行われてもよい等、種々の態様が可能である。
【0097】
また、前述の実施例において、車内に警告灯90および警告ブザー92が設けられていたが、これらは必ずしも必要ない。また、警告文を音声にて読み上げる音声発生装置あるいは警告文が表示される表示器が設けられてもよい等、種々の態様が可能である。
【0098】
また、前述の実施例において、シフトレバー43の操作に基づいて駆動されるアクチュエータは電動アクチュエータであったが、これに限らず、例えば油圧アクチュエータや空圧アクチュエータ等であってもよい。
【0099】
また、前述の実施例において、シフトレバー43は、その一例が開示されたものであり、その他の構成でも実現されることができる。例えば自動復帰型等のレバータイプであってもよいし、パドル型や押釦型等のスイッチタイプであってもよい。また、その設置箇所も運転席の横に限らず、車内のたとえばステアリングホイール等に設けられてもよい。
【0100】
また、前述の実施例では、駆動源としてエンジン26が設けられていたが、これに限られず、例えば、エンジン26以外に電動機が設けられて駆動輪が駆動される例えばTHS等のハイブリッド車両であってもよい。
【0101】
また、前述の実施例では、自動変速機としての有段式の自動変速機10が用いられていたが、例えば、手動変速機、無段変速機(CVT)、たとえばTHS等の電動モータを含むハイブリッドタイプ、あるいは電動モータを備えた変速機構のないもの等その他の形式の動力伝達装置が設けられていても、走行レンジが電動アクチュエータ44によって切り換えられる態様のものであれば、本発明は適用され得る。また、有段式の自動変速機10が備えられる場合にも、自動変速機の構造は前述の実施例のものに限定されず、遊星歯車装置の数や変速段数、およびクラッチC、ブレーキBの数が遊星歯車装置のどの要素と選択的に連結されているか等に特に限定はない。
【0102】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明が適用された車両用の自動変速機の構成を説明する骨子図である。
【図2】図1の自動変速機の複数のギヤ段(変速段)を成立させる際の摩擦係合装置(係合要素)の作動の組み合わせを説明する作動表である。
【図3】図1の自動変速機のクラッチおよびブレーキの各油圧アクチュエータの作動を制御するリニアソレノイドバルブ等に関する回路図であって、油圧制御回路の要部を示す回路図である。
【図4】図1の自動変速機などを制御するために車両に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。
【図5】図4のシフトレバーの操作パターンを示す図である。
【図6】図1の自動変速機に設けられたシフト制御機構の構成を示す図である。
【図7】図6のシフト制御機構のディテントプレートを説明する図である。
【図8】図4の電子制御装置の制御機能の一部、すなわち電動アクチュエータを介して走行レンジが切り換えられる車両において障害物が検出された場合には、ニュートラルレンジへ切り換える車両用シフト装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図9】図4の電子制御装置の信号処理によって実行される制御作動の一部であって、車両用シフト装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図10】図4の電子制御装置の信号処理によって実行される制御作動の一部であって、車両用シフト装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
10:自動変速機
43:シフトレバー(シフト操作体)
44:電動アクチュエータ
86:前方カメラ(障害物検出装置)
88:後方カメラ(障害物検出装置)
90:警告灯(報知器)
92:警告ブザー(報知器)
140、141:車両用シフト装置
142:障害物検出装置異常判定手段
144:障害物判定手段
146:走行レンジ判定手段
148:動力伝達経路解放手段
150、151:特殊操作判定手段
152:走行レンジ復帰手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフト操作体の操作に基づいてアクチュエータが駆動されることにより走行レンジが切り換えられる車両において、走行中の路面上に障害物が検出された際には、該車両の動力伝達経路を遮断するニュートラルレンジへ切り換える車両用シフト装置であって、
前記障害物が検出された際に所定のシフト操作体の予め設定された特殊操作の有無を判定する特殊操作判定手段と、
該特殊操作判定手段により特殊操作が有ると判定された場合には、前記ニュートラルレンジから該特殊操作により指定された走行レンジへ復帰させる走行レンジ復帰手段と
を、含むことを特徴とする車両用シフト装置。
【請求項2】
前記走行レンジ復帰手段は、前記走行レンジにて走行中の前記車両の進行方向に障害物が検出された際に前記特殊操作判定手段により前記走行レンジが指定される特殊操作が有ると判断された場合には、前記ニュートラルレンジから該走行レンジに復帰させるものである請求項1の車両用シフト装置。
【請求項3】
前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された一定時間以上操作され続けることである請求項1または2の車両用シフト装置。
【請求項4】
前記特殊操作は、前記シフト操作体が予め設定された所定時間以内に複数回操作されることである請求項1または2の車両用シフト装置。
【請求項5】
前記障害物が検出された際のニュートラルレンジへの切り換えが実行されたことを警告表示および/または警告音により報知する報知器を含む請求項1乃至4のいずれか1の車両用シフト装置。
【請求項6】
前記障害物の検出に用いられる障害物検出装置の異常を検出する障害物検出装置異常判定手段を含み、
該障害物検出装置異常判定手段により該障害物検出装置の異常が検出された場合には、前記ニュートラルレンジへの切り換えが実行されない請求項1乃至5のいずれか1の車両用シフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−168191(P2009−168191A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8486(P2008−8486)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】