説明

スキャナモーター

【課題】超高速回転でも長寿命と安全性を確保することができるスキャナモーターを提供する。
【解決手段】回転可能な軸支用回転軸140、及び回転軸140を回転可能に支持するために、上部に流体動圧軸系131が備えられ、下部に含油焼結軸系132が備えられた中空の円筒状ベアリング130を含む。また含油焼結軸系132と回転軸140の間の接触面が曲面であり、流体動圧軸系131の長さは含油焼結軸系132の長さより長いスキャナモーター。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキャナモーターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の発展につれて、CD(compact disk)、DVD(digital versatile disk)、BD(blue−ray disk)、HD DVD(high definition disk)などの高容量の情報格納装置が使われている。これにより、これらを駆動するディスクドライブも高速回転が要求されている。
多面鏡スキャニングモーター(以下、スキャナモーター)はレーザービームプリンターのレーザースキャニングユニットに装着され、レーザービームを偏向させる。
このモーターは多面鏡を装着しており、高速で回転し、印刷情報を持っているレーザービームを多面鏡の鏡面で反射させてOPC DRUMに走査して印刷を行う。
【0003】
レーザープリンターの最大の利点でありながらも特徴の一つである印刷速度の高速化のためには、スキャナモーターの回転速度も加速化しなければならない。この際、必ず問題となることが高速回転による騷音であり、回転速度によって不可避に発生する空気との摩擦騷音の外に、スキャナモーターが持っている質量不平衡で発生する振動によってLSUまたはプリンターセットが共振するか加振されて騷音を誘発することになるので、スキャナモーターの製作過程においてはこのような質量不平衡を抑制することにより、LSUやプリンターセットにおける所望の騷音レベル以下を達成している。
このように超高速回転でも長寿命と安全性を確保することができるだけでなく製造コストが低いスキャナモーターに対する研究が切実な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、超高速回転でも長寿命と安全性を確保することができるスキャナモーターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を達成するために、本発明のある観点によれば、回転可能な軸支用回転軸;及び前記回転軸を回転可能に支持するために、上部に流体動圧軸系が備えられ、下部に含油焼結軸系が備えられた中空の円筒状ベアリング;を含む、スキャナモーターを提供する。
前記含油焼結軸系と前記回転軸の間の接触面が曲面であってもよい。
前記流体動圧軸系の長さは前記含油焼結軸系の長さより長いことができる。
前記含油焼結軸系と回転軸の間のギャップは0.2mm〜0.4mmであってもよい。
前記流体動圧軸系の縦長は2mm〜6mmであってもよい。
前記曲面の曲率半径は2mm〜18mmであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によるスキャナモーターは、流体動圧軸系と含油焼結軸系を同時に備えることができるハイブリッド型ベアリングを含むことにより、超高速回転でも長寿命と回転安全性を確保するとともに安価で製造することができる。
ここで、流体動圧軸系は軸の回転によって発生する流体の圧力を利用して軸を支持する形式のスライドベアリングで、適当な形態の溝を形成して流体の圧力発生を高める原理である。このような流体動圧軸系は超高速回転にも優れた寿命と回転安全性を確保することができる利点があり、現行の多面鏡スキャナモーターにおいて最も優秀なベアリングとして認められている。
【0007】
また、流体動圧軸系の下部に備えられた含油焼結軸系は、焼結ベアリングに含浸されてあるオイルが軸の回転によってベアリングの外に出て油膜を形成してシャフトを支持する原理である。すなわち、内部金属粉末の間に空気層が形成されているので、オイルがベアリングの内外部を循環する。
このような含油焼結軸系は低い製作コストで比較的安定した寿命と安全性を確保することができるという利点がある。すなわち、ベアリング自体がオイルを含んでいるので、高温、長期間の条件でも安定的にオイルを受けることができ、オイルの蒸発に対して比較的自由である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好適な実施例によるスキャナモーターの断面図である。
【図2】本発明の好適な実施例によるスキャナモーターの一部拡大図である。
【図3】本発明の他の好適な実施例によるベアリングの断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施例によるベアリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例によるスキャナモーターについて詳細に説明する。
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以降の詳細な説明からより明らかになるであろう。
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び請求範囲に使用された用語や単語は通常的で辞書的な意味に解釈されてはいけなく、発明者がその自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されなければならない。
【0010】
図1及び図2は説明の便宜上スキャナモーターの半分だけを示しているが、左右対称の形状に形成される。
図1は好適な実施例によるスキャナモーターの断面図、図2はスキャナモーターのベアリングの一部拡大図である。以下、これら図を参照して本実施例によるスキャナモーター100について説明する。
図1に示すように、本発明の好適な実施例によるスキャナモーター100は、ベースプレート110、ベアリングホルダー120、ベアリング130、回転軸140、ハウジングシャフト150、多面鏡160、ローターケース170、ステータ180、及び支持部材190を含む。
ベースプレート110はスキャナモーター100を全体的に固定支持するためのもので、スキャナモーター100が設置されるハードディスクドライブなどの装置に固定設置される。ここで、ベースプレート110はアルミニウム板またはアルミニウム合金板などの軽量材で製作できるが、これとは異なり鋼鉄板で製作されることもできる。
【0011】
ベアリングホルダー120はその内部に収容されるベアリング130を固定支持するためのもので、全体的に中空円筒状に形成されてベースプレート110に固定結合され、外周面にはステータ180が設置される。ステータ180については後に補充して説明する。
ベアリング130は回転軸140を回転可能に支持するためのもので、全体的に中空円筒状を持ち、回転軸140と向かい合う内径部に流体動圧ベアリングが形成される。ここで、ベアリング130の外周面には、ベースプレート110を支持するとともにベアリング130と回転軸140の回転をなだらかにするベアリングホルダー120が一般的に装着される。
回転軸140はローターケース170を軸支するためのもので、ベアリング130の内径部に挿入され、ベアリング130によって回転可能に支持される。
【0012】
ハウジングシャフト150は多面鏡160に支持部材190を介して固定されて回転駆動されるもので、回転軸140の外径部に嵌合されてローターケース170の上部に装着される。
多面鏡160は光源(図示せず)から入射する光ビームを偏向させて走査するためのもので、中心ホールがハウジングシャフト150の外周面に嵌合される。多面鏡160の上部には、回転の際、多面鏡160の離脱及び上昇を防止するために、支持部材190が備えられる。支持部材190は弾性材のものが好ましく、多様な形状のスプリングが使用可能である。
ローターケース170は多面鏡160及びハウジングシャフト150を支持するためのもので、回転軸140の外周面に中心開口部が嵌合されて回転し、多面鏡160を支持する上部と、内部に環状のローターマグネット171が設置される側部とからなる。
【0013】
ここで、ローターケース170は好ましくは磁性体で、プレス加工によって形成される。また、ローターケース170の内部に装着されたローターマグネット171はステータ180と向かい合うように備えられ、ステータ180との間で発生する力でモーターを回転させる。
ステータ180は光ディスクまたは磁気ディスクが搭載されるローターケース170を回転させるために外部電源を受けて電場を形成するためのもので、多数枚の薄型金属板を積層させたコア181と、このコア181に多数回巻線されるコイル182とからなる。
コア181はベアリングホルダー120の外周面に固定されるように設置され、コイル182はコア181に巻線される。ここで、コイル182は外部から印加される電流で電場を形成することにより、ローターケース170のローターマグネット171との間で形成される電磁気力でローターケース170を回転させる。
ストッパ172はローターケース170の端部を上部で支持して、モーターの回転の際、ローターケースの過度な上昇を防ぐためのもので、ローターケース170の端部を支持するように多様な形状に形成できる。
【0014】
前記のように、本発明によるスキャナモーター100のベアリング130は、図1に示すように、軸の回転による流体の圧力を用いる流体動圧軸系131と、焼結ベアリングに含浸されているオイルが軸の回転によって油膜を形成して軸を支持する含油焼結軸系132とからなる。
流体動圧軸系131は軸の回転によって生ずる流体の圧力を利用して軸を支持する方式のスライドベアリングで、適当な形状の溝131aを形成して流体の圧力発生を高める原理である。このような流体動圧軸系131は超高速回転でも優れた寿命と回転安全性を確保することができる利点があり、現行の多面鏡スキャナモーターにおいて最も優秀なベアリングとして認められている。
しかし、このような流体動圧軸系131は資材を機械加工で製作するため、設備の購入と運営に高費用が発生する。また、ベアリングそのものがオイルを含有していないため、もっぱら初期に注入されたオイルによって性能が決まり、オイルの蒸発に対する厳格な管理が必要であるという欠点がある。
【0015】
このような流体動圧軸系131の欠点を解決するために、流体動圧軸系131の下部に備えられた含油焼結軸系132は、焼結ベアリングに含浸されているオイルが軸の回転によってベアリングの外に出て油膜を形成してシャフトを支持する原理である。すなわち、内部金属粉末の間に空気層が形成されているので、オイルがベアリングの内外部を循環する。
このような含油焼結軸系132は低い製作コストで比較的安定した寿命と安全性を確保することができるという利点がある。すなわち、ベアリング自体がオイルを含有しているので、高温及び長期間の条件でも安定的にオイルを受けることができ、オイルの蒸発に対して比較的自由である。
このような含油焼結軸系132は超高速回転では寿命と回転安全性の確保が難しいという欠点があるが、このような欠点は上部に備えられた流体動圧軸系131によって補完される。
【0016】
したがって、本発明は前記のように互いに異なる利点と欠点を持つ流体動圧軸系131と含油焼結軸系132を同時に備えることができるハイブリッド型ベアリング130を含むスキャナモーター100を提供することにより、超高速回転でも長寿命と回転安全性が確保されるとともに安価で製造することができる。
ここで、流体動圧軸系131は従来より短く製作され、これによって発生する軸系の安全性低下を解決するために、短くなった長さに相当する含油焼結軸系132を備える。これで、超高速回転でも長寿命と回転安全性が確保されるとともに製作コストの低いベアリング130を提供することができる。
【0017】
また、流体動圧軸系131と含油焼結軸系132の縦長の割合を調節することにより、流体動圧軸系131と含油焼結軸系132のそれぞれの長所を最大限に生かすことができるスキャナモーター100を提供する。
流体動圧軸系131の長さと含油焼結軸系132の長さに対する限定はないが、流体動圧軸系131の適用を基本にしているので、一般的に流体動圧軸系131の縦長が含油焼結軸系132の縦長より長く備えられることが好ましい。好適な実施例として、含油焼結軸系132の縦長は2mm〜6mmであることが好ましい。
含油焼結軸系132は流体動圧軸系131の下部に備えられるので、初期に注入されたオイルが異常な現象(蒸発、飛散、漏油など)が発生しても、含油焼結軸系132からオイルを持続的に受けることができ、オイルの蒸発に対する厳格な管理が不要である。
【0018】
図2は本発明によるベアリング130の含油焼結軸系132と回転軸140が接することを拡大した図で、回転軸140と接する含油焼結軸系132の接触面をSR(曲面)に構成して駆動損失力を最小化するとともに軸支を実現して回転安全性を確保するようにする。
ここで、回転軸140と含油焼結軸系132の間の最大ギャップ(A)はオイルの表面張力が低下する時点である0.2mm〜0.4mmに設定して、表面張力による損失が最小化するようにする。通常的に使用するオイルの場合、最大ギャップ(A)が0.3mm以上になれば表面張力がそれ以下より相当に低下する。
【0019】
したがって、表面張力を考慮する場合は0.3mm以上に設計するが、本発明の場合、0.3mmよりあまり大きくする場合、流体ベアリングの動圧がギャップ部分を通じて出ることができるので、最大ギャップAは0.3mmに構成することが最も好ましい。
また、含油焼結軸系132の縦長が2mm〜6mmであることに鑑みて、SR(曲面)の曲率半径は2mm〜18mm程度であることが好ましい。
【0020】
図3は含油焼結軸系132の縦長が2mm(P1)の場合を示す図で、この際、曲率半径(R1)は2mm程度であることが好ましい。含油焼結軸系132の最大ギャップ(A)はやっぱり0.3mmに構成することが最も好ましく、この際、表面張力が最小化する。
【0021】
図4は含油焼結軸系132の縦長が6mm(P2)の場合を示す図で、この際、曲率半径(R2)は18mm程度であることが好ましい。含油焼結軸系132の最大ギャップ(A)はやっぱり0.3mmに構成することが最も好ましく、この際、表面張力が最小化する。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、CD、DVD、BD、HD DVDなどの高容量の情報格納装置を駆動するディスクドライブの多面鏡スキャニングモーターに適用可能である。
【符号の説明】
【0023】
100 スキャナモーター
110 ベースプレート
120 ベアリングホルダー
130 ベアリング
131 流体動圧軸系
132 含油焼結軸系
140 回転軸
150 ハウジングシャフト
160 多面鏡
170 ローターケース
180 ステータ
190 支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な軸支用回転軸;及び
前記回転軸を回転可能に支持するために、上部に流体動圧軸系が備えられ、下部に含油焼結軸系が備えられた中空の円筒状ベアリング;を含むことを特徴とする、スキャナモーター。
【請求項2】
前記含油焼結軸系と前記回転軸の間の接触面が曲面であることを特徴とする、請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項3】
前記流体動圧軸系の長さは前記含油焼結軸系の長さより長いことを特徴とする、請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項4】
前記含油焼結軸系と回転軸の間のギャップは0.2mm〜0.4mmであることを特徴とする、請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項5】
前記流体動圧軸系の縦長は2mm〜6mmであることを特徴とする、請求項1に記載のスキャナモーター。
【請求項6】
前記曲面の曲率半径は2mm〜18mmであることを特徴とする、請求項2に記載のスキャナモーター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−141022(P2011−141022A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67163(P2010−67163)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】