説明

スチルベン誘導体用、クルクミノイド用、プテリジン誘導体用またはプリン誘導体用の溶解性安定剤、それを含む組成物、溶解性安定化方法およびその利用

【課題】スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体またはプリン誘導体の溶解性および溶解安定性を向上させること。
【解決手段】酵素処理ルチンを含むことを特徴とする、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)用の溶解性安定剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチルベン誘導体用、クルクミノイド用、プテリジン誘導体用またはプリン誘導体用の溶解性安定剤、それを含む組成物、溶解性安定化方法およびその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
スチルベン誘導体には、発情作用、抗カビ作用、抗マラリア作用、制がん作用等を有する化合物があり、様々な合成研究が行われている。
しかしながら、スチルベン誘導体は、水に難溶性である等の理由により、医薬品として実用化されにくいため、スチルベン誘導体の水溶性を向上させることが望まれていた。
【0003】
クルクミノイドの一種で、ターメリックに含まれるクルクミンは、古くから黄色染料、利胆薬などとして用いられている。また、クルクミノイドの中には活性酸素除去作用、抗炎症作用、コレステロール低下、抗腫瘍、抗アレルギー作用、および殺線虫作用などを有するものがある。しかし、クルクミノイドは一般に水に難溶性であるため、その用途は限られ、食品、化粧品、医療品および飼料など様々な用途への利用が制限されていた。
【0004】
また、特許文献1には、特定のプテリジン誘導体は、脂肪細胞分化抑制効果、抗肥満効果、耐糖能異常改善効果、アディポネクチン産生促進効果を奏することが開示され、さらに、特許文献2や3には、特定のプテリジン誘導体が自己免疫障害の治療用、移植拒絶反応の治療用および炎症性疾患の治療用、心臓血管疾患、アレルギー性状態、中枢神経系の疾病、TNF−α関連疾病、ウイルス疾患、および細胞増殖疾病の予防または治療においても有用である旨開示されている。
【0005】
しかしながら、プテリジン誘導体の中には、水に対する溶解安定性に劣る化合物が存在し、食品、化粧品、医療品および飼料など様々な用途に用いることが困難な場合があるため、プテリジン誘導体の溶解安定性を向上させることが望まれていた。
【0006】
アデニン、グアニン、カフェイン、テオブロミンなどのプリン誘導体は、食品中では、旨味や苦味などの元となる成分である。グアニンに関しては、食品ばかりでなく、その結晶時の光沢感を活かし、化粧品のパール剤やグロス成分として幅広く用いられている。しかし、プリン誘導体の中には、水に対する溶解安定性に劣る化合物が存在し、食品、化粧品、医療品および飼料など様々な用途に用いることが困難な場合があるため、プリン誘導体の溶解安定性を向上させることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2008/136173号公報
【特許文献2】特表2007−508355号公報
【特許文献3】特表2002−533464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体またはプリン誘導体の溶解性および溶解安定性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るスチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)用の溶解性安定剤は、酵素処理ルチンを含む。
【0010】
前記酵素処理ルチンは、ルチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からルチンに糖(グルコース)を転移させることにより得られる、α-グルコシルルチン含有物であることが好ましく、酵素処理ルチン中のルチン換算量は10〜85重量%であることが好ましい。
【0011】
本発明に係る溶解性組成物は、(i)前記溶解性安定剤と、(ii)スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む。
前記溶解性組成物は、前記溶解性安定剤(i)と前記化合物(ii)とを、前記溶解性安定剤(i)中に含まれている酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と前記化合物(ii)の配合量(b)との重量比((a)/(b))が4/6〜9.9/0.1(但し(a)+(b)=10とする。)となる量で含むことが好ましい。
【0012】
本発明に係るスチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の溶解性安定化方法は、前記溶解性安定剤(i)と前記化合物(ii)とを、前記化合物(ii)1重量部に対して、前記溶解性安定剤(i)を0.1〜100重量部の量で混合する。
【0013】
前記化合物(ii)としては、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、下記式(3)で表わされる化合物および下記式(4)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましい。つまり、前記スチルベン誘導体は下記式(1)で表わされる化合物であることが好ましく、前記クルクミノイドは下記式(2)で表わされる化合物であることが好ましく、前記プテリジン誘導体は下記式(3)で表わされる化合物であることが好ましく、前記プリン誘導体は下記式(4)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0014】
【化1】

(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基を示し、aはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。)
【0015】
【化2】

(式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基を示し、bはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。)
【0016】
【化3】

(式(3)中、R3は、−OH、=Oまたは−NH2であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R5、R8およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基であり、c〜fは、それぞれ独立に0または1であり、gは0〜10の整数であり、(1)〜(5)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(1)が付いた結合は、R3が=O以外の基であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(2)が付いた結合は、(1)が付いた結合が単結合であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(3)が付いた結合は、(2)が付いた結合が単結合であり、かつ、dが0の場合、二重結合であり、
(4)が付いた結合は、eが0の場合、二重結合であり、
(5)が付いた結合は、fが0の場合、二重結合である。)
【0017】
【化4】

(式(4)中、R11は−H、−NRR'または=Oであり(なお、RおよびR'は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、R12、R14、R15およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は−H、−NH2または=Oであり、R16は−Hまたは=Oであり、p〜sは、それぞれ独立に0または1であり、(11)〜(17)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(11)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、pが0の場合、二重結合であり、
(12)が付いた結合は、R13が=O以外の基であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(13)が付いた結合は、(12)が付いた結合が単結合であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(14)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、rが0の場合、二重結合であり、
(15)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、sが0の場合、二重結合であり(但し、(14)が付いた結合が、二重結合の場合は単結合である)、
(16)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、(11)が付いた結合が単結合の場合、二重結合であり、
(17)が付いた結合は、(13)および(16)が付いた結合が単結合の場合、二重結合である。)
【0018】
前記化合物(ii)は、
前記式(1)におけるR1がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、aがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(2)におけるR2がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、bがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(3)におけるR5が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基であり、R8が、水素原子またはアルデヒド基であり、R9が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基またはアルキルアミノ基であり、gが1または2である化合物、および、
前記式(4)中、R11が−H、−NH2または=Oであり、R12、R15およびR17が、それぞれ独立に水素原子であり、R14が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R16が−Hまたは=Oである化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、
レスベラトロール、ピノシルビン、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、葉酸、フォリン酸、メトトレキサートおよびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、レスベラトロール、クルクミン、葉酸およびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがさらに好ましい。
【0019】
前記溶解性安定剤または溶解性組成物は、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途に利用されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スチルベン誘導体、特にレスベラトロール、クルクミノイド、特にクルクミン、プテリジン誘導体、特に葉酸、または、プリン誘導体、特にグアニンの水への溶解性または溶解安定性を向上させることができ、さらにスチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体の光安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、レスベラトロールを含む水溶液、または、レスベラトロールと酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビア、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンもしくはγ−シクロデキストリンとを含む水溶液中のレスベラトロールの濃度を示す図である。
【図2】図2は、レスベラトロールを含む水溶液、または、レスベラトロールと酵素処理ルチンもしくはα−シクロデキストリンとを含む水溶液を所定期間露光させた後の水溶液中のレスベラトロールの残存率(光安定性)を示す図である。
【図3】図3は、レスベラトロールを含む水溶液、または、レスベラトロールと酵素処理ルチン、α−シクロデキストリンもしくはβ−シクロデキストリンとを含む水溶液を17日露光させた後の水溶液中のレスベラトロールの残存率(光安定性)を示す図である。
【図4】図4は、pH3〜7の水溶液中の葉酸の濃度を示す図である。
【図5】図5は、葉酸を含む水溶液、または、葉酸と酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビア、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンもしくはγ−シクロデキストリンとを含む水溶液中の葉酸の濃度を示す図である。
【図6】図6は、葉酸を含む水溶液、または、葉酸と酵素処理ルチンとを含む水溶液を所定時間露光させた後の水溶液中の葉酸の残存率(光安定性)を示す図である。
【図7】図7は、葉酸を含む水溶液、または、葉酸と酵素処理ルチンとを含む水溶液を所定時間露光させた後の水溶液中の葉酸の残存率(光安定性)を示す図である。
【図8】図8は、クルクミンを含む水溶液、または、クルクミンと酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビアもしくはβ−シクロデキストリンとを含む水溶液中のクルクミンの濃度を示す図である。
【図9】図9は、グアニンを含む水溶液、または、グアニンと酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビア、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンもしくはγ−シクロデキストリンとを含む水溶液中のグアニンの濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について具体的に説明する。
〔溶解性安定剤〕
本発明に係る溶解性安定剤は、酵素処理ルチンを含む。
このため、本発明の溶解性安定剤によれば、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(本発明において「化合物(ii)」ともいう。)を、可溶化(溶解)させることができ、該化合物の溶解安定性を高め、さらに、該化合物の光分解を抑制することができる。
【0023】
この溶解性安定剤によれば、前記化合物(ii)が、常温(5〜35℃程度)、常圧(1気圧)の水に、1ppm以上、好ましくは1〜100ppm程度溶解(可溶化)し、また、常温、常圧の水に対する化合物(ii)の溶解安定性を向上させることができ、化合物(ii)を常温の水に溶解させた後、数時間(例えば2〜5時間)経過しても殆ど、沈殿が析出したり、溶液がコロイド状にならない。
【0024】
前記水のpHは、本発明の溶解性安定剤が使用される食品、化粧品、医療品または飼料と同程度のpHであることが好ましく、より好ましくは2.5〜7.0である。pHが7.0を超えると、本発明によらなくても化合物(ii)の水への溶解度が向上する場合があるため、pHが前記範囲の水に対して本発明は特に効果を発揮する。なお、さらなる化合物(ii)の溶解性向上のために、pHが7.0を超える範囲で本発明を実施することを妨げるものではない。pHの調整には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、乳酸およびコハク酸などの有機酸、またはこれら有機酸の塩、リン酸、塩酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基を用いることができる。
【0025】
<酵素処理ルチン>
前記酵素処理ルチンとしては、ルチンが酵素処理されたものであれば特に制限されないが、ルチンに糖供与体としての澱粉あるいはその部分加水分解物(例:デキストリン、マルトース)を加えてなる組成物に、アミラーゼ、グリコシダーゼ、トランスグリコシダーゼなどのグルコース残基転移酵素を作用させて澱粉あるいはその部分分解物からルチンに糖(グルコース)を転移(付加)させることにより得られる、α−グルコシルルチンを含有する組成物(α−グルコシルルチン含有物)であることが好ましい。
【0026】
このような酵素処理ルチンは、ルチンの持つ、酸性・高温状態での安定性、光に対する安定性、長期保存性、安全性、天然色素の退色・変色防止、ビタミン類の光分解防止、メイラード反応の抑制、酸化防止、香気保持等の効果を有し、かつ、水溶性に優れる化合物である。このため、本発明の溶解性安定剤は、前記化合物(ii)の溶解安定性を向上させることのみならず、化合物(ii)の酸性・高温状態での安定性、光に対する安定性、長期保存性、安全性、天然色素の退色・変色防止メイラード反応の抑制、酸化防止および香気保持等を向上させることができる。
【0027】
また、酵素処理ルチンは、種々の化合物の中でも化合物(ii)、特にレスベラトロール、クルクミン、葉酸およびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の溶解安定性に寄与する。これは、下記酵素処理ルチンと化合物(ii)との構造に関係があると推測される。
【0028】
さらに、酵素処理ルチンとしてα−グルコシルルチン含有物を用いる場合には、本発明の溶解性安定剤は、前記化合物(ii)の有する呈味を改善することも可能である。
【0029】
ここで、α−グルコシルルチンは、下記式(5)で表わされる。α−位グルコース残基数mは特に制限されないが、1〜数十の範囲、平均では4〜5程度のα−グルコシルルチンの混合物であることが好ましい。
【0030】
【化5】

(前記式(5)中、Gはグルコース残基、Rはラムノース残基、G'はα-位のグルコース残基、mは1〜数十の整数を表す。)
【0031】
このようなα−グルコシルルチンの製造方法としては、従来より公知の種々の方法を採用することができ、例えば特公昭54−32073号公報あるいは特公昭58−54799号公報に記載の方法を採用することができる。
【0032】
なお、上記のようにして得られた酵素処理ルチンには、通常、α−グルコシルルチンと共に、未反応のルチンあるいはルチンの分解物であるケルセチン等が少量含まれている。
また、ルチンからラムノース残基(上記式(5)のR)が外れた構造を有するイソケルシトリンを含んでもよい。
【0033】
酵素処理ルチン中のルチン換算量は、好ましくは10〜85重量%、より好ましくは40〜85重量%、さらに好ましくは70〜85重量%である。
【0034】
酵素処理ルチン中のルチン換算量が上記範囲にあると、ルチンの持つ、酸性・高温状態での安定性、光に対する安定性、長期保存性、安全性、天然色素の退色・変色防止、ビタミン類の光分解防止、メイラード反応の抑制、酸化防止、香気保持等の効果を有したまま水や含水アルコールに対する溶解度が向上するため好ましい。
【0035】
このような酵素処理ルチンとしては特に制限されないが、具体的には、東洋精糖(株)製:(商品名「αGルチンPS」、ルチン換算量80〜82重量%)、(商品名「αGルチンP」、ルチン換算量40〜46重量%)が挙げられる。
【0036】
前記酵素処理ルチンとしては、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記酵素処理ルチンは、本発明の溶解性安定剤100重量%中に、好ましくは10〜100重量%程度含まれる。溶解性安定剤中に酵素処理ルチンが前記量で配合されることで、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の溶解安定性および光安定性を向上させることができる。
【0037】
本発明に係る溶解性安定剤には、所望の目的、用途に応じて本発明の目的・効果を損なわない範囲で適宜添加剤を加えてもよい。
このような添加剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0038】
前記溶解性安定剤は、酵素処理ルチンおよび必要に応じて用いられる添加剤を、混合することで製造することができる。溶解性安定剤の製造は、通常、常温下で行われるが、必要に応じて加温下で行ってもよい。
このような溶解性安定剤の剤形は、特に制限されず、液体状であっても固体状であってもよい。
【0039】
〔溶解性組成物〕
本発明に係る溶解性組成物は、(i)前記溶解性安定剤と(ii)スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む。
本発明の溶解性組成物は、前記化合物(ii)の常温の水に対する溶解安定性より高い溶解安定性を有する。
前記溶解性組成物は、前記酵素処理ルチンの有する好ましい作用と、前記化合物(ii)の有する好ましい作用とを損なうことなく、両者の好ましい作用を併せ持った、さらには両者の好ましい作用が増強された組成物となる。
【0040】
<スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体>
本発明における、常温の水に対する溶解安定性を向上させたい物質は、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)である。
前記スチルベン誘導体としては特に制限されないが、下記式(1)で表わされる化合物であることが好ましく、前記クルクミノイドとしては特に制限されないが、下記式(2)で表わされる化合物であることが好ましく、前記プテリジン誘導体としては特に制限されないが、下記式(3)で表わされる化合物であることが好ましく、前記プリン誘導体としては特に制限されないが、下記式(4)で表わされる化合物であることが好ましい。
【0041】
【化6】

【0042】
前記式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基を示し、aはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。
【0043】
前記R1におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
前記アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状炭化水素基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基およびペンチル基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびジエトキシメチル基等が挙げられる。
前記アルキルエステル基としては、メチルエステル基およびエチルエステル基等が挙げられる。
前記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基およびジメチルアミノ基等が挙げられる。
【0044】
前記式(1)で表わされる化合物は、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすい、天然物由来の物質であるなどの点などから、前記式(1)におけるR1がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であることが好ましく、水素原子またはヒドロキシ基であることがより好ましく、aがそれぞれ独立に1または2であることが好ましい。
【0045】
前記式(1)で表わされるスチルベン誘導体としては、レスベラトロール、ピノシルビン等が挙げられ、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすい点等からレスベラトロールが好ましい。
【0046】
スチルベン誘導体の一つであるレスベラトロールは、抗酸化作用、老化防止作用、抗癌作用、抗炎症、血小板凝集抑制作用、悪玉コレステロールの増加抑制、循環器系の生活習慣病を予防する作用等を有する。このため、スチルベン誘導体(特にレスベラトロール)を含む溶解性組成物は、このスチルベン誘導体の有する作用を持った、さらにはスチルベン誘導体と酵素処理ルチンの有する好ましい作用が増強された組成物となる。
【0047】
【化7】

【0048】
前記式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基を示し、bはそれぞれ独立に1〜5の整数を示す。
【0049】
前記式(2)中のR2におけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基およびアルキルアミノ基としては、前記式(1)中のR1におけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基およびアルキルアミノ基で例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0050】
前記式(2)で表わされる化合物は、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすい、天然物由来の物質であるなどの点などから、前記式(2)におけるR2がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であることがより好ましく、bがそれぞれ独立に1または2であることが好ましい。
【0051】
前記式(2)で表わされるクルクミノイドとしては、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン等が挙げられ、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすい点等からクルクミンが好ましい。
【0052】
クルクミノイドの一つであるクルクミンは、抗酸化作用、老化防止作用、抗癌作用、抗炎症、血小板凝集抑制作用、悪玉コレステロールの増加抑制、循環器系の生活習慣病を予防する作用等を有する。このため、クルクミノイド(特にクルクミン)を含む溶解性組成物は、このクルクミノイドの有する作用を持った、さらにはクルクミノイドと酵素処理ルチンの有する好ましい作用が増強された組成物となる。
【0053】
【化8】

【0054】
前記式(3)中、R3は、−OH、=Oまたは−NH2であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R5、R8およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基であり、c〜fは、それぞれ独立に0または1であり、gは0〜10の整数であり、(1)〜(5)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(1)が付いた結合は、R3が=O以外の基であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(2)が付いた結合は、(1)が付いた結合が単結合であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(3)が付いた結合は、(2)が付いた結合が単結合であり、かつ、dが0の場合、二重結合であり、
(4)が付いた結合は、eが0の場合、二重結合であり、
(5)が付いた結合は、fが0の場合、二重結合である。
【0055】
前記式(3)中のR5、R8およびR9におけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基およびアルキルアミノ基としては、前記式(1)中のR1におけるアルキル基、アルコキシ基、アルキルエステル基およびアルキルアミノ基で例示した基と同様の基等が挙げられる。
【0056】
前記式(3)中のR4、R6およびR7における、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基およびブチル基等が挙げられる。
【0057】
前記式(3)で表わされる化合物は、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすい、天然物由来の物質であるなどの点などから、前記式(3)におけるR5が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基であることが好ましく、アミノ基であることがより好ましく、R8が、水素原子またはアルデヒド基であることが好ましく、R9が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基またはアルキルアミノ基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましく、gが1または2であることが好ましい。
【0058】
前記プテリジン誘導体としては、プテロイルモノグルタミン酸(葉酸)、プテロイルジ−γ−グルタミン酸、プテロイルトリグルタミン酸、プテロイルヘプタグルタミン酸、ホルミルテトラヒドロ葉酸、キサントプテリン、10−ホルミルプテロイン酸、フォリン酸、メトトレキサート等が挙げられ、食品等の用途に対する有用性の点等から葉酸、フォリン酸、メトトレキサートが好ましく、葉酸がより好ましい。
【0059】
プテリジン誘導体の一つである葉酸は、栄養強化剤としての作用、抗貧血、発育を促進する作用、胃腸粘膜の機能を正常にする作用等を有する。このため、プテリジン誘導体(特に葉酸)を含む溶解性組成物は、このプテリジン誘導体の有する作用を持った、さらにはプテリジン誘導体と酵素処理ルチンの有する好ましい作用が増強された組成物となる。
【0060】
【化9】

【0061】
前記式(4)中、R11は−H、−NRR'または=Oであり(なお、RおよびR'は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、R12、R14、R15およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は−H、−NH2または=Oであり、R16は−Hまたは=Oであり、p〜sは、それぞれ独立に0または1であり、(11)〜(17)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(11)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、pが0の場合、二重結合であり、
(12)が付いた結合は、R13が=O以外の基であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(13)が付いた結合は、(12)が付いた結合が単結合であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(14)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、rが0の場合、二重結合であり、
(15)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、sが0の場合、二重結合であり(但し、(14)が付いた結合が、二重結合の場合は単結合である)、
(16)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、(11)が付いた結合が単結合の場合、二重結合であり、
(17)が付いた結合は、(13)および(16)が付いた結合が単結合の場合、二重結合である。
【0062】
前記式(4)中のRおよびR'、ならびにR12、R14、R15およびR17における、炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基およびブチル基等が挙げられる。
【0063】
前記式(4)で表わされる化合物は、酵素処理ルチンとの可溶化構造を形成しやすいなどの点などから、前記式(4)におけるR11が−H、−NH2または=Oであることが好ましく、=Oであることがより好ましく、R12、R15およびR17が、それぞれ独立に水素原子であることが好ましく、R14が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、R16が−Hまたは=Oであることが好ましい。
【0064】
前記プリン誘導体としては、プリン塩基等が挙げられ、食品等の用途に対する有用性の点等からグアニン、プリン、アデニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニンなどが好ましく、グアニンがより好ましい。
【0065】
プリン誘導体の一つであるグアニンは、細胞賦活化や紫外線吸収作用等を有する。このため、プリン誘導体(特にグアニン)を含む溶解性組成物は、このプリン誘導体の有する作用を持った、さらにはプリン誘導体と酵素処理ルチンの有する好ましい作用が増強された組成物となる。
【0066】
本発明において、溶解性組成物の組成は、用いられる溶解性安定剤(i)、化合物(ii)の種類や所望の目的に応じて調節することができる。
前記溶解性組成物には、前記溶解性安定剤(i)と前記化合物(ii)とが、前記溶解性安定剤(i)中に含まれている酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と前記化合物(ii)の配合量(b)との重量比((a)/(b))が好ましくは4/6〜9.9/0.1、より好ましくは4.5/5.5〜9.5/0.5、さらに好ましくは5/5〜9/1(但し(a)+(b)=10とする。)となる量で含まれていることが望ましい。
前記溶解性組成物中の、酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と化合物(ii)の配合量(b)との重量比が上記範囲にあると、常温の水に対する溶解性、溶解安定性および化合物(ii)の光安定性等に優れた組成物が得られる点で好ましい。
なお、溶解性安定剤(i)と化合物(ii)との配合量の比は、これらを配合した溶液中の各成分の濃度(ppm)の値から算出することができる。
【0067】
また、前記酵素処理ルチンは、レスベラトロールの溶解安定性および光安定性等の改善効果の点から、前記化合物(ii)を100ppm含む溶解性組成物中に、80〜800ppm含まれることが好ましく、100〜500ppm含まれることがより好ましい。
前記溶解性組成物は、レスベラトール1重量部に対して、前記酵素処理ルチンを、0.8〜8重量部含むことが好ましく、1〜5重量部含むことがより好ましい。
【0068】
本発明の溶解性組成物は、溶解性安定剤(i)ならびに化合物(ii)を混合することで製造することができ、その製造方法は、特に制限されない。
本発明の溶解性組成物は、噴霧乾燥法などの特殊な装置を用いる方法を用いなくても、単に酵素処理ルチンと化合物(ii)とを簡便な方法で混合することで、化合物(ii)の常温の水に対する溶解安定性が向上した組成物を安価に容易に製造することができる。
本発明の溶解性組成物は、このように簡便な方法で製造することができるため、前記酵素処理ルチンの有する好ましい作用と化合物(ii)の有する好ましい作用とを損なうことなく、両者の好ましい作用を併せ持った、さらには両者の好ましい作用が増強された組成物を提供することができる。
【0069】
本発明に係る溶解性組成物には、所望の目的、用途に応じて本発明の効果を損なわない範囲で適宜グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の添加剤を加えてもよい。
このような溶解性組成物の製造は、必要に応じて加温下で行ってもよい。
溶解性組成物の形状は、特に制限されず、液体状であっても固体状であってもよい。
【0070】
〔溶解性安定化方法〕
本発明に係るスチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)の溶解性安定化方法は、前記溶解性安定剤(i)と、前記化合物(ii)とを、化合物(ii)1重量部に対して、溶解性安定剤(i)を好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは0.5〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部で混合することが望ましい。
溶解性安定剤(i)と化合物(ii)とを混合する方法は特に制限されず、溶解性安定剤(i)と化合物(ii)とを簡便な方法で混合することで、化合物(ii)の溶解性を安定化することができる。
【0071】
〔用途〕
本発明に係る溶解性安定剤および溶解性組成物は、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途に利用することができる。
本発明の溶解性安定剤および溶解性組成物は、そのまま経口摂取することもでき、また、食品、化粧品、医薬品(医薬部外品を含む。)、飼料などの原料と混合して使用することもできる。
【0072】
食品、化粧品、医薬品、飼料など中における溶解性安定剤の濃度は、好ましくは1〜10000ppm、より好ましくは10〜1000ppmであり、溶解性組成物の濃度は、好ましくは0.1〜1000ppm、より好ましくは1〜100ppmである。
【0073】
本発明の溶解性安定剤および溶解性組成物は、常温の水に対する溶解安定性に優れるため、固形状のものに限らず液状の食品、化粧品、医薬品などを製造する上でも好適である。なお、本発明の溶解性安定剤または溶解性組成物を含む食品、医薬品、化粧品、飼料などは、酵素処理ルチンならびにスチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が有する機能(呈味改善作用、抗酸化・紫外線吸収作用など)をあわせて有する場合がある。
【0074】
また、前記用途には、本発明の溶解性安定剤または溶解性組成物と、カテキン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンB2、ヒアルロン酸、テアニン、コラーゲン、クエン酸、ノコギリヤシ、L−カルニチン、αリポ酸、ウコン、ベータカロチン、カプサイシン、亜鉛(Zn)、シャンピニオンエキス、キトサン、キノコキトサン、コンドロイチン、レシチン、牡蠣エキス、グルコサミン、ピクノジェノール、プロアントシアニジン、コエンザイムQ10等のサプリメントや、酵素処理ステビア、ラカンカ、グリチルリチン、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、砂糖、果糖、ブドウ糖果糖液糖、還元水飴、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳化オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、トレハロース、乳糖、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、パラチノース、還元パラチノース等の1つまたは2つ以上とを組み合わせたものを使用できる。
【0075】
・食品
前記食品としては、発酵食品、パン類、漬物、乾物、練り製品、粉類、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品(即席麺、ドライ・フーズ、粉末飲料等)、乳製品(加工乳、脱脂粉乳等)、魚肉加工品、畜産加工品等の加工食品;菓子類等の嗜好食品;油脂類、甘味料、調味料、香辛料等の調理・調味用材料;サプリメント等の健康食品(機能性食品);特別用途食品(病者用食品、高齢者用食品、育児用食品);特定保健用食品;ゲル化剤や膨張剤等の加工材料;保存食;非常食;宇宙食;水、清涼飲料水、アルコール飲料、茶、コーヒー等の飲料などが挙げられる。
【0076】
・医薬品
前記医薬品としては、内服薬、外用薬および注射薬等のいずれであってもよく、具体的には、錠剤、散剤(細粒剤、顆粒剤等)、カプセル剤、ドリンク剤、シロップ剤、トローチ、うがい薬、歯磨き、口中清涼剤、口臭防止剤、ドリンク剤、漢方石鹸、洗剤、シャンプー、リンス、頭髪剤、育毛剤などが挙げられる。
【0077】
・化粧品
前記化粧品としては、パウダー、乳液、リキッド、クリーム状のファンデーション、日焼け止め、スキンローション、クリーム類、口紅、芳香剤等の化粧品などが挙げられる。
【0078】
・飼料
前記飼料としては液状または固形状のものが挙げられ、具体的には、各種キャットフード、ドッグフード、観賞魚の餌、養殖魚の餌などが挙げられる。
【0079】
本発明の溶解性安定剤および溶解性組成物は、前記食品、化粧品、医薬品および飼料の製造工程の初期に添加されるか、製造工程の中期または終期に添加されればよく、また添加の手法は、混和、混練、溶解、浸漬、散布、噴霧、塗布等から適切なものを製品の態様に応じて選択すればよい。
【実施例】
【0080】
以下、実施例に基づいて本発明の好適態様についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0081】
実施例で用いた試薬は以下のとおりである。
・レスベラトロール:トランス−レスベラトロール(東京化成工業(株)製)
・酵素処理ルチン:αGルチンPS(ルチン換算量=80重量%、東洋精糖(株)製、図中では「ルチンP」ともいう)
・酵素処理ステビア:αGスイートPX(東洋精糖(株)製)
・酵素処理ヘスペリジン:αGヘスペリジンPA−LE(東洋精糖(株)製)
・α−シクロデキストリン(α−CD):デキシパールα−100(塩水港精糖(株)製)
・β−シクロデキストリン(β−CD):デキシパールβ−100(塩水港精糖(株)製)
・γ−シクロデキストリン(γ−CD):デキシパールγ−100(塩水港精糖(株)製)
・クエン酸一水和物:クエン酸一水和物(鹿一級)(関東化学(株)製)
・クエン酸三Na・二水和物:クエン酸三Na・二水和物(特級)(関東化学(株)製)
・葉酸:葉酸(鹿特級)(関東化学(株)製)
・クルクミン:クルクミン(Lot No. MOP2920)(ナカライテスク(株)製)
・グアニン:グアニン(Lot No.DCQ4491)(和光純薬工業(株)製)
・リン酸二水素カリウム:リン酸二水素カリウム(特級、Lot No.806X1199)(関東化学(株)製)
・水酸化ナトリウム:水酸化ナトリウム(特級)(関東化学(株)製)
・アセトニトリル:アセトニトリル(HPLC用)(ナカライテスク(株))
・蒸留水:蒸留水(HPLC用)(和光純薬工業(株))
以下の各試験は、何れも常温(25℃)で、常圧(1気圧)下に行った。なお、冷蔵(冷暗所)で保存とは、4℃で保存することをいう。
【0082】
<レスベラトロールの水への溶解度評価>
レスベラトロール0.1gを精密に秤量し、少量の99%エタノールに溶解後、99%エタノールで10mLに定容した(1%レスベラトロール溶液)。
ポリスチレン製の試験管に、調製した1%レスベラトロール溶液50μLを量り取り、さらに99%エタノール150μLを加え、十分に混合した。この混合物の入った試験管を4本作製した。
【0083】
得られた試験管4本それぞれに、イオン交換水、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH3.0)、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)または50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH7.0)のいずれかを9.8mL加え、十分に混合した。この4本の試験管を1セットとし、5セット調製した。
混合後、各試験管を密栓し、冷蔵・暗所にて2週間保存した。
保存後の各試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のレスベラトロールの濃度を調べた。
結果を表1に示す。
【0084】
HPLC分析条件は、以下のとおりである。なお、下記試験例において、溶液中のレスベラトロールの濃度を測定する際のHPLC分析は、この分析条件と同様の条件で行った。
・検出波長:310nm(検出器;GL−7452A、ジーエルサイエンス(株)製)
・カラム:Cosmosill 3C18(4.6mmI.D.×100mm)
・移動相:20%アセトニトリル、0.1%酢酸
・流速:1.0mL/min
【0085】
【表1】

【0086】
以上の結果より、水系(2%エタノール)の溶媒中におけるレスベラトロールの濃度は、pHに影響されず、おおよそ12ppmとなることが分かった。
【0087】
<レスベラトロールの水への溶解安定性評価>
[実施例1]
レスベラトロールを99%エタノールに、レスベラトロールの濃度が1%となるように溶解させ、1%レスベラトロール溶液を調製した。
また、酵素処理ルチンの濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
【0088】
ポリスチレン製の試験管に調製した1%レスベラトロール溶液50μLを量り取り、さらに99%エタノール150μLを加えて試料を作製した。この試料を6セット作製した。
作製した試験管それぞれに、調製した1%酵素処理ルチン溶液を0、10、25、50、100または200μL加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管それぞれに、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を、各試験管中の液量がそれぞれ10mLとなるように加えた。その後、各試験管を密栓し、冷蔵・暗所にて2週間保存した。
保存後の各試料を、最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のレスベラトロールの濃度を調べた。結果を図1に示す。なお、1%酵素処理ルチン溶液を含まない試料は実施例との対比のために用いた。
【0089】
[参考例1]
実施例1において、酵素処理ルチンの代わりに、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビア、α−CD、β−CDまたはγ−CDを用いて1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液、1%α−CD溶液、1%β−CD溶液および1%γ−CD溶液を調製した。得られた1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液、1%α−CD溶液、1%β−CD溶液または1%γ−CD溶液を1%酵素処理ルチン溶液の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして、各溶液中のレスベラトロールの濃度を調べた。
結果を図1に示す。
【0090】
ここで、シクロデキストリンは通常、疎水性の物質を水に溶解させる目的で使用されるため、参考のため用いた。
レスベラトロールの水への溶解安定性評価の結果、酵素処理ルチン、酵素処理ヘスペリジン、酵素処理ステビア、α−CDおよびβ−CDの含有量が多い試料では、レスベラトロールの水に対する溶解度が高く、特に、酵素処理ルチンおよびβ−CDを含む試料は、レスベラトロールの水に対する溶解度が高かった。
【0091】
<レスベラトロールの光安定性評価>
[実施例2]
実施例1と同様に、1%レスベラトロール溶液および1%酵素処理ルチン溶液を調製した。ポリスチレン製の試験管に調製した1%レスベラトロール溶液50μLを量り取り、さらに1%酵素処理ルチン溶液を50μL加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管に20%エタノール・50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を、試験管中の液量が10mLとなるように加え試料を作製した。この試料を4セット作製した。
【0092】
各試料を密栓し、1セットは冷蔵・暗所で17日間保存し、残りの3セットは、冷蔵・蛍光灯(約1500Lux)下にて、それぞれ3日間、14日間または17日間露光した。
冷暗所での保存後、または各期間露光後の各試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のレスベラトロールの濃度を調べた。冷蔵・暗所で17日間保存した試料のろ液中のレスベラトロールの濃度を100%とし、各期間露光後のろ液中のレスベラトロールの残存率を求めた。結果を図2に示す。
【0093】
[実施例3]
1%酵素処理ルチン溶液の添加量を100μLに変更した以外は実施例2と同様にして、溶液中のレスベラトロールの残存率を調べた。結果を図2に示す。
【0094】
[実施例4]
1%酵素処理ルチン溶液の添加量を500μLに変更した以外は実施例2と同様にして、溶液中のレスベラトロールの残存率を調べた。結果を図2に示す。
【0095】
[比較例1]
1%酵素処理ルチン溶液を添加しないこと以外は実施例2と同様にして、溶液中のレスベラトロールの残存率を調べた。結果を図2に示す。
【0096】
[参考例2]
1%酵素処理ルチン溶液の代わりに、参考例1と同様に調製した1%α−CD溶液を100μL添加した以外は実施例2と同様にして、溶液中のレスベラトロールの残存率を調べた。結果を図2に示す。
【0097】
酵素処理ルチンを用いることで、レスベラトロールの光安定性が向上し、試料中の酵素処理ルチンの含有量が多くなるほど光安定性は向上した。
【0098】
[比較例2]
実施例1と同様に、1%レスベラトロール溶液を調製した。ポリスチレン製の試験管2本それぞれに調製した1%レスベラトロール溶液50μLを量り取り、それぞれの試験管に20%エタノール・50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を、試験管中の液量が10mLとなるように加え、試料を作製した。
【0099】
1つの試料を冷暗所で17日保存し、保存後の試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、ろ液中のレスベラトロールの濃度を求めた。
残りの試料を密栓し、冷蔵・蛍光灯(約1500Lux)下にて、17日間露光した。
露光後の試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、ろ液中のレスベラトロールの残存率を求めた。なお、冷暗所で保存した試料を残存率100%とした。結果を図3に示す。
【0100】
[実施例5]
実施例1と同様に、1%レスベラトロール溶液および1%酵素処理ルチン溶液を調製した。ポリスチレン製の試験管4本それぞれに調製した1%レスベラトロール溶液50μLを量り取り、それぞれの試験管にさらに1%酵素処理ルチン溶液を100、200、500または1000μL加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管それぞれに20%エタノール・50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を、試験管中の液量が10mLとなるように加え試料を作製した。
【0101】
得られた各試料を密栓し、冷蔵・蛍光灯(約1500Lux)下にて、17日間露光した。
露光後の各試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のレスベラトロールの残存率を求めた。なお、比較例2の冷暗所保存した試料を残存率100%とした。結果を図3に示す。
【0102】
[参考例3]
1%酵素処理ルチン溶液の代わりに、参考例1と同様に調製した1%α−CD溶液または1%β−CD溶液を用いた以外は実施例5と同様にして、溶液中のレスベラトロールの残存率を調べた。結果を図3に示す。
【0103】
酵素処理ルチンを用いることで、レスベラトロールの光安定性が向上し、試料中の酵素処理ルチンの含有量が多くなるほど光安定性は向上した。
なお、α−CDやβ−CDを用いてもレスベラトロールの光安定性は向上しなかった。
【0104】
<葉酸の水への溶解安定性評価>
葉酸を5%NaOH水溶液に、葉酸の濃度が1%となるように溶解させ、1%葉酸溶液を調製した。また、酵素処理ルチンの濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
ポリスチレン製の試験管3本それぞれに調製した1%葉酸溶液50μLを量り取り、それぞれの試験管に、調製した1%酵素処理ルチン溶液を0、100または300μL加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管それぞれに、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を、各試験管中の液量がそれぞれ10mLとなるように加えた。その後、各試験管を密栓し、常温(約20℃)にて5時間静置し、試験管の様子を目視にて確認した。なお、NaOH水溶液を用いたのは、高pHにすることにより、葉酸の溶解性を向上させるためである。
【0105】
酵素処理ルチンを含まない試料は、クエン酸緩衝液を試験管に加えた時には、沈殿が見られない無色透明の溶液であったが、5時間静置後には、沈殿が生じ、黄色の不透明な溶液となった。
酵素処理ルチンの濃度が100ppmおよび300ppmである試料は、5時間静置後でも、沈殿は生じず、透明な溶液であった。
【0106】
<葉酸の水への溶解度評価>
葉酸0.45gを精密に秤量して30mL容メスフラスコに採取した。1規定の水酸化ナトリウム3.5mLを該フラスコに加え、葉酸と十分になじませた後、超音波により葉酸を溶解させ、イオン交換水を加えて30mLに定容した(1.5%葉酸溶液)。
ポリスチレン製の試験管に、調製した1.5%葉酸溶液0.1mLを量り取った。この試験管5本作製した。
【0107】
得られた5本の試験管それぞれに、pH3、4、5、6または7に調整した50mmol/Lクエン酸緩衝液のいずれかを9.9mL加え、十分に混合した。この5本の試験管を1セットとし、3セット調製した。
得られた各試験管を密栓し、4℃、暗所にて2週間保存した。
保存後の各試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中の葉酸の濃度を調べた。
それぞれのpHにおける葉酸の濃度の3セットの平均値の結果を図4に示す。
【0108】
HPLC分析条件は、以下のとおりである。なお、下記試験例において、溶液中の葉酸の濃度を測定する際のHPLC分析は、この分析条件と同様の条件で行った。
・検出波長:280nm(検出器;GL−7452A、ジーエルサイエンス(株)製)
・カラム:Cosmosill 3C18(4.6mmI.D.×100mm)
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・移動相:下記表2に示すグラジエント条件による
A液;20mmol/Lリン酸緩衝液(pH7)、10%メタノール
B液;50%アセトニトリル
(なお、表2中Tは、HPLCに試料を注入してからの時間である。)
【0109】
【表2】

【0110】
<葉酸の水への溶解安定性評価>
[実施例6]
前記<葉酸の水への溶解度評価>と同様に1.5%葉酸溶液を調製した。また、酵素処理ルチンの濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
【0111】
ポリスチレン製の試験管に、調製した1.5%葉酸溶液を0.1mL加えた後、1%酵素処理ルチン溶液500μLを加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管に、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH3)を、試験管中の液量が10mLとなるように加え、十分に攪拌した。その後、試験管を密栓し、4℃、暗所にて2週間保存した。
保存後の試料を、最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、ろ液中の葉酸の濃度を調べた。結果を図5に示す。
【0112】
[参考例4]
実施例6において、1%酵素処理ルチン溶液の代わりに、参考例1と同様に調製した1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液、1%α−CD溶液、1%β−CD溶液または1%γ−CD溶液を用いた以外は実施例6と同様にして、溶液中の葉酸の濃度を調べた。結果を図5に示す。
【0113】
[比較例3]
実施例6において、1%酵素処理ルチン溶液を添加しないこと以外は実施例6と同様にして、溶液中の葉酸の濃度を調べた。結果を図5に示す。
【0114】
<葉酸の光安定性評価>
葉酸を5%のNaOH水溶液に、葉酸の濃度が1%となるように溶解させ、1%葉酸溶液を調製した。また、酵素処理ルチン(ルチンP)の濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
ポリスチレン製の試験管3本それぞれに調製した1%葉酸溶液50μLを量り取り、それぞれの試験管に、調製した1%酵素処理ルチン溶液を0、100または300μLずつ加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管それぞれに、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.0)を、各試験管中の液量がそれぞれ10mLとなるように加えた。その後、各試験管を密栓し、冷蔵・蛍光灯(約1500Lux)下にて、最大で150時間露光した。
所定時間露光後の各試料を最小保留粒子径0.45μmのフィルターでろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中の葉酸の残存率を求めた。なお、各試料において、露光前の葉酸の残存率を1とした。結果を図6に示す。
【0115】
酵素処理ルチンを用いることで、葉酸の光安定性が向上した。
【0116】
前記<葉酸の光安定性評価>において、50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.0)の代わりに50mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.0)を用いた以外は、前記<葉酸の光安定性評価>と同様に各試料中の葉酸の残存率を求めた。結果を図7に示す。
【0117】
酵素処理ルチンを用いることで、葉酸の光安定性が向上し、試料中の酵素処理ルチンの含有量が多くなるほど光安定性は向上した。
【0118】
<クルクミンの水への溶解安定性評価>
[実施例7]
クルクミン0.040gを精密に秤量して10mL容メスフラスコに採取した。このメスフラスコに0.05規定の水酸化ナトリウム水溶液約8mLを加え、さらに超音波にかけてクルクミンを溶解させた後、同水溶液にて定容した。得られた溶液を最少保留粒子径0.20μmのPTFE製カートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)製、DISMIC−13HP)を用いてろ過し、得られたろ液をクルクミン溶液とした。
また、酵素処理ルチンの濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
【0119】
ポリスチレン製の試験管3本それぞれに調製したクルクミン溶液0.1mLを量り取り、それぞれの試験管にさらに1%酵素処理ルチン溶液を200、500、または1000μL加え、十分に攪拌した。攪拌後の試験管それぞれに、100mmol/Lクエン酸緩衝液(pH6.8)を、各試験管中の液量がそれぞれ10mLとなるように加え、十分に攪拌した。得られた溶液入り試験管3本を1セットとし、3セット作製した。クエン酸緩衝液添加後の全ての試験管中の溶液は室温にてpHが6.8となった。その後、各試験管を密栓し、4℃・暗所にて56日間静置した。
静置後の各試料を、最小保留粒子径0.20μmのフィルター(DISMIC−13HP)でろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のクルクミンの濃度を調べた。結果を図8に示す。なお、図8中のクルクミンの濃度(ppm)の値は、1%酵素処理ルチン溶液が同量含まれる試験管3本それぞれの溶液中のクルクミンの濃度の平均値である。
【0120】
HPLC分析条件は、以下のとおりである。
・検出波長:425nm(検出器;GL−7452A、ジーエルサイエンス(株)製)
・カラム:ナカライテスク(株)製 Cosmosil 5C18−MS−II (4.6mmI.D.×250mm)
・カラム温度:40℃
・移動相:60%アセトニトリル
・流速:1.0mL/min.
・注入量:10μL
【0121】
[参考例5]
実施例7において、参考例1と同様にして、1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液および1%β−CD溶液を調製した。得られた1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液または1%β−CD溶液を1%酵素処理ルチン溶液の代わりに用いた以外は実施例7と同様にして、各溶液中のクルクミンの濃度を調べた。結果を図8に示す。
【0122】
[比較例4]
実施例7において、1%酵素処理ルチン溶液を添加しないこと以外は実施例7と同様にして、溶液中のクルクミンの濃度を調べた。結果を図8に示す。
【0123】
クルクミンの水への溶解安定性評価の結果、酵素処理ルチンの含有量が多い試料では、クルクミンの水に対する溶解度が高く、溶解安定性に優れていた。
【0124】
<グアニンの水への溶解安定性評価>
[実施例8]
グアニン0.112gを精密に秤量し、このグアニンに0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液9.9mLを加え、十分に攪拌し、グアニンを溶解させた。得られた溶液を最少保留粒子径0.20μmのカートリッジフィルター(アドバンテック東洋(株)製、DISMIC−13HP)を用いてろ過し、得られたろ液をグアニン溶液とした。
また、酵素処理ルチンの濃度が1%となるように、イオン交換水に溶解させ、1%酵素処理ルチン溶液を調製した。
【0125】
ポリスチレン製の試験管3本それぞれに調製したグアニン溶液100μLを量り取り、それぞれの試験管にさらに1%酵素処理ルチン溶液を100、500、または1000μL加え、その後速やかに、100mmol/Lクエン酸緩衝液(pH5.9)を、各試験管中の総液量がそれぞれ10mLとなるように加えた。得られた溶液入り試験管3本を1セットとし、3セット作製した。クエン酸緩衝液添加後の全ての試験管中の溶液は概ねpHが6となった。その後、各試験管を密栓し、冷蔵・暗所にて6日間静置した。
保存後の各試料を、最小保留粒子径0.20μmのフィルター(アドバンテック東洋(株)製、25HP020AN)でろ過し、ろ液をHPLCに供し、各ろ液中のグアニンの濃度を調べた。結果を図9に示す。なお、図9中のグアニンの濃度(ppm)の値は、1%酵素処理ルチン溶液が同量含まれる試験管3本それぞれの溶液中のグアニンの濃度の平均値である。
【0126】
HPLC分析条件は、以下のとおりである。
・検出波長:260nm(検出器;GL−7452A、ジーエルサイエンス(株)製)
・カラム:Cosmosil 5C18−MS−II (4.6φ×250mm)(ナカライテスク(株)製)
・カラム温度:40℃
・流速:1.5mL/min.
・注入量:10μL
・移動相:下記表3に示すグラジエント条件による
A液;0.05mol/Lリン酸二水素カリウム
B液;0.05mol/Lリン酸二水素カリウム・50%アセトニトリル
(なお、表3において、時間(分)は、HPLCに試料を注入してからの時間である。)
【0127】
【表3】

【0128】
[参考例6]
実施例8において、参考例1と同様に調製した1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液、1%α−CD溶液、1%β−CD溶液または1%γ−CD溶液を調製した。得られた1%酵素処理ヘスペリジン溶液、1%酵素処理ステビア溶液、1%α−CD溶液、1%β−CD溶液または1%γ−CD溶液を1%酵素処理ルチン溶液の代わりに用いた以外は実施例8と同様にして、各溶液中のグアニンの濃度を調べた。結果を図9に示す。
【0129】
[比較例5]
実施例8において、1%酵素処理ルチン溶液を添加しないこと以外は実施例8と同様にして、溶液中のグアニンの濃度を調べた。結果を図9に示す。
【0130】
グアニンの水への溶解安定性評価の結果、酵素処理ルチンを含有する試料では、グアニンの水に対する溶解度が高く、溶解安定性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素処理ルチンを含むことを特徴とする、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)用の溶解性安定剤。
【請求項2】
前記酵素処理ルチンが、ルチンに糖供与体を加え、グルコース転移酵素を作用させて糖供与体からルチンに糖(グルコース)を転移させることにより得られる、α-グルコシルルチン含有物である、請求項1に記載の溶解性安定剤。
【請求項3】
前記酵素処理ルチン中のルチン換算量が10〜85重量%である、請求項1または2に記載の溶解性安定剤。
【請求項4】
前記化合物(ii)が、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、下記式(3)で表わされる化合物および下記式(4)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶解性安定剤。
【化1】

(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、aはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化2】

(式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、bはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化3】

(式(3)中、R3は、−OH、=Oまたは−NH2であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R5、R8およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基であり、c〜fは、それぞれ独立に0または1であり、gは0〜10の整数であり、(1)〜(5)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(1)が付いた結合は、R3が=O以外の基であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(2)が付いた結合は、(1)が付いた結合が単結合であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(3)が付いた結合は、(2)が付いた結合が単結合であり、かつ、dが0の場合、二重結合であり、
(4)が付いた結合は、eが0の場合、二重結合であり、
(5)が付いた結合は、fが0の場合、二重結合である。)
【化4】

(式(4)中、R11は−H、−NRR'または=Oであり(なお、RおよびR'は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、R12、R14、R15およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は−H、−NH2または=Oであり、R16は−Hまたは=Oであり、p〜sは、それぞれ独立に0または1であり、(11)〜(17)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(11)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、pが0の場合、二重結合であり、
(12)が付いた結合は、R13が=O以外の基であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(13)が付いた結合は、(12)が付いた結合が単結合であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(14)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、rが0の場合、二重結合であり、
(15)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、sが0の場合、二重結合であり(但し、(14)が付いた結合が、二重結合の場合は単結合である)、
(16)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、(11)が付いた結合が単結合の場合、二重結合であり、
(17)が付いた結合は、(13)および(16)が付いた結合が単結合の場合、二重結合である。)
【請求項5】
前記化合物(ii)が、
前記式(1)におけるR1がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、aがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(2)におけるR2がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、bがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(3)におけるR5が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基であり、R8が、水素原子またはアルデヒド基であり、R9が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基またはアルキルアミノ基であり、gが1または2である化合物、および、
前記式(4)中、R11が−H、−NH2または=Oであり、R12、R15およびR17が、それぞれ独立に水素原子であり、R14が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R16が−Hまたは=Oである化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶解性安定剤。
【請求項6】
前記化合物(ii)がレスベラトロール、ピノシルビン、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、葉酸、フォリン酸、メトトレキサートおよびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の溶解性安定剤。
【請求項7】
(i)請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶解性安定剤と、
(ii)スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを含む、溶解性組成物。
【請求項8】
前記溶解性安定剤(i)と前記化合物(ii)とが、前記溶解性安定剤(i)中に含まれている酵素処理ルチン中のルチン換算量(a)と前記化合物(ii)の配合量(b)との重量比((a)/(b))が4/6〜9.9/0.1(但し(a)+(b)=10とする。)となる量で含まれている、請求項7に記載の溶解性組成物。
【請求項9】
前記化合物(ii)が、下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、下記式(3)で表わされる化合物および下記式(4)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項7または8に記載の溶解性組成物。
【化5】

(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、aはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化6】

(式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、bはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化7】

(式(3)中、R3は、−OH、=Oまたは−NH2であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R5、R8およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基であり、c〜fは、それぞれ独立に0または1であり、gは0〜10の整数であり、(1)〜(5)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(1)が付いた結合は、R3が=O以外の基であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(2)が付いた結合は、(1)が付いた結合が単結合であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(3)が付いた結合は、(2)が付いた結合が単結合であり、かつ、dが0の場合、二重結合であり、
(4)が付いた結合は、eが0の場合、二重結合であり、
(5)が付いた結合は、fが0の場合、二重結合である。)
【化8】

(式(4)中、R11は−H、−NRR'または=Oであり(なお、RおよびR'は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、R12、R14、R15およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は−H、−NH2または=Oであり、R16は−Hまたは=Oであり、p〜sは、それぞれ独立に0または1であり、(11)〜(17)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(11)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、pが0の場合、二重結合であり、
(12)が付いた結合は、R13が=O以外の基であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(13)が付いた結合は、(12)が付いた結合が単結合であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(14)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、rが0の場合、二重結合であり、
(15)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、sが0の場合、二重結合であり(但し、(14)が付いた結合が、二重結合の場合は単結合であるv)、
(16)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、(11)が付いた結合が単結合の場合、二重結合であり、
(17)が付いた結合は、(13)および(16)が付いた結合が単結合の場合、二重結合である。)
【請求項10】
前記化合物(ii)が、
前記式(1)におけるR1がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、aがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(2)におけるR2がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、bがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(3)におけるR5が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基であり、R8が、水素原子またはアルデヒド基であり、R9が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基またはアルキルアミノ基であり、gが1または2である化合物、および、
前記式(4)中、R11が−H、−NH2または=Oであり、R12、R15およびR17が、それぞれ独立に水素原子であり、R14が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R16が−Hまたは=Oである化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項9に記載の溶解性組成物。
【請求項11】
前記化合物(ii)が、レスベラトロール、ピノシルビン、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、葉酸、フォリン酸、メトトレキサートおよびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項7〜10のいずれか1項に記載の溶解性組成物。
【請求項12】
(i)請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶解性安定剤と、
(ii)スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを、
前記化合物(ii)1重量部に対して、前記溶解性安定剤(i)を0.1〜100重量部の量で混合する、スチルベン誘導体、クルクミノイド、プテリジン誘導体およびプリン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の溶解性安定化方法。
【請求項13】
前記化合物(ii)が下記式(1)で表わされる化合物、下記式(2)で表わされる化合物、下記式(3)で表わされる化合物および下記式(4)で表わされる化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項12に記載の溶解性安定化方法。
【化9】

(式(1)中、R1はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、aはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化10】

(式(2)中、R2はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシル基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、スルホン酸ナトリウム基またはイソチオシアネート基であり、bはそれぞれ独立に1〜5の整数である。)
【化11】

(式(3)中、R3は、−OH、=Oまたは−NH2であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R5、R8およびR9はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルデヒド基、アルキルエステル基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基であり、c〜fは、それぞれ独立に0または1であり、gは0〜10の整数であり、(1)〜(5)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(1)が付いた結合は、R3が=O以外の基であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(2)が付いた結合は、(1)が付いた結合が単結合であり、かつ、cが0の場合、二重結合であり、
(3)が付いた結合は、(2)が付いた結合が単結合であり、かつ、dが0の場合、二重結合であり、
(4)が付いた結合は、eが0の場合、二重結合であり、
(5)が付いた結合は、fが0の場合、二重結合である。)
【化12】

(式(4)中、R11は−H、−NRR'または=Oであり(なお、RおよびR'は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である)、R12、R14、R15およびR17は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、R13は−H、−NH2または=Oであり、R16は−Hまたは=Oであり、p〜sは、それぞれ独立に0または1であり、(11)〜(17)が付いた結合は、それぞれ独立に単結合であるが、
(11)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、pが0の場合、二重結合であり、
(12)が付いた結合は、R13が=O以外の基であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(13)が付いた結合は、(12)が付いた結合が単結合であり、かつ、qが0の場合、二重結合であり、
(14)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、rが0の場合、二重結合であり、
(15)が付いた結合は、R16が=O以外の基であり、かつ、sが0の場合、二重結合であり(但し、(14)が付いた結合が、二重結合の場合は単結合である)、
(16)が付いた結合は、R11が=O以外の基であり、かつ、(11)が付いた結合が単結合の場合、二重結合であり、
(17)が付いた結合は、(13)および(16)が付いた結合が単結合の場合、二重結合である。)
【請求項14】
前記化合物(ii)が、
前記式(1)におけるR1がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、aがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(2)におけるR2がそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基であり、bがそれぞれ独立に1または2である化合物、
前記式(3)におけるR5が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基またはアミノ基であり、R8が、水素原子またはアルデヒド基であり、R9が、水素原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基またはアルキルアミノ基であり、gが1または2である化合物、および、
前記式(4)中、R11が−H、−NH2または=Oであり、R12、R15およびR17が、それぞれ独立に水素原子であり、R14が水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R16が−Hまたは=Oである化合物
からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項13に記載の溶解性安定化方法。
【請求項15】
前記化合物(ii)が、レスベラトロール、ピノシルビン、クルクミン、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、葉酸、フォリン酸、メトトレキサートおよびグアニンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の溶解性安定化方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の溶解性安定剤または請求項7〜11のいずれか1項に記載の溶解性組成物の、食品、化粧品、医療品および飼料からなる群より選ばれる少なくとも1種の用途への利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−229194(P2012−229194A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−286070(P2011−286070)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【出願人】(591061068)東洋精糖株式会社 (17)
【Fターム(参考)】