説明

セラミックヒータと、それを備えたガスセンサ素子、ガスセンサ、並びにこれらの製造方法

【課題】マイグレーションの抑制と端子電極の密着強度の向上とを両立するセラミックヒータと、これを熱源とし、被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部を有するガスセンサ素子と、その製造方法を提供する。
【解決手段】耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体(11〜15)の内側に通電により発熱する発熱体10と一対の発熱体リード部100、101と一対の端子電極102、103を設けたセラミックヒータ1であって、少なくとも、絶縁体(11〜15)の内、発熱体10が直接触れる部分を耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くした主成分高含有率絶縁体層11、12、13とし、絶縁体(11〜15)の内、端子電極102、103が直接触れる部分を耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くした主成分低含有率絶縁体層14、15とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通電により発熱する発熱体を内蔵するセラミックヒータと、セラミックヒータを熱源として備えたガスセンサ素子、該ガスセンサ素子を有するガスセンサ、並びにセラこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジン等の内燃機関の燃焼排気流路に、該燃焼排気中に含まれる酸素、窒素酸化物、アンモニア、水素等の特定ガス成分の濃度を検知するガスセンサを配設して、内燃機関の燃焼制御や排ガス浄化装置の制御を行っている。
このようなガスセンサとして、例えば、特許文献1には、被測定ガスと基準ガスとにそれぞれ面した固体電解質板と該固体電解質板の両面に設けた一対の被測定ガス側電極と基準ガス側電極とよりなり,基準ガスを導入する導入部構成用の絶縁板等が設けてあり、さらに、各電極や固体電解質板を加熱するための絶縁板より構成されたヒータが一体的に設けたいわゆる積層型のガスセンサ素子におおいて、ジルコニア系固体電解質板とアルミナ系絶縁板との接合界面の少なくとも一部にはSiO を含む結晶相を介在させることにより、異なる材質の接合界面における接合強度の低下や耐久性の低下を抑制した積層型ガスセンサ素子が開示されている。
【0003】
また、このようなガスセンサ素子に加熱部として用いられるセラミックヒータにおいて、発熱体を内蔵する絶縁体の焼結助剤として添加され、あるいは、不純物として含有されているアルカリ金属及びアルカリ土類金属の陽イオンが、絶縁体内部を移動するマイグレーションによって、セラミックヒータの絶縁性低下を招くことが知られている。
特許文献2には、いわゆるコップ型の酸素センサに用いられる棒状のセラミックヒータにおいて、セラミックヒータの基材となるセラミックスが、90〜99重量%のAlと0.5〜4重量%のSiOと0.5〜6重量%の希土類元素酸化物とを含有し、これらの合計100重量部に対するMgO、CaOの含有量が0.4重量部以下とすることによって、マイグレーションによるヒータの劣化を抑制しようとする技術が開示されている。
【0004】
一方、特許文献3には、センサの外部に引き出されるリード線とセンサ素子の電極端子との接続を行うに際して、各リード線の先端に設けられた弾性部材からなる端子金具を電極端子に圧接することによって、組み付け作業の簡易化を図ると共に、外部からの振動や衝撃に対する信頼性の向上を図るガスセンサが開示されている。
【0005】
また、特許文献4には、電気的に絶縁された基板に設けた少なくとも一対の測定電極の少なくとも一部を検出すべき煤等の粒子が拡散可能な多孔質材料で覆って、測定電極間に電圧を加えて、測定電極間に流れる電流を計測することによって、被測定ガス中の粒子濃度を検出する粒子センサ素子が開示されている。このような粒子センサ素子においては、検出粒子の燃焼温度までセンサ素子を加熱する発熱素子が絶縁体内に設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2にあるように、ヒータ部の絶縁体を構成するアルミナの純度を高くし、焼結助剤又は不純物として含有されているアルカリ金属酸化物の量を制限すると、マイグレーションの抑制を図ることができるが、却って端子電極の密着強度が低下し、特許文献3にあるような、端子金具が端子電極に弾性的に圧接されたときに、端子電極の剥離を生じ易くなる虞があることが判明した。
【0007】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、絶縁体内部に通電により発熱する発熱体を具備し、外部に端子電極を引き出したセラミックヒータにおいてマイグレーションの抑制と端子電極の密着強度の向上とを両立するセラミックヒータと、該セラミックヒータを熱源とし、被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部を有するガスセンサ素子と、その製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明では、耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体の内側に通電により発熱する発熱体と該発熱体に接続する一対の発熱体リード部とを設けて、上記絶縁体の外側表面に上記リード部に接続する一対の端子電極を設けたセラミックヒータであって、少なくとも、上記絶縁体の内、上記発熱体が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くした主成分高含有率絶縁体層とし、上記絶縁体の内、上記端子電極が直接触れる部分を上記耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くした主成分低含有率絶縁体層とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、上記発熱体が、上記主成分高含有率絶縁体層によって覆われているので、長期の使用によっても、マイグレーションによる発熱体の劣化が起こり難くなり、上記端子電極と上記主成分低含有率絶縁体層との密着強度が高くなるので、長いヒータ寿命と、高い端子電極の耐摩耗性とを兼ね備えた信頼性の高いセラミックヒータが実現できる。
【0010】
より具体的には、請求項2の発明のように、上記耐熱性セラミックスがアルミナであって、上記主成分高含有率絶縁体層のアルミナ含有率が96%、以上99.5%以下で、上記主成分低含有率絶縁体層のアルミナ含有率が80%以上、96%以下であるのが望ましい。本発明者等の鋭意試験により、かかる範囲に各層のアルミナ含有率を規定することにより、ヒータ寿命が長く、端子電極の密着強度が高いセラミックヒータが実現できることが判明した。
【0011】
請求項3の発明では、被測定ガス中に載置され被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部と該センサ部を加熱する加熱部とを具備するガスセンサ素子であって、上記加熱部として、請求項1又は2に記載のセラミックヒータを具備する。
【0012】
請求項3によれば、耐久性に優れたガスセンサ素子が実現できる。
【0013】
請求項4の発明では、上記センサ部が、少なくとも、被測定ガス中に含まれる特定ガス成分のイオンに対して伝導性を示す固体電解質層と、該固体電解質層の一方の表面に設けて被測定ガスに対向せしめた測定電極と、他方の表面に設けて基準ガスとして導入する大気に対向せしめた基準電極とを具備し、被測定ガス中の特定ガス成分の量によって変化する電気的特性として、上記基準電極と上記測定電極との間に発生する起電力、又は、上記基準電極と上記測定電極との間に電圧を印加したときの電流値変化を検出する。
【0014】
内燃機関の燃焼排気を被測定ガスとし、請求項4のガスセンサ素子を、内燃機関の排気流路に載置すれば、酸素センサ、空燃比センサ、NOxセンサ等として利用する場合の、信頼性、耐久性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項5の発明では、上記センサ部が、少なくとも、絶縁性の基体と、該絶縁性基体の表面に所定の間隙を隔てて設けた一対の測定電極とを具備し、被測定ガス中の特定成分として、被測定ガス中に含まれる粒子状物質を上記一対の測定電極間に捕集し、その量に応じて変化する測定電極間の電気的特性として、上記測定電極間に形成される電気抵抗、静電容量、又は、インピーダンス、若しくは、上記測定電極間に電圧を印加したときの電流値変化のいずれかを検出する。
【0016】
内燃機関の燃焼排気を被測定ガスとし、請求項5のガスセンサ素子を、内燃機関の排気流路に載置すれば、被測定ガス中の粒子状物質を検出するPMセンサとして利用する場合の、信頼性、耐久性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項6の発明では、被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を被測定ガス中に固定するためのハウジングと、上記ガスセンサ素子によって検出された電気的信号を外部に伝達するための接続端子及び信号線と、上記ガスセンサ素子を保護するカバー体とを具備するガスセンサであって、ガスセンサ素子として請求項3ないし5のいずれかに記載のガスセンサ素子を有する。
【0018】
請求項6の発明によれば、ガスセンサ素子のヒータ寿命が長く、端子電極の耐摩耗性が高いので、信頼性の高いガスセンサが実現できる。
【0019】
請求項7の発明では、耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体の内側に通電により発熱する発熱体と該発熱体に接続する一対の発熱体リード部とを設けて、上記絶縁体の外側表面に上記リード部に接続する一対の端子電極を設けたセラミックヒータの製造方法であって、上記絶縁体の内、上記端子電極が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くすべく、少なくとも耐熱性セラミックス粉末と焼結助剤とを混合し、ドクターブレード法、加圧成形法、泥しょう鋳込み成形法、HIP成形法、CIP成形法のいずれかから選択した成形法により略平板状の主成分低含有率絶縁体層成形体を形成する上記主成分低含有率絶縁体層形成工程と、少なくとも、抵抗ペースト及び導電性ペーストを用いて、上記発熱体と、上記発熱体リード部とを、厚膜印刷により形成する発熱体形成工程と、上記絶縁体の内、上記発熱体が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くすべく、少なくとも耐熱性セラミックス粉末と焼結助剤と、結合材と、分散媒とを混合し、ペースト状として、厚膜印刷によって、上記発熱体と上記発熱体リード部の周囲を覆うように複数回に渡って印刷形成する主成分低含有率絶縁体層形成工程と、導電性ペーストを用いて、上記端子電極を上記主成分低含有率絶縁体層の一部に形成する端子電極形成工程と、を具備する。
【0020】
請求項7の発明によれば、マイグレーションが発生し難くヒータ寿命が長く、かつ、端子電極の密着強度が高く耐久性に優れたセラミックヒータの製造が可能となる。
【0021】
請求項8の発明では、被測定ガス中に載置され被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部と該センサ部を加熱する加熱部としてセラミックヒータを具備するガスセンサ素子の製造方法であって、少なくとも、上記セラミックヒータを形成するセラミックヒータ形成工程として請求項7に記載のセラミックヒータの製造方法を具備し、得られたセラミックヒータと上記センサ部とを積層によってガスセンサ素子を形成する。
【0022】
請求項8の発明によれば、加熱部におけるマイグレーションの抑制と、電極端子の耐久性の向上とを両立することのできるガスセンサ素子の製造が可能となる。
【0023】
請求項9の発明では、被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサ素子を有するガスセンサの製造方法であって、少なくとも、上記ガスセンサ素子を形成するガスセンサ素子形成工程として、請求項8に記載のガスセンサ素子の製造方法を具備し、得られたガスセンサ素子に設けた端子電極と外部とを接続金具を介して接続する接続金具組付け工程を具備する。
【0024】
請求項9の発明によれば、電極端子の密着強度が高いので、上記接続金具と端子電極とを接続したときに、電極端子の剥離を招く虞がなく、信頼性の高いガスセンサの製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるセラミックヒータの概要を示し、(a)は、展開斜視図、(b)は、本図(a)中A−A及びB−Bに沿った断面図。
【図2】本発明の効果を確認するための試験方法を示し、(a)は、ヒータ寿命を計測するための試験片Aの概要を示す展開斜視図、(b)は、電極密着強度を測定するための試験片Bを示す構成図。
【図3】(a)は、ヒータ寿命試験結果を示す特性図、(b)は、電極密着強試験結果を示す特性図、(c)本発明のセラミックヒータの電極密着強度とヒータ寿命とを示す特性図。
【図4】本発明の第2の実施形態として図1のセラミックヒータを備えたガスセンサ素子におけるセンサ部の概要を示し、(a)は、展開斜視図、(b)は、本図(a)中A−A及びB−Bに沿った断面図。
【図5】(a)は、図4のセンサ部を有するガスセンサ素子を備えたガスセンサの要部断面図、(b)は、ヒータ部とセンサ部とを併せたガスセンサ素子の断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態として図1のセラミックヒータを備えた他のガスセンサ素子の概要を示す展開斜視図。
【図7】(a)は、図6のガスセンサ素子を備えたガスセンサの要部断面図、(b)は、ヒータ部とセンサ部とを併せたガスセンサ素子の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して本発明の第1の実施形態におけるセラミックヒータの概要及び製造方法について説明する。
本図(a)は、展開斜視図であり、本図(b)の左側は、本図(a)中A−Aに沿った断面を示し、本図(b)の右側は、本図(a)中B−Bに沿った断面を示す。
セラミックヒータ1は、発熱体10と発熱体10に通電するための一対の発熱体リード部100、101と、発熱体10及び発熱体リード部100、111を覆うように直接的に接触する主成分高含有率絶縁体層11、12、13と、主成分高含有率絶縁体層11、12、13に積層して設けた主成分低含有率絶縁体層14、15と、低純度絶縁体15の外側表面に設けられ、発熱体リード部100、101にスルーホール電極102、103を介して接続された一対の端子電極104、105とによって構成されている。
【0027】
発熱体10は、通電により発熱するPt、W、Mo等の金属、又は、これらの金属化合物を用いた発熱抵抗体によって形成され、発熱体リード部100、101は、Pt、W等の金属からなる導電体によって形成されている。
発熱体10、及び、発熱体リード部100、101は、厚膜印刷等の公知の方法によって形成することができる。
【0028】
主成分高含有率絶縁体層11、12、13には、例えば、絶縁性材料としてアルミナを用いる場合、アルミナの含有率が96%以上、99.5%以下となるように、SiO、MgO、CaO、Y等の焼結助剤、又は、NaO、KO等の不純物の含有率が調整され、他の絶縁体層(14、15)よりも相対的に主成分の含有率が高くなっている。
主成分高含有率絶縁体層11、12、14は、耐熱性セラミックス粉末として例えば、平均粒径0.1〜2μmのアルミナを、SiO、MgO、CaO、Y等の焼結助剤と、ポリビニルアルコール(PVA)等の結合材、エタノール、テレピン油等の溶剤とを焼結後の純度が上記の範囲となるように混合し、ペースト状に分散させ、発熱体10及び発熱体リード部100、101の周囲を覆うように印刷形成されている。
【0029】
一方、主成分低含有率絶縁体層14、15は、例えば、絶縁体材料としてアルミナを用いる場合、アルミナの含有率が80%以上、96%以下となるように、SiO、MgO、CaO、Y等の焼結助剤、又は、NaO、KO等の不純物の含有率が調整され、他の絶縁体層(11、12、13)よりも相対的に主成分の含有率が低くなっている。
主成分低含有率絶縁体層14、15は、平均粒径0.1〜2μmのアルミナをSiO、MgO、CaO、Y等の焼結助剤と、ポリビニルブチラール(PVB)等の結合材、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤、分散剤とともにトルエン、エタノール等の分散媒に分散させ、焼結後の純度が上記の範囲となるように混合したスラリーを用いてドクターブレード法等により所定の板厚で平板状に形成して得られる。
【0030】
また、主成分高含有率絶縁体層12、主成分低含有率絶縁体層15には、それぞれスルーホール120、121、150、151が設けられ、スルーホー120、121、150、151ル内に導電性ペーストを充填することにより、発熱体リード部100、101と端子電極104、105との導通を図るスルーホール電極102、103が形成されている。
【0031】
具体的な発熱体形成工程及び端子電極形成工程の成形手順としては、予め略平板状に形成した主成分低含有率絶縁体層14の表面を覆うように主成分高含有率絶縁体層11を印刷・乾燥し、これに積層して、抵抗ペースト及び導電性ペーストを用いて発熱体10及び発熱体リード部100、101を印刷・乾燥し、さらに、発熱体10及び発熱体リード部100、101の形成されていない部分を埋めるように、主成分高含有率絶縁体層13を印刷・乾燥し、これに積層して、発熱体10、発熱体リード部100、101、及び主成分高含有率絶縁体層13の表面を覆いつつ、スルーホール120、121を形成する部分を除いて主成分高含有率絶縁体層12を印刷・乾燥し、これに積層して、予め略平板状に形成し、スルーホール150、151を穿設した主成分低含有率絶縁体層15を重ね、スルーホール120、121、150、151を充填するようにスルーホール電極102、103を印刷・乾燥し、さらに、スルーホール電極102、103に接続して、端子電極104、105を印刷・乾燥し、これらを一体的に焼結して、本発明の第1の実施形態におけるセラミックヒータ1が完成する。
なお、必要に応じて、積層後、加圧し、又は、加熱と共に加圧して各層の密着強度を高めても良い。
また、主成分高含有率絶縁体層11、12と主成分低含有率絶縁体層14、15との境界に、アルミナ含有率の変化を緩やかにすべく、アルミナ含有率を平均化した中間層を形成しても良い。
【0032】
本実施形態によれば、発熱体10及び発熱体リード部100、101に直接触れる部分の焼結助剤又は不純物として絶縁体内に含まれるMgO、CaO等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の量が少なく、長期の使用によっても、マイグレーションが起こり難くなっている。
また、端子電極104、105は、主成分低含有率絶縁体層15の表面に形成されているので、高い密着強度を示し、外部の通電装置との導通を図る端子金具が圧接されても、端子電極104、105の剥離が生じ難くなっている。
さらに、従来のように、発熱体を覆う絶縁体を一種類の材料によって形成した場合には、マイグレーションの抑制と密着強度の向上との二率背反する条件を同時に満たす材料を選択する必要があり、材料選択の幅が極めて狭い範囲に限定されるが、本発明によれば、主成分高含有率絶縁体層11、12、13を印刷成形によって形成できる程度の膜厚(例えば、10μm)で形成すればよいので、製造コストを抑制することも可能となる。
【0033】
なお、セラミックヒータ1の反りを少なくするために、必要に応じて主成分低含有率絶縁体層14、15の板厚を調整し、複数回重ねて形成するようにしても良い。
また、純度の異なる絶縁体層を積層することによって、主成分高含有率絶縁体層11、12、13と主成分低含有率絶縁体層14、15との焼成時における収縮率の違いや、熱膨張係数の違いによって歪みを生じる虞があるが、成形時に添加する結合材や分散媒等の量を調整したり、粒度分布を調整したりすることによって、セラミックヒータ1の歪みを抑制することは可能である。
【0034】
さらに、本実施形態においては、絶縁体として、アルミナを用いる場合について説明したが、本発明において、絶縁体を構成する材料は、アルミナに限定するものではなく、チタニア、スピネル等の絶縁性耐熱材料を適宜用いることができる。
この場合においても、発熱体10及び発熱体リード部100、101に直接的に接する部分にはこれらの絶縁材料を高純度で含有する主成分高含有率絶縁体層11、12、13を形成して、マイグレーションの抑制を図り、主成分高含有率絶縁体層11、12、13に積層して、焼結助剤又は不純物の量を多くした主成分低含有率絶縁体層14、15を形成することにより、端子電極104、105との密着強度の向上を図ることができる。
【0035】
なお、主成分低含有率絶縁体層形成工程として、上述のドクターブレード法の他、加圧成形法、泥しょう鋳込み成形法、HIP成形法、CIP成形法のいずれかから選択した成形法により略平板状の主成分低含有率絶縁体層成形体14、15を形成することができる。
表1に、本実施形態におけるセラミックヒータ1の主成分低含有率絶縁体層11、12、13及び主成分高含有率絶縁体層14、15の成分比及び平均粒径の具体例を示す。
【表1】

【0036】
ここで、図2、図3、表2、表3、表4を参照して、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
先ず、第1の試験として行ったヒータ寿命試験について説明する。
絶縁体として、表2に示すように、異なるアルミナ含有率に調整したアルミナ原料(試料No.1〜9)を用いて、図2(a)に示すような、略平板状に形成した絶縁体層11、12の間に、Ptを用いて発熱体10及び発熱体リード部100、101を印刷・形成し、スルーホール電極102、103を介して絶縁体層12の表面に形成した端子電極104、105と接続して、一体的に焼成して、アルミナ含有率の異なる第1のセラミックヒータ試験片Aを形成した。
これらの試験片Aに通電を行ってヒータ表面の細孔温度を1000℃に保ち、マイグレーションの発生によるヒータ断線が起こるまでの時間を測定し、その結果を表3、及び、図3(a)に示す。
【0037】
次いで、第2の試験として行った電極密着強度試験について説明する。
本図(b)に示すように、表1に示す純度の異なるアルミナ(試料No.1〜7)を用いて、平板状の絶縁体を形成し、これにPtを用いて5mm角の端子電極を形成し、さらに、この端子電極に六角ナットを接着剤によって接合し、絶縁体を固定した状態で、引っ張り強度試験器を用いて六角ナットを引上げ、端子電極の密着強度を測定し、その結果を表4、及び、図3(b)に示す。
【0038】
表3、及び、図3(a)に示すように、アルミナの純度が高いほどヒータの耐久性は高くなり、アルミナの含有率が低い程ヒータの耐久性が低くなることが判明した。これは、アルミナの含有率が高いほど、焼結助剤、又は、不純物として含まれるアルカリ金属、又は、アルカリ土類金属の含有量が少なくなる上に、絶縁体の耐熱性が向上するため、マイグレーションが起こり難くなるためと思料する。
なお、アルミナの含有率が99.5%より高い場合には、端子電極が密着せず、評価に至らなかった。
また、アルミナの含有率が80%より低い場合には、アルミナが過焼成となり、絶縁体そのものの強度低下や変形を招く虞がある。
【0039】
表4、及び図3(b)に示すように、アルミナの含有率が高いほど、端子電極の密着強度が低下し、アルミナの含有率が低いほど端子電極の密着強度が高くなることが判明した。
アルミナの含有率が99.5%を超える場合には、焼成時に端子電極が剥離した。アルミナの含有率が99%〜98%の場合には、六角ナットを引き上げたときにPt層が剥離した、アルミナの含有率が96%〜88%の場合には、六角ナットを引き上げたときに、Pt層とアルミナとが密着したままアルミナの一部が破壊された。アルミナの含有量が80%以下の場合には、過焼成となり評価に至らなかった。
【表2】

【表3】

【表4】

【0040】
以上のことから、従来の絶縁体を一種類のアルミナによって形成した場合に、ヒータ耐久性と端子電極の密着性とを両立するためには、アルミナの含有率が96%から98%程度のものに限られることになる。
一方、本発明では、図3(c)に示すように、発熱体と直接触れる部分は、絶縁体の主成分であるアルミナの含有率を96%以上で99.5%以下とした主成分高含有率絶縁体層を形成し、端子電極が設けられる部分には、絶縁体の主成分であるアルミナの含有率を80%以上で96%以下とした主成分低含有率絶縁体層を形成することによって、ヒータ寿命が1万時間を超える耐久性と、密着強度が端子電極を引っ張ったときにアルミナ破壊を起こす程度の極めて高い密着強度を示すことができる。
【0041】
図4、図5を参照して、本発明の第2の実施形態として、本発明の第1の実施形態であるセラミックヒータ1を加熱部として具備し、少なくとも特定のイオンに対して伝導性を有する固体電解質材料からなる固体電解質層23と、その一方の表面に設けられ基準ガスとして導入される大気に対向する基準電極22と、他方の表面に設けられ被測定ガスに対向する測定電極25とからなるセンサ部2を有し、被測定ガス中に含まれる特定ガス成分の量を検出するガスセンサ素子3について説明する。
【0042】
本実施形態においては、このようなガスセンサ素子3の典型例である酸素センサに用いる場合を例として説明する。
センサ部2は、少なくとも、ジルコニア等の酸素イオン伝導性を有する固体電解質層20の一方の表面に形成され基準ガスとして導入する大気に接する基準電極21と、固体電解質層20の他方の表面に形成され被測定ガスに接する測定電極22とを具備し、基準ガス中の酸素濃度と被測定ガス中の酸素濃度との差によって生じる起電力を検出することによって、被測定ガス中の酸素濃度を検出することができる。
【0043】
固体電解質層20の基準ガス側に積層して、アルミナ等の絶縁体からなり、基準ガス室230を区画した略コ字型の基準ガス形成層23が形成されている。
固体電解質層20と基準ガス形成層23との間には、両者の密着強度を高くし、熱膨張係数の差を少なくすべく、両者の中間の組成、即ち、アルミナとジルコニアとを混合した接着層24が形成されている。
【0044】
接着層24には、基準ガス室230に対応する位置に空間部240が形成されている。
また、基準電極21に接続して基準電極リード部210と、基準電極端子部221が形成されている。
さらに、基準電極端子部221は、固体電解質層20に設けられたスルーホール201及び、絶縁層25に設けられたスルーホール251内に形成されたスルーホール電極212を介して、固体電解質層20の他方の表面側に露出した位置に形成した基準電極端子部213に接続されている。
【0045】
固体電解質層20の被測定ガス側の表面には、測定電極22を形成する部分を除いて、被測定ガスの侵入を遮断する絶縁層25が形成されている。
測定電極22に接続して、測定電極リード部220が形成され、さらに測定電極リード部220に接続して測定電極端子部221が形成されている。
固体電解質層20の被測定ガス側に設けられた測定電極22の表面を覆うように所定の拡散抵抗を有する拡散抵抗層26が形成されている。
【0046】
さらに、拡散抵抗層26の表面を覆うように遮蔽層27が形成されている。
固体電解質層20は、ジルコニア等の固体電解質材料をドクターブレード法等の公知の方法により略平板状に形成してある。
基準電極21、基準電極リード部210、基準電極端子部211、213、スルーホール電極212,測定電極22、測定電極リード部220、測定電極端子部221は、Pt等の導電性材料を用いた厚膜印刷や、メッキ等の公知の方法によって形成されている。
基準ガス室形成層23は、アルミナ等の耐熱性セラミックスをドクターブレード法、プレス等の公知の方法により略コ字形に形成し、これを複数枚積層してある。
【0047】
本図(b)に示すように、各層を一体的に積層することによってセンサ部2が形成される。
なお、測定電極端子部221と絶縁層25との密着強度を高くするために、絶縁層25のアルミナ含有率を、上述の主成分低含有率絶縁体層15と同様に、アルミナの含有率を低くしても良い。
また、基準ガス室形成層23は、材料コストの低減を図りつつ、発熱部1との密着性を良好にするため、主成分低含通率層14と、アルミナの含有率を整合させるのが望ましい。
【0048】
図5を参照して、発熱部として図1に示したセラミックヒータ1とセンサ部として図4に示したセンサ部2とを有するガスセンサ素子3及びこれを備えたガスセンサについて説明する。
本図(a)に示すように、ガスセンサ素子3は、セラミックヒータ1とセンサ部2とを一体的に積層して形成されている。
本実施形態において、セラミックヒータ1は、センサ部2の固体電解質層20を加熱し、活性化させ、特定のイオンに対して伝導性を発揮するために用いられる。
セラミックヒータ1の端子電極104、105には、導電性の弾性部材からなる一対の通電端子金具400、401が当接して、図略の通電線40を介して、外部に設けた図略のヒータ電源に接続されている。
【0049】
センサ部2の基準電極端子213、測定電極端子221には、それぞれ、導電性の弾性部材からなる一対の信号端子金具410、411が当接して、図略の信号線41を介して、外部に設けた図略に検出回路部に接続されている。
ガスセンサ素子3は、アルミナ等からなる略筒状に形成された絶縁体5に封止部材50を介して保持され、絶縁体5は、金属製で略筒状に形成されたハウジング5に保持され、ハウジング5は、ガスセンサ素子3の先端を被測定ガス流路8内に載置すべく被測定ガス流路8に螺結固定されている。
【0050】
通常、ガスセンサ素子3の先端側は、ハウジング6に固定され金属で略有底筒状に形成されたカバー体7によって覆われ、保護されている。
カバー体7には、被測定ガスを内部に導入するための開口が適宜穿設され、被測定ガスの流速や、流入方向の調整を図る為に、2重筒構造としても良い。
図5(b)に示すように、セラミックヒータ1とセンサ部2とは、セラミックヒータ1の主成分低含有率絶縁体層14とセンサ部2の基準ガス室形成層23とが密着した状態で積層され、内側に基準ガス室230が区画された状態となっている。
また、ガスセンサ素子3においては、固体電解質層20として、ジルコニアを用いているため、アルミナとの熱膨張係数をそろえるため、セラミックヒータ1及びセンサ部2に用いられる絶縁体層11、12、13、14、15、23、24、25、27には、主成分のアルミナと焼結助剤との他にジルコニアを適宜添加するのが望ましい。
さらに、本図(b)に示すように、セラミックヒータ1の側端縁に傾斜面を形成して、被水時の熱衝撃を緩和するようにしたり、ガスセンサ素子3の被測定ガス80に晒される部分にアルミナ等の耐熱粒子からなる図略の多孔質保護層を設けて、被水による割れや、被毒によるセンサ部の検出劣化を防ぐようにしても良い。
また、拡散抵抗層26の側面に傾斜面を施しても良い。
【0051】
なお、本実施形態においては、センサ部2として、如何なるガス成分を検出対象とするかについて限定するもではなく、例えば、酸素イオン、水素イオン、アンモニアイオン等の特定のイオンに対して伝導性を有するジルコニアやセリア等の固体電荷質材料を適宜選択したり、測定電極及び基準電極を複数設けたり、測定電極と基準電極との間に電圧を印加することによって検出される電流情報を閾値判定することによって、検出可能な特定ガス成分を変更することができる。
本実施形態においては、センサ部2の基準電極端子213、測定電極端子221、及び加熱部1の端子電極104、105の密着強度が高くなっているので、信号端子金具410、411、通電端子金具400、401を組付ける際や、使用時において、これらの端子金具400、401、410、411と電極端子104、105、電極端子213、221との摩擦によって電極端子104、105、電極端子213、221が剥離し難くなっている。
【0052】
図6、図7を参照して、本発明の第3の実施形態として、ガスセンサ素子3bについて説明する。
ガスセンサ素子3bは、センサ部2bとして、少なくとも、絶縁性の基体20bと、絶縁性基体20bの表面に所定の間隙を隔てて設けた一対の測定電極21b、22bとを具備し、被測定ガス中の特定成分として、被測定ガス中に含まれる粒子状物質PMを一対の測定電極21b、22bの間に捕集し、その量に応じて変化する測定電極21b、22b間の電気的特性として、測定電極間に形成される電気抵抗、静電容量、又は、インピーダンス、若しくは、測定電極21b、22b間に電圧を印加したときの電流値変化のいずれかを検出する。
【0053】
本実施形態において、セラミックヒータ1は、測定温度を一定とし、測定電極21b、22b間の電気的特性を安定化を図ったり、測定電極21b、22b間に堆積したPMを加熱燃焼させ、ガスセンサ素子3bを再生利用したりするために利用される。
本実施形態においては、検出電極21b、22bは、一定の間隔を隔てて複数の電極が交互に対向する櫛歯状に形成され、それぞれ、検出電極リード部210b、220b、検出電極端子部211b、221bに接続されている。
【0054】
また、検出電極21b、22b以外の被測定ガスに晒される部分を覆うように、開口部230bを区画した絶縁層23bが形成されている。
絶縁層23bは、検出部以外に被測定ガス中の粒子状物質が堆積し、検出電極リード部210b、220b間に導通パスが形成されるのを抑制し、誤作動を防止している。
本実施形態においても、セラミックヒータの耐久性、電極端子の耐摩耗性が向上されているので、信頼性の高いPM検出を実現できる。
さらに、センサ部2bの絶縁性基体20bの検出電極21b、22bと接する部分のアルミナ含有率を高くした主成分高含有率絶縁体層とし、検出電極端子部211b、221bと接する部分のアルミナ含有率を低くした主成分低含有率絶縁体層としても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 セラミックヒータ
10 発熱体
100、101 発熱体リード部
102、103 スルーホール電極
104、105 端子電極
11、12、13 主成分高含有率絶縁体層(96%〜99%アルミナ)
14、15 主成分低含有率絶縁体層(80%〜96%アルミナ)
120、121、150、151 スルーホール
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2002−5875号公報
【特許文献2】特開2001−135465号公報
【特許文献3】特開1006−71364号公報
【特許文献4】特開2008−512661号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体の内側に通電により発熱する発熱体と該発熱体に接続する一対の発熱体リード部とを設けて、上記絶縁体の外側表面に上記リード部に接続する一対の端子電極を設けたセラミックヒータであって、
少なくとも、上記絶縁体の内、上記発熱体が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くした主成分高含有率絶縁体層とし、
上記絶縁体の内、上記端子電極が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くした主成分低含有率絶縁体層としたことを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項2】
上記耐熱性セラミックスがアルミナであって、上記主成分高含有率絶縁体層のアルミナ含有率が96%以上、99.5%以下で、上記主成分低含有率絶縁体層のアルミナ含有率が80%以上、96%以下である請求項1に記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
被測定ガス中に載置され被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部と該センサ部を加熱する加熱部とを具備するガスセンサ素子であって、
上記加熱部として、請求項1又は2に記載のセラミックヒータを具備することを特徴とするガスセンサ素子。
【請求項4】
上記センサ部が、少なくとも、被測定ガス中に含まれる特定ガス成分のイオンに対して伝導性を示す固体電解質層と、該固体電解質層の一方の表面に設けて被測定ガスに対向せしめた測定電極と、他方の表面に設けて基準ガスとして導入する大気に対向せしめた基準電極とを具備し、被測定ガス中の特定ガス成分の量によって変化する電気的特性として、上記基準電極と上記測定電極との間に発生する起電力、又は、上記基準電極と上記測定電極との間に電圧を印加したときの電流値変化を検出する請求項3に記載のガスセンサ素子。
【請求項5】
上記センサ部が、少なくとも、絶縁性の基体と、該絶縁性基体の表面に所定の間隙を隔てて設けた一対の測定電極とを具備し、
被測定ガス中の特定成分として、被測定ガス中に含まれる粒子状物質を上記一対の測定電極間に捕集し、その量に応じて変化する測定電極間の電気的特性として、上記測定電極間に形成される電気抵抗、静電容量、又は、インピーダンス、若しくは、上記測定電極間に電圧を印加したときの電流値変化のいずれかを検出する請求項3に記載のガスセンサ素子。
【請求項6】
被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を被測定ガス中に固定するためのハウジングと、上記ガスセンサ素子によって検出された電気的信号を外部に伝達するための接続端子及び信号線と、上記ガスセンサ素子を保護するカバー体とを具備するガスセンサであって、
ガスセンサ素子として請求項3ないし5のいずれかに記載のガスセンサ素子を有することを特徴とするガスセンサ。
【請求項7】
耐熱性セラミックスを主成分とする絶縁体の内側に通電により発熱する発熱体と該発熱体に接続する一対の発熱体リード部とを設けて、上記絶縁体の外側表面に上記リード部に接続する一対の端子電極を設けたセラミックヒータの製造方法であって、
上記絶縁体の内、上記端子電極が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの主成分の含有率を相対的に低くすべく、少なくとも耐熱性セラミックス粉末と焼結助剤とを混合し、ドクターブレード法、加圧成形法、泥しょう鋳込み成形法、HIP成形法、CIP成形法のいずれかから選択した成形法により略平板状の主成分低含有率絶縁体層成形体を形成する上記主成分低含有率絶縁体層形成工程と、少なくとも、抵抗ペースト及び導電性ペーストを用いて、上記発熱体と、上記発熱体リード部とを、厚膜印刷により形成する発熱体形成工程と、上記絶縁体の内、上記発熱体が直接触れる部分を、上記耐熱性セラミックスの含有率を相対的に高くすべく、少なくとも耐熱性セラミックス粉末と焼結助剤と、結合材と、分散媒とを混合し、ペースト状として、厚膜印刷によって、上記発熱体と上記発熱体リード部の周囲を覆うように複数回に渡って印刷形成する主成分低含有率絶縁体層形成工程と、導電性ペーストを用いて、上記端子電極を上記主成分低含有率絶縁体層の一部に形成する端子電極形成工程と、を具備することを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
【請求項8】
被測定ガス中に載置され被測定ガス中の特定成分の濃度によって変化する電気的特性を検出するセンサ部と該センサ部を加熱する加熱部としてセラミックヒータを具備するガスセンサ素子の製造方法であって、
少なくとも、上記セラミックヒータを形成するセラミックヒータ形成工程として、請求項7に記載のセラミックヒータの製造方法を具備し、
得られたセラミックヒータと上記センサ部とを積層によってガスセンサ素子を形成することを特徴とするガスセンサ素子の製造方法。
【請求項9】
被測定ガス中の特定成分を検出するガスセンサ素子を有するガスセンサの製造方法であって、
少なくとも、上記ガスセンサ素子を形成するガスセンサ素子形成工程として、請求項8に記載のガスセンサ素子の製造方法を具備し、
得られたガスセンサ素子に設けた端子電極と外部とを接続金具を介して接続する接続金具組付け工程を具備することを特徴とするガスセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146449(P2012−146449A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3107(P2011−3107)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】