説明

タイヤ厚み測定装置

【課題】内圧を負荷した状態でタイヤの厚みを計測可能なタイヤ厚み測定装置を提供する。
【解決手段】上側ハーフリム84でタイヤ30の一方のビード部を支持し、下側ハーフリム26で他方のビード部を支持し、タイヤ内を密閉して内圧をかける。内側レーザー変位計66から外側レーザー変位計122までの距離からタイヤ内空部に配置した内側レーザー変位計66で計測したタイヤ内面までの距離とタイヤ外側に配置した外側レーザー変位計122で計測したタイヤ外面までの距離とを引き算する。これにより、内圧を負荷した状態でタイヤの厚みを計測することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの厚みを測定するタイヤ厚み測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの厚みを測定するタイヤ厚み測定装置として、例えば、特許文献1に記載のタイヤ厚み測定装置が知られている。
特許文献1のタイヤ厚み測定装置では、タイヤ内面側に配置されてタイヤ内面までの距離を測定する内側レーザー変位計と、タイヤ外面側に配置されてタイヤ外面までの距離を測定する外側レーザー変位計とがアームで連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008―196881号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タイヤの厚みを測定する際には、アームをタイヤの外側から内側へ渡って配置させる必要がある。このため、タイヤ内空部を密閉して内圧を掛けることができず、内圧を加えた状態でタイヤの厚みを計測する要望に応えられなかった。
本発明は上記事実を考慮し、内圧を加えた状態でタイヤの厚みを計測可能なタイヤ厚み測定装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のタイヤ厚み測定装置は、装着されたタイヤの内部を気密に保持するタイヤ支持手段と、前記タイヤの外側に配置され、タイヤ外表面までの第1の距離を測定する外側レーザー変位計と、前記タイヤ支持手段に取り付けられ、前記タイヤの内側に配置されてタイヤ内表面までの第2の距離を測定する内側レーザー変位計と、を有する。
【0006】
請求項1に記載のタイヤ厚み装置では、タイヤ支持手段にタイヤが装着され、タイヤ内が気密に保持されるので、タイヤに内圧を負荷させることができる。
【0007】
外側レーザー変位計は、タイヤ外表面までの第1の距離を測定する。
タイヤ支持手段には内側レーザー変位計が取り付けられている。
【0008】
内側レーザー変位計はタイヤ支持手段に取り付けられた状態でタイヤの内側に配置され、タイヤ内表面までの第2の距離を測定する。
内側レーザー変位計と外側レーザー変位計との離間距離から、第1の距離及び第2の距離を引き算することで、タイヤの厚みを得ることが出来る。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記外側レーザー変位計を移動させる外側移動手段と、前記内側レーザー変位計を移動させる内側移動手段とを備え、前記外側レーザー変位計が出射するレーザービームと、前記内側レーザー変位計が出射するレーザービームとが同一光路上に位置するように前記外側移動手段と前記内側移動手段を駆動させる。
【0010】
請求項2に記載のタイヤ厚み測定装置では、外側移動手段が外側レーザー変位計を移動させることができ、内側移動手段が内側レーザー変位計を移動させることができ、外側レーザー変位計が出射するレーザービームと、内側レーザー変位計が出射するレーザービームとが同一光路上に位置するように外側移動手段と内側移動手段が駆動される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記外側レーザー変位計は、タイヤ外面の法線方向に沿ってレーザービームを出射して前記第1の距離を測定する。
【0012】
請求項3に記載のタイヤ厚み測定装置では、外側レーザー変位計がタイヤ外面の法線方向に沿ってレーザービームを出射して第1の距離を測定する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記外側移動手段は前記外側レーザー変位計の向きを変える外側レーザー変位計回転支持装置を有し、前記内側移動手段は前記内側レーザー変位計の向きを変える内側レーザー変位計回転支持装置を有している。
【0014】
請求項4に記載のタイヤ厚み測定装置では、外側移動手段が外側レーザー変位計の向きを変える外側レーザー変位計回転支持装置を有しているので、外側レーザー変位計の向きを変えてレーザービームの出射方向、即ち、外側レーザー変位計による距離の測定方向を変更することができる。
【0015】
また、内側移動手段が内側レーザー変位計の向きを変える内側レーザー変位計回転支持装置を有しているので、内側レーザー変位計の向きを変えてレーザービームの出射方向、即ち、内側レーザー変位計による距離の測定方向を変更することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記タイヤ支持手段は、リムを回転可能に支持するリム回転支持部材を有する。
【0017】
請求項5に記載のタイヤ厚み測定装置では、リムがリム回転支持部材によって回転可能に支持される。これによりリムに装着したタイヤを回転させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記第1のリム、及び前記第2のリムの少なくとも一方は、前記第1のリムと前記第2のリムとの間隔を軸方向に変更する移動手段に接続されている。
【0019】
請求項6に記載のタイヤ厚み測定装置では、第1のリムと第2のリムとの間隔を移動手段で変更することで、幅の異なるタイヤを装着することが出来る。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のタイヤ厚み測定装置において、前記移動手段に対して前記第1のリム、及び前記第2のリムは、交換可能に設けられている。
【0021】
請求項7に記載のタイヤ厚み測定装置では、移動手段に対して第1のリム、及び第2のリムを交換することが出来る。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように請求項1に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、タイヤに内圧を負荷させた状態でタイヤの厚みを計測することができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項2に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、内側レーザー変位計から外側レーザー変位計までの距離から、内側レーザー変位計からタイヤ内面までの距離と外側レーザー変位計からタイヤ外面までの距離を引き算することで、タイヤの厚みを容易に得ることができる。
【0024】
請求項3に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、外側レーザー変位計で第1の距離をタイヤ外面の法線に沿って第1の距離を測定することで、タイヤの厚みを高精度で測定することができる。
【0025】
請求項4に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、タイヤの様々な部位の厚みを測定することができる。
【0026】
請求項5に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、タイヤを回転させることで、タイヤの厚みをタイヤ周方向に連続的に計測することができる。
【0027】
請求項6に記載のタイヤ厚み測定装置によれば、幅の異なるタイヤをタイヤ厚み測定装置に装着することが出来る。
【0028】
請求項7に記載のタイヤ厚み測定装置では、タイヤサイズに応じた第1のリム、及び第2のリムに交換することで、サイズの異なるタイヤをタイヤ厚み測定装置に装着することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】タイヤ厚み測定装置の概略構成を示す一部を断面にした正面図である。
【図2】内側レーザー変位計の裏側部分の周辺を示す背面図である。
【図3】外側レーザー変位計の裏側部分の周辺を示す背面図である。
【図4】電気系のブロック図である。
【図5】上側ハーフリムをタイヤから離間させた状態のタイヤ厚み測定装置の概略構成を示す一部を断面にした正面図である。
【図6】タイヤの厚みを周方向に測定した一例を示すグラフである。
【図7】タイヤの厚みを計測する方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面を用いて、本発明の一実施形態に係るタイヤ厚み測定装置10について説明する。
(内側レーザー変位計)
図1に示すように、床上に設置されるベース12の上には、軸方向を鉛直方向とした固定軸14が取り付けられている。
固定軸14は、軸部14Aとフランジ部14Bとを備えて構成されており、フランジ部14Bが図示しないボルトによってベース12に固定されている。
【0031】
軸部14Aには、ラジアルベアリング16及びスラストベアリング18を介して下側回転部材20が回転自在に支持されている。
下側回転部材20には、小径の軸孔20A及び大径の軸孔20Bが形成されており、大径の軸孔20Bに2個のラジアルベアリング16が挿入されている。
【0032】
固定軸14の軸部14Aには、下側回転部材20の小径の軸孔20Aと対向する位置に、オーリング22の嵌められた溝が形成されている。
オーリング22によって固定軸14と下側回転部材20との間の隙間がシールされており、後述するタイヤ内の空気が固定軸14と下側回転部材20との間の隙間から外部へ漏れ出ることを防止している。
【0033】
下側回転部材20の外周部にはフランジ24が形成されている。このフランジ24には、円環状の下側ハーフリム26がボルト28にて固定されている。この下側ハーフリム26の外周部には、後述する水平に配置されたタイヤ30の下側のビード部が装填される。
【0034】
一方、下側回転部材20の外周部には、オーリング32の嵌められた溝が形成されている。このオーリング32によって下側ハーフリム26と下側回転部材20との間の隙間がシールされており、後述するタイヤ内圧が下側ハーフリム26と下側回転部材20との間の隙間から外部へ漏れ出ることを防止している。
【0035】
なお、ベース12には、下側回転部材20を回転させるモーター34、及び下側回転部材20の回転位置を検出するロータリーエンコーダー36が取り付けられている。なお、これらのモーター34、及びロータリーエンコーダー36は、後述する制御装置38に接続されており、モーター34は制御装置38によって回転が制御されている。なお、モーター34の回転力は、図示しないタイミングベルト等を介して下側回転部材20に伝達されるように構成されている。
【0036】
固定軸14の軸部14Aの先端には、内側レーザー変位計移動装置39が設けられている。内側レーザー変位計移動装置39は、軸部14Aの先端に同時的かつ上向きに取り付けられたモーター40を備えている。モーター40の軸には送りねじ42が同時的に固定されている。
また、送りねじ42の両側には、送りねじ42と平行に一対のスライドレール44が配置されている。スライドレール44の下端は軸部14Aの先端に固定されており、スライドレール44の上端は連結部材46に固定されている。なお、送りねじ42の先端は、連結部材46に回転自在に支持されている。
【0037】
これら送りねじ42、及び一対のスライドレール44の側部(図1の紙面裏面側方向)には、内側上下スライドベース48が配置されている。内側上下スライドベース48には、送りねじ42に螺合する雌ねじの形成されたナット50、スライドレール44に対して摺動自在に係合するリニアモーションベアリングブロック52が取り付けられている。したがって、送りねじ42をモーター40で回転させることで、内側上下スライドベース48を上下方向に移動することができる。
【0038】
内側上下スライドベース48の側部(図1の紙面裏面側方向)には、送りねじ54、及び一対のスライドレール56が水平に配置されている。
一対のスライドレール56は、一端側が連結部材58に固定されている。連結部材58にはモーター60が水平に取り付けられており、このモーター60の軸に送りねじ54が同軸的に固定されている。
スライドレール56の他端には、内側レーザー変位計固定台座62が固定されている。内側レーザー変位計固定台座62に対して、送りねじ54の端部は回転自在に支持されている。
【0039】
図2に示すように、この内側レーザー変位計固定台座62には、回転軸が送りねじ54と直交する方向、かつ水平とされたモーター64が取り付けられている。
図1に示すように、このモーター64(図1では図示せず)の回転軸には、内側レーザー変位計66が取り付けられている。
【0040】
内側レーザー変位計66は、距離測定用のレーザービームを、モーター64の回転軸と直交する方向へ出射する。したがって、モーター64を回転させることで、内側レーザー変位計66の距離計測用のレーザービームの出射方向、即ち、距離の測定方向を変更することができる。
【0041】
図2に示すように、内側上下スライドベース48の図面の紙面表面側には送りねじ54に螺合する雌ねじの形成されたナット68、及びスライドレール56に対して摺動自在に係合するリニアモーションベアリングブロック70が取り付けられている。したがって、送りねじ54をモーター60で回転させることで、内側上下スライドベース48をスライドレール56に沿って水平方向に移動することができる。
【0042】
このようにして、内側上下スライドベース48に取り付けられた内側レーザー変位計66は、モーター40、及びモーター60を回転することで、タイヤ内で上下方向、及び水平方向に移動することが出来る。
【0043】
図1に示すように、固定軸14の上方には、シリンダ装置72が軸方向を鉛直方向に向けて配置されている。シリンダ装置72は、ベース12に立設された図示しない支柱に取り付けられている。
【0044】
シリンダ装置72の軸72Aの下端には、上下移動軸74が取り付けられている。
上下移動軸74は、小径部74A及び小径部74Aの下端に設けられる大径部74Bを備えている。上下移動軸74には、ラジアルベアリング76、及びスラストベアリング78を介して上側回転部材80が回転自在に支持されている。
上下移動軸74には段付きの孔82が形成されており、この孔82にラジアルベアリング76、及びスラストベアリング78が挿入されている。
【0045】
上側回転部材80の外周部には、フランジ83が形成されている。このフランジ83には、円環状の上側ハーフリム84がボルト86にて固定されている。この上側ハーフリム84の外周部には、後述する水平に配置されたタイヤ30の上側のビード部が装填される。
上側回転部材80の下端の外周側には、オーリング88の嵌められた溝が形成されている。
このオーリング88によって上側ハーフリム84と上側回転部材80との間の隙間がシールされており、後述するタイヤ内圧が上側ハーフリム84と上側回転部材80との間の隙間から外部へ漏れ出ることを防止している。
【0046】
さらに、上側回転部材80の下端には、円板状の蓋90が図示しないボルトで固定されている。上記オーリング88は、この蓋90にも圧着されており、後述するタイヤ内の空気が上側回転部材80の孔82を通過して外部へ漏れ出ることを防止している。
以上のように、各部の隙間がシールされることで下側ハーフリム26及び上側ハーフリム84に装着されたタイヤ30の内空部分の気密が保持される。
【0047】
上側ハーフリム84には、タイヤ30の内圧を調整するための空気バルブ92が取り付けられており、空気バルブ92を介してタイヤ内に空気を出入りさせることができる。
【0048】
なお、シリンダ装置72の軸72Aを移動させることで、上側ハーフリム84と下側ハーフリム26との間隔を調整することができ、幅の異なる種々のタイヤ30を上側ハーフリム84と下側ハーフリム26に装着することができる。また、上側ハーフリム84、及び下側ハーフリム26を交換することで、種々のサイズのタイヤ30を本実施形態のタイヤ厚み測定装置10に装着することができる。
なお、固定軸14、ラジアルベアリング16、スラストベアリング18、下側回転部材20、上下移動軸74、ラジアルベアリング76、スラストベアリング78、上側回転部材80等によって本発明のタイヤ支持手段が構成されている。
【0049】
(外側レーザー変位計)
図1に示すように、ベース12の上には、固定軸14と離間した位置に、外側レーザー変位計移動装置93が設けられている。外側レーザー変位計移動装置93は、ベース12の上に固定されるサブベース94を備えている。サブベース94には、回転軸を鉛直方向に向けたモーター96が取り付けられている。モーター96の回転軸には送りねじ98が同時的に固定されている。
また、サブベース94には、送りねじ98の両側に、送りねじ98と平行に一対のスライドレール100が固定されている。一対のスライドレール100は、上端が連結部材102に固定されている。なお、送りねじ98の上端は、連結部材102に回転自在に支持されている。
【0050】
これら送りねじ98、及び一対のスライドレール100の図1の紙面表面側の側部には、外側上下スライドベース104が配置されている。外側上下スライドベース104には、図1の紙面裏面側方向に、図3に示すように、送りねじ98に螺合する雌ねじの形成されたナット106、スライドレール100に対して摺動自在に係合するリニアモーションベアリングブロック108が取り付けられている。したがって、送りねじ98をモーター96で回転させることで、外側上下スライドベース104を上下方向に移動することができる。
【0051】
図1に示すように、外側上下スライドベース104の図1の紙面表側の側部には、送りねじ110、及び一対のスライドレール112が水平に配置されている。一対のスライドレール112は、一端側が連結部材114に固定されている。連結部材114にはモーター116が水平に取り付けられており、モーター116の軸に送りねじ110が同軸的に固定されている。
【0052】
スライドレール112の他端には、外側レーザー変位計固定台座118が固定されている。外側レーザー変位計固定台座118に対して、送りねじ110の端部は回転自在に支持されている。
この外側レーザー変位計固定台座118には、図3に示すように、回転軸が送りねじ110と直交する方向、かつ水平とされたモーター120が取り付けられている。
【0053】
このモーター120の回転軸には、図1に示すように、外側レーザー変位計122が取り付けられている。
外側レーザー変位計122は、距離測定用のレーザービームを、モーター120の回転軸と直交する方向へ出射する。したがって、モーター120を回転させることで、外側レーザー変位計122のレーザービームの出射方向、即ち、距離の測定方向を変更することができる。
【0054】
外側上下スライドベース104の図1の紙面表側の側部には、送りねじ110に螺合する雌ねじの形成されたナット124、及びスライドレール112に対して摺動自在に係合するリニアモーションベアリングブロック126が取り付けられている。したがって、送りねじ110をモーター116で回転させることで、外側上下スライドベース104をスライドレール112に沿って水平方向に移動することができる。
このように、外側レーザー変位計固定台座118に取り付けられた外側レーザー変位計122は、モーター96、及びモーター116を回転することで、タイヤ外で上下方向(矢印A方向)、及び水平方向(矢印B方向)に移動することが出来る。
【0055】
図4に示すように、このタイヤ厚み測定装置10には、内側レーザー変位計66、及び外側レーザー変位計122の位置、及び向きを変更するための制御装置38が設けられている。
【0056】
制御装置38には、モーター34、モーター40、モーター60、モーター96及びモーター116が接続されている。また、制御装置38には、内側レーザー変位計固定台座62に設けられて内側レーザー変位計66の向きを検出するロータリーエンコーダー128(図1では図示せず)、外側レーザー変位計固定台座118に設けられて外側レーザー変位計122の向きを検出するロータリーエンコーダー130(図1では図示せず)、内側レーザー変位計66の高さ位置を検出(例えば、ベースの予め設置した点を基準とした高さ位置)するリニアエンコーダー132(図1では図示せず)、内側レーザー変位計66の水平方向の位置を検出(例えば、ベースの予め設置した点を基準とした水平方向の位置)するリニアエンコーダー134(図1では図示せず)、外側レーザー変位計122の高さ位置を検出(例えば、ベースの予め設置した点を基準とした高さ位置)するリニアエンコーダー136(図1では図示せず)、外側レーザー変位計122の水平方向の位置を検出(例えば、ベースの予め設置した点を基準とした水平方向の位置)するリニアエンコーダー138(図1では図示せず)が接続されている。
【0057】
制御装置38は、これらロータリーエンコーダー36,128,130、リニアエンコーダー132,134,136,138からの検出データに基づいて、内側レーザー変位計66の向き及び座標(上下方向、及び水平方向の位置)、外側レーザー変位計122の向き及び座標(上下方向、及び水平方向の位置)を得ることができる。
制御装置38には、外側レーザー変位計122の向き、即ち、モーター64の回転位置を手動で変更可能とするコントロールパネル140が接続されている。これにより、コントロールパネル140からの指示で、例えば、外側レーザー変位計122からの計測用のレーザービームを、タイヤ外面に対して直角に向ける(タイヤ外面の法線方向に向ける)ことが出来る。
【0058】
また、制御装置38は、例えば、内側レーザー変位計66の計測方向(計測用レーザービームの出射方向)と外側レーザー変位計122の計測方向(計測用レーザービームの出射方向)とを互いに向かい合わせるように、モーター64及びモーター120の回転を制御することができる。
【0059】
さらに、制御装置38は、内側レーザー変位計66の座標、及び外側レーザー変位計122の座標に基づいて内側レーザー変位計66と外側レーザー変位計122の距離を演算することができ、内側レーザー変位計66と外側レーザー変位計122の距離から、内側レーザー変位計66で計測した内側レーザー変位計66からタイヤ内面までの距離、及び外側レーザー変位計122で計測した外側レーザー変位計122からタイヤ外面までの距離を引き算することで、タイヤ30の厚みを演算することができる。
【0060】
また、制御装置38に予めプログラム入力しておくことで、タイヤ外面に沿って外側レーザー変位計122を移動(矢印C,D方向)することができ、例えば、一方のビード部から他方のビード部に渡って外側レーザー変位計122を移動することができる。
さらに、制御装置38には、計測したタイヤ30の厚み等を表示する表示装置142が接続されている。
【0061】
上記制御装置38は、例えば、パーソナルコンピュータ等を用いることができる。
なお、モーター34,40,60,96,116には、ステッピングモーター等を用いることができるが、他種類のモーターを用いても良い。
【0062】
(作用)
次に、本実施形態のタイヤ厚み測定装置10の作用を説明する。
例えば、タイヤ30のビード部の厚みを計測する場合には、図5に示すように、予め上側ハーフリム84を上昇させておき、上側ハーフリム84と下側ハーフリム26の間にタイヤ30を水平に挿入し、タイヤ30の下側のビード部を下側ハーフリム26に組み付ける。
【0063】
次に、シリンダ装置72を駆動して上側ハーフリム84を下降させ、図1に示すように、上側ハーフリム84をタイヤ30の上側のビード部に組み付ける。
タイヤ30を下ハーフリム26及び上側ハーフリム84に組み付けた後、空気バルブ92よりタイヤ内に空気を充填し、所望の内圧に設定する。
【0064】
その後、コントロールパネル140を操作して、外側レーザー変位計122の位置を所望の位置に設定する。例えば、図1に示すように、上側のビード部の厚みを計測する場合には、外側レーザー変位計122を上側のビード部の外面と対向する位置に配置し、計測用レーザービームの出射方向がタイヤ外面と直角(タイヤ外面の法線と平行)となるように外側レーザー変位計122の向きを設定する。
【0065】
外側レーザー変位計122の位置、及び向きを設定すると、制御装置38は自動で内側レーザー変位計の位置、及び向きを設定し、内側レーザー変位計66の計測方向(計測用レーザービームの出射方向)と外側レーザー変位計122の計測方向(計測用レーザービームの出射方向)とを互いに向かい合わせるように、モーター64及びモーター120の回転を制御する。
【0066】
コントロールパネル140を操作して、距離の測定を指示すると、内側レーザー変位計66及び外側レーザー変位計122から各々測定用のレーザービームが出射され、距離の測定が行われる。距離の測定が終了すると、演算を行ってタイヤ30のビード部の厚みを得る。得られた厚みは、表示装置142に表示される。
【0067】
なお、タイヤ30をモーター34で1回転させ、ロータリーエンコーダー36で回転位置(角度)を検出しつつ、回転角度に応じてタイヤ30の所望の位置の厚みを計測することで、タイヤ30の所望の部分(例えば、ビード部)の厚みをタイヤ周方向に渡って連続して効率的、かつ精度良く計測することができる。なお、図6のグラフには、タイヤ30を1回転(360°)させてタイヤA,Bの所望の部分の厚みをタイヤ周方向に渡って連続して計測した一例が示されている。なお、図6のグラフでは、タイヤ30のゲージを変化量(%)として表示しており、例えば90°回転させた位置でゲージが大幅に変化していることが分かる。
【0068】
上記実施形態では、無負荷状態のタイヤ30の厚みを計測したが、図1に2点鎖線で示すように、タイヤ厚み測定装置10の側方にタイヤ回転ドラム144を配置し、タイヤ回転ドラム144を移動してタイヤ30のトレッドにタイヤ回転ドラム144を所望の荷重で押し当ててタイヤ30の厚みを計測しても良い。これにより、負荷時のタイヤ30の厚みを計測することが出来る。
【0069】
なお、タイヤ30の回転軸とタイヤ回転ドラム144の回転軸を平行にしてタイヤ30の厚みを計測しても良く、タイヤ30の回転軸とタイヤ回転ドラム144の回転軸との間に角度を付けて、タイヤ30に対してスリップアングル(SA)、及びキャンバー角度(CA)を付けてタイヤ30の厚みを計測することも出来る。
【0070】
以上、タイヤ30のビード部の厚みを計測する例を説明したが、ビード部に限らず、外側レーザー変位計122の位置、及び向きを変更することで、ビード部以外の部位、例えば、サイド部、ショルダー部、及びトレッド部の各部の厚みを同様にして計測することができる。サイド部、ショルダー部、及びトレッド部の各部の厚みを計測するには、測定部位の外側に外側レーザー変位計122を配置し、外側レーザー変位計122の計測用レーザービームを計測位置に対して直角となるように外側レーザー変位計122の向きを設定すれば良い(なお、内側レーザー変位計66の位置及び向きは自動で変更される)。
【0071】
次に、タイヤ30のタイヤ赤道面と直角方向に、一方のビード部から他方のビード部にかけてタイヤ30の厚みをタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に計測する方向を説明する。
図1に示すように、タイヤ30の上側のビード部に対向する位置に外側レーザー変位計122を配置し、タイヤ30の厚みを計測しながら外側レーザー変位計122の位置を、タイヤ外面に沿って(矢印C方向、及び矢印D方向)下側のビード部と対向する位置まで移動する。
これにより、一方のビード部から他方のビード部にかけてタイヤ30の厚みを効率的、かつ精度良く計測することが出来る。
【0072】
このように、本実施形態のタイヤ厚み測定装置10を用い、タイヤ30を回転させ、かつ内側レーザー変位計66及び外側レーザー変位計122をタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に(ラジアルカーカスコードの延び方向)に移動することで、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に連続して、またはタイヤ径方向及びタイヤ幅方向の任意の位置で、タイヤ30の厚さを効率的、かつ精度良く測定することができる。
【0073】
本実施形態のタイヤ厚み測定装置10を用いることで、例えば、トレッドのスポット的な偏摩耗、タイヤ構成部品のばらつき等を把握することができる。
【0074】
本実施形態のタイヤ厚み測定装置10では、内側レーザー変位計66と外側レーザー変位計122とがタイヤ内外を貫通するアーム等で連結されていないので、アーム等がタイヤ30に接触してタイヤ厚みの計測を制限することは無く、また、タイヤ内圧を負荷した状態でタイヤ30の厚みを計測することができる。
【0075】
本実施形態のタイヤ厚み測定装置10では、シリンダ装置72で下側ハーフリム26からの上側ハーフリム84の位置を変更することで、幅の異なるタイヤ30を容易に装着することが出来る。
【0076】
本実施形態のタイヤ厚み測定装置10では、下側ハーフリム26、及び上側ハーフリム84がボルト止めされているので、下側ハーフリム26、及び上側ハーフリム84をサイズの異なる他の大きさの下側ハーフリム26、及び上側ハーフリム84と交換することができる。
【0077】
このため、計測するタイヤ30のサイズに応じた大きさの下側ハーフリム26、及び上側ハーフリム84を予め複数種類用意しておき、計測するタイヤ30に応じた下側ハーフリム26、及び上側ハーフリム84を取り付けることで、種々のサイズのタイヤ30の厚みを計測することが出来る。
【0078】
なお、本実施形態のタイヤ厚み測定装置10によれば、タイヤ30の内面及び外面の全ての位置を計測することで、3次元的なタイヤのデータを作成することも可能である。
【0079】
タイヤ30の厚みを計測する内側レーザー変位計66、及び外側レーザー変位計122に関しては、タイヤ部材のばらつきを捉えるために、精度が0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下のものが好ましい。
【0080】
内側レーザー変位計66、及び外側レーザー変位計122の計測用レーザービームのスポット径は、0.5mm以下が好ましく、0.25mm以下が更に好ましい。
例えば、タイヤ周長を約2m(例えば、乗用車用タイヤの標準サイズにおいて)としたとき、一般的なタイヤパターンを再現するのに必要な分解能(精度)はおよそ約2000点/1周となり、そのとき、1点当りの距離は1mmとなるので、スポット径はそれよりも小さい必要があるため、スポット径は0.5mm以下が好ましいとしている。
【0081】
[その他の実施形態]
上記実施形態では外側レーザー変位計122の計測用レーザービームの出射方向、及び内側レーザー変位計66の計測用レーザービームの出射方向を互いに向かい合わせてタイヤ30の厚みを計測したが、本発明はこれに限らず、外側レーザー変位計122の計測用レーザービームの出射方向、及び内側レーザー変位計66の計測用レーザービームの出射方向を互いに向かい合わせなくてもてタイヤ30の厚みを計測することが出来る。
【0082】
以下にその方法の一例を説明する。
例えば、図7に示すように、外側レーザー変位計122の計測用レーザービーム122Aの出射方向、及び内側レーザー変位計66の計測用レーザービーム66Aの出射方向が互いに向かい合っていない場合には、外側レーザー変位計122の計測用レーザービーム122Aの出射方向と、外側レーザー変位計122からタイヤ外表面の計測位置までの距離とからタイヤ外表面の計測位置の座標(点A)を得ることが出来る。同様にして内側レーザー変位計66の計測用レーザービーム66Aの出射方向と、内側レーザー変位計66からタイヤ内表面の計測位置までの距離とからタイヤ内表面の計測位置の座標(点B)を得ることが出来る。
【0083】
そして、上記座標(点A)と座標(点B)とから、座標(点A)から座標(点B)までの距離、即ち、タイヤ30の厚みTを演算することが出来る。これらの演算は、制御装置38に予め組み込んだプログラムによって実行することが出来る。
【0084】
上記実施形態では、内側レーザー変位計66を上下方向、及び水平方向に移動可能としたが、本発明はこれに限らず、内側レーザー変位計66の位置はタイヤ内に固定されていても良い。ただし、この場合、内側レーザー変位計66の向きは、変更可能としておくことが好ましい。
【0085】
上記実施形態では、外側レーザー変位計122の位置及び向きと、内側レーザー変位計66の位置及び向きを制御装置38で制御して連動させることで、外側レーザー変位計122の距離測定用のレーザービームと内側レーザー変位計66の距離測定用レーザービームとを向かい合わせたが、外側レーザー変位計122と内側レーザー変位計66とを機械的に連動させても良い。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0087】
10 タイヤ厚み測定装置
14 固定軸(タイヤ支持手段)
16 ラジアルベアリング(タイヤ支持手段、リム回転支持部材)
18 スラストベアリング(タイヤ支持手段、リム回転支持部材)
20 下側回転部材(タイヤ支持手段)
22 オーリング(タイヤ支持手段)
26 下側ハーフリム(第1のリム)
32 オーリング(タイヤ支持手段)
38 制御装置(演算手段)
39 内側レーザー変位計移動装置(内側移動手段)
64 モーター(内側レーザー変位計回転支持装置)
66 内側レーザー変位計
72 シリンダ装置(移動手段)
74 上下移動軸(タイヤ支持手段)
76 ラジアルベアリング(タイヤ支持手段、リム回転支持部材)
78 スラストベアリング(タイヤ支持手段、リム回転支持部材)
80 上側回転部材(タイヤ支持手段)
84 上側ハーフリム(第2のリム)
88 オーリング(タイヤ支持手段)
93 外側レーザー変位計移動装置(外側移動手段)
120 モーター(外側レーザー変位計回転支持装置)
122 外側レーザー変位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着されたタイヤの内部を気密に保持するタイヤ支持手段と、
前記タイヤの外側に配置され、タイヤ外表面までの第1の距離を測定する外側レーザー変位計と、
前記タイヤ支持手段に取り付けられ、前記タイヤの内側に配置されてタイヤ内表面までの第2の距離を測定する内側レーザー変位計と、
を有するタイヤ厚み測定装置。
【請求項2】
前記外側レーザー変位計を移動させる外側移動手段と、前記内側レーザー変位計を移動させる内側移動手段とを備え、
前記外側レーザー変位計が出射するレーザービームと、前記内側レーザー変位計が出射するレーザービームとが同一光路上に位置するように前記外側移動手段と前記内側移動手段を駆動させる請求項1に記載のタイヤ厚み測定装置。
【請求項3】
前記外側レーザー変位計は、タイヤ外面の法線方向に沿ってレーザービームを出射して前記第1の距離を測定する請求項2に記載のタイヤ厚み測定装置。
【請求項4】
前記外側移動手段は前記外側レーザー変位計の向きを変える外側レーザー変位計回転支持装置を有し、
前記内側移動手段は前記内側レーザー変位計の向きを変える内側レーザー変位計回転支持装置を有している、請求項2または請求項3に記載のタイヤ厚み測定装置。
【請求項5】
前記タイヤ支持手段は、タイヤの両方のビード部が装着されるリムを回転可能に支持するリム回転支持部材を有する、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のタイヤ厚み測定装置。
【請求項6】
前記リムは、一方の前記ビード部が装着される第1のリムと、他方の前記ビード部が装填される第2のリムを備え、
前記第1のリム、及び前記第2のリムの少なくとも一方は、前記第1のリムと前記第2のリムとの間隔を軸方向に変更する移動手段に接続されている、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のタイヤ厚み測定装置。
【請求項7】
前記移動手段に対して前記第1のリム、及び前記第2のリムは、交換可能に設けられている、請求項6に記載のタイヤ厚み測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−82270(P2013−82270A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222356(P2011−222356)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】