説明

ディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物並びにディスプレイ電極用黒色導電厚膜およびその形成方法

【課題】 導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成するためのディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト、ディスプレイ電極形成用黒色導電厚膜、およびディスプレイ電極用黒色導電厚膜の形成方法を提供する。
【解決手段】 黒色導電厚膜40を形成するための感光性黒色導電ペーストにおいて、導電性成分として含まれる銀粉末は比表面積が1.0或いは2.0(m2/g)程度と微細であり、黒色顔料46は比表面積が3〜13(m2/g)程度の範囲内のCo3O4粉末から構成されるため、高い感光性延いては高い解像性を有すると共に、その感光性黒色導電ペーストから形成される黒色導電厚膜40には銀44とCo3O4から成る黒色顔料46とがガラス48で結合されて構成されるため、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物、ディスプレイ電極用黒色導電厚膜、およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、一対の平行平板間に形成された気密空間内に一方向およびそれと直交する他方向に沿ってマトリクス状に設けられた複数の発光区画と、それら複数の発光区画内で選択的に放電を発生させるためにその発光区画毎に一対が位置するように設けられた複数対の放電電極とを備え、その放電を利用して発光させることにより、文字、記号、図形等の所望の画像を表示する形式の放電表示装置が知られている。例えば、ガス放電によって生じたプラズマの生成に伴うネオンオレンジ等の発光を直接利用し、或いは、発光区画内に蛍光体が備えられてプラズマによって生じた紫外線により励起させられた蛍光体の発光を利用するプラズマ・ディスプレイ・パネル(以下、PDPという)等がそれである。このようなPDPは、薄型且つ大表示面とすることが比較的容易であると共に、ブラウン管並の広い視野角および早い応答速度が得られるため、ブラウン管に代わる画像表示装置として考えられており、特に、例えば赤(RED)、緑(GREEN)、青(BULE)の三色の蛍光体を設けた3乃至4つの発光区画から一画素を構成して多色表示を可能とすることにより、壁掛けテレビ等の薄型フルカラー表示装置を実現し得るものとして期待されている。
【0003】
図1(a)、(b)は、上記のPDPの一例であって、例えば特許文献1等に記載された3電極構造のAC型面放電PDP8の構成を示す図である。図において、互いに平行に位置させられた前面板10および背面板12の間に形成された気密空間内に、一方向に沿って長手状の隔壁14によって区画形成されて長手方向にそれぞれ複数の発光区画を含む複数の放電空間16が設けられると共に、背面板12上にその一方向に沿ってその隔壁14の間を通る複数本の書込電極18がオーバ・コート32に覆われて設けられる一方、前面板10上にその一方向と直交する他方向に沿って、硼珪酸ガラス等の低軟化点ガラスから成る誘電体層20および酸化マグネシウム(MgO)等から成る保護膜22で覆われた複数対の表示放電電極(維持電極)24a、24bが設けられ、上記背面板12の内面および隔壁14の表面には、各放電空間16毎に塗り分けられた蛍光体層26が設けられている。なお、図においては、表示放電電極24が、面放電を広範囲で発生させ且つ前面板10を通して射出される表示光の遮光を可及的に少なくするため、薄膜プロセス等で形成されたITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウム錫)やATO(Antimon Tin Oxide:酸化アンチモン錫)等から成る透明電極28と、その導電性を補うために各対毎に幅方向の外側端部位置においてその透明電極28上に設けられた薄膜導体或いは厚膜導体から成るバス電極30とから構成されている。なお、図において34は、書込電極18が厚膜銀で、背面板12がソーダ・ライム・ガラスで構成される場合等に両者の反応を抑制するためのアンダ・コートである。
【特許文献1】特開平3−78936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のバス電極30には、透明電極28の導電性を補う目的で補助的に用いられ或いは単独で用いられる何れの場合においても、自身の長手方向における電圧降下を可及的に少なくするために低抵抗であることが求められる一方で、低反射率であることも同時に望まれる。上記のように構成されたPDP8においては、バス電極30が備えられる前面板10の内面36とは反対側の表面38側においてその前面板10を透過した光が観視されることから、その表面38における外光の反射を抑制して表示の高いコントラストを得るためである。そのため、薄膜形成する場合においては、例えば、前面板10上(正確には透明電極28上)に黒色のCr(クロム)層を形成した後、その上にAl(アルミニウム)やCu(銅)等の高導電率の金属層が設けられる。また、厚膜形成する場合には、Ag-Pd(銀−パラジウム)ペースト、Ag-Cu(銀−銅)合金化ペースト、或いはAg(銀)ペースト中に、RuO2(酸化ルテニウム)或いはFe-Cr-Mn(鉄−クロム−マンガン)系顔料やCu-Cr-Mn(銅−クロム−マンガン)系顔料に代表されるパイロクロア型酸化物を黒色顔料として添加した黒色導電ペーストを厚膜スクリーン印刷法等を利用して前面板10上に塗布する。これら薄膜法および厚膜法の何れによってもバス電極30の形成は可能であるが、製造コストの面では厚膜法が有利である。なお、上記の黒色顔料は、厚膜導体の反射率すなわち明度を低下させるために添加されている。ここで、「明度」とは、物体表面の反射率の大小の尺度であって色の明るさを意味し、例えば理想的な黒、白をそれぞれ0、100として数値化されたL値で表示される。
【0005】
しかしながら、上記のような黒色顔料は導電性が低いことから、十分に明度が低くなる程度まで添加すると厚膜導体の抵抗値を著しく増大させる。そのため、バス電極30(表示放電電極24)に要求される高い導電性を満足できる程度の少ない量に黒色顔料の添加量が制限されることから、バス電極30の明度が比較的高くなって、PDP8の表示の高いコントラストが得られないという問題があった。このことは、本来的に高抵抗である合金化ペーストにおいて特に問題となる。一方、上記の厚膜導体のうちAgペーストから生成されるものは比較的低抵抗であることから、多量の黒色顔料を添加して比較的高い導電性を維持しながら明度を比較的低くすることができる。しかしながら、この場合においても得られる明度は十分とは言い難く、しかも、例えば図2に示されるように表示放電電極対24a、24bの一方或いは両方(図においては一方)が前面板10上に直接膜形成されたバス電極30だけから構成される場合には、Agがその前面板10内に拡散して黄変させるため、黄色度が高くなってコントラストの低下が生じ得るという問題がある。この黄変は、黒色顔料の添加量が多いほど抑制できることが知られているが、高い導電性を維持しながら明度および黄色度を低くすることが望まれる厚膜導体においては、上記の許容添加量の範囲では十分に黄変を抑制できない。なお、前記の黒色顔料のうちRuO2の微粉[例えば比表面積が35(m2/g)程度のもの]は上記の各特性が比較的優れているが、高価である上に微粉であることから取扱いが困難でもある。因みに、図1に示される構造では表示放電電極24が透明電極28およびその上に形成されたバス電極30で構成されているが、透明電極28による透光性の低下を抑制して一層高い輝度を得るために表示放電電極24a、24bの少なくとも一方を比較的細幅のバス電極30だけで構成することが望まれており、そのようにしても放電特性上は特に支障はないことが確かめられている。
【0006】
なお、上記のような黒色導電ペーストを用いてバス電極30を前面板10上に形成する方法の一つとして、フォト・リソグラフィ法を利用する方法がある。この方法では、例えば、前面板10の内面36上の全面に感光性導電ペーストを塗布して乾燥することにより所定厚みのペースト膜を形成し、所定パターンのマスクを介して露光してペースト膜を選択的に硬化させた後、現像液で未露光部分を洗浄除去し、更に焼成することによって厚膜導体が形成される。そのため、スクリーンの歪みに起因するパターンずれが生じ得る厚膜スクリーン印刷法等のような直接印刷法に比較して、大面積且つ高精細なパターン形成が容易である。しかしながら、この導体形成方法では、上記のようにペースト膜を選択的に感光して硬化等させる必要がある。そのため、厚膜導体の明度を低くする目的でペースト中に黒色顔料を多量に混和すると、露光する際に照射される光がペースト膜の内部に十分に届かなくなって解像性が低下することから、厚膜スクリーン印刷法を用いる場合よりも更に混和可能な黒色顔料の量が少なく制限されて、一層明度の高い厚膜導体しか得られないという問題がある。すなわち、このようにフォト・リソグラフィ法により形成される厚膜導体においても、高い解像性を維持しつつ明度、黄色度、および抵抗値を一層低くすることが望まれていた。ここで、「解像性」とは、相異なる2点を識別し得る最小距離の小ささの程度を表すものである。なお、以上の問題は、導電性が高く且つ低い明度および黄色度を要求される厚膜導体であれば、PDPのバス電極に限られず、PDPにおいて前面板上に備えられる他の電極や、PDP以外のディスプレイの電極等にも同様に生じ得る。
【0007】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであって、その目的は、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成するためのディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト、ディスプレイ電極用黒色導電厚膜、およびディスプレイ電極用黒色導電厚膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる目的を達成するための第1発明の要旨とするところは、銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合剤と、有機溶剤と、感光性組成物と、黒色顔料とを含んで感光性を有し、露光および現像処理により、ディスプレイの電極として機能する黒色を呈する導電厚膜を形成するために用いられるディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物であって、(a)前記黒色顔料は比表面積が1乃至20(m2/g)の範囲内のCo3O4(四酸化三コバルト)粉末から成ることにある。
【0009】
また、前記目的を達成するための第2発明の要旨とするところは、所定の基板上に所定パターンで設けられ、銀および黒色顔料がガラスで結合されて成る、ディスプレイ電極用黒色導電厚膜であって、(a)前記黒色顔料は比表面積が1乃至20(m2/g)の範囲内のCo3O4から成るものであり、(b)光硬化性化合物を含む感光性導電ペーストを用いて露光および現像によりパターン形成されたものであることにある。
【0010】
また、前記の目的を達成するための第3発明の要旨とするところは、所定の一面側から観察される透光性基板の該一面とは反対側の他面上にディスプレイの電極として機能するディスプレイ電極用黒色導電厚膜を所定パターンで形成する方法であって、(a)前記透光性基板の他面に前記請求項1乃至3の何れかのディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を塗布して感光性黒色導電ペースト膜を形成する感光性黒色ペースト膜形成工程と、(b)前記感光性黒色導電ペースト膜から生成されるものよりも明度が高く且つ導電性の高い膜を生成するための感光性高明度高導電ペースト組成物を、該感光性黒色導電ペースト膜上に塗布して感光性高明度高導電ペースト膜を積層形成することにより、所定厚さの感光性導電ペースト膜を形成する感光性高明度ペースト膜形成工程と、(c)所定の開口パターンの遮蔽膜を介して前記感光性導電ペースト膜を選択的に露光する露光工程と、(d)該露光工程の後に前記感光性導電ペースト膜のうちの非硬化部分を所定の現像液で洗浄除去する現像工程と、(e)前記感光性導電ペースト膜を焼成して所定パターンの黒色導電厚膜を生成する焼成工程とを、含むことにある。
【発明の効果】
【0011】
前記第1発明によれば、ディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物には黒色顔料として比表面積が1〜20(m2/g)のCo3O4粉末が含まれることから、高い感光性延いては高い解像性を有すると共に、このペースト組成物から形成される黒色導電厚膜には銀とCo3O4から成る黒色顔料とがガラスで結合されて構成されるため、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得られる。すなわち、前述のように導電ペーストに黒色顔料を添加すると、そのペーストから生成される導電厚膜の明度および黄色度が低下させられる一方で導電厚膜の抵抗値が上昇させられると共に感光性延いては解像性が低下させられる。この場合において、その作用は明らかではないが、本発明者等が種々の顔料についてこれらの特性を評価した結果によれば、Co3O4粉末を黒色顔料として添加すると、他の黒色顔料に比較して明度および黄色度の低下が著しく大きく、しかも、抵抗値の上昇および解像性の低下が抑制される。また、黒色顔料の比表面積が黒色導電厚膜の導電性が十分に高く保たれ且つ解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。なお、1(m2/g)未満では明度の低下が不十分であり、反対に20(m2/g)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。上記により、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成することが可能なディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を得ることができる。なお、上記比表面積の範囲は、一層好適には、2〜15(m2/g)である。
【0012】
また、前記第2発明によれば、黒色導電厚膜は、黒色顔料が比表面積が1〜20(m2/g)のCo3O4で構成されると共に、光硬化性化合物を含む導電ペーストを用いて露光および現像によりパターン形成されたものである。そのため、前記第1発明の効果で説明したように、Co3O4は他の黒色顔料に比較して黒色導電厚膜の明度および黄色度を低下させる作用が大きく、また、その抵抗値をそれほど上昇させない。しかも、露光および現像により所謂フォト・リソグラフィ法で黒色導電厚膜がパターン形成される際に、露光および現像時の解像性を大きく低下させることもない。また、黒色顔料の比表面積が黒色導電厚膜の導電性が十分に高く保たれ且つ解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。なお、1(m2/g)未満では明度の低下が不十分であり、反対に20(m2/g)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しいのである。上記により、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低いディスプレイ電極用黒色導電厚膜が得られる。なお、上記比表面積の範囲は、一層好適には、2〜15(m2/g)である。
【0013】
また、前記第3発明によれば、黒色導電厚膜を形成するに際しては、黒色ペースト膜形成工程において、透光性基板の他面に前記第1発明の何れかのディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を塗布して感光性黒色導電ペースト膜が形成され、感光性高明度ペースト膜形成工程において、その感光性黒色導電ペースト膜から生成されるものよりも明度が高く且つ導電性の高い膜を形成するための感光性高明度高導電ペースト組成物を、その感光性黒色導電ペースト膜上に塗布して感光性高明度高導電ペースト膜を積層形成することにより、所定厚さの感光性導電ペースト膜が形成され、露光工程において、所定の開口パターンの遮蔽膜を介して前記感光性導電ペースト膜が選択的に露光され、その露光工程の後に、現像工程において、その感光性導電ペースト膜のうちの非硬化部分が所定の現像液で洗浄除去され、更に、焼成工程において、その感光性導電ペースト膜を焼成して所定パターンの黒色導電厚膜が生成される。そのため、ディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を用いて、所謂フォト・リソグラフィ法によって黒色導電厚膜がパターン形成されることから、厚膜スクリーン印刷法でパターン形成する場合よりも容易に高精度のパターンが得られる。また、黒色導電厚膜は、感光性黒色導電ペースト膜から生成された黒色導電層と、感光性高明度高導電ペースト膜から生成された高明度高導電層とが積層されて構成されることから、全体の導電性は、高明度高導電層によって十分に高められる。一方、観視側となる透光性基板の一面側においては、それら積層された二種の導電層のうちの黒色導電層がその透光性基板を介して観察されることから、黒色導電厚膜の色調は実質的に黒色導電層によって決定される。このとき、黒色導電厚膜の導電性は高明度高導電層で確保されることから黒色導電層の導電性が比較的低くなっても差し支えない。しかも、高明度高導電ペースト膜は黒色顔料を含む黒色ペースト膜よりも露光が容易であるから、全体が黒色ペースト膜から生成される場合に比較して、黒色ペースト膜が露光し難くされていても導電ペースト膜全体として十分な露光性を確保できる。したがって、黒色ペースト膜に含まれる黒色顔料の量を十分に多くして黒色導電層延いては黒色導電厚膜の明度および黄色度を十分に低くできる。上記により、解像性を高く保ちながら、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を形成することができる。
【0014】
ここで、好適には、前記銀粉末の比表面積は0.4〜2.5(m2/g)である。このようにすれば、感光性のディスプレイ電極形成用黒色導電ペースト組成物は、導電性成分として含まれる銀粉末の比表面積が0.4〜2.5(m2/g)と微細であると共に、黒色顔料がCo3O4粉末であることから、高い感光性延いては高い解像性を有すると共に、その感光性のディスプレイ電極形成用黒色導電ペースト組成物から形成される黒色導電厚膜には銀とCo3O4から成る黒色顔料とがガラスで結合されて構成されるため、導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得られる。なお、銀粉末の比表面積が0.4(m2/g)未満では、焼成時に連続膜が形成され難くなり、一方、2.5(m2/g)を越えるとペースト化が困難になると共にペースト膜中において銀粉末を保持するために必要な有機結合剤が多くなることから焼成後の導電厚膜の膜厚が薄くなるため、何れの場合にも抵抗値が上昇する。また、2.5(m2/g)を越えると露光も困難になり、解像性が低下する。また、一層好適には、銀粉末の比表面積の範囲は0.8〜2.0(m2/g)である。
【0015】
また、好適には、前記銀粉末は、球状を成すものである。このようにすれば、同様な粒子径で比較した場合において、球状粒子は比表面積が小さく、表面積当たりの粒径が大きいことから、ペースト膜を形成するために必要な有機結合剤の量を少なくして導電性を高めることができる。しかも、球状粒子は板状、凹凸の多い不定形状に比較して照射された光のペースト膜内部における散乱を生じさせ難いため、解像性も高められる。したがって、一層高い解像性を保ちながら、一層高い導電性を有する導電厚膜を形成し得る感光性のディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物が得られる。
【0016】
また、好適には、前記銀粉末は、ペースト組成物の全体に対する割合で40〜80(wt%)の範囲で含まれているものである。このようにすれば、銀粉末の含有量がペースト化が容易且つ露光が容易な範囲で十分に多くされていることから、乾燥および焼成後の膜厚を十分に厚くできるため、一層高い導電性が得られる。なお、80(wt%)を越えると、照射された光がペースト膜の内部にまで十分に到達しないことから、解像性が著しく低下する。
【0017】
また、好適には、前記ガラス粉末は比表面積が0.5〜10(m2/g)である。0.5(m2/g)未満では抵抗値が増大すると共に粒子径が大きいことから印刷性が低下(例えば現像後のライン・エッジ不良が発生)し、反対に10(m2/g)を越えると分散性が悪くなってペースト化が困難になる。また、ガラス粉末としては、例えば、硼珪酸鉛ガラスを主成分とした軟化点が600(℃)以下の低軟化点ガラス、すなわち、PbO-SiO2-B2O3系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-Al2O3系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-ZnO系ガラス、PbO-SiO2-B2O3-Al2O3-ZnO系ガラス、Bi2O3-SiO2-B2O3系ガラス、ZnO-SiO2-B2O3系ガラス、R2O-ZnO-SiO2-B2O3系ガラス(R2Oはアルカリ金属酸化物)等が好適に用いられる。なお、軟化点が600(℃)を越えるガラス粉末では、所定の基板等上に形成されたペースト膜を焼成する際にガラス粉末が十分なアンカ効果を与えることができないため、その基板等との高い固着強度が得られず、しかも、抵抗値が上昇するという問題が生じる。また、ガラスの耐水性や接着性を高くするためには、ガラス粉末の軟化点は350(℃)以上であることが望ましい。
【0018】
また、好適には、前記ガラス粉末の含有量はペースト全体に対して0.5〜10(wt%)の範囲である。0.5(wt%)未満では導電厚膜と基板等との固着強度が不十分となり、10(wt%)を越えると抵抗値の上昇が著しく、また、解像性も低下する。
【0019】
また、好適には、前記有機結合剤は、水溶性を有するものである。このようにすれば、ペースト膜を所定の基板等上で所定形状に保持するために導電ペースト中に含まれる有機結合剤が水溶性を有することから、パターン形成するための現像処理において現像液として水を用いることができる。そのため、黒色導電厚膜が設けられる基板等の材質に拘わらず、アルカリ水溶液を現像液として用いる場合のような浸食や変質等の直接的な損傷や、現像液の残留物による焼成時の発泡等の間接的な損傷が基板等に生じることが抑制される。
【0020】
また、好適には、前記有機結合剤は、セルロース誘導体である。このようにすれば、セルロース誘導体は良好な水溶性を有することから、パターン形成するための現像処理において現像液として水を用い得る利点がある。
【0021】
また、好適には、前記セルロース誘導体は、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、およびこれらの塩類の一種乃至複数種類から成るものである。これらは何れもセルロース誘導体のうちでも特に良好な水溶性を有することから、メチルセルロース、エチルセルロースやエチルヒドロキシエチルセルロース等の他のセルロース誘導体を用いる場合に比較して、水による現像処理が一層容易になる利点がある。しかも、これらは銀粉末や黒色顔料との相溶性が大きく、ガラス粉末表面に存在する金属イオンとの反応性が低いことから、黒色導電ペーストの粘性の変化やゲル化が抑制されて安定性に優れるため、高い保存性も得られる。
【0022】
また、好適には、上記の有機結合剤の含有量は、ペースト全体に対する割合で5〜20(wt%)の範囲である。5(wt%)未満ではペースト膜中において銀粉末やガラス粉末の保持力が不十分となって現像時にパターン部分の剥離が生じ易くなる。一方、20(wt%)を越えると銀粉末の含有量が相対的に低下するため、焼成後の黒色導電厚膜の膜厚が薄くなって抵抗値の上昇を招く。
【0023】
また、好適には、前記の感光性組成物は、光重合性化合物および光重合開始剤から構成される。このようにすれば、ディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物は、それから形成されたペースト膜を露光および現像処理してパターン形成するに際して、露光された部分が硬化させられてそれにより黒色導電厚膜のパターンが構成される所謂ネガ型になる。
【0024】
なお、上記の光重合性化合物は、好適には、ペースト全体に対する割合で3〜20(wt%)の範囲で含まれる。3(wt%)未満では露光不良すなわちパターン部分が十分に硬化させられず、20(wt%)を越えると生成された黒色導電厚膜の導電性が著しく低下することとなる。また、光重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の単官能モノマー、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、ノナエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート、ノナエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレート、ブチレングリコールモノメタクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等の多官能モノマーを挙げることができ、特に、トリエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートが好適に用いられる。これらは焼成時に分解および揮散し易いことから生成された黒色導電厚膜の電気的特性を低下させ難く、しかも高感度のディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を構成し得る。
【0025】
また、上記の光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4'-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、4-ジメチルアミノ安息香酸-2-イソアミル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(ο-エトキシカルボニル)オキシム、ο-ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート等を挙げることができる。光重合開始剤は、好適には、ペースト全体に対する割合で0.05〜10(wt%)の範囲で含まれる。0.05(wt%)未満では露光不良すなわち光重合性化合物の重合が十分に進行せずパターン部分の効果が不十分となる。一方、10(wt%)を越えると、生成された黒色導電厚膜の導電性が著しく低下することとなる。
【0026】
また、好適には、前記黒色顔料は、ペースト組成物の全体に対する割合で0.5〜20(wt%)の範囲で含まれている。このようにすれば、黒色顔料の含有率が黒色導電厚膜の導電性が十分に高く保たれ且つ解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。なお、0.5(wt%)未満では明度の低下が不十分であり、反対に20(wt%)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。また、上記含有率の範囲は、一層好適には、1〜8(wt%)である。
【0027】
また、前記の第2発明において、好適には、前記黒色導電厚膜は、所定の一面側から観察される透光性基板のその一面とは反対側の他面上に設けられて前記黒色顔料を含む黒色導電層と、その黒色導電層よりも高い明度および高い導電性を有してその上側に積層して備えられた高明度高導電層とを含むものである。このようにすれば、黒色導電厚膜は、黒色顔料を含む黒色導電層と、それよりも高明度且つ高導電性の高明度高導電層とが積層されて構成されることから、黒色導電厚膜全体の導電性は、高明度高導電層によって十分に高められる。一方、観視側となる透光性基板の一面側においては、それら積層された二種の導電層のうちの黒色導電層がその透光性基板を介して観察されることから、黒色導電厚膜の色調は実質的に黒色導電層によって決定される。このとき、黒色導電厚膜の導電性は高明度高導電層で確保されることから黒色導電層の導電性が比較的低くなっても差し支えないため、それに含まれる黒色顔料の量を十分に多くして黒色導電層延いては黒色導電厚膜の明度および黄色度を十分に低くできる。したがって、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜が得られる。なお、黒色導電層もある程度の導電性を有していることから、このような黒色導電膜で前述したPDP8において透明電極28に重ねて用いられるバス電極30を構成する場合にも、それらの間の導電性を確保しつつ上記の一面側から見た場合における明度を十分に低くできる。
【0028】
しかも、黒色導電厚膜が黒色導電層および高明度高導電層から構成される場合には、一方の高明度高導電層はその黒色導電層よりも高明度であることから露光が容易であるため、黒色導電厚膜全体が黒色導電層から構成される場合に比較して、その黒色導電層を形成するための黒色導電ペーストが露光し難くされていても全体として十分な露光性を確保できる。そのため、黒色導電層中に含まれる黒色顔料の量は導電厚膜全体の導電性や露光性に殆ど影響しないことから、それに含まれる黒色顔料の量を十分に多くして黒色導電層延いては黒色導電厚膜の明度および黄色度を十分に低くできる。したがって、導電性および膜形成時の解像性を高く保ちながら、明度および黄色度の低い黒色導電厚膜を得ることができる。
【0029】
また、前記の第2発明において、好適には、前記黒色顔料の比表面積は、1〜20(m2/g)である。このようにすれば、黒色導電厚膜中に含まれる黒色顔料の比表面積は、その膜の導電性が十分に高く保たれ且つ露光および現像処理を経てパターン形成される際の解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。なお、1(m2/g)未満では明度の低下が不十分であり、反対に20(m2/g)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。また、上記比表面積の範囲は、一層好適には、2〜15(m2/g)である。
【0030】
また、前記の第2発明において、好適には、前記黒色顔料は、前記黒色導電厚膜の全体に対する割合で0.5〜20(wt%)の範囲で含まれている。このようにすれば、黒色顔料の含有率は、黒色導電厚膜の導電性が十分に高く保たれ且つ露光および現像処理を経てパターン形成される際の解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされていることから、黒色の発色が良好に得られて明度が十分に低下させられる。なお、0.5(wt%)未満では明度の低下が不十分であり、反対に20(wt%)を越えると抵抗値が上昇すると共に解像性の低下が著しい。また、上記含有率の範囲は、一層好適には、1〜8(wt%)である。
【0031】
また、前記の第3発明において、好適には、前記感光性高明度高導電ペースト組成物は、ペースト組成物の全体に対する割合で50〜80(wt%)の範囲で銀粉末を含むものである。このようにすれば、専ら導電性の確保に寄与する感光性高明度高導電ペーストの銀粉末の含有量が十分に多くされていることから、生成される黒色導電厚膜に全体として十分に高い導電性が付与される。なお、銀粉末の含有量が50(wt%)未満では導電性が不十分となる一方、80(wt%)を越えるとペースト化が困難になると共に、照射された光がペースト膜の内部にまで十分に到達しないことから、解像性が著しく低下する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【0033】
図3(a)は、本発明の一実施例の黒色導電厚膜40が基板42上に形成された状態を示す斜視図であり、同(b)は、(a)のb−b視断面における黒色導電厚膜40の構造を模式的に示す図である。この黒色導電厚膜40は後述するように厚膜導体ペーストの一種である感光性黒色導電ペーストを焼成して生成された厚膜導体であって、膜厚10(μm)程度、幅50(μm)程度の寸法を有し、図に示されるように、導電成分である銀44と着色成分である黒色顔料46とが、ガラス48によって結合させられることで構成されている。また、上記の基板42は、例えば、ソーダ・ライム・ガラス等から成り高い透光性を有するガラス平板であり、ガラス48はこの基板42に黒色導電厚膜40を固着させる機能をも有している。なお、黒色導電厚膜40は、例えば、前記図1或いは図2に示されるPDP8のバス電極30等を構成するものであり、上記基板42は、例えば同図における前面板10に対応する。図3においてはバス電極30を構成する黒色導電厚膜40が基板42上に直接設けられている場合を示しているが、黒色導電厚膜40は、上記図1或いは図2に示されるように透明電極28上に設けられてもよい。
【0034】
上記の黒色顔料46は、例えば、BET比表面積測定法で測定した比表面積が3〜13(m2/g)程度で黒色を呈するCo3O4から成るものであり、ガラス48中に略均一に分散させられている。そのため、黒色導電厚膜40は、図3(b)に矢印で示される観視方向から透明な基板42越しに観察した場合において、35〜55程度の比較的低い黒色度を有している。その一方、抵抗値は、その長手方向に沿って80(mm)程度の間隔を設けた100(μm)程度の幅のパターンの2点間の値で10〜15(Ω)程度(例えばマルチ・メータで測定)と低く、高い導電性を有している。そのため、上述のようにPDP8のバス電極30等に用いられた場合に良好な光学的特性および電気的特性を示す。なお、「黒色度」は、色差計(例えばミノルタ製)によって明度を表すL値を測定した値である。また、以下の説明において単に「抵抗値」というときは、他の実施例も含めて黒色導電厚膜40等の長手方向に沿って相互に80(mm)隔てた100(μm)程度の幅のパターンの2点間の抵抗値を意味する。
【0035】
以下、黒色導電厚膜40の形成方法を、工程の要部を示す図4および形成過程の各段階における断面形状を示す図5を参照して説明する。なお、前記の図1、図2に示される前面板10にバス電極30として機能する黒色導電膜40を設ける場合には、前述したように透明電極28が適宜の形状で先に設けられるが、以下の説明においてはこれを省略した。
【0036】
先ず、感光性黒色導電ペースト印刷工程S1においては、例えば厚膜スクリーン印刷法やバー・コータ塗布等によって、基板42表面(透明電極28が設けられている場合には、基板42および透明電極28であるが、以下、便宜上「基板42」として説明する。)の全面に感光性黒色導電ペーストを塗布する。この感光性黒色導電ペーストは、例えば、比表面積1.0〜2.0(m2/g)程度の球状の銀粉末を60(wt%)程度と、比表面積1〜2(m2/g)程度のPbO-SiO2-B2O3系ガラス等から成るガラス粉末(ガラス・フリット)を4(wt%)程度と、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性の有機結合剤(高分子バインダ)を5(wt%)程度と、前記黒色顔料46(Co3O4)を2〜6(wt%)程度と、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の光重合性化合物を5(wt%)程度と、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等の光重合開始剤を0.5(wt%)程度と、3-メチル-3-メトキシブタノール等の有機溶剤を残部とを合計100(wt%)となるように混合し、例えば、三本ロール・ミル等を用いて混練することによりペースト化したものである。なお、混練後のペーストの粘度は、例えば100(Pa・s)程度である。
【0037】
次いで、ペースト乾燥工程S2においては、例えば、遠赤外線乾燥機を用いて80(℃)程度の温度で15(分間)程度乾燥処理を施すことにより、基板42上に塗布された感光性黒色導電ペーストから有機溶剤が揮発させられ、黒色導電ペースト膜52が形成される。図5(a)はこの状態を示している。このとき、黒色導電ペースト膜52の乾燥後の膜厚は例えば10(μm)程度である。
【0038】
続く露光工程S3においては、所定寸法のネガ・マスク54を介して黒色導電ペースト膜52を選択的に露光する。図5(b)はこの状態を示している。図において、ネガ・マスク54は、例えば互いに平行でwo=50(μm)程度の幅寸法の複数本の開口部56をws=100(μm)程度の一定間隔で備えたものであり、黒色導電ペースト膜52から僅かな距離隔てた上方に配置されている。なお、開口部56の長さは、基板42上に形成する黒色導電厚膜40の長さに応じて設定されている。また、上記の露光処理は、例えば超高圧水銀灯を用いて350(nm)程度の波長の紫外線を300(mJ/cm2)程度のエネルギ線量で照射して行った。これにより、開口部56の直下に位置する図に斜線で示される部分58が選択的に露光され、黒色導電ペースト膜中に含まれている光重合性化合物がその露光部分58のみにおいて重合反応によって硬化させられ、基板42表面に強固に固着される。一方、露光部分58を除く未露光部分は、何ら変化させられていない。
【0039】
現像工程S4においては、例えば、現像液として水を2(kgf/cm2)程度の吐出圧力で20(秒間)程度吹きつけることにより、現像処理を施す。すなわち、露光処理を施した基板42の洗浄処理を行う。これにより、ペースト膜52のうちの未露光部分が水で溶解されて洗い流されることによって選択的に除去され、基板42上には露光部分58のみが残ることとなる。図5(c)はこの状態を示している。そして、乾燥工程S5において、基板42(および黒色導電ペースト膜52)を乾燥し、更に、導体焼成工程S6において、例えば電気炉を用いて550(℃)×2(hr)程度の条件で焼成処理を施す。これにより、黒色導電ペースト膜52から高分子バインダ、光重合性化合物、光重合開始剤等の有機成分が加熱により分解され且つ揮発して除去されると同時に、ガラス粉末が溶融させられたガラス48によって銀44および黒色顔料46が結合させられて前記の黒色導電厚膜40が生成される。
【0040】
ここで、表1は、上述のようにして形成された黒色導電厚膜40の特性を、形成条件を種々変更したものについて、試験条件と併せて比較例と共に示すものである。なお、下記の表において、「解像性」欄の100〜1000の数値は前記露光工程S3において照射するエネルギ線量であり、「○」はネガ・マスク54のパターン通りに黒色導電厚膜40が形成されたことを、「△」は黒色導電厚膜40が一応形成できたが線の細りやパターン・エッジのガタツキ等が生じたことを、「×」は露光時にペースト膜が硬化せず、現像時にペースト膜52が剥離して黒色導電厚膜40を形成できなかったことをそれぞれ表す。また、「有機結合剤 種類」欄において「CMC」および「HPC」はそれぞれカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースである。なお、表に記載されていない他の条件は、何れの実施例Eおよび比較例Rにおいても全て前記の工程説明に従い、黒色度および抵抗値の測定方法は前述の通りである。
【0041】
【表1】

【0042】
上記の表1(実施例)から明らかなように、黒色顔料46としてCo3O4を用いることにより、露光工程S3における紫外線の照射線量を適当に設定すれば、前記ネガ・マスク54の開口パターンに従って黒色導電ペースト膜52が硬化させられ、所定パターンの黒色導電厚膜40が得られる。特に、比表面積が3〜13(m2/g)程度のCo3O4を黒色顔料46として用いた実施例E1〜E4によれば、紫外線のエネルギ線量を300(mJ/cm2)以上とすることによって、黒色度が35〜55と十分に低く良好な黒色の発色が得られると共に、抵抗値が10〜15(Ω)程度と十分に高い導電性を備えた黒色導電厚膜40を得ることができる。
【0043】
但し、上記実施例E1〜E5の何れにおいても、100(mJ/cm2)程度のエネルギ線量では、光重合性化合物の反応が不十分となるため黒色導電ペースト膜52が硬化させられない。また、実施例E1およびE4においては1000(mJ/cm2)程度のエネルギ線量で過露光になってネガ・マスク54の開口部56よりも硬化させられる幅が広がるため、所期のパターン通りの黒色導電厚膜40が得られない。また、実施例E2においては、300(mJ/cm2)程度のエネルギ線量でも硬化が十分ではなく、パターン幅の細りやガタツキ等が生じる。このため、何れの場合にも高い解像性は得られない。一般に、黒色顔料46の添加量が多いほど露光が困難になる傾向にあるため、添加量が2(wt%)程度と少ない実施例E1およびE4では過露光になるエネルギ線量が比較的低くなり、反対に添加量が6(wt%)程度と多い実施例E2では適正な露光に必要なエネルギ線量の下限が上昇したものと推定される。なお、Co3O4の比表面積が25(m2/g)程度の実施例E5では、黒色度、抵抗値共に優れた値が得られるが、良好な解像性を得るためには照射エネルギ量を極めて高くする必要がある。また、表に示される特性値は、十分な解像性が得られた黒色導電厚膜40で評価したものである。
【0044】
これに対して、比較例R1では黒色顔料46を含まないことから、高い解像性が得られ且つ抵抗値が極めて低い一方で、黒色度(L値)が70程度と高くなる。また、比較例R2〜R7は黒色顔料46としてRuO2、Fe-Cr-Mn系、Cu-Cr-Mn系等の他の材料を用いたものであるが、何れの顔料の場合にも50〜60程度の黒色度が得られる添加量の範囲では露光が著しく困難であり、所定のパターンの黒色導電厚膜40を得ることができたものはなかった。また、比較例R8、R9は、それぞれ黒色顔料としてCo3O4を用いたものであるが、比較例R8では銀粉末の比表面積が0.3(m2/g)程度と小さく粗大であることから、高い解像性は得られるものの導電性が不十分となった。一方、比較例R9では銀粉末の比表面積が3.0(m2/g)程度と大きく微細過ぎるため、抵抗値が高く且つ高い解像性も得られない。すなわち、銀粉末の比表面積が0.4(m2/g)未満と粗大になると焼成時に連続膜が形成され難くなり、一方、2.5(m2/g)を越えるとペースト化が困難になると共にペースト膜中において銀粉末を保持するために必要な有機結合剤が多くなることから焼成後の導電厚膜の膜厚が薄くなるため、何れの場合にも抵抗値が上昇するのである。
【0045】
また、比較例R11、R12は、黒色顔料として酸化コバルトの一種であるCo2O3を用いたものであるが、その添加量が少ない比較例R11ではL値が大き過ぎる一方、添加量が多い比較例R12では比較的高いエネルギ線量においても黒色導電ペースト膜の硬化が不十分でパターンの細りやガタツキが生じて十分な解像性が得られなかった。すなわち、Co2O3では適切な添加量範囲を設定することができず、酸化コバルトのうちCo3O4だけが解像性と黒色度とを両立させ得る。
【0046】
なお、実施例E1〜E5においては、比表面積が1.0或いは2.0(m2/g)程度の銀粉末を60(wt%)程度、比表面積が1或いは2(m2/g)程度のガラス粉末を4(wt%)程度それぞれ添加しているが、それぞれ何れの比表面積の場合にも表1に示されるように良好な結果が得られる。したがって、銀粉末としては0.4〜2.5(m2/g)の範囲が好適なのである。また、特に実験結果は示さないが、ガラス粉末についても、0.5(m2/g)未満では抵抗値が増大すると共に粗大になることから印刷性が低下し、反対に10(m2/g)を越えると分散性が悪くなってペースト化が困難になることが確かめられている。
【0047】
要するに、本実施例においては、黒色導電厚膜40を形成するための感光性黒色導電ペーストにおいて、導電性成分として含まれる銀粉末は比表面積が1.0或いは2.0(m2/g)程度と微細であり、黒色顔料46はCo3O4粉末から構成されることから、高い感光性延いては高い解像性を有すると共に、その感光性黒色導電ペーストから形成される黒色導電厚膜40には銀とCo3O4から成る黒色顔料46とがガラス48で結合されて構成されるため、前記表1に示されるように導電性が十分に高く且つ明度および黄色度が十分に低い黒色導電厚膜が得られる。
【0048】
また、本実施例においては、感光性黒色導電ペーストを構成する銀粉末として球状を成すものが用いられている。そのため、同様な粒子径で比較した場合において、球状粒子は比表面積が小さく表面積当たりの粒径が大きいことから、黒色導電ペースト膜52を形成するために必要な有機結合剤の量を少なくして、黒色導電厚膜40の導電性を一層高めることができる。しかも、球状粒子は板状、不定形状に比較して照射された光のペースト膜52内部における散乱を生じさせ難いため、解像性も高められる。したがって、一層高い解像性を保ちながら、一層高い導電性を有する黒色導電厚膜40を形成し得る感光性黒色導電ペーストが得られる。
【0049】
また、本実施例においては、感光性黒色導電ペーストを構成する銀粉末は、ペースト組成物の全体に対する割合で60(wt%)程度含まれている。そのため、銀粉末の含有量がペースト化が容易且つ露光が容易な範囲で十分に多くされていることから、乾燥および焼成後の膜厚を十分に厚くできるため、一層高い導電性が得られる。
【0050】
また、本実施例においては、感光性黒色導電ペーストを構成するガラス粉末として、比表面積が1或いは2(m2/g)のものが用いられる。そのため、十分な分散性を確保しながら、ペーストの良好な印刷性が得られる。しかも、本実施例においては、ガラス粉末として軟化点550(℃)程度のPbO-SiO2-B2O3から成るガラスが用いられていることから、導体焼成工程S6の焼成温度を比較的低温としながらガラス粉末を十分に溶融させることができる。したがって、黒色導電厚膜40と基板42との高い固着強度が確保される。
【0051】
また、本実施例においては、ガラス粉末の含有量はペースト全体に対して4(wt%)程度である。したがって、抵抗値の上昇および解像性の低下を抑制しつつ、黒色導電厚膜40と基板42等との固着強度が一層高められる。
【0052】
また、本実施例においては、感光性黒色導電ペーストを構成する有機結合剤として、水溶性を有するCMC或いはHPCが用いられている。そのため、黒色導電ペースト膜52を基板42上で形状保持するための有機結合剤が水溶性を有することから、パターン形成するための現像工程S4において、前述のように現像液として水を用いることができる。したがって、現像液による基板42の浸食や変質等の直接的な損傷や、現像液の残留物による焼成時の発泡等の間接的な損傷が基板42に生じることが抑制される。しかも、特にHPCは銀粉末や黒色顔料46との相溶性が大きく、ガラス粉末表面に存在する金属イオンとの反応性が低いことから、前記表1の実施例E4に示されるように銀粉末、ガラス粉末、および黒色顔料46の比表面積が比較的大きい場合にも、黒色導電ペーストの粘性の変化やゲル化が抑制されて保存性が高められる。
【0053】
また、本実施例においては、有機結合剤(CMC或いはHPC)の含有量は、ペースト全体に対する割合で5(wt%)程度である。したがって、ペースト膜中における銀粉末やガラス粉末の保持力を十分に確保して現像工程S4におけるパターン剥離を抑制しつつ、焼成後の黒色導電厚膜40の膜厚を確保してその抵抗値の上昇を抑制できる。
【0054】
また、本実施例においては、感光性黒色導電ペーストに感光性を付与するための感光性組成物は、ペンタエリスリトールトリアクリレート等の光重合性化合物と、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等の光重合開始剤とから構成される。そのため、感光性黒色導電ペーストは、それから形成された黒色導電ペースト膜52を露光工程S4および現像工程S5を経てパターン形成するに際して、露光された部分が硬化させられてそれにより黒色導電厚膜40のパターンが構成される所謂ネガ型になる。
【0055】
なお、上記の光重合性化合物は、ペースト全体に対する割合で5(wt%)程度含まれ、光重合開始剤は0.5(wt%)程度含まれる。そのため、露光によってパターン部分が容易且つ十分に硬化させられる範囲でそれぞれの添加量が少なくされていることから、導電性が高く且つパターン精度が優れた黒色導電厚膜40が得られる。しかも、本実施例においては、焼成時に分解および揮散し易いペンタエリスリトールトリアクリレートが光重合性化合物として用いられていることから、感光性黒色導電ペーストの感度が高められ、且つ、それから生成された黒色導電厚膜40の電気的特性が一層高められる。
【0056】
また、本実施例においては、黒色顔料46の比表面積は、3〜25(m2/g)程度、特に好適な結果が得られた範囲では13(m2/g)程度以下であって、黒色導電厚膜40の導電性が十分に高く保たれ且つ感光性黒色導電ペーストの解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされている。そのため、黒色の発色が良好に得られて黒色導電厚膜40の明度が十分に低下させられる。
【0057】
また、本実施例においては、黒色顔料46は、ペースト組成物の全体に対する割合で2〜6(wt%)程度と、黒色導電厚膜40の導電性が十分に高く保たれ且つ解像性も十分に高く保たれる範囲で十分に大きくされている。そのため、抵抗値を大きく上昇させることなく、黒色の発色が良好に得られて黒色導電厚膜40の明度が十分に低下させられる。
【0058】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前述の実施例と共通する部分は説明を省略する。
【0059】
下記の表2は、前記現像工程S4において、アルカリ水溶液である0.3(%)炭酸ナトリウム水溶液を用いて前記黒色導電厚膜40を形成する場合の調合条件および特性評価結果を比較例と併せて示すものである。なお、下記の表2において、「有機結合剤 種類」欄の「EMA」および「EA」は、それぞれメタクリル酸エチルおよびアクリル酸エチルの重合物を表す。有機結合剤の種類を除く他の調合条件は実施例E6〜E10、比較例R12〜R18共に前記表1の場合と同様であり、製造工程も現像液が異なる他は前記図4に示される工程と同様である。下記の表2から明らかなように、アルカリ水溶液に可溶な有機結合剤が用いられる場合にも、水溶性の有機結合剤が用いられる前記表1の場合と同様な結果が得られる。
【0060】
【表2】

【0061】
また、図6は、前記図1或いは図2に示されるPDP8のバス電極30等を構成し得る他の黒色導電厚膜60の構造を模式的に示す図である。図において、黒色導電厚膜60は、基板42上に直接形成された黒色の黒色導電層62と、その黒色導電層62上に積層形成された薄い黄色の黄色導電層64とから構成されて、幅50(μm)程度、厚さ5〜6(μm)程度の寸法を備えたものであって、抵抗値が6(Ω)程度以下の高い導電性と、図に矢印で示される観視方向すなわち表面66側から基板42を通して観察した状態における黒色度が40程度の低い明度とを有している。そのため、導電性および黒色度を要求されるバス電極30等として、前記表1或いは表2に示されるような黒色導電厚膜40よりも一層好適に用いられる。なお、PDP8等の放電表示装置においては、一般に観視方向が電極30等が設けられて放電空間16内に位置する裏面(内面)68とは反対側において外部空間に露出する表面66側になる。本実施例においては、基板42が透光性基板に、表面66が所定の一面に、裏面68がそれと反対側の他面にそれぞれ相当する。
【0062】
上記の黒色導電層62は、前記の黒色導電厚膜40と同様に、銀44およびCo3O4から成る黒色顔料46等を含むものであって、例えばtB=3(μm)程度の厚さ寸法を備え、その抵抗値が20(Ω)程度、黒色度が40程度に構成されている。このため、観視方向側に位置する黒色導電層62の黒色度が十分に低いことから、黒色導電厚膜60全体のその観視方向における黒色度は、その黒色導電層62で決定されて40程度の極めて低い明度である。一方、上記の黄色導電層64は、導電成分としての銀44は含むが黒色顔料46は全く含まないものであって、例えばtY=4(μm)程度の厚さ寸法を備え、その抵抗値は8(Ω)程度と低いが、黒色度は70程度と高い明度になっている。このため、黒色導電厚膜60の厚さ方向においてその一部を構成する黄色導電層64の抵抗値が十分に低いことから、その黒色導電厚膜60全体の導電性が高められて上記の通り抵抗値が低いのである。なお、上記のように黒色導電層62の膜厚は比較的薄いが、黒色度すなわち明度が極めて低いことから、上側の黄色導電層64の色調がその黒色導電層62を通して図の観視方向側から観察されることはない。また、黒色導電厚膜60の表面を基板42を介することなく直接観察する場合の色調は、上側に位置する黄色導電層64の色調に従い薄い黄色であって黒色度が70程度であるが、この黄色導電層64は観視方向から直接的に視認され得ない。したがって、その色調(黄色や明度)は、PDP8等の表示品質には何ら影響しない。本実施例においては、上記の黄色導電層64が高明度高導電層に相当する。
【0063】
ところで、上記の黒色導電厚膜60は、例えば図7に示される工程に従って基板42上に設けられる。なお、図7は前記図4に示される工程図の工程S1乃至S3に対応する部分だけを示しており、S4以降は図4の工程図に従う。以下、図7および工程の途中段階における基板42の断面構造を示す図8を参照して黒色導電厚膜60の形成方法を説明する。先ず、感光性黒色導電ペースト印刷工程S1において、例えば厚膜スクリーン印刷法等を用いて、基板42上(および透明電極28上)の全面に感光性黒色導電ペーストを塗布し、ペースト乾燥工程S2において、例えば、遠赤外線乾燥機を用いて80(℃)程度の温度で15(分間)程度乾燥処理を施す。これにより、基板42上に塗布された感光性黒色導電ペーストから有機溶剤が揮発させられ、図5に示される黒色導電ペースト膜52と同様な黒色導電ペースト膜70が形成される。このとき、感光性黒色導電ペーストの調合組成(種類および量)は、下記の表3の上段に示す材料の調合量を除く他は前記表1に示される実施例E1と同様であり、前記表1、表2に示される場合よりも銀粉末量が少なく、且つガラス粉末量、黒色顔料量、および有機結合剤量が多くされている。また、黒色導電ペースト膜70の乾燥後の膜厚は例えば6(μm)程度である。本実施例においては、上記の感光性黒色導電ペースト印刷工程S1およびペースト乾燥工程S2が黒色ペースト膜形成工程に対応する。
【0064】
【表3】

【0065】
続く感光性導電ペースト印刷工程S1−2およびペースト乾燥工程S2−2においては、黒色導電ペーストの場合と同様にして、黒色顔料46を含まない感光性銀ペーストを上記黒色導電ペースト膜70上の全面に印刷して80(℃)程度の温度で15(分間)程度乾燥処理を施す。これにより、黒色導電ペースト膜70上に銀ペースト膜72が積層されて全体として乾燥膜厚が14〜15(μm)程度の導電ペースト膜74が形成される。図8(a)はこの状態を示している。なお、銀ペースト膜72の調合組成は上記の表3の下段に示す材料の調合量を除く他は、黒色導電ペースト膜70を形成するための黒色ペーストと同様、すなわち前記表1に示される実施例E1の感光性黒色導電ペーストと同様であり、その乾燥後の膜厚は8(μm)程度である。そして、露光工程S3において、前記図4に示される場合と同様にして、所定寸法のネガ・マスク54を介して導電ペースト膜74を選択的に、銀ペースト膜72側から(すなわち基板42を通さず直接に)露光する。すなわち、黒色導電ペースト膜70および銀ペースト膜72を一体として露光する。図8(b)はこの状態を示している。本実施例においては、上記の感光性導電ペースト印刷工程S1−2およびペースト乾燥工程S2−2が高明度ペースト膜形成工程に対応する。
【0066】
このとき、黒色導電ペースト膜70は、銀ペースト膜72を介して紫外線を照射されることとなるが、銀ペースト膜72中には紫外線等の照射光の透過を著しく妨げる黒色顔料46が含まれておらず、しかも、その膜厚および黒色導電ペースト膜70自身の膜厚が上記のようにそれぞれ薄くされている。そのため、紫外線等を直接照射される銀ペースト膜72はもちろん、その下側に位置する黒色導電ペースト膜70も好適に露光される。これにより、ネガ・マスク54の開口パターンに従った同形状で、黒色導電ペースト膜70および銀ペースト膜72のうちの図に斜線で示される部分78が選択的に硬化させられる。すなわち黒色導電ペースト膜70上にネガ画像が形成される。そのため、その後の現像処理(図4に示される現像工程S4)によって黒色導電ペースト膜70および銀ペースト膜72が積層された所定パターンの導電ペースト膜74が得られ、これを焼成(図4の導体焼成工程S6)することによって前記図6に示されるように、高い導電性と低い明度(黒色度)とを兼ね備えた二層構造の黒色導電厚膜60が形成されるのである。なお、本実施例においては、実施例E1等と同様な水溶性有機結合剤が用いられていることから、現像工程S4で現像液として水が用いられる。
【0067】
ここで、下記の表4は、本実施例の黒色導電厚膜60の形成過程における解像性を評価した結果(実施例E11)を、異なる材料から成る黒色顔料を用いた場合(比較例R19、R20)と比較して示すものである。なお、比較例は、黒色顔料の種類および比表面積が異なる他は、全て実施例E11と同様な条件で評価した。すなわち、下記の黒色顔料を含む感光性黒色導電ペーストを塗布して形成した黒色ペースト膜の上に前記銀ペースト膜72を設けて、図8(a)に示されるものと同様な二層構造の導電ペースト膜を形成し、その解像性およびこれを焼成した二層構造の黒色導電厚膜の黒色度および抵抗値を評価した。表から明らかなように、本実施例によれば、300〜500(mJ/cm2)程度のエネルギ線量の紫外線を照射することによって精細なパターン形成が可能であるのに対し、比較例においては、本実施例と同様な黒色顔料の添加量では、明度が高くなる(すなわち明度が劣る)ばかりでなく、硬化させられたペースト膜が基板42から剥離し、或いはペースト膜が殆ど硬化せず、何れも所定パターンの黒色導電厚膜を得ることができなかった。
【0068】
【表4】

【0069】
要するに、本実施例によれば、黒色導電厚膜60は、表面66側から観察される基板42の裏面68上に設けられて黒色顔料46を含む黒色導電層62と、その上側に積層して設けられてそれよりも高明度且つ高導電性の黄色導電層64との二層で構成されることから、黒色導電厚膜60全体の導電性は、その黄色導電層64によって十分に高められる。一方、観視側となる基板42の表面66側においては、それら積層された二つの導電層62、64のうちの黒色導電層62がその基板42を介して観察されることから、黒色導電厚膜60の色調は実質的に黒色導電層62によって決定される。このとき、黒色導電厚膜60の導電性は黄色導電層64で確保されることから黒色導電層62の導電性が比較的低くなっても電気特性上の支障は生じない。しかも、黒色導電層62と同様に露光および現像によってパターン形成される黄色導電層64は、その黒色導電層62よりも高明度であることから露光が容易であるため、黒色導電厚膜60全体が黒色導電層62から構成される場合に比較して、その黒色導電層62を形成するための黒色導電ペーストが露光し難くされていても全体として十分な露光性を確保できる。これらのことから、黒色導電層62中に含まれる黒色顔料46の量は黒色導電厚膜60全体の導電性や露光性に殆ど影響しないため、それに含まれる黒色顔料46の量を十分に多くして黒色導電層62延いては黒色導電厚膜60の明度および黄色度を十分に低くできる。したがって、導電性および膜形成時の解像性を高く保ちながら、明度および黄色度の低い黒色導電厚膜60が得られる。
【0070】
また、本実施例においては、黒色導電厚膜60を形成するに際しては、感光性黒色導電ペースト印刷工程S1およびペースト乾燥工程S2において、基板42の裏面68に感光性黒色導電ペーストを塗布および乾燥して黒色導電ペースト膜70が形成され、感光性導電ペースト印刷工程S1−2およびペースト乾燥工程S2−2において、その黒色導電ペースト膜70から生成される黒色導電層62よりも明度が高く且つ導電性の高い黄色導電層64を形成するための感光性銀ペーストを、その黒色導電ペースト膜70上に塗布して銀ペースト膜72を積層形成することにより、所定厚さの導電ペースト膜74が形成され、更に、導体焼成工程S4において、その導電ペースト膜74を焼成して所定パターンの黒色導電厚膜60が生成される。そのため、黒色導電厚膜60は、黒色導電ペースト膜70から生成された黒色導電層62と、銀ペースト膜72から生成された黄色導電層64とが積層されて構成されることから、上述のように、導電性が高く且つ明度および黄色度の低い黒色導電厚膜60を形成することができる。
【0071】
また、本実施例においては、高明度ペースト膜形成工程に対応する感光性導電ペースト印刷工程S1−2およびペースト乾燥工程S2−2の後に、露光工程S3において、所定の開口パターンのマスク54を介して導電ペースト膜74が選択的に露光され、その露光工程S3の後に、現像工程S4において、その導電ペースト膜74のうちの硬化していない部分が水洗除去され、その後、導体焼成工程S6が施される。そのため、感光性ペーストを用いて、露光および現像処理により黒色導電厚膜60がパターン形成されることから、厚膜スクリーン印刷法でパターン形成する場合よりも容易に高精度のパターンが得られる。このとき、黒色導電厚膜60に生成される導電ペースト膜74は、黒色導電ペースト膜70と銀ペースト膜72とが積層されているが、これらのうち銀ペースト膜72は黒色顔料46を含む黒色導電ペースト膜70よりも露光が容易である。したがって、前述のように生成される黒色導電厚膜60の導電性が黄色導電層64で確保されることに加えて、全体が黒色導電ペースト膜70から生成される場合に比較して、黒色導電ペースト膜70が露光し難くされていても導電ペースト膜74全体として十分な露光性を確保できるため、その中に含まれる黒色顔料46を量を比較的多くできる。上記により、感光性黒色導電ペーストを用いて露光および現像処理を経て黒色導電厚膜60を形成するに際して、解像性および生成される膜60の導電性を高く保ちながら、明度および黄色度を一層低くすることができる。
【0072】
また、本実施例においては、感光性銀ペースト組成物は、ペースト組成物の全体に対する割合で60(wt%)の範囲で銀粉末を含むものである。このようにすれば、専ら導電性の確保に寄与する感光性銀ペーストの銀粉末の含有量が十分に多くされていることから、生成される黒色導電厚膜60に全体として十分に高い導電性が付与される。
【0073】
下記の表5は、更に他の実施例の黒色導電厚膜の評価結果を示すものであって、黒色顔料の種類および添加量を種々変更した黒色導電ペーストを用いて、前記図3に示される黒色導電厚膜40と同様な黒色導電厚膜を、例えば厚膜スクリーン印刷法等を用いて形成して評価した結果を、黒色顔料の調合条件と併せて比較例と共に示すものである。表において、「黒色顔料」欄はペーストに添加した黒色顔料の種類を、「比表面積」および「添加量」欄はその黒色顔料の比表面積および添加量を、「シート抵抗値」、「L値」、「b値」はそれぞれ形成された黒色導電厚膜の特性をそれぞれ表す。なお、「シート抵抗値」は、黒色導電厚膜の厚さを10(μm)に換算した値である。また、「b値」は黄色さの程度を表すものであって、値が大きいほど黄色いことを示す。L値およびb値は前述の実施例と同様に色差計によって測定した。
【0074】
【表5】

【0075】
なお、上記の表5において示されていないペースト構成要素、すなわち黒色顔料以外の構成要素は、実施例および比較例共全て同様である。すなわち、何れも、導電成分として比表面積2(m2/g)程度の銀粉末を60(wt%)程度、軟化点400(℃)程度で比表面積2(m2/g)程度のガラス粉末(例えばPbO-SiO2-B2O3)を5(wt%)程度、有機結合剤としてエチルセルロースを5(wt%)程度、および有機溶剤としてブチルカルビトールアセテート(BCA)を30(wt%)程度から成る共通成分を含む。また、黒色導電ペーストに含まれる黒色顔料は、上記表において各々の「黒色顔料」欄に示されるものを、上記共通要素の合計100(wt%)に対して各々の「添加量」欄に記されている量を添加した。
【0076】
また、黒色導電厚膜を形成方法は、実施例および比較例共全て同様であり、例えば以下の通りである。すなわち、先ず、ペーストの構成要素(後述)を混合した後に三本ロール・ミルで混練して黒色導電ペーストを作製する。次いで、前記マスク54と同様な開口パターンを備えたスクリーンを用いて基板42上に所定パターンで印刷する。そして、乾燥および焼成処理を施すことによって黒色導電厚膜が形成される。したがって、本実施例においては、前述のような露光および現像処理を施すことなく、印刷時に予めパターンが形成される。すなわち、本実施例は感光性を要件とする本発明の範囲外ではあるが、黒色顔料の種類、比表面積、および添加量と、特性との関係を示すものである。なお、印刷面は例えばソーダ・ライム・ガラス等から成る基板42のトップ面(非錫面)すなわちフロート法でガラス板を作製する場合に上側に位置する面である。また、焼成は、ベルト炉を用いて温度550(℃)×10(分間)保持にて1.5(時間)サイクルで処理した。
【0077】
図9および図10は、上記表5に示される結果をグラフにまとめたものである。図9はL値(明度)とシート抵抗値との関係を、図10はL値とb値(黄色度)との関係をそれぞれ表す。表5および図9、10から明らかなように、何れの黒色顔料を用いる場合においても、その添加量が多くなるほどL値が低くなる。これらL値、b値、シート抵抗値は、バス電極30等に用いられる黒色導電厚膜において、何れも可及的に低いことが望まれる特性値であることから、両図共に左下に向かうほど特性が優れているといえる。したがって、両図から、Co3O4を黒色顔料46として用いる場合(実施例E12〜E19)には、上記3つの特性を兼ね備えた黒色導電厚膜が得られることが判る。特に、比表面積が7(m2/g)と微細なCo3O4を用いた実施例E12〜E15では、同様なL値に対するb値およびシート抵抗値が共に、他の全ての黒色顔料が用いられている場合よりも低い(すなわち、各測定値を結ぶ曲線が最も左下に位置する)ことから、バス電極30等に一層好適であることが明らかである。すなわち、Co3O4は、比表面積が2(m2/g)よりも大きいものを用いることが好ましい。なお、比較例R25〜R28は、比較的良好な特性を示しているが、RuO2は比表面積が35(m2/g)程度と微粉であって取扱いが困難であると共に、高価であるという問題がある。
【0078】
なお、PDP8等においては、バス電極30等として、L値が42以下、シート抵抗値が10(mΩ/□)以下の図9において斜線で示される範囲にあることが、表示のコントラストを高め且つ駆動を容易にするために望まれる。したがって、実施例E12〜E15の結果から明らかなように、7(m2/g)のCo3O4を用いた場合には、L値が37以上の範囲でシート抵抗値が10(mΩ/□)以下になることから、L値およびシート抵抗値の選択の幅が広がることが判る。
【0079】
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施される。
【0080】
例えば、実施例においては、本発明がPDP8のバス電極30等に適用された場合について説明したが、本発明は、低い明度(L値)および低い抵抗値(すなわち高い導電性)を要求される厚膜導体であれば、他のディスプレイ用電極等にも同様に用いられる。
【0081】
また、銀粉末、ガラス粉末、黒色顔料46等の比表面積やペースト中の含有量等は、実施例で示した範囲に限られず、黒色導電厚膜40、60等に要求されるL値、b値、および導電性等の特性や、基板42との固着強度等に応じて適宜変更される。但し、何れについても、前述した好適な範囲内において設定することが望ましい。
【0082】
また、ペーストを調製するための有機結合剤、有機溶剤、光重合性化合物および光重合開始剤等の種類や量は、ペースト膜52、70等に要求される強度や導電厚膜40等に要求される導電性、解像性等を考慮して適宜変更される。
【0083】
例えば、有機結合剤としては、実施例で示されたような水溶性のCMC、HPCやエチルセルロース、アルカリ水溶液に可溶なEMAやEAの重合物等の他に、セルロース誘導体やアルカリ可溶性アクリル重合体等の一種乃至複数種類が適宜用いられる。但し、感光性黒色導電ペーストを用いて黒色導電厚膜40等を形成する場合においては、現像処理を水で行い得ることから、セルロース誘導体が一層好適である。なお、有機結合剤の添加量は、ペーストの総重量に対して5〜20(wt%)程度の範囲が好ましい。5(wt%)未満では銀粉末やガラス粉末の保持性が弱く現像時の剥離が生じ得る一方、20(wt%)を越えると、銀粉末の含有率が低下して膜厚が薄くなり延いては導電性が低下するためである。なお、アルカリ可溶性アクリル重合体が用いられる場合には、アルキッド系樹脂、ロジン系樹脂等を更に添加してもよい。
【0084】
なお、セルロース誘導体としては、例えば、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルメチルセルロース、およびこれらの塩類等が用いられ得る。但し、感光性ペーストは水現像が可能な水溶性であることが好ましいため、上記のうちエチルセルロースおよびエチルヒドロキシエチルセルロースを除く他の水に可溶なセルロース誘導体が好適に用いられる。
【0085】
また、アルカリ可溶性アクリル重合体としては、[アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、シアノ桂皮酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー]と[アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、2-ヒドロキシメチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロール(モノ)アクリレート、グリセロール(モノ)メタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等のモノマー]とを共重合したものが好適に用いられる。このアルカリ可溶性アクリル重合体を用いる場合、酸価は50〜250程度が好ましく、50未満ではアルカリ水溶液での現像が困難になり、反対に250を越えると塗膜性や分散性が悪くなる。また、有機結合剤は、重量平均分子量が1000〜200000程度であることが好ましく、5000〜150000程度が一層好適である。なお、1000未満では基板42との密着性が不十分になると共に銀粉末や黒色顔料46の保持性が低下し、反対に200000を越えると現像時間が長時間になり、或いは現像不能になり得る。
【0086】
また、光重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテルメタクリレート、グリセロールアクリレート、グリセロールメタクリレート、アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート等の単官能モノマー、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、ノナエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、テトラエチレングリコールモノメタクリレート、ノナエチレングリコールモノメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレングリコールモノアクリレート、テトラプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコールモノメタクリレート、ブチレングリコールモノメタクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ノナエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ノナエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、カルドエポキシジアクリレート等の多官能モノマーが用いられてもよい。
【0087】
また、光重合開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、3,3-ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ベンゾフェノン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4'-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、4-ジメチルアミノ安息香酸-2-イソアミル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(ο-エトキシカルボニル)オキシム、ο-ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4'-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート等が用いられてもよい。
【0088】
また、有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロプレングリコールモノメチルエーテル、プロプレングリコールモノエチルエーテル、プロプレングリコールモノプロピルエーテル、プロプレングリコールモノブチルエーテル、プロプレングリコールジメチルエーテル、プロプレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロプレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2-メトキシブチルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、4-メトキシブチルアセテート、2-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-エチル-3-メトキシブチルアセテート、2-エトキシブチルアセテート、4-エトキシブチルアセテート、4-プロポキシブチルアセテート、2-メトキシペンチルアセテート、3-メトキシペンチルアセテート、4-メトキシペンチルアセテート、2-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-3-メトキシペンチルアセテート、3-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、4-メチル-4-メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチル、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、エチル-3-プロポキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート、イソプロピル-3-メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、蓚酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ターピネオール、ジヒドロターピネオール等が用いられてもよい。なお、上記の中でも、3-メチル-3-メトキシブタノールは、銀粉末、ガラス粉末等の無機材表面に存在する金属イオンとアルカリ水溶液に可溶な有機結合剤との反応性を低下させることができるため、ペーストの粘度変化やゲル化が抑制されて高い保存安定性が得られる。また、ペースト中の有機溶媒の含有量は、1〜40(wt%)程度が好ましい。1(wt%)未満では均一な塗布や露光工程S6におけるコンタクト露光が困難であり、反対に40(wt%)を越えると粘度が低下して沈降が起き易くなるためである。
【0089】
また、導電ペースト中には、更に染料、可塑剤、界面活性剤、消泡剤、熱重合禁止剤等の他の添加物が含まれていてもよい。染料としては、例えばシアニングリーン等を用いることができる。また、可塑剤としては、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が好適に用いられる。なお、これらの可塑剤は、有機溶剤として用いることもできる。また、消泡剤としては、シリコーン系やフッ素系等各種のものを用い得る。
【0090】
また、実施例においては、厚膜スクリーン印刷法やバー・コータによって基板42上に感光性黒色導電ペーストを塗布して露光および現像していたが、黒色導電厚膜40等の形成方法はこれらに限定されない。例えば、サンド・ブラスト法やリフトオフ法等によって黒色導電厚膜40等を形成する場合にも本発明は同様に適用される。
【0091】
また、実施例においては、黒色導電ペーストが粘度100(Pa・s)程度に調製されていたが、その粘度は形成するペースト膜の厚さ等に応じて適宜変更される。但し、全面に一様な厚さで印刷するためには、5〜200(Pa・s)程度の範囲にされることが好ましく、10〜150(Pa・s)程度の範囲が一層好ましい。
【0092】
また、実施例においては、乾燥後において黒色導電ペースト膜52が10(μm)程度、導電ペースト膜74の膜厚が5〜6(μm)程度になるようにそれぞれ形成されていたが、乾燥膜厚は黒色導電厚膜40、60の要求膜厚に応じて、例えば5〜20(μm)程度の範囲で適宜変更される。なお、20(μm)を越える乾燥厚みを必要とする場合等のように一回の塗布で必要膜厚を得られない場合には、その必要膜厚となるまでペーストが繰り返し塗布すればよい。
【0093】
また、実施例においては、ペースト乾燥工程S2において80(℃)程度の温度で15(分間)程度乾燥を施し、導体焼成工程S6において550(℃)程度の温度で焼成処理を施していたが、乾燥温度や時間はペースト膜の厚みや有機溶剤の種類、モノマーの熱重合開始温度等に応じて適宜変更され、焼成温度はガラス粉末の種類等に応じて適宜変更される。なお、好ましい範囲は、乾燥温度および時間がそれぞれ、例えば70〜200(℃)程度、5〜60(分間)程度であり、焼成温度は基板42の熱変形温度や400〜450(℃)程度で処理される封着工程での黒色導電膜40、60等の熱変形等を考慮すると500〜600(℃)程度である。
【0094】
また、実施例においては、露光工程S3において、波長350(nm)程度の紫外線を用いて露光していたが、照射光の波長は光重合性化合物の種類に応じて適宜変更される。なお、実施例においては紫外線の発生源として超高圧水銀灯が用いられていたが、低圧水銀灯、高圧水銀灯、ケミカル・ランプ等を用いることができ、照射するエネルギ線量は、黒色導電ペースト膜52等の露光性に応じて、例えば20〜1000(mJ/cm2)程度の範囲で適宜変更される。
【0095】
また、実施例においては、感光性黒色導電ペースト中に光重合性化合物が含まれることによって、露光工程S3において露光させられた部分58が硬化させられてパターンを構成していたが、反対に、露光させられることにより分解させられる化合物等を用いることにより、露光させられない部分で黒色導電厚膜40等のパターンが形成されるように構成されていてもよい。すなわち、感光性組成物としては、光重合性化合物に限られず、光を照射されることによって重合、分解、付加、二量化、酸化、還元等の化学反応を起こし、溶解性や硬さが変化するものであれば、種々の組成物が用いられ得る。なお、露光により分解する化合物が用いられる場合には、露光工程S3においてはネガ・マスク54に変えて開口部56と非開口部が反対にされたポジ・マスクを用いる必要がある。
【0096】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】(a)は、本発明の黒色導電厚膜が備えられ得るPDPの一例の構成を一部を切り欠いて示す斜視図であって、(b)は、(a)において書込電極の長手方向に沿った断面を示す図である。
【図2】図1のPDPにおいて表示放電電極が前面板上に直接膜形成される場合の断面構造を示す図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施例の黒色導電厚膜を示す斜視図であり、(b)は(a)におけるb−b視断面を拡大して模式的に示す図である。
【図4】図3の黒色導電厚膜の形成方法を説明する工程図である。
【図5】(a)〜(c)は、図4の膜形成工程の各段階における基板の断面構造を示す図である。
【図6】本発明の他の実施例の黒色導電厚膜を示す斜視図である。
【図7】図6の黒色導電厚膜の形成工程の要部を説明する工程図である。
【図8】(a)、(b)は、図7の膜形成工程の各段階における基板の断面構造を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例の黒色導電厚膜のL値とシート抵抗値との関係を示すグラフである。
【図10】図9の黒色導電厚膜のL値とb値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
40:黒色導電厚膜、42:基板、44:銀、46:黒色顔料、48:ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀粉末と、ガラス粉末と、有機結合剤と、有機溶剤と、感光性組成物と、黒色顔料とを含んで感光性を有し、露光および現像処理により、ディスプレイの電極として機能する黒色を呈する導電厚膜を形成するために用いられるディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物であって、
前記黒色顔料は比表面積が1乃至20(m2/g)の範囲内のCo3O4(四酸化三コバルト)粉末から成ることを特徴とするディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物。
【請求項2】
前記有機結合剤は、セルロース誘導体である請求項1のディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物。
【請求項3】
前記黒色顔料は、ペースト組成物の全体に対する割合で0.5乃至20(wt%)の範囲で含まれているものである請求項1または請求項2のディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物。
【請求項4】
所定の基板上に所定パターンで設けられ、銀および黒色顔料がガラスで結合されて成る、ディスプレイ電極用黒色導電厚膜であって、
前記黒色顔料は比表面積が1乃至20(m2/g)の範囲内のCo3O4から成るものであり、
光硬化性化合物を含む感光性導電ペーストを用いて露光および現像によりパターン形成されたものであることを特徴とするディスプレイ電極用黒色導電厚膜。
【請求項5】
前記黒色導電厚膜は、所定の一面側から観察される透光性基板の該一面とは反対側の他面上に設けられて前記黒色顔料を含む黒色導電層と、該黒色導電層よりも高い明度および高い導電性を有してその上側に積層して備えられた高明度高導電層とを含むものである請求項4のディスプレイ電極用黒色導電厚膜。
【請求項6】
所定の一面側から観察される透光性基板の該一面とは反対側の他面上にディスプレイの電極として機能するディスプレイ電極用黒色導電厚膜を所定パターンで形成する方法であって、
前記透光性基板の他面に前記請求項1乃至3の何れかのディスプレイ電極形成用感光性黒色導電ペースト組成物を塗布して感光性黒色導電ペースト膜を形成する感光性黒色ペースト膜形成工程と、
前記感光性黒色導電ペースト膜から生成されるものよりも明度が高く且つ導電性の高い膜を生成するための感光性高明度高導電ペースト組成物を、該感光性黒色導電ペースト膜上に塗布して感光性高明度高導電ペースト膜を積層形成することにより、所定厚さの感光性導電ペースト膜を形成する感光性高明度ペースト膜形成工程と、
所定の開口パターンの遮蔽膜を介して前記感光性導電ペースト膜を選択的に露光する露光工程と、
該露光工程の後に前記感光性導電ペースト膜のうちの非硬化部分を所定の現像液で洗浄除去する現像工程と、
前記感光性導電ペースト膜を焼成して所定パターンの黒色導電厚膜を生成する焼成工程と
を、含むことを特徴とするディスプレイ電極用黒色導電厚膜の形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−344590(P2006−344590A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−142104(P2006−142104)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【分割の表示】特願平11−173752の分割
【原出願日】平成11年6月21日(1999.6.21)
【出願人】(000004293)株式会社ノリタケカンパニーリミテド (449)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】