説明

ディスプレイ

本発明は、少なくとも1つのOLEDを各々が備える少なくとも2つの積層された層を備える車室内用のディスプレイおよび/または照明具に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのOLEDを各々が備える少なくとも2つの積層された層を備える車室内用のディスプレイおよび/または照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
インストルメントパネルを新しくデザイン開発するには、新しい照明システムが必要となる。米国特許第6,291,788号明細書、独国特許出願公開第100 52 580 A1号明細書、独国特許出願公開第197 08 610 A1号明細書、独国特許出願公開第199 03 201 A1号明細書、独国特許出願公開第101 39 001 A1号明細書には、有機発光ダイオード(OLED)で照明される指示計器が提示されている。しかしながら、これらの照明器には、多くの場合、照明の輝度が不十分で、寿命があまり長くなく、および/または、マルチカラーディスプレイが実現できないという欠点がある。
【発明の開示】
【0003】
したがって、本発明の課題は、従来技術によるディスプレイおよび/または照明システムの欠点を解消することである。
【0004】
この問題は、少なくとも1つのOLEDを各々が備える少なくとも2つの積層された層を備える車室内用のディスプレイおよび/または照明具により解決される。
【0005】
以下に挙げることは、非常に驚くべき点であり、当業者によって予想されていなかったことである。
−ディスプレイまたは照明具の照明の耐久性の増大
−ディスプレイまたは照明具の照明強度の向上
−本発明のディスプレイを用いて実現可能な色数の増加
−ディスプレイおよび/または照明具の色を変更可能
−ゾーンが混ざり合うことなく数色を隣り合わせに実現可能
【0006】
本発明によれば、ディスプレイおよび/または照明具は、少なくとも2つの積層された層を備える。これらの層は、OLEDが互いに少なくとも部分的に積層されるように、少なくとも部分的に、好ましくは、すべて重なり合う少なくとも1つのOLEDを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
有機発光ダイオード(OLED)とは、発光層が有機化合物である薄膜発光ダイオードである。この層は、2つの導体の間に配置される。
【0008】
電流が印加された後、明るい光が放出される。これらのシステムは、非常に薄く、通常、500nm未満である。膜は、可撓性のものであるため、ほぼ任意形状のディスプレイまたは照明具用に使用することができる。ディスプレイを製造するために使用する場合、OLED技術により、背面照明が不要な自発光型ディスプレイが製造される。これらの特性により、薄型で非常にコンパクトなディスプレイが得られる。これらのディスプレイはまた、160°の広視野角を有し、わずか2〜10ボルトと電力もほとんど必要しない。
【0009】
本発明によれば、ディスプレイは、2つの層を備え、各層は、互いに積層した少なくとも1つのOLEDを備える。各層にあるOLEDは同一のものであることが好ましい。本発明のこの好ましい実施形態には、すべての層のOLEDが作動されれば、ディスプレイおよび/または照明具の輝度を高くすることができるという利点がある。OLEDが、1つの層でのみ作動されれば、ディスプレイの耐久性を増すことができ、すなわち、1つの層のOLEDが機能しなくなった後、他の層のOLEDが作動される。寿命対策として、両方の層を半分の電力で作動することもできる。
【0010】
本発明の他の好ましい実施形態において、2つの層にあるOLEDは、部分的に同一のものである。本発明のこの実施形態には、少なくとも2つの異なる色を備えるマルチカラーディスプレイを実現可能であるという利点がある。本発明において、同一という用語は、OLEDのサイズおよび色が同一であることを意味する。
【0011】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの層が、互いに異なる2つのOLEDを備える。本発明のこの好ましい実施形態により、異なる色の間の境界が非常に鮮明なマルチカラーディスプレイを実現することができる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、1つの層のみのOLEDが作動される。
【0013】
本発明の他の好ましい実施形態において、異なる層のすべてのOLEDが作動される。
【0014】
本発明によるディスプレイは、LEDまたはOLEDのシンボルと組み合わせられることが好ましい。本発明によるシンボルは、車のインストルメントパネルに使用する任意のシンボルである。
【0015】
2つの積層された層は、作動されなければ、黒色背景として現れることが好ましい。これは、例えば、円偏光子によって達成される。本発明のこの好ましい実施形態には、非作動状態で通常透明であるOLEDが、黒色背景として現れるという利点がある。
【0016】
OLED層の少なくとも1つは、OLEDによって放出されるすべての光が、1つの方向に向けられるように、反射ゾーンを備えることが好ましい。
【0017】
本発明の別の実施形態は、第1および第2の表面を有し、第2の表面がOLEDによって少なくとも部分的に覆われた情報表示手段を備える透明情報ディスプレイである。
【0018】
本発明の情報ディスプレイは、OLEDが作動していない間は透明である。このように、本発明のディスプレイには、日中のディスプレイ視野の低下がなく、さらに、夜間は、ディスプレイがOLEDによって照明可能であるという利点がある。ディスプレイは、車両の乗員にとって重要な任意の情報を表示しうる。
【0019】
本発明のディスプレイは、2層のOLEDを備えることが好ましい。
【0020】
他の好ましい実施形態において、本発明のディスプレイは、車両を運行するのに必要な任意の情報を表示するためのLEDおよび/またはOLEDシンボルを備える。
【0021】
ディスプレイは透明であるため、日中の視野を制限することなく、車両のダッシュボードの上部に載置することができる。以下、図1〜図8を用いて、本発明について説明する。これらの説明は、本発明の保護範囲を制限するものではない。
【0022】
図1は、OLED5を備える上層2と、OLED8を備える下層3とを備える本発明のディスプレイ1の1つの実施形態を示す。両方の層、ひいては、両方のOLEDは、支持体(図示せず)上に配設される。本発明の例において、2つのOLED5、8は、サイズが同一であり、同じ光周波数、すなわち、同じ色の光を放出する。OLED5およびOLED8は、独立して作動可能である。本発明のこの実施形態には、OLEDを1つしか作動しなければ、照明の耐久性を延ばすことができるという利点がある。このOLEDが機能しなくなるとすぐに、他のOLEDが自動的に作動され、または、寿命対策として、両方のOLEDが半分の電力で作動される。一方で、照明の輝度を高めるために、両方のOLED5、8を全電力で同時に作動することもできる。
【0023】
図2において、本発明のディスプレイおよび/または照明器の他の実施形態を二面図で示す。この例において、下側OLEDは、図1の例と比較すると、変更はないが、図2は、3つのOLED5’〜5’’’を備える。OLED5’は、層3のOLED8と同じ光周波数を放出するが、OLED5’は、他のOLEDと比較すると異なる色の光を放出する。層2のOLEDのみが作動されれば、3つの異なる色ゾーンを有するディスプレイおよび/または照明器が可能であり、この場合、異なるゾーン間の境界は非常に鮮明である。OLED8のみが作動されれば、均一な色のディスプレイが達成される。両方の層のOLEDが作動され、再度、3つのゾーンを有するディスプレイが達成されるが、ゾーン5’および5’’’の発光が増大し、ゾーン5’’では、OLED5’’およびOLED8の色の混合から生じた色が表示される。
【0024】
図3は、ディスプレイ上に3つの区別された色ゾーンが見られる点以外、図1の例に類似した本発明の1つの例を本質的に示す。層2および3のOLEDは、図1の例ですでに説明したように、別々にまたは同時に作動させることができる。
【0025】
図4の例において、図2のディスプレイは、層2または3のOLEDとは独立して作動可能なOLEDまたはLEDシンボルと組み合わされる。シンボル4は、車両、好ましくは、自動車のディスプレイに必要な任意の情報を含みうる。
【0026】
図5において、本発明の実施形態の他の例が示される。この例において、2つの層2、3は、放射光のすべてを1つの方向に反射するミラー7を底部に備える。上部において、この例による本発明のディスプレイは、非作動時にディスプレイが黒色の表面として現れるように、円偏光子6を有する。当業者であれば、ミラーおよび円偏光子を、図1〜図4の本発明の実施形態と組み合わせることもできることを理解されよう。
【0027】
図6は、本発明のディスプレイの別の実施形態を示す。正面側、すなわち、観察者の方へ向いた側面において、ディスプレイは、いくつかのシンボルが見えるディスプレイ8を備える。背面側において、ディスプレイは、部分的に積層可能であり、ディスプレイを照明する1つ以上のOLEDを備える。シンボルの他にも、ディスプレイは、OLEDが作動されない限り、例えば、日中、完全に透明である。
【0028】
図7は、図6のディスプレイの正面側を示し、ディスプレイは、車両の動作に重要な情報を表すいくつかの別個のシンボル4を備える。シンボルは、少なくとも部分的にLCDのシンボルである。
【0029】
図8は、図6のディスプレイの背面側を示す。ディスプレイは、ディスプレイの照明として役立ついくつかのOLED5’〜5’’’を備える。OLEDは、別個のシンボルおよび/またはエリアを照明する。OLEDは、上述したような利点を達成するために積層されうる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】2つの同一のOLEDを有する本発明の1つの実施形態を示す。
【図2】2つの異なるOLED層を有する本発明の他の実施形態を示す。
【図3】各層がいくつかのOLEDを備える本発明の実施形態を示す。
【図4】ディスプレイ上にLEDシンボルを有する本発明の実施形態を示す。
【図5】円偏光子およびミラーを有する本発明の実施形態を示す。
【図6】透明ディスプレイを示す。
【図7】図6のディスプレイの正面図を示す。
【図8】図6のディスプレイの照明の正面図を示す。
【符号の説明】
【0031】
1 ディスプレイ、照明具
2、3 層
2 LEDシンボル、OLEDシンボル、シンボル
5、5’、5’’、5’’’ OLED
6 円偏光子
7 ミラー
8 ディスプレイの正面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の表面を有する情報表示手段を備える透明情報ディスプレイ(8)であって、前記第2の表面が、OLEDによって少なくとも部分的に覆われることを特徴とする、ディスプレイ(8)。
【請求項2】
OLED(9、10)の少なくとも2つの層を備えることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ(8)。
【請求項3】
LEDおよび/またはOLEDシンボル(4)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のディスプレイ(8)。
【請求項4】
車両のダッシュボードの上部に載置されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のディスプレイ(8)。
【請求項5】
少なくとも1つのOLED(5、5’、5’’、5’’’)を各々が備える少なくとも2つの積層された層(2、3)を備える、車室内用のディスプレイ(1)および/または照明具。
【請求項6】
各層の前記OLED(5、5’、5’’、5’’’)が、同一のものであることを特徴とする、請求項5に記載のディスプレイ。
【請求項7】
各層の前記OLED(5、5’、5’’、5’’’)が、それぞれ、部分的に同一のものであることを特徴とする、請求項5または6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
少なくとも1つの層(2、3)が、異なるものである少なくとも2つのOLED(5、5’、5’’、5’’’)を備えることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項9】
1つの層(2、3)のOLED(5、5’、5’’、5’’’)のみが作動されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項10】
すべての層(2、3)のOLEDが作動されることを特徴とする、請求項5〜9のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項11】
LEDシンボル(4)を備えることを特徴とする、請求項5〜10のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項12】
OLEDシンボル(4)を備えることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
円偏光子(6)を備えることを特徴とする、請求項5〜12のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項14】
ミラー(7)を備えることを特徴とする、請求項5〜13のいずれか一項に記載のディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−513996(P2009−513996A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525497(P2008−525497)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007986
【国際公開番号】WO2007/017292
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508039825)ジョンソン コントロールズ オートモーティブ エレクトロニクス ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】