説明

デカップリングデバイス

【課題】製造コストが小さく且つ温度変化による特性変動が小さいデカップリングデバイスを提供する。
【解決手段】デカップリングデバイス100は、複数の第1内部導体層111と複数の第2内部導体層112又は複数の第3内部導体層113とを交互に繰り返し積層してなる積層体110と、積層体110の外面に形成され第1内部導体層111と接続する第1外部電極121と、積層体110の外面に形成され第3内部導体層113と接続する第2外部電極122と、積層体110の外面に形成され第2内部導体層112と第3内部導体層113とを接続するとともに所定の抵抗値R11を有する抵抗性電極130とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デカップリングの用途に適したデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のデカップリングデバイスとしては特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に開示された積層コンデンサは、積層体端部に形成された端子電極とは別に、端子電極間における積層体の端面中央部に連結用電極を備えている。積層体内の内部導体は、極性が異なる内部導体層相互に電流の流れ方向が逆になる部分が形成されるように前記連結用電極により積層体の外側にて導通接続されている。
【0003】
この積層コンデンサは、内部導体層数によってデカップリングに必要な静電容量を得ることができるとともに、極性が異なる内部導体層相互に電流の流れ方向が逆になる部分を確保することに依る磁界相殺作用によって等価直列インダクタンス(以下ESLという)を低下させることができる。つまり、この積層コンデンサに依ればデカップリングに必要とされる基本条件、即ち、高静電容量と低ESLを満足できる。
【0004】
デカップリングに関して言えば積層コンデンサの等価直列抵抗(以下ESRという)は低い方が好ましいが、実用上ではESRが低すぎると積層コンデンサの実装位置や周囲環境等に依って不要な共振、例えば電源電圧のリップル発生及びリップルに基づくノイズ発生や電磁障害(EMI)に依るノイズ発生を引き起こしてしまう。
【0005】
積層コンデンサにおけるESRは固有のものであるが、該ESRを適宜制御できるようにすれば、実装位置や周囲環境等に適したインピーダンス周波数特性を得て、先に述べた不要な共振を抑制して所期のデカップリングをより効果的に行うことができる。
【0006】
そこで出願人は特許文献2に示すデカップリングデバイスを提案している。特許文献2に記載されたデカップリングデバイスは、積層コンデンサの外面にESRを制御するためのチップ状の抵抗素子を付設したものである。積層コンデンサの等価回路は、一方の内部電極はそのまま一方の外部電極に接続されており、該内部電極に誘電体を挟んで対峙する他方の内部電極は2つに分割されている。そして一方の分割内部電極はそのまま他方の外部電極に接続されるとともに、各分割内部電極はそれぞれ積層体外面に形成した連結電極に接続する。前記抵抗素子は連結電極間に実装される。
【0007】
このようなデカップリングデバイスによれば、実装位置や周囲環境等に適したインピーダンス周波数特性を得て、実際上で生じ得る不要な共振を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−79237号公報
【特許文献2】特開2007−250973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述のデカップリングデバイスは、積層コンデンサと抵抗素子をそれぞれ別々に製造してから両者を接合させるため製造コストが大きなものとなるという問題があった。さらに上述のデカップリングデバイスは、外部抵抗素子としてチップ抵抗器を接続している。しかしチップ抵抗器は一般的に温度変化による抵抗値の変動が大きいため、ESRのインピーダンス周波数特性が温度変化により変動しやすいという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストが小さく且つ温度変化による特性変動が小さいデカップリングデバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本願発明に係るデカップリングデバイスは、層状に形成された第1内部導体と、第1内部電極に対峙する層状の第2内部導体及び第3内部導体とを備え、第1内部導体と第2内部導体又は第3内部導体とを誘電体層を介在させて交互に繰り返し積層してなる積層体と、積層体の外面に形成され第1内部導体と導通接続する第1外部電極と、積層体の外面に形成され第3内部導体と導通接続する第2外部電極と、積層体の外面に形成され第2内部導体と第3内部導体間を接続するとともに所定の抵抗値を有する抵抗性電極とを備えたことを特徴とする。
【0012】
換言すれば、第1外部電極及び第2外部電極並びに所定の抵抗値を有する抵抗性電極が直方体形状の積層体の外面に形成されたデカップリングデバイスであって、前記積層体は、外部電極用引出し部を有する少なくとも1つの第1内部導体層と、抵抗性電極用引出し部を有する少なくとも1つの第2内部導体層と、第1内部導体層の外部電極用引出し部と異なる位置に外部電極用引出し部を有し第2内部導体層の抵抗性電極用引出し部と異なる位置に抵抗性電極用引出し部を有する少なくとも1つの第3内部導体層とを備え、第1内部導体層の外部電極用引出し部は第1外部電極に接続され、第3内部導体層の外部電極用引出し部は第2外部電極に接続され、抵抗性電極は第2内部導体層の抵抗性電極用引出し部と第3内部導体層の抵抗性電極用引出し部とを接続していることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、積層体外面に形成した抵抗性電極により第2内部導体と第3内部導体とを接続するので、ESR調整用の抵抗素子と積層体とを一体に形成することができる。また本発明によれば、ESR調整用の抵抗素子を第1及び第2外部電極とともに同時に形成することができる。したがって小さい製造コストでデカップリングデバイスを得ることができる。また本発明によれば、ESR調整用の抵抗素子として温度変化の大きい抵抗チップは使用しないので温度変化による特性変動が小さなデカップリングデバイスを得ることができる。
【0014】
本願発明の好適な態様としては、第1外部電極及び第2外部電極並びに抵抗性電極は、積層体との密着強度増強用の共生地が添加された導電性ペーストを焼成してなり、且つ、抵抗性電極用の導電性ペーストは第1外部電極及び第2外部電極の導電性ペーストよりも共生地の添加率を高くしたものが挙げられる。本発明によれば、共生地の増減によりERSを容易にコントロールすることができるとともに抵抗性電極の積層体への密着強度を確保することができる。また、この抵抗性電極は温度変化による特性変動が小さなものとなるのでデカップリングデバイスとして好適となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、製造コストが小さく且つ温度変化による特性変動が小さいデカップリングデバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスの外観斜視図
【図2】第1の実施の形態に係る積層体の積層構造を説明する分解斜視図
【図3】第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスの等化回路図
【図4】第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスのインピーダンス周波数特性を表すグラフ
【図5】第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスのインピーダンス周波数特性を表すグラフ
【図6】第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスのインピーダンス周波数特性を表すグラフ
【図7】第2の実施の形態に係るデカップリングデバイスの外観斜視図
【図8】第2の実施の形態に係る積層体の積層構造を説明する分解斜視図
【図9】第3の実施の形態に係る積層体の積層構造を説明する分解斜視図
【図10】第3の実施の形態に係る積層体の変形例を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るデカップリングデバイスについて図面を参照して説明する。図1はデカップリングデバイスの外観斜視図、図2は積層体の積層構造を説明する分解斜視図、図3はデカップリングデバイスの等化回路図である。
【0018】
本実施の形態にかかるデカップリングデバイス100は、図1に示すように、直方体形状の積層体110と、積層体110の下面に長さ方向に間隔をおいて設けられた第1外部電極121及び第2外部電極122と、積層体110の上面のほぼ全面に長さ方向に形成された所定の抵抗値R11を有する抵抗性電極130とを備える。
【0019】
積層体110は、図2に示すように、複数の第1内部導体層111と、複数の第2内部導体層112と、複数の第3内部導体層113と、各内部導体層間に介在する複数の誘電体層119とを同図に示す順序で幅方向に積層して一体化した構造を有する。つまり、各第1内部導体層111は所定の積層界面にそれぞれ存在し、各第2内部導体層112は各第1内部導体層111が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面にそれぞれ存在し、各第3内部導体層113は各第1内部導体層111が存在する積層界面並びに各第2内部導体層112が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面にそれぞれ存在している。
【0020】
各第1内部導体層111は矩形状を成し、下端縁の長さ方向一側に外部電極用引出し部111aを有する。各第2内部導体層112は第1内部導体層111と同じサイズの矩形状を成し、上端縁の長さ方向一側に抵抗性電極用引出し部112aを有する。各第3内部導体層113は第1内部導体層111と同じサイズの矩形状を成し、下端縁の長さ方向他側に外部電極用引出し部113aを有し、上端縁の長さ方向他側に抵抗性電極用引出し部113bを有する。
【0021】
各第1内部導体層111の外部電極用引出し部111aは積層体110の下面に露出し、第1外部電極121に接続している。各第2内部導体層112の抵抗性電極用引出し部112aは積層体110の上面に露出し、抵抗性電極130の一端側に接続している。各第3内部導体層113の外部電極用引出し部113aは積層体110の下面に露出し、第2外部電極122に接続している。各第3内部導体層113の抵抗性電極用引出し部113bは積層体の上面に露出し、抵抗性電極130の他端側に接続している。
【0022】
図3の等価回路図から分かるように、図1のデカップリングデバイス100では、複数の第1内部導体層111と複数の第2内部導体層112との間に所定の静電容量C11が形成され、複数の第1内部導体層111と複数の第3内部導体層113の間に所定の静電容量C12が形成される。これにより、第1外部電極121と第2外部電極122を通じて得られるデカップリングデバイス100の静電容量は並列接続された静電容量C11と静電容量C12の合成値となる。
【0023】
換言すれば、積層コンデンサの一方の内部電極(第1内部導体層111)はそのまま第1外部電極121に接続されており、該内部電極に誘電体層を挟んで対峙する他方の内部電極は第2内部導体層112と第3内部導体層113の2つに分割されている。そして一方の分割内部電極(第3内部導体層113)はそのまま第2外部電極122に接続されるとともに、各分割内部電極はそれぞれ積層体110外面に形成した抵抗性電極130により導通接続している。
【0024】
また、図1のデカップリングデバイス100では、複数の第2内部導体層112と複数の第3内部導体層113とは抵抗性電極130を介して接続されている。これにより、第1外部電極121をプラスとし第2外部電極122をマイナス(グランド)としたときには静電容量C11のみに抵抗性電極130の抵抗R11が付加される。
【0025】
図2の層構成に準じて具体的に述べれば、第1内部導体層111の数が6、第2内部導体層112の数が3、第3内部導体層113の数が2であるため、第1内部導体層111と第2内部導体層112によって得られる静電容量C11の静電容量及びESLは、第1内部導体層111と第3内部導体層113によって得られる静電容量C12の静電容量及びESLよりも大きい。また、第1外部電極111をプラスとし第2外部電極122をマイナス(グランド)としたときには静電容量C11のみに抵抗性電極130の抵抗R11が付加されるため、静電容量C12の等価直列抵抗(以下ESRという)は変化せず、静電容量C11のESRのみが増加する。
【0026】
図4は図2の層構成に準じたインピーダンス周波数特性を表したものであり、静電容量がC11>C12の関係を有する静電容量C11と静電容量C12が並列接続されていることから、静電容量C11に基づく共振点(破線参照)は低周波数帯域に現れ、静電容量C12に基づく共振点は高周波数帯域に現れる。勿論、静電容量C11と静電容量C11に基づく共振点は各々の静電容量に応じてシフトされることは言うまでもない。
【0027】
第1外部電極121をプラスとし第2外部電極122をマイナス(グランド)としたときには静電容量C11に抵抗性電極130の抵抗R11が付加されるので、抵抗性電極130の抵抗R11の値を適宜選択することにより静電容量C11のESRを制御することができ、このESR制御によって図4のR11a,R11b,R11cで示す線分のように所定の低周波数範囲(f1〜f2)において部分的にインピーダンス周波数特性を変化させることができる。因みに、R11aで示した線分は低値の抵抗R11を用いた場合の特性を示し、R11bで示した線分はこれよりも高値の抵抗R11を用いた場合の特性を示し、R11cで示した線分はこれよりもさらに高値の抵抗R11を用いた場合の特性を示す。
【0028】
図5は第2内部導体層112の数<第3内部導体層113の数として静電容量C11と静電容量C12の関係をC11<C12とした場合のインピーダンス周波数特性を示すものであり、この場合には静電容量C11に基づく共振点(破線参照)は高周波数帯域に現れ、静電容量C12に基づく共振点は低周波数帯域に現れる。前記と同様に、第1外部電極121をプラスとし第2外部電極122をマイナス(グランド)としたときには静電容量C11に抵抗性電極130の抵抗R11が付加されるので、抵抗性電極130の抵抗R11の値を適宜選択して静電容量C11のESRを制御することによって、図5のR11a,R11b,R11cで示す線分のように所定の中高周波数範囲(f3〜f4)において部分的にインピーダンス周波数特性を変化させることができる。
【0029】
図6は第2内部導体層112の数=第3内部導体層113の数として静電容量C11と静電容量C12の関係をC11=C12とした場合のインピーダンス周波数特性を示すものであり、この場合には静電容量C11並びに静電容量C12に基づく共振点(破線参照)は同じで中間周波数帯域に現れる。前記と同様に、第1外部電極121をプラスとし第2外部電極122をマイナス(グランド)としたときには静電容量C11に抵抗性電極130の抵抗R11が付加されるので、抵抗性電極130の抵抗R11の値を適宜選択して静電容量C11のESRを制御することによって、図6のR11a,R11b,R11cで示す線分のように所定の中間周波数範囲(f5〜f6)において部分的にインピーダンス周波数特性を変化させることができる。
【0030】
次に本発明に係るデカップリングデバイスの製造方法について説明する。まず、まず誘電体材料に有機バインダー・溶剤を加えてドクターブレード法でグリーンシートを作製する。次に、グリーンシート内部導体用の導電性ペーストをスクリーン印刷する。次に、内部導体を印刷したシートを所定の順番且つ所定の枚数重ね、その上下にカバーシートを所定数積層する。その後、熱圧着により積層体を得て、所定の直方体形状に切断する。
【0031】
次に、積層体にディップ法やスクリーン印刷法などで外部電極用の導電性ペースト及び抵抗性電極用の導電性ペーストを塗布する。ここで外部電極用の導電性ペーストと抵抗性電極用の導電性ペーストとは同系の金属材料を主成分とするとともに、積層体との密着強度を増強するために積層体の誘電体材料と同系の共生地が添加されている。ただし、抵抗性電極用の導電性ペーストの添加率は、外部電極用の導電性ペーストよりも高く設定しており、これにより抵抗性電極用が所定の抵抗値R11を有するようにしている。すなわち、抵抗性電極用の導電性ペーストに添加する共生地は、積層体との密着強度増強を目的とするだけでなく、ESRの調整を目的としている点に留意されたい。
【0032】
次に、導電性ペーストが塗布された積層体を脱バインダー処理の後に還元雰囲気下で焼成する。最後に、外部電極及び抵抗性電極の表面に金属コーティング処理を行うことによりデカップリングデバイスを得た。
【0033】
このように本実施の形態に係るデカップリングデバイス100によれば、第1〜第3内部導体層111〜113の数によってデカップリングに必要な静電容量を得ることができるとともに、極性が異なる内部導体層相互に電流の流れ方向が逆になる部分を確保することに依る磁界相殺作用によって等価直列インダクタンス(以下ESLという)を低下させることができ、デカップリングに必要とされる基本条件、即ち、高静電容量と低ESLを満足できる。
【0034】
また、積層体110の外面に形成した抵抗性電極130の抵抗R11の値を適宜選択することにより静電容量C11のESRを制御することができ、このESR制御によって所定の周波数範囲において部分的にインピーダンス周波数特性を変化させることができるので、ESRに依存し実装位置や周囲環境等に依って不要な共振、例えば電源電圧のリップル発生及びリップルに基づくノイズ発生や電磁障害(EMI)に依るノイズ発生を引き起こしてしまうことを的確に抑制することができる。つまり、実装位置や周囲環境等に適したインピーダンス周波数特性を得ることにより、実際上で生じ得る不要な共振を抑制して所期のデカップリングをより効果的に行うことができる。
【0035】
また、積層体110の外面に形成した抵抗性電極130の抵抗R11の値を適宜選択することによって静電容量C11のESRを制御できるので、ESRの制御を極めて容易に行えるとともにユーザーが要求する所望のインピーダンス周波数特性を的確に得ることができる。
【0036】
また、ESR制御用の抵抗素子を積層体110の外面に一体に形成する構造としたので、抵抗性電極130の形成と外部電極121,122の形成工程とを同時に行うことができ、よって製造コストを抑えることができる。また、抵抗性電極130の抵抗値の調整を共生地の添加率によって行っているのでESRの調整を極めて容易に行うことができる。さらに、抵抗性電極130は共生地が添加された導電性ペーストを焼成してなるので、温度変化に対する特性変化が小さな利便性の高いデカップリングデバイスとなる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかるデカップリングデバイスについて図面を参照して説明する。図7はデカップリングデバイスの外観斜視図、図8は積層体の積層構造を説明する分解斜視図である。
【0038】
本実施の形態にかかるデカップリングデバイス200は、図7に示すように、直方体形状の積層体210と、積層体110の長さ方向両端部に設けられた第1外部電極221及び第2外部電極222と、積層体110の長さ方向中央部において上面から両側面に亘って幅方向に形成された所定の抵抗値R21を有する抵抗性電極230とを備える。
【0039】
積層体210は、図8に示すように、複数の第1内部導体層211と、複数の第2内部導体層212と、複数の第3内部導体層213と、各内部導体層間に介在する複数の誘電体層219とを同図に示す順序で高さ方向に積層して一体化した構造を有する。つまり、各第1内部導体層211は所定の積層界面にそれぞれ存在し、各第2内部導体層212は各第1内部導体層211が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面にそれぞれ存在し、各第3内部導体層213は各第1内部導体層211が存在する積層界面並びに各第2内部導体層212が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面にそれぞれ存在している。
【0040】
各第1内部導体層211は矩形状を成し、長さ方向一側に外部電極用引出し部211aを有する。各第2内部導体層212は第1内部導体層211と同じサイズの矩形状を成し、幅方向一側の中央に抵抗性電極用引出し部212aを有する。各第3内部導体層213は第1内部導体層211と同じサイズの矩形状を成し、長さ方向他側に外部電極用引出し部213aを有し、幅方向他側の中央に抵抗性電極用引出し部213bを有する。なお図8においては、外部電極用引出し部217a,219aを示すためにその境界を破線で示した。
【0041】
各第1内部導体層211の外部電極用引出し部211aは積層体210の一方の長さ方向端面に露出し、第1外部電極221に接続している。各第2内部導体層211の抵抗性電極用引出し部212aは積層体210の一方の幅方向端面に露出し、抵抗性電極230の一端側に接続している。各第3内部導体層213の外部電極用引出し部213aは積層体210の他方の長さ方向端面に露出し、第2外部電極212に接続している。各第3内部導体層213の抵抗性電極用引出し部213bは積層体210の他方の幅方向端面に露出し、抵抗性電極230他端側に接続している。
【0042】
本実施の形態に係るデカップリングデバイス200の等価回路・製造方法や作用・効果については第1の実施の形態と同様である。
【0043】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態にかかるデカップリングデバイスについて図面を参照して説明する。図9は積層体の積層構造を説明する分解斜視図である。本実施の形態にかかるデカップリングデバイスが第1の実施の形態と異なる点は積層体内部の積層構造にある。ここでは図9を参照して相違点のみ説明するものとする。
【0044】
積層体は、図9に示すように、複数の第1内部導体層311と、複数の第2内部導体層312と、複数の第3内部導体層313と、各内部導体層間に介在する複数の誘電体層319とを同図に示す順序で幅方向に積層して一体化した構造を有する。つまり、各第1内部導体層311は所定の積層界面にそれぞれ存在し、各第2内部導体層312及び各第3内部導体層313は各第1内部導体層311が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面にそれぞれ存在している。
【0045】
各第1内部導体層311は矩形状を成し、下端縁の長さ方向一側に外部電極用引出し部311aを有する。各第2内部導体層312は第1内部導体層311よりも長さ方向の寸法が小さな矩形状を成し、上端縁の長さ方向一側に抵抗性電極用引出し部312aを有する。各第3内部導体層313は第2内部導体層312よりも長さ方向の寸法が小さな矩形状を成し、下端縁に外部電極用引出し部313aを有し、上端縁に抵抗性電極用引出し部313bを有する。第3内部導体層313は第2内部導体層312と同じ積層界面に存在することから第2内部導体層312との間は所定のクリアランスがある。また、図示例では、第3内部導体層313としてその長さ方向の寸法が外部電極用引出し部313a及び抵抗性電極用引出し部313bと同じものを示してある。なお、外部電極用引出し部313a及び抵抗性電極用引出し部313bを示すためにその境界を波線で示した。
【0046】
各第1内部導体層311の外部電極用引出し部311aは積層体の下面に露出し、第1外部電極に接続している。各第2内部導体層312の抵抗性電極用引出し部312aは積層体の上面に露出し、抵抗性電極の一端側に接続している。各第3内部導体層313の外部電極用引出し部313aは積層体の下面に露出し、第2外部電極に接続している。各第3内部導体層313の抵抗性電極用引出し部313bは積層体の上面に露出し、抵抗性電極の他端側に接続している。
【0047】
本実施の形態に係るデカップリングデバイスの等価回路・製造方法や作用・効果については第1の実施の形態と同様である。
【0048】
なお、図10(A)に示すように、第2内部導体層312’を第3内部導体層313’よりも長さ方向の寸法が小さくなるように形成してもよいし、図10(B)に示すように、 第2内部導体層312”と第3内部導体層313”の長さ方向の寸法が等しくなるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
100,200…デカップリングデバイス、110,210…積層体、111,211,311…第1内部導体層、112,212,312…第2内部導体層、113,213,313…第3内部導体層、121,221…第1外部電極、122,222…第2外部電極、130,230…抵抗性電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状に形成された第1内部導体と、第1内部電極に対峙する層状の第2内部導体及び第3内部導体とを備え、第1内部導体と第2内部導体又は第3内部導体とを誘電体層を介在させて交互に繰り返し積層してなる積層体と、
積層体の外面に形成され第1内部導体と導通接続する第1外部電極と、
積層体の外面に形成され第3内部導体と導通接続する第2外部電極と、
積層体の外面に形成され第2内部導体と第3内部導体間を接続するとともに所定の抵抗値を有する抵抗性電極とを備えた
ことを特徴とするデカップリングデバイス。
【請求項2】
積層体は、誘電体を介在させて第1内部導体・第2内部導体・第1内部導体・第3内部導体の順に繰り返し積層した
ことを特徴とする請求項1記載のデカップリングデバイス。
【請求項3】
第2内部導体と第3内部導体とを同層に配置し、
第1内部導体と第2内部導体及び第3内部導体とを誘電体を介在させて交互に繰り返し積層した
ことを特徴とする請求項1記載のデカップリングデバイス。
【請求項4】
第1外部電極及び第2外部電極並びに所定の抵抗値を有する抵抗性電極が直方体形状の積層体の外面に形成されたデカップリングデバイスであって、
前記積層体は、外部電極用引出し部を有する少なくとも1つの第1内部導体層と、抵抗性電極用引出し部を有する少なくとも1つの第2内部導体層と、第1内部導体層の外部電極用引出し部と異なる位置に外部電極用引出し部を有し第2内部導体層の抵抗性電極用引出し部と異なる位置に抵抗性電極用引出し部を有する少なくとも1つの第3内部導体層とを備え、第1内部導体層の外部電極用引出し部は第1外部電極に接続され、第3内部導体層の外部電極用引出し部は第2外部電極に接続され、抵抗性電極は第2内部導体層の抵抗性電極用引出し部と第3内部導体層の抵抗性電極用引出し部とを接続している
ことを特徴とするデカップリングデバイス。
【請求項5】
積層体の第1内部導体層は所定の積層界面に存在し、第2内部導体層は第1内部導体層が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面に存在し、第3内部導体層は第1内部導体層が存在する積層界面並びに第2内部導体層が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面に存在している、
ことを特徴とする請求項4に記載のデカップリングデバイス。
【請求項6】
積層体の第1内部導体層は所定の積層界面に存在し、第2内部導体層及び第3内部導体層は第1内部導体層が存在する積層界面と位置が異なる所定の積層界面に存在している、
ことを特徴とする請求項4に記載のデカップリングデバイス。
【請求項7】
第1外部電極及び第2外部電極並びに抵抗性電極は、積層体との密着強度増強用の共生地が添加された導電性ペーストを焼成してなり、且つ、抵抗性電極用の導電性ペーストは第1外部電極及び第2外部電極の導電性ペーストよりも共生地の添加率を高くした
ことを特徴とする請求項1乃至6何れか1項記載のデカップリングデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−99772(P2012−99772A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248661(P2010−248661)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】