説明

デッドマンスイッチを備えたティーチペンダント

【課題】作業者の疲労を軽減するデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントを提供する。
【解決手段】非操作時はOFF、通常操作時はON、完全操作時はOFFを出力するデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントにおいて、操作部材14はティーチペンダント1に設けた開口部2に取り付けられ、作業者が握持する握持部11と、この握持部に隣接して設けられて握持部を握持したときに指40を挿入するための指挿入部12とを有している。第1スイッチ21は指挿入部に指が挿入されたときに通常操作が行われたものとしてON信号を出力する。第2スイッチ22は握持部が強く握持されたときに完全操作が行われたものとしてOFF信号を出力する。教示作業時等、指挿入部に指を挿入するだけで従来の第2ポジションが実現でき、容易にサーボ電源をONに維持し続けることができるので作業者の疲労を軽減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば産業用ロボット等の教示操作器として用いられるデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ティーチングプレイバック方式の産業用ロボットにおいては、主に教示操作器(以下、ティーチペンダントという。)を使用して教示作業が行われる。より具体的には、産業用ロボットの手首部に取り付けられた溶接トーチ、ハンド等のツールの制御点を作業者が直接見ながら、ティーチペンダントのキー操作によってロボット本体を動かして移動目標位置等を教示する。多くのティーチペンダントは片手又は両手で把持するための把持部を備えており、作業者はティーチペンダントを自身の手で把持するとともに、場合によってはロボット本体に接近して教示作業を行う。そして、ティーチペンダントの把持部には、作業者の安全を確保するためのデッドマンスイッチが設けられている。
【0003】
デッドマンスイッチは、ロボット本体の駆動電源であるサーボ電源をON/OFFするための非常停止回路と電気的に接続されており、デッドマンスイッチを握るとサーボ電源がONし、離すとサーボ電源がOFFするように構成されている。さらに近年では、3ポジションを有するデッドマンスイッチが一般的となってきており、デッドマンスイッチを握った状態からさらに強く握りしめるとサーボ電源がOFFするように構成されている。すなわち、ティーチペンダントを把持した通常操作時は動作し、手を離した非操作時は停止することに加えて、危険を感じて強く握りしめた完全操作時も停止するようして作業者の安全性をより一層高めている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この3ポジションデッドマンスイッチについて説明する。図4は、従来の3ポジションデッドマンスイッチの正断面図である。同図(a)は非操作時の状態、同図(b)は通常操作時の状態、同図(c)は強い力で握りしめた完全操作時の状態をそれぞれ示している。同図において、スイッチ64は、筐体60の内部に備えられおり、図示しない非常停止回路に電気的に接続されている。スイッチ64を操作するための操作部材61は、バネ62を介して筐体60の内部に取り付けられている。回転レバー63は、操作部材61から力を受けるレバー部とスイッチ64を押すレバー部とをそれぞれ有している。
【0005】
次に動作を説明する。作業者が操作部材61を握っていない状態、すなわち同図(a)に示す第1ポジションでは、スイッチ64は押されていないのでサーボ電源はOFFである。作業者が操作部材61を握った状態、すなわち同図(b)に示す第2ポジションでは、回転レバー63がスイッチ64を押圧するのでサーボ電源はONする。さらに、作業者が操作部材61を強く握りしめた状態、すなわち同図(c)に示す第3ポジションでは、大きな力で操作部材61が押されるので、操作部材61の下端部によって回転レバー63がさらに回転し、操作部材61の下端部は回転レバー63を越える。この結果、スイッチ64は押されていない状態になるので、サーボ電源はOFFになる。
【0006】
上記したように、従来の3ポジションデッドマンスイッチは、操作部材61を握っている間はサーボ電源をONし、手を離したときはOFFし、さらに危険を感じて強く握りしめたときもOFFするようにし、作業者の安全性を向上させている。しかしながら、後述する課題を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開2002−334625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
教示作業中は、ロボット本体を頻繁に手動で移動させる必要があるのでサーボ電源はONのまま維持し続けることが望ましい。そのため、作業者は操作部材61を適量の力で握って第2ポジションとした後は、誤って第1又は第3ポジションにならないように注意を払いながら適量の力を維持し続ける必要がある。ところが、ティーチペンダント本体及び接続された制御ケーブルの重量は軽いものではないために、第2ポジションを長時間維持すると非常に疲労しやすいという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、作業者の疲労を軽減するデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明は、操作状態に応じて非操作時はOFF信号、通常操作時はON信号、完全操作時はOFF信号を出力するデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントにおいて、
前記ティーチペンダントに設けた開口部に取り付けられ、作業者が握持する握持部及びこの握持部に隣接して設けられて前記握持部を握持したときに指を挿入するための指挿入部を有する操作部材と、
前記指挿入部に指が挿入されたときに前記通常操作が行われたものとしてON信号を出力する第1スイッチと、
前記握持部が強く握持されたときに前記完全操作が行われたものとしてOFF信号を出力する第2スイッチと、
を具備したことを特徴とするデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0011】
第2の発明は、前記操作部材は、前記開口部から前記ティーチペンダントの内部方向へ変位可能に弾性部材を介して取り付けられるとともに前記指挿入部が前記開口部内に挿入配置され、前記第2スイッチは、前記ティーチペンダントの内部に配置されるとともに前記握持部が強く握持されて前記操作部材が前記内部方向へ変位したときに前記指挿入部によって押圧されて前記OFF信号を出力することを特徴とする第1の発明記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0012】
第3の発明は、前記指挿入部は、指を挿入するための中空と一端が軸支されて前記中空内を傾動可能な開閉蓋とを有し、前記第1スイッチは、前記指挿入部から指が挿入されて前記開閉蓋が所定の位置まで傾動したことを検出する検出センサであることを特徴とする第1又は第2の発明記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0013】
第4の発明は、前記検出センサは、前記開閉蓋の傾動範囲を挟むように対向して配置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子から発光された光が前記受光素子によって受光されたか否かを検出する回路基板と、を有する透過形光センサであり、前記発光された光が前記開閉蓋によって遮断されて前記受光素子で受光されなくなったときに前記ON信号を出力することを特徴とする第3の発明記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0014】
第5の発明は、前記開閉蓋は、少なくとも片面に光沢面を有する板状体であり、前記検出センサは、前記開閉蓋が所定の位置に傾動したときに前記光沢面に対して同一方向を向くように配置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子から発光された光が前記光沢面で反射され前記受光素子によって受光されたか否かを検出する回路基板と、を有する反射形光センサであり、前記発光された光が前記開閉蓋の前記光沢面で反射されて前記受光素子で受光されたときに前記ON信号を出力することを特徴とする第3の発明記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0015】
第6の発明は、前記開閉蓋は、金属板又は少なくとも開方向に向かう面に金属層が形成された板状体であり、前記検出センサは、前記開方向側の側壁に配置された検知素子と前記開閉蓋が前記側壁に接近したか否かを検出する回路基板とを有する近接センサであり、前記開閉蓋が前記側壁に所定距離以内に接近したときに前記ON信号を出力することを特徴とする第3の発明記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【0016】
第7の発明は、前記開口部は、前記ティーチペンダントの裏面側縁部の少なくとも一方、又は側面部の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする第1〜第6のいずれか1の発明に記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントである。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明によれば、作業者が操作する操作部材に、握持するための握持部及び握持部に隣接した位置に指を挿入するための指挿入部を設け、指挿入部に指が挿入されたときに通常操作が行われたものとしてON信号を出力し、握持部が強く握持されたときに完全操作が行われたものとしてOFF信号を出力するようにしている。すなわち、ロボット本体を頻繁に手動で移動させる教示作業時等、第2ポジションを維持する必要がある場合は指挿入部に指を挿入しておけばよく、従来技術のように適量の力を維持し続ける必要がないので、作業者の疲労を軽減できる。さらに、握持部を強く握持した場合は従来の第3ポジションと、また指挿入部から指を引き抜いた場合は従来の第1ポジションと同様になるので、作業者の安全性も確保できる。
【0018】
第2の発明によれば、指挿入部を開口部からティーチペンダント内部に挿入配置することによって操作部材がティーチペンダントから大きく突出しないようにしたので、第1の発明が有する効果に加えてコンパクトな構成を実現できる。また、操作部材をティーチペンダントの内部方向へ変位可能に弾性部材を介して取り付け、握持部が強く握持されて操作部材がティーチペンダント内部へ変位したときに第2スイッチが指挿入部によって押圧されるようにしたので、第2スイッチを押圧するための別部材を備えるのに比べて部品点数を低減できる。
【0019】
第3の発明によれば、第1スイッチとして検出センサを適用して指挿入部に備えた開閉蓋を検出のトリガとしたので、指を挿入した後、開閉蓋をセンサが検出する所定の位置まで傾動させるだけで第2ポジションを実現できる。すなわち、従来よりも弱い力で第2ポジションを実現できるので、第1又は第2の発明が奏する効果に加えて、より一層作業者の疲労を軽減できる。
【0020】
第4の発明によれば、検出センサとして透過形光センサを適用し、発光素子から発光された光が開閉蓋によって遮断されて受光素子で受光されなくなったときにON信号を出力するようにしたので、第3の発明が奏する効果に加えて簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0021】
第5の発明によれば、検出センサとして反射形光センサを適用し、発光素子から発光された光が開閉蓋の光沢面によって反射されて受光素子で受光されたときにON信号を出力するようにしたので、第3の発明が奏する効果に加えて簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0022】
第6の発明によれば、検出センサとして近接センサを適用し、開閉蓋が指挿入部の側壁に所定距離以内に接近したときにON信号を出力するようにしたので、第3の発明が奏する効果に加えて簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0023】
第7の発明によれば、操作部材を取り付ける開口部をティーチペンダントの裏面側縁部の少なくとも一方、又は側面部の少なくとも一方に設けたので、第1〜第6の発明が奏する効果に加えて、作業者がティーチペンダント本体を握持しやすいという効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
【0025】
[実施の形態1]
図1は、本発明の第1実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の正断面図である。
【0026】
同図において、開口部2は、ティーチペンダント1に設けられた開口である。この開口部2は、作業者が握持しやすいようにティーチペンダント1の裏面側縁部の少なくとも一方、又は側面部の少なくとも一方に設けられている。
【0027】
操作部材14は、弾性部材16を介して開口部2に取り付けられており、開口部2からティーチペンダント1の内部方向へ変位可能にしている。同図では、操作部材14の一端を弾性部材16を介して取り付け、他端を支持部材15で固定している例を示しているが、他端もまた弾性部材16を介して取り付けても良い。さらに操作部材14は、作業者が握持する握持部11及びこの握持部に隣接して設けられて握持部11を握持したときに指40を挿入するための指挿入部12を備えている。指挿入部12は、開口部2に挿入配置されており、指40を挿入するための中空17と、一端が軸支されて中空17内を傾動可能な開閉蓋31とを有している。開閉蓋31は軸支部分に弾性力の弱いバネ及びストッパが備えられており、バネによって常に閉方向側へ付勢されるとともに外力が加わっていない状態ではストッパによって中空17を塞いでいる。
【0028】
第1スイッチ21は発光素子23、受光素子24及び図示しない回路基板からなる透過形光センサである。発光素子23及び受光素子24は開閉蓋31の傾動範囲を挟むように対向して配置されている。図示しない回路基板は発光素子23から発光された光が受光素子24によって受光されているか否かを所定周期間隔で常に監視しており、監視結果に変化があったときにON信号又はOFF信号を出力する。第2スイッチ22はバネ等を介して開口部2の底面部に取り付けられた接点開閉スイッチであり、このスイッチもまた第1スイッチと同様、所定周期間隔で接点状態を監視しており、スイッチに変化があったときにON信号又はOFF信号を出力する。
【0029】
次に第1スイッチ21及び第2スイッチ22によってON/OFF信号が出力される動作について説明する。
【0030】
デッドマンスイッチの第1ポジション、すなわち第1スイッチ21及び第2スイッチ22の両スイッチが操作されていない状態では、第1スイッチ21において発光素子23から発光された光は受光素子24によって常に受光されて変化することはなく、また、第2スイッチ22においても接点が開閉することはないので、ON/OFF信号が出力されることはない。
【0031】
作業者が教示作業等を行うためにデッドマンスイッチを第2ポジションにする場合は、握持部11が握持されるとともに指挿入部12に指40が挿入される。指40が挿入されると開閉蓋31が中空17内を開方向に傾動することになる。そして、発光素子23から発光された光が開閉蓋31によって遮断されて受光素子24で受光されなくなったことを回路基板が検出してON信号を出力する。この結果、サーボ電源がONすることになる。また、この第2ポジションの状態から開閉蓋31が閉方向に傾動し、発光素子23から発光された光が受光素子24で受光されると、その旨を回路基板が検出してOFF信号を出力する。この結果、サーボ電源がOFFすることになる。
【0032】
第2ポジションでの教示作業中に作業者が危険を感じて第3ポジションにする場合は、握持部11が強く握持されて操作部材14が第2スイッチ22の方向へ変位し、指挿入部12によって押圧されてOFF信号を出力する。この結果、サーボ電源がOFFすることになる。
【0033】
上述した実施の形態1によれば、作業者が操作する操作部材に、握持するための握持部及び握持部に隣接した位置に指を挿入するための指挿入部を設け、指挿入部に指が挿入されたときに通常操作が行われたものとしてON信号を出力し、握持部が強く握持されたときに完全操作が行われたものとしてOFF信号を出力するようにしている。すなわち、ロボット本体を頻繁に手動で移動させる教示作業時等、第2ポジションを維持する必要がある場合は指挿入部に指を挿入しておけばよく、従来技術のように適量の力を維持し続ける必要がないので、作業者の疲労を軽減できる。さらに、握持部を強く握持した場合は従来の第3ポジションと、また指挿入部から指を引き抜いた場合は従来の第1ポジションと同様になるので、作業者の安全性も確保できる。
【0034】
また、指挿入部を開口部からティーチペンダント内部に挿入配置することによって操作部材がティーチペンダントから大きく突出しないようにしたので、上記効果に加えてコンパクトな構成を実現できる。また、操作部材をティーチペンダントの内部方向へ変位可能に弾性部材を介して取り付け、握持部が強く握持されて操作部材がティーチペンダント内部へ変位したときに第2スイッチが指挿入部によって押圧されるようにしたので、第2スイッチを押圧するための別部材を備えるのに比べて部品点数を低減できる。
【0035】
また、第1スイッチとして検出センサを適用し、指挿入部に備えた開閉蓋を検出のトリガとしたので、指を挿入して開閉蓋をセンサが検出する所定の位置まで傾動させるだけで第2ポジションを実現できる。すなわち、従来よりも弱い力で第2ポジションを実現できるので、上記効果に加えて、より一層作業者の疲労を軽減できる。
【0036】
また、検出センサとして透過形光センサを適用し、発光素子から発光された光が開閉蓋によって遮断されて受光素子で受光されなくなったときにON信号を出力するようにしたので、上記効果に加えて簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0037】
[実施の形態2]
図2は、本発明の第2実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の正断面図である。第1実施形態との相違は、第1スイッチである検出センサとして反射形光センサを適用していることである。
【0038】
同図において、ティーチペンダント1、開口部2、握持部11、指挿入部12、操作部材14、支持部材15、弾性部材16、第2スイッチ22及び指40は、図1と同符号を付与した同一のものであるので説明を省略する。以下、図1と異なる第1スイッチ21及び開閉蓋31について説明する。
【0039】
開閉蓋31は少なくとも片面に光沢面を有する板状体であり、同図では開閉蓋31の閉方向側の面に光沢面32を有しているものとしている。
【0040】
第1スイッチ21は発光素子23、受光素子24及び図示しない回路基板からなる反射形光センサである。発光素子23及び受光素子24は開閉蓋31が所定の位置に傾動したときに光沢面32に対して同一方向を向くように配置されている。図示しない回路基板は発光素子23から発光された光が光沢面32で反射されて受光素子24によって受光されているか否かを所定周期間隔で常に監視しており、受光結果に変化があったときにON信号又はOFF信号を出力する。
【0041】
次に第1スイッチ21及び第2スイッチ22によってON/OFF信号が出力される動作について説明する。
【0042】
デッドマンスイッチの第1ポジション、すなわち第1スイッチ21及び第2スイッチ22の両スイッチが操作されていない状態では、第1スイッチ21において発光素子23から発光された光は受光素子24によって受光されることはなく、また第2スイッチ22においても接点が開閉することはないので、ON/OFF信号が出力されることはない。
【0043】
作業者が教示作業等を行うためにスイッチを第2ポジションにする場合は、握持部11が握持されるとともに指挿入部12に指40が挿入される。指40が挿入されると開閉蓋31が中空17内を開方向に傾動することになる。そして、発光素子23から発光された光が開閉蓋31の光沢面32で反射されて受光素子24で受光されたことを回路基板が検出してON信号を出力する。この結果、サーボ電源がONすることになる。また、この第2ポジションの状態から開閉蓋31が閉方向に傾動し、発光素子23から発光された光が受光素子24で受光されなくなると、その旨を回路基板が検出してOFF信号を出力する。この結果、サーボ電源がOFFすることになる。
【0044】
第2ポジションでの教示作業中に作業者が危険を感じて第3ポジションにする場合の動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0045】
上述した実施の形態2によれば、検出センサとして反射形光センサを適用し、発光素子から発光された光が開閉蓋の光沢面によって反射されて受光素子で受光されたときにON信号を出力するようにしたので、簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0046】
[実施の形態3]
図3は、本発明の第3実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の断面図である。第1実施形態との相違は、第1スイッチである検出センサとして近接センサを適用していることである。
【0047】
同図において、ティーチペンダント1、開口部2、握持部11、指挿入部12、操作部材14、支持部材15、弾性部材16、第2スイッチ22及び指40は、図1と同符号を付与した同一のものであるので説明を省略する。以下、図1と異なる第1スイッチ21及び開閉蓋31について説明する。
【0048】
開閉蓋31は金属板又は少なくとも開方向に向かう面に金属層が形成された板状体であり、同図では金属板を使用している。
【0049】
第1スイッチ21は検知素子26及び図示しない回路基板からなる磁気式又は静電容量式の近接センサである。検知素子26は開閉蓋31の開方向側の側壁35に配置されている。図示しない回路基板は開閉蓋31が側壁35に接近したか否かを所定周期間隔で常に監視しており、監視結果に変化があったときにON信号又はOFF信号を出力する。
【0050】
次に第1スイッチ21及び第2スイッチ22によってON/OFF信号が出力される動作について説明する。
【0051】
デッドマンスイッチの第1ポジション、すなわち第1スイッチ21及び第2スイッチ22の両スイッチが操作されていない状態では、第1スイッチ21において開閉蓋31は検知素子23に接近することはなく、また第2スイッチ22においても接点が開閉することはないので、ON/OFF信号が出力されることはない。
【0052】
作業者が教示作業等を行うためにスイッチを第2ポジションにする場合は、握持部11が握持されるとともに指挿入部12に指40が挿入される。指40が挿入されると開閉蓋31が中空17内を開方向に傾動することになる。そして、開閉蓋31が側壁35に所定距離以内に接近したことを回路基板が検出してON信号を出力する。この結果、サーボ電源がONすることになる。また、この第2ポジションの状態から開閉蓋31が閉方向に傾動し、開閉蓋31が側壁35から所定距離を超えて遠ざかると、その旨を回路基板が検出してOFF信号を出力する。この結果、サーボ電源がOFFすることになる。なお、上記所定距離は近接センサの回路基板で予め定められている。
【0053】
第2ポジションでの教示作業中に作業者が危険を感じて第3ポジションにする場合の動作は、実施形態1と同様であるので説明を省略する。
【0054】
上述した実施の形態3によれば、検出センサとして近接センサを適用し、開閉蓋が指挿入部の側壁に所定距離以内に接近したときにON信号を出力するようにしたので、簡単な操作で第2ポジションを実現することができる。
【0055】
また、上述した全ての実施形態においては、操作部材を取り付ける開口部をティーチペンダントの裏面側縁部の少なくとも一方、又は側面部の少なくとも一方に設けたので、上述した効果に加えて、作業者がティーチペンダント本体を握持しやすいという効果を有している。
【0056】
なお、安全性をより高めるためにデッドマンスイッチを2重化する場合は、上述した第1スイッチ及び第2スイッチを各々2個備えればよい。例えば、実施形態1の第1スイッチの場合は、片側壁に2つの発光センサを水平且つ至近距離で取り付け、対向する側壁に2つの受光センサを水平且つ至近距離で取り付けておき、開閉蓋が傾動したときに発光された2つの光が同時に遮断されるように構成しておけばよい。また、第2スイッチの場合は、2個の接点開閉スイッチを至近距離且つ操作部材に対して平行に取り付け、握持部が強く握持されたときにこれらが指挿入部によって同時に押圧されるように構成しておけばよい。この2重化されたデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントも本発明の範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の正断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の正断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示すデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントのスイッチ近傍の断面図である。
【図4】従来の3ポジションデッドマンスイッチの正断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ティーチペンダント
2 開口部
11 握持部
12 指挿入部
14 操作部材
15 支持部材
16 弾性部材
17 中空
21 第1スイッチ
22 第2スイッチ
23 発光素子
24 受光素子
26 検知素子
31 開閉蓋
32 光沢面
35 側壁
40 指
60 筐体
61 操作部材
62 バネ
63 回転レバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作状態に応じて非操作時はOFF信号、通常操作時はON信号、完全操作時はOFF信号を出力するデッドマンスイッチを備えたティーチペンダントにおいて、
前記ティーチペンダントに設けた開口部に取り付けられ、作業者が握持する握持部及びこの握持部に隣接して設けられて前記握持部を握持したときに指を挿入するための指挿入部を有する操作部材と、
前記指挿入部に指が挿入されたときに前記通常操作が行われたものとしてON信号を出力する第1スイッチと、
前記握持部が強く握持されたときに前記完全操作が行われたものとしてOFF信号を出力する第2スイッチと、
を具備したことを特徴とするデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項2】
前記操作部材は、前記開口部から前記ティーチペンダントの内部方向へ変位可能に弾性部材を介して取り付けられるとともに前記指挿入部が前記開口部内に挿入配置され、前記第2スイッチは、前記ティーチペンダントの内部に配置されるとともに前記握持部が強く握持されて前記操作部材が前記内部方向へ変位したときに前記指挿入部によって押圧されて前記OFF信号を出力することを特徴とする請求項1記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項3】
前記指挿入部は、指を挿入するための中空と一端が軸支されて前記中空内を傾動可能な開閉蓋とを有し、前記第1スイッチは、前記指挿入部から指が挿入されて前記開閉蓋が所定の位置まで傾動したことを検出する検出センサであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項4】
前記検出センサは、前記開閉蓋の傾動範囲を挟むように対向して配置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子から発光された光が前記受光素子によって受光されたか否かを検出する回路基板と、を有する透過形光センサであり、前記発光された光が前記開閉蓋によって遮断されて前記受光素子で受光されなくなったときに前記ON信号を出力することを特徴とする請求項3記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項5】
前記開閉蓋は、少なくとも片面に光沢面を有する板状体であり、前記検出センサは、前記開閉蓋が所定の位置に傾動したときに前記光沢面に対して同一方向を向くように配置された発光素子及び受光素子と、前記発光素子から発光された光が前記光沢面で反射され前記受光素子によって受光されたか否かを検出する回路基板と、を有する反射形光センサであり、前記発光された光が前記開閉蓋の前記光沢面で反射されて前記受光素子で受光されたときに前記ON信号を出力することを特徴とする請求項3記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項6】
前記開閉蓋は、金属板又は少なくとも開方向に向かう面に金属層が形成された板状体であり、前記検出センサは、前記開方向側の側壁に配置された検知素子と前記開閉蓋が前記側壁に接近したか否かを検出する回路基板とを有する近接センサであり、前記開閉蓋が前記側壁に所定距離以内に接近したときに前記ON信号を出力することを特徴とする請求項3記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。
【請求項7】
前記開口部は、前記ティーチペンダントの裏面側縁部の少なくとも一方、又は側面部の少なくとも一方に設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のデッドマンスイッチを備えたティーチペンダント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−158928(P2008−158928A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349095(P2006−349095)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【Fターム(参考)】