説明

トランジスタを備えるRAM記憶素子

本発明は、ドレイン(8)と、ソース(7)と、絶縁ゲート(12)によって覆われたバルク領域とを有するMOSトランジスタの形状を成すメモリセルに関する。バルク領域の厚さは、ゲート面に平行に延びる絶縁層の部分(16)によって分離される2つの異なる領域(13,14)に分けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一トランジスタRAMセルに関する。
【背景技術】
【0002】
歴史的に、DRAMセルは、MOSトランジスタとコンデンサとを備える組立部品の形状を成している。集積回路が小型化するにつれて、MOSトランジスタの寸法を減らすことは可能となっており、問題はコンデンサの大きさを減らすことにある。
【0003】
この問題を克服するために、コンデンサを有しない単一トランジスタ、即ち、半導体オンインシュレータ(SOI)技術又は半導体オンナシング(SON)技術の分野で、接合によって絶縁されたバルク、又は、絶縁体によって絶縁されたバルクを有するMOSトランジスタの形状を成すメモリセルが提案されている。
このようなメモリセルでは、記憶はトランジスタ内での電荷蓄積に対応する。これはDRAMセルの更なる小型化をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/022105号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、コンデンサを有しない様々な既知のメモリセルは一般的に以下のデメリットの少なくとも1つに悩まされている。該デメリットは、限られた保持期間、高消費、2つの蓄積状態の低い区別、制御の複雑性、2つのゲートの使用、低い動作速度、電子及び正孔の同時的な存在を保証しなければならないトランジスタバルクの厚さを減少させることが不可能であること、並びに/又は製造の難しさである。
【0006】
従って、本発明の目的は、既知の単一トランジスタメモリセルのデメリットの少なくともいくつかを克服する、コンデンサを有しない単一トランジスタRAMセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る実施の形態では、ドレインと、ソースと、絶縁ゲートで覆われたバルク領域とを有するMOSトランジスタの形状を成し、前記バルク領域の厚さは、ゲート面に平行に延びる絶縁層部分によって分離される2つの異なる領域に分けられているメモリセルを提供する。
【0008】
本発明の実施の形態によれば、前記2つの異なる領域は、同じ導電型である。
【0009】
本発明の実施の形態によれば、前記2つの異なる領域は、相異なる導電型である。
【0010】
本発明の実施の形態によれば、メモリセルはSOI構造を成す。
【0011】
本発明の実施の形態によれば、メモリセルはFINFET構造を成す。
【0012】
本発明の実施の形態によれば、前記絶縁層部分は、約1〜10ナノメートル、好ましくは1〜3ナノメートルの厚さを有する。
【0013】
本発明の実施の形態によれば、前記ゲートに最も近い前記バルク領域は、5〜50ナノメートル、好ましくは5〜20ナノメートルの厚さを有する。
【0014】
本発明の実施の形態によれば、メモリセルは、前記バルク領域の下に第2の絶縁ゲートを更に備える。
【0015】
本発明の実施の形態によれば、前記MOSトランジスタは絶縁層によって絶縁されている。
【0016】
本発明の実施の形態によれば、前記MOSトランジスタは、該MOSトランジスタのドレイン/ソースの導電型に反対の導電型を有する基板に直接に形成されている。
【0017】
本発明の実施の形態によれば、前記バルク領域は、前記ゲート面に平行に延び、前記最初の2つの異なる領域間に延びる前記絶縁層部分と同じ拡張機能を実質的に有する絶縁層部分によって前記2つの異なる領域から分離された第3領域を備え、第2のゲートは、前記第1ゲートの反対にある前記第3の異なる領域の前に配置されている。
【0018】
ソース電圧を基準電圧としており、かつ、前記ソース領域及びドレイン領域がN型である場合に、本発明は、前記ドレインに正の電圧を印加し、該正の電圧を印加している間に前記ゲートに短い正の電圧を印加する「1」の書き込みステップと、極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧を前記ゲートに印加する「0」の書き込みステップと、負の電圧を前記ゲートに印加し、わずかに正の電圧を前記ドレインに印加する読み出しステップと、負の電圧を前記ゲートに印加し、わずかに正の電圧又はゼロ電圧を前記ドレインに印加する保持ステップとを順不同で備える使用方法を提供する。
【0019】
前記ソース電圧を基準電圧としており、前記ソース領域及びドレイン領域がN型であり、かつ、メモリセルが3つのバルク領域を有する4状態メモリセルである場合に、本発明は、正の電圧を前記ドレインに印加し、該正の電圧を印加している間に短い正の電圧を前記2つのゲートに印加する(11)状態の書き込みステップと、極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧を前記2つのゲートに印加する(00)状態の書き込みステップと、正の電圧を前記ドレインに印加し、該正の電圧を印加している間に短い正の電圧を前記2つのゲートの1つに印加し、極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧をもう一つのゲートに印加する(01)状態又は(10)状態の書き込みステップと、負の電圧を前記2つのゲートに印加し、わずかに正の電圧を前記ドレインに印加する読み出しステップと、負の電圧を前記2つのゲートに印加し、わずかに正の電圧又はゼロ電圧を前記ドレインに印加する保持ステップとを順不同で備える使用方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の前述した目的、特徴及び利点、並びに、他の目的、特徴及び利点を、具体的な実施の形態における以下の限定されない説明で添付図面に関連して詳しく述べる。
【図1】本発明の実施の形態に係るメモリセルの簡略化した断面図である。
【図2A】本発明の実施の形態に係るメモリセルへの「1」の書き込みを説明する説明図である。
【図2B】本発明の実施の形態に係るメモリセルへの「1」の書き込みを説明する説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るメモリセルへの「0」の書き込みを説明する説明図である。
【図4A】本発明の実施の形態に係るメモリセルからの「0」及び「1」夫々の読み出しを説明する説明図である。
【図4B】本発明の実施の形態に係るメモリセルからの「0」及び「1」夫々の読み出しを説明する説明図である。
【図5A】本発明の実施の形態に係るメモリセルでの「1」の書き込み、「0」の書き込み及び読み出し夫々で印加される電圧を説明する説明図である。
【図5B】本発明の実施の形態に係るメモリセルでの「1」の書き込み、「0」の書き込み及び読み出し夫々で印加される電圧を説明する説明図である。
【図5C】本発明の実施の形態に係るメモリセルでの「1」の書き込み、「0」の書き込み及び読み出し夫々で印加される電圧を説明する説明図である。
【図6A】図1における種類のメモリセルの製造例の一連のステップを示す簡略化した断面図である。
【図6B】図1における種類のメモリセルの製造例の一連のステップを示す簡略化した断面図である。
【図6C】図1における種類のメモリセルの製造例の一連のステップを示す簡略化した断面図である。
【図6D】図1における種類のメモリセルの製造例の一連のステップを示す簡略化した断面図である。
【図7A】本発明の実施の形態に係るメモリセルの変形例の簡略化した断面図及び斜視図である。
【図7B】本発明の実施の形態に係るメモリセルの変形例の簡略化した断面図及び斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るメモリセルの他の変形例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るメモリセルの他の変形例の簡略化した断面図及び斜視図である。
【0021】
明確にするために、異なる図面において同様の構成要素に同様の参照番号を付し、通常、集積回路の説明において、種々の図面は正確な縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1はコンデンサを有しないメモリセルを示す断面図である。このメモリセルは、支持体3、一般的にはシリコンウェハーに配された絶縁層1に形成されたMOSトランジスタを備えている。MOSトランジスタが占める領域、又は、活性領域は絶縁周辺部5によって範囲が定められている。MOSトランジスタは、第1導電型の高濃度にドープされ、第2導電型の低濃度にドープされたバルク領域によって分離されるソース領域7及びドレイン領域8を備える。以下では、第1導電型はN型であり、第2導電型はP型であるとするが、これは制限として見なされるべきではない。ソース領域及びドレイン領域夫々は、ソース端子Sに接続されているソース金属10、及び、ドレイン端子Dに接続されているドレイン金属11を備える固形物である。トランジスタのバルク部分はゲート端子Gに接続される絶縁ゲート12に取付けられている。バルク領域の厚みは、ゲート12側の上部バルク領域13と、絶縁層1の周辺にある下部バルク領域14とに分けられている。上部バルク領域及び下部バルク領域は絶縁層16によって分離されている。
【0023】
5ナノメートルよりも良い精度、好ましくは1ナノメートルオーダの精度を有する層の厚さを得ることができる技術を用いることによって、図1の構造を形成することが好ましい。横寸法を50ナノメートル以下の最小値で決めることができる技術もまた選択される。そのような状態では、単なる一例として、上部バルク領域が5〜50ナノメートル、好ましくは10ナノメートルに近い厚さを有し、下部バルク領域が5〜50ナノメートルの厚さを有し、厚さが1〜10ナノメートル、例えば、3ナノメートルオーダである絶縁層16によって上部バルク領域及び下部バルク領域が分離された全体のトランジスタの厚さが100ナノメートルよりも小さい構造を形成することを選択してもよい。トランジスタのチャネル長は好ましくは65ナノメートルよりも小さく、例えば35ナノメートルであることが好ましい。
【0024】
図1の構造をメモリセルとして用いることができる方法を、以下に図2から図4に関連して説明する。
【0025】
図2A及び図2Bは、図1のメモリセルへの「1」の書き込みステップを説明する説明図である。以下では、ソースSは、簡単のため、グランドとして指定される基準電圧に恒久的に接続されていると仮定する。
【0026】
「1」を書き込むためには、図2Aに示されるように、比較的に高い正の電圧、例えば1〜3ボルトを最初にトランジスタのドレインに印加し、正の電圧をドレインに印加している間、ゲートを正の電圧に短時間固定する。結果として、チャネル領域が上部バルク領域に形成され、(ゲートから非常に遠い下部バルク領域には形成されず)、電子がソースからドレインに流れる。ドレイン−ソースの電位差を、比較的に高くなるように選択した場合、これらの電子は衝突によって上部バルク領域に電子−正孔対を生成する。生成された電子は電流フローに加わり、正孔は上部バルク領域にとどまる。ドレインを切替える前に負の電圧にゲートを切替えることによって、ソース及びドレイン間の電流フローが突然に遮断された場合(図2B参照)、図2A及び図2Bでの記号+によって示される正孔は上部バルク領域13にとどまる。
【0027】
図3は、メモリセルへの「0」の書き込みを説明する説明図である。再び、ゲートは正の電圧にされるが、このとき、ドレイン8はわずかに正の電圧、ゼロ電圧、又は、更には負の電圧に接続される。その後、ソース−ドレインの電位差は電子−正孔対を生成するには不十分であり、上部バルク領域13でゲートによって生成された帯電バイアスのために、この上部バルク領域に存在する正孔はドレイン及び/又はソースに向かって流れてなくなる。従って、(「1」を書き込む)場合には正孔が上部バルク領域13に蓄積され、(「0」を書き込む)場合には電荷がこの上部バルク領域に全く蓄積しないという事実によって、図2B及び図3の状態を区別することができる。
【0028】
図4A及び図4B夫々は、図1のメモリセルからの「0」の読み出し及び「1」の読み出しを説明するための説明図である。読み出し(又は保持)段階では、負の電圧がゲートに維持され、わずかに正の電圧がドレインに維持される。
【0029】
図4Aに示されるように、「0」が記憶されている、即ち、上部バルク領域13に電荷が全く蓄積していない場合、同じドレインと同じソースとを並行して共有するトランジスタは両方ともオフである、即ち、ゲートが負であるため、電流が上部バルク領域に対応するトランジスタを通じて全く流れず、電子チャネルを生成することができないため、下部バルク領域に対応するトランジスタを通じて電流が流れるわけがない。
【0030】
一方、図4Bに示すように、「1」を書き込んでいる、即ち、正の電荷が上部バルク領域13に蓄積されている場合、ゲートが負であり、電子チャネル領域がこの上部バルク領域に全く生成されないので、電流がこの上部バルク領域に対応するトランジスタを通じて全く流れない。しかしながら、上部バルク領域に蓄積された正の電荷は、静電結合によって下部バルク領域にチャネル領域を誘導し、ソース及びドレインとして領域7及び8を有し、バルクとしてこの下部バルク領域を有するトランジスタを通じて電流が流れる。当然のことながら、ゲート側に引き付けられて蓄積した電荷が下部バルク領域に十分な静電感応を有するために、上部バルク領域は十分に細くなければならない。これは、このバルク領域が好ましくは10ナノメートルに近い厚さを有することを示している理由である。
【0031】
従って、読み出し段階では、電流が流れているか否かによって状態「1」を状態「0」から区別することができる。注目すべきは、「0」を読み出している間、電流はドレイン及びソース間を絶対に流れないので、これらの2つの状態を確実に区別することができることである。状態「0」である間、電流が全く流れないので、素子は非常に長い保持期間を有する。それ以後、例え、状態「1」を読み出している間に上部バルク領域に蓄積された電荷のわずかな損失が生じても、状態「0」と「1」との間に著しい差が常にある。
【0032】
注目すべきは、読み出し状態の間、ほんのわずかに正の電圧をドレインに印加するという事実によって、読み出し中に下部バルク領域14に衝突によって電荷が全く生成されないことである。
【0033】
より適切にメモリセルの動作を説明するために、図5A、図5B及び図5C夫々は、「1」の書き込み状態(WR1)の期間、「0」の書き込み状態(WR0)の期間、及び、読み出し状態(RD)の期間夫々におけるドレイン電圧(VD)とゲート電圧(VG)との変化を示している。「1」の書き込み期間(図5A参照)に、ドレイン電圧はゼロ電圧又はわずかに正の電圧VD1、例えば0.1ボルトから、明らかに正の電圧VD2、例えば1〜2.2ボルトに変化し、ドレイン電圧VD2が印加されている期間(例えば5〜30ナノ秒)中に、ゲートを負の電圧VG1から正の電圧VG2、例えば、−1.2ボルトから+1ボルトに、短く(例えば、1〜10ナノ秒間)とる。「0」の書き込み(図5B参照)のために、ドレインを低い値VD1に維持し、ゲートを、短い期間、例えば1〜10ナノ秒の期間、上部バルク領域に存在する電荷を流してなくすことが可能な正の値にする。読み出し状態又は保持状態(図5C参照)では、ドレインを低い電圧値VD1に維持し、ゲートを負の電圧VG1に維持する。
【0034】
電圧印加モードはゲート及びドレインに2つの可能な電圧レベルを供給するだけであるので、図5A〜図5Cに関連して説明した電圧印加モードは特に有利である。しかしながら、例えば、ドレイン電圧が2以上の電圧レベル間を切替えることができるより複雑な電圧切替えモードは、例えば「0」の書き込み段階中に第3のゼロ電圧レベル又は負の電圧レベルを、保持段階中にゼロ電圧レベルに切替えることができる。「1」の書き込みの段階中、衝突イオン化によって正孔を生成する代わりに、他の現象を用いてもよい。負の電圧(例えば−2.5ボルト)をゲートに、正の電圧をドレインに強力に印加することによって、正孔は、バンド間トンネル現象(B to Btunneling)によって、又は、寄生性のバイポーラトランジスタの活性化によって生成される。
【0035】
なお、上述した電圧値は単に示したにすぎず、実質的に前述した寸法を有するメモリセルに応じて与えられる。これらの値を特定部品の特定の特徴に適応させるのは当業者の能力の範囲内である。
【0036】
図6Aから図6Dは、図1に示すような構造を形成することが可能なステップを示す図である。
【0037】
図6Aに示すように、ステップは、絶縁層1で覆われた支持体3の上に低濃度にドープされたP型基板20を備えるSOI型構造から始められる。低濃度にドープされたP型基板20の上には、薄い絶縁層21が、例えば熱酸化によって形成されている。
【0038】
図6Bに示されたステップでは、図1の説明で述べた分離層16を形成するために絶縁層21をエッチングする。
【0039】
図6Cに示されたステップでは、低濃度にドープされたP型層22をエピタキシによって成長させる。既知の方法で、エピタキシは層20の見掛けの表面から成長させ、層16の上側を塞ぐ。好ましくは、このエピタキシ成長を、バルク領域13に要求される厚さよりも太い厚さに達するまで実行し、この厚さを減らすことによって薄層化を行う。
【0040】
その後、又は、ステップ中に、図6Dに示されるように、要求される活性領域を囲む絶縁周辺部5を形成し、形成後、ゲート酸化物、ゲート、ソース領域及びソース領域(図示せず)を形成する従来ステップを実行する。
【0041】
上述した内容は、図1における種類の構造を形成することができる単なる一例である。他の実施の形態を構想してもよい。例えば、P型シリコン層と、絶縁層16の寸法に応じて形成されているシリコン−ゲルマニウム層と、P型シリコン層とから連続して成る絶縁体上のサンドイッチからステップを始めてもよい。その後、シリコン−ゲルマニウム層をサブエッジングし、形成した空洞を絶縁体で満たしてもよい。ウェハー接合技術を用いてもよい。
【0042】
前述したメモリセルに多くの変更と修正とを行うことができる。図7A及び図7Bは、技術的にFINFET構造(フィン型電界効果トランジスタ)と一般的に呼ばれる形状に係る実施の形態を示す図である。これらの図は、構造のバルク部分及びドレイン部分の断面図、並びに、斜視図である。図示しないソース部分は図面の前方にある。フィン型のシリコンの突出物は、絶縁層31で覆われたウェハー30の上に形成されている。この突出物は、図1の上部バルク領域13及び下部バルク領域14夫々に対応する左側部分33及び右側部分34に分けられている。分離は絶縁体36によって行われる。絶縁ゲート金属38及び39はフィンの左右から、即ち、左側部分33及び右側部分34の前に配置されている。図7Aでは、バルク領域33及び34は層31によってウェハー30から絶縁されている。図7Bでは、バルク領域33とウェハー30との間は連通している。当然のことながら、この構造は、2つのゲート中の1つを用いれば、図1の構造と同様に作用する。
【0043】
2つのゲート38及び39を、左側バルク及び右側バルクの機能を選択的に反転させるために使用してもよい。同様に、図1の構造で、絶縁層1から下部バルク領域14に影響を与えるために、例えば、下側のトランジスタの閾値電圧を調整するために、支持体3に選択的にバイアスをかけてもよい。下側のゲートを追加してもよい。
【0044】
図8は、図1の構造の他の変形例を示す図である。同様の構成要素には同様の参照番号が付されている。トランジスタのバルクは、2つの領域に分けられた厚さを有する代わりに3つの領域に分けられる。上部領域41は絶縁体42によって中央領域43から分離され、中央領域43それ自体は下部領域45から絶縁体44によって分離される。従って、支持体3のバイアスの可能性を提供する場合、2ビットメモリセル、即ち、4状態メモリセルが得られる。前述したように、上側のゲートは上部バルク領域41で電荷を蓄積することも可能であるし、蓄積しないことも可能である。支持体領域3に対応する下側のゲートは、下部バルク領域45に電荷を蓄積することも可能であるし、蓄積しないことも可能である。第1状態(11)は、電荷が上部領域及び下部領域に蓄積された場合に得られ、第2状態(00)は上部領域及び下部領域に電荷が全く蓄積されない場合に得られ、第3状態(10)は上部領域に電荷が蓄積されて下部領域に電荷が蓄積されない場合に得られ、第4状態(01)は、電荷が下部バルク領域に蓄積されて上部バルク領域に蓄積されない場合に得られる。状態(01)及び(10)を様々な方法で区別することができる。具体的には、上側及び下側のゲートが異なる(仕事関数が異なる、又は、絶縁体の厚さが異なる)場合、及び/又は、印加された電圧が異なる場合に、不定量の電荷が、夫々の「1」の書き込みで上部バルク領域及び下部バルク領域に蓄積される。従って、中央バルク領域での電流の4つの可能な値を確実に区別することができる。
【0045】
図9は、図8の構造におけるFINFETの実施の形態を非常に概略的に示す図である。この図は詳細に描写されていない。図8の構成要素と同様の機能を有する構成要素には同様の符号を付してある。
【0046】
本発明の具体的な実施の形態が説明されている。種々の変更、修正及び改良は当業者によって想到される。具体的には、MOSトランジスタの形成、例えば、チャネル領域周辺での低濃度にドープされたソース領域及びドレイン領域(LDD)の形成には多くのバリエーションが適応されてもよい。
【0047】
当然のことながら、蓄積状態の1つを状態「1」と、蓄積状態のもう1つを状態「0」と呼ぶことは完全に任意である。
【0048】
前述の内容は、誘電体によって分離される2つのバルク、即ち、第1バイアスの電荷を蓄積することができるバルクと、反対のバイアスの電荷を伝導することができるバルクとを有するトランジスタに関係する。従って、同じバルクに反対のバイアスの電荷の共存はない。これは、記載した構造が、先行技術の単一トランジスタメモリセルの前述したデメリット(限られた保持期間、高消費、2つの蓄積状態間の低い区別、制御の複雑性、低い動作速度、電子及び正孔の同時的な存在を保証しなければならないトランジスタのバルクの厚さを減少させることが不可能であること)を回避する主な理由の1つである。更に、説明された素子は、単一ゲートを用いて操作することができ、制御することが比較的に簡単である。
【0049】
単一トランジスタを備えるメモリセルの種々の実施の形態と変形例とはここに説明されている。当業者は、本発明のステップを示すことなく、これらの種々の実施の形態と変形例との様々な構成要素を組み合わせてもよい。
【0050】
具体的には、詳細に前述した実施の形態において、MOSトランジスタは絶縁層1によって絶縁されている。このMOSトランジスタは、ドレイン/ソース領域とは反対の導電型のシリコン基板、即ち、ドレイン/ソース領域がN型であるならP型の基板の上に直接的に形成してもよい。
【0051】
更に、詳細に前述した実施の形態において、絶縁層部分16の下にあるバルク領域の下部分14は上部分13と同じP導電型である。変形例によっては、下部分14は反対の導電型、即ち、N型であってもよい。下部分14のドーピングレベルは、好ましくは、下部分14の厚さに応じて1016から1018atoms/cm3 の範囲内で選択される。この結果、下部分14は状態「0」で完全に枯渇し、状態「1」で十分に利用可能な電子を含む。保持状態の間には、メモリセルが「0」のプログラムされた場合、バルク領域のN型の下部分14は、負のゲート電圧によって枯渇され、この部分を通じてソースからドレインに電流が全く流れることができない。同様に、図8及び図9の実施の形態では、N型の中央領域は同様の状態でドープされたP型であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレイン(8)と、
ソース(7)と、
絶縁ゲート(12)で覆われたバルク領域と
を有するMOSトランジスタの形状を成し、
前記バルク領域の厚さは、ゲート面に平行に延びる絶縁層部分(16)によって分離される2つの異なる領域(13,14)に分けられていること
を特徴とするメモリセル。
【請求項2】
前記2つの異なる領域は、同じ導電型であること
を特徴とする請求項1に記載のメモリセル。
【請求項3】
前記2つの異なる領域は、相異なる導電型であること
を特徴とする請求項1に記載のメモリセル。
【請求項4】
SOI構造を成すこと
を特徴とする請求項1に記載のメモリセル。
【請求項5】
FINFET構造を成すこと
を特徴とする請求項1に記載のメモリセル。
【請求項6】
前記絶縁層部分(16)は、約1〜10ナノメートル、好ましくは1〜3ナノメートルの厚さを有すること
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のメモリセル。
【請求項7】
前記ゲートに最も近い前記バルク領域は、5〜50ナノメートル、好ましくは5〜20ナノメートルの厚さを有すること
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のメモリセル。
【請求項8】
前記バルク領域の下に第2の絶縁ゲートを更に備えること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のメモリセル。
【請求項9】
前記MOSトランジスタは絶縁層によって絶縁されていること
を特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1つに記載のメモリセル。
【請求項10】
前記MOSトランジスタは、該MOSトランジスタのドレイン/ソースの導電型に反対の導電型を有する基板に直接に形成されていること
を特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のメモリセル。
【請求項11】
前記バルク領域は、前記ゲート面に平行に延び、前記最初の2つの異なる領域間に延びる前記絶縁層部分と同じ拡張機能を実質的に有する絶縁層部分によって前記2つの異なる領域から分離された第3領域を備え、
第2のゲートは、前記第1のゲートの反対にある前記第3の異なる領域の前に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のメモリセル。
【請求項12】
ソース電圧を基準電圧として、前記ソース領域及びドレイン領域がN型である請求項1から請求項10のいずれか1つに記載のメモリセルを使用する方法であって、
前記ドレインに正の電圧を印加し、該正の電圧を印加している間に前記ゲートに短い正の電圧を印加する「1」の書き込みステップと、
極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧を前記ゲートに印加する「0」の書き込みステップと、
負の電圧を前記ゲートに印加し、わずかに正の電圧を前記ドレインに印加する読み出しステップと、
負の電圧を前記ゲートに印加し、わずかに正の電圧又はゼロ電圧を前記ドレインに印加する保持ステップと
を順不同で備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記ソース電圧を基準電圧として、前記ソース領域及びドレイン領域がN型である請求項11に記載の4状態メモリセルを使用する方法であって、
正の電圧を前記ドレインに印加し、該正の電圧を印加している間に短い正の電圧を前記2つのゲートに印加する(11)状態の書き込みステップと、
極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧を前記2つのゲートに印加する(00)状態の書き込みステップと、
正の電圧を前記ドレインに印加し、該正の電圧を印加している間に短い正の電圧を前記2つのゲートの1つに印加し、極めてわずかに正の電圧、ゼロ電圧又は負の電圧を前記ドレインに印加し、正の電圧をもう一つのゲートに印加する(01)状態又は(10)状態の書き込みステップと、
負の電圧を前記2つのゲートに印加し、わずかに正の電圧を前記ドレインに印加する読み出しステップと、
負の電圧を前記2つのゲートに印加し、わずかに正の電圧又はゼロ電圧を前記ドレインに印加する保持ステップと
を順不同で備えること特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−524393(P2012−524393A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−505207(P2012−505207)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050716
【国際公開番号】WO2010/119224
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500531141)セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク (84)
【出願人】(510257411)
【Fターム(参考)】