説明

ドアホンシステム

【課題】家人に対して警報情報を漏れなく、迅速に伝達する。
【解決手段】ドアホンシステムの本体ユニットに、表示部23、警報検出部26、無線通信部27、有線通信部28および受信部29を設ける。受信部29は、常に地上波デジタル放送を受信しつづけ、その受信信号を警報検出部26に伝達する。警報検出部26は、常に受信信号を監視しており、当該受信信号から緊急警報放送(EMS)を検出する。緊急警報放送が検出されると、表示部23に警報情報を出力するとともに、無線通信部27および有線通信部28を介して、緊急モード移行信号を送信する。例えば、室内子機5は、緊急モード移行信号を受信すると、警報音を再生して家人に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば災害に関する情報のように、突発的に発生する情報を漏れなく、迅速に伝達する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば災害(地震や津波、洪水、火災等)が発生した場合(あるいは予知された場合)において、対象となる地域の住民(家人)は、正確かつ迅速な対応が求められる。したがって、当該家人は、災害に関する情報(避難誘導、防災対策、速報、あるいは予報等に関する情報であって、以下「緊急情報」と称する)を速やかに取得する必要がある。
【0003】
従来より、このような場合において、公共的に提供される地上波デジタル放送の緊急警報放送(EWS)を利用して、緊急情報を住民に提供する技術が知られている。すなわち、観測所等から得られた情報に基づいて、局において適切な緊急情報を作成し、これを緊急警報放送として放送するのである。地上波デジタル放送の緊急警報放送は、例えば突発的に発生する災害について、比較的迅速かつ正確に提供されるため、これを一般的なテレビ受像器によって視聴することは家人にとって好ましい。
【0004】
一方、例えば来客があった場合には当該来客を撮影して表示画面に表示する機能を有するドアホンシステムにおいて、来客がない間(待機状態の間)には当該表示画面にテレビ放送の画面を表示してテレビ放送を視聴できるように構成したものが提案されている。このように、テレビ受像器としての機能を備えたドアホンシステムが、例えば、特許文献1に記載されている。
【0005】
しかし、災害等の発生は突発的であるにもかかわらず、テレビ受像器は常時使用されているとは限らない。したがって、テレビ放送を見ていない(テレビ受像器の電源を入れていない)家人は、緊急警報放送を視聴できないという問題があった。すなわち、一般的なテレビ受像器では、テレビ放送を受信している状態でなければ緊急警報放送を受信できず、突発的に発生する緊急警報放送を確実に視聴することは困難であるという問題があった。
【0006】
もちろん、災害の発生が突発的であったとしても、これを家人が別途迅速に知得することができるものであれば、テレビ受像器の電源を自主的に投入することが期待できる。例えば、地震の揺れを体感した家人は、この地震についての緊急警報放送が放送されているであろうことを比較的容易に予測できるので、テレビ受像器の電源を投入して緊急警報放送を視聴することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−221624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、緊急警報放送として放送される緊急情報の中には、災害の「予報情報」や「予知情報」のように、家人にとって緊急警報放送が放送されていることを予測することが困難なものもある。また、例えば就寝中のように、家人の感覚が通常より鈍っている場合には、家人の対応が遅れる場合も考えられる。
【0009】
すなわち、特許文献1に記載されているドアホンシステムのように、一般的なテレビ受像器では、そもそも地上波デジタル放送を視聴していない場合であって、かつ緊急警報放送が放送されていることを知得することが困難な場合には、家人が警報情報を取得することが困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、家人に対して警報情報を漏れなく、迅速に伝達することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、家人に訪問者の有無を報知するドアホンシステムであって、訪問者によって操作されたことを示す来訪情報を生成する室外子機と、前記室外子機によって生成された来訪情報を取得する本体ユニットと、前記本体ユニットによって取得された来訪情報を出力する報知手段と、地上波デジタル放送を受信する受信手段と、受信手段により受信された地上波デジタル放送に緊急警報放送が含まれているか否かを検出する警報検出手段と、前記警報検出手段の検出結果に応じて、警報情報を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るドアホンシステムであって、前記本体ユニットとの間で通信を行う少なくとも1つの室内子機をさらに備え、前記少なくとも1つの室内子機に前記出力手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係るドアホンシステムであって、前記少なくとも1つの室内子機は、蓄電可能な電源部と、前記本体ユニットとの間の通信を無線通信で行う無線通信部とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4の発明は、請求項2または3の発明に係るドアホンシステムであって、前記少なくとも1つの室内子機の給電状況に基づいて、前記少なくとも1つの室内子機に設けられた出力手段を制御する出力制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項5の発明は、請求項2ないし4のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記少なくとも1つの室内子機は、前記少なくとも1つの室内子機の動作モードを、動作状況に応じて、省電力モードに切り替えるとともに、前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記動作モードを、前記省電力モードから前記出力手段が動作可能なモードに切り替えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6の発明は、請求項2ないし5のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記ドアホンシステムを一斉内線通話可能なモードに切り替えることを特徴とする。
【0017】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、所定の領域を画像情報として撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像情報を表示する表示手段とをさらに備え、前記表示手段は、前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記画像情報を表示することを特徴とする。
【0018】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記警報検出手段の検出結果に応じて、ガス管を開閉する開閉手段をさらに備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記警報検出手段の検出結果に応じて、ドアの錠を制御する錠制御手段をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記出力手段は、警報情報として音声を出力することを特徴とする。
【0021】
また、請求項11の発明は、請求項1ないし10のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記出力手段は、警報情報として振動を出力することを特徴とする。
【0022】
また、請求項12の発明は、請求項1ないし11のいずれかの発明に係るドアホンシステムであって、前記出力手段は、警報情報として地上波デジタル放送を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明では、受信された地上波デジタル放送に緊急警報放送が含まれているか否かを検出する警報検出手段と、警報検出手段の検出結果に応じて、警報情報を出力する出力手段とを備えることにより、地上波デジタル放送において緊急警報放送がされたことを家人に伝達できる。
【0024】
請求項2に記載の発明では、家人の近傍に配置される可能性の高い室内子機に出力手段を設けることで、警報情報を確実に家人に伝達できる。
【0025】
請求項3に記載の発明では、少なくとも1つの室内子機において、いわゆるワイヤレス構造を採用することにより、家人が室内子機を容易に携帯できるため、より確実に警報情報を伝達できる。
【0026】
請求項4に記載の発明では、少なくとも1つの室内子機の給電状況に基づいて、前記少なくとも1つの室内子機に設けられた出力手段を制御することにより、電力を効率的に使用できる。
【0027】
請求項5に記載の発明では、少なくとも1つの室内子機は、前記少なくとも1つの室内子機の動作モードを、動作状況に応じて、省電力モードに切り替えるとともに、警報検出手段の検出結果に応じて、動作モードを、省電力モードから出力手段が動作可能なモードに切り替えることにより、電力を効率的に使用できる。
【0028】
請求項6に記載の発明では、警報検出手段の検出結果に応じて、ドアホンシステムを一斉内線通話可能なモードに切り替えることにより、家人が容易に互いの安否を確認できる。
【0029】
請求項7に記載の発明では、警報検出手段の検出結果に応じて、画像情報を表示することにより、緊急警報放送がされた場合における状況を画像で確認できる。
【0030】
請求項8に記載の発明では、警報検出手段の検出結果に応じて、ガス管を開閉する開閉手段をさらに備えることにより、緊急警報放送に応じて、ガス管を閉じることができる。例えば、緊急警報放送は、災害を予知した場合にも放送される。したがって、災害が発生する前に、ガス管を閉じることができる。
【0031】
請求項9に記載の発明では、警報検出手段の検出結果に応じて、ドアの錠を制御する錠制御手段をさらに備えることにより、緊急警報放送に応じて、ドアの施錠状態を制御できる。
【0032】
請求項10に記載の発明では、警報情報として音声を出力することにより、例えば、就寝中の家人にも伝達できる。
【0033】
請求項11に記載の発明では、警報情報として振動を出力することにより、例えば、就寝中の家人にも伝達できる。
【0034】
請求項12に記載の発明では、警報情報として地上波デジタル放送を出力することにより、緊急警報放送の内容を伝達できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0036】
<1. 実施の形態>
図1は、本発明に係るドアホンシステム1を示す図である。ドアホンシステム1は、本体ユニット2、室外子機3、屋外カメラ4、室内子機5、ロックユニット6および開閉バルブ7を備える。詳細は後述するが、ドアホンシステム1は、訪問者の有無を家人(住民)に報知する機能を有している。
【0037】
図2は、本体ユニット2の構成を示すブロック図である。本体ユニット2は、CPU20、記憶装置21、操作部22、表示部23、警報検出部26、無線通信部27、有線通信部28および受信部29を備え、ドアホンシステム1が備える各装置間の通信を中継するルータとしての機能を有する。
【0038】
なお、詳細は図示しないが、本体ユニット2は、据え置き型の装置として構成されており、常時商用電源に電源ケーブルを介して接続されている。したがって、本体ユニット2には常時電力が供給されており、本体ユニット2の各構成に対する給電は、可搬型の装置に比べて保証されている。
【0039】
CPU20は、記憶装置21に記憶されているプログラムに従って動作することにより、各種データの演算や制御信号の生成を行う。図2に示すように、CPU20は、バス配線により本体ユニット2の各構成と接続されており、生成した制御信号によってこれらの構成を制御する。なお、CPU20の動作および機能については後述する。
【0040】
記憶装置21は、各種ROMや、RAMから構成されており、プログラムや各種データを記憶する。
【0041】
操作部22は、複数のボタン類から構成される。本体ユニット2のオペレータ(家人)は、操作部22を操作することにより、本体ユニット2(ドアホンシステム1)に必要な指示情報を入力することが可能とされている。家人によって入力される指示情報としては、例えば、緊急モードを解除するための解除情報等がある。
【0042】
表示部23は、LEDやランプ等から構成され、これらの点滅状況によってオペレータに各種状態を知らせる機能を有する。例えば、表示部23は、緊急モード移行信号(後述)に基づいて、警報情報を表示する専用のLEDを点灯させることにより、警報情報を出力する。なお、表示部23は、各種情報を画像として表示する液晶ディスプレイ等を備えていてもよい。
【0043】
警報検出部26は、受信部29から伝達される地上波デジタル放送の受信信号から緊急警報放送を認識するための専用のLSIから構成される。警報検出部26は、緊急警報放送を受信したか否かを示す検出結果をCPU20に検出信号として伝達する。警報検出部26は、ドアホンシステム1が動作している限り、その動作モードにかかわらず、常に地上波デジタル放送を監視している。
【0044】
無線通信部27は、無線によるデータ通信を行う構成(本実施の形態では、屋外カメラ4および室内子機5)と、本体ユニット2とをデータ通信可能な状態で接続する機能を有する。具体的には、無線通信を実現するための送信アンテナや、受信アンテナ等から構成される。
【0045】
有線通信部28は、有線によるデータ通信を行う構成(本実施の形態では、室外子機3、ロックユニット6および開閉バルブ7)と、本体ユニット2とをデータ通信可能な状態で接続する機能を有する。具体的には、通信用の各種ケーブルを接続する端子等が該当する。
【0046】
受信部29は、地上波デジタル放送を受信して、その受信信号を警報検出部26に伝達する機能を有する。具体的には、地上波デジタル放送を受信するためのモジュール(アンテナ等)である。
【0047】
なお、受信部29は、ドアホンシステム1が動作している限り、その動作モードにかかわらず、常に地上波デジタル放送を受信しており、いつ緊急警報放送がされても受信可能な状態となっている。
【0048】
通常のテレビ受像器の受信部はテレビ受像器の電源が家人により入れられていなければ、地上波デジタル放送を受信することはない。しかし、一般にドアホンシステム1は、いつ訪問者が来てもよいように、電源が常時投入された状態(何らかの動作が可能な状態)で使用されるシステムである。したがって、テレビ受像器と異なり、家人が特に意識しなくても、受信部29は、突発的に放送される緊急警報放送を受信することができる。すなわち、家人の状況等にかかわらず、警報検出部26は緊急警報放送を見逃すことなく、迅速に検出できる。
【0049】
また、後述する室内子機5は、家人の近傍に存在すべき装置であるため、携帯性を重視して、いわゆるワイヤレス構造の装置として構成される。すなわち、室内子機5は、商用電源に常に接続されるとは限らないため、電力消費を抑える必要がある。したがって、室内子機5において、常時、放送受信状態(緊急警報放送を監視している状態)とすることには、限界がある。
【0050】
これに対して、本体ユニット2は携帯性が要求されることはないので据え置き型の装置として構成されており、常時、商用電源に接続することが可能である。したがって、本体ユニット2において受信部29が常時地上波デジタル放送を受信しても、本体ユニット2が電力不足によって動作不能となる危険性はない。
【0051】
図3は、本体ユニット2の機能ブロックを情報の流れとともに示す図である。図3に示すモード制御部201、有線通信制御部202および無線通信制御部203が、主にCPU20がプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0052】
モード制御部201は、警報検出部26からの検出信号によって、緊急警報放送がされたことを伝達されると、ドアホンシステム1の動作モードを緊急モードに切り替え、これを示す信号(以下、「緊急モード移行信号」と称する)を生成して表示部23、有線通信制御部202および無線通信制御部203に伝達する。
【0053】
また、操作部22から解除情報が伝達された場合には、緊急モードを通常モードに切り替え、これを示す信号(以下、「解除信号」と称する)を生成して表示部23、有線通信制御部202および無線通信制御部203に伝達する。
【0054】
有線通信制御部202は、主に有線通信部28を制御して、有線通信によって通信を行う構成と本体ユニット2との間の通信を制御する機能ブロックである。
【0055】
有線通信制御部202は、有線通信部28が来訪情報211を受信した場合には、当該来訪情報211を記憶装置21に転送する。
【0056】
また、無線通信制御部203から外線応答信号(室内子機5が来訪情報211に応答したことを示す信号)を受信すると、応答した室内子機5と、室外子機3(屋外カメラ4)とを回線接続する。これにより、室外子機3と室内子機5との間で音声情報212が送受信され、室外子機3(または屋外カメラ4)において撮像された画像情報213が室内子機5に送信される。
【0057】
したがって、応答した家人と訪問者との間で音声通話が可能となるとともに、応答した家人は、撮像された画像情報213によって訪問者を画像(映像)で確認することが可能となる。なお、図3において、図示の都合上、音声情報212および画像情報213は、一旦、記憶装置21に記憶されるように図示しているが、実際には回線接続により、これらの情報は装置間で直接に送受信される。
【0058】
また、有線通信制御部202は、モード制御部201から伝達される緊急モード移行信号に基づいて、解錠信号および閉鎖信号を生成する。そして、有線通信部28を制御して、生成した解錠信号をロックユニット6に向けて送信させるとともに、生成した閉鎖信号を開閉バルブ7に向けて送信させる。
【0059】
さらに、有線通信制御部202は、モード制御部201から伝達される解除信号に基づいて、後述する施錠信号および開放信号を生成する。そして、有線通信部28を制御して、生成した施錠信号をロックユニット6に向けて送信させるとともに、生成した開放信号を開閉バルブ7に向けて送信させる。
【0060】
無線通信制御部203は、主に無線通信部27を制御して、無線通信によって通信を行う室内子機5および屋外カメラ4と本体ユニット2との間の通信を制御する機能ブロックである。
【0061】
無線通信制御部203は、来訪情報211を常に監視しており、有線通信制御部202によって来訪情報211が生成されると、直ちに当該来訪情報211を全ての室内子機5に向けて送信するよう無線通信部27を制御する。また、来訪情報211に応答して、室内子機5から外線応答信号が得られた場合には、当該外線応答信号を有線通信制御部202に伝達する。このとき、応答した室内子機5から、屋外カメラ4と接続するよう要求があった場合、当該室内子機5と屋外カメラ4とを接続する。
【0062】
一方、室内子機5から他の室内子機5を呼び出す信号(以下、「内線要求信号」と称する)を得た場合は、当該他の室内子機5に呼び出し信号(以下、「内線呼出信号」と称する)を送信するよう無線通信部27を制御する。また、内線呼出信号に応答して、内線応答信号があった場合は、内線要求信号を送信した室内子機5と、内線応答信号を送信した室内子機5とを回線接続するよう無線通信部27を制御する。これにより、ドアホンシステム1における内線通話機能が実現される。
【0063】
また、無線通信制御部203は、モード制御部201から緊急モード移行信号が伝達されると、全ての室内子機5に当該緊急モード移行信号を送信するとともに、全ての室内子機5において他の全ての室内子機5との間で内線通話可能な状態に回線接続するよう無線通信部27を制御する。すなわち、モード制御部201が、ドアホンシステム1の動作モードを緊急モードに移行させると、室内子機5は一斉内線通話状態に移行する。なお、一斉内線通話状態における動作等は後述する。
【0064】
このように、本実施の形態におけるドアホンシステム1では、各室内子機5の応答状況にかかわらず、強制的に一斉内線通話状態に回線を接続する。この場合、何らかの事情で室内子機5を操作できない家人に対しても、他の家人から再生音声による呼びかけが可能である。
【0065】
しかし、例えば、全ての室内子機5に対して、一斉に内線呼出信号を送信し、これに応答した室内子機5から順次、一斉内線通話状態となるように追加的に回線接続してもよい。この場合、応答のない室内子機5を操作すべき家人に何らかの事情が発生した可能性があることを、他の家人は容易に理解できる。
【0066】
さらに、無線通信制御部203は、室内子機5から画像情報213を要求する信号(以下、「画像要求信号」と称する)を受信した場合は、当該室内子機5に画像情報213を送信する。このとき送信される画像情報213は、屋外カメラ4から得られた画像のみならず、他の室内子機5あるいは室外子機3から得られた画像であってもよい。無線通信制御部203は、画像要求信号に含まれる識別子に応じて、要求された画像情報213を送信する(詳細は後述する)。
【0067】
図1に戻って、室外子機3は、図示しない操作ボタンを備えており、主に住居を訪れた訪問者によって操作される。訪問者によって操作ボタンが操作されると、室外子機3は、本体ユニット2に対して来訪情報211を生成して送信する。
【0068】
また、室外子機3は、図示しないスピーカ、マイクおよびカメラを備えており、本体ユニット2によって回線接続された室内子機5との間で音声通話が可能であるとともに、当該室内子機5に向けて画像情報213を送信することが可能とされている。すなわち、訪問者が発した音声をマイクによって音声情報212に変換して送信するとともに、訪問者をカメラによって撮像してその画像情報213を送信する。また、室内子機5から受信した音声情報212をスピーカによって再生する。
【0069】
屋外カメラ4は、本体ユニット2と接続されており、本体ユニット2からの制御信号(以下、「撮像要求信号」と称する)に基づいて、撮像を行い、撮像により取得した画像情報213を、本体ユニット2を介して、撮像要求信号を送信した室内子機5に送信する。屋外カメラ4は、所望の領域(主に玄関付近)を撮像するために使用される。
【0070】
図4は、室内子機5の構成を示すブロック図である。室内子機5は、CPU50、記憶装置51、操作部52、表示部53、スピーカ54、マイク55、カメラ56、無線通信部57、電源部58、受信部59および加振部60を備える。
【0071】
CPU50は、記憶装置51に記憶されているプログラムに従って動作することにより、各種データの演算や制御信号の生成を行う。図4に示すように、CPU50は、バス配線により室内子機5の各構成と接続されており、生成した制御信号によってこれらの構成を制御する。なお、CPU50の動作および機能についての詳細は後述する。
【0072】
記憶装置51は、各種ROMや、RAMから構成されており、プログラムや、呼出音や警報音等の各種データを記憶する。
【0073】
操作部52は、複数のボタン類から構成される。家人は、操作部52を操作することにより、室内子機5(ドアホンシステム1)に必要な指示情報を入力することができる。家人によって入力される指示情報としては、来訪情報211や内線呼出信号等に応答するための応答情報や、画面を切り替える切替情報等がある。
【0074】
表示部53は、液晶ディスプレイや、LED等から構成され、これらによって様々な情報を表示し、オペレータに各種状態を知らせる機能を有する。例えば、表示部53は、受信部59によって受信した地上波デジタル放送の画面を表示したり、他の室内子機5のカメラ56や室外子機3、あるいは屋外カメラ4によって撮像された画像情報213を表示する。
【0075】
スピーカ54は、一般的な音声再生装置であり、電気信号(音声情報212)に基づいて音声を再生する機能を有する。スピーカ54によって再生される音声情報212に含まれる音声としては、室外子機3または他の室内子機5から本体ユニット2を介して送信される音声(外線・内線通話における音声)、受信部59によって受信された地上波デジタル放送の音声、あるいは記憶装置51に予め記憶されている呼出音や警報音等がある。
【0076】
マイク55は、室内子機5の周囲の音声を電気信号(音声情報212)に変換する機能を有する。マイク55は、主に室内子機5を使用する家人の肉声を音声情報212に変換するために使用される。
【0077】
カメラ56は、一般的なデジタルカメラとしての機能を有し、CPU50からの制御信号に従って撮像を行い、画像情報213を生成する。
【0078】
無線通信部57は、室内子機5と本体ユニット2とを無線によるデータ通信可能な状態で接続する機能を有する。具体的には、無線通信を実現するための送信アンテナや、受信アンテナ等が該当する。
【0079】
電源部58は、図示しない端子部および蓄電用のバッテリを備えており、室内子機5を駆動するための電力を供給するとともに、出力制御部501(図5)に給電状況を示す給電状況識別信号を伝達する。なお、端子部は、商用電源に接続されるクレードルと室内子機5とを電気的に接続する。
【0080】
電源部58は、端子部がクレードルに接続されている場合には、商用電源から電力を供給する。また、このときバッテリに蓄電されている電力量(蓄電容量)が低下していればバッテリへの蓄電も行う。一方、端子部がクレードルに接続されていない場合には、バッテリから電力を供給する。
【0081】
受信部59は、CPU50からの受信要求信号に応じて、地上波デジタル放送を受信するモジュールである。
【0082】
加振部60は、一般的なバイブレータであり、CPU50からの制御信号に応じて、室内子機5を加振し、バイブレーションを発生させる。これにより、室内子機5は、家人に警報情報や来訪情報211を出力するためのバイブレーション機能を実現する。
【0083】
図5は、室内子機5の機能ブロックを情報の流れとともに示す図である。図5に示すモード制御部500および出力制御部501が、主にCPU50がプログラムに従って動作することにより実現される機能ブロックである。
【0084】
モード制御部500は、室内子機5の動作モードを、通常モード、省電力モードおよび緊急モードのいずれかに切り替えるとともに、マイク55、カメラ56、受信部59および出力制御部501に切り替えた後の動作モードを伝達する機能を有する。
【0085】
モード制御部500は、操作部52および無線通信部57を監視しており、これらから所定の時間、何らの信号も伝達されなかった場合には、動作モードを「省電力モード」に切り替える。省電力モードになると、表示部53、スピーカ54、マイク55、カメラ56、受信部59および加振部60はその機能を停止し、室内子機5における消費電力が抑制される。たたし、省電力モードにおいても、CPU50、記憶装置51、操作部52、無線通信部57および電源部58は機能する。
【0086】
一方、モード制御部500は、操作部52または無線通信部57から、何らかの信号が伝達された場合には、動作モードを「通常モード」に切り替える。ただし、無線通信部57から伝達された信号が、緊急モード移行信号であった場合には、動作モードを「緊急モード」に切り替える。通常モードおよび緊急モードでは、室内子機5における全ての機能が使用可能となるが、緊急モードでは、そのうちの一部の機能が自動的に動作を開始する点が通常モードと異なる(詳細は後述する)。
【0087】
出力制御部501は、モード制御部500から伝達される動作モードと、電源部58から伝達される給電状況識別信号とに基づいて、室内子機5における警報情報を出力する構成(本実施の形態では、表示部53、スピーカ54および加振部60)を制御する。なお、給電状況識別信号とは、室内子機5における充電状況を示す信号であって、具体的には、電源部58のバッテリの充電状況や、端子がクレードルに接続されているか等を示す信号である。
【0088】
記憶装置51には、表示部53、スピーカ54および加振部60の消費電力量が予め測定され、それぞれ設定情報として記憶されている。出力制御部501は、給電状況識別信号に基づいて室内子機5が消費できる電力量を判定し、この判定結果と設定情報とに応じて表示部53、スピーカ54および加振部60を制御する。
【0089】
図1に戻って、ロックユニット6は、本体ユニット2とケーブルで接続されており、本体ユニット2から送信される施錠信号または解錠信号に基づいて、ドア90を施錠したり、解錠したりする。
【0090】
開閉バルブ7は、いわゆる電磁弁である。開閉バルブ7は、本体ユニット2とケーブルで接続されており、本体ユニット2からの開放信号または閉鎖信号に基づいて、ガスコンロ91に連通されるガス管92を開閉する。
【0091】
以上が、本実施の形態におけるドアホンシステム1の構成および機能の説明である。次に、ドアホンシステム1の動作について説明する。ただし、以下の説明において、訪問者があった場合の報知処理や、通常の通信処理の動作については、一般的なドアホンシステムと同様に実現可能であるため、概略的にのみ説明する。
【0092】
図6は、ドアホンシステム1の動作を示す流れ図である。ドアホンシステム1では、電源が投入されると、所定の初期設定(ステップS1)を実行してから待機状態となる。
【0093】
待機状態においてドアホンシステム1は、室外子機3において操作ボタンが操作されたか(ステップS2)、室内子機5において通信が要求されたか(ステップS4)、あるいは本体ユニット2において地上波デジタル放送の緊急警報放送を検出したか(ステップS6)を監視する。
【0094】
訪問者によって室外子機3の操作ボタンが操作されると、ドアホンシステム1は、ステップS2においてYesと判定し、報知処理を実行する(ステップS3)。報知処理とは、主に訪問者があったことを家人に知らせる処理である。
【0095】
ステップS3における報知処理を簡単に説明すると、まず室外子機3が来訪情報211を作成して、本体ユニット2に送信する。これにより、本体ユニット2は来訪情報211を取得する。本体ユニット2が来訪情報211を受信すると、無線通信制御部203および無線通信部27が受信した来訪情報211を各室内子機5に送信する。
【0096】
各室内子機5の無線通信部57は、来訪情報211を受信すると、まずモード制御部500に来訪情報211があったことを伝達する。これに応じてモード制御部500は動作モードが「省電力モード」である場合、動作モードを「通常モード」に切り替える。通常モードに切り替えられたことを示す信号は、モード制御部500からマイク55、カメラ56、受信部59および出力制御部501に伝達され、さらに出力制御部501によって表示部53、スピーカ54および加振部60に伝達される。
【0097】
このようにして、例え訪問者があったときに室内子機5が省電力モードになっていたとしても、室内子機5は、いわゆるウェイクアップされ、各構成が動作可能な状態となる。なお、来訪情報211を受信したときに、動作モードが「緊急モード」あるいは「通常モード」であった場合には、すでに室内子機5の各構成はウェイクアップされているので、モード制御部500は動作モードを切り替えない。これにより、本実施の形態におけるドアホンシステム1は、訪問者によって、緊急モードが勝手に通常モードに切り替えられることを防止する。
【0098】
次に、無線通信部57は、スピーカ54に来訪情報211を伝達する。これにより、各室内子機5のスピーカ54は、来訪情報211に対応した音声情報212(予め外線要求として準備されている呼出音)を再生する。このように、ドアホンシステム1は、訪問者があった場合、各室内子機5において呼出音を再生することによって家人に報知する。すなわち、スピーカ54は本発明における報知手段に相当する。
【0099】
なお、このとき、無線通信部57が、表示部53や加振部60に来訪情報211を伝達し、これに応じて表示部53が来訪情報211を表示したり、加振部60がバイブレーションを発生させてもよい。すなわち、表示部53や、加振部60を、本発明における報知手段として使用してもよい。
【0100】
以上が、本実施の形態における報知処理の概要である。なお、本実施の形態におけるドアホンシステム1は、室内子機5を無線通信可能ないわゆるワイヤレス子機とすることにより、例え家人が室内を移動したとしても、当該室内子機5を家人が携帯することができる。したがって、室内子機5が常に家人の近傍に配置されることが期待できるため、有線通信のみ可能な子機に比べて、上記報知処理において優れた効果を発揮する。これは、後述する緊急処理においても同様である。
【0101】
待機状態において、家人が室内子機5の操作部52を操作し、当該室内子機5において通信が要求された場合、ドアホンシステム1は、ステップS4においてYesと判定し、通信処理を実行する(ステップS5)。通信処理とは、ドアホンシステム1が備える端末装置(室外子機3、屋外カメラ4および複数の室内子機5)のうちの少なくとも2つの装置が、本体ユニット2を介して、互いに通信を行う処理である。
【0102】
例えば、室外子機3と室内子機5との間の通信では、訪問者と家人との間で音声通信(音声通話)が双方向に行われる。また、室外子機3(屋外カメラ4)と室内子機5との間の通信では、訪問者(屋外)を撮像した画像情報213が室内子機5に送信される。さらに、2つの室内子機5の間では、内線通話が可能であり、この場合、マイク55によって取得された音声情報212およびカメラ56によって取得された画像情報213の両方が双方向に通信される。
【0103】
家人は、室内子機5の操作部52を操作することによって、所望の通信処理を選択することが可能とされている。
【0104】
通信相手として、室外子機3または屋外カメラ4が選択された場合には、ドアホンシステム1(本体ユニット2)は、通信相手からの応答の有無にかかわらず、要求した室内子機5と、選択された通信相手とを接続する。
【0105】
一方、通信相手として、室内子機5が選択された場合には、本体ユニット2は、選択された室内子機5に対して内線要求信号を送信する。なお、内線要求信号は、内線要求を行った端末装置が当該要求を停止するか、通信相手として選択された室内子機5が応答するまで継続的に送信される。
【0106】
この内線要求信号を受信した室内子機5の無線通信部57は、まずモード制御部500に内線要求信号があったことを伝達する。これに応じてモード制御部500は動作モードが「省電力モード」である場合には、動作モードを「通常モード」に切り替える。通常モードに切り替えられたことを示す信号は、来訪情報211を受信した場合と同様に、モード制御部500からマイク55、カメラ56、受信部59および出力制御部501に伝達され、さらに出力制御部501によって表示部53、スピーカ54および加振部60に伝達される。
【0107】
このようにして、例え内線要求信号があったときに当該室内子機5が省電力モードになっていたとしても、当該室内子機5は、いわゆるウェイクアップされ、各構成が動作可能な状態となる。
【0108】
この状態で、無線通信部57は、スピーカ54に内線要求信号を伝達する。これにより、通信相手として選択された室内子機5のスピーカ54は、内線要求信号に対応した音声情報212(予め内線要求に対して準備されている呼出音)を再生する。このように、ドアホンシステム1は、室内子機5に対して内線要求があった場合、当該室内子機5において呼出音を再生することによって家人に報知する。
【0109】
このとき、無線通信部57は表示部53や加振部60に内線要求信号を伝達し、これに応じて表示部53が通信を要求している端末装置を表示したり、加振部60がバイブレーションを発生させることが好ましい。このように、音声よる報知だけでなく、表示やバイブレーションによる報知がされることにより、通信相手として選択された室内子機5を所持している家人は、特に、自分が呼び出されていることを意識することができる。
【0110】
内線要求信号が停止するか、内線要求信号が継続している間に当該室内子機5において応答操作がされると、スピーカ54(表示部56および加振部60)は報知動作を停止する。
【0111】
室内子機5において応答操作がされると、無線通信部57は本体ユニット2に内線応答信号を送信する。この内線応答信号を受信した本体ユニット2は当該室内子機5と内線要求を行った端末装置とを通信可能な状態に接続し、通信が開始される。
【0112】
通信を行っているいずれかの端末装置において、通信を終了する信号が送信されると、本体ユニット2は、通信中の回線を切断し、通信処理を終了する。以上が、本実施の形態における通信処理の概要である。
【0113】
待機状態において、警報検出部26において緊急警報放送がされたことを検出した場合、ドアホンシステム1は、ステップS6においてYesと判定し、緊急処理を実行する(ステップS7)。
【0114】
図7および図8は、本体ユニット2における緊急処理の詳細を示す流れ図である。
【0115】
地上波デジタル放送において緊急警報放送がされたことを示す検出信号が伝達されると、本体ユニット2のモード制御部201は緊急モード移行信号を生成し(ステップS11)、表示部23に伝達する。これにより、ドアホンシステム1の動作モードは、「緊急モード」に切り替えられる。緊急モード移行信号が伝達されると、本体ユニット2の表示部23は、専用のLEDを点灯することにより警報情報を出力する。
【0116】
次に、モード制御部201は、緊急モード移行信号を有線通信制御部202および無線通信制御部203に伝達する。これにより、無線通信制御部203は、無線通信部27を制御して各室内子機5に緊急モード移行信号を送信させるとともに、一斉内線通話状態に回線を接続する(ステップS12)。また、有線通信制御部202は、有線通信部28を制御して室外子機3および屋外カメラ4も回線接続する。
【0117】
これにより、家人は、特に操作を行う必要もなく、各室内子機5において取得される音声および画像、室外子機3において取得される音声および画像、および屋外カメラ4において取得される屋外の画像を、各自の室内子機5において確認することができる。したがって、緊急警報放送がされた場合、家人は、迅速かつ容易に互いの安否や屋外の状況を把握することができる。なお、ステップS12において送信された緊急モード移行信号を受信した室内子機5の動作については後述する。
【0118】
緊急モード移行信号が伝達された有線通信制御部202は、ステップS12の処理と並行して、解錠信号を生成し、有線通信部28を制御してロックユニット6に向けて送信させる(ステップS13)。また、閉鎖信号を生成し、有線通信部28を制御して開閉バルブ7に向けて送信させる(ステップS14)。
【0119】
解錠信号を受信したロックユニット6は、ドア90の鍵を解錠するよう制御する。このように、ドアホンシステム1では、緊急警報放送が検出されると、これに基づいてドア90が自動的に解錠されるので、家人が自力で逃げ出せない場合でも、外部から容易に救助することができる。すなわち、家人が住居内に閉じこめられることを抑制することができ、災害における救助活動が促進される。
【0120】
また、閉鎖信号を受信した開閉バルブ7は、ガス管92を閉じる。このように、ドアホンシステム1では、緊急警報放送が検出されると、これに基づいてガス管92が閉じられるので、ガスコンロ91に対するガスの供給を自動的に停止させることができる。特に、緊急警報放送は、災害が発生する前に、予報として放送される場合もあるので、例えば、地震の揺れが発生する前に、予めガスコンロ91に対するガスの供給を停止できる。したがって、火災やガス漏れの発生を効果的に防止することができる。
【0121】
次に、モード制御部201は、家人によって緊急モードが解除されたか否かを判定する(ステップS15)。具体的には、モード制御部201が操作部22を監視しつつ、家人によって緊急モードを解除する指示情報が入力されたか否かによって判定する。
【0122】
家人が操作部22を操作して、緊急モードを解除する指示情報を入力すると、ステップS15においてYesと判定し、モード制御部201が解除信号を生成し(ステップS21)、表示部23に伝達する。これにより、ドアホンシステム1の緊急モードが解除される。解除信号が伝達されると、本体ユニット2の表示部23は、専用のLEDを消灯することにより警報情報の出力を停止する。
【0123】
次に、モード制御部201は、解除信号を有線通信制御部202および無線通信制御部203に伝達する。これにより、無線通信制御部203は、無線通信部27を制御して各室内子機5に解除信号を送信させるとともに、一斉内線通話状態を終了する(ステップS22)。このとき、有線通信制御部202は、有線通信部28を制御して室外子機3および屋外カメラ4も回線切断する。
【0124】
解除信号が伝達された有線通信制御部202は、さらにステップS22の処理と並行して、施錠信号を生成し、有線通信部28を制御してロックユニット6に向けて送信させる(ステップS23)。また、開放信号を生成し、有線通信部28を制御して開閉バルブ7に向けて送信させる(ステップS24)。
【0125】
このように、本実施の形態におけるドアホンシステム1では、解除信号が生成されると、これに応じてドア90が施錠され、ガス管92が開放される。しかし、解除信号が生成された場合において、施錠信号および開放信号を生成するか否かは、家人によって選択されてもよい。
【0126】
施錠信号を受信したロックユニット6は、ドア90の鍵を施錠するよう制御する。このように、ドアホンシステム1では、緊急モードが家人によって解除されると、これに基づいてドア90が自動的に施錠されるので、回復時に家人がドア90の鍵を手動で施錠する必要がない。
【0127】
また、開放信号を受信した開閉バルブ7は、ガス管92を開放する。このように、ドアホンシステム1では、緊急モードが家人によって解除されると、これに基づいてガス管92が開放されるので、ガスコンロ91に対するガスの供給を自動的に回復させることができる。
【0128】
このようにして、ドアホンシステム1の緊急モードが解除されると、本体ユニット2は緊急処理を終了して、図6に示す処理に戻る。以上が本体ユニット2における緊急処理である。
【0129】
図9および図10は、室内子機5における緊急処理の詳細を示す流れ図である。室内子機5は、緊急モード移行信号を本体ユニット2から受信したことによって、緊急処理を開始する。
【0130】
まず、無線通信部57が、受信した緊急モード移行信号をモード制御部500に伝達し、モード制御部500が室内子機5の動作モードを「緊急モード」に移行させる(ステップS31)。具体的には、モード制御部500がマイク55、カメラ56、受信部59および出力制御部501に緊急モード移行信号を伝達し、さらに、出力制御部501が表示部53、スピーカ54および加振部60に緊急モード移行信号を伝達する。
【0131】
これにより、これらの構成がウェイクアップされる。なお、このとき室内子機5は、本体ユニット2によって回線接続されており、すでに一斉内線通話可能な状態にされている。
【0132】
緊急モード移行信号が伝達されたマイク55、カメラ56および受信部59は、単にウェイクアップされるだけでなく、音声情報212の生成、画像情報213の撮像および地上波デジタル放送の受信をそれぞれ開始する。これにより、他の室内子機5において、当該室内子機5で取得された音声情報212および画像情報213を確認できる。
【0133】
また、緊急モード移行信号が伝達されたスピーカ54は、緊急モード移行信号に対応した音声情報212(予め記憶されている警報音)の再生を開始する(ステップS32)。すなわち、スピーカ54は、警報情報として警報音を出力する。
【0134】
なお、スピーカ54の消費電力は比較的少なく、また、就寝中の家人にも容易に認識されるので、警報情報を報知する手段としては効果的である。したがって、出力制御部501は、室内子機5(電源部58)の給電状況にかかわらず、スピーカ54による警報情報の出力を開始する。
【0135】
次に、出力制御部501は、電源部58の端子がクレードルに接続されているか否かを判定する(ステップS33)。
【0136】
室内子機5がクレードルに接続されており、商用電源から電力供給を受けている場合には、電力消費を問題にする必要性は低いので、表示部53およびスピーカ54に、受信部59が受信した地上波デジタル放送の出力を開始させる(ステップS34)。
【0137】
このようにして、ドアホンシステム1では、地上波デジタル放送の画面が警報情報として表示部53に表示され、地上波デジタル放送の音声が警報情報としてスピーカ54によって再生される(この場合、警報音は停止する)。すなわち、室内子機5は地上波デジタル放送を警報情報として出力する。
【0138】
これにより、家人は、何らの操作を行うことなく、地上波デジタル放送の視聴を開始することができ、突発的に発生する緊急警報放送を迅速かつ確実に視聴することができる。したがって、家人は緊急警報放送の内容も容易に確認できる。
【0139】
一方、室内子機5がクレードルに接続されていない場合(ステップS33においてNo)、出力制御部501は、電源部58のバッテリの充電状況を確認し、バッテリの充電容量が充分か否かを判定する(ステップS35)。
【0140】
充電容量が充分である場合(ステップS36においてYes)、出力制御部501は、加振部60に加振(バイブレーションの生成)を開始させる(ステップS36)。
【0141】
これにより、バイブレーションが警報情報として出力されるので、画像および音声による出力のみに比べて、家人に対する警報情報の報知効果が向上する。なお、地上波デジタル放送の視聴に比べて、加振部60の消費電力量は小さいので、電源部58のバッテリが充分に充電されていれば、バイブレーションを発生させてもよい。また、室内子機5がクレードルに接続されている場合は、ステップS34の後にステップS36が実行されるので、地上波デジタル放送の出力に加えて、バイブレーションの出力も実行される。
【0142】
電源部58のバッテリの充電容量が充分でない場合(ステップS35においてNo)、出力制御部501は、ステップS36をスキップする。この場合、ドアホンシステム1において、警報情報はスピーカ54からの警報音の再生によってのみ出力されることとなるため、消費電力が抑制される。
【0143】
このように、給電状況に応じて、出力制御部501が警報情報を出力するハードウェアを制御するので、ドアホンシステム1は、緊急警報放送がされたことを、効率よく、家人に報知することができる。
【0144】
また、音声やバイブレーションによって警報情報が出力された場合、家人は、どのような緊急警報放送がされたのか、その内容まで把握することはできない。しかし、最低限度、緊急警報放送がされたことを家人が認識できれば、その家人は自力でテレビ受像器を視聴して確認できる。したがって、スピーカ54から音声のみ出力される場合は、再生される音声情報212は、「緊急警報放送がされました。放送を視聴してください。」等、家人に地上波デジタル放送を視聴するように促すメッセージを含むことが好ましい。
【0145】
以後、出力制御部501は、警報情報を出力しつつ、室内子機5の給電状況が充分か否か(ステップS41)、および緊急モードが解除されたか否か(ステップS43)を監視する。
【0146】
警報情報の出力中に室内子機5(電源部58)の給電状況が悪化すると、出力制御部501はステップS41においてNoと判定し、節電処理を行う。節電処理とは、実行中の出力方法のうち、消費電力の多いものから順次停止させる処理である。
【0147】
また、警報情報の出力中に緊急モードが解除されると、出力制御部501はステップS43においてYesと判定し、実行している警報情報の出力を停止させる(ステップS44)。
【0148】
なお、室内子機5における「緊急モード」が解除される場合とは、本体ユニット2から解除信号を受信した場合か、操作部52が家人によって操作されて緊急モードを解除する指示情報が入力された場合である。
【0149】
本実施の形態における室内子機5では、いずれの場合でもステップS44を実行することにより出力制御部501が警報情報の出力を停止させるが、後者の場合、無線通信部57による回線切断は行わない。警報情報は、一旦、家人に認識されれば以後、報知しつつげる意味は少なく、逆に煩わしく感じられる場合がある。しかし、例えば、避難が完了するまで等、通話状態は維持することが好ましいからである。
【0150】
一方、本体ユニット2の操作部22が操作され、解除信号が生成されてすべての室内子機5に送信される場合、誤報、あるいはあまり関係のない緊急警報放送であった可能性が高い。この場合には、それぞれの室内子機5を操作することなく、緊急モードを解除することが好ましい。したがって、前者の場合、室内子機5の無線通信部57は室内子機5の回線を切断する。
【0151】
ステップS44を実行して警報情報の出力を停止すると、室内子機5は緊急処理を終了し、図6の処理に戻る。
【0152】
以上のように、ドアホンシステム1は、通常、常に電源が投入されている本体ユニット2において、受信部29が地上デジタル放送を常時受信し、警報検出部26が常時受信信号を監視する。これにより、いつ放送されるかわからない突発な緊急警報放送を漏れなく、迅速に検出することができる。そして、緊急警報放送を検出した場合に、警報情報を出力するので、家人は緊急警報放送がされたことを迅速に認識できる。
【0153】
なお、本実施の形態における室内子機5が使用される場合、室内子機5は必ずしも通信処理を行わなければならないわけではなく、受信部59によって受信された地上波デジタル放送を視聴するために使用されてもよい。すなわち、受信部59の機能は緊急モードにおいて機能するだけでなく、家人は室内子機5を地上波デジタル放送のテレビ受像器として使用してもよい。
【0154】
また、地上波デジタル放送を出力する際に、比較的多量の電力を消費するのは、表示部53の液晶ディスプレイに画像を表示するためである。したがって、電源部58の給電状況が悪い場合に、地上波デジタル放送の音声のみをスピーカ54に再生させてもよい。この場合、家人は緊急警報放送の内容を音声によって確認することができる。
【0155】
また、地上波デジタル放送を出力する場合、視聴するチャンネルは、予め登録されていてもよい。あるいは、本体ユニット2から視聴すべきチャンネルを示す情報が室内子機5に対して送信されてもよい。
【0156】
また、室内子機5に本体ユニット2の警報検出部26に相当する構成を予め搭載しておき、室内子機5がクレードルに接続されている間は、受信部59から伝達される受信信号を室内子機5自身が監視する構成としてもよい。
【0157】
一般に、「停電」は、就寝中の家人にとって認識困難な状況であるにもかかわらず、災害時には比較的頻繁に発生するという性質があり、ドアホンシステム1において、停電時に警報情報を出力可能に構成することは好ましい。給電状況にかかわらず、室内子機5が常時緊急警報放送を監視する構成とすれば、無線通信を行う室内子機5にはバッテリが設けられているので、停電によって本体ユニット2が機能しない場合にも、緊急警報放送を検出して警報情報を出力できる。あるいは、本体ユニット2にバッテリを設けて、停電時に切り替わるように構成してもよい。
【0158】
また、緊急モードにおいて、表示部53に表示する画像情報213は、操作部52を操作することにより、切り替えられるものであってもよい。すなわち、緊急警報放送の画面、他の室内子機5のカメラ56が撮像した画像や、室外子機3あるいは屋外カメラ4が撮像した画面等を切り替えて表示する構成であってもよい。
【0159】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0160】
例えば、ドアホンシステム1は、屋外を撮像する装置として、室外子機3および屋外カメラ4のみを備えているとして説明した。しかし、ドアホンシステム1は、災害時に動作する屋外撮像装置を別途備えていてもよい。例えば、危険箇所(近くの側溝や裏の崖等)を撮像する装置や、住居の屋根に取り付けて広範囲の周囲を撮像する装置を設けてもよい。
【0161】
また、家人の安否を画像で確認するための撮像装置は、室内子機5のカメラ56に限定されるものではなく、屋内に別途撮像装置を設けてもよい。例えば、住居の各部屋の天井に撮像装置を取り付ければ、より詳細に屋内の状況を確認することができる。
【0162】
また、各室内子機5において出力される地上波デジタル放送は、各室内子機5の受信部59において受信されなくてもよい。例えば、本体ユニット2の受信部29が受信した地上波デジタル放送を各室内子機5に送信してもよい。また、本体ユニット2以外の装置を、別途、専用に設けて、本体ユニット2を介して送信してもよい。この場合、室内子機5に受信部59は不要となる。すなわち、ドアホンシステム1は、地上波デジタル放送を受信する構成と、受信した受信信号から緊急警報放送を検出する構成とが、それぞれ少なくとも1つずつ備えていれば、それがどの装置に設けられていてもよい。
【0163】
また、本体ユニット2は、主に回線接続機能を有する中継ユニット(交換機)として説明したが、例えば、本体ユニット2が室内子機5の構成および機能をさらに備えていてもよい。すなわち、本体ユニット2がいわゆる親機として構成されていてもよい。
【0164】
また、ドアホンシステム1を公衆電話回線網やインターネット等の広域網と接続すれば、緊急モードにおいて携帯電話等に呼出を行うことも可能である。携帯電話は家人によって常時携帯される可能性が高いので、例えば帰宅していない家人に対しても安否確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明に係るドアホンシステムを示す図である。
【図2】本体ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】本体ユニットの機能ブロックを情報の流れとともに示す図である。
【図4】室内子機の構成を示すブロック図である。
【図5】室内子機の機能ブロックを情報の流れとともに示す図である。
【図6】ドアホンシステムの動作を示す流れ図である。
【図7】本体ユニットにおける緊急処理の詳細を示す流れ図である。
【図8】本体ユニットにおける緊急処理の詳細を示す流れ図である。
【図9】室内子機における緊急処理の詳細を示す流れ図である。
【図10】室内子機における緊急処理の詳細を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0166】
1 ドアホンシステム
2 本体ユニット
201 モード制御部
21 記憶装置
211 来訪情報
212 音声情報
213 画像情報
22 操作部
23 表示部
26 警報検出部
27 無線通信部
28 有線通信部
29 受信部
3 室外子機
4 屋外カメラ
5 室内子機
500 モード制御部
501 出力制御部
51 記憶装置
52 操作部
53 表示部
54 スピーカ
55 マイク
56 カメラ
56 表示部
57 無線通信部
58 電源部
59 受信部
60 加振部
6 ロックユニット
7 開閉バルブ
90 ドア
92 ガス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家人に訪問者の有無を報知するドアホンシステムであって、
訪問者によって操作されたことを示す来訪情報を生成する室外子機と、
前記室外子機によって生成された来訪情報を取得する本体ユニットと、
前記本体ユニットによって取得された来訪情報を出力する報知手段と、
地上波デジタル放送を受信する受信手段と、
受信手段により受信された地上波デジタル放送に緊急警報放送が含まれているか否かを検出する警報検出手段と、
前記警報検出手段の検出結果に応じて、警報情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のドアホンシステムであって、
前記本体ユニットとの間で通信を行う少なくとも1つの室内子機をさらに備え、
前記少なくとも1つの室内子機に前記出力手段が設けられていることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のドアホンシステムであって、
前記少なくとも1つの室内子機は、
蓄電可能な電源部と、
前記本体ユニットとの間の通信を無線通信で行う無線通信部と、
を備えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のドアホンシステムであって、
前記少なくとも1つの室内子機の給電状況に基づいて、前記少なくとも1つの室内子機に設けられた出力手段を制御する出力制御手段をさらに備えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記少なくとも1つの室内子機は、前記少なくとも1つの室内子機の動作モードを、動作状況に応じて、省電力モードに切り替えるとともに、前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記動作モードを、前記省電力モードから前記出力手段が動作可能なモードに切り替えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記ドアホンシステムを一斉内線通話可能なモードに切り替えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
所定の領域を画像情報として撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像情報を表示する表示手段と、
をさらに備え、
前記表示手段は、前記警報検出手段の検出結果に応じて、前記画像情報を表示することを特徴とするドアホンシステム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記警報検出手段の検出結果に応じて、ガス管を開閉する開閉手段をさらに備えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記警報検出手段の検出結果に応じて、ドアの錠を制御する錠制御手段をさらに備えることを特徴とするドアホンシステム。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記出力手段は、警報情報として音声を出力することを特徴とするドアホンシステム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記出力手段は、警報情報として振動を出力することを特徴とするドアホンシステム。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のドアホンシステムであって、
前記出力手段は、警報情報として地上波デジタル放送を出力することを特徴とするドアホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−72292(P2008−72292A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247865(P2006−247865)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(500040908)株式会社メガチップスシステムソリューションズ (80)
【Fターム(参考)】