説明

ナット付樹脂ギヤ部品

【課題】樹脂ギヤ部品に金属製のナット部品をインサートしたものであっても、ギヤ歯の強度低下や寸法精度の低下を防ぎ、信頼性を高める。
【解決手段】金属製のカムプレートが組付けられる最終ギヤ3は、所定角内のみにギヤ歯3aが設けられる樹脂ギヤ部品αと、この樹脂ギヤ部品αにインサートされた金属製のナット部品βとを備え、ナット中心Dをギヤ無範囲θbのみに配置する。これにより、ウェルドはギヤ歯3aが存在しない部位のみに形成され、ギヤ歯3aにウェルドによる強度低下を防ぐことができる。また、ギヤ歯3aへ向かう溶融樹脂の流れの広がりがナット部品βによって阻害されないため、ギヤ歯3aの寸法精度の低下が防がれる。このように、ギヤ歯3aの強度低下および精度低下を防ぐことができ、信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回動範囲にギヤ歯を有する樹脂ギヤ部品に、金属製のナット部品がインサートされてなるナット付樹脂ギヤ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
ギヤ歯が形成されるギヤ部品と、金属材料で設けることが要求される金属部品(例えば、耐摩耗性や耐荷重性が要求されるカムプレート等)とを、一体に回動させる要求がある。
この場合、ギヤ部品と金属部品を一体の金属で設けると、強度や信頼性が得られる反面、コストと重量が増加する不具合がある。
【0003】
そこで、高い強度が要求される部分を金属部品で設け、さほど高い強度を必要としないギヤ部品を樹脂で設け、樹脂ギヤ部品(樹脂製のギヤ部品)に金属部品を取り付けることで、コストダウンと重量の軽減を図ることが考えられる。
この場合、図1(a)に示すように、樹脂ギヤ部品αに金属部品を取り付ける手段として、樹脂ギヤ部品αに金属製のナット部品βを予めインサートしておき、樹脂ギヤ部品αに金属部品を装着した後、ナット部品βにネジを締結することで金属部品を樹脂ギヤ部品αに固定することが考えられる。
【0004】
しかしながら、樹脂ギヤ部品αを成形型内において射出成形する際(樹脂成形時)、溶融樹脂の流れ{図1(a)の矢印X参照}がナット部品βを回り込むため、ナット部品βの外径側のギヤ歯3aにウェルド(樹脂の合流による合わせ目)が生じ、ウェルドによってギヤ歯3aの強度が低下する不具合が発生する。
また、樹脂成形時、溶融樹脂の流れの広がり{図2(a)の破線Y参照}がナット部品βによって阻害されるため、ナット部品βの外形側のギヤ歯3aに対する溶融樹脂の充填不良が生じ易くなり、ギヤ歯3aの寸法精度が低下する不具合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−150955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂ギヤ部品に金属製のナット部品をインサートしたものであっても、ギヤ歯の強度低下や寸法精度の低下を防ぎ、高い信頼性を確保できるナット付樹脂ギヤ部品の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[請求項1の手段]
本発明では、
・ギヤ歯の一方の回動端を、一方ギヤ端A、
・ギヤ歯の他方の回動端を、他方ギヤ端B、
・樹脂ギヤ部品の回動中心を、回動中心C、
・ナット部品における雌ネジの中心を、ナット中心D、
・一方ギヤ端Aと回動中心Cを結ぶ直線を、仮想直線A−C、
・他方ギヤ端Bと回動中心Cを結ぶ直線を、仮想直線B−C、
・仮想直線A−Cと仮想直線B−Cで区画されてギヤ歯が設けられる側における樹脂ギヤ部品の範囲をギヤ有範囲θa、
・仮想直線A−Cと仮想直線B−Cで区画されてギヤ歯が設けられない側における樹脂ギヤ部品の範囲をギヤ無範囲θb、
と定義する。
【0008】
そして、樹脂ギヤ部品において、ナット中心Dをギヤ有範囲θaには配置せず、ナット中心Dをギヤ無範囲θbのみに配置することにより(ナット中心Dが仮想直線A−C上または仮想直線B−C上に配置される場合を含む)、樹脂成形時において、ギヤ歯にウェルドが形成されるのを防ぐことができ、ウェルドによるギヤ歯の強度低下を防ぐことができる。
また、樹脂ギヤ部品において、ナット中心Dをギヤ有範囲θaには配置せず、ナット中心Dをギヤ無範囲θbのみに配置することにより(ナット中心Dが仮想直線A−C上または仮想直線B−C上に配置される場合を含む)、樹脂成形時において、ギヤ歯へ向かう溶融樹脂の流れの広がりがナット部品によって阻害されないため、ギヤ歯への溶融樹脂の充填不良が抑えられ、ギヤ歯の寸法精度の低下を防ぐことができる。
このように、請求項1の手段を採用することにより、ギヤ歯の強度低下および精度低下を防ぐことができ、ナット付樹脂ギヤ部品の信頼性を高めることができる。
【0009】
[請求項2の手段]
樹脂ギヤ部品の射出成形時に成形型の内部に樹脂を流し入れるゲートは、ギヤ有範囲θa内に2つ以上設けられる。
そして、
・ギヤ有範囲θa内において隣接するゲート間距離を、ゲート間距離L、
・このゲート間距離Lの1/2の距離を、合流距離L1、
・ギヤ有範囲θa内のゲートからギヤ歯のギヤ底までの距離を、ギヤ歯到達距離L2、
と定義する。
そして、請求項2の手段は、
合流距離L1<ギヤ歯到達距離L2
の関係を満足するものである。
【0010】
これにより、ギヤ有範囲θa内のゲートから流れ出た溶融樹脂が、ギヤ歯のギヤ底に到達するより早く、他のギヤ有範囲θa内のゲートから流れ出た溶融樹脂と合流する。そして、合流した溶融樹脂が内径方向から外径方向に広がるため、ギヤ歯に対して均一的に樹脂を充填でき、ギヤ歯の寸法精度の低下を防ぐことができる。
また、ギヤ有範囲θa内に複数のゲートを設けても、溶融樹脂が合流した後にギヤ歯に樹脂が充填されるため、ギヤ有範囲θa内に複数設けたゲートによってギヤ歯にウェルドが形成される不具合を回避することができ、ウェルドによるギヤ歯の強度低下を防ぐことができる。
【0011】
[請求項3の手段]
ギヤ有範囲θa内のゲートの数は、ギヤ無範囲θb内のゲートの数より多く設けられる。
これにより、樹脂成形時において、ギヤ有範囲θa内の樹脂充填が早く、逆にギヤ無範囲θb内の樹脂充填が遅くなる。このため、「ギヤ有範囲θa内から広がる溶融樹脂」と「ギヤ無範囲θb内から広がる溶融樹脂」との合流箇所をギヤ無範囲θb内にできる。
この結果、「ギヤ有範囲θa内から広がる溶融樹脂」と「ギヤ無範囲θb内から広がる溶融樹脂」との合流箇所によるウェルドがギヤ歯に形成される不具合を回避することができ、ウェルドによるギヤ歯の強度低下を回避することができる。
【0012】
[請求項4の手段]
請求項4のナット付樹脂ギヤ部品におけるナット部品は、カム溝が形成された金属製のカムプレートを樹脂ギヤ部品に固定するネジと螺合するものである。
【0013】
[請求項5の手段]
請求項5のナット付樹脂ギヤ部品は、電動モータの回転出力の減速を行う歯車減速装置の最終ギヤとして用いられるものである。
【0014】
[請求項6の手段]
請求項6のナット付樹脂ギヤ部品は、吸気が通過する吸気通路にEGRガスを導く低圧EGR流路の開度調整を行なう低圧EGR調整弁と、吸気通路と低圧EGR流路の合流部に吸気負圧を発生させる吸気絞り弁と、を駆動する駆動装置に用いられるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】最終ギヤの樹脂成形時における溶融樹脂の流れの説明図である。
【図2】最終ギヤの樹脂成形時における溶融樹脂の広がりの説明図である。
【図3】ギヤ有範囲におけるゲートの説明図である。
【図4】ギヤ有範囲およびギヤ無範囲におけるゲートの説明図である。
【図5】エンジンの吸排気システムの概略図である。
【図6】低圧EGR調整弁の回転角度に応じたEGR流量と吸気流量との関係を示すグラフである。
【図7】高圧/低圧EGR量制御プログラムにおけるEGR制御の説明図である。
【図8】低圧EGRバルブユニットの概略図である。
【図9】カムプレートが組付けられた最終ギヤの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して[発明を実施するための形態(実施形態)]を説明する。
具体的な一例として、本発明を低圧EGR装置1の低圧EGRバルブユニット2における最終ギヤ3に用いる例を示す。
【0017】
低圧EGR装置1は、
・低吸気負圧発生範囲の吸気通路4にEGRガスを導く低圧EGR流路5の開度調整を行なう低圧EGR調整弁6と、
・吸気通路4を絞ることで、吸気通路4と低圧EGR流路5の合流部に吸気負圧を発生させる吸気絞り弁7と、
・低圧EGR調整弁6と吸気絞り弁7を駆動する駆動装置と、
を備える。
【0018】
駆動装置は、
・低圧EGR調整弁6を駆動する1つの電動アクチュエータ8と、
・この電動アクチュエータ8の出力特性を変化させて吸気絞り弁7を駆動するリンク装置9と、
で構成される。
【0019】
電動アクチュエータ8は、
・通電により回転トルクを発生する電動モータ8aと、
・この電動モータ8aの回転出力を減速する歯車減速装置8bと、
を組み合わせたものである。
【0020】
リンク装置9は、
・カム溝11を有し、低圧EGR調整弁6と一体に回動するカムプレート12と、
・カム溝11に係合するカム溝係合部13(ローラ等)を有し、吸気絞り弁7と一体に回動する従動アーム14と、
を備える。
そして、カムプレート12に与えられる回転トルク(低圧EGR調整弁6に与えられる回転トルク)がカム溝11に係合するカム溝係合部13を介して従動アーム14に伝達されることで、吸気絞り弁7が駆動される。
【0021】
この実施形態では、本発明が歯車減速装置8bの最終ギヤ3(ナット付樹脂ギヤ部品)に適用される。
カムプレート12は、高い強度が要求されるため、金属によって設けられる。
一方、最終ギヤ3は、さほど高い強度を必要としないため、樹脂によって設けられる。
【0022】
この実施形態の最終ギヤ3は、所定の回動範囲内のみにギヤ歯3aが設けられる樹脂ギヤ部品α(樹脂製のギヤ部品)と、この樹脂ギヤ部品αにおける樹脂内にインサートされた複数(図面では3つ)の金属製のナット部品β(内周面に雌ネジが形成された部品:有底であっても良いし、貫通するものであっても良い)とを具備する。そして、最終ギヤ3(ナット部品βがモールドされた樹脂ギヤ部品α)にカムプレート12を装着し、ナット部品βにネジγを締結することで金属製のカムプレート12を樹脂製の最終ギヤ3(ナット部品βがモールドされた樹脂ギヤ部品α)に固定するものである。
この実施形態において、最終ギヤ3にインサートされるナット中心Dは、ギヤ無範囲θbのみに配置されるものである。なお、ナット中心Dの配置範囲は、仮想直線A−C上または仮想直線B−C上の少なくても一方を含んでも良いものである。
【実施例】
【0023】
本発明を低圧EGR装置1の駆動装置に適用した具体的な一例(実施例)を、図面を参照して説明する。以下の実施例は具体的な一例を開示するものであって、本発明が実施例に限定されないことは言うまでもない。なお、以下の実施例において上記[発明を実施するための形態]と同一符号は、同一機能物を示すものである。
【0024】
先ず、図5〜図9を参照してエンジン吸排気システムを説明する。
エンジン吸排気システムには、高圧EGR装置21と低圧EGR装置1が設けられている。
【0025】
高圧EGR装置21は、高排気圧範囲(DPF22の排気上流側で、高い排気圧が発生する範囲)の排気通路23の内部と、高吸気負圧発生範囲(スロットルバルブ24の吸気下流側で、高い吸気負圧が発生する範囲)の吸気通路4の内部とを接続して、多量のEGRガスをエンジンへ戻すことを得意とする排気ガス再循環装置であり、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路4の吸気下流側へ戻す高圧EGR流路25を備えている。
具体的な一例として、図5の高圧EGR流路25は、排気通路23側がエキゾーストマニホールドに接続され、吸気通路4側がインテークマニホールド(図5はインテークマニホールドのサージタンク26)に接続されている。
【0026】
図5に示す高圧EGR装置21には、高圧EGR流路25の途中に、高圧EGR流路25の開度を調整することでEGRガスの流量調整を行なう高圧EGR調整弁27と、吸気側に戻されるEGRガスの冷却を行なう高圧EGRクーラ28と、吸気側に戻されるEGRガスを高圧EGRクーラ28から迂回させる高圧クーラバイパス29と、高圧EGRクーラ28と高圧クーラバイパス29の切り替えを行なう高圧EGRクーラ切替弁30とが設けられている。
なお、図5は具体例であり、高圧EGRクーラ28、高圧クーラバイパス29および高圧EGRクーラ切替弁30を搭載しないものであっても良い。
【0027】
低圧EGR装置1は、低排気圧範囲(DPF22の排気下流側で、低い排気圧が発生する範囲)の排気通路23の内部と、低吸気負圧発生範囲(スロットルバルブ24の吸気上流側で、低い吸気負圧が発生する範囲)の吸気通路4の内部とを接続して、少量のEGRガスをエンジンに戻すことを得意とする排気ガス再循環装置であり、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路4の吸気上流側に戻す低圧EGR流路5を備えている。
具体的な一例として、図5の低圧EGR流路5は、排気通路23側がDPF22より排気下流側の排気管に接続され、吸気通路4側がターボチャージャのコンプレッサ31より吸気上流側の吸気管に接続されている。
【0028】
低圧EGR装置1には、低圧EGR流路5の途中に、低圧EGR流路5の開度を調整することでEGRガスの流量調整を行なう低圧EGR調整弁6と、吸気側に戻されるEGRガスの冷却を行なう低圧EGRクーラ32とが設けられている。
また、低圧EGR装置1は、吸気通路4と低圧EGR流路5の合流部に吸気負圧を発生させるための吸気絞り弁7を設けている。
【0029】
この吸気絞り弁7は、吸気通路4を最大に絞った状態であっても、吸気通路4の一部を開放するように設けられるものである。具体的には、吸気絞り弁7が吸気通路4を最大に絞った状態であっても、吸気通路4の例えば10%ほどを開放するように設けられるものである(図6の実線7’の最小流量参照)。
【0030】
次に、高圧EGR装置21および低圧EGR装置1の制御を行なうECUを説明する。ECUは、高圧EGR装置21および低圧EGR装置1の運転制御を行なうEGR制御プログラムが搭載されている。
このEGR制御プログラムは、
・エンジンの暖気状態(例えば、エンジン冷却水の温度)に基づいて高圧EGRクーラ切替弁30の切り替えを行なう高圧EGRクーラ切替プログラムと、
・エンジン回転数とエンジン負荷(エンジン負荷トルク)に応じて高圧EGR調整弁27、低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7の開度制御を行なう高圧/低圧EGR量制御プログラムとを備えている。
【0031】
高圧/低圧EGR量制御プログラムの概略を、図7を参照して説明する。
高圧/低圧EGR量制御プログラムは、
・図7に示す実線i以下における運転領域(エンジン回転数とエンジン負荷トルクの関係によるエンジン運転領域)の時に、低圧EGR装置1を停止させ、高圧EGR装置21の高圧EGR調整弁27の開度制御のみによってEGR制御を行ない(具体的には、低圧EGR流路5を低圧EGR調整弁6によって閉塞させ、高圧EGR調整弁27をエンジン回転数とエンジン負荷トルクの関係に応じた開度に制御する)、
・図7に示す実線iと実線iiの間の運転領域の時に、高圧EGR装置21の高圧EGR調整弁27の開度制御と、低圧EGR装置1の低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7の開度制御の両方によってEGR制御を行ない(具体的には、高圧EGR調整弁27をエンジン回転数とエンジン負荷トルクの関係に応じた開度に制御するとともに、低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7をエンジン回転数とエンジン負荷トルクの関係に応じた開度に制御する)、
・図7に示す実線ii以上における運転領域の時に、高圧EGR装置21を停止させ、低圧EGR装置1の低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7の開度制御のみによってEGR制御を行なう(具体的には、高圧EGR流路25を高圧EGR調整弁27によって閉塞させ、低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7をエンジン回転数とエンジン負荷トルクの関係に応じた開度に制御する)制御プログラムである。
【0032】
低圧EGR装置1は、低排気圧範囲のEGRガスを、低吸気負圧発生範囲に戻すものであるため、少量のEGRガスをエンジンに戻すことを得意とする。しかるに、低圧EGR装置1を用いて多量のEGRガスをエンジンへ戻したい運転領域が存在しても、低吸気負圧発生範囲にEGRガスを戻す構造の低圧EGR装置1では多量のEGRガスをエンジンへ戻すことが困難である。
そこで、低圧EGR装置1は、EGRガスを戻す吸気通路4内に積極的に吸気負圧を発生させるための吸気絞り弁7を設け、低圧EGR装置1において大きなEGR量を得たい運転領域では、吸気絞り弁7を閉じる方向(吸気負圧が発生する方向)に開度制御し、低圧EGR装置1において多量のEGRガスをコントロールすることを可能にしている。
【0033】
しかし、
・低圧EGR装置1を用いて少量のEGRガスをエンジンへ戻す「低濃度制御状態」の時は、吸気絞り弁7が負圧を発生させないように最大開度(全開開度)で固定されて、低圧EGR調整弁6のみを開度制御する必要があり、
・低圧EGR装置1を用いて多量のEGRガスをエンジンへ戻す「高濃度制御状態」の時は、低圧EGR調整弁6の開度を増加するとともに、負圧を増加させるべく吸気絞り弁7の開度を小さくする必要がある。
【0034】
このように、「低濃度制御状態」では吸気絞り弁7が全開に固定されて低圧EGR調整弁6のみが開度制御され、「高濃度制御状態」では低圧EGR調整弁6の開度に対応して吸気絞り弁7の開度も変化するものである。
このため、低圧EGR調整弁6を駆動するための専用のアクチュエータと、吸気絞り弁7を駆動するための専用のアクチュエータとが要求されるが、それぞれに専用のアクチュエータを搭載すると、コストアップ、体格アップ、重量アップの要因になってしまう。
【0035】
そこで、低圧EGR装置1は、図8に示すように、低圧EGR調整弁6を駆動する1つの電動アクチュエータ8と、この電動アクチュエータ8の出力特性を変化させて吸気絞り弁7を駆動するリンク装置9とを備え、リンク装置9を介して伝達された電動アクチュエータ8の出力によって吸気絞り弁7を駆動するように設けられている。
【0036】
リンク装置9には、電動アクチュエータ8の出力特性を変化させて吸気絞り弁7へ伝達する特性変換部が設けられており、低圧EGR調整弁6が所定開度より大きくなってから低圧EGR調整弁6の開度アップに連動させて吸気絞り弁7の開度を小さくするように設けられている(図6参照)。
なお、図6の実線6’は低圧EGR調整弁6の回転角度に対するEGR流量の変化を示し、図6の実線7’は低圧EGR調整弁6の回転角度に対する吸気絞り弁7による吸気流量の変化を示すものである。
【0037】
〔低圧EGRバルブユニット2の説明〕
低圧EGR調整弁6と吸気絞り弁7は、電動アクチュエータ8とリンク装置9よりなる駆動装置によって駆動されるものであり、この駆動装置は、低圧EGR調整弁6および吸気絞り弁7とともに、低圧EGRバルブユニット2に搭載される。
【0038】
この低圧EGRバルブユニット2は、低圧EGR流路5と吸気通路4の合流部を備えるバルブハウジング41に、上述した低圧EGR調整弁6、吸気絞り弁7、駆動装置(電動アクチュエータ8+リンク装置9)を搭載するものである。
以下において、低圧EGRバルブユニット2に搭載される低圧EGR調整弁6、吸気絞り弁7、駆動装置を成す電動アクチュエータ8およびリンク装置9を順次説明する。
【0039】
低圧EGR調整弁6は、低圧EGR流路5内に配置されるバタフライバルブであり、バルブハウジング41に対して回動自在に支持される低圧EGRシャフト42と一体に回動する。
吸気絞り弁7は、吸気通路4内に配置されるバタフライバルブであり、バルブハウジング41に対して回動自在に支持される吸気絞シャフト43と一体に回動する。
そして、低圧EGRシャフト42と吸気絞シャフト43は、平行に配置されるものである。
【0040】
ここで、低圧EGRバルブユニット2には、吸気絞り弁7を最大開度で停止させるストッパ部材(図示しない)と、吸気絞り弁7をストッパ部材に当接させる方向(全開方向)に付勢するリターンスプリング(図示しない)とが設けられている。
これにより、電動アクチュエータ8からリンク装置9を介して吸気絞り弁7に駆動負荷が与えられていない状態では、リターンスプリングの付勢力により吸気絞り弁7が最大開度に戻される。
なお、ストッパ部材は、従動アーム14に当接するものであっても良いし、吸気通路4内において吸気絞り弁7に当接するものであっても良い。
【0041】
電動アクチュエータ8は、
・通電により回転出力を発生する電動モータ8a(例えば、DCモータ)と、
・この電動モータ8aの回転出力を減速して出力トルクを増大させる歯車減速装置8bと、
を組み合わせたものであり、吸気通路4および低圧EGR流路5の外部に設けた駆動部収容室41a内に配置される。
【0042】
歯車減速装置8bは、電動モータ8aの出力軸に固定されたピニオン44、電動モータ8aと吸気絞りシャフト43との間で回転自在に支持される中間ギヤ45、吸気絞りシャフト43に結合される最終ギヤ3とから構成される。
中間ギヤ45は、電動モータ8aのピニオン44に噛合する大径ギヤ45aと、最終ギヤ3に噛合する小径ギヤ45bとを一体に設けたものである。
そして、歯車減速装置8bの出力(最終ギヤ3の回動)により、低圧EGR調整弁6を駆動するとともに、リンク装置9を介して吸気絞り弁7を駆動するものである。
【0043】
リンク装置9は、電動アクチュエータ8と同様、駆動部収容室41a内に配置されて、電動アクチュエータ8の出力特性(回動特性)を変換して吸気絞り弁7を駆動するものであり、低圧EGR調整弁6と一体に回転するカムプレート12と、吸気絞り弁7と一体に回転する従動アーム14とを備える。
【0044】
カムプレート12は、板形状を呈したものであり、低圧EGRシャフト42に対して直角に固定配置されている。
従動アーム14も、板形状を呈したものであり、従動アーム14の回動端側がカムプレート12に対して所定の隙間を隔てて重なるように、吸気絞シャフト43に対して直角に結合配置されるものである。
【0045】
リンク装置9において電動アクチュエータ8の出力特性を変換する特性変換部は、カムプレート12の回転中心から離れた位置に設けられたカム溝11と、従動アーム14の回転中心から離れた位置に設けられてカム溝11に嵌まり合うカム溝係合部13とによって構成される。
カム溝係合部13は、カム溝11内に嵌まり合う円筒状のローラ(回転差吸収体)であり、従動アーム14の回動端側に設けられた軸部によって回転自在に支持される。
【0046】
カム溝11のカムプロフィールは、「開度キープ用カム溝11a」と「吸気絞用カム溝11b」を繋ぎ合わせて設けられている。
「開度キープ用カム溝11a」は、「カムプレート12の回転中心と同一中心の円弧溝」であり、低圧EGR調整弁6が低圧EGR流路5を最大に絞る全閉開度θ0(図6のEGRバルブ開度=0°)から所定中間開度θ1に至る回動範囲(開度θ0〜開度θ1)において、吸気絞り弁7の開度を最大開度に保つように設けられている。
【0047】
「吸気絞用カム溝11b」は、上述した「開度キープ用カム溝11a」の一方の端部に連続するように連なって形成されており、「カムプレート12の回転中心と同一中心の円弧溝」に対して「所定の角度で変化する角度形状」を呈し、低圧EGR調整弁6が所定中間開度(θ1)から最大開度(θ2:図6のEGRバルブ開度=90°)に至る回動範囲(開度θ1〜開度θ2)において従動アーム14を回動させて、吸気絞り弁7の開度を最大開度から吸気通路4を閉じる方向に回動させるように設けられている。
【0048】
〔実施例における特徴技術1〕
歯車減速装置8bの最終ギヤ3は、カムプレート12と一体に回動する。
そこで、図8に示すように、最終ギヤ3とカムプレート12を一体に設けることが考えられる。
カムプレート12には耐摩耗性や耐荷重性が要求されるため、カムプレート12は、鉄等の硬質な金属で設けることが要求される。このため、最終ギヤ3とカムプレート12を一体の金属で設けると、強度や信頼性が得られる反面、コストと重量が増加する不具合がある。
【0049】
これに対し、この実施例では、図9に示すように、
・高い強度が要求されるカムプレート12を金属(例えば、ステンレスや鉄系金属等)で設け、
・さほど高い強度を必要としない最終ギヤ3を樹脂(例えば、ナイロン系樹脂等)で設け、
樹脂製の最終ギヤ3に、金属製のカムプレート12を取り付けて固定することで、コストダウンと重量の軽減を図っている。
【0050】
樹脂製の最終ギヤ3に金属製のカムプレート12を取り付ける手段として、この実施例では、図1、図9に示すように、最終ギヤ3に金属製のナット部品βを予めインサートしておき、最終ギヤ3にカムプレート12を装着し、ナット部品βにネジγを締結することで金属製のカムプレート12を樹脂製の最終ギヤ3に固定する手段を採用する。
【0051】
即ち、最終ギヤ3は、本発明が適用されるナット付樹脂ギヤ部品の一例であり、
・所定の回動範囲内(吸気絞り弁7の回動範囲より少量の余裕分だけ広い回動範囲)のみにギヤ歯3aが設けられる樹脂ギヤ部品αと、
・この樹脂ギヤ部品αの樹脂にインサートされた複数(この実施例では3つ)の金属製のナット部品βと、
を備えて構成される。
【0052】
なお、図1(b)に示すように、この実施例における樹脂ギヤ部品αには、ナット部品βの他に、低圧EGRシャフト42に嵌まり合う金属プレート46と、低圧EGR調整弁6の開度を磁気により非接触で検出する回転角度センサの磁束発生部47(磁石+鉄製ヨーク)とがインサートされるものであるが、勿論限定されるものではない。
【0053】
ここで、この実施例では、図1(b)に示すように、
・ギヤ歯3aの一方の回動端を、一方ギヤ端A、
・ギヤ歯3aの他方の回動端を、他方ギヤ端B、
・樹脂ギヤ部品αの回動中心を、回動中心C、
・ナット部品βにおける雌ネジの中心を、ナット中心D、
・一方ギヤ端Aと回動中心Cを結ぶ直線を、仮想直線A−C、
・他方ギヤ端Bと回動中心Cを結ぶ直線を、仮想直線B−C、
・仮想直線A−Cと仮想直線B−Cで区画されてギヤ歯3aが設けられる側における樹脂ギヤ部品αの範囲をギヤ有範囲θa、
・仮想直線A−Cと仮想直線B−Cで区画されてギヤ歯3aが設けられない側における樹脂ギヤ部品αの範囲をギヤ無範囲θb、
と定義する。
【0054】
そして、樹脂ギヤ部品αにおいて、ナット中心Dをギヤ有範囲θaには配置せず、ナット中心Dをギヤ無範囲θbのみに配置するものである。
なお、ナット中心Dは、仮想直線A−C上または仮想直線B−C上の少なくとも一方に配置されるものであっても良い。
【0055】
この特徴技術1を採用することにより、樹脂ギヤ部品αを成形型内において射出成形する際(樹脂成形時)、溶融樹脂の流れ{図1(b)の矢印X参照}がナット部品βを回り込むことで樹脂ギヤ部品αに形成されるウェルドは、ギヤ歯3aが存在しない部位のみに形成されることになる。
即ち、樹脂成形時において、ギヤ歯3aにウェルドが形成されるのを防ぐことができ、ウェルドによるギヤ歯3aの強度低下を未然に防ぐことができる。
【0056】
また、この特徴技術1を採用することにより、樹脂成形時において、ギヤ歯3aへ向かう溶融樹脂の流れの広がり{図2(b)の破線Y参照}がナット部品βによって阻害されない。
このため、ギヤ歯3aへの溶融樹脂の充填不良が抑えられ、ギヤ歯3aの寸法精度の低下を防ぐことができる。
【0057】
このように、特徴技術1を採用することにより、ギヤ歯3aの強度低下および精度低下を防ぐことができ、樹脂よりなる最終ギヤ3の信頼性を高め、結果的に低圧EGR装置1の信頼性を高めることができる。
【0058】
〔実施例における特徴技術2〕
特徴技術2を、図3を参照して説明する。
最終ギヤ3の射出成形時に成形型の内部に樹脂を流し入れるゲートδの数を、図3(a)に示すように、ギヤ有範囲θa内に1つだけ設けることが考えられる。
しかし、ギヤ有範囲θaのゲートδの数が1つだけの場合、樹脂成形時において、ギヤ歯3aへ向かう溶融樹脂の流れの広がり{図中の破線Y参照}がギヤ歯3aの形成範囲に対して均一に導かれない。その結果、ギヤ歯3aへの溶融樹脂の充填不良が懸念され、ギヤ歯3aの寸法精度の低下を招く可能性がある。
【0059】
この不具合を解決するために、この実施例では、最終ギヤ3の射出成形時に成形型の内部に樹脂を流し入れるゲートδの数を、図3(b)に示すように、ギヤ有範囲θa内に2つ以上設けるものである。
具体的に、この実施例においてギヤ有範囲θa内に設けられるゲートδは、2つである。
【0060】
ここで、この実施例では、図3(b)に示すように、
・ギヤ有範囲θa内のゲートδと、このゲートδに隣接するギヤ有範囲θa内のゲートδとの距離(ギヤ有範囲θa内において隣接するゲート間距離)を、ゲート間距離L、
・このゲート間距離Lの1/2の距離を、合流距離L1、
・ギヤ有範囲θa内のゲートδからギヤ歯3aのギヤ底までの距離を、ギヤ歯到達距離L2、
と定義する。
【0061】
そして、この特徴技術2では、「合流距離L1<ギヤ歯到達距離L2」の関係を満足するように設けられるものである。
これにより、ギヤ有範囲θa内のゲートδから流れ出た溶融樹脂がギヤ歯3aのギヤ底に到達するより早く、他のギヤ有範囲θa内のゲートδから流れ出た溶融樹脂と合流する。その結果、図3(c)に示すように、合流した溶融樹脂の流れの広がり{図中の破線Y参照}が、内径方向から外径方向に広がる。このため、ギヤ歯3aに対して均一的に樹脂を充填することができ、ギヤ歯3aの寸法精度の低下を防ぐことができる。
【0062】
さらに、ギヤ有範囲θa内に複数のゲートδを設けても、特徴技術2を採用することにより、溶融樹脂が合流した後にギヤ歯3aに樹脂が充填されるため、ギヤ有範囲θa内に複数設けたゲートδによってギヤ歯3aにウェルドが形成される不具合が生じず、ウェルドによるギヤ歯3aの強度低下を防ぐことができる。
【0063】
〔実施例における特徴技術3〕
特徴技術3を、図4を参照して説明する。
ギヤ無範囲θb内におけるゲートδの数を、ギヤ有範囲θa内におけるゲートδの数と同じか、それ以上に設けることが考えられる。
具体的な一例として、図4(a)に示すように、ギヤ有範囲θa内に2つのゲートδを設け、ギヤ無範囲θb内にも2つのゲートδを設けることが考えられる。
【0064】
しかし、「ギヤ有範囲θaのゲート数≦ギヤ無範囲θbのゲート数」に設ける場合、図4(b)に示すように、ギヤ無範囲θbの充填が先に終え、「ギヤ有範囲θa内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y1参照)」と「ギヤ無範囲θb内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y2参照)」とがギヤ有範囲θaで合流し、ギヤ歯3aにウェルドが形成される懸念がある。
【0065】
この不具合を解決するために、この実施例では、ギヤ有範囲θa内のゲート数が、ギヤ無範囲θb内のゲート数より多く設けられる。即ち、「ギヤ有範囲θaのゲート数>ギヤ無範囲θbのゲート数」の関係に設けられている。
具体的に、この実施例におけるゲート数は、図4(c)に示すように、ギヤ有範囲θa内にゲートδが2つ設けられ、ギヤ無範囲θb内にゲートδが1つ設けられるものである。
【0066】
これにより、樹脂成形時において、ギヤ有範囲θa内の樹脂充填が早く、逆にギヤ無範囲θb内の樹脂充填が遅くなる。このため、「ギヤ有範囲θa内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y1参照)」と「ギヤ無範囲θb内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y2参照)」との合流箇所をギヤ無範囲θb内にできる。
この結果、「ギヤ有範囲θa内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y1参照)」と「ギヤ無範囲θb内から広がる溶融樹脂(図中、破線Y2参照)」との合流箇所によるウェルドがギヤ歯3aに形成される不具合を回避することができ、ウェルドによるギヤ歯3aの強度低下を回避することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上記実施例では、低圧EGRバルブユニット2の駆動装置における最終ギヤ3に本発明を適用する例を示したが、電動アクチュエータ8(電動モータ8a+歯車減速装置8b)とカムプレート12を用いた駆動装置(例えば、容量可変式ターボチャージャの駆動装置や、車両用空調装置のドア類の駆動装置等)に本発明を用いても良い。
【0068】
上記実施例では、歯車減速装置8bの最終ギヤ3に本発明を適用する例を示したが、本発明は最終ギヤ3に限定されるものではなく、所定の回動範囲内のみにギヤ歯3aが設けられる樹脂製のギヤ部品に適用可能なものである。
【0069】
上記の実施例では、樹脂ギヤ部品αにインサートされたナット部品βに組付けられる金属部品の一例としてカムプレート12を示したが、限定されるものではなく、カムプレート12とは異なる他の金属部品を組み付けても良い。
【符号の説明】
【0070】
3 最終ギヤ(ナット付樹脂ギヤ部品)
3a ギヤ歯
4 吸気通路
5 低圧EGR流路
6 低圧EGR調整弁
7 吸気絞り弁
8 電動アクチュエータ
8a 電動モータ
8b 歯車減速装置
9 リンク装置
11 カム溝
12 カムプレート
A 一方ギヤ端
B 他方ギヤ端
C 回動中心
D ナット中心
L ゲート間距離
L1 合流距離
L2 ギヤ歯到達距離
α 樹脂ギヤ部品
β ナット部品
γ ネジ
δ ゲート
θa ギヤ有範囲
θb ギヤ無範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回動範囲内のみにギヤ歯(3a)が設けられる樹脂製の樹脂ギヤ部品(α)と、
この樹脂ギヤ部品(α)にインサートされた1つまたは複数の金属製のナット部品(β)と、
を具備するナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
(a)前記ギヤ歯(3a)の一方の回動端を、一方ギヤ端A、
前記ギヤ歯(3a)の他方の回動端を、他方ギヤ端B、
前記樹脂ギヤ部品(α)の回動中心を、回動中心C、
前記ナット部品(β)における雌ネジの中心を、ナット中心Dと定義するとともに、
(b)前記樹脂ギヤ部品(α)の回動方向の範囲を、前記一方ギヤ端Aと前記回動中心Cを結ぶ仮想直線A−Cと、前記他方ギヤ端Bと前記回動中心Cを結ぶ仮想直線B−Cとで区画し、
前記ギヤ歯(3a)が設けられる側の区画範囲をギヤ有範囲θa、
前記ギヤ歯(3a)が設けられない側の区画範囲をギヤ無範囲θbと定義した場合、
(c)前記ナット中心Dを、前記ギヤ無範囲θbのみに配置することを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。
【請求項2】
請求項1に記載のナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
前記樹脂ギヤ部品(α)の射出成形時に成形型の内部に樹脂を流し入れるゲート(δ)は、前記ギヤ有範囲θa内に2つ以上設けられ、
前記ギヤ有範囲θa内のゲート(δ)と、このゲート(δ)に隣接する前記ギヤ有範囲θa内のゲート(δ)との距離を、ゲート間距離L、
このゲート間距離Lの1/2の距離を、合流距離L1、
前記ギヤ有範囲θa内のゲート(δ)から前記ギヤ歯(3a)のギヤ底までの距離を、ギヤ歯到達距離L2と定義した場合、
合流距離L1<ギヤ歯到達距離L2
の関係を満足することを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
前記樹脂ギヤ部品(α)の射出成形時に成形型の内部に樹脂を流し入れるゲート(δ)の数は、前記ギヤ有範囲θa内の数が、前記ギヤ無範囲θb内の数より多いことを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
前記ナット部品(β)は、カム溝(11)が形成された金属製のカムプレート(12)を前記樹脂ギヤ部品(α)に固定するネジ(γ)と螺合することを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
このナット付樹脂ギヤ部品(3)は、電動モータ(8a)の回転出力の減速を行う歯車減速装置(8b)の最終ギヤ(3)であることを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のナット付樹脂ギヤ部品(3)において、
このナット付樹脂ギヤ部品(3)は、
吸気が通過する吸気通路(4)にEGRガスを導く低圧EGR流路(5)の開度調整を行なう低圧EGR調整弁(6)と、
前記吸気通路(4)と前記低圧EGR流路(5)の合流部に吸気負圧を発生させる吸気絞り弁(7)と、
を駆動する駆動装置に用いられることを特徴とするナット付樹脂ギヤ部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24346(P2013−24346A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160787(P2011−160787)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】