説明

ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置、情報表示方法およびプログラム

【課題】画一的な情報ではない情報を表示させること。
【解決手段】印刷媒体15上に記された位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体15と、パターンを読み取るパターン読取部と、読み取ったパターンから座標値を生成する生成部と、電子的な地図を表示できる表示部40aと、座標値が送信されてきた場合に、座標値を軌跡情報として記憶すると共に、現在位置情報を生成し、軌跡情報の表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶し、表示位置情報に基づいて軌跡情報を表示部40aに表示する制御部と、を有するカーナビゲーションシステム10(ナビゲーションシステム)とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステム、ナビゲーション装置、情報表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、地図上の所定の範囲内に存在する文字情報を検索して、その文字情報を記憶して、文字情報の入力の際にその記憶した文字情報を使用できるナビゲーション装置を開示する。
【0003】
【特許文献1】特開平05−108007号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ナビゲーション装置に新たな情報を追加して表示する手段としては、特許文献1に開示されるナビゲーション装置のように内部に記憶されている他の文字情報を参照してディスプレイに表示させるといった手段のほか、VICSによる交通情報等を外部から受信してディスプレイに表示させるといった手段や、ナビゲーション装置内に記憶されている電子的な地図などをバージョンアップさせるといった手段のみである。したがって、ナビゲーション装置が予め提供する情報は、画一的な情報となりやすく、面白みがない。
【0005】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑み、画一的な情報ではない情報を表示させることができるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置、情報表示方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るナビゲーションシステムは、印刷媒体上に記された位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体と、
パターンを読み取るパターン読取部と、読み取ったパターンから座標値を生成する生成部と、電子的な地図を表示できる表示部と、座標値が送信されてきた場合に、座標値を軌跡情報として記憶すると共に、現在位置情報を生成し、軌跡情報の表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶し、表示位置情報に基づいて軌跡情報を表示部に表示する制御部と、を有するものである。
【0007】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、送信されてきた座標値を軌跡情報として記録する軌跡情報記録部と、現在位置情報を生成する位置情報生成部と、軌跡情報の表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶する軌跡情報管理部と、を有し、表示位置情報に基づいて軌跡情報を表示部に表示するものである。
【0008】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、表示位置情報が表示部の表示範囲内に入ったときは、軌跡情報を表示部に表示させるものである。
【0009】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、経路探索ができる経路探索部を有し、表示位置情報が、経路探索部により決定された経路上から所定の範囲内に入ったときは、軌跡情報を表示部に表示させるものである。
【0010】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、軌跡情報および表示位置情報を外部記録媒体に出力できるデータ出力部を有するものである。
【0011】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、軌跡情報が送信されてきたときに、現在位置情報を生成し、軌跡情報を表示させるための表示位置情報として現在位置情報を記憶するものである。
【0012】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、軌跡情報から所定のパターンを検出し、所定のパターンを構成する座標値の範囲内に含まれる座標値のみを記憶するものである。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、印刷媒体には、表示部に表示される電子的な地図に対応した地図が印刷されており、制御部は、印刷媒体上の座標値と、地図印刷媒体上の位置情報とを変換できる変換部と、軌跡情報から所定のパターンを検出するパターン検出部と、を有し、所定のパターンに合致した座標値を地図印刷媒体上の媒体位置情報に変換し、軌跡情報を表示させるための表示位置情報としてその変換された媒体位置情報を記憶するものである。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、外部情報を入力できるデータ入力部を有し、軌跡情報を記憶した日時と、データ入力手段により入力された外部情報の作成日時とを比較し、その両方の作成日時の差が所定の時間内にあるときは、外部情報を軌跡情報と関連付けて記憶するものである。
【0015】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、軌跡情報を表示部に表示するときは、外部情報も表示部に表示させるものである。
【0016】
本発明に係るナビゲーション装置は、現在位置情報を生成できる位置情報生成部と、電子的な地図を表示できる表示部と、軌跡情報が送信されてきた場合に、軌跡情報を記憶すると共に、現在位置情報を生成し、軌跡情報の表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶し、表示位置情報に基づいて軌跡情報を表示部に表示する制御部と、を有するものである。
【0017】
本発明に係るナビゲーション装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、表示位置情報が表示部に表示される電子的な地図の所定範囲内に入ったときは、軌跡情報を表示部に表示させるものである。
【0018】
本発明に係るナビゲーション装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、経路探索ができる経路探索部を有し、表示位置情報が経路探索部により決定された経路上から所定範囲内に入ったときは、軌跡情報を表示部に表示させるものである。
【0019】
本発明に係るナビゲーション装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、制御部は、軌跡情報が記録されたときに、現在位置情報を生成し、軌跡情報を表示させるための表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶するものである。
【0020】
本発明に係る情報表示方法は、現在位置情報を生成するステップと、軌跡情報が送信されてきた場合に、軌跡情報を記憶するステップと、軌跡情報の表示位置情報として現在位置情報を関連付けて記憶するステップと、表示位置情報に基づいて軌跡情報を表示するステップと、を有するものである。
【0021】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを上述したナビゲーション装置のいずれか一つとして機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、画一的な情報ではない情報を表示させることができるナビゲーションシステム、ナビゲーション装置、情報表示方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステム、ナビゲーション装置、情報表示方法およびプログラムを図面に基づいて説明する。なお、ナビゲーションシステムは、自動車などの車両に設置されて、印刷媒体としての専用シートに電子ペンで描いた軌跡情報を読み取り、電子的な地図に表示させることができるカーナビゲーションシステム10を例に説明する。ナビゲーション装置は、カーナビゲーションシステム10のカーナビゲーション装置40として説明する。情報表示方法およびプログラムは、カーナビゲーションシステム10の動作の一部として説明する。
【0024】
(カーナビゲーションシステム10の全体説明)
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム10を示すシステム構成図である。カーナビゲーションシステム10は、印刷媒体としての専用シート15と、この専用シート15中の位置を選択するための電子ペン20と、電子ペン20と通信可能なナビゲーション装置としてのカーナビゲーション装置40と、を主要な構成要素とする。なお、カーナビゲーション装置40は、車両に対して固定的に設置されるものであっても、車両からはずすことができるように設置されるものであってもよい。
【0025】
このカーナビゲーションシステム10の基本的な機能として、図1に示すように電子ペン20により軌跡X1のように専用シート15に描くもしくはなぞると、軌跡X1と同じ軌跡X2がカーナビゲーション装置40のディスプレイ40aに表示させることができるものである。以下、カーナビゲーションシステム10の各構成要素について説明する。
【0026】
(専用シート15の説明)
図2は、図1中の専用シート15と同一の専用シート15Aを示す説明図である。図2の専用シート15Aには、全面に渡って複数のドット16からなるドットパターン17が印刷されている。ドットパターン17は、たとえば赤外線を吸収するインクでシートに印刷され、たとえば6×6個のドット16により専用シート15A中の位置を示す座標値へ変換可能なものである。
【0027】
この座標値は、たとえば図2での専用シート15Aの左上隅を基準とした(x,y)による二次元の座標値(不図示)で表現できる。電子ペン20は、ドットパターン17以外の部分で反射されてくる赤外線を赤外線カメラ23(図3参照)で受光してドットパターン17を認識する。そして、当該ドットパターン17を電子ペン20で読み取ることにより、専用シート15A上における当該読み取ったドットパターン17が示している一意の座標値を得ることができる。
【0028】
このドットパターン17は、非常に多数のドット16から構成され、図2の中央に拡大して示すように、0.3mm間隔で赤外線を吸収するインクによりドット16が印刷されている。これらのドット16は、図2中の右にさらに拡大して示すように、格子の中心から上下左右のいずれかの方向に所定量だけずれて印刷されている。
【0029】
このドット16は、6×6=36ドットが集まって1つのドットパターン17を構成しており、1つドット16は、4通りの組み合わせを有することから、1.8mm×1.8mmサイズの1つのドットパターン17には4の36乗通りの組み合わせが存在するため、同じドットパターン17を使用しないことで1つのドットパターン17を一意に識別することが可能となる。
【0030】
なお、専用シート15Aが複数ページある場合、どのページが指定されたかを知る方法としては、例えば、ドットパターン17にページに関する情報を記憶する方法がある。また、全てのページに対して同一の座標系の座標値を用いて記憶する方法もある。また、全てのページを平面上に並べて大きな用紙とした場合に、この大きな用紙の左上隅が原点となるように座標系を設定することができる。なお、座標系の原点は左上以外にも中央や右上などの他の箇所としても勿論よい。
【0031】
(電子ペン20の説明)
図3は、図1中の電子ペン20およびカーナビゲーション装置40の詳細な構成を示すブロック図である。なお、この図3に示す構成では、電子ペン20からカーナビゲーション装置40へ座標値などの情報が送信されるが、カーナビゲーション装置40から電子ペン20へ情報を送信することも可能である。
【0032】
電子ペン20は、図1に示すようにペン形状のハウジング21を有し、図3に示すように、赤外線LED(Light Emitting Diode)22、赤外線カメラ23、通信I/F(Inter Face)24、これらが接続されるマイクロコンピュータ25、これらに給電するバッテリ(不図示)などを主要な構成要素とする。
【0033】
赤外線カメラ23は、たとえば赤外線用のCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサであり、受光した赤外線のパターンデータを後述するパターン読取部29へ周期的に出力する。そして、赤外線LED22および赤外線カメラ23は、電子ペン20のペン先に向けて配設される。これにより、電子ペン20の赤外線カメラ23は、赤外線LED22がペン先に向けて照射した赤外線の専用シート15Aによる反射光を受光し、そのペン先付近のドットパターン16を周期的に読み取ることができる。
【0034】
通信I/F24は、たとえばブルートゥース、赤外線通信、無線LAN(Local Area Network)などのインターフェースであり、後述する送信部31からの送信信号により他の機器(ここでは図3に示すカーナビゲーション装置40の通信I/F41)との間でデータを送信するものである。なお、通信I/F24は、この他にもたとえばUSB(Universal Serial Bus)I/FやE/N(Ethernet(登録商標))ケーブルなどの有線の通信ケーブルにより他の機器と接続されることにより通信をするものであってもよい。
【0035】
マイクロコンピュータ25は、時刻や経過時間などを計測するタイマ26、メモリ27、パターン読取部29、生成部30、送信部31、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを主要な構成要素とする。
【0036】
メモリ27は、読取データ28などの各種のデータを記憶する。CPUは、メモリ27に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン20のマイクロコンピュータ25には、パターン読取部29、生成部30、送信部31などの機能が実現される。
【0037】
パターン読取部29は、赤外線カメラ23から周期的に出力される各パターンデータを読み取って、パターンデータをメモリ27に記憶する。生成部30は、パターン読取部29により読み取られたパターンをメモリ27から読み出して、解析して座標値を生成する。なお、マイクロコンピュータ25は、生成した座標値に、タイマ26で計測される現在時刻とを対応付けて、メモリ27に記憶させる。これにより、メモリ27には、読取データ28が記憶される。読取データ28は、生成部30が生成した複数の座標値と、各座標値の読取時刻を示す複数の時刻情報とを有する構成とされる。
【0038】
送信部31は、電子ペン20の通信I/F24による通信を管理する。送信部31は、メモリ27に記憶させる読取データ28を、送信のために電子ペン20の通信I/F24へ供給する。
【0039】
(カーナビゲーション装置40の説明)
カーナビゲーション装置40は、通信I/F41、表示部40aとしての機能を果たす液晶デバイス42、データ出力部としての機能を果たす出力デバイス43、データ入力部としての機能を果たす入力デバイス44、GPS受信デバイス45、これらが接続される制御部としてのマイクロコンピュータ46などを主要な構成要素とする。
【0040】
通信I/F41は、電子ペンの通信I/F24と同様であるため、説明を省略する。表示部40aとしての機能を果たす液晶デバイス42は、地図や経路案内結果等のデータや画像などを表示させるものである。データ出力部としての機能を果たす出力デバイス43は、カーナビゲーション装置40内に記憶されるデータをCDやUSBメモリ等の外部記録媒体へ出力できるデバイスである。データ入力部としての機能を果たす入力デバイス44は、カーナビゲーション装置40内のメモリ48にデータを入力(記録)することができるデバイスである。GPS受信デバイス45は、GPSによる交通情報などを受信できるデバイスである。
【0041】
制御部としての機能を果たすマイクロコンピュータ46は、図示外のCPU、データ取得部47、メモリ48、UI(User Interface)部49、位置情報生成部50、データ解析部51、データ記録部52、経路探索部53などを主要な構成要素とする。
【0042】
CPUは、メモリ48に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、カーナビゲーション装置40のマイクロコンピュータ46には、データ取得部47、UI部49、位置情報生成部50、データ解析部51、データ記録部52、経路探索部53などの機能が実現される。
【0043】
データ取得部47は、カーナビゲーション装置40の通信I/F41による通信を管理する。なお、カーナビゲーション装置40の通信I/F41が電子ペン20の通信I/F24からデータを受信する。
【0044】
メモリ48は各種のデータを記憶するものであり、具体的には軌跡情報記録部としての軌跡情報テーブル54、軌跡情報管理部としての軌跡管理情報テーブル55、縮尺テーブル56、変換部としての座標変換テーブル57などの各種データベースや、受信データ58、ナビゲーションデータ59、案内経路データ60や、カーナビゲーション装置40の各機能を動作させるプログラム(不図示)などの各種のデータが記憶されている。UI部49は、上述した液晶デバイス42、出力デバイス43、入力デバイス44、GPS受信デバイス45とマイクロコンピュータ46とのインターフェースを提供する機能を有する。
【0045】
位置情報生成部50は、GPS受信デバイス45が受信した電波に基づいて、車両の現在位置情報を示す緯度値と経度値を生成する機能を有する。なお、位置情報生成部50は、カーナビゲーション装置40にジャイロセンサやD−GPS(Differential―Global Positioning System)用のFM(Freqency Modulation)電波などを受信する機能を有する場合、これらの機能により得られる情報に基づいて車両の現在位置の緯度値と経度値を生成したり、これらの機能に基づいてGPS受信デバイス45に基づいて生成した緯度値と経度値を補正したりするようにしてもよい。
【0046】
データ解析部51は、複数の座標値を1つの軌跡情報として纏める機能を有する。また、データ解析部51は、複数の座標値を1つの軌跡情報として纏める場合に、自車の現在位置情報を生成して関連付ける(紐付ける)機能を有する。また、データ解析部51は、メモリ48に読取データ28としての受信データ58が記憶されている場合に、座標変換テーブル57および縮尺テーブル56とこの受信データ58を用いて、地点を抽出するための条件を決定する機能を有する。
【0047】
データ記録部52は、データ解析部51によって纏められた軌跡情報などを、メモリ48に記憶する機能を有する。これにより、メモリ48には、受信データ58などが記憶される。
【0048】
経路探索部53は、ナビゲーションデータ59を用いて、案内経路を探索する機能を有する。たとえば、経路探索部53は、探索により生成した案内経路をメモリ48に記憶させる。これにより、メモリ48には、案内経路データ60が記憶される。
【0049】
軌跡情報記録部としての軌跡情報テーブル54は、データ解析部51により纏められた軌跡情報とその軌跡情報を構成する座標値についての時刻情報が記憶されているデータベースである。
【0050】
図4は、図3中の軌跡情報テーブル54のデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、軌跡情報テーブル54は、軌跡情報ごとにID、軌跡情報のX軸およびY軸における座標値、その情報を受信した時刻などを有している。なお、この図4で示される筆記軌跡データは、緯度値および経度値が(1275300、50219100)である地点に関連付けられている筆記軌跡データを示しており、詳細については後述する軌跡情報管理テーブル55において説明する。
【0051】
軌跡情報管理部としての軌跡情報管理テーブル55は、現在位置情報として生成し、軌跡情報の表示位置情報として記憶された緯度値および経度値と、その軌跡情報とが関連付けられた情報などが記録されているデータベースである。図5は、図3中の軌跡情報管理テーブル55のデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、軌跡情報管理テーブル55は、データ記録部52により記録された経度/緯度情報、軌跡ファイルID情報、ペンID情報などを有している。
【0052】
経度/緯度情報は、図4に示す軌跡情報テーブル54に記憶された筆記軌跡データに対応する表示位置情報である緯度値および経度値を記憶している。なお、図5に示すID=6の緯度値および緯度値(12753000、502191000)は、以下の計算式により整数値化されたものである。なお、式1は、緯度X時Y分Z秒の場合の整数値(P)を求めるための式であり、式2は、経度A時B分C秒の場合の整数値(Q)を求めるための式である。
【0053】
〔式1〕
P=(X×60×60+Y×60+Z)×1000
【0054】
〔式2〕
Q=(A×60×60+B×60+C)×1000
【0055】
これらの整数値化された表示位置情報である緯度値および経度値は、専用シート15の座標値と適宜関連付けられて変換された値である。なお、座標値からこれらの整数値化された緯度値および経度値への変換方法の詳細については省略する。
【0056】
軌跡ファイルID情報は、その軌跡情報を纏めて一意に識別できるように付与されたID情報である。たとえば、図4で示した緯度値および経度値(12753000、502191000)に関連付けられた軌跡ファイルIDは、1153191018である。このIDは、図4で示すID=1における筆記軌跡データの開始時刻をそのまま軌跡ファイルIDの値として付与している。したがって、図4中のID=1〜6までの軌跡情報からなる筆記軌跡データは、この軌跡ファイルID=1153191018を参照することにより軌跡情報をプロットできるようにしている。なお、その他の軌跡ファイルIDも筆記軌跡データの開始時刻が軌跡ファイルIDとなっているが、終了時刻やその中間の時刻としても勿論よい。
【0057】
ペンID情報は、電子ペン20を用いるユーザを個別に識別できるように付与されたID情報である。このペンID情報は、たとえば、ペンID=anr8rkk9だけの軌跡情報を表示させる設定とすると、そのユーザ(ペンID=anr8rkk9)が、カーナビゲーション装置40を使用するときは、ペンID=anr8rkk9となっている軌跡情報(たとえば図5のID=1、6)のみを軌跡情報として液晶デバイス42に表示させることもできる。
【0058】
縮尺テーブル56は、複数の縮尺の異なる電子的な地図を有しているデータベースである。図6は、図3中の縮尺テーブル56のデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、縮尺テーブル56は、専用シート15に印刷される複数の地図の縮尺を記憶する。
【0059】
縮尺テーブル56に記録されている各縮尺には、後述する抽出範囲のサイズ(半径)を示す抽出範囲サイズ情報が対応付けられている。たとえば、10万分の1の縮尺には、半径2キロメートルの抽出範囲サイズ情報が対応付けられている。この複数の抽出範囲サイズ情報は、地図の縮尺に応じた複数の抽出範囲サイズの情報となる。なお、この図3中の複数の抽出範囲のサイズ(半径)は、専用シート15Aにおいて所定の共通のサイズ(たとえば半径2センチメートル)となるものである。
【0060】
変換部としての座標変換テーブル57は、電子ペン20から送信されてきた読取データ28としての座標値から地図上の経度値および緯度値の情報(位置情報)へ変換するためのデータベースである。
【0061】
図7は、図3中の座標変換テーブル57のデータ構造の一例を示す図である。図7に示すように、座標変換テーブル57は、専用シート15に印刷されるドットパターン16により得られる複数の座標値を有する。また、座標変換テーブル57の各座標値には、その座標値がコード化されたドットパターン16と重ねて印刷される地図中の地点の緯度値と経度値が対応付けられている。たとえば、ドットパターン16にコード化される座標値(x1,y1)には、北緯35度39分17秒および東経139度44分07秒の緯度値と経度値が対応付けられている。
【0062】
受信データ58は、電子ペン20から送信されてきた読取データ28をメモリ48に記録したものである。また、受信データ58は、電子ペン20以外から受信したデータも含み、たとえば入力デバイス44から入力されたデータなども受信データ58として扱うものとする。
【0063】
ナビゲーションデータ59は、たとえば地図表示データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。地図表示データは、たとえば、表示部40aとしての液晶デバイス42に地図を表示させるためのデータであり、また、専用シート15に掲載される地図などを画像データ化したものである。ノードデータは、交差点や曲がり角の地点のデータであり、たとえばその地点の名称や緯度値と経度値などの属性情報を有する。リンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータであり、たとえばそれが接続される複数のノードの情報や道路名などの属性情報を有する。施設データは、会社、ビル、展示場などの施設に関するデータであり、たとえば各施設の名称を示すテキストデータや緯度値と経度値などの属性情報を有する。
【0064】
続いて、上述したカーナビゲーションシステム10の動作について、ドライブ中に立寄った店舗付近で記録したい内容を電子ペン20で専用シート15Aに記入する例に基づいて説明する。
【0065】
(軌跡情報登録処理)
図8は、図1に示すカーナビゲーション装置40が行なう軌跡情報登録処理を示すフローチャートである。ここで、軌跡情報登録処理とは、電子ペン20から受信した軌跡情報をカーナビゲーション装置40で適切に表示させるための基準となる位置情報を確定して登録する処理のことである。
【0066】
カーナビゲーション装置40の制御部となるマイクロコンピュータ46は、電源が投入されるもしくは座標値の関連付け処理を行なう設定になると、軌跡情報登録処理を開始する(START)。ここで、たとえば運転者が立寄ったケーキ屋さんの周辺で、記録したい内容を専用シート15に「お母さんと2人で行った美味しいケーキ屋さん」という筆記情報を記入したとする。
【0067】
カーナビゲーション装置40は、電子ペン20から座標値を生成する(ステップS100)。たとえば、図4に示すようにID1〜ID6までの軌跡情報を電子ペン20から生成する。そして、カーナビゲーション装置40は、ステップS100の後、GPS受信デバイス45を用いて車両の現在位置情報を生成する(ステップS101)。つまり、マイクロコンピュータ46は、図4に示した筆記情報としての複数の座標値を電子ペン20より受信した場合には、その受信した時点における車両の現在位置情報を生成するステップを位置情報生成部50に処理させることにより実現する。
【0068】
ステップS101においての車両の現在位置情報を生成できた場合に、カーナビゲーション装置40は、座標値を解析する(ステップS102)。つまり、マイクロコンピュータ46は、車両の現在位置情報を生成できた場合には、データ解析部51を用いて軌跡情報として纏めて軌跡情報テーブル55に登録するステップを行なう。このステップS102では、たとえば座標値に含まれる記入時刻などから1件分の軌跡情報として纏めることができる。なお、複数の座標値を軌跡情報として纏める方法は、たとえば直前の受信記録から5分以上経過していたら、新しいメモであると判定し、新規の軌跡情報としてIDを付与してもよい。
【0069】
カーナビゲーション装置40は、車両の現在位置情報を軌跡データの表示位置情報として関連付けし(ステップS103)、軌跡情報登録処理を終了する(END)。このステップS103では、マイクロコンピュータ46が、図5に示す軌跡管理情報テーブル55に軌跡情報、表示位置情報、記入時刻などの各種情報を関連付けて記憶する。
【0070】
(軌跡情報表示処理)
続いて、上述した軌跡情報登録処理を行なった後に、行なわれる軌跡情報表示処理について説明する。ここで軌跡情報表示処理とは、軌跡情報管理テーブル55に記録されている軌跡情報を液晶デバイス42に表示させるための処理のことである。
【0071】
図9は、図1に示すカーナビゲーション装置40が行なう軌跡情報表示処理を示すフローチャートである。カーナビゲーション装置40は、電源が投入されるもしくは登録された軌跡情報の表示を行なう設定になると、軌跡情報表示処理を開始する(START)。カーナビゲーション装置40は、上述したGPS受信デバイス45を用いて車両の現在位置情報を生成する(ステップS110)。このステップS110は、上述したステップS101と同様の処理を行なうものである。
【0072】
カーナビゲーション装置40は、ステップS110で生成した車両の現在位置情報が、登録された軌跡情報に関連付けられている表示位置から所定範囲内に含まれているか否かの判定を行なう(ステップS111)。つまり、マイクロコンピュータ46は、データ解析部51を用いて軌跡情報管理テーブル55に記憶されている表示位置情報が、位置情報生成部50より生成した現在位置情報を中心点として形成される所定範囲内に含まれているか否かの判定処理を行なう。
【0073】
なお、軌跡情報管理テーブル55の表示位置情報と位置情報生成部50により生成された車両の現在位置情報との比較にあたっては、表示位置から「所定範囲」に車両の現在位置が入ったら表示部40aに表示する処理を行なう。ここで、「所定範囲」とは、たとえば、表示位置情報に記録された地点から半径50mに含まれる位置情報のことであり、その範囲は、径を大きくしたり、円形ではなく、四角形の領域としたり、適宜設定できるものとする。
【0074】
カーナビゲーション装置40は、登録された軌跡情報に関連付けられている表示位置情報から所定範囲に車両の現在位置が含まれていない場合(ステップS111でNo)には、ステップS111の判定処理を繰り返す。一方、カーナビゲーション装置40は、登録された軌跡情報に関連付けられている表示位置情報から所定範囲に車両の現在位置が含まれている場合(ステップS111でYes)には、液晶デバイス42に、関連付けられている軌跡情報を表示して(ステップS112)、軌跡情報表示処理を終了する(END)。つまり、マイクロコンピュータ46は、ステップS111の判定結果でYESの場合には、軌跡情報を液晶デバイス42に表示して、軌跡情報表示処理を終了する。また、マイクロコンピュータ46は、ステップS111の判定結果でNoの場合には、判定処理を定期的に繰り返す。
【0075】
(軌跡情報表示処理結果の第一の画面例)
続いて、図8で示した軌跡情報表示処理により液晶デバイス42に表示される画面について図10を参照して説明する。なお、以下の説明では、図8で示した軌跡情報登録処理により軌跡情報Kが軌跡情報管理テーブル55に予め記憶されているものとする。たとえば、図10(A)に示す「○×交差点」の近くにの「○○さんの家」に過去にユーザが訪れて、そのときに軌跡情報Kとして「○○さんの家」を登録しているものとする。
【0076】
図10は、図1に示すカーナビゲーション装置40における軌跡情報表示処理によって液晶デバイス42に表示される第一の画面例を示す図であり、(A)は、液晶デバイス42の画面上に軌跡情報Kを表示する場合の車両の検知範囲Eを概念的に示した図で、(B)は、その表示する場合の車両の検知範囲E内に車両Cが進入したときに、軌跡情報Kが液晶デバイス42の画面上に電子的な地図と共に表示されている図である。
【0077】
図10(A)に示すように、カーナビゲーション装置40の液晶デバイス42には、車両Cが「○×交差点」に差し掛かっている画像が表示されている。この画像内に示す検知範囲Eは、上述した軌跡情報登録処理によって登録された軌跡情報Kが電子的な地図と共に表示される表示位置から所定の範囲を概念的に示している。つまり、車両Cが検知範囲E内にあるときは、図10(B)に示すように、軌跡管理情報テーブル55で関連付けられている軌跡情報Kとして「○○さんの家」が電子的な地図と共に表示される。なお、検知範囲Eで表した点線上の円は、液晶デバイス42の画面上に実際に描かれるものではない。
【0078】
このように、過去にユーザが立寄った地点で記録した軌跡情報Kをカーナビゲーション装置40に記憶しておき、再度その表示位置情報から所定の範囲内に入った場合に、その軌跡情報Kを電子的な地図と共に表示させることができる。つまり、カーナビゲーション装置40を有するカーナビゲーションシステム10は、ユーザが自ら作成した情報を地図上に表示させることができる。
【0079】
(データ出力処理)
続いて、軌跡情報管理テーブル55に記録されている情報をCDやUSBメモリなどの外部記録媒体に出力するデータ出力処理について説明する。
【0080】
図11は、図1に示すカーナビゲーション装置40が行なうデータ出力処理を示すフローチャートである。カーナビゲーション装置40は、電源が投入されるもしくはデータ出力処理を行なう設定になると、データ出力処理を開始する(START)。カーナビゲーション装置40は、出力デバイス43に記録媒体が接続されているか否かの判定を行なう(ステップS120)。
【0081】
カーナビゲーション装置40は、出力デバイス43に記録媒体が接続されていない場合には(ステップS120でNo)、ステップS120の処理を繰り返す。一方、カーナビゲーション装置40は、出力デバイス43に記録媒体が接続されている場合には(ステップS120でYes)、軌跡管理情報テーブル55に記録されている所定の情報(軌跡情報とその軌跡情報に関連付けられている表示情報など)を記録媒体に出力してデータ出力処理を終了する(END)。
【0082】
このように、カーナビゲーション装置40は、軌跡管理情報テーブル55に記録されている所定の情報を外部記録媒体にデータ出力することができる。したがって、カーナビゲーション装置40に記憶されたデータを他のメディアや機器においても使用することが可能となり、情報の利用用途が広がる。
【0083】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。たとえば、以下のような実施形態も可能である。
【0084】
(軌跡情報表示処理結果の第二の表示画面例)
図10(B)で示した表示画面例とは異なる第二の表示画面例について説明する。図12は、図1に示すカーナビゲーション装置40における軌跡情報表示処理によって液晶デバイス42に表示される第二の表示画面例を示す図である。
【0085】
この第二の表示画面例は、第一の表示画面例で示した軌跡情報Kとは異なり、軌跡情報Lに加えてデジタル画像DがポップアップウィンドウXX1内に表示されるものである。なお、図12に示すデジタル画像Dは、予めカーナビゲーション装置40の入力デバイス44から入力されて、軌跡管理情報テーブル55内で軌跡情報Lと適切に関連付けて記憶されているものである。
【0086】
このようなカーナビゲーション装置40は、ユーザが専用シート15により入力した軌跡情報Lの他に、デジタルカメラ(不図示)などで撮影したデジタル画像Dを取り込んで、軌跡情報Lと関連付ける(紐付ける)ことで、適切に表示することができる。
【0087】
なお、軌跡情報Lとデジタル画像Dとを関連付けて(紐付ける)記憶する方法は、たとえば、入力デバイス44からデジタル画像Dが入力されたときに、軌跡管理情報テーブル55内に記憶されているどの軌跡情報と関連付ける(紐付ける)か否かをユーザに選択させる選択ウィンドウを表示させて、その入力結果により軌跡情報Lとデジタル画像Dを適切に関連付けて記憶するようにしてもよい。
【0088】
また、関連付けて(紐付けて)記憶する他の方法としては、デジタル画像Dの属性情報としての画像生成日時と、軌跡管理情報テーブル55に記憶されている軌跡情報Lの生成時刻とを比較して、両者の差が所定の時間内である場合に(たとえば、生成日時の両者の差が1時間以内である場合)、カーナビゲーション装置40のマイクロコンピュータ46の制御により自動的に軌跡管理情報テーブル55において関連付け(紐つけ)をして記憶することとしてもよい。また、軌跡情報Lの生成時刻としては、生成開始時刻、生成終了時刻、開始と終了の中間値などのいずれか一つを採用することができる。また、軌跡ファイルが生成された時刻としてもよい。
【0089】
更に、上述した2つの記憶する方法を組み合わせて、マイクロコンピュータ46の制御により、自動的に軌跡管理情報テーブル55において関連付けをしたデジタル画像Dと軌跡情報Lとの組み合わせを表示させて、その組み合わせが適切であるか否かを選択できる確認ウィンドウを液晶デバイス42にポップアップ表示させて決定することとしてもよい。
【0090】
(軌跡情報およびデジタル画像の他の利用方法)
続いて、上述した方法により適切に関連付けられた軌跡情報Lとデジタル画像Dの他の利用方法について説明する。
【0091】
図13は、図1に示すカーカーナビゲーション装置40における出力デバイス43により出力された軌跡情報Lとデジタル画像Dを利用して生成されたHTMLファイルをWEBブラウザ100上で表示したものである。
【0092】
ユーザは、ドライブ中に記録して生成された軌跡情報Lと、撮影したデジタル画像Dとをカーカーナビゲーション装置40から記録媒体(不図示)などに出力する。そして、帰宅後にそれらのデータを利用したHTMLファイルとして生成することができる。したがって、これらの出力した情報は、たとえば旅の記録としてブログを作成するための素材として利用することができる。
【0093】
(軌跡情報の他の登録方法)
続いて、軌跡情報の他の登録方法について説明する。図14は、図1に示すカーナビゲーションシステム10の専用シート15とは異なる専用シート15Bを用いたものであり、(A)は、カーナビゲーション装置40に記憶されている電子的な地図に対応する地図が印刷された専用シート15Bを示す図であり、(B)は、その専用シート15Bを用いて登録された軌跡情報が液晶デバイス42に表示されている画面例を示す図である。
【0094】
図14(A)に示すように、専用シート15Bには電子ペン20で書き込まれた軌跡情報Jと、その軌跡情報Jを囲んだ円Rと、その円Rが指し示す場所を特定する矢印Gと、が描かれている。
【0095】
図14(A)に示すように、円Rは、軌跡情報Jを特定するために、円Rの範囲内にある軌跡情報Jを軌跡管理情報テーブル55に記録するものとしている。これは、マイクロコンピュータ46が、軌跡情報テーブル54に記録されている軌跡情報から所定のパターンとなる円Rを検出して、円Rを構成する座標値の範囲内に含まれる座標値(つまり軌跡情報J)のみを軌跡情報管理テーブル55に記憶しているものである。
【0096】
また、図14(A)に示すように、軌跡情報Jが登録される地点を登録時の表示位置情報と関連付ける(紐付ける)のではなく、電子ペン20により指定された地点の媒体位置情報を生成して、軌跡情報Jと関連付ける(紐付ける)表示位置情報としている。これは、マイクロコンピュータ46が、パターン検出部(不図示)を用いて、軌跡情報テーブル54に記録されている軌跡情報から所定のパターンとなる矢印Gを検出し、矢印Gに合致した媒体位置情報である座標値を専用シート15B上の表示位置情報となる緯度値および経度値に変換して、その緯度値および経度値を軌跡情報管理テーブル55に記憶しているものである。軌跡情報Jの検知範囲Fは、矢印Gを上述したパターン検出部により検出することにより決定している。なお、表示範囲Fは、地図上に実際に描かれている訳ではない。
【0097】
このような軌跡情報の登録処理および位置情報の検出処理によって、図14(B)に示すように、カーナビゲーション装置40は、過去にユーザが立寄った地点で記録した軌跡情報Jを、所望の地点において表示できるように記憶する。そして、カーナビゲーション装置40は、登録された表示位置から所定の範囲内に入ったときに、その軌跡情報Jを電子的な地図と共に表示させることができる。すなわち、専用シート15Bを有するカーナビゲーションシステム10は、ユーザが自ら作成した情報を地図上の所望の地点に表示させることができる。
【0098】
(他の表示タイミング方法)
また、上記実施の形態に係るカーナビゲーション装置40は、軌跡情報を表示させるタイミングは、記憶されている表示位置から所定範囲内に車両が入ったときに、その表示位置情報に関連付けられた軌跡情報を表示させることとしている。その他にもたとえば、液晶デバイス42に表示された地図内にその表示位置が含まれる場合に軌跡情報を表示させることとしてもよい。
【0099】
更に、カーナビゲーション装置40は、車両の現在位置のみではなく、車両の現在位置に加え、車両が検知範囲に入ってきた時刻も参照して軌跡情報を表示するか否かの判定を行なってもよい。たとえば、軌跡情報の登録時刻が16時であり、この登録時刻から前後1時間以内に車両がその表示位置の検知範囲に入ってきたときに、その軌跡情報を表示させることとする。このような表示タイミング方法を採用することで、たとえば、おやつの時間帯に車両がその登録地点付近に入った場合にのみケーキ屋さんを示す軌跡情報が表示されるようにすることができる。したがって、軌跡情報の特性に合わせ、適切な表示時間帯を設定でき、不必要な軌跡情報が表示されることがなくなる。また、登録された軌跡情報が増えた場合でも、必要と思われる軌跡情報のみを適切に表示することができる。
【0100】
また、上記実施の形態に係る電子ペン20のメモリ27に記憶されるプログラムおよびカーナビゲーション装置40のメモリ48に記憶されるプログラムは、これらの機器の出荷前にメモリ27,46に記憶されたものであっても、これらの機器の出荷後にメモリ27,46に記憶されたものであってもよい。また、これらのプログラムの一部が、これらの機器の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にメモリ27,46に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0101】
また、上記実施の形態に係るカーナビゲーション装置40のメモリ48に記憶されるプログラムおよび上述した各種のデータは、その一部あるいは全部が、マイクロコンピュータ46外のたとえばHDDなどの外部記憶デバイスや、カーナビゲーション装置40と着脱可能なたとえばメモリカードやCD−ROMに記憶されていてもよい。特に、座標変換テーブル57および縮尺テーブル56は、専用シート15A、15Bの印刷内容と密接に関連するデータを有する場合は、カーナビゲーション装置40から着脱可能なメモリカードに記憶され、専用シート15A、15Bとともにユーザへ提供されるようにするとよい。これにより、カーナビゲーション装置40は、各専用シート15などに対応するメモリカードが交換して装着されることで、複数の専用シート15A、15Bなどに対応することができる。
【0102】
また、上記実施の形態に係るカーナビゲーションシステム10が有する各構成ブロックの機能は、全てまたはその一部をソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現しても良い。例えば、制御部46における処理の全部またはその一部は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【0103】
また、上記実施の形態に係るカーナビゲーションシステム10のカーナビゲーション装置40を装置の全部または一部として動作させるためのコンピュータプログラムを、メモリカード、CD(compact disc)、DVD(digital versatile disk)、MO(magneto−optical)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータ、例えば、携帯電話、オーディオ機器、電子時計等にインストールし、カーナビゲーション装置40として動作させ、あるいは、カーナビゲーション装置40が行なう工程を実行させてもよい。さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、カーナビゲーション装置40となるコンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、すべてのナビゲーションシステムに適用できる。すなわち、自動車用、船用、自転車用などのナビゲーションシステムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムの全体構成図である。
【図2】図1中の専用シートを示す説明図である。
【図3】図1中の電子ペンおよびカーナビゲーション装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図3中の軌跡情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】図3中の軌跡情報管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図3中の縮尺テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】図3中の座標変換テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】図1に示すカーナビゲーション装置が行なう軌跡情報登録処理を示すフローチャートである。
【図9】図1に示すカーナビゲーション装置が行なう軌跡情報表示処理を示すフローチャートである。
【図10】図1に示すカーナビゲーション装置における軌跡情報表示処理によって液晶デバイスに表示される第一の画面例を示す図であり、(A)は、液晶デバイスの画面上に軌跡情報の表示範囲を概念的に示した図で、(B)は、その表示範囲内に車両が進入したときに、軌跡情報が液晶デバイスの画面上に電子的な地図と共に表示されている図である。
【図11】図1に示すカーナビゲーション装置が行なうデータ出力処理を示すフローチャートである。
【図12】図1に示すカーナビゲーション装置における軌跡情報表示処理によって液晶デバイスに表示される第二の表示画面例を示す図である。
【図13】図1に示すカーナビゲーション装置における出力デバイスにより出力された軌跡情報とデジタル画像を利用して生成されたHTMLファイルをWEBブラウザ上で表示したものである。
【図14】図1に示すカーナビゲーションシステムの専用シートとは異なる専用シートを用いたものであり、(A)は、カーナビゲーション装置に記憶されている電子的な地図に対応する地図が印刷された専用シートを示す図であり、(B)は、その専用シートを用いて登録された軌跡情報が液晶デバイスに表示されている画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
10 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)、15,15A,15B 専用シート(印刷媒体)、17 ドットパターン(座標値に変換可能なパターン)、29 パターン読取部、30 生成部、40 カーナビゲーション装置(ナビゲーション装置)、40a,42 液晶デバイス(表示部)、43 出力デバイス(データ出力部)、44 入力デバイス(データ入力部)、46 マイクロコンピュータ(制御部)、50 位置情報生成部、53 経路探索部、54 軌跡情報テーブル(軌跡情報記録部/情報記録部)、55 軌跡情報管理テーブル(軌跡情報管理部/情報管理部)、57 座標変換テーブル(変換部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体上に記された位置を示す座標値に変換可能なパターンが印刷された印刷媒体と、
上記パターンを読み取るパターン読取部と、
読み取った上記パターンから上記座標値を生成する生成部と、
電子的な地図を表示できる表示部と、
上記座標値が送信されてきた場合に、上記座標値を軌跡情報として記憶すると共に、現在位置情報を生成し、上記軌跡情報の表示位置情報として上記現在位置情報を関連付けて記憶し、上記表示位置情報に基づいて上記軌跡情報を上記表示部に表示する制御部と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記制御部は、
送信されてきた前記座標値を軌跡情報として記録する軌跡情報記録部と、
前記現在位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記軌跡情報の表示位置情報として前記現在位置情報を関連付けて記憶する軌跡情報管理部と、を有し、
上記表示位置情報に基づいて前記軌跡情報を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記表示位置情報が前記表示部の表示範囲内に入ったときは、前記軌跡情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記制御部は、
経路探索ができる経路探索部を有し、
前記表示位置情報が、上記経路探索部により決定された経路上から所定の範囲内に入ったときは、前記軌跡情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記軌跡情報および前記表示位置情報を外部記録媒体に出力できるデータ出力部を有することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記軌跡情報が送信されてきたときに、前記現在位置情報を生成し、前記軌跡情報を表示させるための表示位置情報として前記現在位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記制御部は、前記軌跡情報から所定のパターンを検出し、上記所定のパターンを構成する座標値の範囲内に含まれる座標値のみを記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
前記印刷媒体には、前記表示部に表示される電子的な地図に対応した地図が印刷されており、
前記制御部は、
前記印刷媒体上の座標値と、上記地図印刷媒体上の位置情報とを変換できる変換部と、
前記軌跡情報から所定のパターンを検出するパターン検出部と、を有し、
上記所定のパターンに合致した座標値を上記地図印刷媒体上の媒体位置情報に変換し、前記軌跡情報を表示させるための表示位置情報としてその変換された上記媒体位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項9】
前記制御部は、
外部情報を入力できるデータ入力部を有し、
前記軌跡情報を記憶した日時と、上記データ入力手段により入力された外部情報の作成日時とを比較し、その両方の作成日時の差が所定の時間内にあるときは、上記外部情報を前記軌跡情報と関連付けて記憶することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記軌跡情報を前記表示部に表示するときは、前記外部情報も前記表示部に表示させることを特徴とする請求項9に記載のナビゲーションシステム。
【請求項11】
現在位置情報を生成できる位置情報生成部と、
電子的な地図を表示できる表示部と、
軌跡情報が送信されてきた場合に、上記軌跡情報を記憶すると共に、上記現在位置情報を生成し、上記軌跡情報の表示位置情報として上記現在位置情報を関連付けて記憶し、上記表示位置情報に基づいて上記軌跡情報を上記表示部に表示する制御部と、を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記表示位置情報が前記表示部に表示される電子的な地図の所定範囲内に入ったときは、前記軌跡情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項11に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記制御部は、
経路探索ができる経路探索部を有し、
前記表示位置情報が上記経路探索部により決定された経路上から前記所定範囲内に入ったときは、前記軌跡情報を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項11に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記軌跡情報が記録されたときに、前記現在位置情報を生成し、前記軌跡情報を表示させるための表示位置情報として前記現在位置情報を関連付けて記憶すること特徴とする請求項11に記載のナビゲーション装置。
【請求項15】
現在位置情報を生成するステップと、
軌跡情報が送信されてきた場合に、上記軌跡情報を記憶するステップと、
上記軌跡情報の表示位置情報として上記現在位置情報を関連付けて記憶するステップと、
上記表示位置情報に基づいて上記軌跡情報を表示するステップと、
を有することを特徴とする情報表示方法。
【請求項16】
コンピュータを前記請求項11から請求項14のいずれか1項に記載のナビゲーション装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−244737(P2009−244737A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93235(P2008−93235)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】