説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びプログラム

【課題】設定ルートから外れた時点でリルートを迅速に行うこと。
【解決手段】道路及び道路の交差点の情報を含む地図情報に基づいて、測位された測位位置がマップマッチング処理されて表示される。また、測位された測位位置が、交差点を含む当該交差点の近傍所定領域として定められた分岐エリア内に位置するか否かが判定され、分岐エリア内に位置すると判定された場合は、測位時間間隔及びリルート閾値距離が短縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工衛星を利用した測位システムとしてはGPS(Global Positioning System)が有名であり、ナビゲーション装置等に利用されている。ナビゲーション装置では、所与の出発地点と目的地点を指示入力すると、最短のルートが設定される。
【0003】
また、最近のナビゲーション装置は、リルート機能が備えられている(例えば特許文献1)。リルート機能とは、ナビゲーション装置の位置が設定ルートから外れた場合に、新たに別のルートを検索・設定する機能のことである。
【特許文献1】特開2003−232645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より具体的に説明すると、従来のナビゲーション装置のリルート機能は、GPSによって自機の現在位置を測位する毎に、当該測位位置と設定ルート間の距離が所定の閾値距離(例えば「100m」)に達したか否かを判定し、達したと判定した場合に、新たなルートを検索・設定する(以下、適宜「リルートを行う」と表現する。)ものである。
【0005】
しかし、閾値距離内か否かの判定を測位時間間隔毎に行っている都合上、次の測位時刻に至る前に、自機の実在位置が設定ルートから閾値距離以上離れたとしても、その時点ではリルートが行われず、次の測位時刻になって初めてリルートが行われる。従って、リルートが行われるまでの間に、相当距離進んでしまっている事態が往々にして起こる。
【0006】
これは、特に歩行用のナビゲーション装置で問題になる。人間は車に比べて通行可能な道路の選択肢が多い。このため、歩行用のナビゲーション装置のユーザは誤った道路を進行してしまう可能性が高い。すなわち、リルートの是非を決定する閾値距離の問題や測位時間間隔の問題で、設定ルートから外れても閾値距離以上離れなければリルートが行われず、更には閾値距離以上離れたとしても、次の測位時刻までの間はリルートが行われない。しかもこの間は、表示画面には、設定ルート上を正しく進行しているかのような表示がなされる。
【0007】
このため、設定ルートを外れて歩行している場合であっても、ユーザは正しいルートだと思いこんだ道を進行してしまう。そして、設定ルートからの距離が閾値距離以上になった次の測位時刻のタイミングになって初めてリルートが行われ、ユーザは、設定ルートから外れていることに気付くことになる。その時点では、ユーザは相当の距離を進行しており、元の道に戻るにしても、リルートされて新たに設定されたルートに沿って進行するにしても、結果的に余計な距離を歩くことになってしまい、実用的ではない。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みて為されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するための第1の発明は、道路及び道路の分岐場所の情報を含む地図情報を記憶した記憶部と、所与の測位時間間隔で現在位置を測位する測位部と、前記記憶部に記憶された地図情報に基づいて、前記測位部により測位された測位位置をマップマッチング処理するマップマッチング処理部と、前記マップマッチング処理の結果位置を表示出力する位置表示制御部と、前記測位部により測位された測位位置が前記分岐場所を含む当該分岐場所の近傍所定領域内に位置するか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定結果に応じて前記測位時間間隔を可変する測位間隔可変部とを備えたナビゲーション装置である。
【0010】
また、第7の発明として、所与の測位時間間隔で現在位置を測位する測位ステップと、道路及び道路の分岐場所の情報を含む地図情報を記憶した記憶部に記憶された地図情報に基づいて、前記測位ステップにおいて測位された測位位置をマップマッチング処理するマップマッチング処理ステップと、前記マップマッチング処理の結果位置を表示出力する位置表示ステップと、前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記分岐場所を含む当該分岐場所の近傍所定領域内に位置するか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおける判定結果に応じて前記測位時間間隔を可変する測位間隔可変ステップとを含むナビゲーション方法を構成してもよい。
【0011】
この第1の発明等によれば、道路及び道路の分岐場所の情報を含む地図情報に基づいて、測位された測位位置がマップマッチング処理されて表示される。また、測位された測位位置が、分岐場所を含む当該分岐場所の近傍所定領域内に位置するか否かが判定され、その判定結果に応じて測位時間間隔が可変される。従って、分岐場所近傍においては、例えば測位時間間隔を短縮させ、リルートの判定を行う頻度を高くすることにより、設定ルートから外れたことを敏感に検知して、リルートを迅速に行うことが可能となる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明のナビゲーション装置における前記測位間隔可変部が、前記判定部により前記所定領域内に位置すると判定された場合の測位時間間隔を、位置しないと判定された場合の測位時間間隔より短くするナビゲーション装置である。
【0013】
また、第8の発明として、第7の発明のナビゲーション方法における前記測位間隔可変ステップが、前記判定ステップにおいて前記所定領域内に位置すると判定された場合の測位時間間隔を、位置しないと判定された場合の測位時間間隔より短くするステップであるナビゲーション方法を構成してもよい。
【0014】
この第2の発明等によれば、測位位置が分岐場所近傍の所定領域内に位置すると判定された場合は、位置しないと判定された場合よりも測位時間間隔が短縮される。
【0015】
第3の発明は、第1又は第2の発明のナビゲーション装置であって、ユーザ操作に従って設定された目的地までのルートを設定するルート設定部と、前記測位部により測位された測位位置と前記設定されたルートとの位置関係の条件を少なくとも含む所定のルート再設定条件を満たしたことを検知する再設定条件満足検知部とを備え、前記ルート設定部が、前記検知に応じて、前記測位部により測位された測位位置に基づいて前記目的地までのルートを再設定し、更に、前記判定部の判定結果に応じて前記ルート再設定条件に含まれる前記位置関係の条件を可変する位置関係条件可変部とを備えたナビゲーション装置である。
【0016】
また、第9の発明として、第7又は第8の発明のナビゲーション方法であって、ユーザ操作に従って設定された目的地までのルートを設定するルート設定ステップと、前記測位ステップにおいて測位された測位位置と前記設定されたルートとの位置関係の条件を少なくとも含む所定のルート再設定条件を満たしたことを検知する再設定条件満足検知ステップと、前記検知に応じて、前記測位ステップにおいて測位された測位位置に基づいて前記目的地までのルートを再設定するルート再設定ステップと、前記判定ステップでの判定結果に応じて前記ルート再設定条件に含まれる前記位置関係の条件を可変する位置関係条件可変ステップとを含むナビゲーション方法を構成してもよい。
【0017】
この第3の発明等によれば、ユーザ操作に従って目的地までのルートが設定され、測位位置と設定されたルートとの位置関係の条件を少なくとも含む所定のルート再設定条件を満たしたことが検知された場合に、測位位置に基づいて目的地までのルートが再設定される。また、測位位置が分岐場所近傍の所定領域内に位置するか否かの判定結果に応じて、ルート再設定条件に含まれる位置関係の条件が可変される。
【0018】
第4の発明は、第3の発明のナビゲーション装置における前記位置関係の条件は、現在設定されているルートと測位位置間の距離が所与の閾値距離に達したか否かの条件であり、前記位置関係条件可変部は、前記判定部により前記所定領域内に位置すると判定された場合の閾値距離を、位置しないと判定された場合の閾値距離よりも短くすることで前記位置関係の条件を可変するナビゲーション装置である。
【0019】
また、第10の発明として、第9の発明のナビゲーション方法における前記位置関係の条件は、現在設定されているルートと測位位置間の距離が所与の閾値距離に達したか否かの条件であり、前記位置関係条件可変ステップは、前記判定ステップにおいて前記所定領域内に位置すると判定された場合の閾値距離を、位置しないと判定された場合の閾値距離よりも短くすることで前記位置関係の条件を可変するステップであるナビゲーション方法を構成してもよい。
【0020】
この第4の発明等によれば、測位位置が分岐場所近傍の所定領域内に位置すると判定された場合は、位置しないと判定された場合よりも、位置関係の条件を構成する閾値距離が短くされる。従って、分岐場所近傍では、リルートを行う場合の距離の条件が厳しくされることになり、上述した発明と相まって、設定ルートから外れた場合にリルートが迅速に行われるようになる。
【0021】
第5の発明は、第3又は第4の発明のナビゲーション装置であって、現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路を判定する進入路判定部と、分岐場所を基準として前記進入路判定部により判定された進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定部とを備え、前記判定部は、前記測位部により測位された測位位置が前記所定領域設定部により設定された所定領域内に位置するか否かを判定するナビゲーション装置である。
【0022】
また、第11の発明として、第9又は第10の発明のナビゲーション方法であって、現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路を判定する進入路判定ステップと、分岐場所を基準として前記進入路判定ステップにおいて判定された進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定ステップとを含み、前記判定ステップは、前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記所定領域設定ステップにおいて設定された所定領域内に位置するか否かを判定するステップであるナビゲーション方法を構成してもよい。
【0023】
分岐場所では、ユーザは進入してきた進入路から他の分岐路に進行する。従って、分岐場所までは確実に進入路に沿って進行することが予期される。一方、分岐場所に到達した後は、進入路以外の他の分岐路のうち、何れの分岐路を選択して進行するかがリルート上問題となる。
【0024】
そこで、第5の発明等では、現在設定されているルートと分岐場所の情報とに基づいて、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路が判定され、分岐場所を基準として進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域が、当該分岐場所の所定領域として設定されるようにしている。分岐場所に進入する際には、分岐場所から進出する場合に比べて、測位時間間隔及び位置関係の条件を変更する必要性が少ないためである。
【0025】
第6の発明は、第3又は第4の発明のナビゲーション装置であって、現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路とルート設定されている分岐先路とを判定する分岐判定部と、分岐場所を基準として前記分岐判定部により判定された進入路側及び分岐先路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定部とを備え、前記判定部は、前記測位部により測位された測位位置が前記所定領域設定部により設定された所定領域内に位置するか否かを判定するナビゲーション装置である。
【0026】
また、第12の発明として、第9又は第10の発明のナビゲーション方法であって、現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路とルート設定されている分岐先路とを判定する分岐判定ステップと、分岐場所を基準として前記分岐判定ステップにおいて判定された進入路側及び分岐先路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定ステップとを含み、前記判定ステップは、前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記所定領域設定ステップにおいて設定された所定領域内に位置するか否かを判定するステップであるナビゲーション方法を構成してもよい。
【0027】
分岐場所へは、進入路に沿ってそのまま進入することが予期される。また、分岐場所に到達した後は、ルート設定されている分岐先路に沿って進出する可能性が高い。換言すると、リルートに当たっては、進入路及びルート設定されている分岐先路への進行を監視するよりも、ルート設定されていない分岐先路への進行を監視する方が重要と言える。
【0028】
そこで、第6の発明等では、現在設定されているルートと分岐場所の情報とに基づいて、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路とルート設定されている分岐先路とが判定され、分岐場所を基準として判定された進入路側及び分岐先路側が短く、他の分岐路側が長い領域が、当該分岐場所の所定領域として設定されるようにしている。これにより、分岐場所に進入する際には、分岐場所近くまで測位時間間隔及び位置関係の条件を変更せず、分岐場所からルート設定されている分岐先路に進出する際には、分岐場所から離れた時点で即座に測位時間間隔及び位置関係の条件を元に戻すといったことが可能となる。
【0029】
また、第13の発明として、第7〜第12の何れかの発明のナビゲーション方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して、ナビゲーション装置の一種である携帯型電話機1に本発明を適用した場合の実施形態について説明する。但し、本発明を適用可能な実施形態がこれに限定されるわけではない。
【0031】
1.原理
携帯型電話機1は、測位用衛星であるGPS衛星から発信(送出)される測位用信号としてのGPS衛星信号を受信し、受信したGPS衛星信号に重畳されているGPS衛星の軌道情報(エフェメリスデータやアルマナックデータ)等の航法メッセージに基づいて、GPS衛星の位置、移動方向、速度等の衛星情報を算出する。
【0032】
尚、GPS衛星は、6つの地球周回軌道面それぞれに4機ずつ配置され、原則、地球上のどこからでも常時4機以上の衛星が幾何学的配置のもとで観測できるように運用されている。以下では、受信(捕捉)したGPS衛星信号を送信したGPS衛星を、他のGPS衛星と区別するために「捕捉衛星」と称する。
【0033】
また、携帯型電話機1は、内蔵している水晶時計により特定されるGPS衛星信号の受信時刻と、当該受信したGPS衛星信号のGPS衛星からの送信時刻とに基づいて、捕捉衛星から自機までの電波伝搬時間を計算する。そして、計算した電波伝搬時間に光速度を乗算することで、捕捉衛星から自機までの距離(疑似距離)を計算する。
【0034】
携帯型電話機1は、所与の測位時間間隔で、自機の位置を示す3次元の座標値と、時計誤差との4つのパラメータの値を、複数の捕捉衛星の衛星情報や各捕捉衛星から自機までの距離(擬似距離)等の情報に基づいて算出する測位演算を行うことで、自機の現在位置を測位する。また、携帯型電話機1は、測位機能の他にナビゲーション機能を備えており、所与の出発地から目的地に至る最短のルートを検索・設定して画面に表示することで、目的地までの経路案内を行う。
【0035】
尚、本実施形態では、携帯型電話機1のユーザにより出発地及び目的地が指示されるものとして説明するが、測位演算により求めた現在位置(以下、「現在測位位置」と称す。)を出発地に自動設定することで、目的地のみがユーザにより指示される構成としてもよい。また、優先して通行したい道路、途中で通過したい地点等の付加条件(オプション)をユーザが指定することを可能とし、指定された付加条件に従ってルートの検索・設定を行うことにしてもよい。
【0036】
図1は、本実施形態におけるナビゲーションの概要を説明するための図である。ここでは、携帯型電話機1を携行したユーザが、ある出発地から目的地を目指して徒歩で移動する場合を例に挙げて説明する。
【0037】
最初に、ユーザにより出発地及び目的地が指示されると、携帯型電話機1は、当該出発地から当該目的地までの最短のルートを検索し、検索したルートを当初のルートとして設定して(以下、「当初設定ルート」と称す。)、画面に表示する。
【0038】
ユーザは、画面に表示された当初設定ルートに従って道路を進んでいくが、例えば、当初設定ルート上の最初の交差点C1において、本来であれば右斜め前方の道路に進むべきであったところ、誤って右折してしまったとする。この場合、携帯型電話機1は、現在測位位置と当初設定ルートとの位置関係が所定のリルート発動条件を満たしたことを検知した場合に、ルートの再設定(リルート)を行う。
【0039】
具体的には、携帯型電話機1は、現在測位位置と設定ルート間の距離が所与の閾値距離(本実施形態では、「リルート閾値距離」と称する。)に達した場合に、現在測位位置を出発地として、目的地までの最短のルートを再検索する。そして、再検索したルートを新たなルートに設定して(以下、「再設定ルート」と称す。)、画面に表示する。
【0040】
図2は、リルートの原理を説明するための図であり、図2(A)が、従来におけるリルートの原理を、図2(B)が、本実施形態におけるリルートの原理を説明するための図である。同図は、図1の交差点C1近傍の拡大図であり、本実施形態の特徴を明確にするために、従来技術と対比して説明する。
【0041】
従来技術では、携帯型電話機1は、所与の測位時間間隔「Δt」(例えば「2秒」)で自機の現在位置を測位する。そして、測位を行った後、当該現在測位位置と当初設定ルート間の距離「d」を算出し、算出した距離「d」が所定のリルート閾値距離「θ」(例えば「30m」)以上であるか否かを判定する。
【0042】
そして、距離「d」がリルート閾値距離「θ」未満であると判定した場合は(d<θ)、携帯型電話機1は、現在測位位置に対してマップマッチング処理を行い、マップマッチング処理の結果として得られた位置(以下、「マップマッチング結果位置」と称す。)を、アイコン等によって画面に表示する。
【0043】
ここで、マップマッチング処理とは、地図情報に基づいて、現在測位位置を地図上の妥当な位置に補正する処理のことをいう。例えば、現在測位位置が海上となった場合は、最近接する海岸道路上に現在測位位置を補正する。尚、マップマッチングに係る処理は公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0044】
一方、現在測位位置と当初設定ルート間の距離「d」がリルート閾値距離「θ」以上であると判定した場合は(d≧θ)、携帯型電話機1は、新たなルートを検索し、再設定ルートとして設定する。そして、マップマッチング処理を同様に行い、当該マップマッチング結果位置を画面に表示する。
【0045】
例えば、図2(A)において、測位時刻「t1」,「t2」,「t3」及び「t4」では、現在測位位置と当初設定ルート間の距離「d1」,「d2」,「d3」及び「d4」が、それぞれリルート閾値距離「θ」未満であったため(d1<θ,d2<θ,d3<θ,d4<θ)、リルートが行われることはなく、マップマッチング処理によって、現在測位位置が当初設定ルート上にそれぞれマップマッチングされている。
【0046】
一方、測位時刻「t5」では、現在測位位置と当初設定ルート間の距離「d5」がリルート閾値距離「θ」よりも大きかったため(d5>θ)、リルート機能によって新たなルート(再設定ルート)が設定されている。そして、マップマッチング処理により、現在測位位置が再設定ルート上にマップマッチングされている。
【0047】
この従来技術では、リルートを行うか否かの判定を所与の測位時間間隔毎に行い、且つ、リルート閾値距離が一定である都合上、携帯型電話機1の実在位置が設定ルートからリルート閾値距離以上離れたとしても、その時点ではリルートが行われず、次の測位時刻になって初めてリルートが行われる。このため、例えば図2(A)では、測位時刻「t4」から「t5」までの間にユーザが交差点C2を通り過ぎてしまい、道路L2が再設定ルートに含まれない上、ユーザが目的地まで遠回りを余儀なくされるという問題がある。
【0048】
そこで、本実施形態では、道路の各交差点について、当該交差点を含む近傍所定領域を「分岐エリア」とし、携帯型電話機1の現在測位位置が分岐エリア内に位置している場合は、測位時間間隔を「ΔtC(<Δt)」(例えば「1秒」)に短縮し、それに併せて、リルート閾値距離も「θC(<θ)」(例えば「10m」)に短縮する。
【0049】
この場合、例えば図2(B)では、現在測位位置が分岐エリア内に位置することになった測位時刻「t3」以降、測位時間間隔が「ΔtC」に短縮されたことで、ユーザが交差点C2に到達するまでの間に、測位時刻「t6」及び「t7」において2度のリルートの判定が行われている。
【0050】
また、測位時間間隔と併せてリルート閾値距離が「θC」に短縮されるため、測位時刻「t6」及び「t7」におけるリルートの判定では、リルートを行うための距離の条件が厳しくされている。その結果、測位時刻「t6」では、現在測位位置と当初設定ルート間の距離「d7」がリルート閾値距離「θC」に満たなかったものの(d6<θC)、その次の測位時刻「t7」では、距離「d7」がリルート閾値距離「θC」に達したことで(d7≧θC)、リルートが行われ、道路L2を選択肢に含むルートが新たに設定されている。
【0051】
図3は、分岐エリアの形状の一例を示す図である。例えば、交差点を中心とする円(例えば半径が「20m」)を考え、その円の内部の領域を分岐エリアとすることが考えられる(図3(A))。また、交差点を中心とする矩形(例えば一辺の長さが「40m」)を考え、その矩形の内部の領域を分岐エリアとしてもよい(図3(B))。
【0052】
2.構成
図4は、携帯型電話機1の機能構成を示すブロック図である。
携帯型電話機1は、GPSアンテナ5と、GPS受信部10と、TCXO(Temperature Compensated Crystal Oscillator)20と、ホストCPU30と、操作部40と、表示部50と、携帯電話用アンテナ60と、携帯電話用無線通信回路部70と、ROM(Read Only Memory)80と、RAM(Random Access Memory)90とを備えて構成される。
【0053】
GPSアンテナ5は、測位用衛星であるGPS衛星から発信(送出)されたGPS衛星信号を含むRF信号を受信するアンテナであり、受信した信号をGPS受信部10に出力する。尚、GPS衛星信号は、C/A(Coarse and Acquisition)コードと呼ばれるスペクトラム拡散変調された信号であり、1.57542[GHz]を搬送波周波数とするL1帯の搬送波に重畳されている。
【0054】
GPS受信部10は、GPSアンテナ5から出力された信号に基づいて携帯型電話機1の現在位置を測位する測位部であり、いわゆるGPS受信機に相当する機能ブロックである。GPS受信部10は、RF(Radio Frequency)受信回路部11と、ベースバンド処理回路部13とを備えて構成される。尚、RF受信回路部11と、ベースバンド処理回路部13とは、それぞれ別のLSI(Large Scale Integration)として製造することも、1チップとして製造することも可能である。
【0055】
RF受信回路部11は、高周波信号(RF信号)の回路ブロックであり、TCXO20により生成された発振信号を分周或いは逓倍することで、RF信号乗算用の発振信号を生成する。そして、生成した発振信号を、GPSアンテナ5から出力されたRF信号に乗算することで、該RF信号を中間周波数の信号(以下、「IF(Intermediate Frequency)信号」と称す。)にダウンコンバートし、IF信号を増幅等した後、A/D変換器でデジタル信号に変換して、ベースバンド処理回路部13に出力する。
【0056】
ベースバンド処理回路部13は、RF受信回路部11から出力されたIF信号に対して相関処理等を行ってGPS衛星信号を捕捉・抽出し、データを復号して航法メッセージや時刻情報等を取り出し、疑似距離の演算や測位演算等を行う回路部である。ベースバンド処理回路部13は、相関処理を行う回路や相関処理用の拡散符号を発生させる回路、データを復号する回路等を備えて構成される。
【0057】
TCXO20は、所定の発振周波数を有する発振信号を生成する温度補償型水晶発振器であり、生成した発振信号をRF受信回路部11及びベースバンド処理回路部13に出力する。
【0058】
ホストCPU30は、ROM80に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って携帯型電話機1の各部を統括的に制御するプロセッサである。特に、ホストCPU30は、ROM80に記憶されているナビゲーションプログラム81に従って、ナビゲーション処理を行う。
【0059】
操作部40は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号をホストCPU30に出力する。この操作部40の操作により、出発地点や目的地点の指定等の各種指示入力がなされる。
【0060】
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成され、ホストCPU30から入力される表示信号に基づいた各種表示を行う表示装置である。表示部50には、ナビゲーション画面等が表示される。
【0061】
携帯電話用アンテナ60は、携帯型電話機1の通信サービス事業者が設置した無線基地局との間で携帯電話用無線信号の送受信を行うアンテナである。
【0062】
携帯電話用無線通信回路部70は、RF変換回路、ベースバンド処理回路等によって構成される携帯電話の通信回路部であり、携帯電話用無線信号の変調・復調等を行うことで、通話やメールの送受信等を実現する。
【0063】
ROM80は、読み出し専用の記憶装置であり、携帯型電話機1を制御するためのシステムプログラムや、ナビゲーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
【0064】
RAM90は、読み書き可能な記憶装置であり、ホストCPU30により実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成している。
【0065】
図5(A)、図5(B)は、ROM80及びRAM90に格納されたデータの一例を示す図である。ROM80には、ホストCPU30により読み出され、ナビゲーション処理(図6参照)として実行されるナビゲーションプログラム81と、地図データ83とが記憶されている。
【0066】
ナビゲーション処理とは、ホストCPU30が、携帯型電話機1の現在測位位置と設定ルート間の距離に基づいて、ベースバンド処理回路部13が測位を行う測位時間間隔及びリルート閾値距離を可変に設定しながら、指示された目的地までの経路案内を行う処理である。ナビゲーション処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
【0067】
地図データ83は、道路情報や建物情報を含む地図情報が記憶されたデータであり、特に、交差点の情報である交差点データ831がこれに含まれる。ナビゲーション処理において、ホストCPU30は、交差点データ831に基づいて、現在測位位置が分岐エリア内に位置するか否かを判定する。
【0068】
RAM90には、設定ルートデータ91と、測位データ93と、マップマッチングデータ95とが記憶される。
【0069】
設定ルートデータ91には、現在設定されているルートの情報として、出発地及び目的地の情報と、出発地から目的地に至るまでの道路及び交差点の情報とが記憶される。ナビゲーション処理において、ホストCPU30は、ルート検索処理を行った後、得られたルートの情報を設定ルートデータ91に記憶させる。
【0070】
測位データ93には、3次元の座標値で表される現在測位位置が記憶される。ナビゲーション処理において、ホストCPU30は、ベースバンド処理回路部13から測位演算によって求められた測位位置を取り込み、当該測位位置を現在測位位置として測位データ93に記憶させる。
【0071】
マップマッチングデータ95には、3次元の座標値で表されるマップマッチング結果位置が記憶される。ナビゲーション処理において、ホストCPU30は、測位データ93に記憶されている現在測位位置に対してマップマッチング処理を行い、得られたマップマッチング結果位置をマップマッチングデータ95に記憶させる。
【0072】
3.処理の流れ
図6は、ホストCPU30によりROM80に記憶されているナビゲーションプログラム81が読み出されて実行されることで、携帯型電話機1において実行されるナビゲーション処理の流れを示すフローチャートである。尚、ナビゲーション処理に先立ち、GPSアンテナ5によるRF信号の受信や、GPS受信部10による測位演算等が随時なされる状態にあるものとする。
【0073】
最初に、ホストCPU30は、初期設定として、ベースバンド処理回路部13の測位時間間隔を「2秒」に設定するとともに、リルート閾値距離を「30m」に設定する(ステップA1)。
【0074】
次いで、ホストCPU30は、操作部40を介して指示された出発地及び目的地を設定し(ステップA3)、ルート検索処理を行う(ステップA5)。具体的には、ROM80に記憶されている地図データ83を参照して、ステップA3において設定した出発地から目的地までの最短ルートを検索する。尚、ルート検索のアルゴリズムについては公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
ルート検索処理を行った後(ステップA5)、ホストCPU30は、得られたルートの情報でRAM90の設定ルートデータ91を更新することでルートの設定を行い、当該設定ルートを表示部50に表示させる(ステップA7)。
【0076】
そして、ホストCPU30は、ベースバンド処理回路部13から測位演算により求められた測位位置を取り込み、当該測位位置を現在測位位置として、RAM90の測位データ93に記憶させる(ステップA9)。
【0077】
次いで、ホストCPU30は、地図データ83に含まれる交差点データ831を参照して、RAM90の測位データ93に記憶されている現在測位位置が分岐エリア内に位置するか否かを判定する(ステップA11)。具体的には、現在測位位置の直近の交差点(以下、「直近交差点」と称す。)を特定し、図3を参照して説明した当該直近交差点を中心とする近傍所定範囲の領域に現在測位位置が含まれるか否かを判定する。
【0078】
そして、分岐エリア内に位置すると判定した場合は(ステップA11;Yes)、ホストCPU30は、ベースバンド処理回路部13の測位時間間隔を「1秒」に設定するとともに、リルート閾値距離を「10m」に設定する(ステップA13)。また、現在測位位置が分岐エリア内に位置しないと判定した場合は(ステップA11;No)、ベースバンド処理回路部13の測位時間間隔を「2秒」に設定するとともに、リルート閾値距離を「30m」に設定する(ステップA15)。
【0079】
測位時間間隔及びリルート閾値距離の設定を行った後(ステップA13又はA15)、ホストCPU30は、ユーザが目的地に到達したか否かを判定する(ステップA17)。具体的には、RAM90の測位データ93に記憶されている現在測位位置が、目的地の位置座標から所定距離以内であるか否かを判定することで、目的地への到達を判定する。
【0080】
そして、まだ目的地に到達していないと判定した場合は(ステップA17;No)、ホストCPU30は、RAM90の測位データ93に記憶されている現在測位位置と、設定ルートデータ91に記憶されている設定ルート間の距離が、現在設定されているリルート閾値距離以上であるか否かを判定する(ステップA19)。
【0081】
そして、リルート閾値距離未満であると判定した場合は(ステップA19;No)、ホストCPU30は、ステップA25へと処理を移行し、リルート閾値距離以上であると判定した場合は(ステップA19;Yes)、ルート検索処理を行い、現在測位位置を出発地として、目的地までの最短ルートを検索する(ステップA21)。
【0082】
ルート検索処理を行った後(ステップA21)、ホストCPU30は、得られたルートの情報でRAM90の設定ルートデータ91を更新することでルートの設定を行い、当該設定ルートを表示部50に表示させる(ステップA23)。
【0083】
次いで、ホストCPU30は、現在測位位置を道路上に補正するマップマッチング処理を行い(ステップA25)、得られたマップマッチング結果位置で、RAM90のマップマッチングデータ95を更新する。そして、ホストCPU30は、当該マップマッチング結果位置を表示部50に表示させる(ステップA27)。
【0084】
その後、ホストCPU30は、ナビゲーションを終了するか否かを判定する(ステップA29)。具体的には、操作部40を介してナビゲーション機能を「OFF」にする指示操作がなされた場合や、携帯型電話機1の電源を「OFF」にする指示操作がなされた場合に、ナビゲーションを終了するものと判定する。
【0085】
そして、まだナビゲーションを終了しないと判定した場合は(ステップA29;No)、ホストCPU30は、ステップA9に戻り、ナビゲーションを終了すると判定した場合は(ステップA29;Yes)、ナビゲーション処理を終了する。
【0086】
一方、ステップA17において、ユーザが目的地に到達したと判定した場合は(ステップA17;Yes)、ホストCPU30は、ステップA29と同様にナビゲーションの終了判定を行う(ステップA31)。そして、まだナビゲーションを終了しないと判定した場合は(ステップA31;No)、ホストCPU30は、ステップA3に戻り、ナビゲーションを終了すると判定した場合は(ステップA31;Yes)、ナビゲーション処理を終了する。
【0087】
4.作用効果
本実施形態によれば、道路及び道路の交差点の情報を含む地図情報に基づいて、測位された測位位置がマップマッチング処理されて表示される。また、測位された測位位置が、交差点を含む当該交差点の近傍所定領域として定められた分岐エリア内に位置するか否かが判定され、分岐エリア内に位置すると判定された場合は、測位時間間隔及びリルート閾値距離が短縮される。従って、交差点近傍では、リルートの判定が行われる頻度が高くなるのと同時に、リルートを行うために満たされるべき距離の条件が厳しくされる。このため、設定ルートから外れたことを敏感に検知して、リルートを迅速に行うことが可能となる。
【0088】
5.変形例
5−1.電子機器
本発明は、携帯型電話機の他、携帯型のナビゲーション装置や車載用のナビゲーション装置、腕時計等の電子機器に適用することが可能である。
【0089】
5−2.分岐エリアの設定
分岐エリアを全ての交差点について固定的なものとするのではなく、現在設定されているルートに基づいて設定することとしてもよい。以下では、交差点の各分岐路のうち、現在設定されているルートに沿って当該交差点に進入してくる分岐路を「進入路」、進入路以外の分岐路を「分岐先路」と述べる。また、分岐先路のうち、ルート設定されている分岐先路を「ルート設定分岐先路」、ルート設定されていない分岐先路を「非ルート設定分岐先路」と述べる。
【0090】
通常、ユーザが一旦交差点に進入してきた後に、再び進入路を引き返すような状況は稀であるから、進入路側については、測位時間間隔及びリルート閾値距離を短縮する必要性は低いといえる。そこで、進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域を分岐エリアとして設定することが考えられる。
【0091】
図7は、この場合における分岐エリアの形状の一例を示す図である。図7(A)は、図3(A)の円形の分岐エリアを一部変形することで得られる分岐エリアを示しており、図7(B)は、図3(B)の矩形の分岐エリアを一部変形することで得られる分岐エリアを示している。何れの分岐エリアにおいても、分岐先路側に比べて進入路側が短くなっていることがわかる。
【0092】
また、リルートを行うのは、携帯型電話機1の現在測位位置が設定ルートからリルート閾値距離以上離れた場合であるが、これは通常、ユーザが交差点において非ルート設定分岐先路に進行した場合であると考えられる。つまり、ユーザが交差点においてルート設定分岐先路に進行した場合は、リルートが行われる可能性は低いのであるから、ルート設定分岐先路側についても、測位時間間隔及びリルート閾値距離を短縮する必要性は乏しい。そこで、進入路側及びルート設定分岐先路側が短く、非ルート設定分岐先路側が長い領域を分岐エリアとして設定することにしてもよい。
【0093】
図8は、この場合における分岐エリアの形状の一例を示す図である。図8(A)は、図3(A)の円形の分岐エリアを一部変形することで得られる分岐エリアを示しており、図8(B)は、図3(B)の矩形の分岐エリアを一部変形することで得られる分岐エリアを示している。何れの分岐エリアにおいても、非ルート設定分岐先路側に比べて、進入路側及びルート設定分岐先路側が狭くなっていることがわかる。
【0094】
この場合の具体的な構成としては、ROM80に、ナビゲーションプログラム81のサブルーチンとして分岐エリア設定プログラムを格納しておく。そして、ホストCPU30は、図6のナビゲーション処理のステップA25又はA27と、A29との間で、分岐エリア設定プログラムを読み出して実行することで、分岐エリア設定処理を行う。
【0095】
図9は、分岐エリア設定処理の流れを示すフローチャートである。尚、図9に示す分岐エリア設定処理は、図8に例示した分岐エリアを設定するための処理である。
先ず、ホストCPU30は、RAM90の設定ルートデータ91に記憶されている設定ルートと、ROM80の地図データ83に含まれる交差点データ81に記憶されている交差点の情報とに基づいて、設定ルートに沿ったマップマッチング結果位置からの直近交差点を特定する(ステップB1)。
【0096】
次いで、ホストCPU30は、設定ルートと当該直近交差点の情報とに基づいて、当該直近交差点の進入路及びルート設定分岐先路を判定する(ステップB3)。そして、ホストCPU30は、例えば進入路側を「20m」、ルート設定分岐先路側を「20m」、非ルート設定分岐先路側を「40m」とする分岐エリアを算出・生成し(ステップB5)、算出した分岐エリアを当該直近分岐点の分岐エリアとして設定した後(ステップB7)、分岐エリア設定処理を終了する。
【0097】
このように、現在設定されているルートに基づいて分岐エリアを設定することで、交差点に進入してくる場合は、交差点近くまで測位時間間隔を短縮せずに通常の測位時間間隔で測位を行い、交差点から設定ルートに沿って進出していく場合は、短縮した測位時間間隔を早い段階で通常の測位時間間隔に戻して測位を行うことが可能となるため、処理負荷を軽減することができる。
【0098】
5−3.分岐エリアの分割
また、分岐エリアを2以上の領域に分割し、分割した各領域について、測位時間間隔及びリルート閾値距離をそれぞれ個別に設定してもよい。
【0099】
図10は、この場合における分岐エリアの一例を示す図である。図10(A)は、図3(A)の円形の分岐エリアを分割することで得られる分岐エリアを示しており、図10(B)は、図3(B)の矩形の分岐エリアを分割することで得られる分岐エリアを示している。ここでは、分岐エリアを「R1」及び「R2」の2つの領域に分割している。尚、領域R1は、図8に示した分岐エリアと同一形状の領域である。
【0100】
この場合、前述したように、領域R1では測位時間間隔及びリルート閾値距離を短縮する必要性が高く、領域R2では短縮する必要性が低い。そこで、現在測位位置が領域R1内に位置している場合は、例えば測位時間間隔を「1秒」、リルート閾値距離を「10m」にそれぞれ設定し、領域R2内に位置している場合は、例えば測位時間間隔を「2秒」、リルート閾値距離を「30m」にそれぞれ設定する。また、現在測位位置が分岐エリア外の領域に位置している場合は、例えば測位時間間隔を「3秒」、リルート閾値距離を「50m」にそれぞれ設定する。
【0101】
5−4.可変項目
上述した実施形態では、携帯型電話機1の現在測位位置が分岐エリア内に位置しているか否かに応じて測位時間間隔及びリルート閾値距離を可変するものとして説明したが、測位時間間隔のみを可変することにしてもよいし、リルート閾値距離のみを可変することにしてもよい。
【0102】
5−5.測位処理
ベースバンド処理回路部13が行う測位演算を、ホストCPU30が行うこととしてもよい。具体的には、ベースバンド処理回路部13は、GPS衛星信号の捕捉・追尾を行うものとし、ホストCPU30は、ベースバンド処理回路部13により捕捉・追尾されたGPS衛星信号から航法メッセージ、時刻情報等を取り出して、擬似距離の算出や測位演算等を行うようにする。
【0103】
5−6.記憶媒体
ROM80に記憶されているナビゲーションプログラム81を、CD−ROMやDVD−ROM、フラッシュメモリ等の記憶媒体に記憶させておき、ホストCPU30が、記憶媒体からプログラムを読み出して実行する構成としてもよい。この場合、さらに地図データ83を記憶媒体に記憶させておいてもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】ナビゲーションの概要を説明するための図。
【図2】(A)従来のリルートの説明図。(B)実施形態におけるリルートの説明図。
【図3】(A)分岐エリアの一例を示す図。(B)分岐エリアの一例を示す図。
【図4】携帯型電話機の構成を示すブロック図。
【図5】(A)ROMの構成例を示す図。(B)RAMの構成例を示す図。
【図6】ナビゲーション処理の流れを示すフローチャート。
【図7】(A)分岐エリアの変形例を示す図。(B)分岐エリアの変形例を示す図。
【図8】(A)分岐エリアの変形例を示す図。(B)分岐エリアの変形例を示す図。
【図9】分岐エリア設定処理の流れを示すフローチャート。
【図10】(A)分岐エリアの変形例を示す図。(B)分岐エリアの変形例を示す図。
【符号の説明】
【0105】
1 携帯型電話機、 5 GPSアンテナ、 10 GPS受信部、 11 RF受信回路部、 13 ベースバンド処理回路部、 20 TCXO、 30 ホストCPU、 40 操作部、 50 表示部、 60 携帯電話用アンテナ、 70 携帯電話用無線通信回路部、 80 ROM、 90 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路及び道路の分岐場所の情報を含む地図情報を記憶した記憶部と、
所与の測位時間間隔で現在位置を測位する測位部と、
前記記憶部に記憶された地図情報に基づいて、前記測位部により測位された測位位置をマップマッチング処理するマップマッチング処理部と、
前記マップマッチング処理の結果位置を表示出力する位置表示制御部と、
前記測位部により測位された測位位置が前記分岐場所を含む当該分岐場所の近傍所定領域内に位置するか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じて前記測位時間間隔を可変する測位間隔可変部と、
を備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
前記測位間隔可変部は、前記判定部により前記所定領域内に位置すると判定された場合の測位時間間隔を、位置しないと判定された場合の測位時間間隔より短くする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
ユーザ操作に従って設定された目的地までのルートを設定するルート設定部と、
前記測位部により測位された測位位置と前記設定されたルートとの位置関係の条件を少なくとも含む所定のルート再設定条件を満たしたことを検知する再設定条件満足検知部と、
を備え、
前記ルート設定部が、前記検知に応じて、前記測位部により測位された測位位置に基づいて前記目的地までのルートを再設定し、
更に、
前記判定部の判定結果に応じて前記ルート再設定条件に含まれる前記位置関係の条件を可変する位置関係条件可変部と、
を備えた請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記位置関係の条件は、現在設定されているルートと測位位置間の距離が所与の閾値距離に達したか否かの条件であり、
前記位置関係条件可変部は、前記判定部により前記所定領域内に位置すると判定された場合の閾値距離を、位置しないと判定された場合の閾値距離よりも短くすることで前記位置関係の条件を可変する、
請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路を判定する進入路判定部と、
分岐場所を基準として前記進入路判定部により判定された進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定部と、
を備え、
前記判定部は、前記測位部により測位された測位位置が前記所定領域設定部により設定された所定領域内に位置するか否かを判定する、
請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路とルート設定されている分岐先路とを判定する分岐判定部と、
分岐場所を基準として前記分岐判定部により判定された進入路側及び分岐先路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定部と、
を備え、
前記判定部は、前記測位部により測位された測位位置が前記所定領域設定部により設定された所定領域内に位置するか否かを判定する、
請求項3又は4に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
所与の測位時間間隔で現在位置を測位する測位ステップと、
道路及び道路の分岐場所の情報を含む地図情報を記憶した記憶部に記憶された地図情報に基づいて、前記測位ステップにおいて測位された測位位置をマップマッチング処理するマップマッチング処理ステップと、
前記マップマッチング処理の結果位置を表示出力する位置表示ステップと、
前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記分岐場所を含む当該分岐場所の近傍所定領域内に位置するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果に応じて前記測位時間間隔を可変する測位間隔可変ステップと、
を含むナビゲーション方法。
【請求項8】
前記測位間隔可変ステップは、前記判定ステップにおいて前記所定領域内に位置すると判定された場合の測位時間間隔を、位置しないと判定された場合の測位時間間隔より短くするステップである請求項7に記載のナビゲーション方法。
【請求項9】
ユーザ操作に従って設定された目的地までのルートを設定するルート設定ステップと、
前記測位ステップにおいて測位された測位位置と前記設定されたルートとの位置関係の条件を少なくとも含む所定のルート再設定条件を満たしたことを検知する再設定条件満足検知ステップと、
前記検知に応じて、前記測位ステップにおいて測位された測位位置に基づいて前記目的地までのルートを再設定するルート再設定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果に応じて前記ルート再設定条件に含まれる前記位置関係の条件を可変する位置関係条件可変ステップと、
を含む請求項7又は8に記載のナビゲーション方法。
【請求項10】
前記位置関係の条件は、現在設定されているルートと測位位置間の距離が所与の閾値距離に達したか否かの条件であり、
前記位置関係条件可変ステップは、前記判定ステップにおいて前記所定領域内に位置すると判定された場合の閾値距離を、位置しないと判定された場合の閾値距離よりも短くすることで前記位置関係の条件を可変するステップである請求項9に記載のナビゲーション方法。
【請求項11】
現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路を判定する進入路判定ステップと、
分岐場所を基準として前記進入路判定ステップにおいて判定された進入路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記所定領域設定ステップにおいて設定された所定領域内に位置するか否かを判定するステップである、
請求項9又は10に記載のナビゲーション方法。
【請求項12】
現在設定されているルートと前記地図情報に含まれる分岐場所の情報とに基づき、当該分岐場所の各分岐路のうちの進入路とルート設定されている分岐先路とを判定する分岐判定ステップと、
分岐場所を基準として前記分岐判定ステップにおいて判定された進入路側及び分岐先路側が短く、他の分岐路側が長い領域を当該分岐場所の前記所定領域として設定する所定領域設定ステップと、
を含み、
前記判定ステップは、前記測位ステップにおいて測位された測位位置が前記所定領域設定ステップにおいて設定された所定領域内に位置するか否かを判定するステップである、
請求項9又は10に記載のナビゲーション方法。
【請求項13】
請求項7〜12に記載のナビゲーション方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−197064(P2008−197064A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35376(P2007−35376)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】