説明

ナビゲーション装置、方法及びプログラム

【課題】ナビゲーションの技術において、施設が営業時間内か否かに応じてアイコンの表示形態を変えるという本質的かつ簡明な処理により、煩雑な操作無しで情報を把握可能とする。
【解決手段】比較判断手段30が、ハードディスク装置5に記憶されている施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の営業時間と、本装置においてGPS電波や内蔵タイマなどから得る現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する(比較判断処理)。比較判断手段30により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、表示切替手段40が、通常の表示態様とは異なる態様で、表示器13の地図上に表示させる(表示切替処理)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子技術の発達に伴い、ナビゲーション装置の普及が著しい。ナビゲーション装置は、道路地図データをもとにした電子運転支援(ナビゲーション)の技術で、GPSなどで特定する現在位置を周辺地図上に表示したり、施設検索やカーソルなどで指定される目的地への経路について、計算、設定し、地図表示や合成音声などで誘導案内するものである。
【0003】
ところで、ナビゲーションの地図画面上には、銀行や店舗など目印(ランドマーク)となる施設がアイコン(画像マーク)で表示されるが、それを見ただけではそこが営業中なのか、営業時間外なのかがわからず、行ってはみたものの閉まっていて用事が足せないなどの不便があった。また、施設のアイコンが経路案内における右左折などの目印となっているような場合、現地の実際の店舗が営業時間外で閉店中のため目立たず、見逃してしまったなどの不都合もあった。このため、施設の営業時間内に到達できるか否かに応じて、施設アイコンの表示形態を変える技術は知られていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−98539
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来技術は、営業時間内に到達可能か否かのみで機械的に表示を切り替えていたため、営業時間内に到達はできるものの直後に営業が終了したり、また、道路の混雑状況によっては、営業時間内に到達できると判定されたもの実際には間に合わなかったなどの不都合の可能性があった。
【0005】
このような不都合を解決するためには、例えば、ユーザーが目的の施設で何をするか、すなわち食事をするのか、買いたい物を捜すのか等に応じて、営業時間終了の30分前までに到着可能なとき、あるいは1時間前に到着可能なとき、といった具合にその施設への到着時間に異なる余裕を加味してアイコンの表示形態を変更するような技術も考えられる。しかし、この場合は、一体どの程度の時間の余裕をみればよいかが施設の種類や行動の内容によってまちまちであり、一義的な余裕時間の設定も難しいという問題があった。
【0006】
また、到達可能か否かの判断をもとにする以上のようなどの技術の場合も、検索などで施設を特定して目的地に設定し経路計算をさせないと予想到着時間が出ないため施設アイコンの表示形態を制御できないという制約条件が存在する。このため、地図をスクロールしながら目的地を探すような場合は、その施設が営業時間内か否かわからず、個別に調べるのも手数が煩雑で不便という問題があった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、ナビゲーションの技術において、施設が営業時間内か否かに応じてアイコンの表示形態を変えるという本質的かつ簡明な処理により、煩雑な操作無しで情報を把握可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のナビゲーション装置は、表示器と、施設について位置と、アイコン表示用の画像データと、営業時間と、を含む施設情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、施設のアイコンを前記表示器における地図上に画面表示する表示手段と、前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の前記営業時間と現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する比較判断手段と、前記比較判断手段により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、通常の表示態様とは異なる態様で表示させる表示切替手段と、を有することを特徴とする。
なお、方法及びプログラムについても同様である。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、ナビゲーションの技術において、施設が営業時間内か否かに応じてアイコンの表示形態を変えるという本質的かつ簡明な処理により、煩雑な操作無しで情報を把握可能となるので、使い勝手も運転の安全性も大幅に改善可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項は適宜省略する。
【0011】
〔1.構成〕
本実施形態におけるナビゲーション装置(以下「本装置」と呼ぶ)は、図1の構成図に示すように、本体部Mと、操作パネルを兼ねた表示部Pと、を有する。そして、メインCPU1は、装置全体や各部を制御する演算制御部である。また、記憶部2は、システム作業やプログラム収納などの各領域を提供したり各種情報を記録するSRAM、SDRAMなどである
【0012】
また、ハードディスク装置5は、地図データやアイコン情報を記憶するために補助記憶用記録再生メディアを備え、銀行や店舗など施設について位置座標と、アイコン表示用の画像データと、営業時間(定休日の情報を含む)を表す情報である営業情報と、を含む施設情報を記憶する記憶手段である。
【0013】
また、本装置は、各デバイスインタフェースなどCPU周辺回路4を有し、また、現在位置の検出手段として、ジャイロセンサ、角速度センサなどを含む各種のセンサー部6と、GPSレシーバー部7と、を有し、GPSレシーバ部7は、衛星からのGPS電波を利用した現在時刻の検出手段を兼ねる。
【0014】
また、本装置は、音声出力のために、音声合成部8、案内用スピーカ95と、その駆動用アンプ9とを備え、また、映像等表示出力のために、地図やメニューなどの描画を行う表示制御部3と、映像信号を表示器に表示するビデオ信号処理部12と、地図やメニュー等の表示を行うためのLCDやブラウン管等の表示器13と、を備える。
【0015】
また、10は、ECUや他のセンサ類など車両の電子制御系から情報(車速、バック、ブレーキ、ウインカー信号など)を取り込む車両インタフェース部である。11は、FM多重やビーコンなどによるVICS情報を取り込むVICS受信部、14は、タッチパネル、操作キーなどの操作入力部、15は、リモコンユニットからリモコン信号を取り込むリモコン受光部で、操作入力部14の役割を補助する。16は、情報を送受信する携帯電話端末などの情報通信部である。
【0016】
また、メインCPU1は所定のプログラムにより、図1に示す以下の各要素(符号20,30,40)を実現する。これら各要素は、以下に説明する本実施形態の各機能作用を実現実行する処理手段である。このうち、表示手段20は、ハードディスク装置5に記憶されている前記施設情報に基いて、施設のアイコンを表示器13における地図上に画面表示する(表示処理)部分である。
【0017】
〔2.作用効果〕
すなわち、上記のように構成された本装置では、まずユーザが、営業時間とそれ以外でアイコンの表示を変える機能(以下「営業表示機能」と呼ぶ)を用いるかを、スイッチやメニュー画面などで選択する。この営業表示機能を選択した場合、地図上のアイコンを、営業時間中か否かに応じて異なる形態で表示する。
【0018】
具体的には、比較判断手段30が、ハードディスク装置5に記憶されている前記施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の前記営業時間と、本装置においてGPS電波や内蔵タイマなどから得る現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する(比較判断処理)。
【0019】
そして、この比較判断手段30により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、表示切替手段40が、通常の表示態様とは異なる態様で、表示器13の地図上に表示させる(表示切替処理)。
【0020】
ここで、通常の表示態様とは異なる態様とは、自由に設定可能であるが、一例を挙げれば、営業中なら濃い色、時間外なら色調を変えて薄い色や低い輝度で表示するなどであり、内部処理としては、異なる表示態様のアイコンごとに画像データを予め複数準備しておいてもよいし、アイコンの画像データは一種類とするが、表示させる際にグラフィック画像処理によって輝度や色調等を変化させるようにしてもよい。
【0021】
また、以上のような処理に対応する手順の一例を図2のフローチャートに示す。この例では、営業表示機能をユーザが選択していて(ステップS1)、現在の地図表示範囲に対応して画面表示すべきアイコンがあり(ステップS2)、そのアイコンに対応して営業情報(営業時間、定休日)が存在するが(ステップS3)、その営業情報によればそのアイコンの施設が営業時間内でない場合に(ステップS4)、地図上のアイコンを通常とは色を変えて営業時間外のマークで表示する(ステップS6)。
【0022】
これらにあてはまらない場合にアイコンを表示する際は(ステップS1,S3,S4)、地図上のアイコンは色を変えずに標準のマークで表示する(ステップS5)。標準のマークは、営業時間中のマークと同じでもよいし異なってもよい。
【0023】
なお、営業時間中か否かは時の経過で変化するため、所定の時間間隔で更新する。また、各施設の営業時間などの施設情報も実態が遷り変わって古くなる場合もあるので、サーバなど外部装置から情報通信部16によるネットワーク通信などで最新情報を取り入れて更新する手段を設けることが望ましい。
【0024】
以上のような本実施形態によれば、施設の営業時間内に到着できるか否かとは関係なく、現在時刻が営業時間内かどうかに応じて各施設アイコンの表示形態を切り替えることにより、任意の地図表示上のアイコンを一見しただけで営業中か否か把握でき、それで目的地や経由地の設定や立寄りを判断すれば閉店している所への無駄足も無く、経路案内の目印としても目立ちやすいか目立ちにくいかをドライバーが事前に把握でき、使い勝手も運転の安全性も大幅に改善可能となる。また、目的地としての検索や経路設定など煩雑な操作で営業時間や営業時間内に着けるかなどを調べる無駄な手間が省略可能となる。
【0025】
〔3.他の実施形態〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するもの及びそれ以外の他の実施形態も含むものである。例えば、表示の切り替え方としては、営業時間内と営業時間外だけでなく、例えば、照らし合わせる営業情報の内容や項目に応じて、営業中、閉店中や営業時間外だけでなく、データが無く不明なもの、不定休などに分けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における走行履歴記録の処理手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
M…本体部
P…表示部
1…メインCPU
2…記憶部
3…表示制御部
4…CPU周辺回路
5…ハードディスク装置
6…センサー部
7…GPS部
8…音声処理部
9…アンプ
95…スピーカ
10…車両インタフェース部
11…VICS受信部
12…ビデオ信号処理部
13…表示器
14…操作入力部
15…リモコン受光部
16…情報通信部
20…表示手段
30…比較判断手段
40…表示切替手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面の表示器と、
施設について位置と、アイコン表示用の画像データと、営業時間と、を含む施設情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、施設のアイコンを前記表示器における地図上に画面表示する表示手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の前記営業時間と現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する比較判断手段と、
前記比較判断手段により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、通常の表示態様とは異なる態様で表示させる表示切替手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
画面の表示器と、
施設について位置と、アイコン表示用の画像データと、営業時間と、を含む施設情報を記憶する記憶手段と、
演算制御部と、
を有し、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、施設のアイコンを前記表示器における地図上に画面表示する表示処理と、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の前記営業時間と現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する比較判断処理と、
前記比較判断処理により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、通常の表示態様とは異なる態様で表示させる表示切替処理と、
を前記演算制御部が実行することを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項3】
画面の表示器と、
施設について位置と、アイコン表示用の画像データと、営業時間と、を含む施設情報を記憶する記憶手段と、
演算制御部と、
を有するナビゲーション装置の前記演算制御部を制御することにより、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、施設のアイコンを前記表示器における地図上に画面表示する表示処理と、
前記記憶手段に記憶されている前記施設情報に基いて、地図上に表示されるべき施設の前記営業時間と現在時刻とを比較することにより、現在時刻が営業時間外かどうかを判断する比較判断処理と、
前記比較判断処理により前記比較の結果、現在時刻が営業時間外と判断された施設のアイコンは、通常の表示態様とは異なる態様で表示させる表示切替処理と、
を実行させることを特徴とするナビゲーションプログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−64480(P2008−64480A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−239684(P2006−239684)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】