説明

ナビゲーション装置、表示制御方法およびプログラム

【課題】車輌等の走行状態などにより表示される情報を見やすくすること。
【解決手段】電子地図を表示するLCD16(表示手段)と、位置情報を取得できるGPSレシーバ17(位置情報取得手段)と、所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定するCPU11(経路探索手段)と、LCD16(表示手段)に表示された誘導経路上を誘導するための誘導表示手段と、誘導表示手段および誘導表示手段以外の他の情報が記憶されているHDD13(記憶手段の一部)と、GPSレシーバ17(位置情報取得手段)で取得した位置が誘導経路上にあるときは、誘導表示手段以外の他の情報についてはLCD16(表示手段)に表示させない制御を行なうCPU11(表示制御手段)と、を有するナビゲーション装置10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、渋滞情報を迅速かつ確実に視認できる渋滞情報表示装置を開示する。この渋滞情報表示装置は、ディスプレイ上に渋滞表示マークを濃い色で表示すると共に、道路地図を薄い色で表示することにより、渋滞情報のみが目立つような工夫がなされている。
【0003】
【特許文献1】特開平7−65287号公報(要約等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この渋滞情報表示装置で表示される渋滞表示マークやその他の交通情報を示すマークと、ナビゲーション装置の経路探索結果により表示される経路案内用のラインとが並行してディスプレイ上に表示されると、ユーザにとって地図が見づらくなってしまうことがある。
【0005】
図6(A)は、ナビゲーション装置のディスプレイ60に示される電子地図を示す図であり、ディスプレイ60を縦方向に通過する道路L1と、その道路L1と直交する道路L2と、道路L1上に自車マーク61とが表示されている図である。このディスプレイ60の電子地図上には、たとえば、更に走行しやすさを示す情報A1、A2(たとえば、国土交通省が提供する全国の主要道の走行しやすさのランクをつけて色分けしたり、道路の車線数を線の太さや線の数で表現したりする「道路の走りやすさマップ」に基づいて表示される情報等)がそれぞれ道路L1、L2に並行するように表示することが可能である。
【0006】
図6(B)は、図6(A)で示したディスプレイ60の電子地図上に更に経路案内用ラインX1、X2が表示されている図である。図6(B)に示すように、点線で示された経路案内用ラインX1,X2が、道路L1、L2上にそれぞれ表示されている。このようにディスプレイ60の電子地図上には複数の情報が混在すると、その探索結果の誘導経路のみをユーザが知りたいと思っても、どの表示が経路案内用ラインX1、X2であるか一目で判別しにくい。したがって、表示された道路上に複数の情報が混在していることでそれぞれの情報について非常に見づらい地図となってしまう。なお、図6(B)で示した経路案内用ラインX1、X2は、図面での説明を容易にするために点線で表示しているが、道路L1、L2上に重ねて実線で表示するものとしても同様に見づらい地図となってしまう。
【0007】
また、従来のナビゲーション装置は、道路の渋滞状況に関する情報を、VICS(登録商標、Vehicle Infomation and Communication System)などを用いて取得して経路探索を行なうため、上述した走行しやすさに関する道路情報も考慮して表示されている。したがって、特許文献1に開示される渋滞情報表示装置において経路探索を行なった場合には、ディスプレイ60の電子地図上に渋滞情報と経路案内情報が同時に表示されることになる。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を鑑み、車輌等の走行状態などにより表示される情報が見やすいナビゲーション装置、表示制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るナビゲーション装置は、電子地図を表示させる表示手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段と、所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段と、誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段と、誘導表示手段および誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段と、位置情報取得手段で取得した位置が誘導経路上にあるときは、誘導手段以外の誘導経路に関連した他の情報については表示手段に表示させない制御を行なう表示制御手段と、を有するものである。
【0010】
本発明に係るナビゲーション装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、誘導表示手段および/または他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段を有し、表示選択手段からの所定の入力信号があったときは、表示制御手段は、誘導表示手段および/または他の情報を表示手段に表示させるものである。
【0011】
本発明に係る表示制御方法は、電子地図を表示させる表示手段と、位置情報を取得する位置情報取得手段と、所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段と、誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段と、誘導表示手段および誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段と、を少なくとも有するナビゲーション装置に用いられる表示制御方法であって、位置情報取得手段で取得した位置が誘導経路上にあるか否かを判定するステップと、位置が誘導経路上にあるときに、誘導経路に関連した他の表示すべき情報が記憶手段にあるか否かを判定するステップと、記憶手段に誘導経路に関連した他の表示すべき情報があるときは、誘導表示手段以外の他の情報については表示手段に表示させないステップと、を有するものである。
【0012】
本発明に係る表示制御方法は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、誘導表示手段および/または他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段を有するナビゲーション装置に用いられる表示制御方法であって、表示選択手段からの所定の入力信号を受け取ったか否かを判定するステップと、所定の入力信号を受け取ったときは、誘導表示手段および/または他の情報を表示手段に表示させるステップと、を有するものである。
【0013】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、電子地図を表示させる表示手段、位置情報を取得する位置情報取得手段、所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段、誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段、誘導表示手段および誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段、位置情報取得手段で取得した位置が誘導経路上にあるときは、誘導手段以外の誘導経路に関連した他の情報については表示手段に表示させない制御を行なう表示制御手段、として機能させるものである。
【0014】
本発明に係るプログラムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、コンピュータを、誘導表示手段および/または他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段、表示選択手段からの所定の入力信号があったときは、誘導表示手段および/または他の情報を表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、車輌等の走行状態などにより表示される情報が見やすいナビゲーション装置、表示制御方法およびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置、表示制御方法および表示制御用プログラムを図面に基づいて説明する。なお、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置は、ナビゲーション装置10を例に説明する。また、本発明の一実施の形態に係る表示制御方法および表示制御用プログラムは、ナビゲーション装置10の動作と共に説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るナビゲーション装置10の構成例を示すブロック図である。この図に示すように、本実施の形態に係るナビゲーション装置10は、経路探索手段および表示制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)11、グラフィックプロセッサ12、記憶手段の一部としてのHDD(Hard Disk Drive)13、記憶手段の一部としてのメモリ14、記憶手段の一部としてのビデオメモリ15、表示手段としてのLCD(Liquid Crystal Display)16、位置情報取得手段としてのGPSレシーバ17、交通情報受信手段18、ジャイロ装置19、センサ群20、表示選択手段21、DVD駆動装置22、およびタッチパネル24を主要な構成要素としている。なお、ナビゲーション装置10は、たとえば移動体としての車輌等に搭載される。
【0018】
ここで、経路探索手段および表示制御手段としてのCPU11は、HDD13またはメモリ14に格納されている後述するプログラム等に応じて、各種演算処理を実行するとともに、ナビゲーション装置10の各部を制御する中央処理装置である。
【0019】
グラフィックプロセッサ12は、HDD13から読み出され、ビデオメモリ15に展開されたコマンドリスト(不図示)に応じて描画処理を実行し、得られた画像を映像信号に変換してLCD16に供給して表示させる描画処理装置である。
【0020】
記憶手段の一部としてのHDD13は、地図情報DB(Data Base)13aおよび表示制御用プログラム13bを有する記憶装置である。地図情報DB13aは、地図情報を有している。なお、本実施の形態において、地図情報とは、LCD16に地図(地形、道路、施設等)を表示するための情報、施設に関する情報、目的地検索を行なうために必要な情報(住所、電話番号、郵便番号等の情報)、VICS(登録商標)情報を表示するための情報、経路探索を行なうために必要な情報、および、経路案内を行なうために必要な情報(誘導表示手段、音声情報)等をいう。
【0021】
表示制御用プログラム13bは、経路案内処理と共にその経路に関連した情報の表示制御処理を実行する。具体的には、GPS受信レシーバ17で取得した位置が誘導経路上にあるときは、誘導表示手段以外の上記誘導経路に関連した他の情報についてはLCD16の電子地図上に表示させない制御を行なう。たとえば、図2(A)に示す画面例では、道路の走行しやすさを示す情報A1、A2が道路L1、L2に並行して表示されている。しかし、図2(B)に示す画面例では、誘導表示手段としての経路案内用ラインX1、X2のみが、道路L1、L2に重ねて表示されている。図2(A)では、自車マーク61の地点では誘導経路上を走行していない状態を示している。図2(A)では、経路案内用ラインがLCD16に表示されていない状態に対応しているため、道路の走行しやすさを示す情報A1、A2が表示されているが、図2(B)の自車マーク61の地点では誘導経路上を走行している状態であることから、道路の走行しやすさを示す情報A1、A2を表示させずに、経路案内用ラインX1、X2のみを表示させている。
【0022】
なお、表示制御用プログラム13bは、ナビゲーション装置10の各部を制御するとともに、GPSレシーバ17から供給される自車位置と、地図情報DB13aに格納された地図情報に基づいて地図を表示するプログラム(不図示)や、目的地までの経路案内処理等を実行する制御用プログラム(不図示)の一部として構築し、実現してもよい。
【0023】
記憶手段の一部としてのメモリ14は、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)等の半導体記憶装置によって構成され、CPU11が実行するプログラム等を格納するとともに、CPU11が実行する対象となるプログラムまたはデータを一時的に記憶する。
【0024】
記憶手段の一部としてのビデオメモリ15は、グラフィックプロセッサ12の処理対象となるコマンドリスト(不図示)が一時的に格納される半導体記憶装置である。
【0025】
表示手段としてのLCD16は、グラフィックプロセッサ12によって生成された映像信号を入力して、対応する画像を表示出力する。
【0026】
位置情報取得手段としてのGPSレシーバ17は、複数のGPS衛星(不図示)からの電波を受信し、当該電波に重畳されている時刻情報を抽出し、それぞれの電波の到達時間差から現在位置を特定し、位置情報(例えば、緯度情報および経度情報)としてCPU11に供給する。
【0027】
交通情報受信手段18は、渋滞や交通規制などの道路交通情報を受信する機能である。具体的には、FM多重放送や、路側に設置された光ビーコン、電波ビーコンなどから送信される渋滞情報や交通規制情報などの各種道路交通情報を受信して、上述したHDD13に記憶される。
【0028】
ジャイロ装置19は、車輌が方向転換した場合等において、各制御軸に対する車両の角速度を検出して、CPU11に供給する。
【0029】
センサ群20は、例えば、車速を検出するための車速センサ、サイドブレーキが操作されたことを検出するサイドブレーキセンサ等を有している。
【0030】
表示選択手段21は、例えば、LCD16の表示部の周辺部に設けられた操作ボタン、および、リモートコントローラ等である。なお、表示選択手段21は、LCD16の画面内に選択ボタン(アイコン)として表示させ、後述するタッチパネル24を操作して表示情報の切り替えができるようにしてもよい。
【0031】
DVD駆動装置22は、記憶媒体としてのDVD23が挿入された場合には、当該DVD23に記録されている情報を読み出す処理を実行する。例えば、地図情報を更新(バージョンアップ)するためのDVD23が挿入された場合には、地図情報DB13aに格納されている地図情報を更新する。なお、映像および音声等が記録されたDVD23が挿入された場合には、記憶されている映像および音声が読み出されて再生される。
【0032】
タッチパネル24は、LCD16に重畳するように配置されており、LCD16に画像として表示されているボタン等を参照して、これらの部分をユーザが操作することにより、所望の情報を入力することができる。
【0033】
このようにナビゲーション装置10は、主として表示制御用プログラム13b等を有する構成とすることで、車輌等の走行状態により必要な情報のみを見やすく表示する制御を自動的に行なうことができる。したがって、このナビゲーション装置10を使用すると、車輌等の走行状態により必要な情報のみを見やすく表示させることができる。また、運転中にユーザがタッチパネル24を操作して表示の切り替えを行なう必要もないため、安全運転上の観点から非常に好ましいものとなる。
【0034】
続いて、本実施の形態に係るナビゲーション装置10の第一の動作について説明する。この第一の動作では、経路誘導中であって、誘導経路上を車輌等が走行中であるときは、誘導表示手段としての経路案内用ラインX1、X2のみを表示させ、誘導経路以外を車輌等が走行中であるときは、情報A1、A2を表示させる制御を行なうために、上述した表示制御用プログラム13bを用いる。表示制御用プログラム13bが実行されると、図3に示す以下の表示制御処理が実行される。なお、この表示制御用プログラム13bは、ナビゲーション装置10の電源がONになる、または表示制御を開始する設定となると表示制御処理を開始する(START)。なお、以下の表示制御処理の前提として、ナビゲーション装置10は、LCD16上に表示すべき情報(誘導表示手段含む)について、通常の描画処理等(不図示)により行なうものとする。
【0035】
ステップS10:CPU11は、経路誘導中であるか否かを判定する。なお、経路誘導中であるか否かは、経路探索手段としてのCPU11が、経路探索がなされた場合、またはユーザがタッチパネル24を操作して経路誘導するように入力がなされた場合などに経路誘導中であると判定することができる。
【0036】
ステップS11:CPU11は、ステップS10で経路誘導中でないと判定したとき(ステップS10でNoの場合)は、誘導路を非表示にする。すなわち、CPU11は、誘導路である経路案内用ラインX1、X2を非表示にする。その後、CPU11は、ステップS14へ移行する。
【0037】
ステップS12:CPU11は、ステップS10で経路誘導中であると判定したとき(ステップS10でYesの場合)は、誘導路のみを表示する。つまり、CPU11は、誘導経路上を走行中であるときは、誘導路である経路案内用ラインX1、X2のみを表示させる。その後、CPU11は、ステップS13へ移行する。
【0038】
ステップS13:CPU11は、誘導路上を車輌等が走行中であるか否かを判定する。具体的には、CPU11は、GPSレシーバ17により車輌等の位置情報を取得して、誘導路上の位置情報と比較することにより誘導路上を走行中であるか否かを判定している。CPU11は、誘導路上を車輌等が走行中であるとき(ステップS13でYes)は、ステップS10の処理へ移行する。
【0039】
ステップS14:CPU11は、誘導路上を車輌等が走行中でないとき(ステップS11の処理後またはステップS13でNo)は、誘導路以外の他の表示情報を表示する。なお、ここで誘導路以外の他の表示情報とは、たとえば国土交通省が提供する全国の主要道の走行しやすさを公開している「道路の走りやすさマップ」によって表示される情報等である。その後、CPU11は、ステップS10の判定処理に戻る。
【0040】
このように、CPU11は、経路を誘導中であるか否か、ナビゲーション装置10を搭載した車輌等が誘導経路上を走行しているか否かを判定することによって、経路案内用ラインX1、X2とその他の情報A1,A2との表示切り替えを自動的に行なうことができる。なお、第一の動作は、ナビゲーション装置10の電源がOFFにされる、またはユーザの操作による強制終了、誘導経路情報が破棄されて、誘導経路がなくなる等により終了するようにしてもよい。
【0041】
すなわち、ナビゲーション装置10の表示制御方法は、経路探索手段としてのCPU11が決定した誘導経路に基づいて経路誘導中であるか否かを判定するステップ(ステップS10)と、経路誘導中でないと判定したときは、誘導表示手段を非表示にするステップと(ステップS11)、経路誘導中であると判定したときは、誘導表示手段のみを表示するステップ(ステップS12)と、車輌等が誘導経路上を走行中であるか否かを判定するステップと、車輌等が誘導経路上を走行中でないと判定したときは、誘導表示手段以外の他の情報を表示するステップと、を有するものである。
【0042】
以上の処理によれば、誘導経路以外を走行しているときは、図2(A)に示す走行しやすさを示す情報A1,A2等が表示され、車輌等が誘導経路上を走行しているときは、図2(B)に示すように誘導表示手段としての経路案内用ラインX1、X2のみが表示されるように自動的に制御することができる。したがって、この表示制御用プログラム13bまたは図3に示す表示制御方法を使用すると、車輌等の走行状態などにより表示される情報が見やすくなる。また、この表示制御用プログラム13bまたは図3に示す表示制御方法を採用したナビゲーション装置10は、運転中にユーザがタッチパネル24を操作して表示の切り替えを行なう必要がなく、安全運転上の観点からも好ましいものとなる。
【0043】
続いて、本実施の形態に係るナビゲーション装置10の第二の動作について説明する。この第二の動作では、上述した第一の動作と異なり、表示選択手段21から所定の信号が入力された場合に、所定の表示制御を行なうための表示制御用プログラム13cを用いる。なお、ここで所定の信号とは、たとえば誘導経路情報のみを表示するための命令信号や、誘導経路情報以外の情報を表示するための命令信号をいう。表示制御用プログラム13cが実行されると、図4に示す以下の処理が実行される。なお、表示制御用プログラム13cは、ナビゲーション装置10の電源がONになる、または表示制御を開始する設定となると表示制御処理を開始するものとし(START)、上述した第一の動作と共に処理を開始してもよいし、第二の動作のみ単独で処理を開始することとしてもよい。
【0044】
ステップS20:CPU11は、表示選択手段21からの所定の入力信号を受け取ったか否かを判定する。CPU11は、表示選択手段21からの所定の入力信号を受け取っていないと判定したとき(ステップS20でNoの場合)は、ステップS20の判定処理を繰り返す。
【0045】
ステップS21:CPU11は、ステップS21で所定の入力信号を受け取ったと判定したとき(ステップS20でYesの場合)は、誘導表示手段および/または前記他の情報を前記表示手段に表示させる。
【0046】
すなわち、ナビゲーション装置10の表示制御方法は、表示選択手段21からの所定の入力信号を受け取ったか否かを判定するステップ(ステップS20)と、所定の入力信号を受け取ったときは、誘導表示手段および/または他の情報を表示手段としてのLCD16に表示させるステップ(ステップS21)と、を有するものである。なお、第二の動作は、ナビゲーション装置10の電源がOFFにされる、またはユーザの操作による強制終了、誘導経路情報が破棄されて、誘導経路がなくなる等により終了するようにしてもよい。
【0047】
以上の処理によれば、ユーザの要望によって誘導表示手段および/または前記他の情報を表示手段としてのLCD16の電子地図上に表示させることができる。したがって、この表示制御用プログラム13cまたは図3に示す表示制御方法を使用すると、表示選択手段21からの出力信号を受け取ったときに、ユーザが所望する情報のみをLCD16の電子地図上に表示させることができ、車輌等の走行状態などにより表示される情報が見やすくなる。
【0048】
以上、ナビゲーション装置10を本実施の形態例として説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0049】
たとえば、上述したナビゲーション装置10の第一の動作では、車輌等が誘導経路上を走行中は、経路探索した際の経路案内用ラインX1、X2のみを表示することで、電子地図が見やすくなる工夫をしている。この他にも経路案内用ラインX1、X2以外の他の情報(たとえば道路の走行しやすさを示す情報A1、A2など)も表示し、経路案内用ラインX、1、X2のみを点滅させて表示するような表示制御を採用してもよい。このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとすることで、誘導経路上に情報が混在していても、経路案内用ラインX1、X2がどこを通過しているのかを容易に把握することができる。
【0050】
また、上述したナビゲーション装置10では、誘導表示手段としての経路案内用ラインX1、X2とその他の情報の一つである道路の走行しやすさを示す情報A1、A2を区別して、表示制御を行なうものである。この他にも、経路案内用ラインX1、X2の表示に代えて図5(A)に示す「VICSレベル3情報」の情報V1,V2および図5(B)に示す「道路の走りやすさマップ」に基づく渋滞情報を主として表示切り替え制御を行なうものとしてもよい。このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとすることで、たとえば、経路探索を行なうまでもない状況において、たとえば交通情報受信手段18で受信した「VICSレベル3情報」の情報V1、V2のみ表示させて運転したい場合や、「道路の走りやすさマップ」に基づく渋滞情報のみ表示させて運転したい場合において、ユーザがナビゲーション装置10を逐一操作しなくても、所望の情報のみを容易に表示させることができる。
【0051】
また、上述したナビゲーション装置10では、誘導経路上を走行中の場合に限り、表示制御を行なうものとしている。この他にも、誘導経路上の地点から所定の範囲内(たとえば誘導経路上の地点から半径200M、500M、1KMなど)に自車位置が存在する場合に、上述した表示制御をすることとしてもよい。たとえば、車輌等の現在位置から経路の誘導が開始されない場合(高速道路のみを対象とした経路探索をした場合におけるその高速道路を走行するまでの一般道を走行しているとき)や、誘導経路走行中に誘導経路を誤って逸れてしまった場合に、誘導経路がどこにあるのかを知りたいことがある。そのような状況であっても、このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとすることで、車輌等が所定の範囲内を走行中であれば、経路案内用ラインX1、X2がLCD16の電子地図上にそれらを表示させ続けることができる。また、経路探索を行なった時点で、上述した表示制御をすることとしてもよく、誘導経路以外を走行中であっても誘導経路の位置が知りたいという状況下であれば、このような表示制御方法がより好ましい。
【0052】
また、上述したナビゲーション装置10の位置情報取得手段は、GPSレシーバ17を用いて車輌の現在位置を取得して、その位置情報に基づいて表示制御を行なっている。この他にも、位置情報取得手段は、たとえば、ユーザがタッチパネル24を操作して、地図上の出発地および目的地を指示した場合に、それらの位置情報を取得して、上述した表示制御を同様に行なうようにしてもよい。このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとすることで、必ずしも車輌の現在位置に基づいて表示制御を行なうものに限らず、ユーザの指示した所定の位置に基づいて表示制御を行なうことも可能になる。
【0053】
また、上述したナビゲーション装置10では、経路案内用ラインX1、X2を誘導経路の両方に表示させている。この他にも、経路案内用ラインX1、X2を誘導経路の片方のいずれか一方向のみ、または自車の進行方向のみに表示させるようにしてもよい。このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとしても、上述したナビゲーション装置10が有する効果を同様に得ることができる。
【0054】
また、上述したナビゲーション装置10では、LCD16の画面に表示される誘導経路以外の他の道路に関する表示も含めて制御している。この他にも、誘導経路上に限って表示制御するようにしてもよい。このような表示制御方法を採用したナビゲーション装置10、表示制御方法および表示制御用プログラムとしても、他の道路に関する表示が経路案内用ラインX1、X2に影響を与えないような状況下においては、上述したナビゲーション装置10が有する効果を同様に得ることができる。
【0055】
また、上述したナビゲーション装置10では、あらかじめHDD13に各機能を実現するためのプログラムが記録されている。この他にもたとえば、これらのプログラムが、これらの機器の出荷前にHDD13に記憶されたものであっても、これらの機器の出荷後にHDD13に記憶されたものであってもよい。また、HDD13に記憶されるプログラムの一部が、これらの機器の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にHDD13に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。また、これらのプログラムの一部あるいは全部が、HDD13以外の外部記憶デバイスや、ナビゲーション装置10と着脱可能なデバイス、たとえばメモリカードやCD−ROM、DVDに記憶されていてもよい。特に、地図情報および表示制御用プログラム13b、13cに関しては、ナビゲーション装置10から着脱可能なメモリカードに記憶され、ナビゲーション装置10とともに提供されるようにするとよい。これにより、ナビゲーション装置10は、メモリカードが交換して装着されることで、地図情報を更新して機器の出荷後の変化にも柔軟に対応することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、すべてのナビゲーション装置、表示制御方法およびプログラムに適用できる。すなわち、移動体である自動車用、船舶用、航空機用、人間用のナビゲーション装置、それらのナビゲーション装置に用いられる表示制御方法およびプログラムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すLCDに表示される画面例を示す図であり、(A)は、車輌等が誘導経路以外を走行中であるときの画面を示す図であり、(B)は、車輌等が誘導経路上を走行中であるときの画面を示す図である。
【図3】図1に示すナビゲーション装置が行なう表示制御処理(第一の動作)を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すナビゲーション装置が行なう表示制御処理(第二の動作)を示すフローチャートである。
【図5】図1に示すLCDに表示される画面例を示す図であり、(A)は、道路渋滞情報が示された図であり、(B)は、道路の走行しやすさを示す情報が示された図である。
【図6】ナビゲーション装置のディスプレイの電子地図上に表示される画面例を示す図であり、(A)は、道路の走行しやすさを示す情報が示された図であり、(B)は、道路の走行しやすさを示す情報および経路誘導用ラインが並行して表示された図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ナビゲーション装置、11 CPU(経路探索手段および表示制御手段)、13 HDD(記憶手段の一部)、13b,13c 表示制御用プログラム(プログラム)、14 メモリ(記憶手段の一部)、15 ビデオメモリ(記憶手段の一部)、16 LCD(表示手段)、17 GPSレシーバ(位置情報取得手段)、21 表示選択手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子地図を表示させる表示手段と、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段と、
上記誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段と、
上記誘導表示手段および上記誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段と、
上記位置情報取得手段で取得した位置が上記誘導経路上にあるときは、上記誘導手段以外の他の情報については上記表示手段に表示させない制御を行なう表示制御手段と、
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記誘導表示手段および/または前記他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段を有し、
上記表示選択手段からの所定の入力信号があったときは、前記表示制御手段は、前記誘導表示手段および/または前記他の情報を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
電子地図を表示させる表示手段と、
位置情報を取得する位置情報取得手段と、
所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段と、
上記誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段と、
上記誘導表示手段および上記誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段と、を少なくとも有する車輌等に搭載されたナビゲーション装置に用いられる表示制御方法であって、
上記経路探索手段で決定された誘導経路に基づいて経路誘導中であるか否かを判定するステップと、
経路誘導中でないと判定したときは、上記誘導表示手段を非表示にするステップと、
経路誘導中であると判定したときは、上記誘導表示手段のみを表示するステップと、
上記車輌等が誘導経路上を走行中であるか否かを判定するステップと、
上記車輌等が誘導経路上を走行中でないと判定したときは、上記誘導表示手段以外の他の情報を表示するステップと、
を有することを特徴とする表示制御方法。
【請求項4】
前記誘導表示手段および/または前記他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段を有するナビゲーション装置に用いられる表示制御方法であって、
上記表示選択手段からの所定の入力信号を受け取ったか否かを判定するステップと、
上記所定の入力信号を受け取ったときは、前記誘導表示手段および/または前記他の情報を前記表示手段に表示させるステップと、
を有することを特徴とする請求項3に記載の表示制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、電子地図を表示させる表示手段、位置情報を取得する位置情報取得手段、所定の地点から目的地への経路を探索して誘導経路を決定する経路探索手段、上記誘導経路を電子地図上に表示して誘導するための誘導表示手段、上記誘導表示手段および上記誘導表示手段以外の他の情報が記憶されている記憶手段、上記位置情報取得手段で取得した位置が上記誘導経路上にあるときは、上記誘導手段以外の他の情報については上記表示手段に表示させない制御を行なう表示制御手段、として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータを、前記誘導表示手段および/または前記他の情報の表示を切り替えることができる表示選択手段、上記表示選択手段からの所定の入力信号があったときは、前記誘導表示手段および/または前記他の情報を前記表示手段に表示させる表示制御手段、として機能させるための請求項5に記載のプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−2375(P2010−2375A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163185(P2008−163185)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】