説明

ナビゲーション装置およびナビゲーション処理方法

【課題】 地図データと検索データの対応付けを効率よく確実に行うナビゲーション装置およびナビゲーション処理方法を提供すること。
【解決手段】
道路を所定の単位で分割した各道路単位に固有の道路形状要素固有番号をアサインし、この道路形状要素固有番号と対応する地図データで定義されるリンクのリンク情報とを対応づけた固有番号対応テーブル22を設ける。指定された検索対象の実体データを検索データの中から検出し、検出した検索対象の実体データに格納された道路形状要素固有番号を取得する。取得した道路形状要素固有番号を使用して固有番号対応テーブル22を参照し、対応するリンク情報を取得する。取得したリンク情報に基づき対応するリンクの座標を得、リンクの座標と取得した実体データのハウスナンバーに基づき、検索対象の地図データ上の座標を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置において、地図を複数のユニットに分割し、各ユニット単位で地図データファイルを作成し、各ユニット単位で地図データファイルを更新する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−56823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は地図データの更新に関する技術であり、ナビゲーション装置で使用する検索データの更新について考慮されたものではない。地図データや検索データを更新する場合、地図データと検索データの対応付けを効率よく確実に行う方法が望まれる。
【0005】
本発明は、地図データと検索データの対応付けを効率よく確実に行うナビゲーション装置およびナビゲーション処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ナビゲーション装置に適用され、地図データを取得する地図データ取得手段と、取得した地図データを使用してナビゲーションの処理を行うナビゲーション処理手段と、検索データを取得する検索データ取得手段と、取得した検索データを使用して、指定された検索対象の個別データを検出する個別データ検出手段と、道路を所定の単位で分割した各道路単位を識別する識別情報と、各道路単位に対応する地図データで定義される地図データ道路単位に関する地図データ道路単位情報とを対応づけた対応テーブルを取得する対応テーブル取得手段と、検出した指定された検索対象の個別データと、取得した対応テーブルとに基づき、指定された検索対象の地図データ上の位置を特定する地図位置特定手段とを備えることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のナビゲーション装置において、検索データに含まれる個々の検索対象の個別データは、検索対象が位置する道路単位の識別情報を有し、地図位置特定手段は、検出した指定された検索対象の個別データの識別情報を使用して、取得した対応テーブルから対応する地図データ道路単位情報を取得し、取得した地図データ道路単位情報に基づき、地図データ上の地図データ道路単位を特定することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、検索データに含まれる個々の検索対象の個別データは、識別情報に加えて、道路単位に対応する地図データ道路単位の少なくとも始点および終点の位置に関する情報を有し、地図位置特定手段は、検出した指定された検索対象の個別データの少なくとも始点および終点の位置に関する情報を使用して、地図データ上の地図データ道路単位の方向も含めて特定することを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、ナビゲーション処理方法に適用され、検索データを取得し、地図データを取得し、道路を所定の単位で分割した各道路単位を識別する識別情報を使用して、検索データと地図データとの対応付けを行うことを特徴とするものである。
請求項5記載の発明は、ナビゲーション装置用データのデータ構造に適用され、請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーション装置によって取得される検索データおよび地図データのデータ構造を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成しているので、地図データと検索データの対応付けを効率よく確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、本発明の実施の形態であるナビゲーション装置において使用する検索データの更新システムを示す図である。車載用ナビゲーション装置1は、CD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体2から、地図データや検索データ(案内検索データ)などを読み取る。データ提供センタ9のサーバ6は、地図データベース7や検索データベース8から地図データや検索データを読み取り、地図データや検索データの更新データをナビゲーション装置へ提供する。
【0009】
本実施の形態のナビゲーション装置1では、検索データを更新するとき、更新した検索データと地図データとの整合性を効率よく行うようにしたものである。
【0010】
ナビゲーション装置1は、携帯電話などの通信装置4と接続可能である。ナビゲーション装置1は、通信装置4を介して電話回線網5に接続し、さらに電話回線網5を介してサーバ6に接続することができる。サーバ6は、古い地図データから最新の地図データまでを地図データベース7に保有し、また、古い検索データから最新の検索データまでを検索データベース8に保有する。従って、サーバ6は、地図データや検索データの一部を更新する更新データを電話回線網5を介してナビゲーション装置1に提供することができる。
【0011】
ナビゲーション装置1は、制御装置11と不揮発性メモリ12を有する。制御装置11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路から構成される。不揮発性メモリ12は、ナビゲーション装置1の内部に設けられたハードディスクや、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。不揮発性メモリ12は、ナビゲーション装置1の電源が落とされても、書きこまれたデータが消えない記憶装置であればどのようなものでもよい。
【0012】
データ提供センタ9の地図データベース7や検索データベース8は、新旧すべての地図データや検索データなどを有しているためマザーデータのデータベースである。サーバ6は、地図データベース7や検索データベース8を使用して、初期の(更新前の)地図データや検索データなどを有する記録媒体2を準備することもできる。
【0013】
図2は、車載用ナビゲーション装置1のブロック図である。ナビゲーション装置1は、制御装置11、不揮発性メモリ12、現在地検出装置13、DVD駆動装置14、メモリ15、通信インターフェース16、入力装置17、モニタ18などを有する。
【0014】
現在地検出装置13は車両の現在地を検出し、例えば車両の進行方位を検出する方位センサや車速を検出する車速センサやGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ等から成る。DVD駆動装置14は、記録媒体2を搭載して地図データなどを読み込む。本実施の形態では、記録媒体2はDVD−ROMとする。なお、CD−ROMや他の記録媒体であってもよい。
【0015】
メモリ15は、現在地検出装置13によって検出された車両位置情報等を格納したり、制御装置11が演算した推奨経路上のノード情報やリンク情報等を格納する。メモリ15は制御装置11のワーキングエリアである。通信インターフェース16は、通信装置4を接続するインターフェースである。通信インターフェース16を介して携帯電話の利用や、インターネットとの接続が可能である。
【0016】
モニタ18は、地図や推奨経路や各種情報を表示する。モニタ18は、ナビゲーション装置本体の一部として一体に設けてもよいし、筐体としては別々に設けてもよい。さらに、モニタ18のみを、ナビゲーション装置本体とケーブルなどによって接続し、分離した位置に設けるようにしてもよい。入力装置17は、経路探索時に車両の目的地等を入力したりするときに使用される。検索キーを入力するときにも使用する。リモコンであってもよいし、モニタ18の画面上に設けられたタッチパネルなどで構成してもよい。
【0017】
制御装置11は、現在地検出装置13で検出された車両の現在地情報と記録媒体2や不揮発性メモリ12に格納された地図データや検索データなどを使用して、道路地図の表示、経路計算(経路探索)、経路誘導等の各種のナビゲーション処理を行う。なお、制御装置11が実行する各種の処理プログラムは、制御装置11内部に設けられたROM(不図示)に組み込まれている。
【0018】
データ提供センタ9のサーバ6はコンピュータシステムであり、地図データベース7や検索データベース8を使用して、更新データの提供をはじめ各種の処理を行う。サーバ6のコンピュータシステムは、汎用コンピュータやワークステーションやパソコンなど各種のコンピュータにより構成できる。
【0019】
次に、ナビゲーション装置1で使用される地図データと検索データについて説明する。
【0020】
−地図データ−
地図データは、地図に関する情報であり、背景(地図表示用)データ、道路(ロケータ用)データ、経路探索用データ(ネットワークデータ)、経路誘導用データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などのデータ種別がある。背景データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。道路データは、車両の道路上の位置(現在地)の特定やマップマッチングなどに使用されるデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。経路誘導用データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者等に推奨経路を誘導する際に用いられる。
【0021】
道路データ(ロケータ用データ)は、例えば道路をリンクとノードとリンク列という概念で表した場合のリンク列データである。ノードは交差点や道路上特に指定された点を言う。リンクはノード間の道路に該当し、道路データ上で定義される道路単位と言ってもよい。リンク列は1本の道路を複数のリンクで表したものである。リンク列データは、公知な内容である。背景データは、例えば、ポリゴンやポリラインなどのデータである。道路の表示は、ポリラインなどのデータを使用して行う。なお、道路データを使用して道路の表示を行う場合もある。以下では、上記リンクの概念で道路を表す道路データを、地図データを代表するものとして地図データと言う。
【0022】
−検索データ−
検索データは、所望の地点を地図上で指示するために使用されるデータではなく、キー入力された情報により検索して求めるときに使用されるデータである。例えば、経路探索の目的地を設定するときに、POI(Point of Interest)の名称や住所や電話番号などを入力することにより、そのPOIの位置を検索データを使用して求める。制御装置11は、検索データを使用して求めた地点を例えば目的地として設定し、経路探索などの処理を行う。
【0023】
検索データは、種別として、名称(読み)検索データ、住所検索データ、電話番号検索データなどがある。名称検索データは、POI名称(施設名称)により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、カテゴリ(ジャンル)ごとに地域(エリア)単位でデータファイルが作成されている。カテゴリには、例えば「駅」「空港」「フェリー」「デパート」「ホテル」「ガソリンスタンド」「スキー場」「ゴルフ場」などがある。
【0024】
各ファイルの中には、名称により検索できる検索木(ツリー)データと実体データが格納されている。なお、POIは対象施設と言ってもよいが、必ずしも建物等の施設に限定する必要はない。スキー場やゴルフ場、あるいは観光地などの地点であってもよい。名称検索データは、POI検索データと言うことができる。
【0025】
住所検索データは、住所により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、地域(エリア)単位でデータファイルが作成されている。各ファイルの中には、住所により検索できる検索木データと実体データが格納されている。
【0026】
電話番号検索データは、電話番号により地図上の位置を特定するために使用されるデータであり、市外局番の上2けた単位でデータファイルが作成されている。各ファイルの中には、電話番号により検索できる検索木データと実体データが格納されている。
【0027】
上記各検索データの検索木データは、検索対象を絞り込むためのデータであり、検索フレームデータとも言われる。実体データは、検索データの種別に応じて、各POIの名称情報、電話番号情報、住所情報、位置情報などのデータを有する。検索データにおける位置情報とは、緯度経度などで特定される位置座標データである。なお、実体データを上記検索データ間で共有するようにしてもよい。
【0028】
なお、本実施の形態のナビゲーション装置1は、住居表示が欧米などのようにハウスナンバー制で表される地域で使用されることを前提とする。ハウスナンバー制は、ストリート名とハウスナンバーで住所を表す制度のことを言う。ハウスナンバーは、あるストリートに面するハウスや施設に所定の順番で振られた番号である。ストリートの片側を偶数番号、反対側を奇数番号としたりする。これにより、ストリート名とハウスナンバーにより所望のハウスや施設が特定できる。
【0029】
−検索データと地図データと固有番号対応テーブルの関係−
図3は、検索データ21と固有番号対応テーブル22と地図データ23との関係を示す図である。図3では、検索データ21として、名称検索データ24と住所検索データ25が示されている。本実施の形態では、検索データ21と地図データ23との対応を、固有番号対応テーブル22を参照して行うことに特徴を有する。
【0030】
図4は、名称検索データ24の実体データ部分のデータ構造を示す図である。名称検索データ24は、複数のレコードからなり、各レコードは各POIに対応するデータを有する。図4の例では、名称検索データ24の実体データは、n個のレコードからなり、n個のPOIの個別データを有する。
【0031】
名称検索データ24の実体データの各レコードは、POI名称31、名称読み32、カテゴリ33、住所(ハウスナンバー)34、メッシュコード35、リンク情報36、ハウスナンバーの範囲37、道路形状要素固有番号38、3点座標39などのデータからなる。
【0032】
POI名称31はPOIの名称のデータを格納する。名称読み32はPOIの名称の読みのデータを格納する。カテゴリ33はPOIの属するカテゴリを示すデータを格納する。住所(ハウスナンバー)34はPOIのハウスナンバーを格納する。ハウスナンバーは、前述した欧米などで採用される住居表示制度によるPOIのハウスナンバーである。メッシュコード35はPOIが属するメッシュのメッシュコードのデータを格納する。本実施の形態では、地図データを複数のメッシュに分割し、メッシュ単位に地図データを格納する。メッシュコードは、分割したメッシュを特定するためのコードであり、例えば、緯度経度などのデータで構成される。
【0033】
リンク情報36はPOIが位置する道路に対応するリンクに関する情報を格納する。リンクに関する情報は、当該リンクの地図データ(記録媒体)上の物理的位置を直接示している。なお、ここで言うリンクとは道路形状要素固有番号38の道路形状要素に対応するリンクであるので複数のリンクを示す場合もある。リンクに関する情報は、具体的にはリンクを構成する各ノードのノード座標データの記録媒体2上の格納位置を示すオフセットデータである。
【0034】
ハウスナンバーの範囲37は当該リンクに沿って存在するハウスナンバーの範囲を示すデータを格納する。道路形状要素固有番号38はPOIが位置する後述する道路形状要素の固有番号を格納する。3点座標39はリンク情報36で示すリンクの始点、中間点、終点の正規化座標データを格納する。
【0035】
図5は、住所検索データ25の実体データ部分のデータ構造を示す図である。住所検索データ25は、複数のレコードからなり、各レコードは道路形状要素固有番号46の道路形状要素に対応してデータを有する。図5の例では、住所検索データ25の実体データは、n個のレコードからなり、n個の道路形状要素に対応した個別データを有する。
【0036】
住所検索データ25の実体データの各レコードは、ストリート名称41、地域(エリア)情報42、メッシュコード43、リンク情報44、ハウスナンバーの範囲45、道路形状要素固有番号46、3点座標47などのデータからなる。本実施の形態では、前述したように、住所で地点を特定する場合、地域(エリア)名、ストリート名およびハウスナンバーを使用する。
【0037】
ストリート名称41は道路形状要素固有番号46の道路形状要素を含むストリート名称のデータを格納する。地域(エリア)情報42は道路形状要素固有番号46の道路形状要素が属する地域(エリア)名のデータを格納する。メッシュコード43は道路形状要素固有番号46の道路形状要素が属するメッシュのメッシュコードデータを格納する。
【0038】
リンク情報44は、道路形状要素固有番号46の道路形状要素に対応するリンクに関する情報を格納する。リンクに関する情報は、当該リンクの地図データ(記録媒体)上の物理的位置を直接示している。なお、ここで言うリンクは道路形状要素固有番号46の道路形状要素に対応するリンクであるので複数のリンクを示す場合もある。リンクに関する情報は、具体的にはリンクを構成する各ノードのノード座標データの記録媒体2上の格納位置を示すオフセットデータである。
【0039】
ハウスナンバーの範囲45は当該リンクに沿って存在するハウスナンバーの範囲を示すデータを格納する。道路形状要素固有番号46は道路形状要素の固有番号を格納する。3点座標47はリンク情報44で示すリンクの始点、中間点、終点の正規化座標データを格納する。
【0040】
1つのストリートは、一般に、複数の道路形状要素から構成されるので、住所検索データ25のレコード間では、ストリート名称41が同じ名称の場合がある。ただし、ストリート名称41が同じでもハウスナンバーの範囲45はそれぞれ異なる。従って、ストリート名とハウスナンバーが指定されると、住所検索データ25のいずれかのレコードが特定できる。
【0041】
図6は、固有番号対応テーブル22のデータ構造を示す図である。固有番号対応テーブル22は、複数のレコードからなり、各レコードは、道路形状要素固有番号51と、対応するメッシュコード52およびリンク情報53からなる。図6の例では、固有番号対応テーブル22は、m個のレコードからなり、m個の道路形状要素固有番号のテーブルが示されている。
【0042】
道路形状要素固有番号51については後述する。メッシュコード52は道路形状要素固有番号51の道路形状要素が属するメッシュのメッシュコードデータを格納する。リンク情報53、道路形状要素番号51の道路形状要素に対応するリンクに関する情報を格納する。リンクに関する情報は、当該リンクの地図データ(記録媒体)上の物理的位置を直接示している。リンクに関する情報は、具体的にはリンクを構成する各ノードのノード座標データの記録媒体2上の格納位置を示すオフセットデータである。
【0043】
次に、道路形状要素固有番号38、46、51が格納する道路形状要素固有番号について説明する。道路形状要素固有番号は、道路を所定の単位で分割し、分割した各道路が識別できるようにアサインされた固有番号である。道路形状要素固有番号は、実際の道路を識別するための情報であり、実際の道路に対して重複して2以上の番号が振られることはない。例えば、地図データや検索データを作成するときに、データベース上において便宜上使用される道路のIDでもある。例えば、数字の連番を使用し、10桁のBCDコードで規定する。そのために、1つの道路形状要素固有番号に5バイトをあてがう。ワード単位で処理する装置の場合は、3ワード6バイトをあてがい、1バイトは予備とする。
【0044】
道路を所定の単位で分割した分割単位を、本実施の形態では、道路形状要素あるいは単に道路単位と言う。道路を所定の単位で分割するとは、例えば、交差点単位で分割することを言う。従って、道路形状要素は、基本的に、地図データで定義するリンクと1対1に対応する。しかし、地図データのリンクは、必ずしも交差点間の道路のみに対応するものではなく、交差点間を複数のリンクで表す場合もある。また、道路形状要素も必ずしも交差点単位に分割したものだけとは限らない。従って、道路形状要素と地図データのリンクとは1対1に対応しない場合もある。ただし、本実施の形態では、1つの道路形状要素は1以上のリンクに対応することを前提とする。
【0045】
地図データ上、リンクに対してリンクIDが振られる場合がある。しかし、地図データは縮尺に応じて異なるレベルのデータを有する場合がある。この場合、異なるレベルでは、同じ道路に対しても異なるリンクIDが振られる場合がある。しかし、本実施の形態の道路形状要素固有番号は、実際の道路に対して振られるIDであるので、ある道路(道路形状要素)に対しては1つの道路形状要素固有番号しか振られない。この点、リンクIDとは異なるものである。
【0046】
本実施の形態では、このように定義される普遍的な各道路形状要素に固有な道路形状要素固有番号を使用して、検索データ21が更新されても、検索データ21と地図データ23との対応付けを効率よく正確に行うようにしてものである。
【0047】
−検索処理−
図7は、ナビゲーション装置1における検索処理のフローチャートを示す図である。図7は、名称検索データを使用した例を示す。ユーザが入力装置17を使用して検索対象のPOIの名称を入力すると、入力した文字と一致するPOI名称が検索される。なお、図7のフローは、ナビゲーション処理のメニュー画面から目的地を設定するために、「名称から」が選択されたところから開始するものとする。図7の処理は、制御装置11が実行する。
【0048】
ステップS1では、記録媒体2から名称検索データ24を取得する。対象カテゴリおよび対象地域(エリア)も特定されているものとし、記録媒体2から該当する名称検索データファイルを読み取る。ステップS2では、ユーザが入力装置17を使用して検索対象のPOIの名称を入力する。
【0049】
ステップS3では、入力されたPOIの名称に基づき、名称検索データ24を検索し、該当するPOIの実体データを検出する。検索は、名称検索データ24に格納されている検索木データを使用して行う。ステップS4では、記録媒体2から固有番号対応テーブル22を取得する。
【0050】
ステップS5では、ステップS3で検出された検索対象の実体データから道路形状要素固有番号を取得し、取得した道路形状要素固有番号に基づき、固有番号対応テーブル22を参照して対応するメッシュコードおよびリンク情報を取得する。メッシュコードにより地図データのデータファイルが特定され、リンク情報により対応するリンクの各ノードの座標データが存在する記録媒体2上の位置(オフセット)が分かる。
【0051】
ステップS6では、取得したメッシュコードおよびリンク情報により、記録媒体2にアクセスして該当するリンクのノードの座標データを取得する。対応するリンクが1つの場合は、リンク列データから対応するリンクの両端のノードの座標データを得る。対応するリンクが複数の場合は、リンク列データから対応する複数のリンクを構成する複数のノードの座標データを順次取得する。
【0052】
取得したノードの座標データと、ステップS3で検出された検索対象の実体データの住所(ハウスナンバー)34とハウスナンバーの範囲37からPOIの位置を特定する。すなわち、POIの位置の座標を演算する。例えば、ハウスナンバーの範囲とハウスナンバーが分かるので、当該リンクの始点から終点までをハウスナンバーの範囲数で分割し、ハウスナンバーより何番目の分割位置に位置するかを計算することができる。すなわち、比例計算により検索対象の位置(座標)を求めることができる。
【0053】
ステップS7では、ステップS6で特定されたPOIの位置近辺の地図データを取得する。ステップS8では、ステップS6で特定されたPOIの位置に基づき、その位置近辺の道路地図をPOIの位置を示すマークをモニタ18上に表示するとともに、その位置(地点)を目的地として設定する。なお、目的地として設定するにあたり、演算したPOIの位置を目的地として設定してよいかどうかをユーザに確認するようにしてもよい。
【0054】
なお、ステップS6においてPOIの位置の座標を演算するとき、名称検索データ24のリンクと固有番号対応テーブル22のリンクの方向が整合している必要がある。例えば、地図データ23を更新するとき、同じ道路を示すリンク列データであっても、データの並びを逆転させて更新する場合がある。すなわち、リンク列の始点と終点が逆転する場合がある。このような状況下では、ステップS6において対応するリンクが特定できても、ハウスナンバーによりPOIの位置を比例計算するとき、逆の位置から計算してしまい、POIの位置を間違って計算してしまうことが生じる。
【0055】
本実施の形態では、このような不具合を解消するために、検索データ21に前述した3点座標のデータを格納し、この3点座標のデータを利用する。図8は、リンク情報の並びの整合性をどのように取るかを説明する図である。
【0056】
図8は、名称検索データ24において、例えば、あるPOIが位置する道路形状要素固有番号001の道路形状要素が3本のリンクから構成されている例が示されている。図8(a)は、名称検索データ24のレコード001の道路形状要素固有番号38には001が格納され、3点座標39には格納始点(x1’、y1’)、中間点(x3’、y3’)、格納終点(x4’、y4’)の座標データが格納されていることを示す。
【0057】
図8(b)は、固有番号対応テーブル22のレコード001の道路形状要素固有番号001のリンク情報53に、格納始点offset1、offset2、offset3、格納終点offset4が格納されていることを示す。図8(c)は、固有番号対応テーブル22のリンク情報53に対応する地図データの座標がoffset1=(x4、y4)、offset2=(x3、y3)、offset3=(x2、y2)、offset4=(x1、y1)であることを示す。
【0058】
ここで、ステップS3で検出された検索対象の実体データから抽出できる3点座標39(x1’、y1’)、(x3’、y3’)、(x4’、y4’)と、固有番号対応テーブル22のリンク情報53のoffsetで読み出した座標(x4、y4)、(x3、y3)、(x2、y2)、(x1、y1)とを照合すると、(x1’、y1’)≒(x1、y1)、(x3’、y3’)≒(x3、y3)、(x4’、y4’)≒(x4、y4)が判明する。≒としたのは、地図データが更新されることにより座標値が微妙にずれている場合があるが、大体一致していれば同じ座標とみなせるためである。
【0059】
この照合の結果、3つの座標が一致しているため同じリンクであると判断できる。しかし、始点と終点が逆転していることが分かるので、リンクの方向が逆転していることが分かる。従って、データの並びを反転させ、反転後のデータを使用してハウスナンバーを基準にPOIの位置を演算する。これにより、リンクの方向、すなわちデータの並びが反転している場合であっても、正確にそれを認識し、間違いのないPOIの位置の計算をすることができる。
【0060】
−検索データの更新−
図9は、検索データの更新に関して、データ提供センタ9内の処理、および、ナビゲーション装置1とデータ提供センタ9との情報のやり取りを示す図である。ナビゲーション装置1の処理は、制御装置11が所定のプログラムを実行することにより行う。データ提供センタ9の処理は、サーバ6が所定のプログラムを実行することにより行う。
【0061】
サーバ6の処理は、検索データの更新処理の必要に応じて起動される。更新すべき検索データの種別や検索データファイルのファイル名などは特定されているものとする。ステップS21では、更新対象検索データの更新用データを取得する。オペレータがキーボードから入力してもよいし、別途生成された更新用データを読み取るようにしてもよい。
【0062】
ステップS22では、ステップS21で取得した更新用データに基づき、更新対象検索データの検索木データと実体データを更新する。実体データを更新するとき、更新前の検索データで使用されていた道路形状要素固有番号システムと同じ道路形状要素固有番号システムを使用し、前述したデータ構造の検索データを生成する。
【0063】
ステップS23では、更新した検索データをナビゲーション装置1へ提供する。具体的には、データ提供センタ9の通信装置(不図示)と電話回線網5とナビゲーション装置1側の通信装置4を介して回線を接続し、検索データを提供する。
【0064】
ナビゲーション装置1の制御装置11は、ステップS11にて、データ提供センタ9からの更新検索データの提供を認識すると、そのデータを受信し、ナビゲーション装置1内で検索データの更新処理を行う。具体的には、該当するファイル名を書き換えればよい。
【0065】
このとき、ナビゲーション装置1内の固有番号対応テーブル22は、基本的には更新を行わない。すなわち、地図データの更新がなく、検索データのみの更新の場合は、固有番号対応テーブル22は更新前に使用していたものと同じものを使用する。一方、地図データを更新する場合は、固有番号対応テーブル22も同時に更新を行う。これは、道路形状要素と地図データのリンクとの対応に変更がある場合があるからである。
【0066】
なお、上記では、ナビゲーション装置1は単にデータ提供センタ9から更新検索データの提供を受ける例を説明した。しかし、ナビゲーション装置1から検索データの更新要求をデータ提供センタ9へ送信し、それに応じて更新検索データの提供を受けるようにしてもよい。この場合は、ナビゲーション装置1のメニュー画面などで「検索データの更新」というメニューが選択されることにより更新処理が開始する。
【0067】
以上説明した検索データの更新システムを使用すると、次のような効果を奏する。
(1)実際の道路の形状要素単位(道路単位)に固有な普遍的(不変的と言ってもよい)な道路形状要素固有番号を使用して検索データと地図データの対応付けを行うので、効率よく確実に正確な対応付けを行うことができる。その結果、検索データも地図データも独立して自由にデータの更新を行うことができる。特に、検索データは、日々刻々変化する検索対象に応じて更新するのが好ましい。従って、このような構成を取ることにより、地図データの更新を意識せず、自由に検索データの更新を行うことができる。
(2)検索データと地図データとの対応付けを固有番号対応テーブル22で行うので、簡易な構成で効率よく確実に正確に対応付けを行うことができる。
(3)地図データの更新がなく検索データのみの更新の場合は、固有番号対応テーブル22は更新前に使用していたものと同じものを使用する。これにより、更新後の検索データと更新をしない地図データとの対応付けを容易に確実に行うことができる。
(4)地図データを更新しリンクに変更がある場合は、単に固有番号対応テーブル22を地図データと同時に更新するだけでよく、検索データまで同時に更新する必要がない。すなわち、少ない更新データ量で必要なデータの更新が確実に行われる。
(5)道路形状要素固有番号を使用することは、すべてのリンクに対して普遍的な固有のリンクIDをアサインする場合に比べて特に地図データのデータ量が削減できる。また、更新の都度新旧リンクIDの対応関係を示すデータを保有する場合に比べて、データが煩雑複雑とならず、現実的な処理が可能となる。
(6)検索データの各レコードには、道路形状要素固有番号とともにリンク情報で示すリンクの始点、中間点、終点の正規化座標データを格納するので、道路形状要素とリンクとの方向の整合性を確認することができる。これにより、道路形状要素とリンクの方向、すなわちデータの並びが反転している場合であっても、正確にそれを認識し、間違いのないPOIの位置の計算をすることができる。
【0068】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1とデータ提供センタ9とを電話回線網5で接続する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。他の通信回線(通信媒体)であってもよい。例えば、インターネットを介して接続するようにしてもよい。専用回線などを使用するようにしてもよい。
【0069】
上記実施の形態では、更新検索データを、電話回線網5の通信回線(通信媒体)を介して提供する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。更新検索データを、CD−ROMやメモリカードなどの記録媒体に格納して提供するようにしてもよい。
【0070】
上記実施の形態では、検索データはファイル単位で管理され、更新をファイル単位で行う例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。例えば、ファイルの中をさらに細かく区分した単位で更新管理をしてもよい。すなわち、検索データの更新が管理できる単位であれば、どのような単位でもよい。
【0071】
上記実施の形態では、検索データとして名称検索データ、電話番号検索データ、住所検索データの例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。その他の検索データであってもよい。すなわち、位置の特定に使用される検索データであれば、どのようなものでもよい。
【0072】
上記実施の形態では、名称検索データは、カテゴリごとに地域(エリア)単位でデータファイルが作成されている例を示し、電話番号検索データは、市外局番の上2けた単位でデータファイルが作成されている例を示し、住所検索データは、地域(エリア)単位でデータファイルが作成されている例を示したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。データファイルは他の単位で生成するものでもよい。
【0073】
上記実施の形態では、3点座標としてリンク情報で示すリンクの始点、中間点、終点の3点の座標データを格納する例を示したが、始点と終点だけでもよい。2点でも、道路形状要素とリンクとの方向の整合性を確認することができる。ただし、始点と終点一致するようなリンクの場合は中間点がないと判別できない。また、3点以上の数であってもよい。
【0074】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1側にDVD駆動装置14を搭載する例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。ハードディスクなどの不揮発性メモリ12のみを有し、地図データや検索データはすべて通信により取得するようにしてもよい。また、ナビゲーション装置1にICカードなどのスロットを設け、ICカードなどのリムーバブルメモリを使用して、検索データの更新データを提供するようにしてもよい。
【0075】
上記実施の形態では、車両に搭載するナビゲーション装置の例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。ポータブルなナビゲーション装置にも本発明は適用できる。また、ナビゲーション以外の装置にも適用できる。すなわち、検索データと地図データを使用し、検索データと地図データとの対応付けを行う装置全般に本発明を適用することができる。言い換えれば、検索データを使用して検索した検索対象の位置を、地図データ上の位置に対応付ける必要がありる装置全般に本発明を適用することができる。
【0076】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置1やサーバ6が実行するプログラムは、すでに各装置に搭載されている例で説明をしたが、この内容に限定する必要はない。これらのプログラムを、DVDやCD−ROMなどの記録媒体で提供するようにしてもよい。この場合には、各装置がそれらの記録媒体からデータを読み込む装置が必要となる。また、それらのプログラムをインターネットなどに代表される通信回線などの伝送媒体を介して提供するようにしてもよい。すなわち、プログラムを、伝送媒体を搬送する搬送波上の信号に変換して送信することも可能である。
【0077】
上記実施の形態では、車両に搭載される専用ナビゲーション装置の例を説明したが、必ずしもこの内容に限定する必要はない。上述したナビゲーション装置1用の制御プログラムをパソコン上で実行させてナビゲーション装置を実現するようにしてもよい。その場合、現在地検出装置13などはパソコンの所定のI/Oポートなどに接続するようにすればよい。
【0078】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態であるナビゲーション装置において使用する検索データの更新システムを示す図である。
【図2】車載用ナビゲーション装置1のブロック図である。
【図3】検索データ21と固有番号対応テーブル22と地図データ23との関係を示す図である。
【図4】名称検索データ24の実体データ部分のデータ構造を示す図である。
【図5】住所検索データ25の実体データ部分のデータ構造を示す図である。
【図6】固有番号対応テーブル22のデータ構造を示す図である。
【図7】ナビゲーション装置1における検索処理のフローチャートを示す図である。
【図8】リンク情報の並びの整合性をどのように取るかを説明する図である。
【図9】検索データの更新に関して、データ提供センタ9内の処理、および、ナビゲーション装置1とデータ提供センタ9との情報のやり取りを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 ナビゲーション装置
2 記録媒体
4 通信装置
5 電話回線網
6 サーバ
7 地図データベース
8 検索データベース
11 制御装置
12 不揮発性メモリ
13 現在地検出装置
14 DVD駆動装置
15 メモリ
16 通信インターフェース
17 入力装置
18 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置であって、
地図データを取得する地図データ取得手段と、
取得した地図データを使用してナビゲーションの処理を行うナビゲーション処理手段と、
検索データを取得する検索データ取得手段と、
前記取得した検索データを使用して、指定された検索対象の個別データを検出する個別データ検出手段と、
道路を所定の単位で分割した各道路単位を識別する識別情報と、前記各道路単位に対応する前記地図データで定義される地図データ道路単位に関する地図データ道路単位情報とを対応づけた対応テーブルを取得する対応テーブル取得手段と、
前記検出した指定された検索対象の個別データと、前記取得した対応テーブルとに基づき、前記指定された検索対象の前記地図データ上の位置を特定する地図位置特定手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記検索データに含まれる個々の検索対象の個別データは、検索対象が位置する前記道路単位の識別情報を有し、
前記地図位置特定手段は、前記検出した指定された検索対象の個別データの前記識別情報を使用して、前記取得した対応テーブルから対応する前記地図データ道路単位情報を取得し、取得した地図データ道路単位情報に基づき、前記地図データ上の地図データ道路単位を特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のナビゲーション装置において、
前記検索データに含まれる個々の検索対象の個別データは、前記識別情報に加えて、前記道路単位に対応する地図データ道路単位の少なくとも始点および終点の位置に関する情報を有し、
前記地図位置特定手段は、前記検出した指定された検索対象の個別データの前記少なくとも始点および終点の位置に関する情報を使用して、前記地図データ上の地図データ道路単位の方向も含めて特定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
ナビゲーション処理方法であって、
検索データを取得し、
地図データを取得し、
道路を所定の単位で分割した各道路単位を識別する識別情報を使用して、前記検索データと前記地図データとの対応付けを行うことを特徴とするナビゲーション処理方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載のナビゲーション装置によって取得される前記検索データおよび前記地図データのデータ構造を有することを特徴とするナビゲーション装置用データのデータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−57351(P2007−57351A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242331(P2005−242331)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】