説明

ナビゲーション装置及びナビゲーションシステム

【課題】 カーナビゲーション装置で、新たに通信事業者と加入者契約を行うことなく、無線通信を可能とする。
【解決手段】 携帯電話機は、契約者情報に基づいて、この契約者情報に対応する無線通信事業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う通信回路の他、近距離無線通信を行う非接触IC部を有している。カーナビゲーション装置は、携帯電話機の非接触IC部と通信を行う非接触IC部と、無線通信を行う通信回路を有している。カーナビゲーション装置は、上記各非接触IC部を介して携帯電話機と通信を行うことで、該携帯電話機に記憶されている契約者情報を取り込み、この契約者情報に基づいて、当該カーナビゲーション装置の上記通信回路を介して、上記無線通信事業者が提供する無線通信網を用いた無線通信を行う。これにより、携帯電話機側の契約者情報を、カーナビゲーション装置側で利用して無線通信を可能とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカーナビゲーションシステムや船舶ナビゲーションシステム等に適用して好適なナビゲーション装置及びナビゲーションシステムに関し、特に、携帯電話機,PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System),無線通信カード等の携帯通信端末装置の契約者情報を用いて無線通信を可能としたナビゲーション装置及びナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2002−42192号公報(特許文献1)に、ETC用のICカードを携帯する煩わしさを解消したETCシステムが開示されている。このETCシステムは、ユーザが所有する携帯電話に、ETC用車載器で通信される個人情報(ETC情報)を記憶しておく。そして、ETC用車載器の使用時に、ケーブルを介して携帯電話とETC用車載器とを接続し、携帯電話に記憶されている上記ETC情報をETC用車載器側で取り込み、ETC用の通信に用いる。
【0003】
これにより、携帯電話を携帯しているだけでETCシステムを利用することが可能となるため、ETC用のICカードの携帯を不要とすることができる。
【0004】
ここで、近年においては、無線通信モジュールが設けられたカーナビゲーション装置が普及しつつある。このカーナビゲーション装置の場合、無線通信モジュールを介して所定のWebサイトから地図情報や現在位置周辺の地域の店舗情報等をダウンロードすることで、常に最新の情報を取り込むことが可能となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−42192号公報(第3頁〜第4頁:図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、無線通信モジュールが設けられたカーナビゲーション装置において、この無線通信モジュールでの通信を可能とするためには、当該カーナビゲーション装置用として、通信事業者との間で契約を結ぶ必要がある。このため、ユーザが既に携帯電話機を所有していた場合には、この携帯電話機の通信事業者との契約の他、カーナビゲーション装置で通信を行うために、通信事業者との間に新たな契約を必要とし、二重の契約を必要とする不都合を生じていた。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、通信事業者との間に新たな契約を結ぶことなく、ナビゲーション装置に設けられた無線通信モジュールで通信を可能とするナビゲーション装置及びナビゲーションシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、現在位置検出手段により検出された現在位置周辺の地図情報或いは海図情報を表示手段に表示するナビゲーション装置であって、
契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段の他、近距離無線通信手段を有する携帯端末装置との間で近距離無線通信を行うことで、上記携帯端末装置に記憶されている契約者情報の取り込みを行うナビゲーション側近距離無線通信手段と、
上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記携帯端末装置から取り込まれた契約者情報を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶された上記契約者情報に基づいて、この契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段と
を有する。
【0009】
このような本発明は、携帯端末装置に記憶されている契約者情報を当該ナビゲーション装置側で取り込み、この取り込んだ契約者情報を用いて、ナビゲーション装置側に設けられた無線通信手段を介して無線通信を行う。すなわち、携帯端末装置の契約者情報を、ナビゲーション装置側で利用して無線通信を行う。
【0010】
また、本発明は、上述の各手段に加え、
上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記記憶手段に上記契約者情報が取り込まれた際に、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、上記携帯端末装置を、上記契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して行う無線通信が不可となるように制御する制御手段を有する。
【0011】
このような本発明は、携帯端末装置に記憶されている契約者情報を用いてナビゲーション装置側で通信を行っている際に、携帯端末装置を通信不可の状態に制御することで、2重通信を防止する。
【0012】
また、本発明は、
上記制御手段が、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、連続的或いは断続的に上記携帯端末装置と通信を行うことで、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段と上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段との間の距離が通信可能な距離であるか否かを判別し、上記各近距離無線通信手段間の距離が通信を行うことができない距離であると判別した場合に、上記記憶手段に記憶された上記契約者情報を消去する。
【0013】
このような本発明は、携帯端末装置と当該ナビゲーション装置の各近距離無線通信手段が通信できない場合は、上記制御手段が、当該ナビゲーション装置から携帯端末装置が切り離されたものと判断して、ナビゲーション装置側で記憶された契約者情報を消去して、契約者情報の不正使用を防止する。
【0014】
また、本発明は、
上記制御手段が、上記各近距離無線通信手段間で通信を行うことができない位置関係であると判別した場合に、上記無線通信手段が通信中であるか否かを検出し、上記無線通信手段が通信中である場合、上記無線通信手段を通信不可となるように制御する。
【0015】
このような本発明は、携帯端末装置と当該ナビゲーション装置の各近距離無線通信手段が通信できない場合は、上記制御手段が、当該ナビゲーション装置から携帯端末装置が切り離されたものと判断して、ナビゲーション装置側で行っている通信を切断して、契約者情報の不正使用を防止する。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、携帯端末装置の契約者情報を、ナビゲーション装置側で利用して無線通信を行うことができる。このため、ナビゲーション装置で無線通信を行うために必要となる、通信事業者との間の新たな契約を不要とすることができる。
【0017】
また、本発明は、携帯端末装置に記憶されている契約者情報を用いてナビゲーション装置側で通信を行っている際に、携帯端末装置を通信不可の状態に制御することができる。このため、同じ契約者情報を用いて、携帯端末装置及びナビゲーション装置の両方で通信が行われる不都合を防止することができる。
【0018】
また、本発明は、携帯端末装置と当該ナビゲーション装置の各近距離無線通信手段が通信できない場合は、当該ナビゲーション装置から携帯端末装置が切り離されたものと判断して、ナビゲーション装置側で記憶された契約者情報を消去することができる。これにより、ナビゲーション装置側で通信が終了した後であっても、該ナビゲーション装置側に契約者情報が記憶されたままとなり、この契約者情報が不正使用される不都合を防止することができる。
【0019】
また、本発明は、携帯端末装置と当該ナビゲーション装置の各近距離無線通信手段が通信できない場合は、当該ナビゲーション装置から携帯端末装置が切り離されたものと判断して、ナビゲーション装置側で行っている通信を切断することができる。これにより、ナビゲーション装置側における契約者情報を用いた通信は、携帯端末装置と当該ナビゲーション装置が所定以下の距離内に位置している場合のみに限定することができ、携帯端末装置とは全く別にナビゲーション装置側で、該携帯端末装置の契約者情報を用いて通信が行われる不都合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、カーナビゲーションシステムに適用することができる。
【0021】
[システムの構成]
この本発明の実施の形態となるカーナビゲーションシステムは、図1に示す携帯電話機と、図2に示すカーナビゲーション装置とを有している。
【0022】
〔携帯電話機の構成〕
携帯電話機は、図1に示すように基地局との間でデータの送受信を行うアンテナ1及び通信回路2と、受話音声,動画ファイルの音声,音楽データの音声等の音声出力を得るためのスピーカ部3と、送話音声等を集音するマイクロホン部4と、入力操作を行うための複数のキーが設けられた操作部5とを有している。
【0023】
また、この携帯電話機は、待ち受け画像や携帯メールの文字等の表示を行う表示部6と、通信処理プログラム(コミュニケーションプログラム)や、当該携帯電話機に対応する通信事業者との間で通信契約を結んだ際に、通信事業者から付された携帯電話番号や当該携帯電話機に固有に付された識別番号等の契約者情報が記憶されたメモリ7と、非接触近距離通信を可能とする非接触IC部8と、当該携帯電話機全体の動作制御を行う制御部9とを有している。
【0024】
非接触IC部8は、非接触通信時にデータの送受信を行うアンテナ11と、この非接触IC部8に対して固有に付された識別情報や、当該非接触IC部8のコミュニケーションプログラムの他、例えば電子マネー情報等が記憶されたメモリ12と、この非接触IC部8における外部装置との間の通信や当該携帯電話機の制御部9との間の通信を制御する制御部13とを有している。
【0025】
〔カーナビゲーション装置の構成〕
図2に示すカーナビゲーション装置は、複数個の衛星からの電波を受信することで現在位置(及び移動方向、移動速度)を算出するGPSセンサ21(GPS:Global Positioning System)と、例えば当該カーナビゲーション装置が設けられる車の車速パルスに基づいて、現在位置(及び移動方向、移動速度)を検出する自立航法ユニット22と、リモートコントローラから赤外線送信される操作コマンドを受信する赤外線受信部23と、地図情報や各地域の周辺情報等が記憶されたハードディスクドライブ24(HDD)とを有している。
【0026】
また、このカーナビゲーション装置は、当該カーナビゲーション装置とモニタ装置とを接続するための画像インターフェイス25(画像IF)と、当該カーナビゲーション装置と車に設けられたスピーカ装置とを接続するための音声インターフェイス26(音声IF)と、後述する上記携帯電話機から読み出された上記契約者情報を記憶するメモリ27と、当該カーナビゲーション装置全体の動作制御を行う制御部28とを有している。
【0027】
また、このカーナビゲーション装置は、アンテナ29及び通信回路30を有する遠距離通信モジュール31と、近距離通信モジュールである、非接触IC部32との、計2つの通信モジュールを有している。
【0028】
近距離通信モジュールとなる非接触IC部32は、いわゆるリーダライタ機能を有しており、非接触通信時にデータの送受信を行うアンテナ35と、この非接触IC部32に対して固有に付された識別情報や、当該非接触IC部32のコミュニケーションプログラム等が記憶されたメモリ36と、この非接触IC部32における外部装置との間の通信や当該カーナビゲーション装置の制御部28との間の通信を制御する制御部37とを有している。
【0029】
[システム動作]
このようなカーナビゲーションシステムでは、カーナビゲーション装置で携帯電話機の契約者情報を用いた遠距離通信を行うことが可能となっている。図3及び図4のフローチャートに、この遠距離通信を行う場合のカーナビゲーション装置側の動作の流れを示す。
【0030】
まず、カーナビゲーション装置の非接触IC部32は、上記携帯電話機を載置可能なホルダに設けられている。ユーザは、カーナビゲーション装置で遠距離通信を行う際に、このホルダに携帯電話機を載置するのであるが、該ホルダに携帯電話機を載置すると、このホルダに設けられている非接触IC部32と、携帯電話機に設けられている非接触IC部8との間で通信が可能な距離に該携帯電話機が保持され、各非接触IC部8、32間で通信が開始される。図3のフローチャートは、この各非接触IC部8、32間で通信が開始されたことを、カーナビゲーション装置側の制御部28が検出することでスタートとなる。
【0031】
次に、カーナビゲーション装置側の制御部28は、ステップS1において、各非接触IC部8、32を介して携帯電話機側の制御部9と通信を行い、携帯電話機側の表示部6に、例えば「暗証番号を入力してください。」等の暗証番号の入力を促すメッセージを表示制御する。
【0032】
ユーザは、携帯電話機の操作部5を操作して暗証番号の入力を行い、携帯電話機側の制御部9は、この入力された暗証番号を各非接触IC部8、32を介してカーナビゲーション装置側の制御部28に送信するのであるが、カーナビゲーション装置側の制御部28は、ステップS2において、この携帯電話機側の制御部9から送信される暗証番号の受信の有無を判別することで、暗証番号の入力がなされたか否かを判別し、携帯電話機側の制御部9からの暗証番号を受信したタイミングで処理をステップS3に進める。
【0033】
カーナビゲーション装置側のメモリ27には、ユーザにより予め入力された暗証番号が記憶されており、カーナビゲーション装置側の制御部28は、携帯電話機側の制御部9からの暗証番号を受信すると、ステップS3において、この受信した暗証番号と、カーナビゲーション装置側のメモリ27に記憶されている暗証番号とを照合処理する。そして、カーナビゲーション装置側の制御部28は、ステップS4において、この2つの暗証番号が一致したか否かを判別することでユーザ認証の是非を判別し、ユーザを認証できた場合には処理をステップS5に進め、ユーザを認証できなかった場合には処理をステップS12に進める。
【0034】
ステップS12では、ユーザを認証できなかったため、カーナビゲーション装置側の制御部28が、各非接触IC部8、32を介して携帯電話機側の制御部9と通信を行い、携帯電話機側の表示部6に、例えば「認証できませんでした。」等の認証エラーのメッセージを表示制御し、この図3及び図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0035】
これに対して、ユーザを認証できたことで処理をステップS5に進めると、カーナビゲーション装置側の制御部28は、各非接触IC部8、32を介して携帯電話機側の制御部9と通信を行い、契約者情報の送信要求を行う。携帯電話機側の制御部9は、この送信要求を受信すると、携帯電話機側のメモリ7に記憶されている契約者情報を読み出し、これを各非接触IC部8、32を介してカーナビゲーション装置側の制御部28に送信する。カーナビゲーション装置側の制御部28は、この受信した契約者情報を、当該カーナビゲーション装置側のメモリ27に記憶制御する。これにより、携帯電話機側で保持されていた契約者情報が、カーナビゲーション装置側でコピーされたこととなる。
【0036】
次に、ステップS6では、カーナビゲーション装置側の制御部28が、各非接触IC部8、32を介して携帯電話機側の制御部9と通信を行うことで、該携帯電話機側の制御部9に対して通信遮断要求を行う。携帯電話機側の制御部9は、この通信遮断要求がなされると、図1に示すアンテナ1及び通信回路2を介して当該携帯電話機と通信事業者との間で行っている通信動作を停止制御する。これにより、携帯電話機及びカーナビゲーション装置で、同じ契約者情報を用いて同時に遠距離通信が行われる不都合を防止することができる。
【0037】
次に、カーナビゲーション装置側の制御部28は、この図3のフローチャートのステップS6に示す通信停止制御処理を終了すると、図4のフローチャートのステップS7へ処理を進める。
【0038】
このステップS7では、カーナビゲーション装置側の制御部28が、当該カーナビゲーション装置側の遠距離通信モジュール31を制御し、メモリ27にコピーした契約者情報を用い、当該契約者情報に対応する通信事業者が提供する無線通信網を介して遠距離無線通信を行う。
【0039】
なお、この遠距離無線通信により、例えばカーナビゲーション装置と所定のWebサイトが接続され、最新の地図情報や車の現在位置周辺の店舗情報等が、当該カーナビゲーション装置のHDD24にダウンロードされ、ユーザの利用に供されることとなる。
【0040】
このように、この実施の形態のカーナビゲーションシステムでは、携帯電話機側で保持している契約者情報を用いて、カーナビゲーション装置側で遠距離無線通信を行うことができる。このため、カーナビゲーション装置で無線通信を行う際に必要となる、通信事業者との間の新たな契約を不要とすることができる。
【0041】
次に、前述のようにカーナビゲーション装置の非接触IC部32は、上記携帯電話機を載置可能なホルダに設けられており、当該カーナビゲーション装置の非接触IC部32と携帯電話機の非接触IC部8とは、このホルダに携帯電話機が載置された状態で通信が可能となる。
【0042】
カーナビゲーション装置側の制御部28は、上記ホルダに携帯電話機が載置され、各非接触IC部8、32間で通信が開始されると、該非接触IC部8、32を介して携帯電話機側の制御部9に、連続的或いは所定時間置き等の断続的に通信確認信号を送信している。携帯電話機側の制御部9は、この通信確認信号を受信する毎に、この通信確認信号に対する返答となる返信信号をカーナビゲーション装置側の制御部28に送信する。このため、カーナビゲーション装置側の制御部28は、携帯電話機側の制御部9に上記通信確認信号を送信して、該携帯電話機側の制御部9から上記返信信号が返信されない場合には、当該カーナビゲーション装置と携帯電話機との間の通信が遮断されたことを示す。すなわち、各非接触IC部8、32間で通信を行うことができないくらい、カーナビゲーション装置から携帯電話機が離されたことを示す。これは、上記ホルダから携帯電話機が取り外されたことを意味している。
【0043】
カーナビゲーション装置側の制御部28は、ステップS8において、上記携帯電話機側の制御部9からの上記返信信号の有無を判別することで、上記ホルダから携帯電話機が取り外されたか否かを判別し、上記ホルダから携帯電話機が取り外されたと判別したタイミングで処理をステップS9に進める。
【0044】
ステップS9では、上記ホルダから携帯電話機が取り外されたため、カーナビゲーション装置側の制御部28が、当該カーナビゲーション装置側のメモリ27にコピーした契約者情報を消去する。
【0045】
これにより、当該カーナビゲーション装置から携帯電話機が取り外されたにもかかわらず、該カーナビゲーション装置側に契約者情報が記憶されたままとなり、この契約者情報が不正に使用される不都合を防止することができる。
【0046】
次に、カーナビゲーション装置側の制御部28は、ステップS10において、上記ホルダから携帯電話機が取り外されたにもかかわらず、遠距離通信モジュール31が通信中であるか否かを判別する。そして、遠距離通信モジュール31が通信中でない場合は、そのままこの図3及び図4のフローチャートに示す処理を終了し、遠距離通信モジュール31が通信中であった場合は、ステップS11において、この通信中となっている遠距離通信モジュール31の通信を停止制御して、この図3及び図4のフローチャートに示す処理を終了する。
【0047】
このように上記ホルダから携帯電話機が取り外された場合に、カーナビゲーション装置側の遠距離通信モジュール31の通信を停止制御することで、カーナビゲーション装置側における契約者情報を用いた通信は、携帯端末装置と当該カーナビゲーション装置が所定以下の距離内に位置している場合のみに限定することができ、携帯端末装置とは全く別にカーナビゲーション装置側で、該携帯端末装置の契約者情報を用いて通信が行われる不都合を防止することができる。
【0048】
[実施の形態の効果]
以上の説明から明らかなように、この実施の形態のカーナビゲーションシステムは、携帯電話機の契約者情報を、カーナビゲーション装置側で利用して遠距離無線通信を行うことができる。このため、カーナビゲーション装置で遠距離無線通信を行う際に必要となる、通信事業者との間の新たな契約を不要とすることができる。
【0049】
また、携帯電話機に記憶されている契約者情報を用いてカーナビゲーション装置側で通信を行っている際に、携帯電話機を通信不可の状態に制御する。これにより、同じ契約者情報を用いて、携帯電話機及びカーナビゲーション装置の両方で同時に通信が行われる不都合を防止することができる。
【0050】
また、携帯電話機と当該カーナビゲーション装置の各非接触IC部8、32が通信できない場合は、当該カーナビゲーション装置のホルダから携帯電話機が取り外されたものと判断して、カーナビゲーション装置側で記憶された契約者情報を消去する。これにより、カーナビゲーション装置側で通信が終了したにもかかわらず、該ナビゲーション装置側に契約者情報が記憶されたままとなり、この契約者情報が不正に使用されて遠距離無線通信が行われる不都合を防止することができる。
【0051】
また、携帯電話機とカーナビゲーション装置の各非接触IC部8、32が通信できない場合(=携帯電話機の制御部9から返信されるはずの上記返信信号を、カーナビゲーション装置側の制御部28が受信できない場合)は、当該カーナビゲーション装置の上記ホルダから携帯電話機が取り外されたものと判断して、カーナビゲーション装置側で行っている遠距離無線通信を切断する。これにより、カーナビゲーション装置側における契約者情報を用いた通信は、携帯電話機と当該カーナビゲーション装置が所定以下の距離内に位置している場合のみに限定することができ、携帯電話機とは全く別にカーナビゲーション装置側で、該携帯電話機の契約者情報を用いて通信が行われる不都合を防止することができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態の説明では、本発明をカーナビゲーションシステムに適用することとしたが、本発明は、この他、船舶の航海をナビゲーションする船舶ナビゲーションシステム等の他のナビゲーションシステムに適用可能である。
【0053】
また、携帯端末装置として携帯電話機を用いることとしたが、これは、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System),無線通信機能を有するPDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、無線通信カード、無線通信カードが接続されたノート型のパーソナルコンピュータ装置等の他の携帯端末装置を用いてもよい。
【0054】
最後に、上述の実施の形態は、あくまでも本発明の一例として開示したに過ぎない。このため、本発明は、上述の実施の形態に限定されることはなく、上述の実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明を適用した実施の形態のカーナビゲーションシステムで用いられる携帯電話機のブロック図である。
【図2】実施の形態のカーナビゲーションシステムで用いられるカーナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】実施の形態のコミュニケーションシステムの特徴的な前半部分の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施の形態のコミュニケーションシステムの特徴的な後半部分の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
1 携帯電話機のアンテナ、2 携帯電話機の通信回路、5 携帯電話機の操作部、6 携帯電話機の表示部、7 携帯電話機のメモリ、8 携帯電話機の非接触IC部、9 携帯電話機の制御部、27 カーナビゲーション装置のメモリ、28 カーナビゲーション装置の制御部、31 カーナビゲーション装置の遠距離通信モジュール、32 カーナビゲーション装置の非接触IC部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在位置検出手段により検出された現在位置周辺の地図情報或いは海図情報を表示手段に表示するナビゲーション装置であって、
契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段の他、近距離無線通信手段を有する携帯端末装置との間で近距離無線通信を行うことで、上記携帯端末装置に記憶されている契約者情報の取り込みを行うナビゲーション側近距離無線通信手段と、
上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記携帯端末装置から取り込まれた契約者情報を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶された上記契約者情報に基づいて、この契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段と
を有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置であって、
上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記記憶手段に上記契約者情報が取り込まれた際に、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、上記携帯端末装置を、上記契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して行う無線通信が不可となるように制御する制御手段を有すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置であって、
上記制御手段は、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、連続的或いは断続的に上記携帯端末装置と通信を行うことで、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段と上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段との間の距離が通信可能な距離であるか否かを判別し、上記各近距離無線通信手段間の距離が通信を行うことができない距離であると判別した場合に、上記記憶手段に記憶された上記契約者情報を消去すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置であって、
上記制御手段は、上記各近距離無線通信手段間で通信を行うことができない位置関係であると判別した場合に、上記無線通信手段が通信中であるか否かを検出し、上記無線通信手段が通信中である場合、上記無線通信手段を通信不可となるように制御すること
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段の他、近距離無線通信手段を備えた携帯端末装置と、
現在位置検出手段により検出された現在位置周辺の地図情報或いは海図情報を表示手段に表示するナビゲーション手段と、上記携帯端末装置との間で近距離無線通信を行うことで、上記携帯端末装置に記憶されている契約者情報の取り込みを行うナビゲーション側近距離無線通信手段と、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記携帯端末装置から取り込まれた契約者情報を記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された上記契約者情報に基づいて、この契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して無線通信を行う無線通信手段とを備えたナビゲーション装置と
を有するナビゲーションシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のナビゲーションシステムであって、
上記ナビゲーション装置は、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段により、上記記憶手段に上記契約者情報が取り込まれた際に、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、上記携帯端末装置を、上記契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して行う無線通信が不可となるように制御する制御手段を有すること
を特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のナビゲーションシステムであって、
上記ナビゲーション装置の上記制御手段は、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段及び上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段を介して、連続的或いは断続的に上記携帯端末装置と通信を行うことで、上記ナビゲーション側近距離無線通信手段と上記携帯端末装置に設けられた近距離無線通信手段との間の距離が通信可能な距離であるか否かを判別し、上記各近距離無線通信手段間の距離が通信を行うことができない距離であると判別した場合に、上記記憶手段に記憶された上記契約者情報を消去すること
を特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のナビゲーションシステムであって、
上記ナビゲーション装置の上記制御手段は、上記各近距離無線通信手段間の距離が通信を行うことができない距離であると判別した場合に、上記無線通信手段が通信中であるか否かを検出し、上記無線通信手段が通信中である場合、上記無線通信手段を通信不可となるように制御すること
を特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のナビゲーションシステムであって、
上記携帯端末装置は、上記連続的或いは断続的に行われる上記ナビゲーション装置との間の通信が切断されたことを検出した際に、上記契約者情報に対応する無線通信業者が提供する無線通信網を介して行う無線通信を、上記無線通信不可の状態から無線通信可能の状態に復帰させること
を特徴とするナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−64670(P2006−64670A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−250903(P2004−250903)
【出願日】平成16年8月30日(2004.8.30)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】