説明

ナビゲーション装置及びナビゲーション方法

【課題】 ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供する。
【解決手段】 自身の位置を示す位置情報を取得する位置取得手段101と、車両の目的地までの進路における走行領域を設定する走行領域設定手段102と、取得された位置情報と設定された走行領域とに基づいて、走行領域に対する車両の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段103と、算出された位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、位置ずれ量が所定の基準に合致しないと判断された場合に、車両が走行領域に対して左右のどちらにずれているかを判断する判断手段104と、判断手段によって判断された結果に基づき、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する警報出力手段105とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転するユーザに対してルート案内を行うナビゲーション装置及びナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載され、車両を運転するユーザの所望の行き先へ画面表示や音声などによって案内するナビゲーション装置が提供されている。さらに、画面表示や音声などによる案内だけでなく、ハンドルの左右に振動子が備えられており、右左折などの進路案内時に進行方向側の振動子を振動させる機能を有するナビゲーション装置が開示されている(特許文献1参照)。また、右左折などの際に曲がる角度に応じて振動子の振動状態を変化させる機能を有するナビゲーション装置も開示されている(特許文献2参照)。また、案内ポイントに近づくにつれて振動子の振動強度を上げる機能を有するナビゲーション装置も開示されている(特許文献3参照)。また、特許文献1〜3に開示されたナビゲーション装置のように、進行方向を案内するためにハンドルなどに取り付けた振動子を振動させて進路案内を行うナビゲーション装置以外にも、車両が予定された走行路から外れそうになるとハンドルに取り付けた振動子を振動させる機能を有するナビゲーション装置が開示されている(特許文献4及び5参照)。
【特許文献1】特開平3−112000号公報(要約)
【特許文献2】特開2000−155893号公報(段落0037、要約)
【特許文献3】特開2004−170359号公報(段落0005、要約)
【特許文献4】特開平10−167099号公報(段落0026、要約)
【特許文献5】特開2001−344687号公報(段落0006、0007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3に開示されたナビゲーション装置では、進路案内が表示されたナビゲーション装置の表示画面を頻繁に見なくてもユーザは進路方向を認識することが可能であるが、交差点などに進入する前に右左折などの方向を指示するだけであるため、複雑な構造の交差点や目印のないような広い敷地では進路案内が困難である。特許文献2に開示されたナビゲーション装置では、曲がる角度によって振動子の振動状態を変化させる機能があるが、振動子の振動状態(振動の強さ)をユーザが認識しなければならず、振動のみによって複雑な構造の交差点などにおける進路方向を認識することは困難である。また、特許文献4及び5に開示されたナビゲーション装置では、車両が予定された走行路に対して左右のどちらに外れているかに関係なく振動子を振動させるため、車両をどちらの方向へ誘導させればよいかわからず、予定している走行路を間違えたり障害物に衝突してしまうなどの問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためのものであり、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができるナビゲーション装置及びナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明によれば、自身の位置を示す位置情報を取得する位置取得手段と、車両の目的地までの進路における走行領域を設定する走行領域設定手段と、取得された前記位置情報と設定された前記走行領域とに基づいて、前記走行領域に対する前記車両の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、算出された前記位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、前記位置ずれ量が前記所定の基準に合致しないと判断された場合に、前記車両が前記走行領域に対して左右のどちらにずれているかを判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する警報出力手段とを備えるナビゲーション装置が提供される。この構成により、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができる。
【0006】
また、本発明において、前記走行領域に対する前記車両の前記位置ずれ量が前記走行領域の所定の基準点から前記車両の所定の基準点までの量であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、位置ずれ量を適切に算出することができる。
【0007】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有するハンドルであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、ユーザに振動によって警報を伝達することができる。
【0008】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、振動子をハンドル全体に配置させなくてもユーザに警報を伝達することができる。
【0009】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記ハンドルの舵角に応じて振動することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、交差点などで曲がっている際でも、ユーザに左右どちらに対する警報なのかを伝達することができる。
【0010】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有する前記車両の座席であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右どちらに対する警報なのかをユーザが体で認識することができる。
【0011】
また、本発明において、前記警報を発する手段が前記車両のスピーカであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、従来からあるスピーカ機能を用いて警報を伝達することができる。
【0012】
また、本発明によれば、自身を搭載する車両の前方に存在する他の物体の位置情報を検出する位置検出手段と、前記車両の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて、前記車両の予測進路を生成する予測進路生成手段と、検出された前記他の物体の位置情報と生成された前記予測進路とに基づいて、前記車両が前記他の物体に衝突するか否かを判断し、前記車両が前記他の物体に衝突すると判断された場合に、前記車両のどの部位が前記他の物体に衝突するかを判断する判断手段と、前記判断手段によって判断された結果に基づいて、どの部位が衝突するかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する警報出力手段とを備えるナビゲーション装置が提供される。この構成により、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができる。
【0013】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有するハンドルであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、ユーザに振動によって警報を伝達することができる。
【0014】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、振動子をハンドル全体に配置させなくてもユーザに警報を伝達することができる。
【0015】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記ハンドルの舵角に応じて振動することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、交差点などで曲がっている際でも、ユーザに左右どちらに対する警報なのかを伝達することができる。
【0016】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有する前記車両の座席であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右どちらに対する警報なのかをユーザが体で認識することができる。
【0017】
また、本発明において、前記警報を発する手段が前記車両のスピーカであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、従来からあるスピーカ機能を用いて警報を伝達することができる。
【0018】
また、本発明によれば、自身の位置を示す位置情報を取得するステップと、車両の目的地までの進路における走行領域を設定するステップと、取得された前記位置情報と設定された前記走行領域とに基づいて、前記走行領域に対する前記車両の位置ずれ量を算出するステップと、算出された前記位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、前記位置ずれ量が前記所定の基準に合致しないと判断された場合に、前記車両が前記走行領域に対して左右のどちらにずれているかを判断するステップと、判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力するステップとを有するナビゲーション方法が提供される。この構成により、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができる。
【0019】
また、本発明において、前記走行領域に対する前記車両の前記位置ずれ量が前記走行領域の所定の基準点から前記車両の所定の基準点までの量であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、位置ずれ量を適切に算出することができる。
【0020】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有するハンドルであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、ユーザに振動によって警報を伝達することができる。
【0021】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、振動子をハンドル全体に配置させなくてもユーザに警報を伝達することができる。
【0022】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記ハンドルの舵角に応じて振動することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、交差点などで曲がっている際でも、ユーザに左右どちらに対する警報なのかを伝達することができる。
【0023】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有する前記車両の座席であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右どちらに対する警報なのかをユーザが体で認識することができる。
【0024】
また、本発明において、前記警報を発する手段が前記車両のスピーカであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、従来からあるスピーカ機能を用いて警報を伝達することができる。
【0025】
また、本発明によれば、自身を搭載する車両の前方に存在する他の物体の位置情報を検出するステップと、前記車両の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて、前記車両の予測進路を生成するステップと、検出された前記他の物体の位置情報と生成された前記予測進路とに基づいて、前記車両が前記他の物体に衝突するか否かを判断し、前記車両が前記他の物体に衝突すると判断された場合に、前記車両のどの部位が前記他の物体に衝突するかを判断するステップと、判断された結果に基づいて、どの部位が衝突するかを示す警報を発する手段に警報情報を出力するステップとを有するナビゲーション方法が提供される。この構成により、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができる。
【0026】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有するハンドルであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、ユーザに振動によって警報を伝達することができる。
【0027】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されていることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、振動子をハンドル全体に配置させなくてもユーザに警報を伝達することができる。
【0028】
また、本発明において、前記ハンドルの前記振動子が前記ハンドルの舵角に応じて振動することは、本発明の好ましい態様である。この構成により、交差点などで曲がっている際でも、ユーザに左右どちらに対する警報なのかを伝達することができる。
【0029】
また、本発明において、前記警報を発する手段が振動子を有する前記車両の座席であることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、左右どちらに対する警報なのかをユーザが体で認識することができる。
【0030】
また、本発明において、前記警報を発する手段が前記車両のスピーカであることは、本発明の好ましい態様である。この構成により、従来からあるスピーカ機能を用いて警報を伝達することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のナビゲーション装置及びナビゲーション方法は、上記構成を有し、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態について図1から図6を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示す構成図である。図2は本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路ガイドについて説明するための図である。図3は本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路ガイドに対する車両の位置ずれ量の一例について説明するための図である。図4Aは本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置におけるハンドル部分のうちユーザが左右の手で握る領域に振動子L、Rが備わっているハンドルを示す図である。図4Bは本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置におけるユーザが握るハンドル全体の領域に振動子400が備わっているハンドルを示す図である。図5は本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における車両の座席の背もたれ部分に振動子L、Rが備わっている座席を示す図である。図6は本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路案内(注意喚起)の処理フローについて説明するためのフローチャートである。
【0033】
まず、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置100は、位置取得手段101、走行領域設定手段102、位置ずれ量算出手段103、判断手段104、警報出力手段105、情報格納手段106から構成されており、これらはバス107によってつながっている。情報格納手段106は、ナビゲーション装置100の動作を制御するための制御プログラムなどを格納しており、例えばHDDなどに相当する。
【0034】
位置取得手段101は、ナビゲーション装置100を搭載する車両の位置情報を取得する手段であり、例えばGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、緯度や経度などの位置の情報を算出するGPS信号受信機などである。なお、位置取得手段101は車両の位置情報を取得するとあるが、位置取得手段101自身の位置情報を取得するようにしてもよい。この場合、位置取得手段101自身の位置情報を車両の位置情報に変換する必要がある。また、位置取得手段101は、GPS衛星からの電波を受信し、その都度、緯度や経度などの位置の情報を算出するのではなく、一度GPS衛星から受信された電波により現在地の情報を算出したら、その後はジャイロセンサなどで車両の動きを調べて、現在地を追いかけていく自律航法を用いたものであってもよい。また、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100では、ナビゲーション装置100を搭載した車両の位置の情報を取得することができればよく、不図示の外部装置から車両の位置の情報を取得できれば位置取得手段101を備えなくてもよい。
【0035】
走行領域設定手段102は、車両の目的地までの進路における走行領域(以下、進路ガイドとも言う)を設定する手段である。目的地までの進路は、ユーザ(運転者など)によって入力されるなどして決定された目的地に基づいてナビゲーション装置100が設定した進路である。ここで、進路ガイドについて図2を用いて説明する。図2に示すように、進路ガイド201とは、自車両200が道路202上を目的地方向に向かって走行する際に自車両200が走行すべき範囲を示した仮想的な線(ライン)を言う。この進路ガイド201の横幅は、例えば自車両200の車幅の2倍など車幅に応じて設定してもよく、また走行する道路202の車線の幅に応じて設定してもよい。また、複雑な構造の交差点などでは、進路ガイド201の幅を広くしすぎると自車両200が間違った方向へ進んでしまうため、複雑な構造の交差点などにおける進路ガイド201の横幅は、直線道路における進路ガイド201の横幅よりも狭くするように設定してもよい。このように、進路ガイド201の横幅は、車両の幅や走行する道路の状況に応じて適宜設定するようにしてもよい。
【0036】
位置ずれ量算出手段103は、取得された車両の位置情報と設定された進路ガイドとに基づいて、進路ガイドに対する車両の位置ずれ量を算出する手段である。ここで、進路ガイドに対する車両の位置ずれ量の一例について図3を用いて説明する。図3に示すように、進路ガイド201に対する車両の位置ずれ量とは、例えば、自車両200の所定の基準点(例えば、自車両200の車幅の長さを二分する中心線300上であって自車両200の先端部分301)から進路ガイド201の所定の基準点(例えば、進路ガイド201の両端の線(ライン))までの距離DR及びDLを言う。ここでの自車両200の先端部分301の位置の情報は、取得された自車両200の位置の情報から算出される。なお、進路ガイド201に対する車両の位置ずれ量は、これに限られるものではなく、自車両200のずれを適切に取得できるものであればよい。
【0037】
判断手段104は、算出された車両の位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、位置ずれ量が所定の基準に合致しないと判断された場合に、車両が進路ガイドに対して左右のどちらにずれているかを判断する手段である。ここで、所定の基準とは、例えば上述したDR及びDLが車両の車幅の長さの半分より大きいか小さいかという基準などを言う。これにより、例えばDRが車両の車幅の長さの半分より小さい場合は、車両は進路ガイドの両端の線(ライン)のうち、進行方向に向かって右側の線(ライン)を越えてはみ出していることになる。一方、DLが車両の車幅の長さの半分より小さい場合は、車両は進路ガイドの両端の線(ライン)のうち、進行方向に向かって左側の線(ライン)を越えてはみ出していることになる。なお、この所定の基準はこれに限られるものではなく、車両がどちら側に外れているか適切に判断することができる基準であればよい。
【0038】
警報出力手段105は、判断手段104によって判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する手段である。ここで、警報情報とは、例えば判断手段104によって車両が進路ガイドに対して左側に外れていると判断された場合に、後述するハンドルや座席の左側に備えられた振動子を振動させるための信号や、後述する車両に備えられたスピーカを介して左側に外れている旨をユーザに伝達するための信号などを言う。これらの信号は、振動子を振動させる装置やスピーカを介して音声を出力する装置などへ入力される。
【0039】
また、警報を発する手段とは、例えば振動子が備わった車両運転用のハンドル(単にハンドルとも言う)、振動子が備わった車両の座席、車両に備わったスピーカなどを言う。振動子が備わったハンドル及び振動子が備わった車両の座席について図4A、図4B及び図5を用いてそれぞれ説明する。
【0040】
まず、図4A、図4Bを用いて振動子が備わったハンドルについて説明する。図4Aは、ハンドル部分のうちユーザが左右の手で握る領域にそれぞれ振動子L、Rが備わっているハンドルを示す図である。このようにハンドルが構成されると、例えば、車両が進路ガイド201に対して左側に外れている場合には、左手が握る領域の振動子Lのみを振動させることができる。また、車両が進路ガイド201に対して右側に外れている場合には、右手が握る領域の振動子Rのみを振動させることができる。図4Bは、ユーザが握るハンドル全体の領域に振動子400が備わっているハンドルを示す図である。このようにハンドルが構成されると、舵角を検知することでハンドルがいくら回転してもユーザから見て中心線401を境に左右別々に振動子400に振動を与えることができる。この場合に舵角を検知するのは不図示の舵角検知手段などであり、車両やハンドルなどに取り付けられている。
【0041】
次に、図5を用いて振動子が備わった車両の座席について説明する。図5は、車両の座席の背もたれ部分に振動子L、Rが備わっている座席を示す図である。このように座席が構成されると、例えば、車両が進路ガイドに対して左側に外れている場合には、左側の振動子Lのみを振動させることができる。また、車両が進路ガイドに対して右側に外れている場合には、右側の振動子Rのみを振動させることができる。なお、ここでは振動子を座席の背もたれに配置した構成について説明したが、これに限られるものではなく、背もたれに配置した振動子L、Rを座席の座面に配置しても同様の効果が得られる。
【0042】
次に、本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路案内(注意喚起)の処理フローについて図6を用いて説明する。まず、位置取得手段101は、ナビゲーション装置100を搭載する車両の位置情報を取得する(ステップS601)。次に、走行領域設定手段102は、車両の目的地までの進路における走行領域(進路ガイド)を設定する(ステップS602)。次に、位置ずれ量算出手段103は、取得された車両の位置情報と設定された走行領域(進路ガイド)とに基づいて、走行領域(進路ガイド)に対する車両の位置ずれ量を算出する(ステップS603)。
【0043】
次に、判断手段104は、算出された位置ずれ量が上述した所定の基準に合致するか否かを判断し、位置ずれ量が所定の基準に合致しないと判断された場合に、車両が走行領域(進路ガイド)に対して左右のどちらにずれているかを判断する(ステップS604)。次に、警報出力手段105は、判断手段104によって判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段(ハンドルなど)に警報情報を出力する(ステップS605)。
【0044】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態について図7を用いて説明する。図7は本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示す構成図である。図7に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置700は、位置検出手段701、予測進路生成手段702、判断手段703、警報出力手段704、情報格納手段705から構成されており、これらはバス706によってつながっている。情報格納手段705は、ナビゲーション装置700の動作を制御するための制御プログラムなどを格納しており、例えばHDDなどに相当する。
【0045】
位置検出手段701は、ナビゲーション装置700を搭載する車両の前方に存在する他の車両などの障害物の位置情報を検出する手段であり、例えば、ミリ波などのレーダによって他の車両などの障害物の位置情報を検出するものである。なお、第2の実施の形態では、前方に存在する障害物として車両を例にして説明するが車両に限られるものではない。また、第2の実施の形態では、位置検出手段701によって検出される他の車両の位置情報は前方の他の車両の後部の左右の端点の位置情報であるが、これに限られるものではない。予測進路生成手段702は、ナビゲーション装置700を搭載する車両の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて、ナビゲーション装置700を搭載する車両の予測進路を生成する手段である。ここで、ハンドルの舵角情報とは、例えば車両が直進する際のハンドルの状態を基準として、車両が曲がるときにその基準からどのくらいハンドルが回転されたかの情報(例えば、30度回転されたという情報)を言う。
【0046】
また、予測進路とは、車両の速度情報やハンドルの舵角情報によって、これから車両が進むであろう進路を言う。なお、予測進路は、車両の速度情報及びハンドルの舵角情報のみに基づいて生成されることに限られるものではなく、他の情報を含めて生成されるようにしてもよい。以下に予測進路について図8及び図9を用いて説明する。図8は、自車両200が車両(上述した他の車両に相当)800、801の後方を走行しており、道路202が前方でカーブしている状態を示している。図9は図8において、自車両200の位置検出手段701によって検出された前方に存在する車両800、801の位置と、自車両200の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて生成された自車両200の予測進路中心線901を有する予測進路900とを示している。なお、予測進路中心線901は予測進路900を二分する線である。
【0047】
図9に示すように、生成された予測進路900は前方の車両800の後部の右端点及び車両801の後部の左端点を含んでおり、現状のまま自車両200が走行した場合には車両800、801に衝突することになる。衝突するか否かを判断する手段が後述する判断手段703である。判断手段703は、検出された車両800、801の後部の左右の端点の位置情報と生成された予測進路900とに基づいて、自車両200が車両800、801に衝突するか否かを判断し、自車両200が車両800、801に衝突すると判断された場合に、自車両200の前方のどの部位が車両800に衝突するかを判断する手段である。
【0048】
ここで、車両800、801の後部の左右の端点と予測進路900との位置関係を図10に示す。なお、以下では車両800を例にとって説明するが車両801においても同様に考えられる。図10は縦方向の欄が車両800の後部の左端の位置、横方向の欄が車両800の後部の右端の位置を示している。さらに、縦軸は4つのカテゴリーに分けられている。その4つのカテゴリーは、車両800の後部の左端が予測進路900外であって予測進路900の左側に位置する「進路外左側」、車両800の後部の左端が予測進路900内であって予測進路中心線901より左側に位置する「進路内左側」、車両800の後部の左端が予測進路900内であって予測進路中心線901より右側に位置する「進路内右側」、車両800の後部の左端が予測進路900外であって予測進路900の右側に位置する「進路外右側」である。なお、横軸についても縦軸同様に4つのカテゴリーに分けられており、縦軸の4つのカテゴリーと同様に考えられるため説明は省略する。
【0049】
例えば、車両800の左端位置が「進路外左側」で車両800の右端位置が「進路外左側」の場合、車両800(後部の端点)は予測進路900に重なっていないため、自車両200は車両800に衝突することはない。また、車両800の左端位置が「進路外左側」で車両800の右端位置が「進路内左側」の場合、車両800の後部の右端点が予測進路900に重なっているため、自車両200の左側前方が車両800の後部の右側に衝突することになる。図10に示す破線で囲まれたエリア1000のケースの場合は、自車両200の少なくとも左側前方が車両800に衝突する場合であり、一点鎖線で囲まれたエリア1001のケースの場合は、自車両200の少なくとも右側前方が車両800に衝突する場合である。なお、エリア1000、1001が重なる部分は、自車両200の両側前方が車両800に衝突する場合を示すエリアである。
【0050】
警報出力手段704は、判断手段703によって判断された結果に基づいて、どの部位が衝突するかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する手段である。なお、警報を発する手段は、第1の実施の形態における警報を発する手段と同様であり、振動子が備わった車両運転用のハンドル(単にハンドルとも言う)、振動子が備わった車両の座席、車両に備わったスピーカなどである。ここで、例えば、上述した図10に基づいて、判断手段703によって自車両200の左側前方が前方の車両800の後部の右端に衝突すると判断された場合には、警報出力手段704は、例えばハンドルに備わった振動子のうちハンドルの左側の振動子のみを振動させるための信号を振動子の振動を制御する装置へ出力する。なお、振動子が備わった車両の座席、車両に備わったスピーカなどでも同様である。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置における判断手段の処理及びその後の警報までのフローについて図11を用いて説明する。まず、判断手段703は、位置検出手段701によって検出された車両が複数ある場合には、それぞれの車両の位置データを自車両から距離の近い順に並び替える(ステップS1101)。次に、判断手段703は、未チェックの車両の位置データがあるか否かを判断し(ステップS1102)、あると判断された場合には自車両に最も近い距離にある車両の位置データを取得する(ステップS1103)。次に、判断手段703は、位置データを取得した車両までの距離Liが所定の閾値より小さいか否かを判断する(ステップS1104)。ここで、所定の閾値とは、警報を出力する処理を行うべきかそうでないかを判断するための基準となる値を言う。
【0052】
判断手段703は、距離Liが所定の閾値より小さいと判断された場合には、図10に示すエリア1000のケースに該当するか否かを判断する(ステップS1105)。判断手段703によってエリア1000のケースに該当すると判断された場合には、警報出力手段704は、例えばハンドルに備わった左側の振動子を振動させるための信号を振動子の振動を制御する制御装置へ出力し、制御装置はハンドルの振動子Lを振動させる(ステップS1106)。また、判断手段703は、さらに図10に示すエリア1001のケースにも該当するか否かを判断する(ステップS1107)。判断手段703によってエリア1001のケースにも該当すると判断された場合には、警報出力手段704は、例えばハンドルに備わった右側の振動子を振動させるための信号を振動子の振動を制御する制御装置へ出力し、制御装置はハンドルの振動子Rを振動させる(ステップS1108)。なお、ステップS1107において、判断手段703によってエリア1001のケースには該当しないと判断された場合には振動子Rは振動させない。
【0053】
一方、ステップS1105において、判断手段703によってエリア1000のケースに該当しないと判断された場合には、図10に示すエリア1001のケースに該当するか否かを判断する(ステップS1109)。判断手段703によってエリア1001のケースに該当すると判断された場合には、警報出力手段704は、例えばハンドルに備わった右側の振動子を振動させるための信号を振動子の振動を制御する制御装置へ出力し、制御装置はハンドルの振動子Rを振動させる(ステップS1108)。なお、ステップS1109において、判断手段703によってエリア1001のケースに該当しないと判断された場合にはステップS1102へ戻る。また、ステップS1102において、未チェックの車両データがないと判断された場合には終了する。また、ステップS1104において、距離Liが所定の閾値より大きいと判断された場合には、ステップS1102へ戻る。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係るナビゲーション装置及びナビゲーション方法は、ユーザの視線を前方に集中させたまま、ユーザに車両の進むべき方向を的確に伝達することができるため、車両を運転するユーザに対してルート案内を行うナビゲーション装置及びナビゲーション方法などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路ガイドについて説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路ガイドに対する車両の位置ずれ量の一例について説明するための図である。
【図4A】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置におけるハンドル部分のうちユーザが左右の手で握る領域に振動子L、Rが備わっているハンドルを示す図である。
【図4B】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置におけるユーザが握るハンドル全体の領域に振動子が備わっているハンドルを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における車両の座席の背もたれ部分に振動子L、Rが備わっている座席を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るナビゲーション装置における進路案内(注意喚起)の処理フローについて説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置の構成を示す構成図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置における予測進路について説明するための図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置における予測進路について説明するための図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置における他の車両の後部の左右の端点と予測進路との位置関係を示す図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るナビゲーション装置における判断手段の処理及びその後の警報までのフローについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
100、700 ナビゲーション装置
101 位置取得手段
102 走行領域設定手段
103 位置ずれ量算出手段
104、703 判断手段
105、704 警報出力手段
106、705 情報格納手段
107、706 バス
200 自車両
201 進路ガイド(走行領域)
202 道路
300、401 中心線
301 自車両の先端部分
400、L、R 振動子
701 位置検出手段
702 予測進路生成手段
800、801 車両
900 予測進路
901 予測進路中心線
1000 破線で囲まれたエリア
1001 一点鎖線で囲まれたエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の位置を示す位置情報を取得する位置取得手段と、
車両の目的地までの進路における走行領域を設定する走行領域設定手段と、
取得された前記位置情報と設定された前記走行領域とに基づいて、前記走行領域に対する前記車両の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、
算出された前記位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、前記位置ずれ量が前記所定の基準に合致しないと判断された場合に、前記車両が前記走行領域に対して左右のどちらにずれているかを判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する警報出力手段とを、
備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記走行領域に対する前記車両の前記位置ずれ量は、前記走行領域の所定の基準点から前記車両の所定の基準点までの量である請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記警報を発する手段は、振動子を有するハンドルである請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ハンドルの前記振動子は、前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されている請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ハンドルの前記振動子は、前記ハンドルの舵角に応じて振動する請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記警報を発する手段は、振動子を有する前記車両の座席である請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記警報を発する手段は、前記車両のスピーカである請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
自身を搭載する車両の前方に存在する他の物体の位置情報を検出する位置検出手段と、
前記車両の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて、前記車両の予測進路を生成する予測進路生成手段と、
検出された前記他の物体の位置情報と生成された前記予測進路とに基づいて、前記車両が前記他の物体に衝突するか否かを判断し、前記車両が前記他の物体に衝突すると判断された場合に、前記車両のどの部位が前記他の物体に衝突するかを判断する判断手段と、
前記判断手段によって判断された結果に基づいて、どの部位が衝突するかを示す警報を発する手段に警報情報を出力する警報出力手段とを、
備えるナビゲーション装置。
【請求項9】
前記警報を発する手段は、振動子を有するハンドルである請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項10】
前記ハンドルの前記振動子は、前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されている請求項9に記載のナビゲーション装置。
【請求項11】
前記ハンドルの前記振動子は、前記ハンドルの舵角に応じて振動する請求項9に記載のナビゲーション装置。
【請求項12】
前記警報を発する手段は、振動子を有する前記車両の座席である請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項13】
前記警報を発する手段は、前記車両のスピーカである請求項8に記載のナビゲーション装置。
【請求項14】
自身の位置を示す位置情報を取得するステップと、
車両の目的地までの進路における走行領域を設定するステップと、
取得された前記位置情報と設定された前記走行領域とに基づいて、前記走行領域に対する前記車両の位置ずれ量を算出するステップと、
算出された前記位置ずれ量が所定の基準に合致するか否かを判断し、前記位置ずれ量が前記所定の基準に合致しないと判断された場合に、前記車両が前記走行領域に対して左右のどちらにずれているかを判断するステップと、
判断された結果に基づいて、左右のどちらにずれているかを示す警報を発する手段に警報情報を出力するステップとを、
有するナビゲーション方法。
【請求項15】
前記走行領域に対する前記車両の前記位置ずれ量は、前記走行領域の所定の基準点から前記車両の所定の基準点までの量である請求項14に記載のナビゲーション方法。
【請求項16】
前記警報を発する手段は、振動子を有するハンドルである請求項14又は15に記載のナビゲーション方法。
【請求項17】
前記ハンドルの前記振動子は、前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されている請求項16に記載のナビゲーション方法。
【請求項18】
前記ハンドルの前記振動子は、前記ハンドルの舵角に応じて振動する請求項16に記載のナビゲーション方法。
【請求項19】
前記警報を発する手段は、振動子を有する前記車両の座席である請求項14又は15に記載のナビゲーション方法。
【請求項20】
前記警報を発する手段は、前記車両のスピーカである請求項14又は15に記載のナビゲーション方法。
【請求項21】
自身を搭載する車両の前方に存在する他の物体の位置情報を検出するステップと、
前記車両の速度情報及びハンドルの舵角情報に基づいて、前記車両の予測進路を生成するステップと、
検出された前記他の物体の位置情報と生成された前記予測進路とに基づいて、前記車両が前記他の物体に衝突するか否かを判断し、前記車両が前記他の物体に衝突すると判断された場合に、前記車両のどの部位が前記他の物体に衝突するかを判断するステップと、
判断された結果に基づいて、どの部位が衝突するかを示す警報を発する手段に警報情報を出力するステップとを、
有するナビゲーション方法。
【請求項22】
前記警報を発する手段は、振動子を有するハンドルである請求項21に記載のナビゲーション方法。
【請求項23】
前記ハンドルの前記振動子は、前記車両を運転するユーザが握る領域に配置されている請求項22に記載のナビゲーション方法。
【請求項24】
前記ハンドルの前記振動子は、前記ハンドルの舵角に応じて振動する請求項22に記載のナビゲーション方法。
【請求項25】
前記警報を発する手段は、振動子を有する前記車両の座席である請求項21に記載のナビゲーション方法。
【請求項26】
前記警報を発する手段は、前記車両のスピーカである請求項21に記載のナビゲーション方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−226840(P2006−226840A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−41220(P2005−41220)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】