説明

ナビゲーション装置

【課題】ルート特徴量の比較を行う機会を増やすとともに、ユーザの嗜好性を誤って推定することを防ぐことによって、ユーザの嗜好性に合致する経路探索を早期に実現することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】探索経路と実際の走行経路とが異なる場合に、ユーザに対し、探索経路から実際の走行経路への経路変更が意図的なものであるのか否かを確認する。そして、ユーザから意図的な経路変更である旨の応答が得られた場合には、特徴量比較手段の比較した結果から走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が実際に走行した記録を元に、ユーザの嗜好を推測して経路探索を行う走行経路探索方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の走行経路探索方法によれば、実際に走行した経路が探索経路から外れている場合に、探索経路から外れて走行した理由がユーザの嗜好によるものではないと推定できる場合に、探索経路のルート特徴量と実際に走行した経路のルート特徴量との比較を行わず、走行した経路に関するユーザの嗜好性の推定をしないようにする。
【0003】
例えば、交通規制や渋滞の発生など運転者の嗜好に拘わらずルート変更する場合や、道を間違って意図せずに探索経路を外れてしまったような場合には、探索経路のルート特徴量と実際に走行した経路のルート特徴量との比較を行わないようにする。
【0004】
具体的には、探索経路・走行履歴比較部16では、探索経路・走行履歴一時記憶部14に記憶されている走行履歴情報を参照して、VICS等から渋滞等の交通情報が発せられた探索経路上を走行していたことが推定できる場合には、探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量との比較を行わないようにする。また、探索経路・走行履歴比較部16では、一時的に探索経路から外れて、ルート特徴量に影響しないような道路を走行した後に再度探索経路上を走行した場合には、当該探索経路から外れて走行したことが実際の走行経路から推定できる場合には、探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量との比較を行わないようにする。
【0005】
また、この走行経路探索方法では、自車両の車速が0である状態が所定時間継続した場合にも、探索経路のルート特徴量と実際に走行した経路のルート特徴量との比較を行って、走行した経路に関するユーザの嗜好性を推定する。
【特許文献1】特開2006−177804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ユーザは道を間違えて探索経路を外れたとき多くの場合は探索経路上に復帰しようとするが、このような場合、上記従来技術では探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量との比較を行わないようにする。従って、探索経路を外れて走行した実際の走行経路がユーザの嗜好と合致していたとしても、その実際の走行経路からユーザの嗜好性を推定することができず、ルート特徴量の比較を行う機会が少なくなる。その結果、ユーザの嗜好性が理解できるようになるまでに多くの時間が必要となる問題があった。
【0007】
また、上記従来技術は、車速が0である状態が所定時間継続した場合、自動的に探索経路のルート特徴量と実際に走行した経路のルート特徴量との比較を行うため、自ら選んで走行した経路を実際に走行した結果、嗜好に合わなかったとしても、探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量との比較を行う。その結果、ユーザの嗜好性を誤って推定してしまう問題があった。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、ルート特徴量の比較を行う機会を増やすとともに、ユーザの嗜好性を誤って推定することを防ぐことによって、ユーザの嗜好性に合致する経路探索を早期に実現することができるナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載のナビゲーション装置は、自車両の出発地から目的地までの探索経路と、探索経路の案内を開始した後に自車両が目的地に向けて走行した実際の走行経路と、が異なる場合、ユーザの嗜好性によって優先され得る走行経路に関するパラメータであるルート特徴量を探索経路と実際の走行経路とで各々求め、その求めた探索経路のルート特徴量と、実際の走行経路のルート特徴量と、を比較する特徴量比較手段と、特徴量比較手段の比較した結果から、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定するユーザ嗜好性推定手段と、ユーザ嗜好性推定手段の推定したユーザの嗜好性に合う探索経路を探索する経路探索手段と、を備えるものであって、探索経路と実際の走行経路とが異なる場合、ユーザに対して、探索経路から実際の走行経路への経路変更は意図的なものであるか否かを確認するための確認情報を報知するユーザ報知手段と、ユーザ報知手段が報知した確認情報に対する、ユーザの応答を示す応答情報を入力する応答情報入力手段と、を備え、ユーザ嗜好性推定手段は、応答情報入力手段から意図的な経路変更である旨の応答情報が入力された場合に、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定することを特徴とする。
【0010】
このように、本発明は、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する際、ユーザとインタラクティブに決定する。すなわち、上述したように、探索経路と実際の走行経路とが異なる場合に、ユーザに対し、探索経路から実際の走行経路への経路変更が意図的なものであるのか否かを確認する。そして、ユーザから意図的な経路変更である旨の応答が得られた場合には、特徴量比較手段の比較した結果から走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する。これにより、ルート特徴量の比較を行う機会を増やすことができるとともに、ユーザの嗜好性を誤って推定することを防ぐことができるようになるため、ユーザの嗜好性に合致する経路探索を早期に実現することができる。
【0011】
請求項2に記載のナビゲーション装置によれば、特徴量比較手段は、複数の異なるルート特徴量について比較するものであり、ユーザ報知手段は、特徴量比較手段の比較した複数の異なるルート特徴量のうち、少なくとも1つ以上の実際の走行経路のルート特徴量が探索経路のルート特徴量に比べて良好である場合に確認情報を報知し、特徴量比較手段の比較した複数の異なるルート特徴量のうち、実際の走行経路のルート特徴量の全てが探索経路のルート特徴量に比べて悪化する場合には確認情報の報知を見送ることを特徴とする。
【0012】
このように、請求項2に記載の発明では、ユーザに対して確認情報を報知する前にルート特徴量を比較するため、実際の走行経路のルート特徴量の全てが探索経路のルート特徴量に比べて悪化している(言いかえれば、抜け道を走行したのではなく道を誤って走行した)場合には、ユーザに対して確認情報を報知することも、ユーザから応答情報を入力することもしないようにすることができる。
【0013】
一方、少なくとも1つ以上の実際の走行経路のルート特徴量が探索経路のルート特徴量に比べて良好である(言いかえれば、道を誤って走行したのではなく抜け道を走行した)場合にはユーザに対して確認情報を報知することになるため、ユーザから意図的な経路変更である旨の応答情報が入力された場合には、探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量とを比較した結果から、走行経路に関するユーザの嗜好性の推定を行うことができる。
【0014】
請求項3に記載のナビゲーション装置によれば、特徴量比較手段は、自車両が探索経路から外れて走行し、その後に探索経路上に復帰した場合、及び自車両が探索経路から外れて走行し、その後に探索経路の目的地又はその目的地の付近に到達した場合の少なくとも一方の場合に、探索経路と実際の走行経路とが異なるとして、探索経路のルート特徴量と探索経路から外れた後の実際の走行経路のルート特徴量とを各々求めることを特徴とする。
【0015】
これにより、探索経路から外れて走行し、その後に探索経路上に復帰した場合や、探索経路から外れて走行し、その後に探索経路の目的地又はその目的地の付近に到達した場合に、探索経路のルート特徴量と探索経路から外れた後の実際の走行経路のルート特徴量とを各々求めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明は、自車両に搭載され、自車両の現在地から目的地までの探索経路を表示して、経路案内を行うナビゲーション装置に適用される。図1に示すように、ナビゲーション装置は、ナビ制御装置1に、GPS端末等から構成される位置観測装置2、地図データベース(以下、地図DB)3、ユーザインターフェースである入力操作装置4、目的地に向けて自車両が走行した実際の走行経路や探索経路を記憶する記憶装置5、音声入出力装置6、及び液晶ディスプレイ等からなる表示装置7が接続されて構成されている。
【0017】
位置観測装置2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機等からなり、GPS衛星から送られる情報に基づいて、自車両の現在位置(現在地情報)を算出する。地図DB3は、地図データを記憶するデータベースである。音声入出力装置6は、ユーザの発した音声を入力するマイク(図示せず)から入力した音声を認識するために用いられるほか、図示しないスピーカから経路案内の音声を出力する。
【0018】
入力操作装置4は、例えば、表示装置7の表示画面に重ねて設置され、ユーザの指の触圧位置を検出して操作入力信号を生成するタッチパネルで構成される。この入力操作装置4は、住所や電話番号等の操作入力信号に従って探索経路の目的地を入力する際の目的地情報の入力や、後述する確認情報に対する応答情報の入力等を行うために用いられる。
【0019】
このナビゲーション装置は、自車両にユーザが乗車して、推奨される経路を探索して探索経路を演算する際して、ユーザによって入力装置装置2が操作されることによって目的地情報が入力される。そして、ナビゲーション装置は、入力された目的地情報及び位置観測装置2で検出している現在地情報からナビ制御装置1によって探索経路を演算し、表示装置7に探索経路等を表示させて、経路案内を行う(経路案内処理)。
【0020】
ナビ制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、それらを接続するバス等から構成され、予めROMに記憶しておいたプログラムに従ってCPUが処理を実行することで、経路探索処理、経路案内処理、走行履歴記録処理、特徴量演算処理及び特徴量比較処理などを実行するユーザ嗜好性推定処理を実行する。
【0021】
経路探索処理では、例えばダイクストラ法を用いて最小コスト経路を探索する処理を行う。経路探索処理では、地図DB3から地図データを読み出して、予め設定された走行距離や走行時間等の後述のルート特徴量のうち優先する条件である探索条件、位置観測装置2からの現在地情報と入力操作装置4からの目的地情報とから、現在地から目的地までの探索経路を演算する。この探索経路は、例えば表示装置7に表示されることによってユーザから視認され、自車両が走行して右左折点等で音声案内を行うに際して使用される。また、経路探索処理では、演算して求めた探索経路のルート特徴量を算出する。この算出した探索経路のルート特徴量は、記憶装置5に記憶される。
【0022】
走行履歴記録処理では、自車両が走行している時に、位置観測装置2で検出した自車両の現在地情報を蓄積することによって走行履歴を作成し、当該走行履歴を記憶装置5に記憶する。特徴量演算処理では、記憶装置5から探索経路と走行履歴である実際の走行経路とを読出し、それぞれのルート特徴量を演算する。このルート特徴量は、例えば探索経路又は実際の走行経路の右折回数、左折回数、交差点の数、道路幅、探索経路又は実際の走行経路を走行する際に必要とされるハンドル操作量、探索経路又は実際の走行経路を走行する際に必要とされる速度調整量、走行距離、経過時間、総コスト等の複数の異なるパラメータからなる。
【0023】
特徴量比較処理は、自車両が探索経路から外れて走行し、その後に探索経路上に復帰した場合や、自車両が探索経路から外れて走行し、その後に探索経路の目的地またはその目的地の付近に到達した場合に行う。これにより、探索経路のルート特徴量と探索経路から外れた後の実際の走行経路のルート特徴量とを各々求めることが可能となる。
【0024】
この特徴量比較処理では、特徴量演算処理で演算された探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量とを比較して、少なくとも1つ以上の実際の走行経路のルート特徴量が探索経路のルート特徴量に比べて良好(パラメータ悪化:no)であるのか、及び、実際の走行経路のルート特徴量の全てが探索経路のルート特徴量に比べて悪化(パラメータ悪化:yes)するかを特定する。
【0025】
ナビゲーション装置では、特徴量比較処理によって特定されたパラメータ悪化が”no”の場合には、ユーザに対して、探索経路から実際の走行経路への経路変更は意図的なものであるか否かを確認するための確認情報を表示装置7の画面に表示したり、音声入出力装置6から出力したりすることで報知する。一方、パラメータ悪化が”yes”の場合には、ユーザに対する確認情報の報知を見送る。
【0026】
このように、特徴量比較処理は、ユーザに対して確認情報を報知する前にルート特徴量を比較するため、実際の走行経路のルート特徴量の全てが探索経路のルート特徴量に比べて悪化している(言いかえれば、抜け道を走行したのではなく道を誤って走行した)場合には、ユーザに対して確認情報を報知することも、ユーザから応答情報を入力することもしないようにすることができる。
【0027】
一方、少なくとも1つ以上の実際の走行経路のルート特徴量が探索経路のルート特徴量に比べて良好である(言いかえれば、道を誤って走行したのではなく抜け道を走行した)場合にはユーザに対して確認情報を報知することになるため、ユーザから意図的な経路変更である旨の応答情報が入力された場合には、探索経路のルート特徴量と実際の走行経路のルート特徴量とを比較した結果から、走行経路に関するユーザの嗜好性の推定を行うことができる。
【0028】
ナビゲーション装置は、確認情報を報知した後、この確認情報に対するユーザの応答を示す応答情報として、意図的な経路変更である旨の応答情報が入力操作装置4や音声入出力装置6から入力された場合には、特徴量比較処理による比較結果から走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する。また、既にユーザの嗜好性の推定が行われている場合には、その推定結果をユーザの嗜好性に反映させる。なお、ユーザの嗜好性推定の具体的な処理については、特開2006−177804号公報に詳細に説明されているので、その説明を省略する。
【0029】
次に、ナビゲーション装置の動作について、図2乃至図7を参照しながら説明する。先ず、ナビゲーション装置に電源が投入されると、図2のステップS1では、所定の初期設定を実行する。ステップS2では、ユーザによる探索経路の目的地の入力がなされる。目的地が入力されると、ナビゲーション装置は現在地を出発地(又は任意に地点を出発地)とする経路を探索し、その経路が探索されると、ステップS3では、探索経路を表示装置7に表示する。ステップS4では、ユーザは、探索経路の表示を適宜参照しながら目的地への走行を開始する。
【0030】
ステップS5では、位置観測装置2の検出する現在地が探索経路の目的地(又はその付近)に到達したかどうかを判定する。このステップS5にて肯定判断した場合にはステップS15へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS6へ処理を進める。ステップS6では現在地が探索経路上であるか否かを判断する。このステップS6にて肯定判断した場合にはステップS5へ処理を戻し、ステップS6にて否定判断した場合にはステップS7へ処理を進める。
【0031】
ステップS7では探索経路を記憶し、ステップS8では現在地が探索経路上に復帰したかどうかを判断する。このステップS7にて肯定判断した場合(言い換えれば、探索経路から一旦外れて再び探索経路上に復帰した場合)にはステップS9へ処理を進め、ステップS7にて否定判断した場合にはステップS5へ処理を移行する。
【0032】
図3のステップS9では、探索経路及び走行履歴である走行記録を記憶装置5から呼び出し、ステップS10では、図5に示す特徴量比較処理を実行する。なお、ステップS9の処理に続いて図5の特徴量比較処理を実行する場合には、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から探索経路上に復帰した地点までの探索経路(の区間)のルート特徴量と、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から探索経路上に復帰した地点までの実際の走行経路のルート特徴量とを比較する。
【0033】
一方、後述するステップS16の処理に続いて図5の特徴量比較処理を実行する場合には、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から目的地(又はその付近)までの探索経路(の区間)のルート特徴量と、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から探索経路の目的地(又はその付近)までの実際の走行経路のルート特徴量とを比較する。
【0034】
図5のステップ31では、探索経路の走行距離に比べて実際の走行経路の走行距離が増加したかどうかを判断する。このステップS31にて肯定判断した場合にはステップS32へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。ステップS32では、探索経路の走行経過時間に比べて実際の走行経路の走行経過時間が増加したかどうかを判断する。このステップS32にて肯定判断した場合にはステップS33へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。
【0035】
ステップ33では、探索経路のコストに比べて実際の走行経路のコストが増加したかどうかを判断する。このステップS33にて肯定判断した場合にはステップS34へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。ステップS34では、探索経路の道幅に比べて実際の走行経路の道幅が減少したかどうかを判断する。このステップS34にて肯定判断した場合にはステップS35へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。
【0036】
ステップ35では、探索経路の右左折回数に比べて実際の走行経路の右左折回数が増加したかどうかを判断する。このステップS35にて肯定判断した場合にはステップS36へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。ステップS36では、探索経路のハンドル操作量に比べて実際の走行経路のハンドル操作量が増加したかどうかを判断する。このステップS36にて肯定判断した場合にはステップS37へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。
【0037】
ステップ37では、探索経路の速度調整量に比べて実際の走行経路の速度調整量が増加したかどうかを判断する。このステップS37にて肯定判断した場合にはステップS38へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。ステップS38では、探索経路の交差点数に比べて実際の走行経路の交差点数が増加したかどうかを判断する。このステップS38にて肯定判断した場合にはステップS39へ処理を進め、否定判断した場合にはステップS40へ処理を移行する。
【0038】
ステップS39では、実際の走行経路のルート特徴量の全てが探索経路のルート特徴量に比べて悪化しているので、パラメータ悪化”yes”と特定する。ステップS40では、少なくとも1つ以上の実際の走行経路のルート特徴量が探索経路のルート特徴量に比べて良好であるので、パラメータ悪化”no”と特定する。
【0039】
図6は、点線で示す実際の走行経路のルート特徴量の全てが二点鎖線で示す探索経路のルート特徴量に比べて悪化している場合を示している。このような場合には、ユーザは誤って経路を外れたと判断しルート特徴量への反映をしないようにする。
【0040】
図7は、点線で示す実際の走行経路のルート特徴量のうち、走行距離、経過時間、速度調整量及び交差点数が二点鎖線で示す探索経路のルート特徴量に比べて良好である場合を示している。このような場合には、ユーザが意図的に探索経路と異なる経路を走行したか否かを確認するための入力ダイアログ(確認情報)を出す。
【0041】
図3のステップS11では、ステップS10の特徴量比較処理にて特定されたパラメータが悪化”yes”であるかどうかを判定する。このステップS11にて肯定判断した場合には、ステップS5へ処理を移行して、上述した処理を繰り返す。一方、ステップS11にて否定判断した場合には、ステップS12にて、上述した確認情報を報知する。
【0042】
ステップS13では、ユーザから経路変更が意図的である旨の入力がなされたかどうかを判断する。このステップS13にて肯定判断した場合、ステップS14では、特徴量比較処理の比較結果を嗜好性に反映させる。一方、ステップS13にて否定判断した場合には、ステップS5へ処理を移行する。
【0043】
図2のステップS5にて肯定判断した場合には、図4のステップS15以降の処理を実行する。ステップS15では、目的地(又はその付近)に到着するまでに探索経路からの経路変更(すなわち、探索経路から外れての走行)が有ったかどうかを走行履歴を参照して判断する。このステップS15にて肯定判断した場合にはステップS16へ処理を進め、否定判断した場合には本処理を終了する。
【0044】
ステップS16では、探索経路及び走行履歴である走行記録を記憶装置5から呼び出し、ステップS17では、既に説明した図5の特徴量比較処理を実行する。この特徴量比較処理では、上述したように、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から目的地(又はその付近)までの探索経路(の区間)のルート特徴量と、探索経路から一旦外れた探索経路上の地点から探索経路の目的地(又はその付近)までの実際の走行経路のルート特徴量とを比較する。
【0045】
ステップS18では、ステップS17の特徴量比較処理にて特定されたパラメータが悪化”yes”であるかどうかを判定する。このステップS18にて肯定判断した場合には本処理を終了する。一方、ステップS18にて否定判断した場合には、ステップS19にて、上述した確認情報を報知する。
【0046】
ステップS20では、ユーザから経路変更が意図的である旨の入力がなされたかどうかを判断する。このステップS20にて肯定判断した場合、ステップS21では、特徴量比較処理の比較結果を嗜好性に反映させる。一方、ステップS20にて否定判断した場合には本処理を終了する。
【0047】
このように、本実施形態のナビゲーション装置は、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する際、ユーザとインタラクティブに決定する。すなわち、上述したように、探索経路と実際の走行経路とが異なる場合に、ユーザに対し、探索経路から実際の走行経路への経路変更が意図的なものであるのか否かを確認する。そして、ユーザから意図的な経路変更である旨の応答が得られた場合には、特徴量比較手段の比較した結果から走行経路に関するユーザの嗜好性を推定する。これにより、ルート特徴量の比較を行う機会を増やすことができるとともに、ユーザの嗜好性を誤って推定することを防ぐことができるようになるため、ユーザの嗜好性に合致する経路探索を早期に実現することができる。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】ナビゲーションシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】探索経路から外れたのち探索経路に復帰してからのナビゲーションシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】探索経路の目的地に到達してからのナビゲーションシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】特徴量比較処理のフローチャートである。
【図6】誤って経路を外れたと判断しルート特徴量への反映をしない場合を説明するための図である。
【図7】意図的に探索経路と異なるルートを走行したか否かの入力ダイアログを出す場合を説明するための図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ナビ制御装置
2 位置観測装置
3 地図データベース(DB)
4 入力操作装置
5 記憶装置
6 音声入出力装置
7 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の出発地から目的地までの探索経路と、前記探索経路の案内を開始した後に前記自車両が前記目的地に向けて走行した実際の走行経路と、が異なる場合、ユーザの嗜好性によって優先され得る走行経路に関するパラメータであるルート特徴量を前記探索経路と前記実際の走行経路とで各々求め、その求めた前記探索経路のルート特徴量と、前記実際の走行経路のルート特徴量と、を比較する特徴量比較手段と、
前記特徴量比較手段の比較した結果から、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定するユーザ嗜好性推定手段と、
前記ユーザ嗜好性推定手段の推定したユーザの嗜好性に合う探索経路を探索する経路探索手段と、を備えるナビゲーション装置であって、
前記探索経路と前記実際の走行経路とが異なる場合、前記ユーザに対して、前記探索経路から前記実際の走行経路への経路変更は意図的なものであるか否かを確認するための確認情報を報知するユーザ報知手段と、
前記ユーザ報知手段が報知した確認情報に対する、前記ユーザの応答を示す応答情報を入力する応答情報入力手段と、を備え、
前記ユーザ嗜好性推定手段は、前記応答情報入力手段から意図的な経路変更である旨の応答情報が入力された場合に、走行経路に関するユーザの嗜好性を推定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記特徴量比較手段は、複数の異なるルート特徴量について比較するものであり、
前記ユーザ報知手段は、
前記特徴量比較手段の比較した複数の異なるルート特徴量のうち、少なくとも1つ以上の前記実際の走行経路のルート特徴量が前記探索経路のルート特徴量に比べて良好である場合に前記確認情報を報知し、
前記特徴量比較手段の比較した複数の異なるルート特徴量のうち、前記実際の走行経路のルート特徴量の全てが前記探索経路のルート特徴量に比べて悪化する場合には前記確認情報の報知を見送ることを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特徴量比較手段は、
前記自車両が前記探索経路から外れて走行し、その後に前記探索経路上に復帰した場合、及び前記自車両が前記探索経路から外れて走行し、その後に前記探索経路の目的地又はその目的地の付近に到達した場合の少なくとも一方の場合に、前記探索経路と前記実際の走行経路とが異なるとして、前記探索経路のルート特徴量と前記探索経路から外れた後の前記実際の走行経路のルート特徴量とを各々求めることを特徴とする請求項1又は2記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42002(P2009−42002A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205871(P2007−205871)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】