ナビゲーション装置
【課題】広域地図において、所定範囲内に一定数以上の同種別施設アイコンが存在する場合には、該範囲内にそれらの存在を示す代表アイコンを表示し、現在位置がそれら施設に接近した場合には、代表アイコンで代表される各施設アイコンが表示される縮尺まで地図を縮小する。
【解決手段】代表アイコンを表示すべき位置データを予め格納した代表アイコン位置データDB(23)を設け、広域地図表示中には代表アイコン表示制御手段(18)により詳細地図上では個々に表示される同種別施設アイコン群の存在を代表アイコンで包括的に表示し、縮尺変更手段(19)を通じて代表アイコンで示される地点に現在位置が接近したことが検出されたときには、広域地図から詳細地図に切り替えて、施設アイコン表示制御手段(17)により当該代表アイコンで代表された複数の通常の施設アイコンを表示するように構成する。
【解決手段】代表アイコンを表示すべき位置データを予め格納した代表アイコン位置データDB(23)を設け、広域地図表示中には代表アイコン表示制御手段(18)により詳細地図上では個々に表示される同種別施設アイコン群の存在を代表アイコンで包括的に表示し、縮尺変更手段(19)を通じて代表アイコンで示される地点に現在位置が接近したことが検出されたときには、広域地図から詳細地図に切り替えて、施設アイコン表示制御手段(17)により当該代表アイコンで代表された複数の通常の施設アイコンを表示するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像とともに当該地図画像上に各種施設アイコンを表示して施設に関する情報を提供するナビゲーション装置に関するものであり、特に、複数の同種施設の存在を示す代表アイコンを採用して適宜表示することにより、本来的には施設アイコンが表示されない広域地図表示中でも所望種別の施設の存在確認を可能としたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して、地図データDBから車両周辺位置の地図を呼び出し、地図、走行経路及び現在位置を表示画面上に表示する。そして、車両の移動により現在位置が変化するのに伴い、地図画像上における現在位置マークを移動させたり、あるいは車両の現在位置を表示画面上の定点に固定して地図画像の方をスクロールさせたりして、常に地図上における車両の現在位置を判別できるようにして経路案内が行われるように構成されている。
【0003】
更に、これらナビゲーション装置にあっては、地図画像上にコンビニエンスストア、ファーストフード店、レストランなどの施設(POI:Point of Interest)を示すアイコン画像を該当施設の所在位置に表示すると共に、それら施設に関する個別詳細情報(電話番号、営業時間等々)を表示することが行われている。
【0004】
アイコン画像の表示に関しては、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1(特開2002―340588)に示されるナビゲーション装置にあっては、地図画像上でPOIアイコンが重なる場合、或いは地図上の所定範囲内に設定数以上のPOIアイコンが存在する場合にはそれらPOIアイコンを一つの代表アイコンで表示する技術が開示されている。これにより、POIが狭小領域(例えばワンブロック)に多数存在する場合に生じる不具合(アイコン同士の重なり合いや、周辺道路が当該施設のアイコン群によって隠されてしまう等)の解消が図られている。
【特許文献1】特開2002−340588号公報(段落[0014])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーション装置においては、比較的縮尺が小さい広域地図を表示する場合には施設アイコンは表示されない。これは、縮尺が小さくなり広域な地図が表示されれば、都市部等に限らずその分多数の施設が地図表示領域に存在することとなるため全アイコンの表示に限界が生じるためである。加えて、一般に、広域地図表示中にあってはおおまかな現在位置を確認できればよく、そのような施設アイコンの表示は、詳細地図表示に委ねれば足りるとされてきたためと思われる。
【0006】
このため、広域地図表示中に、案内経路周辺に利用したい施設があるか否かを確認したい場合には、ナビゲーション装置を適宜操作して詳細地図に切り替えて施設アイコンを表示させる必要があった。
【0007】
また、詳細地図表示中であっても、現在地の周辺に利用したい施設アイコンが無い場合には、所望の施設アイコンが表示されるまで、ときに長時間に渡り詳細地図のスクロール操作を行う必要が生じる。このため、スクロール操作を短時間で行うためにかかる操作を広域地図表示に切り替えて行って表示エリアを一端移動した後、改めて詳細地図に切り替えることにより周辺の施設アイコンを表示させて所望アイコンの存在有無を確認する、といった面倒な作業が繰り返し行われているという実状がある。
【0008】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、(1)広域地図表示中には、詳細地図上では個々に表示される同種別施設アイコン群の存在を代表アイコンで包括的に表示し、(2)代表アイコンで示されている地点に現在位置が接近した場合には、詳細地図に切り替えて個々の通常の施設アイコンを表示するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到し本願発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能とすることで、所望施設探索にかかるユーザの利便性向上を図ったナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかるナビゲーション装置は、
地図を表示すると共に、あらかじめ規定された位置データに基づいて地図上に施設アイコンを表示することにより、所定施設の存在を視覚的に表示するナビゲーション装置において、
所定領域内に一定数以上の同種別施設が存在することを1つのアイコンにより地図上に表示するための代表アイコン画像と、当該代表アイコン画像を表示すべき位置データとが予め格納されたデータベースと、
地図の縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無を判別するとともに、代表アイコンを表示すべきと判別したときには、施設アイコンに代えて代表アイコンを表示する代表アイコン表示制御手段と、
代表アイコン表示中において、現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出すると、縮尺のより大きな地図画像へと切り替え表示する縮尺変更手段と、
前記切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する施設アイコン表示制御手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかるナビゲーション装置は、
請求項1にかかるナビゲーション装置において、
前記所定領域は、地図を網目状に分割した各分割領域であり、代表アイコンの位置データは、当該分割領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものである、ことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかるナビゲーション装置は、
請求項1にかかるナビゲーション装置において、
前記所定領域は、任意の施設アイコンの表示位置を基準とする一定範囲の領域であり、
代表アイコンの位置データは、当該領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものである、ことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかるナビゲーション装置は、請求項2または3にかかるナビゲーション装置において、
代表アイコンの位置データは、該当する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づくそれら施設アイコンの重心位置として規定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、広域地図表示中には代表アイコン表示制御手段によって、詳細地図上で個々に表示される同種別施設アイコン群の存在が代表アイコンで包括的に表示され、代表アイコンで代表される施設に現在位置が接近した場合には、縮尺変更手段により広域地図から詳細地図に切り替えられ、同時に施設アイコン表示制御手段によって個々の通常の施設アイコンが表示される。このため、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能となり、所望施設探索にかかるユーザの利便性向上を図ることができる。
【0015】
また、請求項2乃至請求項4にかかる発明によれば、代表アイコンの適当な位置への表示や、代表アイコンで代表される複数施設への現在位置の接近検出および代表アイコン表示から通常の施設アイコン表示へ切り替えるため、より好適なデータベースを有する本発明にかかるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化したナビゲーション装置を例示するものであって、本発明の技術的範囲をこのナビゲーション装置に限定することを意図するものではなく、本発明の技術的範囲は、あくまでも特許請求の範囲の記載に基づいて定められるものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の第1実施例にかかる車載用のナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置10は、制御手段11、現在位置検出手段12、表示手段13、入力手段14、経路探索手段15、経路案内手段16、施設アイコン表示制御手段17、代表アイコン表示制御手段18、縮尺変更手段19、地図データDB20、施設データDB21、アイコン画像データDB22、代表アイコン位置データDB23、などを備えて構成されている。
【0018】
制御手段11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0019】
現在位置検出手段12は、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理してナビゲーション装置10の現在位置(緯度・経度)を所定の時間間隔で計測する。
【0020】
表示手段13は、LCDなどのディスプレイパネルなどから構成される表示ユニットであり、地図画像や推奨経路、現在位置検出手段12で決定した現在位置などを表示する。
【0021】
なお、以下の説明では、表示手段13に表示する地図画像や推奨経路を単に地図として説明を行う。
【0022】
入力手段14は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置10の各種機能動作を実現させるために必要な操作を行ったり、必要に応じて所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0023】
経路探索手段15は、入力手段14を介して所望の出発地・目的地が設定されて経路案内要求を受け付けると、地図データDB20を参照して上記2地点間を結ぶ推奨経路を探索する。
【0024】
経路案内手段16は、経路探索手段15によって探索された推奨経路を、地図画像とともに表示手段13に表示し、出発地から目的地までの走行案内を行う。
【0025】
施設アイコン表示制御手段17は、通常時は、表示手段13に表示されている地図の縮尺を参照して施設アイコンの表示有無を判別し、表示すべき縮尺のときには表示すべき施設アイコンの画像データをアイコン画像データDB22から取得すると共に施設データDB21から位置データを取得して地図上に施設アイコンを表示する。また、後述する縮尺変更手段19により広域地図から詳細地図への自動切り替え表示が行われたときには、当該切り替え表示が実行されるのに同期して、代表アイコンに代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する処理を担う。
【0026】
代表アイコン表示制御手段18は、表示手段13に表示されている地図の縮尺を参照して代表アイコンの表示有無を判別し、表示すべき縮尺のときには、表示すべき代表アイコンの画像データをアイコン画像データDB22から取得すると共に、代表アイコン位置データDB23から位置データを取得し、地図上に表示する。
【0027】
縮尺変更手段19は、表示手段13(ディスプレイパネル)に代表アイコンが表示されている場合、すなわち広域地図が表示されている場合、当該代表アイコンが表示されている地図上の地点と、現在位置検出手段12によって検出された現在位置との距離を算出し、該距離が所定の距離(本実施例では500m以下)になったと判定したときに、代表アイコンに代表される各施設アイコンが表示される縮尺まで拡大された詳細地図に変更する。なお、本発明の第1実施例では、縮尺が1/5000のものを広域地図、1/1000のものを詳細地図と称して説明するが、本発明を実施するにあたって、いかなる基準で広域地図と詳細地図とを区別するかは、本明細書の記載を参照することにより当業者が実施態様に応じて適宜なし得る設計事項であることは言うまでもない。
【0028】
また、代表アイコンに近づいた場合の縮尺変更については、アイコン種別にかかわらずに全ての代表アイコンに近づく毎に実行するようにしてもよいし、ユーザが拡大すべき施設種別を予め設定しておき、該当する種別の代表アイコンに近づいた場合にのみ実行するようにしてもよく、さらには、これらをユーザによる適宜の設定事項として構成することも可能である。
【0029】
地図データDB20には、CD−ROMやDVD−ROMなどから抽出した地図情報が蓄積されている。地図データDB20に蓄積されている地図情報は、地図縮尺の異なる複数階層の地図、例えば、縮尺1/5000の広域地図や縮尺1/1000の詳細地図といった情報量の異なる地図情報から構成されている。
【0030】
施設データDB21には、各施設の詳細な情報、すなわち施設の名称や種別(カテゴリ)、経度・緯度で決定される施設の位置データ、住所、電話番号、などの情報が蓄積されている。図2は、施設データDB21に蓄積される施設情報の一例を示す図である。同図に示すように、1つの施設毎に、施設名、位置データ(経度の度、分、秒、緯度の度、分、秒)、カテゴリ(種別)、住所、営業時間、電話番号などが関連付けて記憶されている。
【0031】
アイコン画像データDB22には、各施設に対応した施設アイコン画像の画像データ、各種別(カテゴリ名称)に対応した代表アイコン画像の画像データが蓄積されている。
【0032】
代表アイコン位置データDB23には、代表アイコンを広域地図上で表示するために、また縮尺変更手段19が代表アイコンで代表される複数施設の存在位置と現在位置との距離に基づいて広域地図から詳細地図へと表示切り替えするために、更には、当該表示切り替え時に施設アイコン表示制御手段17が代表アイコンで代表される各施設アイコンを特定して表示するために必要なデータが格納されている。図3はこの代表アイコン位置データDB23のデータ内容の一例を示す図である。
【0033】
図3に示されるように、このDB23には、代表アイコン毎に、カテゴリ(種別)名称(アイコン画像データDB22に格納されたアイコン画像と関連付けるためのIDとしても利用される)と、その代表アイコン画像が表示されるべき位置を示す1または複数の代表アイコン位置データ(経度の度、分、秒、緯度の度、分、秒)と、それぞれの代表アイコン位置データの算出の基礎となった各施設アイコンの施設名称、すなわち代表アイコンで代表されている各施設アイコンの名称(被代表施設名称)と、が関連づけられて記憶されている。
【0034】
なお、この代表アイコンの位置データは、縮尺変更手段19が地図上での代表アイコンの位置として認識するものと一致しているが、代表アイコン表示のために必要な位置データと縮尺変更手段19が地図上の位置として認識する位置データとを別の内容としてそれぞれ別個に作成しておくようにすることもできる。
【0035】
ここで、代表アイコン位置データ23に格納される代表アイコン位置データの作成方法を図4および図5に基づいて説明する。
【0036】
図4は、代表アイコン位置データの作成方法の一例(その1)を示す図である。この例では、地図Mを予め等面積の網目状の領域に分割し、分割領域毎に代表アイコンの表示対象とするか否かを決定する。具体的にこの例では、縦軸A〜C、横軸1〜3で特定されるA―1,A−2,A−3,B−1,B−2,B−3,C−1,C−2,C−3の9つの領域に分割されている。
【0037】
そして、地図データに基づいて算出される各分割領域の4角の頂点座標と、施設データDB21に格納された施設の位置座標とに基づいて、分割領域毎に、その領域に属する施設アイコンの数を種別毎に算出する。この数が、一定数以上あれば(例えば「コンビニ」については3つ以上、「ATM」については2つ以上等、種別に応じて変えると好ましい)、その同種別施設アイコンを代表する代表アイコンの表示対象領域とし、この代表アイコンを表示するための位置座標を、代表アイコン位置データDB23に格納する。
【0038】
なお、分割領域にいずれの種別の施設アイコンも所定数以上なければその分割領域については代表アイコンの表示対象とはされず、一方、所定数以上の施設アイコンがある種別が2種以上にわたって存在するとき(例えば「コンビニ」アイコンが5つ、「ATM」アイコンが4つ存在するとき)には、各種別の代表アイコンがそれぞれ表示されることとなる。
【0039】
そして、代表アイコン位置座標は、この例では、同分割領域に属する同種別施設アイコンの位置座標に基づいて、それら施設アイコンの重心位置として算出され、当該位置に代表アイコンが表示されることとなる。なお、代表アイコン画像は、施設種別毎に1種類が用意されていればよく、分割領域毎の代表アイコン画像をすべて用意する必要は必ずしもない。
【0040】
ここで、上記方法を採用すると、例えば、図4中に示すように、分割領域B−1、B−2、C−1、C−2の隅にそれぞれ1つの同種別施設アイコンが存在するような場合には、分割領域の面積よりも狭小な領域Sに4つの同種別施設アイコンが存在しているにも拘わらず、いずれの分割領域においても代表アイコンは表示対象とはならず、これら同種別施設アイコンを代表する代表アイコンが表示されないという問題が生じ得る。そこで、この問題を解消するために、以下に示す作成方法(その2)を、別途、あるいは併せて採用することができる。
【0041】
図5は、代表アイコン位置データの作成方法の一例(その2)を示す図である。同図に示されるように、この例では、地図M上に存在する1つの施設アイコンI(I1,I2,I3)の表示位置(位置座標)を中心とする一定範囲の円形領域S(S1,S2,S3)内に、施設アイコンIと同種別の施設アイコンが一定数以上あるか否かに基づいて代表アイコンの表示対象とするか否かを決定するものである。この例は、ソフトウェア処理により、全ての施設アイコンを施設アイコンIとして順次設定して都度領域Sを特定し、代表アイコンの位置データを作成するものである。位置データの算出方法は、上述した作成方法(その1)とほぼ同様であり、施設アイコンIを中心とした所定領域S内に属する同種別施設アイコンの位置座標に基づき、それら施設アイコンの重心位置として算出される。
【0042】
なお、上記方法(その2)を採用すると、同種別アイコンが狭小領域に多数密集するような地域においては、同じ1つの施設アイコンに対応する代表アイコンが2以上表示されるという問題も生じ得る。これについては、例えば、代表アイコンが重ねて表示されるような状況が発生した場合には、それら重複する代表アイコンを更にまとめて1つの代表アイコンに置換する等、この種のナビゲーション装置の分野に属する既知の技術的手法により、いかようにも解消することが可能である。
【0043】
なお、上記方法(その1、その2)では、代表アイコンの位置座標は、複数の施設アイコンの座標の重心として算出したがこれに限るものではなく、例えば、分割領域A―1〜C−3(図4)や円形領域S(図5)の中心位置にもっとも近い施設アイコンの座標をそのまま代表アイコンの位置座標とする等、種々の方法を採用することが可能である。
【0044】
次に、表示手段13によって表示される地図の一例を図6〜図8に示しながら、代表アイコンの表示の後、当該代表アイコンで代表される複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明する。
【0045】
図6に示すように、表示手段13には、この例では制御手段11により施設アイコンが表示されない縮尺である5000分の1の広域地図32が表示されている。この広域地図32上には、その中央に現在位置検出手段12によって決定された車両の現在位置が三角形マーク33で表示され、経路探索手段15によって探索された推奨経路が黒線付きの道路34として表示されている。
【0046】
また、地図上の方角を示す方位画像35、現在の時刻を示す文字画像36、広域地図32上の距離を表す文字画像37、ナビゲーション装置10に対する各種操作を行うためのメニュー画面をタッチ式ディスプレイパネル上に表示させるメニューボタン38、各種設定を行うための設定ボタン39などが表示されている。
【0047】
そして、広域地図32のように、地図の縮尺が一定値より小さい場合(広域地図である場合)には、代表アイコン表示制御手段18は、代表アイコン位置データDB23を参照して、表示すべき代表アイコンがあるか否かを判別する。図6では、表示中の広域地図32領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が確認されなかったため、代表アイコンが1つも表示されて無い状態を示している。
【0048】
図7は、経路案内手段16の案内に従い、車両が図6に示される現在位置から地図の上方に移動し、それに伴い表示されている地図が上方に移動された状態を示す図である。
【0049】
同図に示すように、この例では、広域地図32領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が代表アイコン表示制御手段18によって確認されたため、当該位置データで特定される広域地図32上の位置に、『コンビニ』の代表アイコン42が表示されている。なお、同文字画像からもわかるように、この代表アイコンは、図2、図3で示すところの『カテゴリ』として『コンビニ』が対応づけられた複数のアイコンを代表するものである。
【0050】
図8は、経路案内手段16の誘導案内に従い、車両が図7に示される現在位置から地図上でさらに上方へと移動することにより表示されている地図が上方に移動された状態を示す図である。そして、代表アイコン42の位置データとして規定されている座標位置から三角マーク33で示される現在位置までの直線距離が、地図上のスケールで500メートル以内に入った状態となっているものとする。その結果、縮尺変更手段19によって、現在位置33が、代表アイコン位置を基準とした所定領域内に到達したこと(現在位置33が代表アイコン42で代表される複数施設へ接近したこと)が検出され、現在位置33を中心とした表示画面31の範囲に表示された地図中央の矩形で囲まれた矩形範囲51が拡大された状態の詳細地図に切り替えられる。
【0051】
図9は、上述のようにして広域地図から詳細地図に切り換わり、図8に示される矩形範囲51が拡大表示された状態を示す図である。図9に示すように、表示手段13には、本発明の第1実施例では施設アイコンが表示されるべき縮尺の詳細地図62(この図では1000分の1の地図)が表示されている。
【0052】
この地図62上には、車両の現在位置を示す三角形マーク33や推奨経路34のほか、コンビニエンスストアを示す複数の施設アイコンCa63、Cb64、Cc65が表示されている。なお、これら各施設アイコンは、施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データに基づいて施設アイコン表示制御手段17によって表示されるものである。
【0053】
次に、本発明の第1実施例のナビゲーション装置10において、広域地図上の現在位置が代表アイコンに近づいて広域地図から詳細地図に切り替わるまでの制御動作について説明する。
【0054】
図10は、本発明の第1実施例のナビゲーション装置10の表示切り替え処理の内容を示すフローチャートである。なお、同フローチャートに示す処理は、制御手段11がROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより各手段を制御することで実現される。
【0055】
本実施例のナビゲーション装置10では、装置が起動されるとデフォルト設定としてまず、制御手段11により地図データDB20から現在位置付近の広域地図画像が取得され、表示手段13に表示される(ステップ101)。
【0056】
なお、代表アイコン表示制御手段18は、ルーティン処理として、地図表示が行われるたびにその縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無判別が実行されている(ステップ101)。同フローチャートに示される状況下にあってはデフォルト設定として広域地図が表示されているので、代表アイコンの表示がされるべき状況と判断され、ステップ102の処理へ移行することとなる。
【0057】
ステップ102では、代表アイコン表示が決定されたのに続き、代表アイコン表示制御手段18により代表アイコン位置データDB23に格納された位置データが参照され、広域地図の表示範囲(広域地図領域内)に表示すべき代表アイコンがあるか否かが判定される。
【0058】
広域地図領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が確認されない場合には(ステップ102NO)、電源が落とされる等、現在進行中のナビが終了するまで(ステップ103YES)、ステップ102の判別処理が継続される(ステップ103NO)。
【0059】
一方、広域地図領域内に、位置データが関連付けられた代表アイコンの存在が確認されると(ステップ102YES)、代表アイコン表示制御手段18は、カテゴリ名称(図3)に基づいてアイコン画像データDB22から該当する代表アイコン画像データを取得し、代表アイコン位置データDB23に格納された位置データで特定される広域地図上の位置にその代表アイコンを表示する(ステップ104)。
【0060】
次いで、縮尺変更手段19によって、車両の現在位置と、位置データで規定される代表アイコン表示位置との距離が算出され(ステップ105)、この値が一定値を下回ると、代表アイコン位置を基準とした所定領域内に車両が到達したと判断し(現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出し)(ステップ106YES)、各施設アイコンが表示される程度の縮尺(第1実施例では1000分の1)の詳細地図へと画面表示が切り替えられる(ステップ107)。
【0061】
かかる切り替え表示が実行されると、施設アイコン表示制御手段17は、代表アイコン位置データDB23に格納された被代表施設名称を参照して、その位置の代表アイコンで代表されている施設アイコンを特定し、施設データDB21に格納された各施設アイコンの位置データに基づいてそれらのみを詳細地図上に表示して(ステップ108)、処理は一端終了される。
【0062】
なお、ステップ108における施設アイコン表示制御手段17の処理内容は、通常の処理として実行されるように構成することもできる。すなわち、ルーティン処理として地図の縮尺が施設アイコンを表示するべきものか否かの判別を前提として、施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データを参照して、詳細地図上に位置する施設アイコンを全て特定し、代表アイコンで代表されているか否かに拘わらず、それらをすべて詳細地図上に表示するように構成してもよい。いずれにしても、施設アイコン表示制御手段17は、切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する処理を実行することとなる。
【0063】
一方、ステップ106において、位置データで規定される代表アイコンとの距離が一定値を上回っている期間は(ステップ106NO)、ステップ105の距離算出処理とステップ106の接近検出処理とが繰り返し行われることとなる。
【0064】
なお、上記フローチャートで示したステップ106での処理においては、縮尺変更手段19による代表アイコンへの接近判別は、車両の現在位置と代表アイコン位置の座標との距離に基づいて行っているが、車両の現在位置(表示手段13の表示画面31の中央位置に固定されている態様のものも含む)と複数施設アイコンの座標位置との距離に基づいて行うようにすることもできる。
【実施例2】
【0065】
次に本発明の実施例2について説明する。上記実施例1では、ナビゲーションの案内にしたがって車両を走らせていることを前提として処理が行われているが、実施例2では走行経路の近くに利用したい施設が存在するか否かを、表示手段13に表示した地図をスクロールさせて探す場合の例である。
【0066】
本発明の実施例2にかかる車載用のナビゲーション装置10の構成を示すブロック図は、実施例1とほぼ同様である。
【0067】
実施例1と動作の異なる機能について、表示手段13によって表示される地図の例を示しながら説明する。なお、実施例1と同じ構成のものには同様の番号を付してある。
【0068】
図11に示すように、表示手段13には、制御手段11により施設アイコンが表示されない縮尺の広域地図32(この図では5000分の1の地図)が表示されている。図中央の三角マーク33は、現在位置検出手段12によって決定された車両の現在位置を示している。
【0069】
車両を運転している最中に、現在位置周辺に利用したい施設が無いかどうか調べたくなることがある。ナビゲーション要求がある場合、本実施例のナビゲーション装置においては表示されている地図を、入力手段14を利用したり、表示画面31がタッチパネル式なのであれば表示画面31を押下したりすることにより、スクロールさせ、調べることができるようになっている。
【0070】
図12は、図11に示されている点A(71)を押下することにより、図11の地図画像を右上にスクロールさせ、点Aを中央位置に表示した図である。中抜き十字のポインタ83が中央位置を示している。
【0071】
表示手段13の表示画面31の範囲に表示された地図の上部右には、ある同種別カテゴリに分類される施設(この図の場合、レストラン)が一定数以上(本発明の第1実施例の場合、3つ以上)存在するため、該当位置に「レストラン」と文字表記された代表アイコン82が表示されている。
【0072】
図13は、図12でユーザが利用したい代表アイコン82を見つけ、レストランの正確な位置を知るために、代表アイコン82の近くまで地図をスクロールさせようとして、図12に示されている点B(84)を押下し、さらに右上にスクロールした図である。
【0073】
この場合、縮尺変更手段19により、代表アイコン82が表示画面31の中央位置に近づいたと判別され、表示手段13の表示画面31の範囲に表示された地図の中央に矩形で囲まれた矩形範囲91が拡大表示される。
【0074】
図14は、広域地図から詳細地図に切り換わり、図13に示される矩形範囲91が拡大表示された状態を示す図である。図14に示すように、表示手段13には、制御手段11により施設アイコンが表示される縮尺の詳細地図92(この図では1000分の1の地図)が表示されている。
【0075】
この地図92上には、中央位置を示す中抜き十字のポインタ83のほか、レストランを示す施設アイコンRa93、Rb94、Rc95が表示されている。このとき、各施設アイコンは、施設アイコン表示制御手段17によって施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データに基づいて各施設の表示位置に表示される。
【0076】
本発明の実施例2におけるナビゲーション装置の、広域地図を表示してから中央位置が代表アイコンに近づいて詳細地図に変更するまでの制御動作については、実施例1の説明とほぼ同様である。相違点は、ステップ105、106で参照していた「車両の現在位置」を、「表示画面31の中央位置」にするだけである。
【0077】
なお、上記実施例1、2においては、所定領域内に複数の同種別施設アイコンが存在するときにのみ代表アイコンを表示するものとした。このようにすることで、同種の施設が密集している地域を容易に知ることができ、その地域に移動することで、店舗の選択も可能となるという付随的効果も得られるものであるが、本発明の要旨は、代表アイコンを採用することで、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能とする点にあるから、例えば、指定された種別の通常の施設アイコンについては、広域地図表示中でも表示スペースとの関係で適宜表示するように構成するのが好ましい。例えば、ユーザにより指定された種別の代表アイコンが0または1つ(所定数未満)しか画面上に表示されないような場合には、現在地から最も近い同種別の通常施設アイコン(代表アイコンで代表されていない孤立した施設アイコン)については広域地図上に併せて表示するといった構成とした例が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図の一例である。
【図2】本発明の実施例1において、施設データDBに蓄積される施設情報の一例を示す図である。
【図3】代表アイコン位置データDBのデータ内容の一例を示す図である。
【図4】代表アイコンの位置データの作成概念を示す図(その1)である。
【図5】代表アイコンの位置データの作成概念を示す図(その2)である。
【図6】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その1)である。
【図7】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その2)である。
【図8】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その3)である。
【図9】図8の矩形範囲の拡大図の一例を示す図である。
【図10】表示切り替え処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その1)である。
【図12】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その2)である。
【図13】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図で(その3)である。
【図14】図13の矩形範囲の拡大図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10:車載用ナビゲーション装置
11:制御手段
12:現在位置検出手段
13:表示手段
14:入力手段
15:経路探索手段
16:経路案内手段
17:施設アイコン表示制御手段
18:代表アイコン表示制御手段
19:縮尺変更手段
20:地図データDB(データベース)
21:施設データDB(データベース)
22:アイコン画像データDB(データベース)
23:代表アイコン位置データDB(データベース)
31:表示画面
32:広域地図
33:三角マーク
34:経路探索手段によって定められた推奨経路
35:方位画像
36:時刻情報を示す文字画像
37:広域地図上の距離を示す文字画像
38:メニューボタン
39:設定ボタン
42:コンビニエンスストア代表アイコン
51:拡大される矩形領域
62:詳細地図
63,64,65:コンビニエンスストアを示すアイコン
82:レストラン代表アイコン
83:中央位置を示すポインタ
91:拡大される矩形領域
92:詳細地図
93,94,95:レストランを示すアイコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像とともに当該地図画像上に各種施設アイコンを表示して施設に関する情報を提供するナビゲーション装置に関するものであり、特に、複数の同種施設の存在を示す代表アイコンを採用して適宜表示することにより、本来的には施設アイコンが表示されない広域地図表示中でも所望種別の施設の存在確認を可能としたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置は、車両の現在位置を検出して、地図データDBから車両周辺位置の地図を呼び出し、地図、走行経路及び現在位置を表示画面上に表示する。そして、車両の移動により現在位置が変化するのに伴い、地図画像上における現在位置マークを移動させたり、あるいは車両の現在位置を表示画面上の定点に固定して地図画像の方をスクロールさせたりして、常に地図上における車両の現在位置を判別できるようにして経路案内が行われるように構成されている。
【0003】
更に、これらナビゲーション装置にあっては、地図画像上にコンビニエンスストア、ファーストフード店、レストランなどの施設(POI:Point of Interest)を示すアイコン画像を該当施設の所在位置に表示すると共に、それら施設に関する個別詳細情報(電話番号、営業時間等々)を表示することが行われている。
【0004】
アイコン画像の表示に関しては、種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1(特開2002―340588)に示されるナビゲーション装置にあっては、地図画像上でPOIアイコンが重なる場合、或いは地図上の所定範囲内に設定数以上のPOIアイコンが存在する場合にはそれらPOIアイコンを一つの代表アイコンで表示する技術が開示されている。これにより、POIが狭小領域(例えばワンブロック)に多数存在する場合に生じる不具合(アイコン同士の重なり合いや、周辺道路が当該施設のアイコン群によって隠されてしまう等)の解消が図られている。
【特許文献1】特開2002−340588号公報(段落[0014])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーション装置においては、比較的縮尺が小さい広域地図を表示する場合には施設アイコンは表示されない。これは、縮尺が小さくなり広域な地図が表示されれば、都市部等に限らずその分多数の施設が地図表示領域に存在することとなるため全アイコンの表示に限界が生じるためである。加えて、一般に、広域地図表示中にあってはおおまかな現在位置を確認できればよく、そのような施設アイコンの表示は、詳細地図表示に委ねれば足りるとされてきたためと思われる。
【0006】
このため、広域地図表示中に、案内経路周辺に利用したい施設があるか否かを確認したい場合には、ナビゲーション装置を適宜操作して詳細地図に切り替えて施設アイコンを表示させる必要があった。
【0007】
また、詳細地図表示中であっても、現在地の周辺に利用したい施設アイコンが無い場合には、所望の施設アイコンが表示されるまで、ときに長時間に渡り詳細地図のスクロール操作を行う必要が生じる。このため、スクロール操作を短時間で行うためにかかる操作を広域地図表示に切り替えて行って表示エリアを一端移動した後、改めて詳細地図に切り替えることにより周辺の施設アイコンを表示させて所望アイコンの存在有無を確認する、といった面倒な作業が繰り返し行われているという実状がある。
【0008】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、(1)広域地図表示中には、詳細地図上では個々に表示される同種別施設アイコン群の存在を代表アイコンで包括的に表示し、(2)代表アイコンで示されている地点に現在位置が接近した場合には、詳細地図に切り替えて個々の通常の施設アイコンを表示するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到し本願発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上記の問題点を解消することを課題とし、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能とすることで、所望施設探索にかかるユーザの利便性向上を図ったナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかるナビゲーション装置は、
地図を表示すると共に、あらかじめ規定された位置データに基づいて地図上に施設アイコンを表示することにより、所定施設の存在を視覚的に表示するナビゲーション装置において、
所定領域内に一定数以上の同種別施設が存在することを1つのアイコンにより地図上に表示するための代表アイコン画像と、当該代表アイコン画像を表示すべき位置データとが予め格納されたデータベースと、
地図の縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無を判別するとともに、代表アイコンを表示すべきと判別したときには、施設アイコンに代えて代表アイコンを表示する代表アイコン表示制御手段と、
代表アイコン表示中において、現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出すると、縮尺のより大きな地図画像へと切り替え表示する縮尺変更手段と、
前記切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する施設アイコン表示制御手段と、
を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の請求項2にかかるナビゲーション装置は、
請求項1にかかるナビゲーション装置において、
前記所定領域は、地図を網目状に分割した各分割領域であり、代表アイコンの位置データは、当該分割領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものである、ことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項3にかかるナビゲーション装置は、
請求項1にかかるナビゲーション装置において、
前記所定領域は、任意の施設アイコンの表示位置を基準とする一定範囲の領域であり、
代表アイコンの位置データは、当該領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものである、ことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項4にかかるナビゲーション装置は、請求項2または3にかかるナビゲーション装置において、
代表アイコンの位置データは、該当する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づくそれら施設アイコンの重心位置として規定されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、広域地図表示中には代表アイコン表示制御手段によって、詳細地図上で個々に表示される同種別施設アイコン群の存在が代表アイコンで包括的に表示され、代表アイコンで代表される施設に現在位置が接近した場合には、縮尺変更手段により広域地図から詳細地図に切り替えられ、同時に施設アイコン表示制御手段によって個々の通常の施設アイコンが表示される。このため、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能となり、所望施設探索にかかるユーザの利便性向上を図ることができる。
【0015】
また、請求項2乃至請求項4にかかる発明によれば、代表アイコンの適当な位置への表示や、代表アイコンで代表される複数施設への現在位置の接近検出および代表アイコン表示から通常の施設アイコン表示へ切り替えるため、より好適なデータベースを有する本発明にかかるナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化したナビゲーション装置を例示するものであって、本発明の技術的範囲をこのナビゲーション装置に限定することを意図するものではなく、本発明の技術的範囲は、あくまでも特許請求の範囲の記載に基づいて定められるものである。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の第1実施例にかかる車載用のナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置10は、制御手段11、現在位置検出手段12、表示手段13、入力手段14、経路探索手段15、経路案内手段16、施設アイコン表示制御手段17、代表アイコン表示制御手段18、縮尺変更手段19、地図データDB20、施設データDB21、アイコン画像データDB22、代表アイコン位置データDB23、などを備えて構成されている。
【0018】
制御手段11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。
【0019】
現在位置検出手段12は、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理してナビゲーション装置10の現在位置(緯度・経度)を所定の時間間隔で計測する。
【0020】
表示手段13は、LCDなどのディスプレイパネルなどから構成される表示ユニットであり、地図画像や推奨経路、現在位置検出手段12で決定した現在位置などを表示する。
【0021】
なお、以下の説明では、表示手段13に表示する地図画像や推奨経路を単に地図として説明を行う。
【0022】
入力手段14は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、ナビゲーション装置10の各種機能動作を実現させるために必要な操作を行ったり、必要に応じて所要の数値や文字を入力したりするものである。
【0023】
経路探索手段15は、入力手段14を介して所望の出発地・目的地が設定されて経路案内要求を受け付けると、地図データDB20を参照して上記2地点間を結ぶ推奨経路を探索する。
【0024】
経路案内手段16は、経路探索手段15によって探索された推奨経路を、地図画像とともに表示手段13に表示し、出発地から目的地までの走行案内を行う。
【0025】
施設アイコン表示制御手段17は、通常時は、表示手段13に表示されている地図の縮尺を参照して施設アイコンの表示有無を判別し、表示すべき縮尺のときには表示すべき施設アイコンの画像データをアイコン画像データDB22から取得すると共に施設データDB21から位置データを取得して地図上に施設アイコンを表示する。また、後述する縮尺変更手段19により広域地図から詳細地図への自動切り替え表示が行われたときには、当該切り替え表示が実行されるのに同期して、代表アイコンに代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する処理を担う。
【0026】
代表アイコン表示制御手段18は、表示手段13に表示されている地図の縮尺を参照して代表アイコンの表示有無を判別し、表示すべき縮尺のときには、表示すべき代表アイコンの画像データをアイコン画像データDB22から取得すると共に、代表アイコン位置データDB23から位置データを取得し、地図上に表示する。
【0027】
縮尺変更手段19は、表示手段13(ディスプレイパネル)に代表アイコンが表示されている場合、すなわち広域地図が表示されている場合、当該代表アイコンが表示されている地図上の地点と、現在位置検出手段12によって検出された現在位置との距離を算出し、該距離が所定の距離(本実施例では500m以下)になったと判定したときに、代表アイコンに代表される各施設アイコンが表示される縮尺まで拡大された詳細地図に変更する。なお、本発明の第1実施例では、縮尺が1/5000のものを広域地図、1/1000のものを詳細地図と称して説明するが、本発明を実施するにあたって、いかなる基準で広域地図と詳細地図とを区別するかは、本明細書の記載を参照することにより当業者が実施態様に応じて適宜なし得る設計事項であることは言うまでもない。
【0028】
また、代表アイコンに近づいた場合の縮尺変更については、アイコン種別にかかわらずに全ての代表アイコンに近づく毎に実行するようにしてもよいし、ユーザが拡大すべき施設種別を予め設定しておき、該当する種別の代表アイコンに近づいた場合にのみ実行するようにしてもよく、さらには、これらをユーザによる適宜の設定事項として構成することも可能である。
【0029】
地図データDB20には、CD−ROMやDVD−ROMなどから抽出した地図情報が蓄積されている。地図データDB20に蓄積されている地図情報は、地図縮尺の異なる複数階層の地図、例えば、縮尺1/5000の広域地図や縮尺1/1000の詳細地図といった情報量の異なる地図情報から構成されている。
【0030】
施設データDB21には、各施設の詳細な情報、すなわち施設の名称や種別(カテゴリ)、経度・緯度で決定される施設の位置データ、住所、電話番号、などの情報が蓄積されている。図2は、施設データDB21に蓄積される施設情報の一例を示す図である。同図に示すように、1つの施設毎に、施設名、位置データ(経度の度、分、秒、緯度の度、分、秒)、カテゴリ(種別)、住所、営業時間、電話番号などが関連付けて記憶されている。
【0031】
アイコン画像データDB22には、各施設に対応した施設アイコン画像の画像データ、各種別(カテゴリ名称)に対応した代表アイコン画像の画像データが蓄積されている。
【0032】
代表アイコン位置データDB23には、代表アイコンを広域地図上で表示するために、また縮尺変更手段19が代表アイコンで代表される複数施設の存在位置と現在位置との距離に基づいて広域地図から詳細地図へと表示切り替えするために、更には、当該表示切り替え時に施設アイコン表示制御手段17が代表アイコンで代表される各施設アイコンを特定して表示するために必要なデータが格納されている。図3はこの代表アイコン位置データDB23のデータ内容の一例を示す図である。
【0033】
図3に示されるように、このDB23には、代表アイコン毎に、カテゴリ(種別)名称(アイコン画像データDB22に格納されたアイコン画像と関連付けるためのIDとしても利用される)と、その代表アイコン画像が表示されるべき位置を示す1または複数の代表アイコン位置データ(経度の度、分、秒、緯度の度、分、秒)と、それぞれの代表アイコン位置データの算出の基礎となった各施設アイコンの施設名称、すなわち代表アイコンで代表されている各施設アイコンの名称(被代表施設名称)と、が関連づけられて記憶されている。
【0034】
なお、この代表アイコンの位置データは、縮尺変更手段19が地図上での代表アイコンの位置として認識するものと一致しているが、代表アイコン表示のために必要な位置データと縮尺変更手段19が地図上の位置として認識する位置データとを別の内容としてそれぞれ別個に作成しておくようにすることもできる。
【0035】
ここで、代表アイコン位置データ23に格納される代表アイコン位置データの作成方法を図4および図5に基づいて説明する。
【0036】
図4は、代表アイコン位置データの作成方法の一例(その1)を示す図である。この例では、地図Mを予め等面積の網目状の領域に分割し、分割領域毎に代表アイコンの表示対象とするか否かを決定する。具体的にこの例では、縦軸A〜C、横軸1〜3で特定されるA―1,A−2,A−3,B−1,B−2,B−3,C−1,C−2,C−3の9つの領域に分割されている。
【0037】
そして、地図データに基づいて算出される各分割領域の4角の頂点座標と、施設データDB21に格納された施設の位置座標とに基づいて、分割領域毎に、その領域に属する施設アイコンの数を種別毎に算出する。この数が、一定数以上あれば(例えば「コンビニ」については3つ以上、「ATM」については2つ以上等、種別に応じて変えると好ましい)、その同種別施設アイコンを代表する代表アイコンの表示対象領域とし、この代表アイコンを表示するための位置座標を、代表アイコン位置データDB23に格納する。
【0038】
なお、分割領域にいずれの種別の施設アイコンも所定数以上なければその分割領域については代表アイコンの表示対象とはされず、一方、所定数以上の施設アイコンがある種別が2種以上にわたって存在するとき(例えば「コンビニ」アイコンが5つ、「ATM」アイコンが4つ存在するとき)には、各種別の代表アイコンがそれぞれ表示されることとなる。
【0039】
そして、代表アイコン位置座標は、この例では、同分割領域に属する同種別施設アイコンの位置座標に基づいて、それら施設アイコンの重心位置として算出され、当該位置に代表アイコンが表示されることとなる。なお、代表アイコン画像は、施設種別毎に1種類が用意されていればよく、分割領域毎の代表アイコン画像をすべて用意する必要は必ずしもない。
【0040】
ここで、上記方法を採用すると、例えば、図4中に示すように、分割領域B−1、B−2、C−1、C−2の隅にそれぞれ1つの同種別施設アイコンが存在するような場合には、分割領域の面積よりも狭小な領域Sに4つの同種別施設アイコンが存在しているにも拘わらず、いずれの分割領域においても代表アイコンは表示対象とはならず、これら同種別施設アイコンを代表する代表アイコンが表示されないという問題が生じ得る。そこで、この問題を解消するために、以下に示す作成方法(その2)を、別途、あるいは併せて採用することができる。
【0041】
図5は、代表アイコン位置データの作成方法の一例(その2)を示す図である。同図に示されるように、この例では、地図M上に存在する1つの施設アイコンI(I1,I2,I3)の表示位置(位置座標)を中心とする一定範囲の円形領域S(S1,S2,S3)内に、施設アイコンIと同種別の施設アイコンが一定数以上あるか否かに基づいて代表アイコンの表示対象とするか否かを決定するものである。この例は、ソフトウェア処理により、全ての施設アイコンを施設アイコンIとして順次設定して都度領域Sを特定し、代表アイコンの位置データを作成するものである。位置データの算出方法は、上述した作成方法(その1)とほぼ同様であり、施設アイコンIを中心とした所定領域S内に属する同種別施設アイコンの位置座標に基づき、それら施設アイコンの重心位置として算出される。
【0042】
なお、上記方法(その2)を採用すると、同種別アイコンが狭小領域に多数密集するような地域においては、同じ1つの施設アイコンに対応する代表アイコンが2以上表示されるという問題も生じ得る。これについては、例えば、代表アイコンが重ねて表示されるような状況が発生した場合には、それら重複する代表アイコンを更にまとめて1つの代表アイコンに置換する等、この種のナビゲーション装置の分野に属する既知の技術的手法により、いかようにも解消することが可能である。
【0043】
なお、上記方法(その1、その2)では、代表アイコンの位置座標は、複数の施設アイコンの座標の重心として算出したがこれに限るものではなく、例えば、分割領域A―1〜C−3(図4)や円形領域S(図5)の中心位置にもっとも近い施設アイコンの座標をそのまま代表アイコンの位置座標とする等、種々の方法を採用することが可能である。
【0044】
次に、表示手段13によって表示される地図の一例を図6〜図8に示しながら、代表アイコンの表示の後、当該代表アイコンで代表される複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明する。
【0045】
図6に示すように、表示手段13には、この例では制御手段11により施設アイコンが表示されない縮尺である5000分の1の広域地図32が表示されている。この広域地図32上には、その中央に現在位置検出手段12によって決定された車両の現在位置が三角形マーク33で表示され、経路探索手段15によって探索された推奨経路が黒線付きの道路34として表示されている。
【0046】
また、地図上の方角を示す方位画像35、現在の時刻を示す文字画像36、広域地図32上の距離を表す文字画像37、ナビゲーション装置10に対する各種操作を行うためのメニュー画面をタッチ式ディスプレイパネル上に表示させるメニューボタン38、各種設定を行うための設定ボタン39などが表示されている。
【0047】
そして、広域地図32のように、地図の縮尺が一定値より小さい場合(広域地図である場合)には、代表アイコン表示制御手段18は、代表アイコン位置データDB23を参照して、表示すべき代表アイコンがあるか否かを判別する。図6では、表示中の広域地図32領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が確認されなかったため、代表アイコンが1つも表示されて無い状態を示している。
【0048】
図7は、経路案内手段16の案内に従い、車両が図6に示される現在位置から地図の上方に移動し、それに伴い表示されている地図が上方に移動された状態を示す図である。
【0049】
同図に示すように、この例では、広域地図32領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が代表アイコン表示制御手段18によって確認されたため、当該位置データで特定される広域地図32上の位置に、『コンビニ』の代表アイコン42が表示されている。なお、同文字画像からもわかるように、この代表アイコンは、図2、図3で示すところの『カテゴリ』として『コンビニ』が対応づけられた複数のアイコンを代表するものである。
【0050】
図8は、経路案内手段16の誘導案内に従い、車両が図7に示される現在位置から地図上でさらに上方へと移動することにより表示されている地図が上方に移動された状態を示す図である。そして、代表アイコン42の位置データとして規定されている座標位置から三角マーク33で示される現在位置までの直線距離が、地図上のスケールで500メートル以内に入った状態となっているものとする。その結果、縮尺変更手段19によって、現在位置33が、代表アイコン位置を基準とした所定領域内に到達したこと(現在位置33が代表アイコン42で代表される複数施設へ接近したこと)が検出され、現在位置33を中心とした表示画面31の範囲に表示された地図中央の矩形で囲まれた矩形範囲51が拡大された状態の詳細地図に切り替えられる。
【0051】
図9は、上述のようにして広域地図から詳細地図に切り換わり、図8に示される矩形範囲51が拡大表示された状態を示す図である。図9に示すように、表示手段13には、本発明の第1実施例では施設アイコンが表示されるべき縮尺の詳細地図62(この図では1000分の1の地図)が表示されている。
【0052】
この地図62上には、車両の現在位置を示す三角形マーク33や推奨経路34のほか、コンビニエンスストアを示す複数の施設アイコンCa63、Cb64、Cc65が表示されている。なお、これら各施設アイコンは、施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データに基づいて施設アイコン表示制御手段17によって表示されるものである。
【0053】
次に、本発明の第1実施例のナビゲーション装置10において、広域地図上の現在位置が代表アイコンに近づいて広域地図から詳細地図に切り替わるまでの制御動作について説明する。
【0054】
図10は、本発明の第1実施例のナビゲーション装置10の表示切り替え処理の内容を示すフローチャートである。なお、同フローチャートに示す処理は、制御手段11がROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより各手段を制御することで実現される。
【0055】
本実施例のナビゲーション装置10では、装置が起動されるとデフォルト設定としてまず、制御手段11により地図データDB20から現在位置付近の広域地図画像が取得され、表示手段13に表示される(ステップ101)。
【0056】
なお、代表アイコン表示制御手段18は、ルーティン処理として、地図表示が行われるたびにその縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無判別が実行されている(ステップ101)。同フローチャートに示される状況下にあってはデフォルト設定として広域地図が表示されているので、代表アイコンの表示がされるべき状況と判断され、ステップ102の処理へ移行することとなる。
【0057】
ステップ102では、代表アイコン表示が決定されたのに続き、代表アイコン表示制御手段18により代表アイコン位置データDB23に格納された位置データが参照され、広域地図の表示範囲(広域地図領域内)に表示すべき代表アイコンがあるか否かが判定される。
【0058】
広域地図領域内に、位置データが関連づけられた代表アイコンの存在が確認されない場合には(ステップ102NO)、電源が落とされる等、現在進行中のナビが終了するまで(ステップ103YES)、ステップ102の判別処理が継続される(ステップ103NO)。
【0059】
一方、広域地図領域内に、位置データが関連付けられた代表アイコンの存在が確認されると(ステップ102YES)、代表アイコン表示制御手段18は、カテゴリ名称(図3)に基づいてアイコン画像データDB22から該当する代表アイコン画像データを取得し、代表アイコン位置データDB23に格納された位置データで特定される広域地図上の位置にその代表アイコンを表示する(ステップ104)。
【0060】
次いで、縮尺変更手段19によって、車両の現在位置と、位置データで規定される代表アイコン表示位置との距離が算出され(ステップ105)、この値が一定値を下回ると、代表アイコン位置を基準とした所定領域内に車両が到達したと判断し(現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出し)(ステップ106YES)、各施設アイコンが表示される程度の縮尺(第1実施例では1000分の1)の詳細地図へと画面表示が切り替えられる(ステップ107)。
【0061】
かかる切り替え表示が実行されると、施設アイコン表示制御手段17は、代表アイコン位置データDB23に格納された被代表施設名称を参照して、その位置の代表アイコンで代表されている施設アイコンを特定し、施設データDB21に格納された各施設アイコンの位置データに基づいてそれらのみを詳細地図上に表示して(ステップ108)、処理は一端終了される。
【0062】
なお、ステップ108における施設アイコン表示制御手段17の処理内容は、通常の処理として実行されるように構成することもできる。すなわち、ルーティン処理として地図の縮尺が施設アイコンを表示するべきものか否かの判別を前提として、施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データを参照して、詳細地図上に位置する施設アイコンを全て特定し、代表アイコンで代表されているか否かに拘わらず、それらをすべて詳細地図上に表示するように構成してもよい。いずれにしても、施設アイコン表示制御手段17は、切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する処理を実行することとなる。
【0063】
一方、ステップ106において、位置データで規定される代表アイコンとの距離が一定値を上回っている期間は(ステップ106NO)、ステップ105の距離算出処理とステップ106の接近検出処理とが繰り返し行われることとなる。
【0064】
なお、上記フローチャートで示したステップ106での処理においては、縮尺変更手段19による代表アイコンへの接近判別は、車両の現在位置と代表アイコン位置の座標との距離に基づいて行っているが、車両の現在位置(表示手段13の表示画面31の中央位置に固定されている態様のものも含む)と複数施設アイコンの座標位置との距離に基づいて行うようにすることもできる。
【実施例2】
【0065】
次に本発明の実施例2について説明する。上記実施例1では、ナビゲーションの案内にしたがって車両を走らせていることを前提として処理が行われているが、実施例2では走行経路の近くに利用したい施設が存在するか否かを、表示手段13に表示した地図をスクロールさせて探す場合の例である。
【0066】
本発明の実施例2にかかる車載用のナビゲーション装置10の構成を示すブロック図は、実施例1とほぼ同様である。
【0067】
実施例1と動作の異なる機能について、表示手段13によって表示される地図の例を示しながら説明する。なお、実施例1と同じ構成のものには同様の番号を付してある。
【0068】
図11に示すように、表示手段13には、制御手段11により施設アイコンが表示されない縮尺の広域地図32(この図では5000分の1の地図)が表示されている。図中央の三角マーク33は、現在位置検出手段12によって決定された車両の現在位置を示している。
【0069】
車両を運転している最中に、現在位置周辺に利用したい施設が無いかどうか調べたくなることがある。ナビゲーション要求がある場合、本実施例のナビゲーション装置においては表示されている地図を、入力手段14を利用したり、表示画面31がタッチパネル式なのであれば表示画面31を押下したりすることにより、スクロールさせ、調べることができるようになっている。
【0070】
図12は、図11に示されている点A(71)を押下することにより、図11の地図画像を右上にスクロールさせ、点Aを中央位置に表示した図である。中抜き十字のポインタ83が中央位置を示している。
【0071】
表示手段13の表示画面31の範囲に表示された地図の上部右には、ある同種別カテゴリに分類される施設(この図の場合、レストラン)が一定数以上(本発明の第1実施例の場合、3つ以上)存在するため、該当位置に「レストラン」と文字表記された代表アイコン82が表示されている。
【0072】
図13は、図12でユーザが利用したい代表アイコン82を見つけ、レストランの正確な位置を知るために、代表アイコン82の近くまで地図をスクロールさせようとして、図12に示されている点B(84)を押下し、さらに右上にスクロールした図である。
【0073】
この場合、縮尺変更手段19により、代表アイコン82が表示画面31の中央位置に近づいたと判別され、表示手段13の表示画面31の範囲に表示された地図の中央に矩形で囲まれた矩形範囲91が拡大表示される。
【0074】
図14は、広域地図から詳細地図に切り換わり、図13に示される矩形範囲91が拡大表示された状態を示す図である。図14に示すように、表示手段13には、制御手段11により施設アイコンが表示される縮尺の詳細地図92(この図では1000分の1の地図)が表示されている。
【0075】
この地図92上には、中央位置を示す中抜き十字のポインタ83のほか、レストランを示す施設アイコンRa93、Rb94、Rc95が表示されている。このとき、各施設アイコンは、施設アイコン表示制御手段17によって施設データDB21に蓄積されている各施設の位置データに基づいて各施設の表示位置に表示される。
【0076】
本発明の実施例2におけるナビゲーション装置の、広域地図を表示してから中央位置が代表アイコンに近づいて詳細地図に変更するまでの制御動作については、実施例1の説明とほぼ同様である。相違点は、ステップ105、106で参照していた「車両の現在位置」を、「表示画面31の中央位置」にするだけである。
【0077】
なお、上記実施例1、2においては、所定領域内に複数の同種別施設アイコンが存在するときにのみ代表アイコンを表示するものとした。このようにすることで、同種の施設が密集している地域を容易に知ることができ、その地域に移動することで、店舗の選択も可能となるという付随的効果も得られるものであるが、本発明の要旨は、代表アイコンを採用することで、広域地図表示中であっても所望種別の施設の存在有無と大凡の位置とを確認可能とする点にあるから、例えば、指定された種別の通常の施設アイコンについては、広域地図表示中でも表示スペースとの関係で適宜表示するように構成するのが好ましい。例えば、ユーザにより指定された種別の代表アイコンが0または1つ(所定数未満)しか画面上に表示されないような場合には、現在地から最も近い同種別の通常施設アイコン(代表アイコンで代表されていない孤立した施設アイコン)については広域地図上に併せて表示するといった構成とした例が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例1におけるナビゲーション装置の構成を示すブロック図の一例である。
【図2】本発明の実施例1において、施設データDBに蓄積される施設情報の一例を示す図である。
【図3】代表アイコン位置データDBのデータ内容の一例を示す図である。
【図4】代表アイコンの位置データの作成概念を示す図(その1)である。
【図5】代表アイコンの位置データの作成概念を示す図(その2)である。
【図6】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その1)である。
【図7】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その2)である。
【図8】代表アイコン表示後に複数の施設アイコンが表示されるまでの一連の動作内容を説明するための、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その3)である。
【図9】図8の矩形範囲の拡大図の一例を示す図である。
【図10】表示切り替え処理の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その1)である。
【図12】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図(その2)である。
【図13】本発明の実施例2において、表示手段に表示される地図の一例を示す図で(その3)である。
【図14】図13の矩形範囲の拡大図の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10:車載用ナビゲーション装置
11:制御手段
12:現在位置検出手段
13:表示手段
14:入力手段
15:経路探索手段
16:経路案内手段
17:施設アイコン表示制御手段
18:代表アイコン表示制御手段
19:縮尺変更手段
20:地図データDB(データベース)
21:施設データDB(データベース)
22:アイコン画像データDB(データベース)
23:代表アイコン位置データDB(データベース)
31:表示画面
32:広域地図
33:三角マーク
34:経路探索手段によって定められた推奨経路
35:方位画像
36:時刻情報を示す文字画像
37:広域地図上の距離を示す文字画像
38:メニューボタン
39:設定ボタン
42:コンビニエンスストア代表アイコン
51:拡大される矩形領域
62:詳細地図
63,64,65:コンビニエンスストアを示すアイコン
82:レストラン代表アイコン
83:中央位置を示すポインタ
91:拡大される矩形領域
92:詳細地図
93,94,95:レストランを示すアイコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示すると共に、あらかじめ規定された位置データに基づいて地図上に施設アイコンを表示することにより、所定施設の存在を視覚的に表示するナビゲーション装置において、
所定領域内に一定数以上の同種別施設が存在することを1つのアイコンにより地図上に表示するための代表アイコン画像と、当該代表アイコン画像を表示すべき位置データとが予め格納されたデータベースと、
地図の縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無を判別するとともに、代表アイコンを表示すべきと判別したときには、施設アイコンに代えて代表アイコンを表示する代表アイコン表示制御手段と、
代表アイコン表示中において、現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出すると、縮尺のより大きな地図画像へと切り替え表示する縮尺変更手段と、
前記切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する施設アイコン表示制御手段と、
を設けたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記所定領域は、地図を網目状に分割した各分割領域であり、代表アイコンの位置データは、当該分割領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記所定領域は、任意の施設アイコンの表示位置を基準とする一定範囲の領域であり、
代表アイコンの位置データは、当該領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
代表アイコンの位置データは、該当する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づくそれら施設アイコンの重心位置として規定されていること
を特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【請求項1】
地図を表示すると共に、あらかじめ規定された位置データに基づいて地図上に施設アイコンを表示することにより、所定施設の存在を視覚的に表示するナビゲーション装置において、
所定領域内に一定数以上の同種別施設が存在することを1つのアイコンにより地図上に表示するための代表アイコン画像と、当該代表アイコン画像を表示すべき位置データとが予め格納されたデータベースと、
地図の縮尺に基づいて代表アイコンの表示有無を判別するとともに、代表アイコンを表示すべきと判別したときには、施設アイコンに代えて代表アイコンを表示する代表アイコン表示制御手段と、
代表アイコン表示中において、現在位置が代表アイコンで代表される複数施設へ接近したことを検出すると、縮尺のより大きな地図画像へと切り替え表示する縮尺変更手段と、
前記切り替え表示が実行されたときには、少なくとも代表アイコンで代表される2以上の施設アイコンを代表アイコンに代えて表示する施設アイコン表示制御手段と、
を設けたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記所定領域は、地図を網目状に分割した各分割領域であり、代表アイコンの位置データは、当該分割領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記所定領域は、任意の施設アイコンの表示位置を基準とする一定範囲の領域であり、
代表アイコンの位置データは、当該領域内に存在する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づいて算出されたものであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
代表アイコンの位置データは、該当する一定数以上の同種別施設アイコンの位置データに基づくそれら施設アイコンの重心位置として規定されていること
を特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−85198(P2010−85198A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253541(P2008−253541)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】
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