説明

ナビゲーション装置

【課題】取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をユーザに把握させることができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】交通情報取得手段7,8による交通情報の取得状況を、最新の再探索に考慮された交通情報の取得状況であるか否かを判別可能な状態で表示部10に表示する取得状況表示手段26を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、交通情報を考慮した経路誘導を行うのに好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、地図データ(道路ネットワークデータ等の経路計算データ)に基づいて、自車位置や指定された出発地から目的地までの設定された経路探索条件に応じた最適経路を探索し、探索された最適経路を誘導経路に設定して、この誘導経路に沿って自車両を目的地まで誘導する経路誘導を行うようになっていた。また、従来から、このようなナビゲーション装置においては、交通情報の取得手段を搭載した上で、この取得手段によって取得された交通情報を経路探索条件として考慮(加味)した経路探索を行うようになっていた。なお、交通情報としては、VICS(Vehicle Information and Communication System)(登録商標)によって提供されるVICS情報が知られており、このVICS情報は、ナビゲーション装置に搭載されたビーコン受信機やFM多重レシーバ等によって取得(受信)されるようになっていた。さらに、この種のナビゲーション装置においては、目的地の設定時等において交通情報を考慮して最初に探索された最適経路を最初の誘導経路とした経路誘導を開始した後においても、最新の交通情報を逐次取得し続け、交通情報が変化した場合には、交通情報を考慮した経路の再探索を行うようになっていた。そして、再探索によって現在の誘導経路とは異なる新たな最適経路が探索された場合には、この新たな最適経路を現在の誘導経路に代わって誘導経路に設定することが可能とされていた。このような経路誘導中における交通情報の変化に応じた最適経路の再探索およびこの再探索の結果に応じた誘導経路の変更の有無をともなう経路誘導は、いわゆるダイナミックルートガイダンスと称されていた。
【0003】
このようなダイナミックルートガイダンスの機能を備えたナビゲーション装置としては、従来から種々のナビゲーション装置が提案されていた。
【0004】
例えば、特許文献1に示すナビゲーション装置においては、現在位置と目的地とを含む広域にわたる交通情報を考慮した最適経路の再探索を行う場合に、現在位置から遠い地点の不要な交通情報を考慮することによって経路探索に時間がかかってしまうといった従前の問題を解決するために、現在位置周辺の所定のエリア内の交通情報のみを最適経路の再探索の際に考慮するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3501195号
【特許文献2】特許第4052125号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すナビゲーション装置では、交通情報取得手段によって取得された交通情報のうち、ダイナミックルートガイダンスに反映させる交通情報を限定することを内部処理的に行ってはいたが、取得された交通情報のうちのいずれの交通情報がダイナミックルートガイダンスに反映されているのかをユーザに把握させることができなかった。これにより、ユーザは、ダイナミックルートガイダンスにしたがって走行を続けることによって、予期しない交通規制(通行止め、道路封鎖または車線規制等)や交通障害(交通事故等)に遭遇してしまうといった問題が発生していた。
【0007】
例えば、ダイナミックルートガイダンスをともないつつ第1のインターチェンジから高速道路に入って遠方のA市方面に向かっている場合に、A市の手前の第2のインターチェンジが大雪で封鎖されるようになったと仮定する。この場合に、第2のインターチェンジは自車位置から遠いため、この第2のインターチェンジの封鎖はダイナミックルートガイダンスに反映されておらず(換言すれば、ダイナミックルートガイダンスの際の最適経路の探索に考慮されておらず)、ナビゲーション装置には、第2のインターチェンジで高速道路を下りる誘導経路が設定されている。このとき、ユーザは、ナビゲーション装置の表示部に、受信されたVICS情報を表示させることや、高速道路に設置された看板を確認することによって第2のインターチェンジの封鎖を知ることは可能である。しかしながら、ユーザは、現在ダイナミックルートガイダンスが行われていることから、現在の誘導経路が既に第2のインターチェンジの封鎖を考慮してこの第2のインターチェンジを回避できる経路であると錯誤してしまう場合がある。そして、この場合には、第2のインターチェンジの手前の封鎖されていないインターチェンジで高速道路を下りる機会を逸してしまう結果となる。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をユーザに把握させることができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、経路探索手段が、経路誘導手段による経路誘導中に、交通情報取得手段によって取得された交通情報のうちの自車位置検出手段によって検出された自車位置の近辺の設定された所定領域内の交通情報のみを考慮して、経路の再探索を行うことが可能とされ、前記経路誘導手段が、前記再探索によって現在の誘導経路とは異なる新たな経路が探索された場合に、前記現在の誘導経路に代わって前記新たな経路を誘導経路とした前記経路誘導を行うことが可能とされ、前記交通情報取得手段による交通情報の取得状況を、最新の前記再探索に考慮された交通情報の取得状況であるか否かを判別可能な状態で表示部に表示する取得状況表示手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
そして、このような構成によれば、取得状況表示手段によって表示された交通情報取得手段による交通情報の取得状況に基づいて、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無を簡便かつ確実に把握することができ、ひいては、ダイナミックルートガイダンスに反映済みであると錯誤した未反映の交通情報によって予期しない交通規制や交通障害に遭遇することを回避することができる。
【0011】
また、前記取得状況表示手段は、前記取得状況としての前記交通情報取得手段による最新の前記交通情報の取得済み領域を、この取得済み領域における前記最新の再探索の際に前記交通情報が考慮された特定の領域の内外において互いに表示態様が異なるような状態で地図上に重畳表示する取得済み領域表示手段を有するようにしてもよい。
【0012】
そして、このような構成によれば、取得済み領域表示手段により、前記取得済み領域を、前記特定の領域の内外において表示態様が異なるような状態で地図上に重畳表示することにより、ユーザは、取得済みの交通情報が前記特定の領域内に属するか否かに基づいて、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をさらに簡便に把握することができる。なお、この場合における取得済みの交通情報の具体的な内容は、例えば、表示部にVICSレベル1〜3のいずれかのVICS情報を表示させることや、高速道路に設置された看板に表示された交通情報を見ること等によって確認すればよい。
【0013】
さらに、前記表示態様は、表示色であってもよい。そして、このような構成によれば、前記取得済み領域の表示色が、前記特定の領域の内外において互いに異なるようにすることができるので、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をより簡便に把握することができる。
【0014】
さらにまた、前記取得済み領域表示手段は、前記地図上に現在の誘導経路を強調表示してもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、現在の誘導経路と取得済みの交通情報がダイナミックルートガイダンスに反映されている領域との関係を明確に把握することができる。
【0016】
また、前記取得状況表示手段は、前記取得状況としての前記交通情報取得手段によって取得された前記交通情報のうちの現在の誘導経路上の交通情報のリストを、前記最新の再探索に考慮された交通情報であるか否かを示す付加情報をともなう状態で表示するリスト表示手段を有するようにしてもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、リスト表示手段により、現在の誘導経路上の交通情報のリストを前記付加情報をともなう状態で表示することにより、ユーザは、前記付加情報の内容に基づいて、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をさらに簡便に把握することができる。
【0018】
さらに、前記リスト表示手段は、前記リストを、このリスト中の交通情報を個別に選択可能な状態で表示し、前記経路探索手段は、前記現在の誘導経路における前記リスト中から選択された前記交通情報に対応する経路区間を回避する前記経路の探索を行うようにしてもよい。
【0019】
そして、このような構成によれば、ダイナミックルートガイダンスに未反映の交通情報に対応する経路区間を確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、取得済みの交通情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をユーザに把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示すハードウェア構成図
【図2】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、ナビCPUの具体的な構成を示すブロック図
【図3】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、VICS受信済み領域表示画面の表示状態を示す模式図
【図4】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、誘導経路上VICS情報リスト画面の表示状態を示す模式図
【図5】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、第1の動作を示すフローチャート
【図6】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、第2の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続されたGPSレシーバ3、自律航法センサ4、入力操作部5、ビーコン受信機7、FM多重レシーバ8、ディスプレイ10およびスピーカ11とによって構成されている。
【0024】
GPSレシーバ3は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。
【0025】
自律航法センサ4は、自車両の加速度、車速および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0026】
入力操作部5は、ナビゲーション装置1に対する種々の入力操作に用いられるようになっている。この入力操作部5は、リモコン、ディスプレイ10のタッチパネル、リニアエンコーダまたはロータリエンコーダ等であってもよい。
【0027】
ビーコン受信機7は、主に高速道路に設置されている電波ビーコンまたは主に一般道に設置されている光ビーコンによって送信された交通情報としてのVICS情報を受信するようになっている。
【0028】
FM多重レシーバ8は、ナビゲーション装置1側において選局されたFM放送局からFM多重放送によって送信された当該FM放送局のカバーエリア内のVICS情報を受信するようになっている。
【0029】
電波ビーコン、光ビーコンおよびFM放送局には、VICSセンタから所定時間間隔で逐次更新されたVICS情報が配信されるようになっており、この配信されたVICS情報が電波ビーコン、光ビーコンまたはFM放送局によってナビゲーション装置1側に逐次送信されるようになっている。各VICS情報には、リンクの識別番号(リンクID)が対応付けられているので、ナビゲーション装置1は、このリンクIDと、ナビゲーション装置1に格納された地図データ中の各リンクのリンクIDとを比較して、VICS情報に対応する地点もしくは区間を把握することができるようになっている。
【0030】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス12にそれぞれ接続されたナビCPU14、ハードディスクドライブ(HDD)15、フラッシュメモリ16およびRAM17を有している。
【0031】
ここで、ナビCPU14は、地図表示機能、自車位置算出機能、経路探索機能、経路誘導機能、検索機能および各種操作画面の表示機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0032】
ハードディスクドライブ15は、地図データ記憶手段として機能するようになっており、このハードディスクドライブ15には、地図データが記憶されている。地図データは、その詳細度および領域面積に応じて複数層のレベルに階層化されて管理されている。また、地図データは、道路データ、背景データ、道路ネットワークデータおよび検索データの各データを有している。このうち、道路データは、形状補間点、セグメント、リンク、ノード、リンク列、道路名称、通行条件および交通看板等を基本データ要素としており、リンクには、リンクIDが付与されている。また、背景データは、点、ポリライン、ポリゴンおよびテキスト等を基本データ要素としている。さらに、道路ネットワークデータは、ノード、リンクおよび通行条件等を基本データ要素としており、この道路ネットワークデータは、経路探索機能の実行に用いられるようになっている。さらにまた、検索データは、エリア名称、住所、郵便番号およびPOI(Points of Interest)等を基本データ要素としている。また、ハードディスクドライブ15には、全国のFM放送局のカバーエリアを示すカバーエリア情報が、地図データと対応付けられた状態(例えば、FM周波数と2次メッシュとが対応された状態)で記憶されている。さらに、ハードディスクドライブ15には、ナビCPU14の実行プログラムが記憶されている。
【0033】
また、フラッシュメモリ16には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU14によってハードディスクドライブ15から読み出されたナビCPU14の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU14によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0034】
さらに、RAM17は、ナビCPU14による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。また、RAM17には、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によって受信された最新のVICS情報がナビCPU14によって一時的に保存されるようになっている。このとき、ナビCPU14は、VICS情報をビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8による受信時刻と対応付けて保存してもよい。
【0035】
次に、ナビCPU14について図2を用いて詳述すると、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、目的地設定手段としての目的地設定部19を有しており、この目的地設定部19は、ディスプレイ10にナビゲーションの目的地を設定するための目的地設定用の操作画面を表示した上で、この操作画面に対するユーザの入力操作部5を用いた入力操作に応じた目的地を設定するようになっている。目的地の検索には、地図データにおける検索データが用いられるようになっている。
【0036】
また、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、自車位置検出手段としての自車位置算出部20を有しており、この自車位置算出部20には、GPSレシーバ3から出力されたGPS情報および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部20は、GPSレシーバ3側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として算出する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部20は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部20は、ハードディスクドライブ15に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部20は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0037】
さらに、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部21を有している。この地図描画部21は、ハードディスクドライブ15に記憶されている地図データを用いることによって、所定の領域(例えば、自車位置の周辺)を示す地図を生成するようになっている。なお、この地図描画部21によって生成される地図には、後述するVICS受信済み領域表示画面上の地図33(図3参照)も含まれている。そして、地図描画部21は、生成された地図をディスプレイ11に表示するようになっている。
【0038】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、経路探索手段としての経路探索部22を有している。この経路探索部22は、自車位置算出部20によって算出された自車位置から目的地設定部19によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適な経路(以下、最適経路と称する)の探索(換言すればルート計算)を行うようになっている。なお、経路探索条件には、例えば、目的地まで最短時間で到達することができる経路を探索する旨の条件等のデフォルトもしくはユーザ操作によって設定された条件がある。この最適経路の探索(以下、経路探索処理と称する)には、ハードディスクドライブ15に記憶されている地図データにおける道路ネットワークデータ(いわゆる経路計算データ)が用いられるようになっている。また、経路探索処理には、経路探索条件、リンク長および道路種別等に応じた道路や交差点の通過し難さを数値化したコストに基づいた公知のコスト計算が用いられ、経路探索処理の過程で選出された自車位置から目的地までの複数の経路(最適経路の候補)のうち、経路全体のコスト値が最も低くなる経路を最適経路とするようになっている。ただし、本実施形態において、経路探索部22は、経路探索処理を、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって受信されたVICS情報を考慮しつつ行うことが可能とされている。このようなVICS情報を考慮した経路探索処理において、経路探索部22は、例えば、渋滞や混雑の発生しているリンクに対応するコストを高く設定することによって、そのリンクを通り難くして(すなわち、そのリンクを含む経路が最適経路として選ばれ難くして)、渋滞や混雑を回避する最適経路を探索するようになっている。そして、経路探索部22は、このような経路探索処理によって探索された最適経路を、誘導経路(後述する経路誘導の対象となる経路)の候補としてディスプレイ10に選択可能な状態で表示することによって、最適経路をユーザに提示するようになっている。
【0039】
また、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部23を有している。この経路誘導部23は、経路探索部22によってユーザに提示された最適経路が入力操作部5を用いたユーザ操作によって誘導経路に設定された場合には、その誘導経路に沿って自車両を目的地へと誘導する経路誘導(換言すればルート案内)を開始するようになっている。この経路誘導は、例えば、ディスプレイ10に交差点拡大図を表示することや、地図描画部21によってディスプレイ10に表示された地図上に、経路探索部22によって探索された経路の画像を重畳表示すること、あるいは、スピーカ11を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0040】
さらに、本実施形態において、ナビCPU14には、経路誘導中における交通情報の変化に応じた最適経路の再探索をともなう経路誘導を行うダイナミックルートガイダンスの機能が備えられている。すなわち、本実施形態において、経路探索部22は、目的地が設定された際における経路探索処理(最初の探索)を行い、この経路探索処理によって探索された最適経路を誘導経路とした経路誘導が開始された後すなわち経路誘導中においても、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって新たに受信されたVICS情報を考慮して、最適経路の再探索を行うようになっている。この再探索(以下、再探索処理と称する)は、動的経路探索と称されることもある。また、再探索処理の実行条件(トリガー)としては、例えば、前回の経路探索処理(再探索処理も含む)から一定時間が経過したこと、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって新たなVICS情報が受信されたこと、もしくはこれらの双方の条件が満たされたこと等の種々の条件を経路探索部22に設定することができる。さらに、経路探索部22には、再探索処理の際にVICS情報を考慮すべき領域として、自車位置の近辺の所定領域(以下、再探索時交通情報考慮領域と称する)が設定されている。この再探索時交通情報考慮領域は、自車位置に応じて変位するものであるので、地図データ上の絶対位置として規定されているのではなく、自車位置を基準とした領域の広がりとして規定されている。そして、経路探索部22は、再探索処理の際には、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって受信された最新のVICS情報のうちの再探索時交通情報考慮領域内のVICS情報のみを考慮するようになっている。すなわち、再探索処理において、経路探索部22は、まず、自車位置算出部20によって算出された自車位置に対応する現在の再探索時交通情報考慮領域内の道路ネットワークデータをハードディスクドライブ15やRAM17から取得する。次いで、経路探索部22は、取得された再探索時交通情報考慮領域内の道路ネットワークデータ中の各リンクのリンクIDと、最新のVICS情報に対応付けられた当該VICS情報に付随するリンクIDとを比較することによって、再探索時交通情報考慮領域内のVICS情報を抽出する。そして、経路探索部22は、抽出されたVICS情報に対応する道路ネットワークデータ中のリンクのコストをVICS情報の内容に応じた値に設定した上で、コスト計算によって最適経路を探索する。なお、この再探索処理には、現在の誘導経路よりも目的地までの所要時間が所定時間(例えば、10分)以上短くなる等の独自の条件が設定されていてもよい。このような再探索処理に用いられる再探索時交通情報考慮領域は、例えば、自車位置に対して進行方向前方に所定距離(例えば、20km)の広がりを有するとともに、自車位置に対して左右両側方に所定距離の広がりを有するような所定形状(例えば、楕円形状)の領域であってもよい。その他、再探索時交通情報考慮領域としては、特許文献1の図14に示すような種々の態様の領域を適用することができる。なお、経路探索部22は、再探索処理を実行する動作モードが設定されている場合であっても、VICS情報を考慮した経路探索処理を最初に行う際には、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によって受信された最新のVICS情報のすべてを考慮するようになっている。そして、経路探索部22は、このような再探索処理によって、現在の誘導経路とは異なる最適経路(以下、新たな最適経路と称する)が探索された場合に、探索された新たな最適経路を、誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。そして、経路誘導部23は、経路探索部22によって提示された新たな最適経路が入力操作部5を用いたユーザ操作によって誘導経路として決定された場合には、現在の誘導経路に代わって当該新たな最適経路を誘導経路とした経路誘導を行うようになっている。このようにして、経路誘導中におけるVICS情報の変化に応じた再探索処理およびこの再探索処理の結果に応じた誘導経路の変更をともなうダイナミックルートガイダンスが行われるようになっている。
【0041】
さらにまた、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、道路交通情報表示手段としてのVICS情報描画部24を有しており、このVICS情報描画部24は、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって受信されたVICS情報をディスプレイ10に表示するようになっている。このとき、VICS情報描画部24は、入力操作部5を用いた入力操作によってユーザが選択したレベルのVICS情報を表示するようになっている。具体的には、VICS情報描画部24は、レベル1が選択された場合には、VICS情報を文字情報として表示し、レベル2が選択された場合には、VICS情報を簡易図形を用いて表示し、レベル3が選択された場合には、VICS情報を地図描画部21によって表示される地図上に重畳表示するようになっている。
【0042】
そして、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によるVICS情報の取得状況を、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報の取得状況であるか否かを判別可能な状態でディスプレイ10に表示する取得状況表示手段を備えている。
【0043】
すなわち、図2に示すように、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、取得済み領域表示手段としてのVICS受信済み領域描画部26を有している。このVICS受信済み領域描画部26は、取得済み領域として、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によって最新のVICS情報が受信された領域(以下、VICS受信済み領域と称する)を地図上に重畳された状態でディスプレイ10に表示するようになっている。このとき、VICS受信済み領域描画部26は、VICS受信済み領域における最新の再探索処理の際にVICS情報が考慮された特定の領域の内外において、VICS受信済み領域の表示態様を互いに異ならせるようになっている。このVICS受信済み領域は、前記取得状況の一態様である。ここで、VICS受信済み領域における特定の領域は、VICS受信済み領域のうちの最新のダイナミックルートガイダンス(DRG)に反映された領域ということができる。以下、このVICS受信済み領域における特定の領域のことを、最新VICS情報内DRG反映済み領域と称する。
【0044】
そして、このようなVICS受信済み領域の表示を行うためのより具体的な構成として、図2に示すように、VICS受信済み領域描画部26は、その機能ブロックの1つとして、VICS受信済み領域特定部27を有しており、このVICS受信済み領域特定部27は、VICS受信済み領域を特定するようになっている。具体的には、VICS受信済み領域特定部27は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によってVICS情報が受信された際に、受信されたVICS情報をRAM17から取得する。次いで、VICS受信済み領域特定部27は、取得されたVICS情報に対応付けられているリンクIDを、地図データ中のリンクIDと比較する。なお、このとき用いられる地図データは、地図描画部21によって自車位置周辺の地図の描画のためにハードディスクドライブ15内からRAM17上に読み出されているものであってもよい。そして、VICS受信済み領域特定部27は、当該比較の結果、VICS情報に対応付けられた各リンクIDに該当するリンク群(以下、第1の該当リンク群と称する)によって占められる領域を演算し、演算された領域をVICS受信済み領域として特定する。この場合に、VICS受信済み領域特定部27は、例えば、第1の該当リンク群の各リンク端(ノード)および形状補間点の座標情報に基づいて、第1の該当リンク群のすべてを含むような最小面積の楕円領域を求め、この求められた楕円領域をVICS受信済み領域として算出してもよい。ただし、受信されるVICS情報の情報量によっては、前述したリンクIDの比較によるVICS受信済み領域の演算が困難な場合もある。このような場合には、次のような方法で、おおよそのVICS受信済み領域を特定すればよい。例えば、VICS受信済み領域におけるFM多重放送に対応する領域については、現在のFM多重放送の周波数に基づいてVICS情報の受信先のFM放送局を特定し、特定されたFM放送局に対応するカバーエリアを、地図データ内のカバーエリア情報を用いて照合し、照合されたカバーエリアを、当該FM多重放送に対応する領域として特定すればよい。また、VICS受信済み領域における光ビーコンに対応する領域については、光ビーコンが、その設置位置から進行方向前方30km、後方1kmの情報を提供するという特性を利用して、光ビーコンからのVICS情報の受信位置および受信位置における自車両の進行方向に基づいて領域を特定すればよい。なお、光ビーコンの特性は、光ビーコン特性情報としてハードディスクドライブ15に格納しておき、この情報をVICS受信済み領域特定部27が利用すればよい。さらに、VICS受信済み領域における電波ビーコンに対応する領域については、電波ビーコンが、その設置位置から進行方向前方200kmの情報を提供するという特性を利用して、電波ビーコンからのVICS情報の受信位置および受信位置における自車両の進行方向に基づいて領域を特定すればよい。なお、電波ビーコンの特性についても、電波ビーコン特性情報としてハードディスクドライブ15に格納しておき、この情報をVICS受信済み領域特定部27が利用すればよい。
【0045】
そして、VICS受信済み領域特定部27は、特定されたVICS受信済み領域を、RAM17に記録するようになっている。なお、最新のVICS情報は、逐次更新されるものであるため、VICS受信済み領域特定部27によって特定されるVICS受信済み領域も時々刻々と変化するものである。したがって、VICS受信済み領域特定部27は、VICS情報が更新される度にRAM17に記録されるVICS受信済み領域を逐次更新すればよい。
【0046】
また、図2に示すように、VICS受信済み領域描画部26は、その機能ブロックの1つとして、DRG反映済み領域特定部28を有しており、このDRG反映済み領域特定部28は、経路探索部22による最新の再探索処理の際にVICS情報が考慮された領域(以下、DRG反映済み領域と称する)を特定するようになっている。具体的には、DRG反映済み領域特定部28は、経路探索部22によって再探索処理が行われた際に、この再探索処理に考慮されたVICS情報を経路探索部22から取得する。この動作は、実際には、経路探索部22が、RAM17に保存された最新のVICS情報のうち、再探索処理に考慮したVICS情報(再探索時交通情報考慮領域内のVICS情報)にフラグを立て、DRG反映済み領域特定部28が、このフラグが立てられたVICS情報をRAM17から抽出する動作であってもよい。次いで、DRG反映済み領域特定部28は、経路探索部22から取得された再探索処理に考慮されたVICS情報とリンクIDが一致するようなリンク群(以下、第2の該当リンク群と称する)を、地図データにおける道路ネットワークデータから抽出する。そして、DRG反映済み領域特定部28は、抽出された第2の該当リンク群によって占められる領域を演算し、演算された領域をDRG反映済み領域として特定する。このとき、DRG反映済み領域特定部28は、第2の該当リンク群の各リンク端(ノード)および形状補間点の座標情報に基づいて、第2の該当リンク群のすべてを含むような最小面積の楕円領域を求め、この求められた楕円領域をDRG反映済み領域として算出してもよい。
【0047】
そして、DRG反映済み領域特定部28は、特定されたDRG反映済み領域を、RAM17に記録するようになっている。なお、再探索処理は、その条件が満足される度に逐次繰り返されるものであるため、DRG反映済み領域特定部28によって特定されるDRG反映済み領域も時々刻々と変化するものである。したがって、DRG反映済み領域特定部28は、再探索処理が繰り返される度に、RAM17に記録されるDRG反映済み領域を逐次更新すればよい。なお、DRG反映済み領域の更新周期は、VICS受信済み領域の更新周期と異なってもよい。
【0048】
さらに、図2に示すように、VICS受信済み領域描画部26は、その機能ブロックの1つとして、受信済み領域描画処理部29を有している。この受信済み領域描画処理部29は、入力操作部5を用いたユーザ操作(操作画面の操作)によってVICS受信済み領域の表示が指示された場合に、RAM17に記録されたVICS受信済み領域の情報(最新情報)とDRG反映済み領域の情報(最新情報)とをRAM17から読み出すようになっている。そして、受信済み領域描画処理部29は、読み出されたVICS受信済み領域とDRG反映済み領域とを比較することによって、DRG反映済み領域のうちのVICS受信済み領域に含まれる領域を最新VICS情報内DRG反映済み領域と決定するようになっている。なお、再探索処理の周期によっては、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報が、ナビゲーション装置1側で受信されている最新のVICS情報よりも新鮮度が古い場合がある。このような場合、DRG反映済み領域のすべてがVICS受信済み領域に含まれるとは限らない。したがって、DRG反映済み領域のすべてが最新VICS情報内DRG反映済み領域に決定されるとは限らない。そして、このようにして最新VICS情報内DRG反映済み領域を決定した上で、受信済み領域描画処理部29は、VICS受信済み領域を、決定された最新VICS情報内DRG反映済み領域の内外において互いに表示態様が異なるような状態で地図上に重畳表示するようになっている。なお、受信済み領域描画処理部29は、このVICS受信済み領域の表示の際に、地図描画部21の地図描画機能を用いるようにしてもよい。
【0049】
ここで、図3は、このようなVICS受信済み領域描画部26によって表示されるVICS受信済み領域の表示例としてのVICS受信済み領域表示画面32を示すものである。図3のVICS受信済み領域表示画面32においては、自車位置および目的地を含む一定領域の地図33上に、VICS受信済み領域を示す画像34が重畳表示されている。また、VICS受信済み領域を示す画像34のうち、最新VICS情報内DRG反映済み領域を示す部分34aは、それ以外の部分(周辺部分)とは表示態様としての表示色が異なっている。さらに、地図33上には、受信済み領域描画処理部29によって現在の誘導経路を示す画像35が強調表示されている。この現在の誘導経路の情報は、経路誘導部23から取得されたものである。また、誘導経路を示す画像35は、VICS受信済み領域の内外において互いに異なる表示色(表示態様)で表示されている。そして、ユーザは、このVICS受信済み領域表示画面32を、別画面においてVICS情報描画部24によって表示されるVICS情報と比較することにより、受信済みのVICS情報が最新VICS情報内DRG反映済み領域に属するか否かに基づいて、受信済みのVICS情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無を簡便に把握することができる。
【0050】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、ナビCPU14は、その機能ブロックの1つとして、リスト表示手段としてのリスト描画部37を有している。このリスト描画部37は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によって受信されたVICS情報のうちの現在の誘導経路上のVICS情報のリスト(以下、誘導経路上VICSリストと称する)をディスプレイ10に表示するようになっている。このとき、リスト描画部37は、誘導経路上VICSリストを、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報であるか否かを示す付加情報をともなう状態で表示するようになっている。この誘導経路上VICSリストは、前記取得状況の一態様である。
そして、このような誘導経路上VICSリストを表示するためのより具体的な構成として、図2に示すように、リスト描画部37は、その機能ブロックの1つとして、誘導経路上VICS情報抽出部38を有している。この誘導経路上VICS情報抽出部38は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によってVICS情報が受信された場合に、受信されたVICS情報に対応付けられたリンクIDと、経路誘導部23に設定されている現在の誘導経路を構成するリンクのリンクIDとを比較するようになっている。なお、この比較は、受信されたVICS情報を用いた再探索処理の実行の有無および再探索処理が実行される場合における再探索処理にともなう誘導経路の変更の有無を待って行うようにしてもよい。そして、当該比較により、誘導経路上VICS情報抽出部38は、受信されたVICS情報の中から現在の誘導経路上のVICS情報(以下、誘導経路上VICS情報と称する)を抽出するようになっている。なお、誘導経路上VICS情報抽出部38は、受信されたVICS情報のうちの誘導経路上VICS情報以外のVICS情報を、ユーザがマニュアル操作によってVICS情報を考慮したリルートを行う際に利用するためのVICS情報としてRAM17に記録しておくようにしてもよい。
【0051】
また、図2に示すように、リスト描画部37は、その機能ブロックの1つとして、リスト記録部39を有しており、このリスト記録部39は、誘導経路上VICS情報抽出部38によって抽出された誘導経路上VICS情報から、交通規制または交通障害を示す情報(以下、誘導経路上規制/障害情報と称する)を抽出するようになっている。そして、リスト記録部39は、誘導経路上規制/障害情報が抽出された場合には、抽出された誘導経路上規制/障害情報を、経路誘導部23に設定されている現在の誘導経路と対応付けた状態でRAM17内にリスト形式の情報(誘導経路上VICSリスト)として記録するようになっている。なお、リスト記録部39は、誘導経路上規制/障害情報の記録の際に、その情報のビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8による受信時刻も、その情報に対応付けて記録するようにしてもよい。
【0052】
このリスト記録部39による誘導経路上規制/障害情報の記録は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8によるVICS情報の受信の度に逐次繰り返されることになる。このとき、誘導経路に変化がない場合には、同一の誘導経路を対象とした誘導経路上規制/障害情報の記録が繰り返されることになる。この場合に、リスト記録部39は、抽出された最新の誘導経路上規制/障害情報と、記録済みの誘導経路上規制/障害情報とを比較することによって、最新の誘導経路上規制/障害情報のうちの未記録の新たな情報のみを誘導経路上VICSリストに追加するようになっている。また、この場合に、リスト記録部39は、誘導経路上の同一の地点または区間の誘導経路上規制/障害情報が変化した場合には、変化後の新たな情報を変化前の情報に上書きするようになっている。この上書きには、記録された交通規制や交通障害が解消された場合に、その記録を消去する処理も含んでいる。このようにして、リスト記録部39は、現在の誘導経路上の各地点または区間ごとの最新の規制/障害情報を示す誘導経路上VICSリストを形成するようになっている。
【0053】
一方、最新の再探索処理にともなって誘導経路が変更される場合には、誘導経路上規制/障害情報も変化することになる。この場合に、リスト記録部39は、変更前の誘導経路についての誘導経路上規制/障害情報(記録済みの情報)の中に、新たな誘導経路上の地点または区間に属し、かつ、その地点または区間において現在でも最新とみなされる規制/障害情報(更新されていない規制/障害情報)があるか否かを、リンクID等に基づいて判断するようになっている。そして、リスト記録部39は、当該更新されていない規制/障害情報がある場合には、その規制/障害情報を、新たな誘導経路の誘導経路上規制/障害情報として記録するようになっている。これは、新たな誘導経路と変更前の誘導経路との間で一部の経路区間が一致する(変化しない)場合があることを利用したものであり、これにより、記録済みの情報を有効に利用することができる。
【0054】
さらに、図2に示すように、リスト描画部37は、その機能ブロックの1つとして、付加情報記録部40を有している。この付加情報記録部40は、経路探索部22によって最新の再探索処理が行われた際に、経路探索部22から、当該再探索処理に考慮されたVICS情報を取得するようになっている。この動作は、実際には、経路探索部22が、RAM17に保存された最新のVICS情報のうち、再探索処理に考慮したVICS情報(再探索時交通情報考慮領域内のVICS情報)にフラグを立て、付加情報記録部40が、このフラグが立てられたVICS情報をRAM17から抽出する動作であってもよい。このようにして最新の再探索処理に考慮されたVICS情報を取得した上で、付加情報記録部40は、リスト記録部39が誘導経路上規制/障害情報を誘導経路上VICSリストとして記録する際に、その誘導経路上規制/障害情報が当該再探索処理に考慮されたVICS情報に一致するか否かを判定するようになっている。そして、付加情報記録部40は、当該判定の結果に応じた付加情報を生成するようになっている。具体的には、付加情報記録部40は、リスト記録部39が記録しようとしている誘導経路上規制/障害情報のうち、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報と一致する情報については、最新の再探索処理に考慮されたことを示す付加情報を生成するようになっている。一方、付加情報記録部40は、リスト記録部39が記録しようとしている誘導経路上規制/障害情報のうち、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報と一致しない情報については、最新の再探索処理に考慮されなかったことを示す付加情報を生成するようになっている。そして、付加情報記録部40は、生成された付加情報を、対応する誘導経路上規制/障害情報に対応付けた状態で誘導経路上VICSリストの一部としてRAM17に記録するようになっている。
【0055】
さらにまた、図2に示すように、リスト描画部37は、その機能ブロックの1つとして、リスト描画処理部41を有している。このリスト描画処理部41は、入力操作部5を用いたユーザ操作(操作画面の操作)によって誘導経路上VICSリストの表示が指示された場合に、RAM17に記録された誘導経路上VICSリストの情報をRAM17から読み出すようになっている。そして、リスト描画処理部41は、読み出された誘導経路上VICSリストをディスプレイ10に表示するようになっている。このとき、リスト描画処理部41は、誘導経路上VICSリストを、このリスト中の各VICS情報を入力操作部5を用いて個別に選択可能な状態で表示するようになっている。なお、リスト描画処理部41は、前述したVICS受信済み領域特定部27による特定結果と、経路誘導部23に設定されている現在の誘導経路とを比較して、現在の誘導経路上におけるVICS情報の未受信区間を抽出し、抽出された未受信区間を誘導経路上VICSリスト上に文字表示するようにしてもよい。
【0056】
ここで、図4は、このようなリスト描画部37によって表示される誘導経路上VICSリストの表示例としての誘導経路上VICSリスト画面43を示すものである。図4の誘導経路上VICSリスト画面43においては、複数のリスト項目として、複数の誘導経路上規制/障害情報が、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8による受信時刻、VICS情報の発生地点もしくは区間、規制内容および付加情報と対応した状態で表示されている。ここで、図4における付加情報は、ダイナミックルートガイダンス(DRG)に反映済みであるか否かを示す情報とされている。そして、ユーザは、この誘導経路上VICSリスト画面43の付加情報の内容(DRG反映済みか否か)に基づいて、受信済みのVICS情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無を簡便に把握することができる。
【0057】
上記構成に加えて、さらに、本実施形態において、経路探索部22は、誘導経路上VICSリストの中から、入力操作部5を用いたユーザ操作によって1つあるいは複数の誘導経路上規制/障害情報が選択されると、選択された誘導経路上規制/障害情報に対応する経路区間を回避する最適経路を探索するための経路探索処理を行うようになっている。この経路探索処理は、VICS情報を考慮しつつ行われるようになっている。この経路探索処理には、前述した誘導経路上VICS情報抽出部38によってRAM17に記録された誘導経路上VICS情報以外のVICS情報が利用されるようにしてもよい。そして、経路探索部22は、この経路探索処理によって探索された経路を新たな誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。これにより、ダイナミックルートガイダンスに未反映のVICS情報に対応する経路区間を確実に回避することができる。
【0058】
次に、本実施形態の作用として、本実施形態におけるナビゲーション装置1の主要な2つの動作について説明する。
【0059】
(第1の動作)
図5は、ナビゲーション装置1の第1の動作を示すフローチャートである。なお、図5の初期状態において、ナビゲーション装置1には、入力操作部5を用いたユーザ操作によってダイナミックルートガイダンスを行う旨の動作モードが設定されており、この動作モードの下で、経路誘導部23が、経路探索部22によるVICS情報を考慮した経路探索処理(再探索処理を含む)によって探索された最適経路を誘導経路とした経路誘導を行っているものとする。
【0060】
そして、初期状態から、まず、図5のステップ1(ST1)において、ビーコン受信機7またはFM多重レシーバ8によって、最新のVICS情報を受信して、ステップ2(ST2)に進むと同時に、ステップ4(ST4)に進む。
【0061】
ここで、ステップ2(ST2)以降の処理について先に説明すると、まず、ステップ2(ST2)においては、VICS受信済み領域特定部27により、ステップ1(ST1)において受信されたVICS情報に基づいてVICS受信済み領域を前述した手法によって特定する。
【0062】
次いで、ステップ3(ST3)において、VICS受信済み領域特定部27により、ステップ2(ST2)において特定されたVICS受信済み領域をRAM17に記録してステップ1(ST1)に戻る。これにより、VICS受信済み領域の記録(更新)が、最新のVICS情報の受信の度に繰り返されることになる。
【0063】
一方、ステップ4(ST4)においては、経路探索部22により、再探索処理の実行条件が満たされたか否かを判定し、満たされた場合には、ステップ5(ST5)に進み、満たされていない場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0064】
次いで、ステップ5(ST5)において、経路探索部22により、前述した手法によって再探索処理を行って、ステップ6(ST6)に進むと同時にステップ11(ST11)に進む。
【0065】
ここで、ステップ6(ST6)以降の処理について先に説明すると、ステップ6(ST6)においては、経路探索部22により、ステップ5(ST5)における再探索処理によって新たな最適経路が探索されたか否かを判定し、新たな最適経路が探索された場合にはステップ7(ST7)に進み、探索されなかった場合にはステップ10(ST10)に進む。
【0066】
ここで、ステップ7(ST7)に進む場合には、新たな最適経路を誘導経路の候補としてユーザに提示してステップ8(ST8)に進む。一方、ステップ10(ST10)に進む場合には、現在の誘導経路を維持してステップ1(ST1)に戻る。
【0067】
次いで、ステップ8(ST8)において、DRG反映済み領域特定部28により、ステップ7(ST7)において提示された新たな最適経路がユーザ操作によって新たな誘導経路に設定されたか否かを判定し、設定された場合には、ステップ9(ST9)に進み、設定されていない場合には、ステップ10(ST10)に進む。
【0068】
次いで、ステップ9(ST9)において、経路誘導部23により、ステップ5(ST5)において探索された新たな最適経路を誘導経路に設定してステップ1(ST1)に戻る。
【0069】
次に、ステップ11(ST11)以降の処理について説明すると、ステップ11(ST11)においては、DRG反映済み領域特定部28により、ステップ5(ST5)における再探索処理に用いられたVICS情報に基づいて、DRG反映済み領域を特定する。
【0070】
次いで、ステップ12(ST12)において、DRG反映済み領域特定部28により、ステップ11(ST11)において特定されたDRG反映済み領域をRAM17に記録する。
【0071】
次いで、ステップ13(ST13)において、受信済み領域描画処理部29により、VICS受信済み領域の表示の指示の有無を判定し、指示があった場合には、ステップ14(ST14)に進み、指示がなかった場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0072】
次いで、ステップ14(ST14)において、受信済み領域描画処理部29により、RAM17に記録されているVICS受信済み領域とDRG反映済み領域とを読み出し、両領域を比較することによって、最新VICS情報内DRG反映済み領域を決定する。
【0073】
次いで、ステップ15(ST15)において、受信済み領域描画処理部29により、例えば、図3のVICS受信済み領域表示画面32のように、VICS受信済み領域を、ステップ14(ST14)において決定された最新VICS情報内DRG反映済み領域の内外において表示態様が異なる状態で地図上に重畳表示して処理を終了する。
【0074】
(第2の動作)
図6は、ナビゲーション装置1の第2の動作を示すフローチャートである。なお、図6の初期状態は、図5と同様である。
【0075】
また、ステップ1(ST1)およびステップ4(ST4)〜ステップ10(ST10)の処理は第1の動作と同様であるため、必要な部分以外は説明を省略する。
【0076】
図6に示すように、第2の動作においては、ステップ4(ST4)において否定的な判定結果が得られた場合における次工程、ステップ9(ST9)の次工程およびステップ10(ST10)の次工程として、図6のステップ21(ST21)の処理が行われる。
【0077】
すなわち、ステップ21においては、誘導経路上VICS情報抽出部38により、ステップ1(ST1)において受信されたVICS情報と、経路誘導部23に設定されている現在の誘導経路とに基づいて、前述した手法によって誘導経路上VICS情報の抽出を行う。
【0078】
次いで、ステップ22(ST22)において、リスト記録部39により、ステップ21(ST21)において誘導経路上VICS情報が抽出されたか否かを判定し、抽出された場合には、ステップ23(ST23)に進み、抽出されなかった場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0079】
次いで、ステップ23(ST23)において、リスト記録部39により、ステップ21(ST21)において抽出された誘導経路上VICS情報から誘導経路上規制/障害情報を抽出する。
【0080】
次いで、ステップ24(ST24)において、リスト記録部39により、ステップ23(ST23)において誘導経路上規制/障害情報が抽出されたか否かを判定し、抽出された場合には、ステップ25(ST25)に進み、抽出されなかった場合には、ステップ30(ST30)に進む。
【0081】
ステップ25(ST25)においては、リスト記録部39により、誘導経路上規制/障害情報を誘導経路上VICSリストとしてRAM17に記録(図6におけるリスト記録)してステップ26(ST26)に進む。このとき、ステップ25−2(ST25−2)に示すように、付加情報記録部40により、リスト記録部39が記録しようとしている誘導経路上規制/障害情報が、ステップ5(ST5)における最新の再探索処理に考慮されたVICS情報と一致するか否かを、各規制/障害情報ごとに判定する。この判定は、ステップ5(ST5)の再探索処理が行われた際に付加情報記録部40が経路探索部22から取得した当該再探索処理に考慮されたVICS情報を用いて行う。そして、ステップ25−2(ST25−2)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ25−3(ST25−3)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ25−4(ST25−4)に進む。なお、ステップ4(ST4)から直接ステップ21(ST21)に進んだ後にステップ21(ST21)からステップ24(ST24)の各工程を経てステップ25に進んだ場合には、ステップ1(ST1)において受信されたVICS情報を用いた再探索処理が行われていないので、この場合には、ステップ25−4(ST25−4)に進むようにすればよい。次いで、ステップ25−3(ST25−3)に進んだ誘導経路上規制/障害情報に対しては、付加情報記録部40により、最新の再探索処理に考慮されたことを示す付加情報(図6における「DRG反映済み」付加情報)を生成し、この付加情報を当該誘導経路上規制/障害情報に対応付けた状態で誘導経路上VICSリストの一部としてRAM17に記録する。また、ステップ25−4(ST25−4)に進んだ誘導経路上規制/障害情報に対しては、付加情報記録部40により、最新の再探索処理に考慮されなかったことを示す付加情報(図6における「DRG未反映」付加情報)を生成し、この付加情報を当該誘導経路上規制/障害情報に対応付けた状態で誘導経路上VICSリストの一部としてRAM17に記録する。
【0082】
一方、ステップ30(ST30)においては、リスト記録を行わずにステップ1(ST1)に戻る。
【0083】
次いで、ステップ26(ST26)において、リスト描画処理部41により、誘導経路上VICSリストの表示の指示の有無を判定し、指示があった場合には、ステップ27(ST27)に進み、指示がなかった場合には、ステップ1(ST1)に戻る。
【0084】
次いで、ステップ27(ST27)において、リスト描画処理部41により、例えば、図4の誘導経路上VICSリスト画面43のような付加情報をともなう誘導経路上VICSリストをディスプレイ10に表示する。
【0085】
次いで、ステップ28(ST28)において、経路探索部22により、ステップ27(ST27)において表示された誘導経路上VICSリストに対してVICS情報を選択する操作が行われたか否かを判定し、当該操作が行われた場合には、ステップ29(ST29)に進み、当該操作が行われなかった場合には、処理を終了する。
【0086】
次いで、ステップ29(ST29)においては、経路探索部22により、ステップ28(ST28)において選択されたVICS情報に対応する経路区間を回避する最適経路を探索する経路探索処理を行って処理を終了する。この場合、当該経路区間を回避する最適経路が探索された場合には、探索された経路が誘導経路の候補としてユーザに提示されることになる。
【0087】
以上述べたように、本発明によれば、VICS受信済み領域描画部26により、VICS受信済み領域を、最新VICS情報内DRG反映済み領域の内外において表示態様が異なるような状態で地図上に重畳表示すること、または、リスト描画部27により、誘導経路上VICSリストを、最新の再探索処理に考慮されたVICS情報であるか否かを示す付加情報をともなう状態で表示することにより、VICS情報のダイナミックルートガイダンスへの反映の有無をユーザに簡便かつ確実に把握させることができる。この結果、ユーザが予期しない交通規制や交通障害に遭遇してしまうことを防止することができ、また、そのような規制・障害が発生した経路区間を、ユーザのマニュアル操作によるリルート等によって未然に回避することができる。
【0088】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することができる。
【0089】
例えば、ナビゲーション装置は、ビーコン受信機7およびFM多重レシーバ8以外の交通情報取得手段(例えば、プローブ受信機)を備えていてもよいことは勿論である。
【0090】
さらに、本発明は、VICS情報以外の交通情報、例えば、RDS/TMC(Radio Data System/Traffic Message Channel)等にも適用可能なものである。
【符号の説明】
【0091】
1 ナビゲーション装置
7 ビーコン受信機
8 FM多重レシーバ
10 ディスプレイ
15 ハードディスクドライブ
19 目的地設定部
20 自車位置算出部
22 経路探索部
23 経路誘導部
26 VICS受信済み領域描画部
37 リスト描画部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通情報を取得する交通情報取得手段と、
地図データが記憶された地図データ記憶手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに基づいて、前記交通情報取得手段によって取得された前記交通情報を考慮しつつ、前記目的地設定手段によって設定された前記目的地までの経路の探索を行う経路探索手段と、
この経路探索手段によって探索された前記経路を誘導経路とした経路誘導を行う経路誘導手段と
を備えたナビゲーション装置であって、
前記経路探索手段は、前記経路誘導手段による前記経路誘導中に、前記交通情報取得手段によって取得された前記交通情報のうちの前記自車位置検出手段によって検出された前記自車位置の近辺の設定された所定領域内の交通情報のみを考慮して、前記経路の再探索を行うことが可能とされ、
前記経路誘導手段は、前記再探索によって現在の誘導経路とは異なる新たな経路が探索された場合に、前記現在の誘導経路に代わって前記新たな経路を前記誘導経路とした前記経路誘導を行うことが可能とされ、
前記交通情報取得手段による交通情報の取得状況を、最新の前記再探索に考慮された交通情報の取得状況であるか否かを判別可能な状態で表示部に表示する取得状況表示手段を備えたこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記取得状況表示手段は、前記取得状況としての前記交通情報取得手段による最新の前記交通情報の取得済み領域を、この取得済み領域における前記最新の再探索の際に前記交通情報が考慮された特定の領域の内外において互いに表示態様が異なるような状態で地図上に重畳表示する取得済み領域表示手段を有すること
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示態様は、表示色とされていることを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記取得済み領域表示手段は、前記地図上に現在の誘導経路を強調表示すること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記取得状況表示手段は、前記取得状況としての前記交通情報取得手段によって取得された前記交通情報のうちの現在の誘導経路上の交通情報のリストを、前記最新の再探索に考慮された交通情報であるか否かを示す付加情報をともなう状態で表示するリスト表示手段を有すること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記リスト表示手段は、前記リストを、このリスト中の交通情報を個別に選択可能な状態で表示し、
前記経路探索手段は、前記現在の誘導経路における前記リスト中から選択された前記交通情報に対応する経路区間を回避する前記経路の探索を行うこと
を特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−47799(P2011−47799A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196568(P2009−196568)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】