説明

ネガ型感放射線性組成物、硬化パターン形成方法および硬化パターン

【課題】低比誘電率の硬化パターンを形成できるネガ型感放射線性組成物、それを用いた硬化パターン形成方法および該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンの提供。
【解決手段】(A)重合体、(B)感放射線性酸発生剤および(C)溶剤を含有するネガ型感放射線性組成物であって、前記重合体(A)が、(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物および(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体であって、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とするとき、前記化合物(1)由来の構成単位の含有割合が、80〜100モル%であるネガ型感放射線性組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感放射線性組成物及び硬化パターン形成方法に関する。更に詳しくは、低比誘電率の硬化パターンを形成できるネガ型感放射線性組成物、それを用いた硬化パターン形成方法および該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等における層間絶縁膜として、CVD法等の真空プロセスにより形成されたシリカ(SiO)膜が多用されている。
そして、近年、より均一な膜厚を有する層間絶縁膜を形成することを目的として、SOG(Spin on Glass)膜と呼ばれるテトラアルコキシシランの加水分解生成物を主成分とする塗布型の絶縁膜も使用されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、半導体素子等の高集積化に伴い、有機SOGと呼ばれるポリオルガノシロキサンを主成分とする低比誘電率の層間絶縁膜の開発も行なわれている(例えば、特許文献2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−36684号公報
【特許文献2】特開2003−3120号公報
【特許文献3】特開2005−213492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半導体素子等の更なる高集積化や多層化に伴い、より優れた導体間の電気絶縁性が要求されており、それに伴いより低比誘電率な層間絶縁膜が求められるようになっている。
【0005】
また、層間絶縁膜の加工は、通常、パターン転写処理の繰り返しによって行われる。一般的には、まず、層間絶縁膜層の上に多くの異なるマスク材料層を形成し、その最上部に感光性樹脂組成物を成膜する。次いで、縮小投影露光、現像により所望の回路パターンを感光性樹脂組成物に形成した後、順次積層されたマスク材料層にパターンが転写される。
そして、最後にマスク材料層から層間絶縁膜層にパターンが転写された後、マスク材料層が除去されて層間絶縁膜の加工が行われる。このように、一般に行われている層間絶縁膜の加工は非常に手間がかかり、非常に効率の悪いプロセスとなっているため、改善方法が求められている。
【0006】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、感放射線性の性質を有してパターニング可能であり、良好な解像度、露光マージン、焦点深度を有し、且つ、半導体素子等の更なる高集積化や多層化に伴い要求されている低比誘電率な層間絶縁膜として、得られる硬化パターンを用いることができるネガ型感放射線性組成物、それを用いた硬化パターン形成方法および該硬化パターン形成方法により得られる硬化パターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
[1]: (A)重合体、
(B)感放射線性酸発生剤および
(C)溶剤を含有するネガ型感放射線性組成物であって、
前記重合体(A)は、
(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物および
(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体であって、
重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とするとき、前記化合物(1)由来の構成単位の含有割合が、80〜100モル%であり、
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が、4,000〜200,000であるネガ型感放射線性組成物。
【0008】
【化1】

〔一般式(1)中、Rはフッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基および炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、Rは1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を示す。〕
【0009】
【化2】

〔一般式(2)中、Rは1価の有機基を示す。〕
[2]:前記一般式(1)のRがメチル基である[1]に記載のネガ型感放射線性組成物。
[3]:前記重合体(A)を100質量部とするとき、前記感放射線性酸発生剤の含有量が、0.1〜30質量部含有する前記[1]または[2]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物。
[4]:さらに、酸拡散抑制剤(D)を含有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物。
[5]:前記ネガ型感放射線性組成物が、放射線によりパターン形成可能な低誘電率膜形成用である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物。
[6]:
(I−1)前記[1]〜[5]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(I−2)得られた被膜をベークする工程と、
(I−3)ベークされた被膜を露光する工程と、
(I−4)露光された被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程と、
(I−5)得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を有する硬化パターンの形成方法。
[7]:前記[6]に記載の硬化パターンの形成方法によって得られる硬化パターン。
[8]:前記硬化パターンが、比誘電率1.5〜3である前記[7]に記載の硬化パターン。
[9]:(II−1)前記[1]〜[5]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布、露光、現像しネガ型ホールパターンを有するネガ型ホールパターン基板を形成する工程と、
(II−2)得られたネガ型ホールパターン基板上に、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のネガ型感放射線性組成物を塗布、露光、現像し、ネガ型ホールパターン基板上にネガ型トレンチパターンを形成し、ネガ型デュアルダマシンパターン基板を形成する工程と、
(II−3)得られたネガ型デュアルダマシンパターン基板に、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、デュアルダマシン構造を有する硬化パターンを形成する工程と、を有する硬化パターンの形成方法。
[10]:前記[9]に記載の硬化パターンの形成方法によって得られる硬化パターン。
[11]:前記硬化パターンが、比誘電率1.5〜3である前記[10]に記載の硬化パターン。
【発明の効果】
【0010】
本発明のネガ型感放射線性組成物は、感放射線性の性質を有しており、パターニングが可能であるとともに、低比誘電率な硬化パターンを容易に形成することができる。そのため、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の微細加工用材料として用いることができるだけでなく、層間絶縁膜用材料としても優れており、特に銅ダマシンプロセスを含む半導体素子に有用である。また、本発明の硬化パターン形成方法は、低比誘電率材料な層間絶縁膜を必要とする加工プロセス等において好適に用いることができ、従来の層間絶縁膜を用いた加工プロセスの効率を大幅に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】パターンの断面形状を模式的に示す説明図である。
【図2】デュアルダマシン構造を有する硬化パターンの形成方法を模式的に示す説明図である。
【図3】実施例3−4によって得られたデュアルダマシン構造を有するネガ型のパターンの断面形状の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のネガ型感放射線性組成物は、(A)重合体(以下、「重合体(A)」ともいう。)と、(B)感放射線性酸発生剤(以下、「酸発生剤(B)」ともいう。)と、(C)溶剤(以下、「溶剤(C)」ともいう。)と、を含有することを特徴とする。
【0013】
[1]重合体(A)
前記重合体(A)は、下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)、及び下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物(以下、「化合物(2)」ともいう。)から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られるものである。
【0014】
【化3】

〔一般式(1)中、Rはフッ素原子、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基またはアルキルカルボニルオキシ基を表し、Rは1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を示す。〕
【0015】
【化4】

〔一般式(2)中、Rは1価の有機基を示す。〕
【0016】
[1−1]化合物(1)
前記一般式(1)のRにおける炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されていてもよい。
更に、前記Rにおけるアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、ビニルカルボニルオキシ基、アリルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
尚、前記Rが複数存在する場合(即ち、前記aが2又は3である場合)、各Rは全て同一であってもよいし、全て又は一部が異なっていてもよい。
また、前記Rにおける1価の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アリル基、グリシジル基等が挙げられる。これらのなかでも、アルキル基、アリール基であることが好ましい。
前記アルキル基としては、例えば、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基が挙げられる。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。尚、これらのアルキル基における1又は2以上の水素原子は、フッ素原子等に置換されてもよい。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基等が挙げられる。これらのなかでも、フェニル基が好ましい。
前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基等が挙げられる。
【0017】
前記一般式(1)で表される化合物(1)の具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリ−n−プロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリ−n−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、イソプロピルトリ−tert−ブトキシシラン、イソプロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリイソプロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、
【0018】
sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルイソトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリイソプロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、tert−ブチルトリメトキシシラン、tert−ブチルトリエトキシシラン、tert−ブチルト−n−プロポキシシラン、tert−ブチルトリイソプロポキシシラン、tert−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−sec−ブトキシシラン、tert−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、tert−ブチルトリフェノキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−フェノキシシラン、
【0019】
ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジ−n−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジイソプロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジイソプロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−フェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジイソプロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−フェノキシシラン等が挙げられる。
【0020】
これらの化合物(1)のなかでも、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン等のRがアルキル基、さらに好ましくはRがメチル基である化合物が、低誘電率の硬化パターンが得られるため好ましい。
尚、これらの化合物(1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
[1−2]化合物(2)
前記一般式(2)のRにおける1価の有機基としては、前記一般式(1)のRにおける1価の有機基の説明をそのまま適用することができる。
【0022】
前記一般式(2)で表される化合物(2)の具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
これらのなかでも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが、ネガ型感放射線性組成物の焦点深度(DOF)が広くなるため好ましい。
尚、これらの化合物(2)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
[1−3]他の化合物
前記重合体(A)を得るための加水分解性シラン化合物としては、前記化合物(1)及び(2)から選ばれる加水分解性シラン化合物のみを用いることが好ましいが、必要に応じて、化合物(1)及び(2)以外にも、下記一般式(3)で表わされる加水分解性シラン化合物(以下、「他の化合物(3)」ともいう。)を併用してもよい。
(RO)3−xSi−(R−Si(OR3−y (3)
〔一般式(VIII)中、R〜Rは同一又は異なり、それぞれ1価の有機基を表し、x及びyは同一又は異なり、0〜2の数を示し、Rは酸素原子、フェニレン基、又は−(CH−で表される基(ここで、nは1〜6の整数である)を表し、zは0又は1を示す。〕
【0024】
前記一般式(3)のR〜Rにおける1価の有機基としては、それぞれ、前記一般式(1)のRにおける1価の有機基の説明をそのまま適用することができる。
また、前記一般式(3)で表され、且つz=0である場合の化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサフェノキシジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−メチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−エチルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタメトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタエトキシ−2−フェニルジシラン、1,1,1,2,2−ペンタフェノキシ−2−フェニルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジエチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,1,2,2−テトラフェノキシ−1,2−ジフェニルジシラン、
【0025】
1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリメチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリエチルジシラン、1,1,2−トリメトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリエトキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,1,2−トリフェノキシ−1,2,2−トリフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラエチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等を挙げることができる。
【0026】
これらのなかでも、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラエトキシ−1,2−ジメチルジシラン、1,1,2,2−テトラメトキシ−1,2−ジフェニルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラメチルジシラン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルジシラン等が好ましい。
【0027】
更に、前記一般式(3)で表され、且つz=1である場合の化合物の具体例としては、例えば、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−1−(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−n−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−sec−ブトキシシリル)メタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−1−(トリ−tert−ブトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジ−n−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)−2−(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、1−(ジ−n−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−n−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−sec−ブトキシシリル)エタン、1−(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)−2−(トリ−tert−ブトキシシリル)エタン、
【0028】
ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−iso−プロポキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−n−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−sec−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジ−tert−ブトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−n−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−sec−ブトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリ−tert−ブトキシシリル)ベンゼン等を挙げることができる。
【0029】
これらのなかでも、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−1−(トリメトキシシリル)メタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−1−(トリエトキシシリル)メタン、1−(ジメトキシメチルシリル)−2−(トリメトキシシリル)エタン、1−(ジエトキシメチルシリル)−2−(トリエトキシシリル)エタン、ビス(ジメトキシメチルシリル)メタン、ビス(ジエトキシメチルシリル)メタン、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(ジエトキシメチルシリル)エタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン等が好ましい。
【0030】
尚、前記一般式(3)で表されるこれらの化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
[1−4]加水分解性シラン化合物由来の構成単位の含有割合
前記重合体(A)における、前記化合物(1)由来の構成単位の含有割合は、重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とした場合に、80〜100モル%である。さらに好ましくは85〜95モル%である。この含有割合が80〜100モル%である場合には、硬化処理時のプロセスマージン(焦点深度等)と硬化膜の膜物性(低誘電率等)のバランスが良好であるため好ましい。更に、前記重合体(A)に含まれる全ての構造単位は、化合物(1)由来の構造単位および化合物(2)由来の構造単位のみからなる場合が、硬化処理時のプロセスマージン(焦点深度等)と硬化膜の膜物性(低誘電率等)のバランスが良好であるため好ましい。
【0032】
[1−5]重合体(A)の分子量
前記重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、4,000〜200,000である。さらに好ましくは7,000〜20,000である。このMwが4,000〜200,000である場合、硬化処理時のプロセスマージン(限界解像度、焦点深度および露光マージン)と硬化膜の膜物性(低誘電率等)のバランスが良好であるため好ましい。このMwが7,000〜20,000である場合、パターン形状がより矩形となるため好ましい。なお、Mwが4,000〜12,000である場合は、特に、ライン・アンド・スペースパターンを形成するのに適している。
【0033】
[1−6]炭素原子の含有率
前記重合体(A)における炭素原子の含有率は、8〜40原子%であることが好ましく、より好ましくは8〜20原子%である。この含有率が8原子%未満の場合、重合体(A)を含む感放射線性組成物を用いてシリカ系膜を形成した場合、比誘電率が十分に低い膜を得ることが困難である。一方、40原子%を超える場合、硬化処理後の膜収縮(パターン収縮)が大きく、所望のパターンが得られ難くなる。
尚、重合体(A)の炭素原子の含有率(原子%)は、重合体(A)の合成に用いた成分(加水分解性シラン化合物)の加水分解性基が完全に加水分解されてシラノール基となり、この生成したシラノール基が完全に縮合しシロキサン結合を形成した際の元素組成から求められ、具体的には以下の式から求められる。
炭素原子の含有率(原子%)=(有機シリカゾルの炭素原子数)/(有機シリカゾルの
総原子数)×100
【0034】
[1−8]重合体(A)の調製方法
前記重合体(A)は、通常、加水分解性シラン化合物[前記化合物(1)〜(3)]を出発原料として、この出発原料を有機溶媒中に溶解し、この溶液中に水を、または水中にこの溶液を、断続的に或いは連続的に添加して、加水分解縮合反応させることにより調製することができる。このとき、触媒は、予め有機溶媒中に溶解又は分散させておいてもよく、水中に溶解又は分散させておいてもよい。また、加水分解縮合反応を行うための温度は、通常、0〜100℃である。
【0035】
前記加水分解縮合反応を行うための水としては、特に限定されないが、イオン交換水を用いることが好ましい。また、前記水は、用いられる加水分解性シラン化合物のアルコキシル基1モル当たり、通常、0.25〜3モル、好ましくは0.3〜2.5モルとなる量で用いられる。
【0036】
前記有機溶媒としては、この種の用途に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、例えば、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
【0037】
前記触媒としては、例えば、金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基等が挙げられる。
前記金属キレート化合物としては、例えば、チタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物等が挙げられる。具体的には、特許文献1(特開2000−356854号公報)等に記載されている化合物等を用いることができる。
前記有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
前記無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等が挙げられる。
【0038】
前記有機塩基としては、例えば、ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等が挙げられる。
前記無機塩基としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
【0039】
これらの触媒のなかでも、金属キレート化合物、有機酸及び無機酸が好ましい。前記触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記触媒は、前記加水分解性シラン化合物100質量部に対して、通常、0.001〜10質量部、好ましくは0.01〜10質量部の範囲で用いられる。
【0040】
また、加水分解縮合反応を行った後には、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコール類等の反応副生成物の除去処理を行うことが好ましい。
反応副生成物の除去処理の方法としては、加水分解物及び/又はその縮合物の反応が進行しない方法であれば特に限定されず、例えば、反応副生成物の沸点が前記有機溶媒の沸点より低いものである場合には、減圧によって留去することができる。
【0041】
[2]酸発生剤(B)
前記酸発生剤(B)は、露光により酸を発生するものであり、露光により発生した酸の作用によって、樹脂成分が架橋し、その結果レジスト被膜の露光部がアルカリ現像液に難溶性となり、ネガ型のレジストパターンを形成する作用を有するものである。
この酸発生剤(B)としては、例えば、スルホニウム塩やヨードニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、ジスルホン類やジアゾメタンスルホン類等のスルホン化合物等が挙げられる。
【0042】
前記酸発生剤(B)の具体例としては、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート等のトリフェニルスルホニウム塩化合物;
【0043】
4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0044】
4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート等の4−t
−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム塩化合物;
【0045】
トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、トリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウムカンファースルホネート等のトリ(4−t−ブチルフェニル)スルホニウム塩化合物;
【0046】
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート等のジフェニルヨードニウム塩化合物;
【0047】
ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等のビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩化合物;
【0048】
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0049】
1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムN,N’−ビス(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニル)イミデート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等の1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム塩化合物;
【0050】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド等のスクシンイミド類化合物;
【0051】
N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等のビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド類化合物等が挙げられる。
尚、これらの酸発生剤(B)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
前記酸発生剤(B)の使用量は、レジストとしての感度及び解像性を確保する観点から、前記重合体(A)100質量部に対して、通常、0.1〜30質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部、更に好ましくは0.1〜15質量部である。この酸発生剤の使用量が0.1質量部未満の場合、感度及び解像性が低下する傾向がある。一方、30質量部を超える場合、放射線に対する透明性が低下して、矩形のレジストパターンを得られ難くなる傾向がある。
【0053】
[3]溶剤(C)
前記溶剤(C)としては、有機溶剤を用いることが好ましく、通常は前記各成分が有機溶剤に溶解又は分散される。
前記有機溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤及び含ハロゲン溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0054】
前記アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶剤;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶剤;
【0055】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶剤等を挙げることができる。
これらのアルコール系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0056】
前記ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン等が挙げられる。これらのケトン系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0057】
前記アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤が挙げられる。これらのアミド系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0058】
前記エーテル系溶剤としては、例えば、エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール等が挙げられる。これらのエーテル系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0059】
前記エステル系溶剤としては、例えば、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等が挙げられる。これらのエステル系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0060】
前記脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼン等が挙げられる。これらの芳香族炭化水素系溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記含ハロゲン溶剤としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、フロン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。これらの含ハロゲン溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0061】
これらの溶剤(C)のなかでも、沸点が170℃未満の有機溶剤を使用することが好ましい。特に、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤のうちの1種又は2種以上を使用することが好ましい。
尚、これらの溶剤は、重合体(A)の合成に用いたものと同じものであってもよいし、重合体(A)の合成が終了した後に、溶剤を所望の有機溶剤に置換することもできる。
【0062】
[4]添加剤
本発明のネガ型感放射線性組成物には、有機ポリマー、酸拡散制御剤、界面活性剤等の添加剤成分が配合されていてもよい。
[4−1]有機ポリマー
前記有機ポリマーは、高エネルギー線照射及び加熱により分解する有機ポリマーであれば特に限定はされない。
前記有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する重合体、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物系重合体、デンドリマー、ポリイミド,ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体等が挙げられる。
前記ポリアルキレンオキサイド構造を有する重合体としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造等が挙げられる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩等のエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエーテルエステル型化合物等が挙げられる。
【0063】
また、前記ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(X’)l−(Y’)m−
−(X’)l−(Y’)m−(X’)n−
(式中、X’は−CHCHO−で表される基を、Y’は−CHCH(CH)O−で表される基を示し、lは1〜90、mは10〜99、nは0〜90の数を示す。)
【0064】
これらの有機ポリマーのなかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテル型化合物が好ましい。
尚、これらの有機ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
[4−2]酸拡散制御剤(D)
前記酸拡散制御剤(D)は、照射により酸発生剤から生じる酸のレジスト被膜中における拡散現象を制御し、非照射領域における好ましくない化学反応を抑制する作用を有する成分である。
このような酸拡散制御剤を配合することにより、レジストとしての解像度が更に向上するとともに、照射から現像処理までの引き置き時間(PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。前記酸拡散制御剤としては、レジストパターンの形成工程中の照射や加熱処理により塩基性が変化しない含窒素有機化合物が好ましい。
【0066】
前記含窒素有機化合物としては、例えば、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、4級アンモニウムヒドロキシド化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。前記3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等のトリ(シクロ)アルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン類;トリエタノールアミン、ジエタノールアニリン等のアルカノールアミン類;N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼンテトラメチレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル等が挙げられる。
【0067】
前記アミド基含有化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、
【0068】
N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−ピロリジン、N−t−ブトキシカルボニル−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシ−ピペリジン、N−t−ブトキシカルボニル−モルフォリン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0069】
前記4級アンモニウムヒドロキシド化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール等のイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン類;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0070】
これらの酸拡散制御剤のなかでも、3級アミン化合物、アミド基含有化合物、含窒素複素環化合物が好ましい。また、アミド基含有化合物のなかでは、N−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物が好ましく、含窒素複素環化合物のなかでは、イミダゾール類が好ましい。
尚、これらの酸拡散制御剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0071】
また、酸拡散制御剤の配合量は、重合体(A)100質量部に対して、通常、15質量部以下、好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。この配合量が15質量部を超える場合には、レジストとしての感度及び放射線照射部の現像性が低下する傾向がある。尚、この配合量が0.001質量部未満である場合、プロセス条件によっては、レジストとしてのパターン形状や寸法忠実度が低下するおそれがある。
【0072】
[4−3]界面活性剤
前記界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する作用を示す成分であり、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤等が挙げられる。具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名で、SH8400 FLUID(Toray Dow Corning Silicone Co.製)、KP341(信越化学工業(株)製)、ポリフローNo.75,同No.95(以上、共栄社化学(株)製)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ(株)製)、メガファックスF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG710,サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子(株)製)等を挙げることができる。これらのなかでも、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましい。尚、これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記界面活性剤は、前記重合体(A)100質量部に対して、通常、0.00001〜1質量部の範囲で用いられる。
【0073】
[5]ネガ型感放射線性組成物の調製
本発明のネガ型放射線性組成物は、前記重合体(A)と、前記酸発生剤(B)と、前記溶剤(C)と、必要に応じて前記他の添加剤と、を混合することにより得られる。尚、重合体(A)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ネガ型放射線性組成物の固形分濃度は使用目的に応じて適宜調整されるが、例えば、1〜50質量%、特に10〜40質量%とすることができる。この固形分濃度が1〜50質量%である場合には、塗膜の膜厚が適当な範囲となる。
【0074】
[6]パターンの形成方法
本発明の硬化パターン形成方法には、トレンチやホール等の一つの形状のみからなる硬化パターンを形成するための方法(以下、「パターン形成方法(I)」ともいう)と、トレンチとホールの両形状を有するデュアルダマシン構造を有する硬化パターンを形成するための方法(以下、「パターン形成方法(II)ともいう」がある。
【0075】
[6−1]パターン形成方法(I)
本発明のパターン形成方法(I)は、(I−1)ネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程[以下、「工程(I−1)」という。]と、(I−2)得られた被膜をベークする工程[以下、「工程(I−2)」という。]と、(I−3)ベークされた被膜を露光する工程[以下、「工程(I−3)」という。]と、(I−4)露光された被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程[以下、「工程(I−4)」という。]と、(I−5)得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、硬化パターンを形成する工程[以下、「工程(I−5)」という。]と、を備える。
【0076】
前記工程(I−1)では、基板にネガ型感放射線性組成物が塗布され、被膜が形成される。尚、ネガ型感放射線性組成物については、前述の説明をそのまま適用することができる。ネガ型感放射線性組成物を塗布する方法としては、例えば、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。この際、得られる被膜が所定の膜厚となるように塗布される。
前記基板としては、Si、SiO、SiN、SiC、SiCN等のSi含有層で被覆されたウェハ等が挙げられる。尚、ネガ型感放射線性組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば、特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系或いは無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。
【0077】
前記工程(I−2)では、被膜をベーク処理(以下、「PB」という。)し、塗膜中の溶剤が揮発される。 このPBの加熱条件は、組成物の配合組成によって適宜選定されるが、通常、60〜150℃であり、好ましくは70〜120℃である。
【0078】
前記工程(I−3)では、所定のネガ型パターンが得られるように、ベークされた被膜の所定領域が露光される。
この露光に使用される放射線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線等の荷電粒子線等を適宜選定して使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線、電子線が好ましい。
また、露光量等の露光条件は、感放射線性組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定される。
更に、本発明においては、露光後にベーク処理(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、組成物中の重合体の架橋反応が円滑に進行する。このPEBの加熱条件は、組成物の配合組成によって適宜選定されるが、通常、30〜200℃であり、好ましくは50〜170℃である。
【0079】
前記工程(I−4)では、露光された被膜が現像されることにより、所定のネガ型パターンが形成される。
この現像に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。これらのなかでも、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが特に好ましい。
【0080】
前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、例えば有機溶媒を添加することもできる。この有機溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。尚、これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液に対して、100容量%以下が好ましい。この有機溶媒の使用量が100容量%を超える場合、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、前記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
尚、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0081】
前記工程(I−5)では、得られたネガ型パターンにある特定の処理が施され、硬化パターンが形成される。
前記処理方法としては、加熱処理、電子線や紫外線等の高エネルギー線照射処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらのなかでも、加熱処理及び高エネルギー線照射処理のうちの少なくとも1種が好ましい。尚、これらの処理は併用することができる。
加熱により処理行なう場合は、ネガ型パターンを不活性雰囲気下又は減圧下で80〜450℃で加熱することが好ましく、より好ましくは300〜450℃である。この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス等を使用することができる。
また、ネガ型パターンの硬化速度を制御するため、必要に応じて、段階的に加熱したり、或いは窒素、空気、酸素、減圧等の雰囲気を選択したりすることができる。このような工程により、低比誘電率のシリカ系膜(硬化パターン)の製造を行なうことができる。上記処理を行うことにより、膜の比誘電率を低下させることができる。
【0082】
[6−2]パターン形成方法(II)
本発明のパターン形成方法(II)は、(II−1)ネガ型感放射線性組成物を基板に塗布、露光、現像しネガ型ホールパターンを有するネガ型ホールパターン基板を形成工程[以下、「工程(II−1)」ともいう。]と、(II−2)得られたネガ型ホールパターン基板上に、ネガ型感放射線性組成物を塗布、露光、現像し、ネガ型ホールパターン基板上にネガ型トレンチパターンを形成し、ネガ型デュアルダマシンパターン基板を形成する工程[以下、「工程(II−2)」ともいう。]と、(II−3)得られたネガ型デュアルダマシンパターン基板に、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、デュアルダマシン構造を有する硬化パターンを形成する工程[以下、「工程(II−3)」ともいう。]と、を備える。
【0083】
前記工程(II−1)は、前記パターン形成方法(II)に記載の、工程(I−1)〜工程(I−4)と同様の工程を適宜行うことで、ネガ型ホールパターンを有するネガ型ホールパターン基板を形成する工程である(図2の(a))。ここで得られるネガ型ホールパターンの好ましい膜厚は、通常、30nm〜1000nmである。
【0084】
前記工程(II−2)では、まず、前記工程(II−1)で形成したネガ型ホールパターン基板上にネガ型感放射線性組成物を塗布し、ネガ型ホールパターン基板上にネガ型感放射線性組成物由来の被膜を形成する(図2の(b))。ここで、ネガ型感放射線性組成物を塗布する方法および基板としては、前記工程(I−1)に記載と同様である。また、ネガ型感放射線性組成物由来の被膜を形成するために、前記工程(I−2)と同様に、被膜をベーク処理しても良い。ここで得られるネガ型感放射線性組成物由来の被膜の好ましい膜厚(図2の(b)のx)は、通常、30nm〜1000nmである。
引き続き、ネガ型感放射線性組成物由来の被膜を、前記工程(I−3)〜工程(I−4)と同様の処理を行いネガ型ホールパターン基板上にネガ型トレンチパターンを形成し、ネガ型デュアルダマシンパターン基板が形成される(図2の(c))。
【0085】
前記工程(II−3)では、前記工程(II−2)で得られたネガ型デュアルダマシンパターン基板を、前記工程(I−5)に記載と同様の処理を行い、デュアルダマシン構造を有する硬化パターンが形成される(図2の(d))。
【0086】
[7]硬化パターンの比誘電率
本発明のネガ型感放射線性組成物を用いて得られる硬化パターンの比誘電率は、1.5〜3.0であることが好ましく、より好まくは1.5〜2.8である。この比誘電率が、1.5〜3.0である場合には、低比誘電率材料として好適に用いることができる。従って、この硬化パターンは、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAM等の半導体素子の微細加工用材料として用いることができるだけでなく、層間絶縁膜用材料として優れており、特に銅ダマシンプロセスを含む半導体素子に有用である。
尚、この比誘電率は、樹脂分子量の変量や硬化処理条件の変更により調節することができる。
【実施例】
【0087】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。ここで、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0088】
[1]シロキサン樹脂溶液(A)の製造
下記合成例(合成例1〜11)および比較合成例1〜3に示すように、樹脂溶液No.7〜21の各ケイ素含有樹脂溶液(A)を調製した。
尚、各合成例で得られるケイ素含有樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定は、下記の方法により行った。
【0089】
<重量平均分子量(Mw)の測定>
下記の各合成例で得られたシロキサン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、下記条件によるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法により測定した。
試料:濃度10mmol/LのLiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液を溶媒として使用し、加水分解縮合物0.1gを100ccの10mmol/L LiBr−HPOの2−メトキシエタノール溶液に溶解して調製した。
標準試料:WAKO社製、ポリエチレンオキサイドを使用した。
装置:東ソー(株)社製、高速GPC装置(モデル HLC−8120GPC)を使用した。
カラム:東ソー(株)社製、TSK−GEL SUPER AWM−H(長さ15cm)を直列に3本設置して使用した。
測定温度:40℃
流速:0.6ml/min.
検出器:東ソー(株)社製、高速GPC装置(モデル HLC−8120GPC)内臓のRIにより検出した。
【0090】
<比較合成例1>(樹脂溶液No.7)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.45g及び超純水94.9gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン49.2g(0.323モル)、メチルトリメトキシシラン102.7g(0.754モル)、及びエトキシプロパノール1.85gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.7)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−7)とする(構成単位は下式(A−7)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−7)の構成モノマー比(a:b)は30:70(mol%)であり、Mwは9,100であった。
【0091】
【化5】

【0092】
<合成例1>(樹脂溶液No.8)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.39g及び超純水90.99gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン32.4g(0.213モル)、メチルトリメトキシシラン116.1g(0.852モル)、及びエトキシプロパノール9.10gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.8)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−8)とする(構成単位は下式(A−8)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−8)の構成モノマー比(a:b)は20:80(mol%)であり、Mwは8,800であった。
【0093】
【化6】

【0094】
<合成例2>(樹脂溶液No.9)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル%)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びエトキシプロパノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.9)440gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−9)とする(構成単位は下式(A−9)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−9)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは8,500であった。
【0095】
【化7】

【0096】
<合成例3>(樹脂溶液No.10)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて65℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びエトキシプロパノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、65℃で4時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.10)430gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−10)とする(構成単位は下式(A−10)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−10)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは8,300であった。
【0097】
【化8】

【0098】
<合成例4>(樹脂溶液No.11)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.28g及び超純水83.52gを加えて75℃に加熱した。次いで、メチルトリメトキシシラン142.1g(1.04モル)、及びエトキシプロパノール23.1gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.11)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−11)とする(構成単位は下式(A−11)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−11)のMwは8,000であった。
【0099】
【化9】

【0100】
<合成例5>(樹脂溶液No.12)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.39g及び超純水90.99gを加えて60℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン32.4g(0.213モル)、メチルトリメトキシシラン116.1g(0.852モル)、及びエトキシプロパノール9.10gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、60℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.12)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−12)とする(構成単位は下式(A−12)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−12)の構成モノマー比(a:b)は20:80(mol%)であり、Mwは5,100であった。
【0101】
【化10】

【0102】
<合成例6>(樹脂溶液No.13)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.33g及び超純水87.22gを加えて60℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン16.0g(0.105モル)、メチルトリメトキシシラン129.2g(0.948モル)、及びエトキシプロパノール16.2gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、60℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.13)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−13)とする(構成単位は下式(A−13)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−13)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは4,800であった。
【0103】
【化11】

【0104】
<合成例7>(樹脂溶液No.14)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.28g及び超純水83.52gを加えて60℃に加熱した。次いで、メチルトリメトキシシラン142.1g(1.04モル)、及びエトキシプロパノール23.1gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、60℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.14)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−14)とする(構成単位は下式(A−14)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−14)のMwは4,500であった。
【0105】
【化12】

<合成例8>(樹脂溶液No.15−1)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びエトキシプロパノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で8時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.15−1)440gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−15−1)とする(構成単位は下式(A−15)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−15−1)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは13,000であった。
【0106】
【化13】

【0107】
<比較合成例2>(樹脂溶液No.15−2)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びエトキシプロパノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で16時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.15−2)440gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−15−2)とする(構成単位は下式(A−15)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−15−2)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは300,000であった。
【0108】
【化14】

【0109】
<比較合成例3>(樹脂溶液No.16)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて50℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及びエトキシプロパノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、50℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.16)440gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−16)とする(構成単位は下式(A−16)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−16)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは3,500であった。
【0110】
【化15】

【0111】
<合成例9>(樹脂溶液No.17)
コンデンサーを備える石英製三つ口フラスコ中に、25%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液37.3g、超純水156.3g、及びエタノール234.4gを秤取り溶解させ、溶液(17−1)を調製した。次いで、テトラエトキシシラン22.2g(0.107モル)、メチルトリメトキシシラン58.0g(0.426モル)、及びエタノール191.8gの混合溶液(17−2)を調製し、滴下ロートに充填した。
その後、溶液(17−1)を60℃で撹拌しながら、溶液(17−2)を1時間かけて滴下した後、1時間続けて60℃で攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、酢酸ブチル525g及び20%マレイン酸水溶液37.6gを加えた後、超純水175gで3回洗浄した。この後、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.17)125gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−17)とする(構成単位は下式(A−17)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−17)の構成モノマー比(a:b)は20:80(mol%)であり、Mwは9,500であった。
【0112】
【化16】

【0113】
<合成例10>(樹脂溶液No.18−1)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液1.20g及び超純水57.01gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン14.4g(0.0946モル)、メチルトリメトキシシラン102.8g(0.755モル)、エチルトリメトキシシラン14.2g(0.0946モル)、及びエトキシプロパノール10.4gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.18−1)250gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−18−1)とする(構成単位は下式(A−18)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−18−1)の構成モノマー比(a:b:c)は10:80:10(mol%)であり、Mwは8,600であった。
【0114】
【化17】

【0115】
<合成例11>(樹脂溶液No.18−2)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液3.24g及び超純水68.75gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.1g(0.165モル)、メチルトリメトキシシラン33.7g(0.247モル)、エチルトリメトキシシラン62.0g(0.413モル)、及びエトキシプロパノール7.21gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.18−2)240gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−18−2)とする(構成単位は上記式(A−18)参照)。 尚、前記ケイ素含有樹脂(A−18−2)の構成モノマー比(a:b:c)は20:30:50(mol%)であり、Mwは7,600であった。
【0116】
<合成例12>(樹脂溶液No.19)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液0.77g及び超純水50.11gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン9.53g(0.0626モル)、メチルトリメトキシシラン68.2g(0.501モル)、ジメチルジメトキシシラン7.52g(0.0626モル)、及びエトキシプロパノール13.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.19)160gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−19)とする(構成単位は下式(A−19)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−19)の構成モノマー比(a:b:c)は10:80:10(mol%)であり、Mwは8,300であった。
【0117】
【化18】

【0118】
<合成例13>(樹脂溶液No.20)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.28g及び超純水48.53gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン13.7g(0.0901モル)、メチルトリメトキシシラン98.3g(0.722モル)、3−(メタクリロキシ)プロピルトリメトキシシラン22.4g(0.0901モル)、及びエトキシプロパノール14.8gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.20)270gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−20)とする(構成単位は下式(A−20)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−20)の構成モノマー比(a:b:c)は10:80:10(mol%)であり、Mwは8,200であった。
【0119】
【化19】

【0120】
<合成例14>(樹脂溶液No.21)
窒素置換された石英製三口フラスコ内に、20%マレイン酸水溶液2.14g及び超純水139.6gを加えて75℃に加熱した。次いで、テトラメトキシシラン25.7g(0.169モル)、メチルトリメトキシシラン206.7g(1.52モル)、及び4−メチル−2−ペンタノール25.9gを混合した溶液を1時間かけて反応容器に滴下し、75℃で2時間撹拌させた。この反応液を室温まで戻し、固形分濃度が25%となるまで減圧下で濃縮し、ケイ素含有樹脂溶液(樹脂溶液No.21)440gを得た。この樹脂溶液中における樹脂をケイ素含有樹脂(A−21)とする(構成単位は下式(A−21)参照)。
尚、前記ケイ素含有樹脂(A−21)の構成モノマー比(a:b)は10:90(mol%)であり、Mwは9,900であった。
【0121】
【化20】

【0122】
[2]ネガ型感放射線性組成物の調製
(実施例1〜18及び比較例1〜4)
表1に示す割合で、(A)ケイ素含有樹脂溶液と、(B)酸発生剤と、(D)酸拡散制御剤を混合し、実施例1〜16及び比較例1〜4の各ネガ型感放射線性組成物を調製した。また、これらの組成物は固形分濃度が17%となるように、(C)溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(実施例1〜17及び比較例1〜4)または4−メチル−2−ペンタノール(実施例18)を添加した。
【0123】
【表1】

【0124】
尚、表1における(B)酸発生剤、(C)酸拡散制御剤及び(D)界面活性剤の詳細は下記の通りである。
<(B)酸発生剤>
B−1:トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート
<(D)酸拡散制御剤>
D−1:2−フェニルベンズイミダゾール
【0125】
[3]ネガ型感放射線性組成物の評価
実施例及び比較例の各組成物について、以下のように下記(1)〜(4)の各種評価を行った。これらの評価結果を表3及び4に示す。
(1)感度
(1−1)KrF露光
基板として、表面に膜厚60nmの下層反射防止膜(「DUV42−6」、日産化学工業株式会社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。 次いで、表1の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表2条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚600nmの被膜を形成した。この被膜に、KrFエキシマレーザー露光装置(「NSR S203B」、NIKON製)にてNA=0.68、σ=0.75−1/2輪帯照明の条件で、マスクパターンを介して露光した。その後、表3及び4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23度で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型のパターンを形成した。このとき、線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0126】
(1−2)ArF露光(ライン・アンド・スペースパターン)
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、表1の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚400nmの被膜を形成した。この被膜に、ArFエキシマレーザー露光装置(「NSR S306C」、NIKON製)にてNA=0.78、σ=0.85−1/2輪帯照明の条件で、マスクパターンを介して露光した。その後、表3及び4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23度で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型のパターンを形成した。このとき、線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0127】
(1−3)ArF露光(コンタクトホールパターン)
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、表1の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚400nmの被膜を形成した。この被膜に、ArFエキシマレーザー露光装置(「NSR S306C」、NIKON製)にてNA=0.78、σ=0.85−1/2輪帯照明の条件で、マスクパターンを介して露光した。その後、表3及び4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23度で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型のパターンを形成した。このとき、直径250nmのコンタクトホールパターン(1H1S)を、ホール径とホール間スペースが1対1になるように形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(mJ/cm)とした。尚、ホール径とピッチの測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0128】
(1−4)電子線(EB)露光
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、表1の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表2の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚60nmの被膜を形成した。この被膜に、簡易型の電子線描画装置(「HL800D」、日立社製、出力;50KeV、電流密度;5.0アンペア/cm)にてレジスト被膜に電子線を照射した。その後、表3及び4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23度で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型のパターンを形成した。このとき、線幅150nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度(μC/cm)とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0129】
(2)パターンの断面形状
前記(1)と同様にして形成した線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)の断面形状を観察した。この際、図1に示す断面形状で、(b)、(c)又は(d)の場合を「良好」とし、(a)、(e)又は(f)の場合を「不良」とした。 尚、断面形状の観察には、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製「S−4800」を用いた。
【0130】
(3)限界解像度
前記(1)で測定した線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)での感度にて、各種線幅の1L1Sパターンを観察した。このときに、パターンが解像している最小線幅パターンを限界解像度とした。尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0131】
(4)露光マージン
前記(1)で測定した線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)において、各種露光量の1L1Sパターンを観察し、下記式より露光マージンを算出した。
尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。また、前記(1)における露光光が電子線(EB)である実施例については、この評価を行わなかった。
露光マージン(%)=[(E1−E2)/Eop]×100
E1:線幅275nmとなるときの露光量(mJ)
E2:線幅225nmとなるときの露光量(mJ)
Eop:線幅250nmとなるときの最適露光量(mJ)
【0132】
(5)焦点深度
前記(1)で測定した線幅250nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)での感度において、各種焦点の1L1Sパターンを観察し、下記式より焦点深度を算出した。
尚、線幅の測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。また、前記(1)における露光光が電子線(EB)である実施例については、この評価を行わなかった。
焦点深度(μm)=|F1−F2|(即ち、F1とF2との差の絶対値)
F1:線幅275nmとなるときの焦点(μm)
F2:線幅225nmとなるときの焦点(μm)
【0133】
(6)比誘電率測定
基板として、0.1Ω・cm以下の抵抗率を有する8インチのN型シリコンウエハーを用いた。次いで、表1及び2の各感放射線性組成物を前記基板上に、CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、表3及び4の条件でベーク(PB)を行うことにより、膜厚600nmの被膜を形成した。この被膜に、KrFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S203B」、NIKON製)にてNA=0.68、σ=0.75の条件でマスクを介さずにウェハ全面を露光した。その後、表3及び4に示す条件でPEBを行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥した。次いで窒素雰囲気下420℃で30分間加熱し、硬化膜を得た。
得られた膜に、蒸着法によりアルミニウム電極パターンを形成し、比誘電率測定用サンプルを作成した。該サンプルについて、周波数100kHzの周波数で、アジデント社製、「HP16451B電極」及び「HP4284AプレシジョンLCRメーター」を用いてCV法により、室温(24℃)及び200℃における当該膜の比誘電率を測定した。
【0134】
【表2】

【0135】
[4]デュアルダマシン構造を有する硬化パターンの形成
<実施例3−4>
基板として、表面に膜厚60nmの下層反射防止膜(「DUV42−6」、日産化学工業株式会社製)を形成した8インチシリコンウェハを用いた。尚、反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT8」(東京エレクトロン株式会社製)を用いた。次いで、実施例3の感放射線性組成物を前記基板上に、前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、90℃60秒間ベーク(PB)を行うことにより、膜厚500nmの被膜を形成した。この被膜に、KrFエキシマレーザー露光装置(「NSR S203B」、NIKON製)にてNA=0.68、σ=0.75、1/2輪帯照明の条件で、ホールパターンを有するマスクパターンを介して28mJ/cm露光した。その後、85℃60秒間ベーク(PEB)を行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥し、250℃で2分間加熱硬化して、ホール径200nmのホール・アンド・スペースパターン(1H2S;ホール径200nm、スペース間隔400nm)のネガ型ホールパターンを有するネガ型ホールパターン基板を形成した。
ネガ型ホールパターン基板上に、実施例3の感放射線性組成物を前記CLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートし、90℃60秒間ベーク(PB)を行うことにより、ネガ型ホールパターン基板上に膜厚500nmの被膜を形成した。この被膜に、KrFエキシマレーザー露光装置(「NSR S203B」、NIKON製)にてNA=0.68、σ=0.75、1/2輪帯照明の条件で、ラインパターンを有するマスクパターンを介して32mJ/cm露光した。その後、85℃60秒間ベーク(PEB)を行ったのち、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ネガ型ホールパターン基板上に、ライン幅240nmのライン・アンド・スペースパターン(1L3S;線幅240nm、スペース間隔720nm)の、ネガ型ラインパターンを形成した。次いで窒素雰囲気下420℃で30分間加熱し、デュアルダマシン構造を有する硬化パターンを得た。(図3)。
【0136】
表2から明らかなように、これらの実施例の結果から、本発明におけるネガ型感放射線性組成物は十分なパターン形成能を有することが確認された。また、本発明におけるネガ型感放射線性組成物を塗膜し、硬化処理することにより形成された硬化膜(硬化パターン)の比誘電率は2.8以下であることが確認された。
従って、本発明におけるネガ型感放射線性組成物は、それ自身が感放射線性の性質を有して、パターニング可能であると同時に、硬化処理を施すことにより低比誘電率となるため、半導体素子等の層間絶縁膜として好適である。
さらに、デュアルダマシン構造を有するネガ型のパターンを容易に形成できるため、半導体素子等の層間絶縁膜として好適である。
【符号の説明】
【0137】
1.基板
2a.ネガ型ホールパターン、2b.ホール
3.ネガ型ホールパターン基板
4.ネガ型感放射線性組成物の被膜
5.マスク(レチクル)
6.露光
7a.ネガ型トレンチパターン、7b.トレンチ
8.ネガ型デュアルダマシンパターン基板
9.デュアルダマシン構造を有する硬化パターン
x.ネガ型感放射線性組成物由来の被膜の膜厚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重合体、
(B)感放射線性酸発生剤および
(C)溶剤を含有するネガ型感放射線性組成物であって、
前記重合体(A)は、
(a1)下記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物および
(a2)下記一般式(2)で表される加水分解性シラン化合物から選ばれる少なくとも一種の加水分解性シラン化合物を加水分解縮合させて得られる重合体であって、
重合体(A)に含まれる全ての構成単位の合計を100モル%とするとき、前記化合物(1)由来の構成単位の含有割合が、80〜100モル%であり、
重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が、4,000〜200,000であるネガ型感放射線性組成物。
【化1】

〔一般式(1)中、Rはフッ素原子、アルキルカルボニルオキシ基および炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、Rは1価の有機基を表し、aは1〜3の整数を示す。〕
【化2】

〔一般式(2)中、Rは1価の有機基を示す。〕
【請求項2】
前記一般式(1)のRがメチル基である請求項1に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項3】
前記重合体(A)を100質量部とするとき、前記感放射線性酸発生剤の含有量が、0.1〜30質量部含有する請求項1または2のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項4】
さらに、酸拡散抑制剤(D)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項5】
前記ネガ型感放射線性組成物が、放射線によりパターン形成可能な低誘電率膜形成用である請求項1〜4のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物。
【請求項6】
(I−1)請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布し、被膜を形成する工程と、
(I−2)得られた被膜をベークする工程と、
(I−3)ベークされた被膜を露光する工程と、
(I−4)露光された被膜を現像液で現像し、ネガ型パターンを形成する工程と、
(I−5)得られたネガ型パターンに、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、硬化パターンを形成する工程と、を有する硬化パターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化パターンの形成方法によって得られる硬化パターン。
【請求項8】
前記硬化パターンが、比誘電率1.5〜3である請求項7に記載の硬化パターン。
【請求項9】
(II−1)請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物を基板に塗布、露光、現像しネガ型ホールパターンを有するネガ型ホールパターン基板を形成する工程と、
(II−2)得られたネガ型ホールパターン基板上に、請求項1〜5のいずれか1項に記載のネガ型感放射線性組成物を塗布、露光、現像し、ネガ型ホールパターン基板上にネガ型トレンチパターンを形成し、ネガ型デュアルダマシンパターン基板を形成する工程と、
(II−3)得られたネガ型デュアルダマシンパターン基板に、高エネルギー線照射及び加熱のうちの少なくとも1種の処理を施し、デュアルダマシン構造を有する硬化パターンを形成する工程と、を有する硬化パターンの形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の硬化パターンの形成方法によって得られる硬化パターン。
【請求項11】
前記硬化パターンが、比誘電率1.5〜3である請求項10に記載の硬化パターン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−133679(P2011−133679A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293417(P2009−293417)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】