説明

ネットワークシステム

【課題】不正に作成された電子鍵や他人のIDを騙ったユーザに情報が利用されることを防止し、情報のセキュリティを向上させたネットワークシステムを提供する。
【解決手段】ホスト装置2は電子鍵の送信要求を受け付けたときに、通知された回線番号を用いて暗号化した電子鍵を端末装置3に送信する。そして、端末装置3が暗号化された電子鍵を実際に使用する際、暗号化された電子鍵をホスト装置2に送信する。ホスト装置2は、暗号化された電子鍵から取り出した回線番号と公衆回線網から通知された電子鍵を送信してきた端末装置3の回線番号とが一致しているかを判定し、一致していない場合には情報の復号を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発信側の回線番号を着信側に通知する公衆回線網を利用して、ユーザの登録、情報の管理を行うネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ソフトウェアの販売では、販売店における販売のみならず、一部の機能が使用できないようにプログラムの一部分を暗号化したソフトウェア(シェアウェア)を記憶させたCD−ROMやフロッピィディスク等の記憶媒体を雑誌等に添付して広く配付し、ユーザに一部機能が使用できない状態で試用させ、全ての機能を利用したいと思ったユーザに、暗号化されているプログラムを復号する電子鍵を販売するという方法が取られている。
【0003】
また、インターネット等のネットワークシステムでは、ユーザからアクセスの要求があったときには、登録時にユーザに与えたID番号等から登録されているユーザであるかどうかを判断し、登録されているユーザであればネットワークへのアクセスを許可し、登録されていないユーザであればネットワークへのアクセスを拒否する。アクセスが許可されたユーザはネットワーク上の情報(以下、コンテンツと言う。)をダウンロードして利用することができる。また、ダウンロードする情報を暗号化し、登録時等にユーザに電子鍵を提供しておいて、この電子鍵で復号して利用させるようにして、情報のセキュリティを向上させることも提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シェアウェアでは、暗号化されているプログラムを復号する電子鍵を購入したユーザによって電子鍵がコピーされて他人に販売や譲渡されることを防止することができず、不正に作成された電子鍵でシェアウェアが復号される可能性が高く、実際には情報のセキュリティが確保されていないと言う問題があった。さらに、ID番号で登録されているユーザであるかどうかを判断するシステムでは、他人のIDを騙ったユーザにも情報を利用させることになるという問題もあった。
【0005】
この発明の目的は、不正に作成された電子鍵や他人のIDを騙ったユーザに情報が利用されることを防止し、情報のセキュリティを向上させたネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明のネットワークシステムは、上記課題を解決するために、以下のように構成している。
【0007】
(1)発信側の回線番号を着信側に通知する公衆回線網にセンタと複数の端末装置が接続され、
端末装置が、暗号化された情報を電子鍵を用いて復号するネットワークシステムであって、
センタは、任意の端末装置から前記公衆回線網を介して暗号化された情報を復号する電子鍵の送信要求を受け付けたときに、通知された回線番号を用いて前記電子鍵を暗号化し、この暗号化した電子鍵を該端末装置に送信する手段を有し、
前記端末装置は、暗号化された情報を復号して利用する際に、センタから送信されてきている暗号化された電子鍵をセンタに送信する手段を有し、
さらに、センタは、送信されてきた暗号化された電子鍵から回線番号を取り出す手段と、
取り出した回線番号と該電子鍵を送信した端末装置が接続されている回線番号が一致しているときに暗号化された情報の復号を許可し、一致していない場合に暗号化された情報の復号を禁止する手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
この構成では、センタは電子鍵の送信要求を受け付けたときに、通知された回線番号を用いて暗号化した電子鍵をユーザに送信する。そして、ユーザが暗号化された電子鍵を実際に使用する際には、暗号化された電子鍵がセンタに送信され、センタではこの暗号化された電子鍵から取り出した回線番号(電子鍵の送信要求が行われた回線番号)と公衆回線網から通知された電子鍵を送信してきたユーザの回線番号とが一致しているかを判定し、一致していない場合には情報の復号を禁止する。このため、不正に作成された電子鍵で情報を復号しようとすると、センタから情報の復号が禁止されることになる。よって、シェアウェア等の暗号化されたプログラムが不正に復号されることを防止でき、情報のセキュリティを向上させることができる。
【0009】
(2)発信側の回線番号を着信側に通知する公衆回線網にセンタと複数の端末装置が接続され、
端末装置が、暗号化された情報を電子鍵を用いて復号するネットワークシステムであって、
端末装置は、センタに対して任意の期間を指定し、その期間だけ有効な電子鍵の送信を要求する手段を有し、
センタは、端末装置から指定された期間だけ有効である電子鍵を作成し、該端末装置に送信する手段を有することを特徴とする。
【0010】
この構成では、ユーザの指定した期間だけ該ユーザに情報を利用させられるので、ユーザが情報を利用した期間に応じて課金を行うことができるようになる。よって、ユーザに対するサービスを向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、電子鍵を販売する場合には、該電子鍵の要求が行われた回線番号を用いて暗号化した電子鍵をユーザに送信しておき、ユーザが電子鍵を使用するときに、暗号化された電子鍵をセンタに送信させ、センタでこの暗号化された電子鍵から取り出した回線番号(電子鍵の要求が行われた回線番号)と公衆回線網から通知された電子鍵を送信してきたユーザの回線番号とが一致していないと復号を禁止するため、不正に作成された電子鍵が使用されることがない。よって、シェアウェア等の暗号化されたプログラムが不正に復号されることがなくなり、情報のセキュリティを向上させることができる。
【0012】
また、ユーザが指定した期間だけ情報を利用させることもできるため、ユーザの情報の利用状況に応じて課金を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施形態であるネットワークシステムの構成を示す図である。このネットワークシステムでは、公衆回線網であるVTX網(ビデオテックス網)1にセンタに設けられたホスト装置2および複数のユーザの端末装置3とが接続されている。ここで、VTX網1について簡単に説明しておく。VTX網1は、発信者の回線番号(電話番号)を着信者に通知し、また、着信側で発信者に情報を提供したときには提供した情報に応じて情報料を発信者に課金することができる。また、発信者に課金された情報料は、網の管理者であるNTTが代行して徴収を行う。なお、VTX網1が着信者に発信者の回線番号を通知するので、発信者が意図的にこの通知される回線番号を書き換えることはできない。
【0015】
ここでユーザは、雑誌等に添付されていたCD−ROMを所持しており、このCD−ROMには一部機能が使用できないソフトウェア(所謂、シェアウェア)が記憶されているものとする。このシェアウェアの全機能を使用したいユーザがセンタから電子鍵(所謂、パスワード)を購入し、この暗号化された情報を復号する。図2は電子鍵を購入するユーザ側の処理および電子鍵を販売するセンタ側の処理を示す。電子鍵の購入を希望するユーザは端末装置3からセンタのホスト装置2へ回線の接続要求を行う(n1)。ホスト装置2には、回線の接続要求とともにVTX網1から発信者番号(ここでは、電話番号である。)が通知される。ホスト装置2は、回線の接続要求があると、通知された発信者番号を記憶し、該端末装置3との回線を接続する(n11〜n13)。
【0016】
回線が接続されると、ユーザは電子鍵を要求する旨のメッセージをホスト装置2に送信する(n2、n3)。ホスト装置2は、電子鍵の要求があると(n14)、n12で記憶した発信者番号を利用してユーザの登録を行う(n15)。例えば、発信者番号を該ユーザの識別コード(IDコード)としてユーザを登録しても良いし、また、該ユーザに現在使用されていない識別コード(IDコード)を与え、このIDコードと発信者番号を対応させて登録するようにしてもよい。そして、ホスト装置2は販売する電子鍵をn12で記憶した発信者番号を用いて暗号化する(n16)。n16の処理で暗号化された電子鍵には、電子鍵と発信者番号との2つの情報が含まれている。なお、この暗号化処理は、例えば、
発信者番号が 012345678で、
電子鍵が 987654321であると、これらを加算して
暗号化された電子鍵を 999999999としてもよいし、
また、発信者番号と電子鍵を繋げて、012345678987654321
としてもよい。また、別の方法で暗号化してもよい。
【0017】
センタは、n16で暗号化した電子鍵をユーザの端末装置3に送信する(n17)。端末装置3はこの送信されてきた暗号化された電子鍵を記憶し(n4)、回線を切断して処理を完了する(n5)。n14で送信されてきたメッセージが電子鍵を要求するものでない場合には、ホスト装置2は送信されてきたメッセージに応じた処理を行う(n18)。なお、この状態では、シェアウェアの暗号化されたプログラムの復号は実行されておらず、ユーザがシェアウェアの全機能を利用することはできない。しかし、以下に記載する復号処理を実行することによってシェアウェアの全機能を利用することができるようになる。この処理は上記した処理を完了した後であればいつでも行うことができる。
【0018】
図3はシェアウェアの暗号化されたプログラムの復号を行う処理を示すフローチャートである。ユーザは、センタに対して回線の接続要求を行う(n21)。上記した処理と同じくホスト装置2には、回線の接続要求とともにVTX網1から発信者番号が通知される。ホスト装置2は、回線の接続要求があると、通知された発信者番号を記憶し、該端末装置3との回線を接続する(n31〜n33)。回線が接続された端末装置3からユーザは、センタに対して電子鍵の使用の要求を行う(n22、n23)。ここで、端末装置3はセンタに対して電子鍵の使用を要求する際に上記した処理で手に入れている暗号化された電子鍵をセンタに送信する。ホスト装置2は電子鍵の使用の要求があると(n34)、送信されてきた暗号化された電子鍵から暗号化する際に用いた発信者番号を取り出す(n35)。そして、この取り出した発信者番号とn32で記憶した発信者番号とを比較し(n36)、これらが一致していれば電子鍵の使用(復号)を許可し(n37)、一致していなければ電子鍵の使用(復号)を禁止する(n38)。ホスト装置2はn36で電子鍵の使用を許可すると、該ユーザに対してこの電子鍵の販売価格に相当する金額を情報料として課金する(n39)。ここで、課金された情報料はVTX網1の管理者であるNTTが代行してユーザから徴収することになる。ホスト装置2から電子鍵の使用が許可された端末装置3はシェアウェアの復号化処理を行い、回線を切断して処理を完了する(n24〜n26)。なお、暗号化された電子鍵から電子鍵を取出すための処理プログラムおよび暗号化されたシェアウェアを復号する処理プログラムは暗号化されたシェアウェアが記憶されているCD−ROM等の記憶媒体に記憶されている。また、ホスト装置2からの使用許可がこの電子鍵を取出す処理プログラムおよびシェアウェアを復号する処理プログラムを実行させるトリガとなっており、他人が不正に電子鍵およびこれらのプログラムを入手しても実行させることはできず、セキュリティが十分に確保されている。また、ホスト装置2はn34で送信されてきたメッセージが電子鍵の使用を要求するものでない場合には、送信されてきたメッセージに応じた処理を行う(n40)。
【0019】
以上のように、シェアウェアの全機能を利用したいユーザは、センタから暗号化した電子鍵を購入し、実際に電子鍵を使用する際にセンタから使用許可をもらうことになる。また、センタに通知されてくる発信者番号は、VTX網1が生成するものであり、発信者が任意に書き換えることができない情報である。このため、他人が購入した暗号化された電子鍵を入手し、この電子鍵でシェアウェアを復号することはできない。言い換えるならば、シェアウェアの全機能を利用できるユーザはセンタから暗号化された電子鍵を購入したユーザに限られることになる。よって、シェアウェアが不正に利用されることはなく、セキュリティを向上させることができる。また、ユーザ登録をホスト装置2が自動的に行うため、センタでのユーザ登録に人手がかからず、人件費を削減することができる。さらに、図2に示す処理と、図3に示す処理を連続して行うこともできるので、シェアウェアの全機能の利用を希望してから実際に全機能が使用できるまでにかかる時間もほとんどかからない。また、公衆回線網から通知される発信者番号は発信者が意図的に書き換えたりすることができないため、ユーザが他人の回線番号を騙って電子鍵の購入を要求したり、使用を要求することもできず、情報のセキュリティも確保される。
【0020】
なお、ユーザが端末装置3に電子鍵の購入希望を入力すると、上記した図2の処理を端末装置3が自動的に実行し、また、ユーザが端末装置3に暗号化された電子鍵の使用を入力すると、上記した図3の処理を端末装置3が自動的に実行するようにしておけば、ユーザの操作負担を軽減することができる。また、上記した実施形態ではユーザが電子鍵を使用するときに課金が行われるとしたが、暗号化された電子鍵をユーザの端末装置3に送信したときに課金を行うようにしてもよい。
【0021】
次に、別の実施形態について説明する。この実施形態では、ユーザがセンタに登録されている有料情報(コンテンツ)を利用する場合の例である。この実施形態のネットワークシステムも図1に示す構成と同じである。なお、センタのホスト装置2には図示していないコンテンツ提供者から送信されてきたコンテンツを暗号化して記憶している。この実施形態では、センタに登録されているユーザに対してコンテンツの利用が許可される(登録されていないとコンテンツを利用することができない。)。図4はセンタに対して登録を要求する端末装置およびホスト装置の処理を示す図である。センタへの登録を希望するユーザは端末装置3を操作してセンタのホスト装置2に回線の接続要求を行う(n41)。ホスト装置2には、回線の接続要求とともにVTX網1から発信者番号が通知される。ホスト装置2は、回線の接続要求があると、通知された発信者番号を記憶し、該端末装置3との回線を接続する(n51〜n53)。
【0022】
ユーザは回線が接続されると、センタに対してユーザ登録の要求を行う(n42、n43)。ホスト装置2はユーザ登録の要求を受け付けると、図5に示すユーザ登録ファイル10に該ユーザの登録を行う(n54、n55)。このユーザ登録ファイル10には、ユーザ毎にID番号、氏名、該ユーザの回線番号、残高を記憶したレコード11が記憶されている。ユーザの登録は、ユーザ登録ファイル10にレコード11を追加登録する処理である。なお、ID番号は、ホスト装置2が使用されていないID番号を自動的にユーザに付与する。ユーザの氏名は、端末装置3からのユーザ登録の要求に含まれている。回線番号は、n52で記憶したVTX網1から通知された回線番号である。また、残高にはユーザがコンテンツを利用することのできる金額を登録する。この残高(金額)は、ユーザがユーザ登録の要求に含ませて送信するようにしてもよいし、また、ホスト装置2側で予め設定した金額(例えば、10000円)であってもよい。n55でユーザの登録を完了すると、上記した実施形態と同様に該ユーザの回線番号で電子鍵を暗号化し(n56)、付与したID番号と暗号化した電子鍵とをユーザの端末装置3に送信する(n57)。また、このとき残高に登録した金額をユーザに課金する(n58)。なお、このとき登録料等の他の名目による課金を同時に行うこともできる。端末装置3は送信されてきたID番号や暗号化された電子鍵を記憶し回線を切断して処理を完了する(n44、n45)。また、上記した実施形態と同様に、ここでユーザに課金された情報料はNTTが代行徴収することになる。以上の処理によって、ユーザはセンタに登録されたことになる。なお、ホスト装置2はn54で登録要求以外の要求が送信されてきたときには、送信されてきた要求に応じた処理を行う(n59)。
【0023】
次に、ユーザがコンテンツを利用するときの処理について説明する。図6、図7はこの処理を示すフローチャートである。ユーザは、端末装置3を操作してセンタに回線の接続要求を行う(n61)。ホスト装置2は、回線の接続要求があると、通知された発信者番号を記憶し、該端末装置3との回線を接続する(n71〜n73)。ユーザは回線が接続されると、ホスト装置2に対してネットワークへのアクセスの要求を送信する(n62、n63)。このアクセスの要求には上記した処理で送られてきている暗号化された電子鍵とID番号とが含まれている。ホスト装置2は、アクセスの要求に含まれるID番号をキーとしてユーザ登録ファイル10を検索して該当するユーザのレコード11を読み出す(n74、n75)。そして、該レコード11に登録されているユーザの回線番号と、n72で記憶した発信者番号とが一致しているかどうかを判定する(n76)。この判定で一致していればユーザにネットワークへのアクセスを許可する(n77)。また、不一致であればネットワークへのアクセスを禁止し処理を完了する(n78)。なお、n75ではレコード11に登録されている回線番号と通知された回線番号との一致を確認するとしているが、暗号化された電子鍵から暗号化する際に用いた回線番号を取り出し、この取り出した回線番号と通知された回線番号との一致を確認してもよい。また、端末装置3からの要求がネットワークへのアクセスの要求でない場合には、送信されてきた要求に基づく処理を行う(n83)。
【0024】
上記した処理でネットワークへのアクセスが許可されたユーザは、ネットワーク上のコンテンツの中から利用したいものを選択する(n64、n65)。ホスト装置2は、コンテンツが選択されると(n79)、n75で読みだしたレコード11に記憶されている残高がこの選択されたコンテンツの情報料以上であるかどうかを判定し(n80)、残高がこの選択されたコンテンツの情報料以上であるときに該コンテンツのダウンロードを行う(n81)。端末装置3では、ダウンロードされたコンテンツに対して電子鍵を用いて復号処理を行う(n66)。また、ホスト装置2は、レコード11の残高を更新する(n82)。この残高の更新は、現在の残高からダウンロードしたコンテンツの情報料を減算した金額に更新する処理である。例えば、レコード11に登録されている残高が10000円のときに情報料が1000円に設定されているコンテンツをダウンロードした場合には、該レコード11の残高を9000円に更新する。なお、ホスト装置2は、残高がコンテンツの情報料未満であったときには、その旨を端末装置3に通知する。
【0025】
以上のように、この実施形態のネットワークシステムでも、ユーザの登録はユーザがセンタに登録要求したときに行われるので、ユーザはセンタで管理されているコンテンツをすぐに利用することができるようになる。また、VTX網1から通知される発信者番号を用いてネットワークへのアクセスを許可するかどうかを判定する構成であるため、他人がセンタに登録されている人物になりすまそうとしても、回線番号が異なるためアクセスが許可されず、不正に情報が利用されることはない。
【0026】
なお、上記した実施形態ではコンテンツを利用する際の情報料を予めユーザに課金しておき、この金額の範囲内でコンテンツを利用することができるとしたが、コンテンツを利用する毎に利用されたコンテンツの情報料をユーザに課金するシステムとしてもよい。また、残高が少なくなったときには、ユーザはセンタに対して残高を増額するように要求することもできる。例えば、残高が1000円のユーザが残高を10000円に更新するようにセンタに要求することができる。この要求があったときには、ホスト装置2は増額した金額(上記した例では9000円)をユーザに課金する。さらに、ホスト装置2または端末装置3にコンテンツの利用ログを記憶させるようにしておいてもよい。
【0027】
次に、別の実施形態について説明する。図8は、この実施形態の衛星放送システムの構成を示す図である。ユーザは、地上の放送局が衛星20を介して配信する情報を受信するアンテナ21と、アンテナ21で受信した情報を復号するデコーダ22と、復号された情報を映像および音声で出力するTV受像機23と有している。デコーダ22が、VTX網1を介して番組課金センタ24と接続される。衛星20を介して配信される情報にはスクランブルがかけられている。
【0028】
この実施形態では、デコーダ22を購入したユーザが、番組課金センタ24にユーザ登録される。ユーザは衛星放送で見たい番組があるとデコーダ22に該番組を予約する。この予約は、ビデオの予約のように見たい番組の放送日時およびチャンネルを入力するという簡単な操作で行える。デコーダ22は、番組の予約が行われると、この予約された番組の申込みを番組課金センタ24に対して行う。図9は、番組の申込み処理を示すフローチャートである。デコーダ22は番組の予約があると、VTX網1を介して番組課金センタ24(実際にはホスト装置)に回線の接続要求を行う(n91、n92)。番組課金センタ24は、回線の接続要求があると、通知された発信者番号を記憶し、該デコーダ22との回線を接続する(n101〜n103)。デコーダ22は、回線が接続されると、ユーザが予約した番組のチャンネルおよび日時を番組課金センタ24に送信する(n93、n94)。番組課金センタ24では、この送信されてきたチャンネルおよび日時に有効となる電子鍵をデコーダ22に送信するとともに、このユーザが予約した番組に対する情報料の課金を行う(n104〜n106)。デコーダ22は、番組課金センタ24から送信されてきた電子鍵を記憶し(n95)、回線を切断して処理を完了する(n96)。ここで、デコーダ22が記憶した電子鍵には、スクランブルを取り除くための情報だけでなく、有効となるチャンネルおよび日時を示す情報が含まれている。
【0029】
図10はユーザが予約した番組を見る時のデコーダの処理を示すフローチャートである。記憶している電子鍵に含まれている有効となる日時から現在有効な電子鍵であるかどうかを判定する(n111)。そして、現在有効な電子鍵であれば該電子鍵でアンテナ21で受信している情報を復号する(n112)。この復号された情報がTV受像機23に送られ、映像および音声として出力される。また、この電子鍵は指定したチャンネルに対してのみ有効なものであり、指定していないチャンネルではTV受像機23にスクランブルが解除されていない映像が表示されることになる。
【0030】
以上のように、この実施形態であればユーザに対して衛星放送の番組毎の課金を行うことができるようになる。すなわち、これまで番組を見る見ないに係わらず一律の金額がユーザに課金されていたが、ユーザの見たい番組に対して課金を行うことができるようになり、ユーザに対するサービスを向上させることができる。
【0031】
なお、上記した実施形態では公衆回線網をVTX網1で説明を行ったが、着信者に発信者の回線番号を通知する他の公衆回線網(例えばISDN網)であっても、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明の実施形態であるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】この実施形態おける電子鍵を要求するときの処理を示すフローチャートである。
【図3】この実施形態における電子鍵を使用するときの処理を示すフローチャートである。
【図4】他の実施形態におけるユーザの登録処理を示すフローチャートである。
【図5】他の実施形態におけるユーザ登録ファイルの構成を示す図である。
【図6】他の実施形態におけるコンテンツを利用するときの処理を示す図である。
【図7】他の実施形態におけるコンテンツを利用するときの処理を示す図である。
【図8】他の実施形態である衛星放送システムの構成を示す図である。
【図9】この衛星放送システムにおける番組の予約を行う処理を示すフローチャートである。
【図10】この衛星放送システムにおける番組を見る時のデコーダの処理を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1−VTX網
2−ホスト装置
3−端末装置
10−ユーザ登録ファイル
20−衛星
11−レコード
21−アンテナ
22−デコーダ
23−受像機
24−番組課金センタ
25−放送局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信側の回線番号を着信側に通知する公衆回線網にセンタと複数の端末装置が接続され、
端末装置が、暗号化された情報を電子鍵を用いて復号するネットワークシステムであって、
センタは、任意の端末装置から前記公衆回線網を介して暗号化された情報を復号する電子鍵の送信要求を受け付けたときに、通知された回線番号を用いて前記電子鍵を暗号化し、この暗号化した電子鍵を該端末装置に送信する手段を有し、
前記端末装置は、暗号化された情報を復号して利用する際に、センタから送信されてきている暗号化された電子鍵をセンタに送信する手段を有し、
さらに、センタは、送信されてきた暗号化された電子鍵から回線番号を取り出す手段と、
取り出した回線番号と該電子鍵を送信した端末装置が接続されている回線番号が一致しているときに暗号化された情報の復号を許可し、一致していない場合に暗号化された情報の復号を禁止する手段と、を有することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
発信側の回線番号を着信側に通知する公衆回線網にセンタと複数の端末装置が接続され、
端末装置が、暗号化された情報を電子鍵を用いて復号するネットワークシステムであって、
端末装置は、センタに対して任意の期間を指定し、その期間だけ有効な電子鍵の送信を要求する手段を有し、
センタは、端末装置から指定された期間だけ有効である電子鍵を作成し、該端末装置に送信する手段を有することを特徴とするネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−189712(P2007−189712A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27877(P2007−27877)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【分割の表示】特願平9−32520の分割
【原出願日】平成9年2月18日(1997.2.18)
【出願人】(591275481)株式会社アイ・オー・データ機器 (98)
【Fターム(参考)】