説明

ハンズフリー装置

【課題】 相手が非通知設定でも機能でき、運転者が変わっても、その運転者にあった音量の設定が容易にできるハンズフリー装置を提供すること。
【解決手段】 携帯電話機2と接続することにより、手で機器を持つことなく電話における通話を行うハンズフリー装置1において、接続された携帯電話機2と通信を行い電話番号を取得する通信制御部11によるステップS2の処理と、接続された携帯電話機2の電話番号毎に使用時の調整された受話音量を記憶するメモリ12と通信制御部11によるステップS6,S8の処理と、携帯電話機2が接続されると、記憶受話音量に基づいて受話音量を調整する通信制御部11、出力制御部13によるステップS5の処理とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機と接続することにより、手で機器を持つことなく電話における通話を行うハンズフリー装置の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来では、通話中において、ハンズフリー音声回路に音量設定したとき、通話相手先の電話番号に対応させて設定したボリューム値を保存し、通話相手先と再度通話する際、保存してあるボリューム値をハンズフリー音声回路に設定する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−184738号公報(第5−7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来にあっては、相手が非通知設定の場合には機能しない、運転者が変わると聞こえ方が変わるので音量の再設定が必要、といった問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、相手が非通知設定でも機能でき、運転者が変わっても、その運転者にあった音量の設定が容易にできるハンズフリー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、携帯電話機と接続することにより、手で機器を持つことなく電話における通話を行うハンズフリー装置において、接続された前記携帯電話機と通信を行い電話番号を取得する電話番号検知手段と、接続された前記携帯電話機の電話番号毎に使用時の調整された受話音量を記憶する音量記憶手段と、前記携帯電話機が接続されると、記憶受話音量に基づいて受話音量を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明にあっては、相手が非通知設定でも機能でき、運転者が変わっても、その運転者にあった音量の設定が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のハンズフリー装置を実現する実施の形態を、実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のハンズフリー装置のブロック図である。
実施例1のハンズフリー装置1は、通信制御部11、メモリ12、出力制御部13、パワーアンプ14、スピーカ15、音声入力回路16を主要な構成とし、外部の携帯電話機2、ボリューム操作部3、マイク4と接続される。
【0009】
通信制御部11は、接続する携帯電話機2及びハンズフリー装置1の各部を制御して、電話通信を行う。携帯電話機2とは、シリアル通信を行うようにする。 そして、携帯電話機2の電話番号を取得し、メモリ12へ記憶される等の処理を行う。その際には、メモリ12、出力制御部13を制御する。詳細は後述する。
メモリ12は、接続された携帯電話機2の電話番号と、その電話番号に関連付けされた音量情報を記憶し、出力する。
【0010】
出力制御部13は、携帯電話機2からの受信音声信号を、通信制御部11からのボリューム設定に基づいて、出力調整を行い、出力する。
パワーアンプ14は、出力制御部13からの受信音声信号を増幅し、出力する。
スピーカ15は、増幅された受信音声信号を音声に変換して、音声出力する。
音声入力回路16は、マイク4から入力される音声入力を送信音声信号へ変換して携帯電話機2へ送る。
【0011】
携帯電話機2は、有線、もしくはブルートゥースのような短距離無線により、ハンズフリー装置1に接続され、データ通信を行う。実施例1では、受信音声信号、送信音声信号、通信制御信号のやり取りのほかにシリアル通信を行い、電話番号を出力する。
【0012】
ボリューム操作部3は、ハンズフリー装置1の使用者が、通話音量を調整するための操作部であり、入力レベルは、通信制御部11へ送られる。
マイク4は、ハンズフリー装置1の使用者の音声を入力し、音声入力回路16へ送られる。
【0013】
[音量設定処理]
図2は実施例1のハンズフリー装置の通信制御部11で実行される音量設定処理の流れを示すフローチャートで、以下各ステップについて説明する。
【0014】
ステップS1では、携帯電話機2がハンズフリー装置1に接続されたかどうかを判断し、接続されたならばステップS2へ進み、接続されないならばステップS1へ戻る。
【0015】
ステップS2では、自局番号の呼び出しを行う。なお、自局番号の呼び出しは、シリアル通信により、携帯電話機2より自局番号を取得する。
【0016】
ステップS3では、既に記憶している自局の番号と、新たに呼び出した自局の番号とが同じかどうかの照合を行う。
【0017】
ステップS4では、自局の番号を取得済みかどうか判断し、取得済みならばステップS5へ進み、取得済みでないならばステップS6へ進む。
【0018】
ステップS5では、記憶した自局の電話番号に対応した音量データに従い、通話音量、着信音量を設定する。
【0019】
ステップS6では、自局番号と音量値を関連付けして登録し、記憶する。
【0020】
ステップS7では、設定値の変更があったかどうかを判断し、変更があったならばステップS8へ進み、変更がないならばステップS9へ進む。
【0021】
ステップS8では、変更された設定値を、その自局の電話番号に関連付けして登録し、記憶する。
【0022】
ステップS9では、携帯電話機2の再接続があるかどうかを判断し、再接続があるならばステップS2へ戻り、再接続がないならばステップS7へ戻る。
【0023】
[運転者に対応して設定を変更する作用]
実施例1のハンズフリー装置1は、例えば車両に車載機として設置されるものであり、この場合には、運転者が携帯電話機2を車内に持ち込み、ハンズフリー装置1に接続して使用することになる。車両に車載機としてハンズフリー装置1が用いられる場合、車両を運転しながら、電話の通話を行うのは、例えばタクシーや、営業者、社用車などの使用が多い。
【0024】
このような場合、車両は1個人の所有であることより、会社の所有であることが多く、そのために、1つの車両に対して、複数の運転者が使用する場合が多い。
すると、運転者が変更となる度に、別の携帯電話機2がハンズフリー装置に接続されて使用されることになる。
これに対して、従来のように、相手の電話番号ごとに受話音量値を設定しても、例えば、営業で不特定の人からの電話を受ける場合では、相手が非通知にしていると機能しないし、繰り返し電話する回数も少ないと、音量を設定を登録しておく作用効果をほとんど得ることができない。
【0025】
また、この登録は車載機として車量に設置されるハンズフリー装置1に登録されるから、運転者が変更となると、その運転者に良好な設定をやり直す必要があり面倒である。また、運転者が変更になることは、携帯電話機2も異なるものになることがほとんどであるので、携帯電話機2の違いによっても、良好に使用できるよう設定をやり直す必要が生じることになる。
【0026】
これに対して、実施例1のハンズフリー装置1では、これまでに接続されていない新たな携帯電話機2が接続されると、これを検知し(ステップS9)、既に登録している電話番号かどうかを照合する(ステップS2,S3)。そして、新たな電話番号である場合には、その電話名番号と現状の音量設定値を関連付けして登録、記憶する(ステップS6)。そして、その後にボリューム操作部3により、音量調整がされると、そのことをステップS7の処理で検知し、設定変更を登録、記憶する(ステップS8)。
【0027】
そして、後にその運転者がその車両を使用する際、携帯電話機2をハンズフリー装置1に接続すると、その接続が検知され(ステップS9)、既に、登録している電話番号かどうかを照合する(ステップS2,S3)。すると、前回、登録しているので、その登録した音量値がステップS5の処理で設定され、前回と同様の良好な設定を何も操作することなく得ることができる。
【0028】
よって、運転者が変わっても、その人にあった音量設定にでき、手間少なく快適に使用できる。
【0029】
さらに、実施例1のハンズフリー装置は、電話の通話を行う際に、手を使うことがない。そのため、車両の車載機として設置された場合には、走行中の通話が可能になる。
【0030】
この場合、ロードノイズや周囲の走行音、エンジン音等の雑音により、停車時に比べると、音量が大きいほうが、良好に通話できるものであることが多い。
ところが、従来のように、相手の電話番号ごとに受話音量が設定されていると、複数の相手との電話を行う場合で、且つその相手が前回では停車時に通話した相手の場合に問題がある。
【0031】
つまり、車両走行中にハンズフリーで通話するのに、相手が変わる度に受話音量が小さくなるということが発生し、その度にボリューム操作を行わなければならなくなり、煩わしいと使用者が感じることになる。
【0032】
実施例1のハンズフリー装置1では、このような、前回、停車状態で通話した複数の相手に、走行中の比較的周囲の騒音が大きい状態で、今回通話する際には、1度、ボリューム調整すれば、その後に相手が変わっても、受話音量が小さくなるようなことがなく、煩わしい操作の必要が生じない。
よって、実施例1のハンズフリー装置1では、この点においても、従来の問題を解決している。
【0033】
このような煩わしいと感じる操作感は、ハンズフリー装置の使用者がドライバの場合に、車両に対して煩わしいと感じると評価してしまうことがあり、車両としても非常に重要である。
【0034】
次に、効果を説明する。
実施例1のハンズフリー装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0035】
(1)携帯電話機2と接続することにより、手で機器を持つことなく電話における通話を行うハンズフリー装置1において、接続された携帯電話機2と通信を行い電話番号を取得する通信制御部11によるステップS2の処理と、接続された携帯電話機2の電話番号毎に使用時の調整された受話音量を記憶するメモリ12と通信制御部11によるステップS6,S8の処理と、携帯電話機2が接続されると、記憶受話音量に基づいて受話音量を調整する通信制御部11、出力制御部13によるステップS5の処理とを備えるため、相手が非通知設定でも機能でき、運転者が変わっても、その運転者にあった音量の設定が容易にできる。
【0036】
実施例1のハンズフリー装置1は、上記説明のように、車両に対して、運転者が変更することが多い、タクシーや社用車、営業者などにおいて、特にその効果をより発揮することができる。
【0037】
(2)前記電話番号検知手段は、通信制御部11による携帯電話機2の制御により、ステップS2の処理で、自局を呼び出すことを行い、ハンズフリー装置1へ接続された携帯電話機2の電話番号を取得するため、運転者が変更されたことを、携帯電話機2の処理により検知し、再設定の判断を、検出装置を設けることなく、行うことができる。
【0038】
以上、本発明のハンズフリー装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1のハンズフリー装置では、電話番号検知手段は、自局の番号を呼び出すことにより、照合を行ったが、携帯電話機から自局の番号をハンズフリー装置へデータ信号で出力させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1のハンズフリー装置のブロック図である。
【図2】実施例1のハンズフリー装置の通信制御部11で実行される音量設定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 ハンズフリー装置
2 携帯電話機
3 ボリューム操作部
4 マイク
11 通信制御部
12 メモリ
13 出力制御部
14 パワーアンプ
15 スピーカ
16 音声入力回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機と接続することにより、手で機器を持つことなく電話における通話を行うハンズフリー装置において、
接続された前記携帯電話機と通信を行い電話番号を取得する電話番号検知手段と、
接続された前記携帯電話機の電話番号毎に使用時の調整された受話音量を記憶する音量記憶手段と、
前記携帯電話機が接続されると、記憶受話音量に基づいて受話音量を調整する調整手段と、
を備えることを特徴とするハンズフリー装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−180947(P2007−180947A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377567(P2005−377567)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】