説明

バッテリユニット

【課題】車両の空気調和機を利用することなくバッテリ装置を冷却可能とする。
【解決手段】車両駆動用モータ4に給電するバッテリ装置12と、前記バッテリ装置12から給電される電力で駆動される圧縮機50、外気と熱交換する冷却加温装置側熱交換器54、減圧装置としての膨張弁56、及び前記バッテリ装置12を冷却又は加温する熱交換器としての冷却加温プレート22を備えて構成される冷却加温装置13とを一体に備えたことを特徴とするバッテリユニット10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両や電気自動車に搭載して好適なバッテリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機を駆動源としたハイブリット車両や電気自動車では、電動機駆動用の高電圧のバッテリ装置が車両に搭載されており、このバッテリ装置を冷却する技術には次ぎのようなものが提案されている。すなわち、車両に予め設けられている空気調和機の冷凍サイクル内にバッテリ装置を設置することで、該冷凍サイクルの冷媒をバッテリ装置に導入して冷却する技術(例えば、特許文献1参照)や、車両の空気調和機の冷却風を用いて冷却冷媒を冷却し、この冷却冷媒をバッテリ装置に導入して冷却する技術(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平5−344606号公報
【特許文献2】特開2002−191104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、車両に予め設けられている空気調和機を利用してバッテリ装置を冷却する構成においては、バッテリ装置を冷却する際に、該車両の空気調和機を稼働させるために、車両側の制御システム系統を起動する必要がある。
また、夏場などの比較的気温が高い時期では、バッテリ装置の冷却に加え、車室内の空調も必要となるため、車両の空気調和機の冷却能力の奪い合いが生じる。
さらに、車両の空気調和機は、通常、車室内を冷房するに見合った冷房出力を有し、この冷房出力は、バッテリ装置の冷却に要する冷却能力に比べて大き過ぎるため、車室内の冷房を伴わずにバッテリ装置の冷却だけの目的で空気調和機の制御を行うとなると、該制御が複雑になり、また、空調効率が悪くなる。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両の空気調和機を利用することなくバッテリ装置を冷却することができるバッテリユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、車両駆動用モータに給電するバッテリ装置と、前記バッテリ装置から給電される電力で駆動される圧縮機、外気と熱交換する第一熱交換器、減圧装置、及び前記バッテリ装置を冷却又は加温する第二熱交換器を備えて構成される冷却加温装置とを一体に備えたことを特徴とするバッテリユニットを提供する。
【0006】
また本発明は、上記に記載のバッテリユニットにおいて、前記第一熱交換器は、車両の車室内空気を車室外部に排気する経路に設置可能に設けられていることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記に記載のバッテリユニットにおいて、前記バッテリ装置の温度が、前記バッテリ装置の品質維持に要求される最低温度を下回る場合、或いは、最高温度を超える場合、前記バッテリ装置からの給電により前記冷却加温装置を駆動し、前記バッテリ装置を冷却又は加温する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両駆動用モータに給電するバッテリ装置と、このバッテリ装置を冷却又は加温する第二熱交換器を備えて構成される冷却加温装置とを一体に備えてバッテリユニットを構成したため、バッテリ装置の冷却又は加温を、車両の空気調和機を用いずに行うことができる。さらに、冷却加温装置の圧縮機がバッテリ装置からの給電により駆動される構成であるため、車両側の電源系統と独立して冷却加温装置を駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るバッテリユニット10を搭載した四輪の電気自動車1の構成を示す図である。電気自動車1は、前輪2及び後輪3と、これら前輪2及び後輪3のいずれか、或いは、両方(図示例は前輪2のみ)の各々に設けられた車両駆動用モータ4とを備えている。車両駆動用モータ4は車両を動かす駆動源を構成する。また、電気自動車1の車室5には、運転座席6及び後部座席7が前後に配置され、運転座席6の正面にはハンドル8や図示せぬメータパネル等が配置されている。
後部座席7の後方にはトランク9が設けられ、このトランク9内に、高電圧のバッテリユニット10が配置されている。バッテリユニット10は、上記車両駆動用モータ4に給電して駆動するものであり、バッテリユニット10から引き出された電力供給線としての高電線11を介して車両駆動用モータ4に送電が行われる。
【0010】
図2はバッテリユニット10の構成を示す斜視図であり、図3はバッテリユニット10の構成の模式図である。また、図4はバッテリ装置12の分解斜視図である。
これらの図に示すように、バッテリユニット10は、車両駆動用モータ4に給電する電力を蓄えるバッテリ装置12と、このバッテリ装置12を冷却或いは加温する冷却加温装置13とを備え、これらを共にベース板14に載置し固定してアッセンブリ化して構成されている。
【0011】
上記バッテリ装置12は、図4に示すように、複数の素電池(セル)20を組みにした組電池21と、この組電池21を冷却する冷却加温プレート22と、バッテリ装置12及び冷却加温装置13を制御するコントローラ23と、これらを収容する密閉容器24とを備えている。
【0012】
素電池20は、その内部に正極及び負極をセパレータを介して巻回した発電要素を含む非水電解質二次電池を、アルミニウム又はアルミニウム合金製の角型平板状のケースに収納して構成されたものである。上記非水電解質二次電池には、例えばリチウムイオン二次電池等が好適に用いられる。図5に示すように、複数の素電池20を並設し、一対の挟持用板25で挟み込み、結束金具26で結束することで上記組電池21が構成されている。そして、上記冷却加温プレート22上には、このような組電池21が複数個横並びに配置される。なお、前掲図3では、図が煩雑になるのを避けるために、組電池21を1つだけ示している。
【0013】
冷却加温プレート22は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の長板状に構成され、組電池21と熱交換して冷却又は加温する熱交換器(第二熱交換器)として機能し、その一端から、冷媒配管としての液管34A及びガス管34Bが引き出されている。
【0014】
密閉容器24は、図4に示すように、上面が開口した箱型の容器体40を、蓋板42で密閉する構造のものであり、上記容器体40の開口縁部41Aの全周にわたって折り曲げ片43が設けられている。蓋板42で密閉する時には、この蓋板42が折り曲げ片43にシール材(図示せず)を挟んで密着することで密閉性の向上が図られている。
また、組電池21を載置した冷却加温プレート22は、コ字状に曲がった2本のフレームパイプ38の谷部分に該フレームパイプ38で挟持するように取り付けられており、これら2本のフレームパイプ38が、その両端を蓋板42の裏側に貫通させて固定されることで、当該蓋板42の裏側に冷却加温プレート22及び組電池21が吊持される。これにより、蓋板42の荷重が増すため、蓋板42と容器体40との間の密閉性が高められる。
【0015】
蓋板42の裏面側には、該蓋板42と組電池21との間の隙間に、箱型の上記コントローラ23が配設されている。このコントローラ23は、組電池21からの電力供給、或いは、別途に備えた電池からの電力供給で駆動され、車両側の制御システムと独立して動作可能に構成されており、バッテリ装置12の充電制御や冷却加温装置13の駆動制御を行う。なお、コントローラ23は、バッテリ装置12の充電制御を行うコントローラと別に設けても良い事は勿論である。
【0016】
上記蓋板42からは、冷却加温プレート22の液管34A及びガス管34Bが裏面側から貫通して外部に引き出され、更に蓋板42には、車両通信線用プラグ44と、一対の高圧線接続プラグ46と、排気用安全バルブ48とが設けられている。
車両通信線用プラグ44は、車両の走行等に係る制御を行う車両側の制御システムとコントローラ23とを結ぶ通信線を接続するための接続プラグであり、また、一対の高圧線接続プラグ46は、高電線11が備える2本の送電線の各々を組電池21に接続するためのプラグである。
【0017】
排気用安全バルブ48は、密閉容器24の内圧が所定の内圧に達すると、この内圧により栓が押し出されて開栓し、密閉容器24の内部のガスを外部へ放出可能とするものである。
より具体的には、二次電池、たとえばリチウムイオン二次電池は、特に過充電された場合や充電状態で電池内部で短絡した場合には、異常反応により発熱やガス発生を伴い内圧が急激に上昇する場合がある。このような場合には、密閉容器24の内圧が上昇して破裂することを未然に防止するために、上記の排気用安全バルブ48が開栓し、内部のガスが外部へ放出される。
【0018】
前掲図2及び図3に示す冷却加温装置13は、バッテリ装置12に専用に設けられたものであり、ケース体60に、圧縮機50と、四方弁52と、外気と熱交換する冷却加温装置側熱交換器(第一熱交換器)54と、冷却加温装置側熱交換器54に外気を送風する送風ファン55と、減圧装置としての膨張弁56とを納めて構成され、さらに上記冷却加温プレート22を接続して冷凍回路(冷凍サイクル)が構成される。
上記圧縮機50には、バッテリ装置12の冷却に足る程度の能力を有した小型のものが用いられており、冷却加温装置13がコンパクトに構成されている。
【0019】
また、冷却加温装置側熱交換器54の外気との熱交換について詳述すると、前掲図1に示すように、電気自動車1には、車室5と車両外部との間を結ぶダクト65が設けられている。このダクト65は、例えば車室5の後部座席7の後方からトランク9の直下、或いは、横を通って車両外部に至るように配設されており、車室5の中の空気を外部に排気する経路を構成する。そして、このダクト65の途中に、上記冷却加温装置側熱交換器54及び送風ファン55が配置されている。
【0020】
より具体的には、図2に示すように、バッテリユニット10の冷却加温装置13は、該バッテリユニット10の車両設置時に、上記ダクト65の中に下側から進入して配置されるようにダクト65に向けて突出する突出部62を有する。そして、この突出部62には、図3に示すように、冷却加温装置側熱交換器54及び送風ファン55が内設されており、これにより、バッテリユニット10を車両に設置することで、冷却加温装置側熱交換器54及び送風ファン55がダクト65内に配置される。なお、突出部62がダクト65の中に横側から進入して配置される構成としても良い。
【0021】
そして、冷却加温装置13の駆動時には、送風ファン55の回転駆動に伴って、ダクト65内の空気と冷却加温装置側熱交換器54との間で熱交換が行われる。このとき、送風ファン55は、ダクト65内に車室5側から車両外部に流れる空気流を形成するように設置されており、車室5の空気が冷却加温装置側熱交換器54と熱交換した後、車両外部へ排出される。
【0022】
これにより、冷却加温装置側熱交換器54と熱交換して加熱、或いは、冷却された空気が車室5内に吹き込むことが防止される。
さらに、電気自動車1に既設の空気調和装置(カーエアコン)によって車室5の中が空気調和されている場合、この調和空気がダクト65に導かれて冷却加温装置側熱交換器54と熱交換するため、次のような効果がある。
すなわち、夏期等の外気温が高い場合には、バッテリ装置12も通常より温度が高くなるため、その分、冷却加温装置13による冷却能力を高める必要が生じるものの、この場合には、車室5が既設の空気調和装置によって冷房されることで、この冷房による冷気と冷却加温装置側熱交換器54とが熱交換して冷却された空気から熱が汲み上げられるため、省エネ運転が可能となる。
【0023】
上記冷却加温装置13の駆動制御は、バッテリ装置12のコントローラ23によって行われ、コントローラ23は、バッテリ装置12の冷却及び加温に応じて四方弁52を切り替えることで、冷却加温プレート22を蒸発器又は凝縮器として機能させる。より具体的には、組電池21には温度センサ58が設けられており、コントローラ23は、温度センサ58による検出温度に基づいて冷却加温装置13を駆動制御する。この駆動制御については後に詳述する。
【0024】
ここで、本実施形態では、冷却加温装置13の駆動電力を、車両側が搭載する既設のバッテリから得るのではなく、バッテリ装置12から得る構成としている。
より具体的には、上記バッテリ装置12から引き出された高電線11は、その経路の途中で分岐ユニット70によって、車両駆動用の高電線11Aと、冷却加温装置13の駆動用の高電線11Bとの2系統に分岐され、この高電線11Bが冷却加温装置13に接続される。また、冷却加温装置13は、高電線11Bを介してバッテリ装置12から給電される高圧の直流電力を所定電力の交流電力に変換するインバータ72を備え、このインバータ72の交流電力によって圧縮機50が駆動される。
【0025】
このように、バッテリ装置12からの給電によって冷却加温装置13が駆動される構成とすることで、車両側の電源系統と独立して冷却加温装置13を駆動制御することができる。これにより、車両側の電源がオフの場合でも、冷却加温装置13を駆動してバッテリ装置12を冷却又は加温することができる。
【0026】
次いで、本実施形態のバッテリユニット10の動作として、該バッテリユニット10の冷却加温装置13による冷却又は加温動作について説明する。
図6は、電池保護運転処理のフローチャートである。
電池保護運転処理は、例えば、電気自動車1が非駆動状態であって、バッテリ装置12から車両駆動用モータ4への給電が行われていない状態の場合に、バッテリ装置12の各素電池20の温度を監視し、各素電池20の温度を、品質維持に要求される温度範囲内に維持するように冷却加温装置13を運転することで、バッテリ装置12の品質劣化を防止するための処理である。
【0027】
具体的には、バッテリユニット10のコントローラ23は、例えば、車両側のシステムがキーオフになったときに、電気自動車1が非駆動状態になったものと判断し、電池保護運転処理を開始する。電池保護運転処理にあっては、図6に示すように、コントローラ23は、温度センサ58により、素電池20の温度を間欠的に検出し、その検出電池温度と、品質維持に要求される温度範囲とを比較し(ステップSa1)、この比較結果に応じて冷却加温装置13を運転する(ステップSa2)。
【0028】
すなわち、コントローラ23は、品質維持に要求される温度範囲の最高温度を規定する最高電池維持温度よりも検出電池温度が大きい場合(CASE1)、冷却加温プレート22が蒸発器として機能するように冷却加温装置13を駆動する冷却運転を開始し、これとは逆に、品質維持に要求される温度範囲の最低温度を規定する最低電池維持温度よりも検出電池温度が低い場合(CASE2)には、冷却加温プレート22が凝縮器として機能するように冷却加温装置13を駆動する加温運転を開始する。また、検出電池温度が上記温度範囲内である場合(CASE3)、バッテリ装置12を冷却又は加温する必要が無いため、冷却加温装置13を停止状態とする。
その後、コントローラ23は、電気自動車1の車両側のキーオンにより制御システムが起動されて通信が開始されたか否かに基づいて、電池保護運転を停止するか否かを判断し(ステップSa3)、電池保護運転を停止するまで、上記ステップSa1及びSa2を繰り返し実行することで、素電池20の温度を、品質維持に要求される温度範囲内に維持する。なお、バッテリ装置12の残量を監視し、過放電に至る場合にも電池保護運転を停止するようにしても良い。
【0029】
このような電池保護運転を行うことで、電気自動車1が非駆動状態の例えば夜間の間に外気温度が低下、或いは、上昇しても、素電池20の温度が、品質維持に要求される温度範囲に維持されるため、当該素電池20の劣化が防止される。
【0030】
また、電気自動車1の車両側の制御システムが起動されている間、すなわち、バッテリ装置12から電気自動車1の車両駆動用モータ4へ給電が行われる間、コントローラ23は、図7に示す電池冷却・加温処理を実行する。この電池冷却・加温処理は、バッテリ装置12の給電動作に適した適正温度に素電池20を維持するための処理である。
具体的には、図7に示すように、コントローラ23は、車両側の制御システムが起動された場合(ステップSb1:YES)、温度センサ58の検出電池温度が、冷却を要する温度を規定した電池目標冷却温度を超えているか否かを判断する(ステップSb2)。
【0031】
検出電池温度が電池目標冷却温度を超えている場合(ステップSb2:YES)、コントローラ23は、冷却加温装置13の冷凍サイクルを、冷却加温プレート22が蒸発器として機能する冷房回路に切り替えて(ステップSb3)、冷却運転を開始する(ステップSb4)。その後、電気自動車1の車両側の制御システムが停止し、電気自動車1が非駆動状態となるまでの間は(ステップSb5:NO)、電池冷却・加温処理を継続するために、処理手順をステップSb2に戻す。
これにより、車両駆動用モータ4への給電に伴い素電池20が発熱した場合でも、冷却加温装置13による冷却により、その温度を適正に維持することができる。
【0032】
また、検出電池温度が電池目標冷却温度を超えていない場合(ステップSb2:NO)、コントローラ23は、検出電池温度が、加温を要する温度を規定した電池目標加温温度を下回ったか否かを判断する(ステップSb6)。
検出電池温度が電池目標加温温度を超えている場合には(ステップSb6:NO)、バッテリ装置12を加温する必要が無いため、コントローラ23は、処理手順を上記ステップSb5に戻し、車両側の制御システムが停止するまでの間、電池冷却・加温処理を継続する。
【0033】
一方、検出電池温度が電池目標加温温度を下回った場合(ステップSb6:YES)、コントローラ23は、冷却加温装置13の冷凍サイクルを、冷却加温プレート22が凝縮器として機能する暖房回路に切り替えて(ステップSb7)、暖房運転を開始する(ステップSb8)。その後、電気自動車1の車両側の制御システムが停止するまでの間は(ステップSb5:NO)、電池冷却・加温処理を継続するために、処理手順をステップSb2に戻す。これにより、素電池20が給電するに際し、温度が低すぎる場合でも、冷却加温装置13の暖房による加温により、その温度を適正な温度まで引き上げることができる。
【0034】
このように、本実施形態によれば、車両駆動用モータ4に給電するバッテリ装置12と、このバッテリ装置12を冷却又は加温する熱交換器としての冷却加温プレート22を備えて構成される冷却加温装置13とを一体に備えてバッテリユニット10を構成したため、バッテリ装置12の冷却又は加温を、車両の空気調和機を用いずに独立して行うことができる。
さらに、車室5の冷房が必要になった場合でも、車両の空気調和機と独立してバッテリ装置12を冷却することができるため、空気調和機の冷房能力の取り合いが生じることも無く、安定した運転が可能となる。
また、冷却加温装置13は、バッテリ装置12を冷却・加温するに必要十分な空調能力を備えれば良いためコンパクト化が可能となると共に、効率の良い運転が可能となる。
【0035】
また、本実施形態によれば、冷却加温装置13が四方弁52を備え、冷房運転及び暖房運転の両方の運転を可能に構成されているため、バッテリ装置12の冷却のみならず加温も行うことができる。
【0036】
これに加え、本実施形態によれば、冷却加温装置13がバッテリ装置12からの給電により駆動される構成であるため、車両側の電源系統と独立して冷却加温装置13が駆動可能となる。これにより、電気自動車1の車両側の制御システムが停止して非駆動状態の場合であっても、バッテリユニット10が単独で冷却加温装置13を駆動して、バッテリ装置12の冷却又は加温を行い、電池保護運転や電池予備加熱運転が可能となる。
【0037】
特に、本実施形態では、電池保護運転によって、バッテリ装置12の素電池20の温度が、品質維持に要求される温度範囲に抑えられるため、バッテリ装置12の劣化を防止し、寿命の延命が図られる。
【0038】
また、本実施形態によれば、外気と熱交換する冷却加温装置側熱交換器54を、車両の車室5の空気を車室外部に排気するダクト65の経路上に設ける構成としたため、バッテリ装置12を冷却する際には、車室5内の冷却された空気から熱が汲み上げられ、省エネ運転が可能となる。
【0039】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
【0040】
例えば、図8に示すバッテリユニット100のように、冷却加温装置13は、ケース体30を必ずしも備える必要はない。また同図に示すように、冷却加温装置側熱交換器54、及び送風ファン55をモジュールケース74に収納してモジュール化すると共に、冷媒配管をフレキシブルなチューブを用いて構成することで、冷却加温装置側熱交換器54、及び送風ファン55が一体的に取り扱い可能になり、また、モジュールケース74を引き出しでダクト65に配置するだけで、これら冷却加温装置側熱交換器54、及び送風ファン55を簡単にダクト65に配置することができる。
【0041】
また例えば、冷却加温装置13が備える冷却加温プレート22をバッテリ装置12の密閉容器24の内部に配置する構成に限らず、図9に示すバッテリユニット200のように、密閉容器24の例えば底部に外側から密着させて配置し該密閉容器24を介して内部の素電池20を冷却又は加温する構成としても良い。
また同図に示すように、コントローラ23をバッテリ装置12の密閉容器24の内部に設ける構成に限らず、外部に設けても良い。また、バッテリ装置12が組電池21の充電制御のために備えるコントローラとは別に、上記コントローラ23を備えても良い。
【0042】
また、電気自動車1に搭載されるバッテリユニットについて説明したが、これに限らず、高電圧を要する車両であれば、ハイブリット自動車や二輪の自動車、又は、電車、飛行機等の任意の車両に本発明のバッテリユニットを用いることができる。さらには、車両に限らず、高電圧を要する任意の機器に対しても本発明のバッテリユニットを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るバッテリユニットを搭載した四輪の電気自動車の構成を示す図である。
【図2】バッテリユニットの構成を示す斜視図である。
【図3】バッテリユニットの構成の模式図である。
【図4】バッテリ装置の分解斜視図である。
【図5】組電池及び冷却加温プレートの構成を示す斜視図である。
【図6】電池保護運転処理のフローチャートである。
【図7】電池冷却・加温運転処理のフローチャートである。
【図8】バッテリユニットの変形例を示す模式図である。
【図9】バッテリユニットの他の変形例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0044】
1 電気自動車
4 車両駆動用モータ
10、100、200 バッテリユニット
11、11A、11B 高電線
12 バッテリ装置
13 冷却加温装置
14 ベース板
20 素電池
21 組電池
22 冷却加温プレート(第二熱交換器)
23 コントローラ
50 圧縮機
52 四方弁
54 冷却加温装置側熱交換器(第一熱交換器)
55 送風ファン
56 膨張弁(減圧装置)
65 ダクト
70 分岐ユニット
72 インバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動用モータに給電するバッテリ装置と、
前記バッテリ装置から給電される電力で駆動される圧縮機、外気と熱交換する第一熱交換器、減圧装置、及び前記バッテリ装置を冷却又は加温する第二熱交換器を備えて構成される冷却加温装置とを一体に備えたことを特徴とするバッテリユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のバッテリユニットにおいて、
前記第一熱交換器は、車両の車室内空気を車室外部に排気する経路に設置可能に設けられていることを特徴とするバッテリユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバッテリユニットにおいて、
前記バッテリ装置の温度が、前記バッテリ装置の品質維持に要求される最低温度を下回る場合、或いは、最高温度を超える場合、前記バッテリ装置からの給電により前記冷却加温装置を駆動し、前記バッテリ装置を冷却又は加温する制御手段を備えることを特徴とするバッテリユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−227121(P2009−227121A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75326(P2008−75326)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】