説明

バルク単結晶ガリウム含有窒化物の製造方法及びそれにより得られるバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板並びにその基板上に製造されるデバイス.

【課題】第1族金属イオンとアクセプタドーパントのイオンを含んでいるバルク単結晶ガリウム含有窒化物を得る方法及びそれで作られたエピタキシー基板とその基板で製造されるデバイスを提供する。
【解決手段】超臨界のアンモニア含有溶液から単結晶ガリウム含有窒化物のシード上への晶出(結晶化)工程から構成され、アクセプタドーパントイオンの超臨界のアンモニア含有溶液に対するモル比は少なくとも0.0001である。また、シード上で晶出させる工程後、950℃と1200℃の間の温度、望ましくは950℃と1150℃の間の温度で窒化物をアニールする工程から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドープされたバルク単結晶ガリウム含有窒化物 の製造方法およびそれによって得られた窒化物に関するものである。 かかる窒化物は電子及び光電子デバイスだけでなく各種基板を製造する電子工業で使用されている。本発明はドープされた バルク単結晶ガリウム含有窒化物 から製造される基板及びデバイス、特にその基板上に製造される電子及び光電子デバイスを含む。
【背景技術】
【0002】
ガリウム含有窒化物,特に窒化ガリウムを得る方法は従来公知である。特に例えばMOCVD (Metal-Organic Chemical Vapor Deposition), HVPE (Hydride Vapor Phase Epitaxy) 又は MBE (Molecular Beam Epitaxy) 法などのエピタキシャル法が知られている [例えば "Optical patterning of GaN films" M.K.Kelly, O.Ambacher著 , Appl. Phys. Lett. 69 (12) (1996) 及び"Fabrication of thin-film InGaN light-emitting diode membranes" W.S.Wrong, T. Sands著, Appl. Phys. Lett. 75 (10) (1999)]。また、溶融昇華法 [例えば "GaN growth by sublimation sandwich method" M. Kaminski, A. Waszkiewicz, S. Podsiadlo 他著. Physica Status Solidi vol. 2, no. 3, p. 1065-1068], HNP (High Nitrogen Pressure) 法 [ "Prospects for high-pressure crystal growth of III-V 窒化物類" S.Porowski 他著., Inst. Phys. Conf. Series, 137, 369 (1998)] 又は窒素雰囲気下における溶融ガリウム−アルカリ金属合金からの成長法(いわゆるFLUX 法) [例えば Youting Song 外.著, Journal of Crystal growth 247 (2003) 275-278]が知られている。しかしながら、これらの方法はいずれも満足できるものでない。なぜなら、いずれも所望サイズ、品質及び/又は特性が得られず、それらの有効性及び適用性には限界がある。
【0003】
国際公開 WO02/101120 はアンモニア含有超臨界溶液からのシードへの選択的晶出商出によるバルク単結晶ガリウム含有窒化物の製造方法について開示しており、この方法は大寸法で高い結晶品質のバルク窒化物単結晶を得ることができるものである。国際公開WO2004/053206, WO2006/057463 及びポーランド出願公開P-371405 はこのような結晶への制御された意識的なドーピング法を開示している。また、ポーランド出願公開P-372746 及び国際公開WO2005/122232 はドーピングの結果として材料の意識的な適用に従って望ましい電気特性を得る方法を開示している。ポーランド出願公開P-372746および国際公開 WO2005/122232では500ppmレベルのアクセプタのドープにより高抵抗(例えば 抵抗率 約 106Ωcm)を有するバルク単結晶ガリウム含有窒化物の基板を得ることを開示している。
【0004】
技術的観点からはエピタキシ用基板を製造する半導体材料の重要な特徴はこれら材料の熱安定性である。これは熱安定性により
a) 高品質のエピタキシ層が得られ、b) 他のエピタキシプロセスにおいてもう一度この基板を使用することができ、更にHEMTのようなある種の電子機器では抵抗率107Ωcm以上という比較的高い抵抗率の基板を使用することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開 WO02/101120
【特許文献2】国際公開WO2004/053206
【特許文献3】国際公開WO2006/057463
【特許文献4】国際公開WO2005/122232
【特許文献5】波国出願公開P-371405
【特許文献6】波国出願公開P-372746
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は高温においてより安定な、特にエピタキシプロセスにおいてドーパントの均一な体積分布を有するバルク単結晶ガリウム含有窒化物 は補償された (半絶縁) 材料を構成し、好ましくは電気抵抗率 少なくとも107Ωcmを有する。さらに本発明の他の目的はこの種材料、基板を提供することおよびこの種の基板上にまたこの種の材料を使って電子構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはバルク単結晶ガリウム含有窒化物の製造プロセスにおいて、アクセプタドーパント量を著しく多くすると、ポーランド出願公開P-372746および国際公開 WO2005122232で知られる濃度と比較すると少なくとも1ケタ多くすると、エピタキシプロセスの条件(MBE, HVPE, MOCVDの方法に依存して1200℃までの温度、時間数分から十数時間)で得られる材料に比較的高い熱安定性が得られることを予期せずして発見した。本発明の材料はポーランド出願公開P-371405 及びP-372746および国際公開 WO2005122232 及びWO2006057463で知られる材料より高い熱安定性を有していることを特徴とする。それは特に本発明の材料で作られる基板がエピタキシプロセスで何回も使用することができることを意味している。この効果は驚くべきものである。なぜなら、ドーパントの全濃度は公知の範囲 (約 1017/cm3 to 1021/cm3)にあるが材料の熱安定性は著しく高いからである。この効果は材料の結晶格子中のドーパント原子の位置によるものであり、公知の材料におけるものとは異なると推測される。熱安定性テストに関連して、比較的高いドーピングと適切な熱処理と組み合わせて材料の電気的特性、特に導電タイプ、キャリア濃度、 抵抗率を決定できる。加えて、このようにして得られる材料はいずれの場合も熱的に安定である。更に、材料中でドーパントの均一な体積分布が証明されている。
【0008】
バルク単結晶ガリウム含有窒化物を得る方法は、第1族金属イオンおよびアクセプタドーパントイオンを含む超臨界 アンモニア含有溶液から単結晶 ガリウム含有窒化物をアクセプタドーパント イオンの超臨界 アンモニア含有 溶媒に対するモル比率が少なくとも 0.0001であるプロセス条件でシード上で晶出させるする工程を含み、前記シード上で晶出させる工程後さらに前記 窒化物を950℃から1200℃、好ましくは 950℃ から1150℃の温度範囲でアニールする工程を含む。
【0009】
好ましくは、アクセプタドーパントイオンの超臨界 アンモニア含有 溶媒に対するモル比率は少なくとも0.0005、さらに好ましくは少なくとも0.0001である。発明者らは. 異なるアクセプタドーパントイオンがやや異なるモル比率で有効となる場合を発見しており、Mgではモル比率0.0001で十分であるが、Zn 及び Mn はやや高いモル比率が必要である。
【0010】
好ましくは本発明方法においてはアクセプタドーパントは Mg, Zn, Mn からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では結晶化(晶出)工程後窒化物は窒素含有ガス、好ましくは分子状窒素N2, アンモニア又はその混合物の雰囲気でアニールされる。
【0012】
ア二ール時間は0.5時間 から16時間、好ましくは2時間 から6時間である。
【0013】
本発明は本発明方法で得られるバルク単結晶ガリウム含有窒化物を含み、そのバルク単結晶ガリウム含有窒化物 は半絶縁であって、少なくとも抵抗率107Ωcm、好ましくは少なくとも1010Ωcmを有する。
【0014】
本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物は青いルミネッセンスを発光することができる。
【0015】
このようなバルク単結晶ガリウム含有窒化物は1200oC までの温度におけるエピタキシ成長で使用されてもその結晶品質は本質的に変化しない。それは高温度でのエピタキシプロセス中およびその後格子の連続性だけでなく、結晶格子中の元素配置に関連する本発明の材料特性が維持されることを意味する。エピタキシプロセス後クラック、ボイド、他の相又はアモルファス材料の沈殿のような欠陥が観測されない。その結果、本発明の測定可能なパラメータ、例えばX-線ロッキングカーブの半値幅 (FWHM) 又は結晶格子の曲率半径が本質的に変化しないで維持される。この材料の特徴は基板がエピタキシプロセスにおいて本発明の材料の基板が何回も使用できるという実際的な利点を有する。
【0016】
本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物はアクセプタドーパントが1017/cm3 から 1021/cm3ドープされるが、アクセプタドーパントはMg, Znおよび Mnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素が好ましい。
【0017】
本発明は バルク単結晶ガリウム含有窒化物の基板を提供するものでもある。この種基板はその改善された熱安定性によりエピタキシ工程で繰り返し使用することができる。
【0018】
本発明の基板の形状に関する限り、基板の使用用途の要求に従って製造することができ、特に方形または四角形のウエハーとすることもでき、好ましくは10mm x 10mmを超える寸法,より好ましくは15mm x 15mmを超える寸法とすることができる。また、円形のウエハーで好ましくは. 25mm (1 inch)を超え,より好ましくは50mm (2 inch)を超える。
【0019】
本件基板は研磨してもよく、特にいわゆるエピレディ段階(epi-ready stage)までエピタキシャル面を研磨することができる。
【0020】
好ましくは、基板のエピタキシャル面は ガリウム含有窒化物の結晶格子の極性結晶面と基本的に一致しており、特にミラー指数(0001)を有するC+ 面 いわゆるGa面、又は ミラー指数(000−1) を有するC-面いわゆるN面 であってよい。
【0021】
特に、基本的に極性基板の場合、 エピレデイ面でのEPD法(Etch Pit Density)で測定した欠陥密度は 1.0x105/cm2より高くなく、好ましくは1.0x104/cm2,より好ましくは1.0x103/cm2より高くない。
【0022】
他の用途では、基板のエピタキシャル面は半極性で、それは極性結晶面から傾斜していることを意味している。特に、ミラー指数: (11-22), (10-11), (10-12)を有する結晶面と基本的に一致している。他の好ましい実施例では基板のエピタキシャル面は基本的に非極性で、特にミラー指数 (11-20)を有するA面又は, ミラー指数 (1-100)を有するM 面であってよい。
【0023】
基本的に非極性の基板の場合、エピレデイ面でのEPD法(Etch Pit Density)で測定した欠陥密度は 1.0x104/cm2より高くなく、より好ましくは1.0x103/cm2より高くない、最も好ましくは1.0x102/cm2より高くない。
【0024】
いずれの場合も、エピタキシプロセスの要求のために、基板面は与えられる結晶面 (たとえば、C 面, M 面 又はA面)から意識的に一定の角度(オフアングルと云われている)、典型的には5°を超えないで傾斜させてある。このため、ここでは基本的に極性、基本的に半極性、基本的に非極性とは極性、半極性或いは非極性の結晶面からやや傾斜がずれた(misoriented)基板面を云う場合に使用する。
【0025】
本発明に係る基板は半絶縁で、抵抗率 少なくとも107Ωcm、より好ましくは少なくとも1010Ωcmを有する。
【0026】
この出願に開示の本発明方法は一般的には請求項1で示すパラメータの範囲で行うが、十分な開示のためにここに開示したやや驚くべき不規則性を有する。
【0027】
驚くべきことにMnドープの場合、得られるガリウム含有窒化物 は現実にアニール工程を必要とせず、Mnドープの材料は電気抵抗率107Ωcm オーダまたはそれ以上でア二ール工程後ほとんど変化しない (実施例 7, 8 及び10参照)。
【0028】
本発明の他の不規則性は多くの場合、実施例3及び6に示すように, 本発明方法では半絶縁 材料にならず、むしろp型である。
【0029】
そして (実施例 9の場合), 半絶縁材料は抵抗率が107Ωcmよりわずかに低いものとなる。
【0030】
本発明は本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板上のデバイスをも含む。レーザ, LED ダイオード,そしてUVディテクタは極性、半極性、非極性基板上に形成できる。他方、偏光ライトエミッタ及びディテクタは非極基板が好ましい。
【0031】
半絶縁基板は高速電子移動トランジスタ(HEMT)、集積回路基板、ソーラセル、UVディテクタ、ホトレジスタ等のデバイスにとってより好ましい基板であって、これらのデバイスは極性、半極性、非極性の基板上にも製造することができる。
【0032】
好ましい具体例においては本発明に係る高速電子移動度トランジスタは本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板上に直接形成したGaNバッファ層、バッファ層上に直接形成した, AlxGa1-xN, 0<x≦1 層を含む。該 GaNバッファ層は非常に高い抵抗を示し、この層の高い電気抵抗率は意識的ドーピングの不足の結果またはFe, C, Zn 又は Mnの意識的ドーピングの結果である。Feの意識的ドーピングの場合、バッファ層のドープされた材料は基板近くに位置し、厚み 10nm から 600nmであって、基板から離れて位置するバッファ層の残りはアンドープであって、厚み, 0.8μm から2.4μmであるのが好ましい。より好ましくはドープされたより厚い層がアンドープのより厚い層と組み合わされるのがよい。特に、ドープ層が.10nmであるときは、アンドープ材料は厚み, 0.8μmを有すべきで、ドープ層が厚み600nmであるときはアンドープ層は厚みが, 2.4μmであるべきであるが、ドープ層が中間的な厚み(10nm から600nm)のときはアンドープ層は中間的な厚み(0.8μmから2.4μm)と組み合わせるべきである。C, Zn 又は Mnの意識的ドープのときは同様の従属性が期待される。
【0033】
他の好ましい具体例においては、本発明に係る高速電子移動度トランジスタは本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板上に直接形成したGaNバッファ層、バッファ層上に直接形成した, AlxGa1-xN, 0<x≦1 層を含む。該 GaNバッファ層は厚み0.5nm から5nmであって、1または数原子の単層からなることを意味し、薄いがゆえに非常に高い抵抗を有する必要はなく、好ましくはSiがドープされ、かかる薄層は基板の平坦性(flatness)を獲得する。
【0034】
他の好ましい具体例では本発明に係る高速電子移動度トランジスタは本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板上に直接形成したアンドープGaNバッファ層、バッファ層上に直接形成した, AlxGa1-xN, 0<x≦1 層を含む。該 GaNバッファ層は厚み0.5nm から5nmであって、バッファ層の存在によってエピタキシ成長面において円滑性とフラッテン効果(flattening effects)を得る。
【0035】
また他の具体例において、本発明に係る高速電子移動度トランジスタは本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板上に直接形成したGaNバッファ層、GaNバッファ層上に直接形成したAlN層、AlNバッファ層上に形成した AlxGa1-xN, 0<x≦1 層を含む。該 GaNバッファ層は上述した理由により非常に高い抵抗を有するが、代わりに厚み0.5nm から5nmの薄い厚みであってよく、1または数原子の単層からなることを意味し、薄いがゆえに非常に高い抵抗を有する必要はなく、好ましくはSiがドープされ、かかる薄層は基板の平坦性(flatness)を獲得する。
【0036】
他の好ましい具体例では本発明に係る高速電子移動度トランジスタは本発明のバルク単結晶ガリウム含有窒化物基板基板上に直接形成したAlxGa1-xN, 0<x≦1 層を含む。
【0037】
また、他の好ましい実施例では基板と, 基板のNサイドに形成したSiドープのエピタキシ層 AlxGa1-xN, 0<x≦1と, Siドープのエピタキシ層 AlxGa1-xN, 0<x≦1上に形成したアンドープのAlxGa1-xN, 0<x≦1層と, アンドープのAlxGa1-xN, 0<x≦1層上に形成したアンドープのGaN層を含む。
【発明の効果】
【0038】
本発明方法で得られる材料およびその材料で製造される基板はエピタキシプロセスに存在するように、高温度で安定であり、ドーパントの均一な体積分布を有することを特徴としており、形成された (半絶縁) 材料では抵抗率 107Ωcm以上,このましくは 1010Ωcm以上であることを特徴とする。より高い熱安定性により本発明で製造された基板はエピタキシ用では複数回の使用を可能とする。さらに、利点としてoutstanding 材料の結晶品質、その上に形成される基板およびエピタキシャル層の結晶品質が含まれるm。本発明で得られる材料は(0002)面からのX線ロッキング曲線FWHMは 20arcsec (for Cu K α1 line)よりかなり低く、 結晶格子の曲率半径は 90mよりかなり高く,表面欠陥密度(エッチピットデンシテイ(EPD)で測定)は好ましくは, 1x102/cm2 より高くない。 本発明の基板上に形成したエピタキシャル層は基板の全表面に渡って唯一の再現様式でモデル ("book") フォトルミネッセンススペクトルが観測された。前述した利点はバルク単結晶ガリウム含有窒化物.からなる本発明の基板上で得られるデバイスの例外的に高い構造品質と例外的に好ましい性能にある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施例1の時間変化のダイアグラムである。
【図2】実施例2で得られる基板のマグネシウム含有量を示す。 SIMS (Secondary Ion Mass Spectroscopy) 法で測定したものである。
【図3】実施例2で得られる基板の上に形成したエピタキシャル層の歩とルミネッセンススペクトルである。
【図4】実施例2で得られる基板上で実現された HEMT (High Electron Mobility Transistor) 構造を示す。
【図5】他の実施例のHEMT (High Electron Mobility Transistor) 構造を示す。
【図6】他の実施例のHEMT (High Electron Mobility Transistor) 構造を示す。
【図7】実施例2で得られた基板上で実現される UV-デイテクタの構造を示す。.
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明に係る数種の実施例を添付図面に従い詳細に説明する。
【0041】
明細書および本発明に関連するクレームにおいて使用される技術用語は以下の定義に従って解釈すべきである。
【0042】
バルク単結晶ガリウム含有窒化物とは本発明方法によって得られる バルク単結晶ガリウム含有窒化物およびその 窒化物層をいう。
【0043】
結晶方向 c, a 又は m は六方晶 c, a 又は m 方向をいい、次のミラー指数c [0001], a [11−20], m [1-100]を有する。
【0044】
結晶面C, A 又は M は六方晶格子のC, A 又は M面をいい、次のミラー指数: C (0001), A (11-20), M (1-100)を有する。これら表面は対応する結晶方向. (c, a 及び m)に垂直である。
【0045】
ガリウム含有窒化物 はその構造に少なくとも1つのガリウム原子と1つの窒素原子を含む化合物で、それに限定されないが二元化合物GaN,三元化合物AlGaN, InGaN 又は四元化合物AlInGaNを含み、好ましくはドーパントの濃度より高いレベルのガリウムの実質的な部分を含み、この化合物のガリウムに対する他の元素の結晶は決勝技術のアンモノ塩基性法と矛盾一致しない限り, 修正することができる。
【0046】
XIII 族元素含有窒化物とは XIII 族元素 (IUPAC, 1989)の窒化物、すなわち、アルミニウム、ガリウム、インジウムの単独あるいは組み合わせの窒化物をいう。ガリウム含有窒化物は最も好ましいこの種 窒化物である。
【0047】
XII族元素終了サイド, Ga-終了サイド、 N-終了サイド: ウルツ構造を有する結晶において、結晶のC6 対称軸に平行なCとして示される結晶方向(結晶軸)を識別することができる。ウルツ構造を有するXIII 属元素 窒化物結晶において、c 軸is (C面) に垂直な結晶面は等しくなく、このような結晶面は極性であるといわれる。これらはXII族元素終了サイド及び N-終了サイドまたは XIII族元素の極性または窒素極性のそれぞれを有する表面を呼ぶ傾向にある。特に単結晶 ガリウム窒化物 の場合、ガリウム終了サイド (Ga-side) および窒素終了サイド (N-side)は識別することができる。これらのサイドは化学的及び物理的特性が異なっており(たとえばエッチングに対する感受性または熱耐性)、気相からのエピタキシ方法において、層は. XIII 族元素の終了サイドに形成され、c軸に平行な結晶面は非極性面と呼ばれている。A および M結晶面は非極性面の具体例である。極性結晶面をチルトオフした結晶面は半極性を呼ばれ、半極性の具体例はミラー指数(11-22), (10-11), (10-12)を有する結晶面を含む。
【0048】
HVPE (Hydride Vapor Phase Epitaxy) 法は基板として窒化物の場合金属ハロゲン化とアンモニアを使用して気相からのエピタキシ層を堆積させる方法である。
【0049】
MBE (Molecular Beam Epitaxy) 法は基板上にいわゆる分子ビームから分子を堆積させることによって原子厚みのエピタキシ層を得る方法である。
【0050】
ミネラライザーとは超臨界 アンモニア含有 溶媒に1又はそれ以上の第1族元素(アルカリ金属)イオンを導入し、フィードストックの溶解をサポートする物質である。
【0051】
MOCVD (Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)法とは基板としてガリウム窒化物の場合アンモニアと金属有機化合物が使用される気相からエピタキシ層の堆積を行わせる方法である。
【0052】
基板とはバルク単結晶ガリウム含有窒化物を含むウエハーであって、その上にはMOCVD法またはMBEまたはHVPEのようなその厚みが200μm、より好ましくは,5 00μmのエピタキシ成長の方法により電子デバイスを得ることができるものをいう。
【0053】
超臨界 アンモニア含有溶液とは超臨界 アンモニア含有溶媒中にガリウム含有フィードストックを溶解させた結果として得られる溶液である。
【0054】
超臨界 アンモニア含有溶媒とは少なくともアンモニアからなる超臨界溶媒で、1種またはそれ以上の第1族元素(アルカリ金属)を含み、ガリウム含有窒化物の溶解をサポートするもので、 超臨界 アンモニア含有溶媒はアンモニアの誘導体および/またはその混合物を含んでもよい。特にヒドラジンが挙げられる。
【0055】
反応温度と反応圧力: 本発明の実施例における温度の測定はオートクレーブ内が空のとき、超臨界 アンモニア含有溶液なしで測定された。実施例で引用された温度の値は超臨界状態で実施される現実の温度でない。圧力は.直接測定されるか 選択されたプロセス温度およびオートクレーブの容量におけるアンモニア含有溶媒の物理化学データを基礎に計算される。
【0056】
バルク単結晶ガリウム含有窒化物の基板は超臨界 アンモニア含有溶液.からの結晶によって得られるドープされたバルク窒化物単結晶であり、この方法は国際公開WO02/10112に開示されており、その要約が以下に記載されている。
【0057】
この方法においては、プロセスは密閉圧力容器(オートクレーブ)内で行われる。ここでは、結晶段階では系はガリウム含有フィードストック,好ましくは結晶化ガリウム 窒化物, 第1族元素 および/またはそれらの混合物、および/またはそれらの化合物、特に窒素および/または水素を含む化合物で, 第2族元素及び/またはそれらの化合物の添加も可能であり、ミネラライザを構成する。ミネラライザはアンモニアとともに アンモニア含有 溶媒として作用する。所望のガリウム含有窒化物の結晶化(晶出)は超臨界 アンモニア含有溶液からフィードストックの溶解温度及び圧力より高い晶出温度及び低い晶出圧力でシードの表面で起こる。2つの温度ゾーンが形成され、フィードストックは溶解ゾーンに位置し、 他方少なくとも1つのシードが晶出ゾーンに位置している。溶解ゾーンは晶出ゾーンの上方に位置し、溶解ゾーンと 晶出ゾーンの間に質量の移送が起こる。対流移送を使用するのが最も好ましく、それはオートクレーブの上方ゾーン(溶解ゾーン)より高い温度にオートクレーブの下方ゾーンを維持することにより実施される。このような条件下で、フィードストックは 溶解ゾーンで溶解する一方、 晶出ゾーンでは超臨界 アンモニア含有溶液のGaNが過飽和になり、シード上にGaNの 選択的晶出が実施される。
【0058】
プロセスは例えば、国際公開WO02/101120に開示のデバイス中で行うことができる。特に結果としてデバイススケールなど 構造の詳細が異なるオートクレーブを使用することができる。
【0059】
シードとしては種々の方法で得られるガリウム含有窒化物の単結晶を使用する。ポーランド出願P-368483及びP-368781に開示の方法によってバルク単結晶ガリウム含有窒化物を製造するための適切な寸法及び形状のシードを完成させることができる。
【0060】
上述の方法によって得られるバルク単結晶ガリウム含有窒化物はドナーおよび/またはアクセプタおよび/または磁性ドーパントをドープすることができる。その濃度は1017/cm3 から 1021/cm3である。ドーピングによって得られるガリウム含有窒化物 は n型, p型または 補償された (半絶縁) 材料を構成する。ドーピング方法はポーランド特許出願P-371405および P-372746に開示の方法によって行われ、単結晶の成長の環境に適切にドーパントを導入することができる。 XIII 族元素窒化物、特にガリウム 窒化物 は アクセプタドーパントの具体例としてマグネシウムおよび亜鉛を含む。ドナードパントとしてはシリコンおよび磁性ドーパントを含む。ポーランド特許出願 P-371405 及び P-372746 に開示のドーパント濃度は有意義でなく、アンモニアに対するドーパントのモル比は 5x10-5より高くない。
この方法により例外的な高品質の単結晶が得られる。
【0061】
バルク単結晶ガリウム含有窒化物の製造するプロセスにおいて、アクセプタドーパントの量を著しく増加させることにより(ポーランド特許出願 P-371405および P-372746で知られる濃度に比較して少なくとも1オーダー大きい)エピタキシャルプロセス(MBE, HVPE, MOCVDに依存して1200℃までの温度、数分から数十時間)の条件でより熱安定な材料が得られる。
【0062】
このようにして得られた材料は次にアニールすることができる。分子状窒素N2、アンモニアまたはその混合物のような窒素含有雰囲気でアニールが適用される。ア二ールプロセスの温度は 800℃ から 1200℃であって、時間は0.5時間 から16時間である。. 非常によい結果が管状炉での温度1000℃ 又は 1100℃、窒素フロー下で0.5時間 又は 4時間のアニールにより得られる。アニールにより 材料の電気的特性の追加的形成が行われ、特に導電性型、キャリア濃度および 抵抗率が調整される。各々の場合において、材料は熱的に安定で、更に材料中にはドーパントの均一な体積分布が観測される。
【0063】
基板は本発明のガリウム含有窒化物単結晶を切断 (例えばワイアソー)して窒化物 結晶格子に対して所望の寸法および方向性を有するウエハーにし、次いで典型的なプロセス、特に機械的研磨、化学−機械研磨(CMP) が施される。ついで、これら基板上に、電子デバイス (構造),たとえば、 HEMT トランジスタ、ホトレジスタ、集積回路、レーザダイオード、LEDダイオード、UVデイデクタ、ソーラセル、偏光ディテクタおよびエミッタが製造される。このような構造は高知のエピタキシャル法HVPE, MBE 又は MOCVDで形成することができ、本発明基板の熱安定性によりエピタキシャルプロセスにおいて多くの用途に好ましいものである。いくつかのデバイスおいて、特にHEMT トランジスタは半絶縁 の本発明基板上で得られ、本発明の以下の好ましい具体例では二次元自由電子ガス(2DEG)(移動度 (=2200cm2/(V(s) およびキャリア濃度ns=1x1013/cm2)を得ることができる。
【0064】
以下の実施例は例示するもので、本発明の範囲を制限するものでない。
【実施例1】
【0065】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mg:NH3=0.0001)の製造.
高圧1375cm3 オートクレーブ中、 溶解ゾーンに フィードストック として6N金属ガリウム159g (ca. 2.28mol) を配置し、アクセプタドーパントとしてマグネシウム0.06gを添加する。次に4N金属ナトリウム53g (ca. 2.31mol) をオートクレーブに導入する。
超臨界 アンモニア含有溶液からの結晶により単結晶 ガリウム 窒化物ウエハー16枚を得た。単結晶のC軸に垂直な方向の一対の表面を有し、直径 約25mm (1 inch) および厚み約500μmのシードとして使用した。このシードはオートクレーブ底部の晶出ゾーンに配置した。
次に、 オートクレーブにアンモニア(5N) 467g (ca. 27.4mol)を充てんし、閉鎖して炉にセットした。
溶解ゾーンは 450℃ まで約. 0.5℃/minで加熱した。この時間、晶出ゾーン は加熱しなかった。溶解ゾーンが仮想温度 450℃に達した後 (プロセス開始後およそ15 時間 - Fig. 1)、 晶出ゾーンはおよそ 170℃に達した。4日間.オートクレーブ中の温度分布を維持する (Fig. 1)。この時間、ガリウムの一部は溶液に転じ、残りのガリウムの多結晶GaNへの形成反応が起こった。 次に、晶出ゾーンの温度は約3.5℃/時間で 550℃に上昇した。溶解ゾーンの温度は変化せず、約450℃であった。プロセス開始10日後安定な温度分布がオートクレーブ 内部で得られた (Fig. 1)。オートクレーブ 内の圧力はおよそ200MPaであった。このような温度分布の結果としてゾーン間の対流が.オートクレーブ内に起こり、溶解ゾーン(上部)から晶出ゾーン(下部)への,ガリウム 窒化物の化学輸送が行われ、晶出ゾーンはシード上に位置している。 得られる温度分布 (すなわち、 450℃ の 溶解ゾーン、550℃の 晶出ゾーン) を次の56日間 (プロセスの最終 Fig. 1)維持する。このプロセス条件で、アンモニアに対するマグネシウム(アクセプタドーパント) のモル比約0.0001であった。
プロセスの結果としてフィードストック (多結晶 GaN)の溶解ゾーンへの移動がおこり、各シードの窒素終了サイドでは単結晶 ガリウム 窒化物の晶出が起こり、単結晶層が各シード上に全体厚み約 3mm (単結晶のc軸に沿って測定)が形成された。
得られたガリウム 窒化物 単結晶は(0002)面からの X線ロッキングカーブ FWHMはおよそ18arcsec (Cu K α1 ライン)で、 結晶格子曲率半径は 54mであることを特徴とする。 結晶C面の顕微鏡試験 (N終了サイド)は表面欠陥密度(エッチピットデンシテイ(EPD)法での測定)は3.0x104/cm2であった。
電子特性に関しては, 得られる材料 はp−型であって、キャリア(ホール)濃度 は約 1.0x1018/cm3 で、抵抗率 は約 9.5x102Ωcmである。
このプロセスの結晶を選択し、管状炉で温度1000℃、窒素(N2)フローの下、4時間アニールする。アニール後、半絶縁 (補償された) 材料が得られた。 抵抗率は約 5x108Ωcm、結晶品質は変化しなかった。
【実施例2】
【0066】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mg:NH3=0.0005)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.28gの金属マグネシウムが加えられ、結果としてアンモニアに対するマグネシウム(アクセプタドーパント)のモル比が約0.0005であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られた単結晶では、結晶品質は実施例1と同様になった。
電子特性に関しては, 得られる材料 は約1.0x1019/cm3のキャリア濃度と約1.5Ωcmの抵抗率のp型の材料であった。
この過程から選択された結晶は次に、管状炉の中で2時間の窒素(N2)フローの下1100℃の温度でアニールされた。 アニーリング後、結晶品質は変化がなかったが、およそ2.5x1011Ωcmの抵抗率の半絶縁(形成された)材質が得られた。

【実施例3】
【0067】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mg:NH3=0.00025)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.14gの金属マグネシウムが加えられ、結果としてアンモニアに対するマグネシウム(アクセプタドーパント)のモル比が約0.00025であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
電子特性に関しては, 得られる材料 は約5.0x1018/cm3のキャリア濃度と約8.0Ωcmの抵抗率のp型の材料であった。
この過程から選択された結晶は次に、管状炉の中で4時間の窒素(N2)フローの下1000℃の温度でアニールされました。 アニーリング後、結晶品質は変化がなかったが、約1.5x1018/cm3のキャリア濃度と約5.0x101Ωcmの抵抗率のp型の材料が得られた。
【実施例4】
【0068】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mg:NH3=0.001)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.56gの金属マグネシウムが加えられ、結果としてアンモニアに対するマグネシウム(アクセプタドーパント)のモル比が約0.001であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られた単結晶で、結晶品質は実施例1のように同様になった。 電子特性に関しては, 得られた材料は約1.0x1019/cm3のキャリア濃度と約1.7Ωcmの抵抗率のp型であった。
結晶は次に、管状炉の中で6時間の窒素(N2)フローの下、1050℃の温度でアニールされた。 アニーリングの後に、結晶品質は変化がなかったが、約1.4x1011Ωcmの抵抗率の半絶縁(形成された)材質が得られた。
【実施例5】
【0069】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Zn:NH3=0.001)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての1.5gの金属亜鉛が加えられ、結果としてアンモニアに対する亜鉛(アクセプタドーパント)のモル比が約0.001であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られたガリウム窒化物の単結晶は(0002)面からの X線ロッキングカーブ(FWHM)の半値幅がおよそ19arcsec(Cu Kα1線)と等しいことと100mの結晶格子の曲率半径によって特徴づけられる。 結晶C面の顕微鏡試験 (N終了サイド上での) はEtch Pit Density(EPD)方法で測定される表面欠陥密度が9.0x103/cm2であることを示しました。
電子特性に関しては, 得られた材料は約1x1018/cm3のキャリア濃度と約1.6x102Ωcmの抵抗率のp型の材料であった。
この過程からの選択された結晶は次に、管状炉の中で6時間の窒素(N2)フローの下、1000℃の温度でアニールされた。 アニーリングの後に、結晶品質は変化がなかったが、1012Ωcm以上の抵抗率の半絶縁(補償された)材質が得られた。

【実施例6】
【0070】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Zn:NH3=0.0005)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.75gの金属亜鉛が加えられ、結果としてアンモニアに対する亜鉛(アクセプタドーパント)のモル比が約0.0005であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られた単結晶で、結晶品質は実施例5のように同様になった。 電子特性に関しては, 得られた材料は約2.5x102Ωcmの抵抗率のp型の材料であった。
結晶は次に、管状炉の中で4時間の窒素(N2)フローの下、1000℃の温度でアニールされました。 アニーリング後に、結晶品質は変化がなかったが、約2.3x102Ωcmの抵抗率のp型の材料が得られた。
【実施例7】
【0071】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mn:NH3=0.0003)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.38gの金属マンガンが加えられ、結果としてアンモニアに対するマンガン(アクセプタドーパント)のモル比が約0.0003であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られたガリウム窒化物の単結晶は(0002)面からの X線ロッキングカーブ(FWHM)の半値幅がおよそ19arcsec(Cu Kα1線)と等しいことと51mの結晶格子の曲率半径によって特徴づけられる。 結晶C面の顕微鏡試験 (N終了サイド上での) はEtch Pit Density(EPD)方法で測定される表面欠陥密度が5.0x104/cm2であることを示した。
電子特性に関しては, 得られた材料は約3.2x109Ωcmの抵抗率の半絶縁(形成された)材質であった。
この過程からの選択された結晶は次に、管状炉の中で4時間の窒素(N2)フローの下、1000℃の温度でアニールされた。 アニーリング後に、結晶品質は変化がなかったが、約5.2x109Ωcmの抵抗率の半絶縁(補償された)の材料が得られた。
【実施例8】
【0072】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mn:NH3=0.0005)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.63gの金属マンガンが加えられ、結果としてアンモニアに対するマンガン(アクセプタドーパント)のモル比が約0.0005であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られた単結晶で、結晶品質は実施例7のように同様になった。
電子特性に関しては, 得られる材料 は約5.3x107Ωcmの.抵抗率 の半絶縁 (形成された)であった。
この過程からの選択された結晶は次に、管状炉の中で4時間の窒素(N2)フローの下、1000℃の温度でアニールされた。 アニーリング後に、結晶品質は変化がなかったが、約6.2x107Ωcmの抵抗率の半絶縁 (補償された)の材料が得られた。
【実施例9】
【0073】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mn:NH3=0.001)の製造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての1.3gの金属マンガンが加えられ、結果としてアンモニアに対するマンガン(アクセプタドーパント)のモル比が約0.001であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られた単結晶では、結晶品質は実施例7のように同様になった。
電子特性に関しては, 得られる材料 は約8.2x106Ωcmの抵抗率 の半絶縁 (補償された)であった。
アニーリング後に、前の実施例で説明されるのと同様に、結晶品質は変化がなかったが、約8.4x106Ωcmの抵抗率の半絶縁 (補償された)の材料が得られた。

【実施例10】
【0074】
ドープされたバルク ガリウム含有窒化物 (Mn:NH3=0.0005, Zn:NH3=0.0005)の製 造
フィードストック(金属ガリウムの形態)に対してアクセプタドーパントとしての0.63gの金属マンガンと0.75gの金属亜鉛が加えられ、結果としてアンモニアに対する亜鉛及びアンモニアに対するマンガンのモル比は約0.0005であったが、アンモニアへのアクセプタドーパント(マンガンと亜鉛)の総モル比は約0.001であった以外は、実施例1と同様の手順で行った。
得られたガリウム窒化物の単結晶は(0002)面からの X線ロッキングカーブ(FWHM)の半値幅がおよそ20arcsec (Cu Kα1線)と等しいことと18mの結晶格子の曲率半径によって特徴づけられる。 結晶C面の顕微鏡試験 (N終了サイド上での) はEtch Pit Density(EPD)方法で測定される表面欠陥密度が1.0x104/cm2であることを示した。
電子特性に関しては, 得られる材料 は約1.9x107Ωcmの抵抗率で、(補償され)半絶縁 であった。
この過程からの選択された結晶は次に、管状炉の中で5時間の窒素(N2)流動の下、1000℃の温度でアニールされた。 アニーリング後に、結晶品質は変化がなかったが、約6.1x107Ωcmの抵抗率で、(補償された)半絶縁 の材料が得られた。
【実施例11】
【0075】
実施例1-10で得られた単結晶のエピタキシーの極性基板の製造方法。
上述された工程から選択された結晶(アニールされ、又はアニールされない)は、ワイヤーソウを使ってそれぞれ約25mm(1インチ)の直径とそれぞれ300μmの厚みのウエハーにカットされる。ウエハーはC結晶の軸(極性)に垂直になるように、研磨されて、結果としてエピタキシ工程で使用する準備(いわゆるエピレディ研磨)がされる。
このようにして準備された基板では、様々な電子デバイス(構造)、
HEMTトランジスタ、ホトレジスタ、集積回路、レーザ、LEDダイオード、ソーラーセル、UVディテクターなどが形成された。
このようにして得られた基板は様々な種類の分析に付した。 特に、基板の組成は基板でアクセプタドーパントの濃度とドーパントの体積分布を決定するための方法、SIMS(Secondary-Ion Mass Spectroscopy)によって調べられた。次にエピタキシャル層が基板上に形成され、そして、得られた層の品質を特にホトルミネッセンススペクトルの分析によって調べた。
実施例2(アニーリングの前後)で得られた同じ基板のSIMS分析の結果はFig 2に示されている。測定値はアニーリングの前後に、12ミリメートル以上間隔を取ったガリウム終了サイド (Gaサイド) と窒素終了サイド (Nサイド)から3つの異なったポイントがから計測された。Fig 2から明白であるように、基板におけるマグネシウムの濃縮は、約1019/cm3であって、取られたすべての測定値は、主に一定である。それは基板の容積内でドーパント濃度の非常に高い均一分配を示している。
Fig 3は1140℃の温度でMOCVD方法で形成された同じ基板(アニールされた)に約1μmの厚みを持っている非ドープのGaN層のフォトルミネセンススペクトルを示している。スペクトルは325nmの波長があるHe-Cdレーザを使って4.2Kの温度で集められた。スペクトルはガリウム 窒化物 (A0X, D0X)のバンド端領域での強い放出によって支配される、そして、これらの線の半値幅は約0.3meVである。異なった測定点に対応したスペクトルの異なった線は互いに十数ミリメートル間隔である(すなわち、巨視的に異なった場所に位置している)。異なったポイントで得られたスペクトルの間の非常に高い一致によって調査された層と基板が均一であることが証明される。提示されたホトルミネッセンススペクトルはGaNのための「ブック」ホトルミネッセンススペクトルであり、ラインの半値幅の例外的に低値であることは、基板と形成層の品質が非常に高いことを示している。
【実施例12】
【0076】
実施例1-10で得られた単結晶のエピタキシーの無極性基板の製造方法。
上で説明された工程から選択された他の結晶(アニールされ、又はアニールされない)は、a軸またはm軸に垂直になるように、ワイヤーソウを使ってウエハーにカットされる(無極性)。
これらのウエハーから、方向付け、機械研摩、および化学機械研摩(CMP)からなる典型的な処理の結果として、エピタキシーのための基板が製造され、その上に次に偏光エミッターとディテクターが形成された。
また、このようにして得られた基板も様々な種類の分析に付し、 特に、エピレディ表面のエッチピットデンシティ(EPD)方法で測定される表面欠陥密度は1.0x102/cm2より明らかに低かった。

【実施例13】
【0077】
実施例2で入手された半絶縁基板の上のHEMTトランジスタ。
添付の図面では、Fig 4はHEMTトランジスタの概要断面図を示す。Fig 4で、アニールされた、実施例2で説明された過程で得たガリウム窒化物1の半絶縁性基板上に、厚さ25nmのAl0.3Ga0.7Nの層4 と同様のガリウム窒化物の厚さ3μmのバッファ層2がMOCVD方法で形成された。 この場合、ガリウム窒化物のバッファ層2は非ドープである。エピタキシ工程の温度は1130℃であった。 次に、Ni-Ti-Auの電気的コンタクトを形成し、
ソース5、ゲート6、およびドレイン7とした。層2と4の界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3が得られた、そこでは、前述のガスにおけるキャリア濃度はns=1x1013/cm2であり、同時にキャリアの移動度は(=1800cm2/(Vs)であった。

【実施例14】
【0078】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
ガリウム 窒化物のバッファ層2が厚さ2nmである以外は、実施例13と同様の手順で行った。この場合、層2はSiでドープされていた。この場合、層2は、基板1の平坦さを確保した。層2と4の界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでキャリア濃度とキャリアの移動性は実施例13と同様であった。

【実施例15】
【0079】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
非ドープされたガリウム 窒化物のバッファ層2が厚さ10nmであった以外は、実施例13と同様の手順で行った。層2の存在は成長している表面の滑らかさと平らになることをもたらした。層2と4の界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでキャリア濃度とキャリアの移動性は実施例13と同様であった。

【実施例16】
【0080】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
Al0.3Ga0.7Nの層4を形成する前に、AlNの厚さ1nmの層4aがガリウム窒化物のバッファ層2に形成される以外は、実施例13と同様の手順で行った。層2と4aの界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでは、前述のガスにおけるキャリア濃度はns=1x1013/cm2であり、同時にキャリアの移動度は(=2200cm2/(Vs)であった。

【実施例17】
【0081】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
Al0.3Ga0.7Nの層4の形成前にAlNの厚さ1nmの層4aがガリウム窒化物のバッファ層2に形成される以外は、実施例 14と同様の手順で行った。層2と4aの界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでキャリア濃度とキャリアの移動度は実施例 16と同様であった。
【実施例18】
【0082】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。.
添付の図面では、Fig 5はHEMTトランジスタの概要断面図を示す。Fig 5では、アニールされた、実施例2で説明された過程で得たガリウム 窒化物 1の半絶縁性基板上に、Al0.3Ga0.7Nの厚さ25nmの層4をMOCVD方法で形成した。エピタキシ工程の温度は1130℃であった。次に、Ni-Ti-Auの電気コンタクトを形成し、ソース5、ゲート6、およびドレイン7とした。層4と基板1の界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでは、前述のガスにおけるキャリア濃度はns=8x1012/cm2であり、同時にキャリアの移動度は(=1700cm2/(Vs)であった。
【実施例19】
【0083】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
添付の図面では、Fig 6はHEMTトランジスタの概要断面図を示す。Fig6では、アニールされた実施例2で説明された過程で得たガリウム 窒化物 1の半絶縁性基板Nサイド上に Si でドープしたAl0.26Ga0.74N の厚さの層11と非ドープのAl0.26Ga0.74Nの厚さ12nm の層12とドープされたGaNの厚さ26nm の層13がMOCVD 方法で形成される。 エピタキシ工程の温度は1130℃であった。次に、Ni-Ti-Auの電気コンタクトを形成し、
ソース5、ゲート6、およびドレイン7とした。層12と層13の界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3が得られた、そこでは、前述のガスにおけるキャリア濃度はns=1x1013/cm2であり、同時にキャリアの移動度は(=1800cm2/(Vs)であった。
【実施例20】
【0084】
実施例2で得られた半絶縁性基板のHEMTトランジスタ。
ガリウム窒化物のバッファ層2の最初の500nmをFeでドープした以外は、この層の次の2.1μm(厚さ2.6μmのバッファ層2をもたらした)は非ドープされた以外は、実施例16と同様の手順で行った。層2と層4aの界面では、二次元自由電子ガス(2DEG)3を得られた、そこでは、前述のガスにおけるキャリア濃度はns=1x1013/cm2であり、同時にキャリアの移動度は(=2200cm2/(Vs)であった。
実施例13-20で明らかにしたと同様のデバイスが、実施例1、4、5、7、8、9、10で説明された工程で得られたガリウム窒化物のアニールされた半絶縁性基板上に作成された。
【実施例21】
【0085】
実施例2で得られた半絶縁性基板のUVディテクター。
添付の図面では、Fig 7はn-p-nタイプのUVディテクターの概要断面図を示す。Fig 7では、アニールされた、実施例2で説明された工程で得たガリウム 窒化物 1の半絶縁性基板上に、以下の層がMOCVD方法で形成された。
Al0.47Ga0.53NのSiでドープされたn+ の層22
Al0.2Ga0.8NのMgでドープされたpの層23
Al0.2Ga0.8NのMgでドープされたp+ の層24
GaN のMg でドープされたpの層25
GaN のMg でドープされたn+ の層26
そのうえ、Ni-Auの典型的な電気コンタクト27、28が、Fig 7に示されているように作られた。エピタキシ工程の温度は1130℃であった。 このようにして、n-p-n型UVディテクターの構造を得られた。

実施例 21で明らかにしたと同様のデバイスが、実施例1、4、5、7、8、9、10で説明された工程で得られたガリウム窒化物のアニールされた半絶縁性基板上に作成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1族金属イオンとアクセプタドーパントを含む超臨界アンモニア含有溶液から単結晶ガリウム含有窒化物をシード上で晶出させる工程によりバルク単結晶ガリウム含有窒化物を製造するにあたり、アクセプタドーパントイオンの 超臨界アンモニア含有 溶媒に対するモル比を少なくとも 0.0001とし、 シード上で晶出させる工程後さらに前記窒化物を950℃から1200℃、好ましくは950℃から1150℃でア二ールする工程を含むことを特徴とする 方法。
【請求項2】
前記アクセプタドーパントイオンの超臨界 アンモニア含有溶媒に対するモル比が少なくとも0.0005、好ましくは0.0010である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アクセプタドーパント が Mg, Zn及び Mnからなる群から選ばれる少なくとも1つの元素である請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
ア二ールする工程が窒素含有ガス、好ましくは分子状N2, アンモニア NH3 又はその混合物を含む雰囲気で行われる請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ア二ール時間が 0.5時間 から16時間、好ましくは2時間から6時間である請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
半絶縁で 抵抗率 が少なくとも 107Ωcm、より好ましくは少なくとも1010Ωcmである前記請求項1ないし5に記載の方法で得られるバルク単結晶ガリウム含有窒化物。
【請求項7】
請求項6に記載の バルク単結晶ガリウム含有窒化物基板。
【請求項8】
エピタキシャル面 が実質的に極性である請求項7記載の基板。
【請求項9】
エピタキシャル面 が実質的に非極性又は半極性である請求項7記載の基板。
【請求項10】
好ましくは高電子移動トランジスタ(HEMT)、集積回路(IC)、UVディテクタ、ソーラセル、またはホトレジスタのような、請求項8または9に記載の基板上で得られるデバイス。
【請求項11】
デバイスが高電子移動トランジスタ(HEMT)であり、該高電子移動トランジスタは基板(1)、GaN バッファ層(2)、AlN オプショナル層(4a) とAlxGa1-xN, 0<x≦1の層(4)から構成され、前記GaN のバッファ層(2)は基板(1)上に形成され、AlN オプショナル層(4a)はGaNバッファ層(2)上に形成され、AlxGa1-xN, 0<x≦1の層(4)はGaNバッファ層(2)またはAlN のオプショナル層(4a)が存在するならその上に形成されている請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
デバイスが高電子移動トランジスタ(HEMT)であり、該高電子移動トランジスタは基板(1)とAlxGa1-xN, 0<x≦1の層(4)からなり、AlxGa1-xN, 0<x≦1の層(4)は基板(1)上に直接形成されている請求項10に記載のデバイス。
【請求項13】
デバイスが高電子移動トランジスタ(HEMT)であり、該高電子移動トランジスタは基板 (1)と、該基板 (1)のNサイド上に形成されたSi がドープされたAlxGa1-xN, 0<x≦1のエピタキシャル層(11)と Si がドープされたAlxGa1-xN, 0<x≦1の層(11)上に形成された非ドープのAlxGa1-xN, 0<x≦1の層(12)と、非ドープのAlxGa1-xN, 0<x≦1の層(12) 上に形成された非ドープのGaNの層(13) から構成されている請求項10に記載のデバイス。。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−16714(P2011−16714A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−140785(P2010−140785)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(502177901)アンモノ・スプウカ・ジ・オグラニチョノン・オドポヴィエドニアウノシツィオン (12)
【氏名又は名称原語表記】AMMONO Sp.zo.o.
【Fターム(参考)】